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東京の人さようなら

コロムビア所属だった歌手、島倉千代子さんの初主演映画。

上映時間60分程度の中編で、島倉さんが劇中で何曲も歌を歌うシーンがある歌謡映画になっている。

内容自体は、シンプルなアイドル映画風初恋物語のように見えるが、大島と言う大自然を背景に、あんこたちの服装や、新造船に舟霊を入れる儀式や山の上の神社を神主が拝みに行くと言う風な地方独特の風習が興味深く描かれている。

又、椿油の工場の様子を紹介したりと言う宣伝様子も含まれている。

島倉千代子さんのお相手役は、美貌の歌手でもあり、この当時のアイドル映画の常連山田真二で、そのライバル的な立ち位置を演じているのは、こちらも甘いマスクの石原忠。

石原忠とは、この後、本多猪四郎監督の特撮作品の常連になる佐原健二である。

どうやら、石原忠と名乗っていたのは1955年から1956年9月頃までで、10月公開の「殉愛」と言う円谷英二が参加している作品から佐原健二になった模様。

続く1956年12月公開の本多猪四郎監督作品「空の大怪獣 ラドン」での主演も佐原健二名義である。

デビュー当時の島倉さんはさすがに若々しくきれいである。

しかも、声はきれいで歌もうまいので、あっという間に人気歌手になったのも頷ける。

演技は特に巧い訳ではないが、かと言って素人丸出し、セリフ棒読み…と言った感じでもなく、他の新人、石原忠や山田真二の芝居とそんなに違いはないように見える。

監督が、島倉さんの自然な演技を巧みに引き出した結果なのだろう。

根強く封建的な考え方が残る島の娘と東京の坊ちゃんの禁断の愛…と言えば、「伊豆の踊子」辺りを連想するが、この作品の発想も案外その辺から来たのかもしれない。

文芸作品ほど深みがあるとは言えないが、誠実な青春ドラマにはなっている。

脚本も本多猪四郎監督自ら書かれているようなので、監督ご自身の人柄的なものが投影されている気がする。

劇中で、千代が暗唱してみせる詩の一節は、誰の何と言う作品なのか、ちょっと聞き漏らしたが、「津軽」のしの?とか何とか言っていたような気がする。

東北山形出身の本多監督らしい作品選択のような気がする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1956年、東宝、本多猪四郎脚本+監督作品。

キャンバス地にコンテで描いたイラストを背景にタイトル

椿咲く頃~♪

千代(島倉千代子)ら大島の娘(あんこ)たちが、山の掃き掃除をしながら歌っている。

そこにやって来た島の大崎巡査(佐田豊)が、学生を観なかったか?東京の学生だがと聞いたので、娘たちは事情を聞く。

朝の汽船で来ると言っていたそうだが、姿が見えないので、遺書がある訳ではないが、自殺でもするんじゃないかと心配していると言う。

その学生は東京の大店の息子で、竜っあんの所に来る予定だったのだと言う。

そこに、昼の便が到着した汽笛が聞こえたので、あれに乗っているのではないか

三原山と言えば自殺の名所だからな…と言いながら、大崎巡査は三原山に行ってみる事にする。

それを見送った娘たちは、竜っあんの所に来る学生と言ったら、お千代の知っている信ちゃんと言う男の子じゃないのか?と娘たちは噂する。

千代は、あの信ちゃんが大学生のはずはないと否定するが、ニシより2、3つ下だったけど、そのニシがそろそろ嫁の話があるくれえだから、信ちゃんが大学生になってもおかしくないと、他の娘たちは知っている娘を例に言う。

港では、猟師の元村竜吉(大山健二)が、大野信一さんいませんか~?と、昼の連絡便から降りる客に呼びかけていたが、誰も応えるものはいなかった。

そこに、竜吉 の小学生になる息子の良吉(伊東隆)が、火口から電話だって!と知らせに来る。

電話は、三原山頂上の観測所からで、観測人(榊田敬二)が、今日1番に登って来た人の中にいたかもしれないと言うので、竜吉 は、とにかく探してみてくれ。今年身体を壊して、受験を1年伸ばしたらしいので…と頼む。

その電話の話を観測所の外で聞いていた見物客が双眼鏡を覗くと、河口付近に人影が見えたので、あれがそうじゃないかと騒ぎだす。

山から降りてきたあんこたちは、妻かね(三田照子)と良吉が乗った馬を引いて帰って来た竜吉と遭遇したので、千代が大学生と言うのは信ちゃんの事か?と聞くと、東京の坊ちゃんさ。お千代と良く遊んだろうとかねが答える。

