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タイガーマスク

プロレスヒーローものだった原作をアレンジし、変身スーパーヒーローもののような体裁になっているのだが、全体的に子供向け映画風のタッチなのに、観ている観客の大半は初老の男女と言う不思議な鑑賞風景だった。

ヒーローものにしては戦う相手の悪の描写が明確ではないし、格闘技ものにしては、VFX頼りで迫力がない。

そもそもこの作品も、「ガッチャマン」同様、低予算用にアレンジしている設定自体に無理が多過ぎる。

何せ「虎の穴」自体が、既存のプロレスとか格闘技とは接点がない閉鎖的な裏興行団体のような設定になっているために、その客観的な実力が分からない上に、その裏興行も「虎の穴」出身の身内だけで戦っている、コスプレやパフォーマンス強調のプロレスショー程度にしか見えず、特に違法なことをやっている訳でもないので、どう見ても、ご当地プロレスのような健全でマイナーな興行イメージ。

裏興行なのに、なぜ違法で過激な試合にならないかと言うと、ヒーローであるタイガーマスク自身がその中で戦っているためとしか思えない。

つまり、「本当の意味でのデスマッチ」のような見せ物にすると、虎の穴の恐ろしさや裏興行にしている理由ははっきりするはずなのだが、タイガーマスクが人を殺すことになるので子供向けのヒーローになり得ない。

さらに肝心なことは、「タイガーマスクは、この虎の穴主催の興行で多額のギャラをもらっており、そのギャラの一部をちびっこハウスに贈っている」と言う設定になっているために、「汚い金を贈っている」と言う風に見せちゃまずいという事なのだろう。

同様に、タイガーマスクがすぐに虎の穴を逃げ出して、虎の穴が差し向ける刺客たちと戦うと言うような良くあるヒーローもの設定にもしにくい。

リング以外で戦ってばかりいると金が稼げないからである。

素直に、白いマットのリングで、普通にTV中継もあるようなプロレス興行をやるのが一番説得力がありそうなのだが、そうするとこの映画のタイガーマスクは、特殊なマスクを使って増強したサイボーグ戦士のようなものなので、フェアな試合に見えないし、観ている側としても、勝っても素直に喜べない。

しかしなぜか、劇中の虎の穴は、大して刺激のない裏プロレス興行を世界中で興行しており、新人育成をやったり、試合の勝者に多額のギャラが払えるだけ稼いでいるようなので不思議である。

ミスターXも、子供たちには優しく、レスラーになるための的確なアドバイスを与える温厚なおじさんと言う雰囲気で、特に悪役と言う感じではない。

これでは、タイガーマスクが対決する悪が存在しないので、後半、ミスターXがタイガーマスクを怒らせるようなことをやってしまったので、戦うことになる…と言う、かなり強引な展開になっている。

途中で、タイガーマスクのライバルになるジョーも、子供時代はそれなりに憎々しい演技を子役が演じているのだが、成長すると、単にあごひげを生やした普通の青年になっており、特に敵役としての迫力も存在感もない。

そもそも、この手のマンガ原作ヒーローものの実写化が成功し難いのも、原作の持つシンプルな面白さを、低予算向けにアレンジしながらも、なおかつ成立させるようなずば抜けたアイデアを誰も思いつかないからだろう。

さらに、それなりにアレンジしたつもりの基本設定すら、観客に納得させるだけの表現も出来てないので、子供騙しにすらなりきれないのだと思う。

個人的には、原作物のアレンジは構わないと思うし、原作イメージとの違いもそう気にしない。

低予算なのも、日本映画全体のことなので今さらどうこう言うつもりもない。

低予算なら低予算なりに、そこそこ楽しませてくれれば良いと思っている。

その最低限の「そこそこ」すら楽しませてくれない作品があるのが寂しい。

続編を匂わせるようなラストだが、公開劇場が少ない上に、最初の日曜日もガラガラの状態では、続編の可能性はほとんどないのではないだろうか。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2013年、2013「タイガーマスク」製作委員会、梶原一騎+辻なおき原作、伊藤秀裕+江良至+マイケル・ウェルス・ショック脚本、落合賢脚本+監督作品。

