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女囚701号 さそり

篠原とおるの青年コミックが原作の実写化作品。

青年コミックが流行りだし、その実写化が増え始めた頃の作品である。

勝プロの「子連れ狼」シリーズ(1972~)、東宝の「修羅雪姫」(1973)、日活の「嗚呼!!花の応援団」(1976)など、ヒット作が次々と生まれた時期を代表する一本。

映画人口の激減で、二本立てプログラムピクチャーの量産が各映画会社を経営的に苦しめ、チープな作品を連発するしかなく疲弊一方だった映画業界に対し、青年コミックスは、少年コミックスでは不可能だったエログロナンセンスを武器に、当時の社会に不満を感じていた若者たちの支持を受け読者層を拡大していた。

当時、まだヤクザ映画などを核に好調を維持していた東映は、それなりの固定客に支えられていたのだと思うが、どう考えてもその客層は狭く、幅広い一般客が来ていたとは考え難い。

その結果、徐々に、東宝の大作一本立て興行に食われ始め、業界二位に落ち始めた時期だと思う。

青年コミックの映画化は、そうしたコミックブームと、低予算で再現出来ることに目をつけた当時の映画業界が飛びついたのも無理はないと思う。

しかし、この作品、「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」の併映として、1972年の8月25日に公開されている。

通常で考えれば、正月映画と並ぶ掻き入れ時となる「お盆映画」である。

それが、ヤクザ映画とポルノまがいの通俗活劇路線だから驚かされる。

別にヤクザ映画やポルノがどうこうと言うのではなく、当時は、ほとんど邦画のジャンルのバリエーションがなかったと言うことが驚きなのである。

同時期の他社作品で目立つものと言えば、東宝配給の「海軍特別年少兵」くらい。

今思えば、こんな作品ばかりでは、邦画人気がどん底になるのも当然と言えば当然のようにも思える。

特に、女性客が邦画に愛想を尽かすのは当たり前だったと思う。

ただし、一般客の脚が遠のいていた時期の作品だけに、今では考えられないような野心的な作品も生まれており、当時の映画が全く語るに足りなかったと言う訳ではなかったことだけは確か。

さて、この映画は、罪を犯した服役中の女囚が、自分を陥れた男に復讐する話である。

構造自体は、ムショを出た元ヤクザがシャバの汚さを知り、我慢に我慢を重ねた末、止むに止まれず、又罪を重ねる任侠映画に似ている。

女性版任侠映画と言っても良いかもしれない。

ただし、ヒロインはヤクザでも何でもなく、元々はごく普通の女性だったと言うのが、任侠映画との根本的相違点だが、そんな普通の女性が復讐を果たすまでは、肉体的精神的な虐待に耐え抜くスーパーガールに変貌していた…と言う一見不自然な展開は、コミック特有の荒唐無稽さと受け取るべきだろう。

そんなことあり得ない!と言ってしまえば成立しない復讐劇なのである。

さらにこの作品、伊藤俊也監督の第一回作品らしく、全体的に低予算の中、劇中で色々な試みがされている。

床をガラスに見立て、床の下からヤクザに犯されるナミの姿を写したり、杉見に騙されたと悟ったナミの怒りを、長い髪の毛をストップモーションの要領で動かして逆立たせ、さらにガラスの床の下からオレンジ色の照明を当てて表現したり、書き割りセットと照明の変化を使って場面転換を行ったりと、若々しい実験心が垣間見える。

三原純子が、歌舞伎の隈取りのような濃いメイクで鬼のような形相になったり、血しぶきが派手に噴き出したりと、当時のスプラッターやホラーブームの影響も見える。

この映画同様、夏八木勲が出て有名な、松竹の「八つ墓村」(1977)のずっと前の作品であることを考えると、オカルティックな表現はこちらが先鞭をつけた形と言えよう。

女性中心の話だけに、アクション映画としてみるとやや物足りない部分もあるが、日活出身の梶芽衣子の暗い目力、東宝から他社作品い出るようになった根岸明美の体当たり演技、新東宝出身の三原葉子や沼田曜一の怪演、大映出身の伊達三郎の悪役振りなど、映画各社の編成が変貌しつつあった当時の日本映画界の縮図を見るような作品でもある。

