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蝶々失踪事件

横溝正史原作「蝶々殺人事件」の映画化。
久松静児監督、1947年大映作品。
歌劇団の人気歌手「蝶々」が、東京公演の練習中に突然失踪してしまう。
やがて、コントラバスのボックスから、薔薇に包まれた蝶々の死体が発見されるに及び、警視庁の名探偵、由利警部が呼ばれる事になる。
劇団関係者には、各々怪しい点があり、事件は混迷の度を深めていくのだが…。
原作自体は、由利先生という素人探偵が活躍する、音符を使った暗号など、小説ならではの仕掛けが施された「本格謎とき」なのだが、この映画では、そこをうまくアレンジして、東京と京都を舞台にした警察捜査ものに仕上げてある。
部分的なロケシーンなども挟んで、古風な犯人捜しに、アリバイ崩し風のサスペンスを、うまくミックスしたような、スケール感を感じさせる作風になっているのが興味深い。
岡譲二扮する由利警部は、ちょっと、シャーロック・ホームズを連想させるような端正なマスクで、名探偵らしいキャラクターを巧みに作り出している。
原作を知らなければ、かなり、犯人は推測し難い作りになっていると思える。
真っ当な「犯人捜し」ミステリーとして、良く出来た作品といえよう。