竜吉は、家で待つしか仕方ないと言い、家に戻る。

他のあんこたちは竜吉家族と別れて、それぞれの家に帰って行く。

竜吉の家の近くの分家の娘である千代は、竜吉たちと一緒に竜吉の家にやって来るが、縁側に見慣れぬリュックが置いてあるのを発見、来てるでねえか!と驚き安堵する。

竜吉は、すぐに駐在に知らせて来いと良吉に命じ、かねも、ついでに酒も買って来いと頼む。

海にでも行ってるんだろう。探しに行ってみろと言われた千代だが、恥ずかしいもんと頬をあからめるので、生け簀に行って魚を持って来てくれ。それから、お父に今晩来るように言ってくれとかねは頼む。

とびとび飛んだ~♪と歌いながら生け簀に向かう千代の歌声を、海近くの岩場の上で寝転がって聞いた大野信一(山田真二)は、ピーヒョロピーヒョロ♪と続きの部分を歌ってみる。

千代の方も、生け簀で魚をタモで捕まえた直後、遠くの岩場の上にいる信一に気づくが、急に恥ずかしくなって逃げるように帰る。

バカね、どうして逃げるの?おかしいぞ、おかしいぞ。悪いよ、覗いたりしちゃあ…と、千代は、気になる信一が戻って来るのをちらり振り返りながら心で考えていた。

元村家のかねの所に魚を届けた千代は、坊ちゃん、見かけんかったか?と聞かれるが、知らん!探しとらんもん…と噓を答えながらも、大丈夫よ、信ちゃん、死んどらんもんと言うと、自宅に帰ろうとする。

すぐに手伝いに来てくれよとかねに頼まれ、元村家を出た千代だったが、ちょうど帰って来た信一の姿に気づくと、又慌てたように逃げ帰る。

帰って来た信一に竜吉は、信一の父親から資金提供を受けて購入した30トンの船の写真を披露し、これまでは島の船が小さかったので、魚をみんな他所の船に持って行かれたけど、これからは大丈夫だと感謝していた。

そこに大崎巡査がやって来たので、竜吉は、心配して火口の方に手配してもらっただと信一に教える。

自分の事で迷惑をかけたと知った信一は、あんまり天気が良かったから山に登ったんですと説明する。

しかし、大崎巡査は笑いながら、お陰で2人助けることができたと、けがの功名があった事を知らせる。

茶のお代わりを頼んだ大崎巡査に、かねは、今、おかんがつくでと酒を勧める。

大崎巡査は辞退しようとするが、竜吉にも勧められたので、そのまま居座ってごちそうになる事にする。

そこに、千代の父親で分家の源助(上田吉二郎)が、繋ぎ用にと言って酒とっくりと重箱を持ってやって来る。

信一は、分家のおじさんでしょう?と幼い頃から知っていると挨拶をし、源助の方も、この度はお父様にご尽力いただきまして…と礼を言う。

うちのお千代も17だからな…と源助は懐かしそうに話す。

その頃、千代は母親のなつ(本間文子)から、家には男の子がいないから、お前に早く身を固めてもらわないと…と縁談の話がある事を打ち明けていた。

しかし、いきなりそんな話を聞かされた千代はショックを受け、良吉が、早く手伝えってと呼びに来ても、私、行きたくないと言い出す。

そんなわがまま言うて…となつは叱るが、だって、そんな話急にして…、信ちゃんと仲良くなったらいかん言うやろ?きっとそうやろ!と千代が泣き出してしまったので、なつは困惑し、良吉に、千代は腹が痛くなったで、直ったら行くでと言い聞かし、料理の入れた重箱を託す。

なつは、泣いている千代に、誰を好きになっても良いんやけど、間違いがあったらいかんからなとなだめる。

その夜、竜吉の家では、船員の甚太郎(石原忠=佐原健二)もやって来て、信一の歓迎会を開き、大崎巡査が踊りを披露していた。

千代が来ない事を知った源助は、恥ずかしがっとるなと苦笑する。

翌日

母と眺めて三原山~♪と歌いながら外で働いていた千代は、昼のサイレンが聞こえたので、弁当を食べる為に、その場に座る。

そこにやって来たのが信一で、君、分家の千代ちゃんだろ?僕の事、覚えてない?と話かけて来る。

夕べ来なかったので寂しかったよと言うので、恥ずかしいのと感激で胸が一杯になったからか、あまりおなかが空いてないので弁当が食べられないから…と言い、一緒におむすびを信一と分けて食べる事にする。

あんまり信ちゃん、変わったんだもの…と千代が恥ずかし気に言うと、さっき道で聞いたけど、すぐに君だと分かったよと信一は言い、おむすびを食べながら、思い出すな~…、昔、おじさんやおばさんが働いていると、おばあちゃんが昼になるとお弁当を持って来てくれたね。2人がおかずだれ食べてお父さんに怒られた事あったなどと思い出話をする。

