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コント55号と水前寺清子の神様の恋人

当時、TVの人気者だったチータこと水前寺清子とコント55号主演の松竹喜劇

コント55号のキャストロールには(東宝)と書いてある事から、この時期の2人は東宝と専属契約でもしていたのかもしれない。

60年代後半頃の邦画各社は観客の激減に悩んでおり、東映以外はどこも、何をやっても当たらない時期で、新作の企画に苦しんでいたはずである。

松竹も、従来のホームドラマ風の内容ではTVに移行した女性客や年配層を呼べなくなり、かと言って、予算をかけて大作を作る余裕もなく、何とか低予算企画で乗り切ろうとしていた時期だったのではないかと思う。

そうした中から生まれたのが「TVの人気者を映画に出演させ、その人気にあやかる」この手の企画だったと思われるが、実際、一見安易に思えるこの手の企画はそこそこ客を呼べたようである。

このコント55号路線の延長みたいな発想で生まれたのが「男はつらいよ」だったような気もする。

実際、1968年12月28日公開の本作が1969年度の松竹の正月映画であり、翌1969年12月31日公開で1970年度の正月映画もコント55号主演の「チンチン55号ぶっ飛ばせ!出発進行」、そして、1970年12月30日公開「コント55号と水前寺清子の大勝負」が1971年の正月映画…、1971年の12月29日公開「春だドリフダ 全員集合!! 」を挟んで、1972年の12月29日「男はつらいよ 寅次郎夢枕」で「男はつらいよ」が正月映画になるまでの稼ぎ頭だった企画だった事がうかがえる。

東映の任侠映画やヤクザ映画が人気だった時代背景をこの作品も反映しており、欽ちゃんがヤクザに憧れて、とある町の組に入ったものの、夢と現実は違っていて…と言う教訓めいた内容になっている。

欽ちゃんと二郎さんが憧れるマドンナ役がチータなのだが、劇中では、語り部的な役もやっており、1人3役の大活躍…、とは言え、1つ1つの役での出演シーンが多いかと言うとそうでもなく、おそらくスケジュールがつまっていた売れっ子時代なので、空き時間を有効に使えるようにとの配慮だったのではないかと思う。

二郎さんの女房役を演じているのは若い頃の悠木千帆、今の樹木希林だったり、野末陳平、関千恵子、宮地晴子など、当時、TVでも活躍していた人気者たちが登場しているのも懐かしい。

さらに、ナンセンストリオ、コント0番地、三遊亭歌奴などの人気者に加え、牧伸二や三木のり平のそっくりさんまで登場しているのが見所。

確か、当時のTVのそっくり番組で有名になった人たちで、勝新のそっくりさんが音頭を取り、そっくりさん同士で一座を組んで全国で営業をしていたような記憶もある。

劇中、そっくりさんとして紹介されているEH・エリックは、セリフもあるので、さすがに本人だと思うが、中村是好のそっくりさんと紹介されている人物は、セリフもなく、偽者なのか本人なのかにわかに判断出来なかったりする。(出番は少ないながら芝居をやっているのでおそらく本人だと思う)

又、チータの恋人役をやっているのが、松竹の新人時代の藤岡弘、だったり、佐藤蛾次郎がちょい役で出ているのも、この後の「男はつらいよ」へと繋がっているようで興味深い。

藤岡弘、さんも、この時期の松竹では女優さんのお相手役のような役柄しかなく、俳優としての将来性も見いだせなかったのでテレビに移ったのではないか?

話の内容はまずまずと言った所だと思うが、売れっ子のチータやコント55号の2人が、元気一杯に演じており、その若さのパワーのようなものは感じられ、楽しく観られる。

欽ちゃんが、同じく、この当時、人気絶頂だったザ・タイガースのボーカル、ジュリー(沢田研二)の口パクをやって偽者を演じるシーンは愉快。

もちろん、タイガース本人は一切出て来ないのだが、劇中で、熱狂的なファンの女の子たちが、騙されたと知り、私たちのジュリーが冒涜されました!タイガースが汚されました!などとファン同士に伝え合って怒りを表す所など、アイドルを神聖化するオタクの凄まじさをかいま見る思いだ。

こうしたGS(グループサウンズ)人気も含め、皮肉にもこの映画、TVバラエティが花開いて元気だった時代の活力のようなものを、今実感させてくれる内容になっている。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1968年、松竹、山根優一郎+吉田剛脚本、野村芳太郎脚本+監督作品。

雲海に富士山のお馴染み松竹会社クレジット

同じく、雲海に富士山の絵柄が描かれた緞帳が拍子木の音と主に上がると、そこには浪曲師風の出で立ちのチータが立っており、三味線の音と共に、ボロは着てても心は錦~♪竹馬の友は~♪とどこかで聞いてような歌詞を浪曲風にうなり始める。