ラストはあっけないし、全体的なチープさ、通俗さは気にならないでもないが、怨念をパワーにしたスーパーガールナミのキャラクターはしっかり確立したと思える作品になっている。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1972年、東映、篠原とおる原作、神波史男+松田寛夫脚本、伊藤俊也監督作品。

岩に波しぶきの東映会社クレジットに国歌が重なる。

日の丸の掲揚。

表彰状 右は戦後27年間の長きに渡り、受刑者の教育、更生に勤め、国家の安寧、秩序維持に貢献するところ誠に甚大であり、他の模範とするところなり。よって、ここにこれを表彰する…

表彰式が行われていた女囚刑務所内に突然サイレンが鳴り響く。

居並んでいた刑務官たちは一斉に刑務所に向かい、地面に落ちた表彰状は刑務官たちに次々に踏まれて行く。

その表彰状を慌てて拾い上げたのは、今表彰されたばかりの刑務所長、郷田(渡辺文雄)であった。

この騒ぎはただ事じゃないよ。脱走さ…と牢の中で愉快そうに笑っていたのは、女囚の1人大塚(根岸明美)だった。

こんな昼間っからかい?と隣の女囚が聞くと、ああ、真っ昼間だって脱走する奴はいるさ、1人だけね…と大塚は意味深な言葉を吐く。

葦が生い茂る湿地帯を逃げていたのは、女囚701号松島ナミ(梶芽衣子)だった。

その背後にはもう1人、木田由起子(渡辺やよい)が、腹を押さえながら苦し気に逃げていた。

しゃがみ込んだ由起子に気づいたナミが、どうした?と駆け寄って来るが、由起子の脚に血が流れていることに気づくと、いつもだから心配するなと言い、肩を貸して立ち上がらせる。

その由起子の落とした血に気づいた追手の刑務官たちは、近いぞ!と叫ぶと、連れて来たシェパードを二頭放つ。

シャパードは由起子に襲いかかるが、ナミが、落ちていたシャベルを拾い上げ、それでシェパードを殴り倒す。

そして、由起子を助け先に進もうとした時、芦の中からサングラスをした刑務官上田が立ち上がり、猟銃を向けて来る。

一歩でも動いてみろ!ぶっ放すぞ!上田はそう脅してナミたちを足止めするが、その時、水鳥が跳び上がったのに上田が気を取られた隙を狙い、ナミは、上田の猟銃に組み付く。

2人がもみ合っている背後から近づいた由起子は、落ちていた木の根っこで上田の頭を殴りつける。

上田が昏倒し、ナミと由起子は逃げようとするが、その時、近くの水面に銃が撃ち込まれる。

追っての刑務官たちが追いついたのだった。

起き上がった上田が、立ち止まったナミを木の根っこで殴りつけ、倒れたところを足で踏みつける。

タイトル

全裸で歩かされ、身体検査をされる女囚たち、それを下から覗く刑務官曽我(沼田曜一)の映像と、梶芽衣子が歌う「恨み節」をバックにキャストロール

話にならん!栄えある表彰式の最中に、おめおめと脱走を許すなど全く話にならん!このようなことで、国から囚人を預かると言う我々の神聖な職を全うできると思うか!今後、二度とこのような不祥事を起こさんために、管理体制に万全をきせ!郷田署長の叱責を黙って聞いていた刑務官上司の仲崎(室田日出男)が、いきなり上田たちを殴り付け、上田も部下たちを殴り始める。

本日の不祥事の懲罰として、7日間の減食処分が言い渡された受刑者から、驚きと不満の声が上がる。

給食室にやって来た刑務官たちは、既に調理中だった食事をほとんど捨て去ってしまう。

すっかり貧相になった食事に、女囚たちは食堂で抗議の声を挙げる。

刑務官とツルんだ班長グループの大塚が、これは懲罰なんだから、文句を言わずに食べな!と女囚たちに言い渡す。

その頃、隣り合った独房に、両手を後ろでに縛られたナミと由起子が入れられていた。

部屋を隔てた壁を頭で叩き、音を立てて、互いの無事を確認しあう。

そんなナミの独房に班長グループの1人が給食のバケツを運んで来て、ざまあないね、松、ごちそうを持って来てやったよと嫌味を言いながら、ナミの顔の横の床に、シチューをわざとこぼし、ペロペロ嘗めなと命じる。