さらに信一は、身体を悪くして浪人さ。このなつはゆっくり静養して、来年は頑張ろうと思ってねと説明する。

千代は、信一が観ている前で、午後の畑仕事を始める。

仕事が終わり、一緒に帰る道すがら、信一は、お墓によって行きたい。君のおばあちゃんの墓参りをしたいんだ。随分可愛がってもらったからねと言い出し、道ばたに咲いていた花を摘んで、2人で墓参りをする。

その後、新造船の舟霊様に供える供物の準備を竜吉は自宅で始める。

竜吉は千代に、お前のきれいな髪を入れると船の神様になるんだと説明する。

母親のなつも、あの話、もう返事をしてもらわねえと。父ちゃんは船主だし、甚太郎さんは一等運転手だから。それに甚太郎さんは、2年でも3年でも待つと言ってるんだ。舟霊様は船に一番近い人の髪を入れなきゃいかんでなと説得する。

しかし、一方的な結婚話に納得出来ない千代は、家を飛び出して泣き出す。

海辺に来て泣き崩れる千代。

同じ海辺では子供たちが遊んでおり、信一も文庫本を読みながら海を見ていた。

そして、本を読みながら家路につく信一の姿を、千代は遠目に目撃していた。

後日、千代の断髪式が行われることになり、神社に、源助、なつ夫婦、竜吉、かね夫婦、甚太郎、良吉、信一らが揃って神社にやって来る。

神主が儀式を始めると、良吉が隣に座っていた信一に、甚太郎な、お千代の婿になるんだってとこっそり打ち明ける。

源助が甚太郎に、ハサミで切る真似をして店、その指示に従い、甚太郎は千代の長い髪の一部を切る。

これで、夫婦になったかのような錯覚に陥った千代は泣き出す。

その後、一行は新造船の所へ来ると、髪の毛を入れた舟霊様を船の船室の一部にご本尊としてはめ込み、その上に小さな神棚を設置する。

その後、一行は、甲板の上で祝の宴を始める。

源助は嬉しそうに、将来婿になる甚太郎に酒を勧めるが、その間に座らされた千代は無言のままだった。

後日、浜辺にいた信一の所に走ってやって来た千代は、生け簀の所から夢中で走って来たので苦しいなどと言う。

あそこにおじさんもおばさんもいるんだろう?悪いよと信一は、千代が仕事をさぼって勝手に抜け出して来た事を注意するが、千代はわざと、みんなの観ている前で信ちゃんの所に来た。私、噓ついたり、我慢するの嫌いだもんと言い訳しながらも、信ちゃんに悪かった?と信一のことを気遣う。

信一は、僕は小さい頃からお千代ちゃんの事が好きだったんだと告白すると、舟霊の事気にしないでねと千代は頼む。

僕だって、あの船には大漁になって欲しいと信一は答える。

ねえ、本を読んだのと甘えたように話しかけた千代は、草原に寝転んで、読んだ詩を暗誦して見せる。

「まだ夏も来ていないのに クリスマスなんて 気の早い話だけれど…

クリスマスのプレゼント 何をと考えました。

しのはね、クリスマスの晩には、しののたった一つのものを差し上げます…」(※作者、作品名とも分からず、詩の文言も正確かどうか自信なし)

そんな2人の横を通りかかった源助たちが、そこの2人、そろそろお昼だぞ~!と声をかけて家に戻って行く。

ある日、竜吉の家で勉強していた信一の所にやって来た良吉が、お千代が、椿油の会社をやっている港のおじさんの所へ手伝いに行ったので、宜しくって言ってたよと伝えに来る。

その頃、港に向かうバスに母のなつと一緒に乗っていた千代の表情は暗かった。

信一の方も、部屋の中で想いに耽っていた。

三原山の上にある三原大明神にやって来た神主が祈りを捧げる。

信一は椿油の会社で働いていた千代に会いに来て、明日の島のお祭りを観に東京からおふくろが来ると伝える。

信一は工場主から椿油を精製する過程を見学させてもらう。

その後、千代は信一に、お父さんがうるさく言うんですもの。どうして私たち仲良くしちゃいけないのかしら?子供の頃みたいに、黙って観ていてくれたら良いのに…と、互いの距離を遠ざけられた事への不満を漏らす。

それに対し信一は、だんだん僕たちも大人になって行くんだよ。今度一緒に良く考えてみようよと、明日の祭りは一旦帰宅すると言う千代を諭す。

翌日、大島の祭りを観に、信一の母親のぶ子(東郷晴子)と妹敏子(八島恵子)、そして親戚の娘幸子(香川悠子)が連絡船で到着したので、それを信一が出迎える。

信一たちは、千代が乗っていたバスを追い抜いて先に元村竜吉の家に向かう。

帰宅した千代は、家に甚太郎が来ていたので、ちょっと戸惑いながら、信ちゃんの所におじさんから届け物を預かって来たので行って来ると母のなつに伝えると、甚太郎の手前、今行かなくても…と止めようとするなつを無視して出かけてしまう。