頃は三月中の頃~♪春とは言えど~東京の~

焼け野が原もいと哀し~♪

幼年時代

瓦礫風の塀の両側で落ち葉を掛け合い喧嘩するちっこい目とたれ目の子供が2人

小学生時代

4年1組 岡本金一郎(萩本欽一)、僕は大きくなったら、月光仮面のような正義の味方になりたい。鶴田浩二の清水の次郎長は、僕と同じでたれ目でかっこ良かったです…と、授業で作文を読み上げる。

4年3組 山上次郎太(坂上二郎)、僕は家がないので、大きくなったらお屋敷のような大きな家を建てたい…と、授業で作文を読み上げる。

中学生時代

金一郎と次郎太は、好子ちゃんと言う女学生(生田悦子)が、札付きの不良たち(ナンセンストリオ)に絡まれている現場に行き会わせる。

好子ちゃんが好きな2人は何とかしてやろうと近づくが、何せ不良たちは、校長やPTA会長、市会議員等の息子等でうかつに手が出せない。

2人が動きあぐねていた時、通りかかったのは、「岩鉄」こと岩野鉄平先生(益田喜頓)だった。

岩鉄は、何をためらっておる!正義の味方になりたいんだろう?正しい事をやれ!と2人に檄を飛ばし、その言葉に勇気づけられた2人は、不良たちを追い払い、好子を救出する。

しかし、この事がきっかけで、岩野鉄平先生は学校を首になってしまう。

高校時代

近所のタバコ屋の看板娘ソメ子(水前寺清子)に恋した次郎太は、まだ高校生のくせにタバコを買いに行き、断られると、持って来た手紙を渡して帰る。

その直後、同じくソメ子が好きな金一郎もやって来て、この前の手紙呼んでくれた?と馴れ馴れしく聞いて来たので、ソメ子は、お返事上げましょうか?と微笑みかけ、今次郎太から受け取った手紙をそのまま渡してしまう。

喜んだ金一郎は、学校の裏手で読もうとする。

すると次郎太が近づいて来て、チャーシューメンをおごるから、俺にも聞かせてくれと頼む。

あなたの顔を見ないと、飯も咽を通らない…と、金一郎が読み始めた手紙のちょっと下品な内容を聞いていた次郎太は首を傾げ、手紙を奪い取り中味を確認すると、それはさっき自分がソメ子に渡したラブレターだったので、慌てて破り捨てる。

それから三月後のある秋のよるの事…

ソメ子は花嫁衣装を着て、町を去って行く。

それを物陰から見つめていた次郎太は、行っちゃったね、金ちゃん…。僕はもう生きて行くのが嫌になっちゃったと泣きながら、金ちゃんも泣いてるぜと言うが、鼻水が出ただけだよ。好きだったけど、僕たちは若いんだ。未来がある。その内、新しい恋人が出来るさ。泣き虫や弱虫は神様の恋人にはなれないんだ!と金一郎は負け惜しみのように言う。

タイトル

トラックの助手になっていた金一郎は、走行中のラジオから聞こえて来るチータの歌声に聞き惚れていた。

ところが、運転手長さん(田中邦衛)が、つまんねえやと言ってスイッチを消してしまったので、金一郎がまた付けようとすると、2人でスイッチのいじり合いになり、ラジオが壊れてしまう。

怒った運転手はトラックを停める。

夕べ、あんなにモテなかったからって…と金一郎が運転手に指摘すると、怒った運転手は、おめえみてえな奴と相乗りはしねえよ!首だ!と言い出し、金一郎が降りるとすぐに車を発車させてしまう。

金一郎は、金の入ったジャンパーを運転席に置きっぱなしだった事に気づき大声で叫ぶが、もうトラックは走り去ってしまい、戻って来る気配はなかった。

しかし、腹減ったな~と呟いた金一郎、ここはどこだろうと周囲を見回すが、そこは大浜町と言うかつて清水の次郎長にもちょっぴり住んでいた町だった。

旅行けば~、名題なるかな~東海道~♪

金一郎は、高校卒業から10年経っていた。

「来々軒」と言う屋台のラーメン屋で、金一郎は空腹を満たす為にラーメンを4杯も注文するが、さすがに女将の愛子(悠木千帆=樹木希林)は怪しみだし、あんた、金持ってないんじゃないの?と声をかける。

すると、金一郎は言い訳するでもなく、その場で着ていたセーターとジーンズを脱ぎ始め、それを唖然とする愛子に手渡すと、去って行こうとしたので、驚いた愛子は、あんた!と亭主を呼ぶ。

出て来た亭主と言うのは、山上次郎太だった。

たれ目が食い逃げした!と聞いて慌てるが、もう金一郎は立ち去っていた。

ランニングとパンツで町中をうろついていた金一郎に、その格好で何をしているんだ?と声をかけたのは、駅前の交番にいた警官(三遊亭歌奴)

