1977年、ホリプロ、手塚治虫「ブラックジャック/春一番」原作、大林宣彦監督作品。
▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
テニスの練習中、今岡コーチ(山本伸吾)が放った打球を左目にぶつけてしまい、角膜を損傷した女子大生小森千晶(片平なぎさ)は、天才外科医ブラックジャック(宍戸錠)の手術によって、無事、角膜移植に成功する。
しかし、その後回復した千秋は、シャワーや雨など、水が関わる場面で、長いコート姿の男の姿を見る様になって行く。
その男の姿は、彼女以外の人間には見えないものだった。
千晶は、その幻影の男に、次第に惹かれて行く。
ブラックジャックは、コーチが持ち込んだ眼球の身元が怪しいと気付くのだったが…。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
子供客相手の単なるアイドル映画…といってしまえばそれまでだが、正直、これほど退屈な作品も珍しい。
この時期の大林監督は、物凄い売れっ子だった事もあり、一作ごとの出来不出来の差が激しい。
特に本作は、ジェームス三木の脚本も冴えず、不出来の最たるものではないか。
予算の少なさもあるのだろうが、とにかく、前編、冗漫である。
見せ場といえるものがほとんどない…といってもいいだろう。
全編を貫く、ソフト・フォーカスのような、甘ったるい画面もいただけない。
肝心の主演、片平なぎさにしてから、とても魅力的なキャラクターを演じているとはいいがたく、「チッチッチ」と、「エースのジョ−」ばりに舌を鳴らす宍戸錠のブラックジャックと共に、観ていて、辛いものがある。
むしろ、本作で印象に残るのは、千秋の友人役を演じている志穂美悦子の方である。
テニスの場面などでも、他の出演者とは、明らかに動きが違うし、存在感がある。
当時、新人だった片平なぎさ主体で話を引っ張るには無理があると判断されての工夫かも知れないが、全体的に、主役不在(分散といった方が良いかも)の印象が強い。
千晶の両親役で、長門裕之、月岡夢路、藤田敏八監督や、石上三登志、壇ふみ、千葉真一など、意外な顔ぶれがゲスト出演しているのが、せめてもの見どころかも知れない。
二枚目役で登場する峰岸徹も興味深いのだが…。