さらに、震えているね?寒いのかい?今、暖かくしてやるからねと言いながら、給食係は、雨水がたまった床の水で濡らした冷たい布をナミの身体にかけてやる。

しかし、ナミは、怒るどころか冷笑していた。

そんな独房の中の様子を覗き込んだ曽我が、麗しい眺めじゃの〜と嘲り笑う。

そんな曽我が慌てて敬礼をする。

松嶋の様子はどうだ?と言いながら、仲崎を伴った郷田署長がやって来たからだった。

独房内に入った郷田署長は、701号!お前のバカな脱走のお陰で、他の女囚たちが迷惑しとるぞ!反省しろ!時間はたっぷりあるんだとナミに言い聞かす。

3年前、私は幸せで平凡な女だった…

ナミは、独房の中で過去を思い出していた。

1人の男を夢中で愛していた。

杉見…、彼は麻薬担当のデカだった…

(回想)ナミ…、お前が欲しい…、杉見次雄(夏八木勲)はそうナミに迫る。

互いにキスをし、身体を重ねるが、その身体を包んだ白いシーツに血が小さくにじみ、日本の国旗のようになる。

ナミは処女だったのだ。

ナミ、頼みたいことがある…。事が終わった杉見はそう言い出す。

それは囮捜査だった。

海津興行と言うナイトクラブにナミは潜入した。

危険は感じなかった。彼を信じていたから…

しかし、ナミはあっさり海津組の幹部に捕まり、脱がされ、犯された。

そこにやって来たのが杉見で、銃を幹部たちに突きつけながら、動くと公務執行妨害で逮捕するぞ!と脅しながら部屋にあったロッカーを開け、中にあった麻薬を発見すると、これでようやく手前らの尻尾をつかんだ。麻薬取締法違反と婦女暴行の現行犯で逮捕する!と告げる。

しかし、杉見と海津興行の海津(伊達三郎)はつるんでおり、筋書き通り運んだな…と言いながら、海津は杉見に金を渡す。

ナミは、心底愛していた杉見にはめられていたことを悟る。

ガラスの床に倒れていたナミに近づいた杉見は、海津から受け取った金の一部をナミの身体に撒いてやる。

犯されたナミの髪は、憤怒の形に変型する。

その後、ナミはマントで身体を覆い、車の影に身を潜め、城東警察署から出て来た杉見を待ち受けていた。

杉見が出て来ると、突如立ち上がったナミはマントを取り、破られた下着姿のまま包丁を手に、杉見に襲いかかる。

しかし、警察署の前であった為、あっさり駆けつけた警官らに捕まってしまう。

(回想明け)刑務所の中の花畑で、班長グループの女囚たちが、口紅の真似などしあいながら愉快そうに談笑していた。

今日もナミのところに食事を持って行く女に、たっぷり可愛がっておやりと笑いながら、ミソ汁の入ったバケツの蓋を触ろうとした女囚は、あまりの熱さに顔をしかめる。

飯番は、まず、由起子の独房に行くと、熱いみそ汁を由起子の身体にかける。

その悲鳴を隣で聞いていたナミは、自分の部屋にやって来た飯番が、同じように、みそ汁を浴びせかけようとして来たので、身体にかけていた毛布を歯で噛み締め、思い切り引き寄せる。

その毛布の端の上に足をかけていた飯番は、突然足下をすくわれたのでバランスを崩し、机の上に置いておいた熱いみそ汁がはいったバケツを自らの頭にひっくり返してしまい、熱湯を全身に浴びる。