金一郎は、とったに、後ろから走って来たマラソンの選手たちの中に紛れ、その場を立ちたる。

三遊亭歌奴そっくりのお巡りさん以外にも、この町内にはそっくりさんが何人もいた。

牧伸二のそっくりさんや中村是好のそっくりさん、EH・エリックのそっくりさん等々…

マラソン選手に紛れて走っていた金一郎は、そのまま銭湯「鶴亀湯」に入るが、そこの番台に座っていた娘を観て仰天する。

何と、高校時代に惚れていたあのソメ子そっくりだったので、ソメちゃん!ここにお嫁に来たのかと嬉しそうに声をかける。

ところが、その娘は不思議そうな顔をし、私は、ここの1人娘のきよ(水前寺清子-二役)と言うではないか。

金一郎はそっくりさんと言うことで驚いたようだったが、湯代32円要求されると、後から友人が金を持って来るからと言い、そのまま裸になって湯船に入ってしまう。

ところが一向にその友達とやらはやって来ず、金一郎は湯船に10時間も浸かりっぱなし。

銭湯でパンツを洗うのは止めて下さいと、三吉(佐藤蛾次郎)が注意しに行くと、これはパンツじゃなくて手ぬぐいなの!と金一郎は反論し、そのパンツで身体を洗い出す始末。

先頭の主人鶴田亀吉(伴淳三郎)も呆れてやって来ると、友達、本当に来るの?と金一郎に確認する。

そこに客としてやって来たのが次郎太で、脱衣所に亀吉がいるので訳を聞くと、妙な客が昼の3時から入っているので、追い出してよと言うではないか。

次郎太は、湯船に浸かっていた金一郎に、そこにいるたれ目!と呼びかかると、誰だ?ちっこい目!と金一郎も言い返して来るが、次郎太の顔を良く観ているに、タヌキの次郎ちゃん!と気づく。

次郎太の方も、いたちの金ちゃん!と気づき、懐かしいな~、10年振りだよと驚くと、背後であっけにとられて見守っていた亀吉に旧友なんだよと説明する。

懐かしさのあまり、服をまだ着たまま湯船の金一郎に近寄った次郎太は、金一郎に握手を求められ、そのまま湯船の中に落ちてしまう。

次郎太の家に招かれた金一郎は、次郎太の妻の愛子と、春子、夏江、秋夫、冬子と言う4人の子供たちと一緒に夕食をごちそうになるが、愛子は5人目の子供を妊っていた。

金一郎は、遠慮なくお代わりしようとするが、次郎太も愛子も聞こえない振りをする。

次郎太は金一郎を連れ、翌日、鶴亀湯のきよに、いつものように湯代の代わりとしてラーメンを二杯持って行く。

金一郎は次郎太に、きよがソメちゃんに似ているなと言いながら、屋台を引く手伝いをする。

次郎太は、愛子の奴、ソメちゃんにそっくりだたから結婚したんだなどと言うので、金一郎はあっけにとられる。

さたに、次郎太は、自分は子供の頃からまともな家に住んだ事がなく、防空壕に住んでいたので、愛子の奴も、私たちの城を持ちましょう。死にものぐるいでお金を貯めるのよ。ましてや友達付き合いなんてとんでもないと言っているなどと打ち明ける。

それで貯まったのかい?と金一郎が聞くと、小さな家を建てられるくらいなら…、でも土地がなかなか見つからないんだと次郎太は答える。

この辺なんか良いじゃないか?と金一郎が目の前の空地を指すと、ここは大五郎親分と言って、前の市会議員でこの町のボスの土地だと次郎太は教える。

次郎太の子供たちは、学校から帰って来るなりアルバイトに出かけ、一家総動員で頑張っているんだと次郎太の家を持つ夢への真剣さを知った金一郎は、自分も屋台の手伝いを積極的にしてやる事にする。

団地にやって来た屋台を前に、金一郎は、突然値下げを断行します!などと大声を上げ始めたので次郎太は驚くが、量を減らせば良いんだと耳打ちした金一郎の作戦は当たり、50食も売れる。

さらに、夜の部だ!と張り切って、飯場近くにやって来た金一郎だったが、何故か次郎太は、声を潜めるように注意する。

しかし、金一郎の呼びかけに気づいた大熊組の人夫たちが、近くのプレハブ小屋から大勢出て来て、次々にラーメンを注文して来る。

金一郎は喜ぶが、代表の男(車ダン吉)が、今日もツケといてくれ!等と言いだし、金一郎が次郎太に訳を聞くと、永久に終わらないツケなんだと…と、いつもこの手でやられている事を匂わすので、それじゃ、食い逃げじゃないか!と金一郎は怒りだす。

人夫たちと金一郎が言い合いを始めると、そこにやって来たのが、人夫たちのボスである大熊大五郎(内田良平)だった。

何ごとだと事情を聞いて来た大五郎に金一郎が説明すると、いくらこれまで食ったんだと言うので、次郎太が7000円くらいですと答えると、金一郎が9000円ですと上乗せして請求する。

