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エノケンの法界坊

1938年、東宝東京、斉藤寅次郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

永楽屋の女将おらく(英百合子)は、大の骨董好き。
何とか「りぎょのいちじく(鯉の絵が描かれた掛け軸)」が欲しくてたまらず、それを持つ、よいよいの源右衛門(中村是好)の気を引こうと、一人娘のおくみ(宏川光子)を付き合わせる。

しかし、当のおくみには、手代の要助(小笠原章二郎)という思いを寄せる相手があった。

そんな永楽屋にやって来た、たかり専門の法界坊(榎本健一)、小さな子供にからかわれたのに腹を立て、店に居座る始末。

どうした事か、後日、法界坊の家におくみの姿。どうやら、彼女をかくまっている様子。(この辺、少し、フイルムが抜け落ちているようで、話が飛んでいる)

無事、永楽屋におくみを戻した法界坊、お礼の接待を受ける。
彼は、すっかり、おくみに惚れてしまっていたのである。
しかし、おくみと要助の気持ちは変わりそうもない。
帰り際、噂に聞いていた掛け軸を盗み出す法界坊。

その頃、永楽屋の長九郎(如月寛多)は、掛け軸と店の両方を手に入れようと、次々に邪魔な人間を殺害していた。

彼は、源右衛門の依頼を受け、要助と一緒に法界坊の住処にも近付くと、法界坊を刺し殺してしまう。
掛け軸を奪い返した要助も川に突き落とす始末。

要助が死んでしまったものと落胆したおらくは、源右衛門との婚礼を嫌々ながらも承諾しなければならなくなった。
ところが、その婚礼の席で、源右衛門は、死んだはずの法界坊の幻影に悩まされる事に…。
そんな所に、九死に一生を得た要助も戻って来る。

源右衛門、長九郎の悪事を暴いた法界坊の幽霊、おくみと要助の婚礼をこの場で執り行なう事、自分の供養のために、鐘を寺に寄贈してくれと、おくみたちに頼むと姿を消す。

やがて完成した立派な鐘の完成式、おくみ、要助らが見守る中、寺の僧侶が鐘を鳴らすと、その鐘の中から法界坊が落ちて来て、尻餅を付くと、慌てて、元の鐘の中へ…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

前半は、いつもながらのエノケンのいたずら騒ぎを中心に描いた話。
面白いのは、途中で、主人公の法界坊があっさり殺されてしまう点だろう。
そこはそれ、喜劇の名匠、斉藤寅次郎監督、幽霊になったエノケンで後半はしっかり笑わせてくれる。

ミュージカルとしても秀逸で、ラストの婚礼の席、有名なウエディングマーチのメロディに乗せて、エノケンが歌う「たかさごや〜、たかさごや〜、このうらふねに、ほをあげて〜」は絶妙!

エノケン好きには、たまらない一本となっている。