この作品が、近年のSF作品として、ちょっと異色に見えるには、ほとんどデジタル処理が使われていない点であろう。
全く使われていない訳ではないが、大半は、セットとミニチュア撮影がメインである。
そして、都市部の駅に到着したゴーストトレインから発見された、調査隊の生き残り女性警官からの事情聴取で、不思議な体験談が語られて行く…という、どこか小説的な展開が、最近では珍しい。
表面的にはSF的な設定があるのだが、基本的には、「秘境探検もの」「秘境怪奇もの」といった、レトロな味わいを連想させる所が特長である。
「西部劇」風のテイストもあるように思える。
シンプルといえば、シンプル極まりない筋立て。
やや、大味に感じられる演出も、監督の狙いなのかも知れない。
途中で、大体の設定が理解できるようになると、後は逃亡サスペンス&アクションで、最後まで一気に見せて行く。
これを、古臭い…と取るか、逆に、最近ではむしろ新鮮な描き方と取るかは、観る方の感覚次第かも知れない。
どこかで観たような…、しかし、どこでも観ていなかった…。
そんな奇妙な味わいがある作品である。
さすがに、カーペンター監督、老けたかな?…という感じがある事も確かなのだが…。