大五郎は、1万円渡して釣りは取っとけよと気前の良い所を見せる。

大熊組の連中と別れた後、次郎太は金一郎に、親分は駅前の商店街を取り壊して、そこにスーパーを立てる計画があるらしいので人気取りしてるんだよと教える。

その時、引いていた屋台が何か踏んづけたようだぞと金一郎が地面を覗くと、そこには酔いつぶれた岩野鉄平がへたり込んでいた。

金一郎と次郎太は岩鉄先生!と呼び掛け、懐かしい恩師との再会を喜び、岩野の馴染みの「満月」と言う小料理屋に入る。

岩野は今、この町の役場の建築課に勤めていると言う。

仰げば~尊し~♪と3人は大声で歌いだすが、座敷で飲んでいた亀吉がうるさい!と怒鳴って来る。

岩野は、女房の保子は中学を辞職した後亡くなり、今は息子と2人暮らしなのだと言う。

その話を座敷で聞いていた亀吉は、俺も男やもめだぞ!と怒鳴って来る。

金一郎は、厳しい先生だったけど、自分は岩野の事を尊敬していたと打ち明けると、亀吉が、おい、耳が痛いだろ?日陰の椎茸みたいな顔して。金持ちの家はすぐ建てるからと口を挟んで来る。

実は、岩野も亀吉も、この店の女将磯田松代(中原早苗)がお目当てで足しげく通っているのだったが、肝心の松代は大熊大五郎の愛人のようになっており、その日も、来ていた大五郎が松代に見送られ二階から降りて来る。

大五郎が地元の顔だと知った金一郎は、翌日、大熊組に単身乗り込み、仁義を切って、自分を身内の1人に加えてくれと頼むが、奥から出て来た大五郎は、俺は親分じゃなくて、大熊久美社長だし、お前を雇うつもりはないときっぱり断る。

ところが、そこにやって来た大熊の妻とら(関千恵子)が、あんた!この匂い何さ?又どっかに女を作ったでしょう!夕べはどこに行ってたの?とワイシャツを持って追求し始めたので、夕べは、満月の横の道から入った所にある薬局で、スーパー建設の話をしてましたね。匂いは、その店でご新造さんの土産を選ぶ時にテストしてましたね?と金一郎が助け舟を出す。

大五郎は、この言葉に感謝するが、じゃあ、身内にして頂けますね?と金一郎が再度頼むと、嫌、それは…と言葉を濁す。

じゃあ、又話を「満月」の所に戻しますけど…と金一郎が脅かすと、大五郎、妻の手前、子分はダメだけど、社員にしてやると答えるしかなかった。

かくして夢が叶った金一郎だったが、朝は早くから起こされ、雑巾がけの下働きからやらされただけではなく、「満月」の手伝いまでやらされるはめになる。

泣きながらタマネギの皮を剥かされていた金一郎が、妾の世話係とはな~と嘆いていると、次郎長だって飯炊きだったことがあるんじゃない?と「満月」の従業員タマ子(山岸映子)が言う。

鉄平先生、好きだったら一緒になってくれないかねと金一郎が呟くと、亀吉さんの方が好きなのと言うので、どっちなんだ!とじれると、鉄平先生には純一君と言う農協に勤めている息子がいるでしょうと言う。

その純一(藤岡弘、)は、きよと外で会っていた。

きよは、父親の亀吉が新しい女と結婚する事に抵抗し、それを聞いていた純一は、心が狭いな、女って…と苦笑する。

すると、きよは、私だって、毎朝、毎晩、ラブレターが来るのよ。妬けない?と聞くので、焼き芋じゃないからと純一が笑うと、鈍感ね~と怒った紀代が、橋の欄干の上に腰掛けてミカンを食べていた純一の身体を押したので、ひっくり返った呪に地は橋から落ちそうになり、必死に橋にしがみつく。

「満月」にいた金一郎は、きよに恋人がいると言う話に驚いていたが、そこに亀吉がやって来たので、板前の格好で酒を注いでやりながら、その辺の事情を聞きだそうとする。

しかし、亀吉の方は、これ来てるのか?と二階に大五郎親分が来ているのかと松代に聞き、風呂屋に養子はなかなか来ないのよとぼやいたりする。

その時、タマ子が、親分の奥さんが来た!と知らせる。

驚いた金一郎は、二階の炬燵で西野スミ子(宮地晴子)といちゃついていた大五郎親分に大変だ!と知らせに行くが、音古賀は異変だと喚くのは殴り込みの時くらいだ!と叱られてしまう。

それで、冷静に、奥さんが来たんですと伝えると、今まで落ち着いていた大五郎親分が狼狽し、窓から外に逃げ出してしまう。

その場にあった服は、金一郎が窓から放り投げるが、ちょうど下を屋台を引いて来た次郎太の上に落ちる。

その直後、とらが二階の部屋にやって来るが、炬燵に入って肩を並べていたのは、スミ子と金一郎だったので拍子抜けする。

金一郎は、スミ子、見つかっちゃったよなどと、わざとらしく自分がスミ子の相手である芝居をする。

その頃、二階の屋根の上に一時避難していた大五郎親分は、下の次郎太に、ラーメン屋!はしご!と声をかけるが、梯子を持って来て屋根に立てかけた次郎太は、土地の件ですがね~、貸して頂けないでしょうかね~などと言いながら、わざと梯子を外してみせる。