全身大火傷を負った飯番は、激痛のあまり、絶叫しながら担架で運ばれて行く。

事故じゃないことは明らかだったので、駆けつけた刑務官たちはナミを踏みつけながら、どうやって手足を縛られていながら、給食係にみそ汁を浴びせかけたのか口を割らせようとするが、どうやってもナミは口を割らなかった。

桜田門の警視庁を出た杉見は、大きなビルの最上階に事務所を構えるようになった海津興行にやって来る。

社長室に入ると、刑務所の上田刑務官が帰るところだった。

松島ナミのことで、ネタを流してくれた別荘番か?と杉見が聞くと、さすがに勘が良いなと海津は笑う。

昔の俺を思い出したよと苦笑する杉見に、あんたは本庁で出世コースに乗った。俺はこのビルの最上階に住んでいる…と海津は笑いかける。

あの時の計略で互いに出世したのだった。

しかし、ナミがムショ内で一切証言しなかったことを上田から聞いたと伝えた海津は、あの時の恨みは、証言でカタがつくようなもんじゃなかったと言うことだと杉見に言い聞かす。

奴がいるとヤバい…と杉見が言うと、女を差し向ける。昔、ヤクの運び屋だった女だ。あんたがパクったんだぜと苦笑しながら、海津は一枚の写真を見せる。

それを見ながら、殺し屋にはうってつけだな…と杉見は頷く。

刑務所では、雨の日、一日中室内で作業をさせられていた女囚たちが、これじゃあ、縫製工場の女工ねと自嘲していた。

ベテラン女囚で班長グループの政木(三原葉子)が、仲間たちを相手に壺振り博打をしていた。

負けがこんでいた大塚が、サイコロに細工がしてあるんじゃないかいと因縁をつけると、政木は、今さらアヤを付ける気かい?義理を欠くようなことを言ってもらっちゃ困るね。お前さんには随分貸しがあるんだと言い返す。

もう一勝負させておくれよと大塚が頼むと、あんた、今まで随分あたしたちに反抗的なツラを見せて来たけど、その借りも一緒に払ってくれるかい?と、班長グループの片桐(横山リエ)が口を出して来る。

今夜の晩飯をかけるかい?あんたが勝ったら、これまでの貸しは帳消しにしてやるよと政木が言い出す。

良いよ!とその勝負に乗りかけた大塚だったが、その時、止めときな!と声をかけて来たのは、新入りの進藤梨恵(扇ひろ子)だった。

飯を抜くと明日に答えるさ。どうせ取られるに決まってるからさと言いながら、政木に近づいて来た梨恵は、あぐらをかいていた政木の身体を押しやる。

ゆると、足の下に隠していたもう一組のサイコロが転がり出る。

そのサイコロを拾い上げた梨恵は、今度こそ半目に賭けると勝てるんだよと言いながら、自分で壺に入れて振ってみせる。

そして、相手が素人だからって、丁目サイと半目サイを使い分けかい?と言いながら、向かって来た政木と取っ組み合いになり、突き飛ばす。

転んで鼻血を出した政木は、落ちていたハサミの片身を拾い上げると、殺してやる!と叫びながら梨恵に飛びかかって来る。

しかし、あっさりその手をひねった梨恵は、てめえ、シャバで何人殺して来たんだ?本当の殺し方、教えてやろうか?と凄んでみせる。

あの野郎!でかいツラしやがって!と悔しがる政木に、近寄って来た片桐は、面白い芝居見せてあげるよと言いながら、どこで手に入れたのか、細いヤスリを取り出して見せ、脱いだ服に差し込んでおくのさ。後は鬼どもがやってくれるよと、刑務官の方を観ながら浴室の前で囁きかける。

政木は、自分たちも風呂に入る振りをしながら、先に入っていた梨恵の囚人服にヤスリを仕込ませるが、その様子を後ろに立っていたナミがしっかり目撃していた。

さあ、これから面白くなるよと片桐と政木はほくそ笑んでいたが、浴室から上がった政木は、刑務官から、政木!お前の赤服からこんなものが出て来たぞ!とヤスリを突きつけられる。

