1963年、大映、田中重雄監督作品。
▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
集団赤痢の取材先で偶然出会った台風のフィルムを映しながら、社会部の記者、田村(宇津井健)は、巨大な台風が都会を襲うと、ビルの屋上に設置してある広告塔やネオン等は危険な状態にある…と、デスク相手に社内で力説している。
そういう建築物は、風速60mまで対応できるように設計されていると反論するデスクに対し、それ以上の台風が来ない保証はないと田村、一歩も譲らない。
その後、東西製薬が5000万の巨費を投じた巨大ネオン塔が銀座に完成。
工事を手掛けた丸高組を中心とした完成披露パーティにも、田村は出席。
彼は、その後も、自分の説をあちこちの工事関係者の間に忠告して廻っていた事から、「台風」とあだ名され、煙たがられていた。
しかし、丸高組の社長、丸山の一人娘、輝子(叶順子)は、田村の大学の同級生、今もフランクに付き合う間柄であった。
ネオン塔の設計者で、新婚ホヤホヤの山口(菅原謙次)が、丸高組の同僚浅沼と飲んだ後、誇らし気に、完成したばかりのネオン塔を近くのビルの屋上から眺めていると、突然、そのネオン塔が爆発、浅沼も何者かに銃撃されるという事件に遭遇する。
社長はじめ、丸高組の連中は、薄々、ライヴァル会社である、名古屋の遠藤工業の仕業ではないかと考えるのだが、確証がない。
社長、丸山は、自費で破壊されたネオン塔の修理を開始するのだった。
しかし、その後も執拗に妨害工作は続く。
そんな中、工事現場近くの路上で、輝子は、田村同様、大学時代の友人であった、木谷(田宮二郎)と7年振りに出会う。輝子は学生時代から、木谷に気があったのである。
田村も呼び出して、久々、3人は盛り上がる。
木谷は、現在、暁産業の常務をしているという。
しかし、その後、田村の調査で、その暁産業というのは、遠藤工業に買収されている関連会社であった事が判明。
木谷は、亡くなった父親の戦友だった遠藤に、ずっと子供時代から面倒を見てもらっていた間柄である事から、遠藤のいうなりに、丸高組が輝子の父親の会社である事も知らず、工事の妨害工作をしていたのだった。
しかし、木谷は、表面上元友人である二人に対し、あくまでも遠藤との関係を否定し続ける。
そんな中、遠藤の妨害工作はエスカレートしていき、とうとう、殺し屋、小西(高松英郎)を差し向け、丸山社長を殺害、その家屋敷の権利まで手に入れてしまう。
社長の葬式の席で、輝子は工事続行を決意、接近して来る台風の中で、何とか期限までに完成させようと必至の努力が始まる。
しかし、木谷もまた、遠藤に強要され、田村に暴露記事を書かないよう脅して来いといわれる。
万一のために、殺し屋の小西も同行させて…。
一旦それたかに思えた12号、13号のアベック台風が、急遽進路を変え、関東に接近して来る。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
伊勢湾台風の被害の記憶も生々しい時代の作品である。
小太り気味のスーパージャイアンツ体型、熱血漢、宇津井健が一見ドラマの主役のようだが、狂言回し的存在といった方が良いかも知れない。
実質的には複雑な立場で懊悩する田宮二郎の方が記憶に残る。
田宮に操られ、サボタージュする丸高組のスパイに、テレビ版遊星王子こと、村上不二夫。
クライマックスの特撮は白黒という事もあり、見ごたえがあり素晴らしい出来。
特撮担当は、築地米三郎。
ドラマとしては、平均的な出来だと思われるが、田宮二郎の魅力を知る上では、貴重な一本と言えよう。