なつは甚太郎に詫びるが、朗らかで良いじゃないですか。僕はあんな所が好きなんですよと甚太郎は笑ってみせる。

元村家の縁側では、信一が母や妹と記念写真を撮ろうとしていたので、やって来た千代はちょっと遠慮しようとするが、信一に一緒に中に加わるように進められ、妹たちと一緒に写真に納まることになる。

その後、信一から大島千代さんと紹介された千代は、信一から母親ののぶ子、妹の敏子、お友達の夢園幸子さんと紹介される。

千代は、お客さんが来てますからと、止めようとする信一に断ってすぐに帰って行く。

その後、敏子は、幸子姉さんと一緒に記念写真を撮り始める。

帰宅した千代は、甚太郎が既に帰ってしまった事を知るが、母のなつから、幸子と言う娘は、行く行く、信一のお嫁になるんだと。だから、今は、信一の家が彼女の学費を出してやっているんだってと聞かされショックを受ける。

だから信一の事を好きになってはいけないのだと言い聞かすなつに、だって、信ちゃん、島に来ちゃったんだもの…と千代はすねる。

まだ約束した訳じゃないだろう?となつが聞くと、だって、信ちゃん、私を好きだって言ったよと千代が答えると、だったらどうして、あのお嬢さんの事を黙っとったの?となつは問いかける。

だから悔しいのよ!と千代は泣き出し、娘を哀れんだなつも、男なんて、その時々で巧い事を言って…と言い、もらい泣きをする。

人を騙す方も悪いけど、騙された方も悪いって言うんだもの。決して人を恨むんじゃないよとなつは千代に言い聞かす。

翌日は、三原大明神の祭りの日だった。

祭り見学に母や妹と一緒にやって来た信一は、その場にいたあんこたちに、お千代ちゃんはいませんか?と聞くが、いないので、剣流会に穴が空くもの…と困っている様子だった。

信一は千代の姿を人ごみの中で探しまわる。

千代は、境内の石灯籠の陰に身を潜めていたが、それに気づいた良吉が、お千代、何してるんだ?と話しかけ、手を引いて舞台の方へ連れて行こうとする。

しかし千代は、だめ!今日は歌えないの!と抵抗する。

信一も、演芸を披露するステージの所へやって来る。

その舞台に無理矢理上げられた千代は、司会者から、これから歌謡曲をコロンビアのリズムエアーズの演奏で歌うのは、我らの誇り、島のうぐいす、大島千代さん!曲は「東京の人さようなら」!と紹介されてしまう。

仕方なく、千代はマイクの前に立ち、哀し気な顔のまま歌を歌いだす。

観客席の中には甚太郎もいた。

信一もその曲を客席で聞き終わると、立ち上がって海岸へと向かう。

歌い終わった千代は、舞台から降りると、泣きながら海岸に来ていた。

いつしか履いていた下駄を脱ぎ捨て、白足袋で砂浜を歩く千代。

そして、砂浜に腰を降ろした千代は1人寂し気に海を眺め始める。

そこに、千代ちゃん!と呼びかけて近づいて来た信一は、君は、何か誤解しているんだと話しかける。

そんな事ないとすねる千代に、じゃあ何故、昨日の夕方から僕に会おうとしないんだい?二人で話し合おうと約束したのに…。誰かに幸子さんの事を聞いたんだね?幸子さんはあの通りきれいだし、頭も良い。だから僕の母も気に入っているんだ。

でも、僕も気持ちは千代ちゃんが一番良く知っていると信一は言う。

それでも千代は、私、きれいじゃないし、頭も良くないわ…とすねる。

僕たちは青い果物だ。もっと熟さないと結婚なんて出来ない。僕はこれから大学に入らないといけないんだ。もし千代ちゃんが、僕が社会人になるまで待っていてくれるんだったら、その時はきっと結婚するよ。それまでは、子供の頃のように友達でいようよと信一は言い聞かす。

それを聞いた千代は、私はそれだけで良いんです。例え結婚出来なくても。信ちゃんが私の事を好きだと言ってくれただけで良いのと答え、明るい顔になる。

汽笛が鳴り、信一と母親たち一家が連絡船で帰る日がやって来る。

来年もきっと来てね!と波止場で良吉が呼びかける。

きっと来るよ!と信一が答える。

千代は、波止場から離れて行く連絡船をいつまでも見送っていた。

私、待つわ…、きっと待ってみせる!そう自分に言い聞かせた千代は、思い切り、船に向かって手を振る。

そんな千代の様子をちょっと寂し気に背後から見つめる甚太郎の肩に、そっと慰めるように源助が手を置く。