そんなバカな!と驚いた政木は、先に服を着ていた梨恵の身体をまさぐるが、そこにはヤスリなど入っていなかった。

ナミの仕業だと気づいた政木は、浴室に向かおうとするナミの後を追いかけようとするが、ナミが閉めたドアのガラス部分に顔をぶつけてしまい、ガラスは砕け散る。

顔を上げた政木の顔は、流れ出た血で鬼のような形相になっていた。

割れたガラスの破片を握りしめた政木は、それを振りかざしながら浴室の中を逃げ回るナミを追いかけ回す。

中で身体を洗っていた裸の女囚たちが悲鳴を上げる。

そこにやって来た郷田署長が、止めんか!と止めようとするが、その郷田の前に立ちふさがったナミを目がけて突き進んで来た政木のガラスは、身を避けたナミの後ろに立っていた郷田署長の右目に突き刺さってしまう。

郷田は、目にガラスを突き立てたまま、怒りのあまり、政木の首を締め付けて失神させる。

右目を失った郷田署長は、興奮のあまり、全員懲罰だ!と叫ぶ。

片桐ら班長グループも格下げになり、他の女囚たちと同じように、穴掘りを命じられる。

ある程度の深さまで穴を掘り進めた女囚たちは、今度はそれを埋めろと命じられる。

そんなきりがない懲罰の最中、片桐は作業場の横に呼びだされる。

そこにジープで来ていたのは杉見だった。

しばらくだったなと鉄条網の外から声をかけて来た杉見は、話によっちゃ、仮釈で出してやろうかと思って…と意味ありげに切り出すと、松島ナミを消すんだと命じる。

やるのかい?と驚く片桐に、もちろん、事故死で済ますんだな。ここから出たけりゃ、言われた通り、黙ってやるんだと杉見は言い、やるのか、やらねえのか?おめえはやらねえ訳にはいかねえんだと笑い、ジープで立ち去って行く。

作業場の横の山道を通り過ぎて帰る杉見に、穴を掘っていたナミは気づく。

ナミは睨みつけるが、その視線に気がついたのか、振り返った杉見は苦笑していた。

そんなナミに、側で穴を掘っていた梨恵が、あの男なら、さっき片桐と会ってたよと囁きかける。

サングラスをかけるようになった郷田署長は、松島ナミを独房に入れるんだ!と命じ、サングラスを外す。

その左目は、政木の刺したガラス片で潰れていた。

独房に入れられたナミは、部屋の隅に見知らぬ女囚が先に入っていることに気づく。

前が5つもある鬼頭(片山由美子)と名乗ったその女は、大分痛めつけられているようだね?あんた、松島ナミだね?メシ番に煮えたぎったみそ汁かけたって言うじゃない?署長がメッ○チになったのも、あんたが絡んでいるとか…と気安気に話しかけるが、ナミは不機嫌そうに、おしゃべりが過ぎるよと釘を刺す。

その夜、身体の痛みにうめき声をあげていたナミに、ヤキを入れられたところが痛むんだね?擦ってやろうか?と言いながら近づいて来た鬼頭は、あんたほどの女がこれしきの痛みで弱みを履くなんて…と言いながら、ナミの身体を擦る振りをして、その手をナミの胸や股間に這わせて来る。

すると、ナミは突然、鬼頭の身体に覆いかぶさって来る。

鬼頭は、何をするのさ!と驚いたようだが、やがて、ナミのするがまま、服を脱がされ、キスを受け入れる。

すっかりレズの魔力にハマった鬼頭は、お願い!もっと!とナミにせがむ。

郷田署長は、そうか、やっぱり尻尾を出さなかったか…と言うと、着任早々の君には荷が重かったろうと報告に来た相手をねぎらう。

しかし、相手は、もう1度やらせて下さい!と言うので、君がそんなに責任を感じることはないと郷田は言い聞かせるが、私を独房に戻して下さい!お願い!と絶叫し始めた相手を観た郷田は、他の刑務官にその身体を調べさせる。

すると、その相手、鬼頭の胸にはいくつものキスマークが残っていたので、刑務官だったら恥を知れ!と鬼頭を叱りつけた郷田署長は、他の刑務官たちに、どんな手段を使っても構わん!松島を落とせ!と命じる。

