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さびしんぼう

1985年、東宝映画+アミューズ・シネマ・シティ、山中恒原作、剣持亘+内藤忠司脚本、大林宣彦脚本+監督作品。

いわゆる「尾道三部作」のラストを飾る作品。
改めて見返してみて驚いたのは、この作品のラスト、ハッピーエンドなのである!
それなのに、何故だか、いつまでも物悲しい記憶しか残らない珍しい作品例ではないだろうか。
前半部分は、悪ガキ高校生3人組のオバカ生活をコミカルに描いてあるのだが、正直、喜劇として笑えるような感じではない。
唯一今でも笑えるのは、正月に突然訪問してくる、主役ヒロキの母親の級友、「でべそのお照」(樹木希林)&その娘天野雪美(小林聡美)のそっくりキャラコンビ。
後半はヒロキの失恋(?)を中心に描かれるのだが、この辺の情感の盛り上げ方はうまい!
橘百合子(富田靖子)、主役ヒロキ、そしてその母親、タツ子の少女時代、各々の「さびしさ」がロマンチックかつリアルに設定してあり、ファンタジー仕上げながら、観る者の心に切なく食い込んでくる。
特に、富田靖子の基本的な「泣き顔」が最高!
美しい尾道の風景とショパンの「別れの曲」と共に、長く心に焼き付く、「切ない青春時代」を描いた名品。