右手にタイガーマスクを持ち、秘密の試合会場に向かう男の後ろ姿。

そのマスクを顔に装着すると、男はゴールドタイガーマスクに変身し、暗い地下のリングに登場する。

彼、ゴールドタイガーマスクの「虎の穴」からのデビュー戦の相手は、巨大な野生児のようなスーパーコングと言う選手だった。

ゴールドタイガーマスに軽く痛めつけられたスーパーコングは、怒りの雄叫びをあげる。

10年前…

(回想)

親のない子供たちが入っている施設「ちびっこハウス」では、その日、年に一度の楽しみである動物園行きのため、学園長の若月光太郎(温水洋一)が、ちびっこたちみんなを前にハウスを出発しようとしていた。

そんな中、ただ1人、ジャングルジムの上に登って残っていた伊達直人に、若月園長の娘若月ルリ子が、早く来ないと置いてくよ!と声をかけていた。

動物園で、1人ぼーっとしていた直人は、いきなり、ナオト~!と呼びかけられられたので驚くが、それは、別の家族が呼んでいた別のナオトと言う子供だった。

両親と再会して嬉しそうなそのナオトを観て、寂しくなった直人に、どうしたの?と優しく声をかけて来たルリ子に、別に…と答えた直人だったが、もうすぐ、ちびっこハウス、なくなるんだってね…と聞いてみる。

知ってたの…とルリ子も驚いたようだった。

前日、園長室に若月を訪ねて来た木下不動産の男は、明日、動物園に征夫金があるんだったら払ってくれと迫るので、これは、年に一度の子供たちの楽しみなので…と言い訳し、もう1ヶ月だけ待ってくれと頭を下げる若月に、もうその話を3回も聞かされて来たがもう我慢の限界だと言う。

ここがなくなったら子供たちはいく所ないんです。ここがあの子たちの家なんです!と若月園長は土下座をして頼むが、その声を、廊下にいたルリ子と、部屋の入口から顔を出した直人もから聞いてしまったのだった。

私もママがいてくれたらな…と、動物園で寂し気にしている直人にルリ子もつぶやき、自分の持っていたペンダントを、別れても私のこと忘れないでねと言いながらプレゼントする。

その時、突然、直人は誰かから話しかけられたような気がして振り向く。

目の前にいたのは、虎だった。

伊達直人!君は私に従えば強くなれる!そう直人に話しかけて来た虎の左目は青く光っていた。

それを見つめていた直人の目も青く光り、直人は、ルリ子が呼びかけているのにも関わらず、急に駆け込出して姿をくらます。

直人が駆け込んだ場所に立っていたのは、ステッキを持った不思議な男だった。

その男、ミスターX (哀川翔)は直人に、もし1つ願いが叶うとしたら何が欲しい?と問いかける。

直人はためらわず、強くなりたい!又1人ぽっちになりたくない!と答えたので、ミスターXは、なら来るが良いと言うので、どこへ?と聞くと、「虎の穴!」富スターXは答える。

その頃、ルリ子は、パパ、お兄ちゃん!直人くんがいなくなったの!と急を知らせていたが、驚いた若月園長と兄が動物園中を探しまわるが、杳として直人の行方は掴めなかった、

その直人は、他の7人の少年たちと共に、トラックに乗せられ、どこかへ向かっていた。

直人は、君もスカウトされたの?と聞いて来た隣に座っていた少年ダンから聞かれたので、向かい側に座っていた目つきの悪い少年に話しかけようとしてみるが、あいつには話しかけない方が良い、自分の家に火を放った奴だからとダンに諭される。

凶悪な目つきをした少年はジョーと言った。

やがて到着したトラックの幌を空けたのは、マキ(平野綾)と言う鞭を持ち、レザーコスチュームに身を固めた女性だった。

その女性マキは、8人の子供を連れ、山を登り出す。

着いた!ここがお前たちの家だ!虎の穴だ!とマキは、石切り場のような洞窟の前で子供たちに教える。

中に入った入口付近で整列させられた子供たちの前に、別の女性幹部レイナ(釈由美子)が登場する。

そして、部屋の中に案内された子供たちの前に現れたミスターXは、ようこそ!虎の穴へ!何も怖がることはない。君たちはラッキーなんだ。ここの家族に選ばれたのだから。ここには、君たちより先に来た兄さんたちもいると挨拶をする。