翌日も、女囚たちは全員で穴掘りをやらされるが、他の女囚の作業が終了した後も、ナミだけは休むことを許されず、そのまま穴掘りを続行させられる。

曽我のその指示を聞いた他の女囚たちは、「閻魔落としよ」と口々に伝えあう。

ナミは、夜も穴掘りを徹夜で続けさせられる。

疲れ果てたナミがしゃがみ込むと、見張っていた刑務官が土を投げつけて来る。

翌日、他の女囚たちが穴掘りに合流しに来る。

昨日からぶっ通しで掘り続けているナミに、刑務官たちが、今までやったことを洗いざらい話す気になったか?と声をかけるが、ナミが何も答えないので、死ぬまでやるんだなと嘲る。

そして、他の女囚たちにも、お前たちもくたばるまで続けさせるからな、穴を埋めるんだ!と命じる。

ナミの彫っている大きな穴の周囲に発った女囚たちは、言われるがまま、穴の中に土を投げ込み始めるが、由起子だけはどうしてもシャベルを動かすことが出来なかった。

そんな由起子を見上げたナミは無言で頷いて、笑顔を見せる。

泣いていた由起子は、その意図を汲み、無理矢理シャベルを動かし、土を穴の中に入れ始める。

穴の周囲で釣りを帆織り込んでいた女囚たちは途中で交代させられるが、穴の中のナミは、そのまま作業を続けさせられる。

それでも女囚たちは、こっちの方が先に参っちまうよと不平を漏らすようになる。

新しいグループがナミに向かって土を放り入れて来るが、不平を言っていた女の足下の土が弱いと知ったナミは、その女の崖の下の土をシャベルで抜き取る。

すると、崖は一気に雪崩を落としたように崩れ、不平を言っていた女囚は穴の下まで滑り落ち、泡を吹いて気絶してしまう。

その女囚は運ばれて行くが、死ぬまでやるんだ!とナミをせき立てた曽我は、止めさせておくれよと懇願する由起子の言葉も無視して、くたばるのは早い!と怒鳴りながらナミの身体を靴で踏みつけて来る。

そんな非常な曽我に耐えかねた由起子は、シャベルで、曽我の後頭部を殴りつける。

曽我は後頭部から血を噴き出しながら倒れ、他の刑務官が発砲して来る。

鎮まれ!と刑務官は、空に向かって発砲を続けるが、興奮した女囚たちは、刑務官に襲いかかり、大塚は銃を奪い取る。

鎮まらんと射殺するぞ!と仲崎は呼びかけるが、銃を奪った大塚は、こうなったら「暴れ」だ!こいつら人質にして倉庫に逃げるんだ!と叫ぶ。

銃を奪っていた片桐は、このどさくさに紛れ、ナミを射殺しようとする。

それに気づいた由起子は、左肩に銃撃を受けていながら、自らナミの身体の前に立ちふさがりかばう。

片桐の銃弾は、ナミをかばった由起子の背中に当たる。

大塚に先導された女囚たちが倉庫になだれ込んだ後、ナミは傷ついた由起子を抱え、夕暮れの処刑場にやって来る。

それをなおも狙っていた片桐だったが、突然、梨恵に捕まり、来なと言われ連れて行かれる。

由起子を抱え上げたナミは、私をかばってくれたんだねと感謝するが、由起子は自らの左肩の傷から溢れ出た血を指につけると、それでナミの右手のひらに「カタギリ」と言う血文字を書き、その場に絶命する。

夕焼け空が突然青く染まると、雷が走る。

ナミは、由起子の死体を抱えると、その場を立ち去る。

倉庫の前に集結した刑務官たちは、出て来ないとぶっ殺すぞ!と呼びかけるが、倉庫の中に籠城した大塚は、偉そうな口聞くんじゃないよ!人質の命がどうなっても良いのか!と外に向かって叫ぶ。