分かった!貸してやるからと大五郎親分はやむなく答えるが、調子に乗った次郎太は、又、借地料の方もお安くお願いしますと言いながら、又梯子を外したりしたので、言う通りにしてやると大五郎親分は答えるしかなかった。

おスミ!などと親分の女に親しく呼びかけた金一郎の芝居を信じたとらは、私にお任せ!と自分が二人の仲を取り持ってやるつもりになる。

金一郎はスミ子から急に惚れられ、慌てて逃げ出すが、この時の機転が大五郎の危機を救ったと言うことで、若衆頭、代貸しに出世し、華やかに売り出したものの、急に格下になった八郎(小瀬朗)たちに、倒れている自転車を起こさせたり、横断歩道を渡る子供たちを助けたり、人の嫌な事をやれ!と号令をかけ、ドブ浚いまでやらせるので、たまりかねた子分衆は大五郎親分に何とかしてくれと泣きつく。

しかし、大五郎親分は、あいつをのさばらせておく方が何かと好都合だ。バカとハサミは使いようって言ってな、あいつがいると、うるさい奴等の目をそらせると言い含める。

そこへ、何も知らずに帰って来た金一郎、商店街の歳末大売り出しに催し物をやりませんか?グループサウンズなんてどうでしょう?タイガースくらい呼びましょう。舎弟のラーメン屋が事務所を知ってるんですと持ちかけて来たので、大五郎は会ってみようと答える。

そこに次郎太が入って来て、先輩がプロダクションをやっており、ナベ何とかプロとか言ってましたと言いだしたので、ナベプロと言えば超一流じゃないか!1ステージ100万とかとられるんじゃないのか?と大五郎が心配すると、いえ、確か、1ステージ10万~20万くらいって言ってましたと次郎太が言うので、良し決めた!本当に決めた!ラーメン屋頼んだぞ!と親分は喜ぶ。

次郎太の方も、家の借地代安くお願いしますと頼むと、ただにしてやる!と親分は答える。

早速、次郎太と金一郎は、その先輩のやっている事務所を訪ねるが、小さなその事務所の看板には「ナベシマプロダクション」と書かれていた。

次郎太が、部屋に1人だけいた先輩の鍋島(野末陳平)にタレントを頼みたいと用件を打ち明けると、ストリッパーなら色々いるよと鍋島は歓待する。

いや、わが町の歳末大売り出しの催しで女子供がいますからね…と次郎太が打ち明けると、じゃあ、剣劇行こう!などと鍋島は提案する。

しかし、次郎太が、GSを…と言い出し、しかも、タイガースを…、分かってます。ご無理でしょうが、そこを何とか…と頭を下げると、鍋島は、高いよ…と答える。

そこを何とか…、ちょっと花を添えてもらうだけで良いんで…、ギャラは20万出しますと次郎太が値段を口にすると、急に、引き受けましょう!と安請け合いしだした鍋島は、前金10万もらうよ。年内のスケジールはつまっているんでねと言うと、その場から、NHKに電話を入れ、ナベプロです。タイガースの年末のスケジュールキャンセルして下さい。違約金100万?払いましょうと伝える。

同じようにTBSにも電話を入れ、コント55号世話するからと言い、年末のスケジュールを全部空けさす。

かくして、町内には歳末大売り出しの催しを告げるチンドン屋が練り歩き、今人気絶頂のタイガースが町にやって来ると言うので、町中大騒ぎになる。

ショーの当日、タイガースに憧れるタマ子も三吉と一緒に、早くから会場に詰め掛けていた。

商店街の中村是好やエリックのそっくりさんは、この評判振りにダイゴロウ親分に感謝する。

駅前交番の巡査は、警備は万全です!万一ファンが騒ぎだしたら、騒乱罪を適用しますなどと大五郎に言いに来る。

いよいよ催し物が始まり、次郎太がステージ中央のマイクの前に立ち、「歌のグランドショー」!まずは町内の有志による「そっくりショー」をお贈りしますと挨拶をするが、女性客たちは早くタイガースを!と興奮状態だった。

トップバッターを飾るは、水前寺清子そっくりな鶴亀湯のきよで、曲は「三百六十五歩のマーチ」!と次郎太が紹介すると、細身のスーツ姿のきよがマイクの前に立ち歌い始める。

