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独立愚連隊西へ

1960年、東宝、岡本喜八監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

軍旗を持った463部隊の先兵隊が全滅したとの知らせが、部隊長である大江大尉(平田昭彦)の元に届く。
大尉は貴重な軍旗捜索を考える。
一方、中国軍もその軍旗を奪おうと捜し始めるのだった。

そうした中、全員死亡したとされながら、実は生きていて、その処遇に困った軍が、あちこちの戦場にたらい回しにしている「左文字隊」がやって来るとの知らせが入る。

その左文字隊、霧の中、女の匂いを嗅ぎ付けて前進している途中、自分達の後方と両脇を中国軍に挟まれている事実に気付く。
左文字隊が、前方を進んでいた中国の女性たちめがけて走り出すと、中国軍も全員走り出す。
女性たちに追い付き、抱き着く寸前で全員ばててしまう。
追っていた中国軍とて同様。

互いに白旗を揚げ、通訳をつとめる戸川軍曹(佐藤允)を挟んで、隊長同士が談判を始める。
左文字少尉(加山雄三)の人柄に惚れた、中国軍の梁隊長(フランキー堺)、勝負は叉の機会にと、その場は円満に別れる。

裸になって、川を渡っていた左文字隊、同じ日本軍から、敵と間違われて銃撃を受ける。
ほうほうの態で川岸に戻った左文字隊、そろばん占いで、隊の人気者だった神谷一等兵(堺左千夫)の姿が見えないのに気付き嘆き悲しむのだった。

本部に戻る途中だった463部隊のトラックを襲撃した左文字隊、何とか川に流された軍服をその車から拝借し、そのまま本部に到着、隊長以外は全員、慰安婦宿に直行。

そんな中、新顔の新田参謀(田島義文)が視察に来るとの知らせ。
その知らせに目を光らせたのが、慰安婦宿の主人をしながら、情報屋としても働いている早川という、どこか怪し気な男(中谷一郎)。

新田参謀を途中で待ち伏せた早川、実は両名は旧知の間柄。
過去の恨みをはらすべく、早川は参謀を射殺。
そんな現場に居合わせたのが、川で死んだと思われていた神谷一等兵、早川にいわれるまま、参謀の軍服を着込み、そのまま本部へ参謀としてやって来る。

誰も自分の正体に気付かぬ事に気を良くした神谷一等兵、あまりの素行の悪さから牢に入れられていた左文字隊全員を救出、そのまま、軍旗捜索隊として出発させる。
しかし、唯一人、神谷の正体に気付いた463部隊の関曹長と、女が原因で同じく入牢させられていた小峰衛生兵(江原達怡)が同行を願い出る。

左文字隊は地雷原を、隊長の機転から無事突破した後、二手に分かれ、軍旗捜査に突き進む…。

左文字少尉、戸川軍曹ら一行は、やがて、中国軍と遭遇、そこには、小峰の恋人だった看護婦、羽島久美子(水野久美)と、元京大生だったという、金山中尉(中丸忠雄)が加わっていた。

左文字たちは二人を奪回、自分達に同行させるが、実は金山こそ、中国軍のスパイだったのだ…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

戦争を題材にしながらも、独自の痛快娯楽作品に仕立て上げて人気の高い「独立愚連隊シリーズ」の第ニ弾。

お馴染みの佐藤允は、本作では比較的目立たず、隊長役の加山雄三を立てている。
加山は、島根の農林学校出身、明るく度胸も知恵もあり、話の分かる隊長として、部隊全員から慕われている…というキャラクターを、立派にこなしている。

しかし、本作で何といっても印象深いのは、神谷一等兵を演じる堺左千夫と、最後まで謎めいたキャラクターとして活躍する早川を演じる中谷一郎であろう。

前作公開時、批判が多かったという殺戮シーンは少なくなったものの、敵味方が競い合う宝探しの要素や、キャラクターの面白さ等で、娯楽作品としての質はより向上している。

観客をただ楽しませるだけではなく、戦争批判の精神もきちんと描かれているし、フランキー堺演ずる中国軍隊長のキャラクターの魅力もあって、軍旗強奪戦の後味も悪くない。

劇中、「勲章なんて欲しがるのは、職業軍人と子供だけ…」というセリフが、何とも奥深い。

岡本喜八監督、面目躍如の痛快娯楽活劇の決定版!