その言葉に逆上した上野が、倉庫に向かって猟銃を向けるが、そこに!上野!止めるんだ!と言いながら郷田署長がやって来る。

メッ○チゴリラ出て来たなと扉の隙間から大塚が呼びかけると、大塚!お前が首謀者か?と郷田は聞く。

大塚は、60人分の食料を持って来い!と要求を出すが、郷田は、一度聞いたらクセになると言い、その要求を拒否することにする。

倉庫の中では、人質になった数名の刑務官目がけ、裸になった女囚たちが襲いかかる。

やがて、雨が降って来る。

倉庫の中では、片桐が、肝心の女が1人いないよと言い出していた。

どうして「暴れ」に入ってないんだろうね?とナミに責任を押し付けるように言うが、そうなったのは誰のせいだろうね?と言葉をかけて来たのは梨恵だった。

そいつの言うことを聞くんじゃないよ!そいつは松のグルだ!と片桐は梨恵を牽制する。

そうした片桐の言葉を聞いていた大塚は、飯と一緒に松島を差し出せ!と外に向かって叫ぶ。

郷田署長は、要求通り、701号を中に入れろ、ただし、飯はまだだ。怒りを701に向けさせろと刑務官たちに命じる。

かくしてナミは倉庫に1人入って来る。

それを迎えた大塚は、たっぷり礼はさせてもらうよ。覚悟は良いねと声をかける。

女囚たちはナミに襲いかかり、ナミは工場内の天井から鎖で吊るされる。

女囚たちがナミを痛めつけるのを黙ってみていた片桐は、殴る蹴るだけじゃ能がないよと言うと、コードのついたランプを手にナミに近づくと、カバーを外して裸の電球にすると、熱い電球をナミの身体に押し付けて来る。

どうだい?熱いだろ?と片桐が言うと、観ていた他の女囚たちが愉快そうに笑う。

私を殺す気だね?教えてもらったよと片桐にナミが耳打ちし、みんなが観てるんだよと警告すると、奴らは追って、絞め殺してやるよと小声で片桐は答える。

明け方、倉庫の中の女囚たちは疲れ果て寝静まっていた。

そんな中、1人目を覚ました片桐は、倉庫内にあった石油缶を持ち出すと、鎖に吊り下げられていたナミの下の床に撒き始める。

そして、ランプの電球を引きちぎり、コードをショートさせ火花を出す。

その時、みんな!起きなきゃ、焼き殺されるよ!と大声を上げたのは梨恵だった。

片桐はコードを投げ捨てると、横に置いてあった猟銃を取り梨恵に向けるが、目覚めたナミが、片桐の背中にぶつかりよろめかせる。

その隙に片桐に飛びかかった梨恵は猟銃を奪い取って、片桐に向ける。

こいつが火を点けようとしたのさと梨恵が言うと、片桐は慌てて、違う、らだ、あいつを火あぶりに!と弁解するが、それなら1人でこそこそやることはないはずさ。このまま燃え上がって、眠っているみんなが逃げ切れるとでも思ってたのかい?と梨恵は突っ込む。

それを聞いた女囚たちは、始めて片桐の計略に気づき、裏切り者!と叫ぶと、みんなで、片桐の服を引き裂き、網をかぶせる。

その隙に、梨恵は、吊るされていたナミを救出する。

女囚たちは、網に来るんだ半裸の片桐を、ナミが吊るされていた鎖に繋ぎ、吊るし上げる。

外では、籠城している女囚たちに告げる。署長の計らいで朝食を支給する。我々はいつでも話し合いの用意があると呼び掛けがあり、扉の隙間から覗くと、食料が入ったバケツが3つ台車に乗せられ近づいていた。