客席では、それを父親の亀吉と松代も、嬉しそうに見守っていた。

しかし、舞台裏では、大熊組の子分たちが、タイガースがまだ来ないとやきもきしていた。

金一郎は、駅に行ってみて来ると出て行く。

舞台では、牧伸二や三木のり平の物まねショーが続いていたが、客席のタマ子は、あ~切ない!私、失神しそう!と悶えていた。

大五郎の元には、あんた、ジュリー来た?ととらまで様子を見に来る。

そんな中、金一郎が舞台裏に連れて来たのは鍋島と奇妙な3人男で、どう見ても、5人グループのタイガースではなかった。

なかなかタイガースが登場しないので、客席は騒がしくなっていた。

そんな中、今度は着流し姿のきよが歌を披露する。

そのきよに客席から声援を送っていたのは純一だった。

舞台裏では、鍋島が、ジュリーのは「ザ・タイガース」、うちのはただの「タイガース」、ちゃんと契約書もあるよと言い、山上次郎太のサインがある書類を取り出し、後金10万!日檄と国際劇場のキャンセル料だけで700万よなどと請求して来る。

その話を聞いていた大五郎親分は、とんでもない事しやがって!この始末、どうしてくれるんだ!と次郎太と金一郎に詰め寄る。

やがて、舞台が暗くなり、「オ~プリ~ズ♪」とタイガースの「君だけの愛を」が流れ出したので、客席は一気に盛り上がる。

舞台には暗いながら5人組が立って演奏しているようだったが、マイクを握っているジュリーを始め、メンバーたちの顔ははっきり見えなかった。

照明がめまぐるしく色変化し、ストロボ照明のような状態だったからだ。

タマ子たち女性客たちはステージに駆け寄り、ジュリーの足を引っ張り始める。

その時、ステージの人物をはっきり見せない為にライトのカラーフィルターを懸命に回していた照明係が、回し過ぎて、フィルターが取れてしまう。

とたんに、ステージ上にはっきり照明が当たってしまい、ボーカルを担当していたのは金一郎で、リードギターを弾いていたのは次郎太だと言うことが丸見えになってしまう。

音楽と声はレコードをそのまま流していただけだったのだ。

タマ子は、金ちゃん!と驚き、私たちのジュリーが冒涜されました!タイガースが汚されました!と叫び、女性客たちは怒り、金一郎をもみくちゃにしてしまう。

女って奴は怖いね~…(浪曲師チータの声)

でも、その結果、次郎太は念願の土地を手に入れ、家を建築することができるようになったので、感激して男泣きをしていた。

愛子は、家を作っている大工たちに、おやつとしてラーメンばかり出すので飽きられて来た。

そこに、金一郎が八郎に祝い酒を持たせてやって来て、でけえ方は社長からだと次郎太に伝える。

八郎は、おめえもこれで親分に足を向けて寝られないな。そこで、一つやってもらいたいことがある。スーパーを建てる時、妙なことを言う奴がいるので、その黒い噂のもみ消しだと頼む。

その頃、市役所の建築課には、亀吉や中村是好、そしてエリックのそっくりさんが押し掛け、岩野相手に、スーパー建設の黒い噂に付いてあれこれ質問していたが、億から近づいて来た上司(南洲太郎)が、今日の所は帰ってもらえとやんわり、岩野の応対に注意する。

こうした噂を払拭するため、大五郎親分は商店街の店主たちを熱海旅行へ連れて行く事にする。

店主たちと一緒に風呂に入った大五郎親分は、今夜は芸者でもあげて、ぱーっとやりましょう!と盛り上げる。

その頃、鶴亀湯の裏手で純一と会っていたきよは、どうも今度のスーパーの話は臭い。今の商店街の店主は追い出されて、スーパーには東京の店が入るらしい。君の父さんは、土地の値段を吊り上げたくて、建設に反対していると言う噂が出ていると聞かされていた。

きよもしゃくに触り、鉄平おじさんもね、「満月」のお酒、いくら飲んでもただなんですって!と聞いた噂を教える。

きよの勢いに押された純一は、乗っていた停めた自転車から落ち、壁にぶつかってしまう。

熱海ではその夜、大宴会が行われ、そのドンチャン騒ぎの中で、次郎太は、東名堂の主人(中村是好)やエリックらに、土地の売り渡し証書に拇印を押させて廻る。

金一郎も亀吉に拇印を押させようとするが、亀吉は、俺は戦争中から煙突番をしていたんだ!その手に乗らないぞ!と抵抗したので、俺がいつあんたを脅した?と金一郎も切れる。

亀吉は、このでべそ!と風呂場で観た金一郎の事をからかう。

そんな亀吉の様子を観ていた大五郎親分は、亀吉を連れ出し、とある一室に押し込む。

そこには何故か松代が来ていた。

お座んなさいよ、亀さんと松代が声をかけると、そう言うからくりか…と亀吉は呟く。

熱海にいっぺん来てみたいと前から言ってたの、亀さんじゃないと松代はなだめるが、大五郎がお膳立てした権利書にハンコを押させる色仕掛け作戦だと思い込んでいる亀吉は、人をコケにしやがって!餌でやって来るお前もお前だ!と、そんな松代の言葉も真に受けなかった。

私は弱い女だから、親分にでもすがらないと水商売からなかなか抜け出せなかったのよ。でも、嫌いな人の元に来る訳ないじゃない!と松代も言い返したので、そう言う事なら話し合いましょうと亀吉も皮肉るが、いつまでもそうやって意地はってなさい!と言い残し、松代は部屋から出て行ってしまう。

