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あいつと私

1961年、日活、石坂洋次郎原作、中平康脚本、監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

大学の授業中、高野教授(浜村純)が、学生たちに金の使い方をたずねる。
裕福な家の子、貧しい家の子、答えは色々。
そんな中、名指しされて立ち上がった黒川三郎(石原裕次郎)の答えに、教室内はざわめいた。

彼は、当時の労働者の月給と同じくらい、月2、3万の小遣いをもらっており、それで、夜の女を買ったりもする…と、堂々と答えたからである。

それを聞いた女生徒たちの怒りが爆発、授業後、プール脇で寝そべっていた三郎を詰問、プールへと落としてしまう。
びしょぬれ状態になった三郎は、同情した女生徒たちの服やスカートを着せられ、さすがに可哀想と、学校から一番近いけい子(芦川いづみ)の家に立ち寄り、彼女の父親の服を拝借、今度は、三郎の家に二人で向かう事となる。

三郎の母親は、モトコ・桜井(轟夕起子)という、成功した有名な美容師で、貧相な父親(宮口精二)は、そんな母親と絶えず、罪のない喧嘩を繰り広げている明るい家庭だった。

けい子は、だんだん、三郎に惹かれていく自分を感じ始めていた。
クラスメイトの結婚式に出席した後、60年安保のデモ騒ぎに巻き込まれる三郎、級友、金沢(小沢昭一)、けい子ら。
その後、立ち寄った進歩派の女生徒の家で、彼らは、その女生徒が日頃尊敬しているという男から強姦されて帰って来た同室者の女性と出くわす。
ショックの余り、口汚く罵りあう同室の女友達同士。
そんな姿を観て、けい子も又、女性として、いい知れぬ衝撃を受けるのだった。

さらに、夏休み、三郎らと共に東北地方へドライブへ出かけ、帰路途中で立ち寄った三郎の母親所有の別荘で、けい子は、思春期の頃、三郎の性の処理係となっていた一人の女性(渡辺美佐子)の存在を知ってしまう。

やがて、三郎の母親の誕生日に招待されたけい子は、その夜、その母親当人から、三郎の出生に関わる、さらに衝撃的な告白を受けるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

安保闘争に揺れ動く1960年当時の学生の様子が興味深く描かれている。
特に、新しい価値観で逞しく生きようとしながらも、性の問題には、まだどこか戸惑いを感じてしまう、当時の女性たちの複雑な心理描写が印象深い。

そう…。
本作は、裕次郎主演ドラマというよりも、一見裕福な家庭で、のびのびと育った彼と付き合う事により、様々な体験を通して成長しいくけい子のドラマなのである。

三郎の母親を演じている、太ったおばさんが誰なのか、最初は分からなかったのだが、これがあの轟夕起子だったとは…。
けい子の妹役で、若い吉永小百合や酒井和歌子がおきゃんな演技を見せるのも楽しい。

爽やかな青春映画の一本だと思う。