空腹だった女囚たちは喜び、その台車を倉庫に運び入れるが、その途端、バケツの蓋が開き、中に潜んでいた刑務官たちが猟銃を突きつけて来る。

しかし、大塚も、人質を撃つからね!と言いながら奪った銃を人質の刑務官に向ける。

その隙を突き、ナミは床に落ちていた電気コードを拾い上げる。

バケツに入っていた仲崎が女囚の1人を撃つと、それを合図に、ナミは床の石油にコードを投げ込む。

たちまち倉庫の中は火の海になる。

刑務官たちは慌て、全員外に連れ出せ!と叫ぶ。

そんな中、吊り下げられていた片桐は、自ら撒いた石油の炎でゆっくり焼き殺されて行く。

片桐はナミに、杉見の差し金なんだ。口車に乗せられただけなんだ!と訴えるが、ナミは冷たく、騙されるのは女の罪なんだと答えるだけだった。

そんなナミに近寄った梨恵は、ふけるんなら今だよと話しかけ、頷いたナミは倉庫の奥へと向かう。

倉庫は全焼し、焼死体も含めた女囚たちの人数確認が行われるが、1つ足りないと知った郷田署長は、やはり701…と悔しがる。

警察に連絡して…と刑務官は提案するが、そんなことをしたら、ここで起きた暴動や死亡事故が明るみに出てしまうと郷田は止め、奴の行き先は分かっている…と呟く。

黒い衣装に黒い大きな帽子をかぶったナミは、夜の銀座を歩いていた。

かつて、ナミを犯した海津組の3人の幹部たちが次々とナミに殺されて行く。

3人とも首筋に長い針を差し込まれていた。

電話が鳴り、受話器を取り、竹中か?と呼びかけた海津は、あんたか…と答える。

電話の相手は杉見だった。

幹部たちを待ってるんだが、まだ誰も来ないんだと海津が言うと、来ないはずだ、みんな死んでると杉見は教える。

背後に松島ナミの気配を感じると杉見が言うと、海津は、何かあったら別荘番が知らせて来るはずだ。狙いはあんただろうと人ごとのように言う。

恐ろしい女だ…と杉見が呟くと、あんたの思い過ごしだよと海津は笑う。

しかし、幹部が3人も死ぬとは…とまどに向かって電話していた海津は、いつの間にか部屋に入ってきていたナミに気づいて驚く。

突然、海津からの言葉が切れたので、どうした?と呼びかけた杉見だったが、海津のビルに駆けつけてみると、海津はビルの最上階の外側に、首を吊られてぶら下げられていた。

それを見上げた杉見は、車で出発するが、その杉見を監視していた郷田署長らも車で後を追う。

杉見が向かったのは、桜田門の警視庁だった。

自分の城に逃げ込んだか!と気づいた郷田は悔しがる。自分たちは警視庁に入るわけにはいかなかったからだ。

その時郷田は、警視庁の建物の中に入る黒い衣装のナミを発見する。

しかし、今の彼らにはどうすることも出来なかった。

杉見はエレベーターに乗り込むが、先に乗り込んでいた黒い帽子の女がナミであることに気づく。

ナミは、屋上のボタンを押すとドスを出して杉見に迫る。

しかし、杉見の方も銃を取り出しナミに向ける。

ナミ、又、俺に手柄を立てさせてくれるのか?殺人容疑で逮捕する!ドスを捨てるんだ!と言うと、ナミの右手を掴み、ドスを床に落とす。

その後、大きな黒い帽子を払った杉見は、ナミを殴りつけ、そんなに俺が憎いか?憎けりゃ、憎いだけ、俺を忘れられんと言う訳だ。しょせん、俺が女にしたお前だと言いながら、強引にキスをする。

その直後、苦痛に顔を歪めた杉見が、屋上について開いた扉から外へと逃げ出す。

その口からは血が溢れていた。

ナミが杉見の舌を噛みきったのだ。

ナミは落ちていたドスを拾い上げると、杉見の後を追いかける。

エレベーター前で、ナミは杉見の右足の太ももを突き刺す。

杉見は警視庁の屋上を必死に逃げ回り、出血している右足の止血をしようと、口を拭いたハンカチで縛ろうとするが、その時、背後に迫っていたナミから背中を突き刺される。

よろめきながら逃れようとした杉見だったが、ナミは二度、その腹部にぶつかり、ドスで突く。

杉見は、腹に突き立ったドスを抜き、上に放り投げる。

高く投げられたドスは、屋上に掲揚してあった日の丸の旗の前を落下して行く。

杉見は倒れて死んでいた。

その死体に、はためく国旗の影がかぶさる。

その後、ナミは、又、刑務所に戻って来ていた。


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