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地獄変

1969年、東宝、豊田四郎監督作品。
芥川龍之介原作の文芸作品で、音楽は、龍之介の御子息、芥川也寸志。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

堀川の御殿(中村錦之助)が支配する都は、贅沢三昧の貴族の生活とは裏腹に、庶民は地獄のような困窮を強いられている世界。

高麗からの帰化人である宮使えの絵師、良秀(仲代達矢)は、そんな醜い世界ばかりを好んで描く頑固者。
一人娘よしか(内藤洋子)と恋仲となった弟子のひろみを、逆上の余り破門してしまう。

ひろみの後を追って家を抜け出したよしかは、仲良しの小猿と共に堀川の御殿の屋敷に迷い入った所で、殿のお眼鏡にかない、小女房として屋敷に捕われてしまう。

一方、破門されたひろみの方は、野盗の仲間に入り、堀川の御殿の屋敷を襲うが、逆に、家臣たちから射殺されてしまうのだった。

かつての弟子の死を知った良秀は、よしかにその事を知らせようと、屋敷を訪れるが、御殿は伝言を許さない。

やがて、御殿は、よしかに取り付いたひろみの怨霊に悩まされるようになる。
そして、決して、極楽浄土などを描こうとしない良秀に、それでは思い通りの地獄図を描いてみよ!…と命ずるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

後半は、有名なエピソードなので省くが、今観ると、高麗人(良秀)と大和人(堀川の御殿&ひろみ)との、互いの民族差別意識、特権意識の意地の張り合いが、最後には身近な犠牲者を出すまで繰り広げられる…というストーリーに、今にも通ずる根深いテーマ性を感じる。

作品として大傑作…という程の出来ではないように思えるが、絶えず眼を見開き、どこか「乱」の秀虎を連想させる仲代と、憎々しい悪役貴族を演ずる錦之助との、濃い芝居合戦はそれなりに楽しめる。

どちらかといえば、女性好みの作品かも知れない。