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赤い夕陽の渡り鳥

1960年、日活、斉藤武市監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

会津磐梯山、馬にのって山道を歩いていた風来坊、滝伸次(小林旭)は、木に引っ掛かった昆虫網と子供の泣き声を聞き付け、馬から飛び下りる。

崖の途中で岩にしがみついている子供の元へ駆け降りる伸次。
そんな所に、上から「助けてやろうか?」の声がかかり、顎ひげの男がロープを投げ下ろす。
「代わりに馬をちょうだいするぜ」と言い捨て、男はそのまま行ってしまう。

顎ひげの男は山中の煙を見つけ近付くと、小屋が全焼していた。
馬を降りた男に、突然銃を持った男女(白木マリ)が詰め寄る。
男を、火を放った犯人だと思い込んでいる様子。
そこへ、子供を助けた伸次が到着し、男の無罪を証明すると、自らは馬を取り戻し、子供の家へ。

母親のいない子供の父親は、越谷大造(大坂志郎)といい、表面的には温厚そうな実業家だったが、実は、バス道路建設を名目に、温泉の元湯を有する牧場の権利を奪おうと、地元の建設会社、沼尻興業と組んで画策していた。

地元のキャバレーで、気持ちよさそうに歌う伸次、そこのマネージャーに誘われて地下のギャンブル場へ行くと、昼間出会った顎ひげの男が居座っている。
彼の名は「ハジキの政」(宍戸錠)といい、ギャンブルで勝った金をすぐに払えとごねていたのである。
カード勝負を挑む伸次、受けて立つ政、勝負は、いかさまを見破られた政の負け、すごすごとその場から引き下がる事になるが、途中で出会った店のママとは旧知の間柄の様子。

一方、小屋を焼かれた牧場の娘、二宮靖子(浅丘ルリ子)が小平マキ(白木マリ)の運転するジープで帰って来るが、途中で、沼尻興業の連中に行く手を塞がれてしまう。
あわやという所に伸次が現れる。
沼尻側には、先日のキャバレーのマネージャーと政の姿。
実はそのマネージャーこそ、沼尻興業の元締め、小芝(近藤宏)であったのだ。政は、彼に雇われたらしい。

何とか牧場に帰った靖子は、付き添って来た伸次に牧場を守るために、しばらくここへ滞在してくれと頼むのだが、生来、風来坊の伸次は返事をためらうし、マキはひどく彼の事を警戒するのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「渡り鳥シリーズ」の第四弾。
敵のような味方のような、ライバル宍戸錠との掛け合いで、地元の悪と戦うお馴染みのプログラム・ピクチャーだが、絶えず晴れ渡った美しい地方の情景と共に、今は失われた通俗活劇の楽しさが味わえる。
いわゆる「無国籍アクションもの」で、日本を舞台にした西部劇だと考えたら分かりやすいだろう。

「必殺仕事人」中村主水の女房りつ役でお馴染みの白木マリの若い頃の姿が珍しい。
このシリーズでは、踊子のような役柄が多かったようだ。
本作でも、巧みなフォークダンスを披露したり、その昔、東京で踊子をやっていた事を後悔している、陰影のある役所で、物語に幅を持たせている。

ギターを付けた馬に、子供と一緒にまたがる伸次の姿は、「シェ−ン」などを連想させる、西部劇ではお馴染みの、典型的な当時のヒーロー像である。

今観ると、凄く新鮮に感じるから不思議だ。
小林旭の魅力満載の娯楽映画といえよう。


小林旭/赤い夕陽の渡り鳥

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