その頃、いつものように酔って自宅に帰って来た岩野に息子の純一が、毎晩毎晩飲んでちゃ、身体に毒だぜ。そう毎晩飲む金が良く続くな〜…、本当の事が知りたいんだ、父さん!と話かけるが、岩野は何も答えず蒲団に入ってしまう。

父さんは昔、信念を貫いて学校を辞めた人じゃないか!と純一が食い下がると、昔の話は止めろ!と岩野は答える。

失望だな…と純一が言うと、親に向かって失望とは何だ!貴様に俺の気持ちが分かるか!40過ぎて、田舎の町役場に拾ってもらった俺に稼げるかどうか考えてみろ。俺は自分に愛想を尽かしているんだ。出て行け!と岩野が怒鳴りつけたので、こんな時間に出なくても、明日ゆっくり出て行くよ純一は哀し気に答える。

翌朝、「来々大飯店」の建築現場にやって来た純一は、鶴亀湯のきよちゃんが来たら渡して下さいと言い、その場にいた愛子に一通の手紙を託して出かけて行く。

そこにやって来た次郎太と愛子は、封筒の中味が読みたいな…と好奇心を出し、湯気で封筒を開けると、中に入っていたきよ宛の手紙を読みだす。

そこには、新しく出来るスーパーは、大熊組が役場を抱き込んで、東京の大手を中に入れるつもりだと書かれてあったので、それを読んだ次郎太は、こんな事が知れたら大熊組はいっぺんに潰されてしまうよ!と慌て、愛子も、私はこの家でこの子を産んでやる!と大きなお腹を擦りながら呟くと、躊躇する事なくその手紙をその場で燃やしてしまう。

その頃、大熊組では、鶴亀湯の亀吉から土地の承諾書を必ず貰い受けて来ると約束した金一郎が事務所を出ようとしていた。

そんな金一郎に、とらが火打石で切り火を切ってやっていた。

鶴亀湯にやって来た金一郎は、承諾書にサインをもらうまでここをてこでも動かないと言い出し、脱衣所に大の字に寝っころがる。

それでも亀吉が承知しない事を悟った金一郎は、おめえん所の煙突に登ってやるからな!と言いだすと、裏手に出て本当に煙突をよじ上りだす。

これには三吉もきよも驚き、ことの成り行きを下から見上げるが、亀吉は相手にしない。

煙突の上にまで登った金一郎は、集まって来た野次馬に対し、高い所から失礼します!頑固親父がただ1人、スーパー建設に反対しています。この親父は町の癌です!頑固親父!と叫びだす。

それを聞いていた三吉など、しかし、頑張ってるな〜と感心するほど。

駆けつけて来た次郎太も、金ちゃん、かっこ良い!と声をかける。

そうした応援の声に勇気づけられたのか、金一郎は、これよりハンストに突入します!と宣言する。

頑張ってくれよ!亀さん、おまわり呼んで来るなんて言ってるから気を付けて!と次郎太が声をかけると、おまわりなんか何するもの、来たら、オシッコかけちゃう!などと金一郎は答える。

そんな中、亀吉は冷静に、火をつけろと三吉に命じる。

三吉は躊躇するが、やむなく焚き口に火を点ける。

やがて、煙突から煙が出始めたので、観ていた野次馬たちは、人間バーベキューになっちゃうよ!と騒ぎだす。

金一郎も煙と熱には勝てず、裏に積んであったおがくずの山の上に落下してしまう。

煤で汚れた金一郎の顔を松代が拭いてやっていると、近寄って来た次郎太は、金ちゃんのお陰でうちの来々軒も無事完成したよと感謝する。

そんな騒動を野次馬に混じって観ていた岩野は、これも俺の責任か…、俺がバカなばかりに…と呟くと、もう俺は我慢できん!みんな吐き出しちまう。告白しなくちゃならないことがあるんだと野次馬たちに話しだす。

それを聞いた次郎太は慌て、それは言わない方が良いです!と岩野をなだめ、酒を勧めようとする。

しかし岩野は、みんな親分に騙されているんだ!利用されているんだ!スーパーはインチキだ!東京から大きな資本が入って、今の店主たちは追い出されてしまうんだ!それを俺は、わずかな金と「満月」のただ酒で今まで目をつぶって来たんだ!と全部吐露してしまう。

それを聞いた次郎太は、これで何もかもダメだ!と嘆いたので、横で聞いていた金一郎は驚き、この野郎!お前、何もかも知っているな!それでも黙って人が煙突登るのを観てたんだな!と次郎太に怒鳴りつけ、自分が良ければ町がどうなっても良いのか!と殴りつける。

その頃、エリックのそっくりさんの洋品店「ロンドン」では、八郎等、大熊組の連中が店を取り壊し始めていた。

主人は、ここを壊されたらどこに住めば良いんだ!と抗議するが、側にいた大五郎親分は、先日熱海で強引に拇印を押させた承諾書を出してみせる。

店主は警察を呼ぶぞ!と抵抗するが、そこに、止めろ!止めてくれ!と言いながら駆けつけて来たのは金一郎だった。

そして、大五郎に、逆縁ながら、お諌めします!と金一郎は頼むが、ここは一旦盃を受けたら、黒と言われたら黒と言う世界だ!と言われてしまう。

金一郎は、そこに集まっていた町の一太刀に、スーパーはインチキだ!大資本が入って来るんだ!と叫ぶが、皆さん、こんな流れ者の言葉なんか信じられますか?と大五郎は笑う。

金一郎は、証人がいるんだ!と声を挙げるが、駆けつけて来た次郎太は、ただの噂に過ぎませんと必死に否定しようとする。

金一郎は、そんな次郎太の妨害を無視し、その証人の名は岩野鉄平!正しいと思った事はどこまでもやる人だ!と叫ぶと、岩野は、10年間賄賂を受け取って来たわしが言うんだ!金一郎、久しぶりに暴れるか?今、役場に辞表を出して来た!と応じると、飛びかかって来た大熊組の連中と喧嘩を始める。

そんな中、次郎太も、いつの間にか覆面をかぶり、どさくさに紛れて2人を援護し始める。

やがて、パトカーが到着する。

翌日、町を守った師弟愛と題され、金一郎と岩野の武勇伝が載る。

一方、大熊組が解散したため、金をもらっていないと言い、「来々軒」の新築現場では、大工たちが出来かかっていた家を取り壊し始める。

それを目撃した愛子はショックのあまりその場で産気づく。

生まれそうなのよ〜としゃがみ込んだ愛子を前に、よりによってこんな時に〜!と次郎太は嘆き、自分も気絶してしまう。

次郎太は、又チャルメラを吹いて屋台を引く元の姿に戻っていた。

しかし、大五郎親分に取り入っていた次郎太のラーメンを頼むものはありませんでした。

金一郎と2人寂しく屋台で待っていた次郎太の元にやって来たのはきよだった。

最近、風呂代の代わりに持って来てくれないじゃないと明るく笑いかけ、ラーメンを注文するきよに、次郎太は、愛子は家を壊されたショックで寝込んでしまったと言い、金一郎は、人の倍やれ、5倍やれ、そうしないと神様の恋人になれないんだとぼやく。

そこに帰って来たのが純一だった。

似た者同士だね〜俺たち、良いコンビだと思わないか?と金一郎は次郎太に話しかけ、俺、きよちゃんの親父さんから入り婿に来ないかって誘われているんだと打ち明けるが、それを聞いた次郎太は、言い難いな〜…、きよちゃんと純一君は恋人なんだよ…と打ち明け、出来上がった2杯のラーメンをきよと純一に手渡す。

金一郎はその話にショックを受けるが、きよからも、私と純ちゃんの事を落ちの親父に話してOKさせて欲しいんだ。うちには松代さんがいるじゃない?と言われると、引き受けましょう!と答えるしかなかった。

それを見ていた次郎太は、男の中の男だ!と褒めるが、金一郎は、男って辛えな〜…と呟く。

かくして、松代が亀吉の後妻になり、鶴亀湯の番台に座ることになる。

金一郎と次郎太は、東京に出るきよと純一を駅のホームに見送りに来ていた。

金一郎は、きよと純一を乗せ走り出した列車を見送りながら、男って辛えや…と又呟いていた。

男なら〜男なら〜未練残すな〜男じゃないか♪

その後県道に1人やって来た金一郎はヒッチハイクの車を停めようとしていた。

それを見送りに来ていた次郎太は、金ちゃん、どうしても行ってしまうのかい?と寂しそうに問いかける。

金一郎は、俺には新しい世界が必要なんだと答える。

その時、一台のトラックが停まってくれる。

乗るのか乗らねえのかはっきりしろ!と運転席から声をかけて来たのは、金一郎を置き去りにしたあの長さんだった。

喜んで金一郎が乗り込み、トッラクが走り出すと、金一郎はオ〜イ!たぬき〜!と窓から手を降る。

次郎太の方も手を振って遠ざかって行くトラックを見送る。

長さんは、ラジオを付けると、そこから流れて来たチータの歌を聞き、やっぱりチータの歌って良いやなと笑う。

そして、あの町で何まごまごやってやがったんだ?と聞いて来たので、長さんこそ、何やってたんだ?俺だってこんな車を待ってた訳じゃないんだと助手席の金一郎も笑いかけると、うぬぼれるな!と長さんは叱る。

俺が浮かべば〜あいつが沈む〜♪と金一郎はラジオから流れて来るチータの唄に合わせて歌いだす。

浪曲師姿のチータが舞台で歌っている。

雨か嵐か…、金ちゃん、次郎さんの運命やいかに!

想い通りに行かぬから、愉快なんだよ人生は〜♪

題して「神様の恋人」!ちょうど時間となりました〜

まずはこれまで!

かっこ良い!