地球上もっとも強いものがここにいる。そして、厳しい試練に耐えたものだけが栄光を手にすることが出来る。

そう言いながらミスターXがステッキに付いたスイッチを押すと、部屋の壁が開き、そこには3つのタイガーマスクが飾られていた。

自分が開発した、肉体の潜在能力をフル稼働できる装置で、ホワイトタイガーマスクはパワーを示し、ゴールドタイガーマスクは俊敏性、そして、それらにすべてに於いて勝るのは、中央に飾られたブラックタイガーマスクだとXは説明する。

試練をくぐり抜け、野獣の魂を宿しなさい。最強の力を手にするのだ!とミスターXは子供たちに諭す。

訓練室に向かった直人たちは、レイナから、虎の穴の掟を教え込まれる。

1つ!情とは役者の言葉!

2つ!公平とは愚か者の言い訳!

3つ!戦う目的は虎の穴の栄光のため!

その言葉を何度も復唱させられた子供たちは、早速訓練に入る。

目隠しをしたボクサー相手に戦う訓練では、まごまごしていた直人たちが、そんなことじゃ殺されるよ!とレイナから怒鳴られ、レイナ自ら目隠しをして、目隠しを外したボクサーと対峙してみせる。

レイナはキック一発でボクサーを殺してしまう。

弱い男はここで生き残れないのよ、レイナはそう直人たちに告げる。

食事時には、栄養価の高い食事とサプリメントが与えられるが、その時、ジョーが直人の肉を寄越せと言って来たので、負けん気が強い直人はせせら笑い、喧嘩が始まる。

ジョーが顔を歪めると、直人が「必殺 虎の穴封じ!」と笑い、「カンチョー」の手形を見せる。

怒りに狂ったジョーはさらに直人に挑みかかろうとするが、それを止めようとするダン。

騒ぎに気づきやって来て叱りつけたのはマキで、直人とジョー、ダンの3人をミスターXの部屋に連れて行く。

ミスターXは、喧嘩をするくらい元気が残っているのなら、明日からはもっとトレーニングを厳しくしなければいけないなと3人を睨みつけると、強さには2つの種類がある。ここ(と言いながら、直人の腕を掴み)の強さとここ(と自らの頭を指し)の強さだ。ここ(頭)を鍛えるんだ!と言い聞かす。

やがて、直人たちに課せられた訓練は厳しさを増し、規則的に火焔が噴き出すトンネルを潜るよう命じられる。

一番始めに名乗りを上げたのはジョーだったが、トンネルの前に来ても入るチャンスを見いだせず、マキからもう良いと言われてしまう。

次いでトンネルの前に出たのは直人だった。

直人は、トンネル内の火焔の噴射する規則性を観察し、予測すると、思い切って飛び込んで行き、バック転を繰り返しながら火焔噴射を避け、見事向こう側にたどり着いたので、観ていた子供たちから歓声が起きる。

やがて直人(ウエンツ瑛士)は成長し、ダン(良知真次)、ジョー(勝信)と共に、その才能を認められ、3つのタイガーマスクを与えられる日がやって来る。

ダンはゴールドタイガーマスク、ジョーはホワイトタイガーマスク、そして直人は、最強の印であるブラックタイガーマスクの入ったトランクを受け取る。

(回想明け)タイガーマスクに変身した直人は、新たな敵、サラマンダーと戦っていた。

サラマンダーは口から炎を噴き出し、鎖を使った反則技で挑んで来るが、タイガーバックブリーカーであっさり倒されてしまう。

試合を観ていた虎の穴の総帥のような人物(真樹日佐夫)は、満足そうだった。

しかし、控え室に戻って来た直人は異常に消耗していた。

マスクの力で無理にパワーを増強しているため、今の直人自身のパワーでタイガーマスクの力を維持するのは限界があったのだ。

そんな直人がお台場の夜景を楽しんでいた時、いきなりと飛びかかって来たのは、ダンだった。

気心の知れたダンの悪戯を軽くかわした直人は、いくらもらった?と今日の試合のギャラのことを聞かれたので、もらった封筒を差し出して見せる。

中には大量の札束が入っていたので、驚いたダンは、直人を誘い、豪遊に出かける。

ゲームをやり、大量の料理をしこたま食った2人だったが、たまたま店の外を通りかかった女の子グループを見かけたダンは、直人を連れ、彼女等が向かったクラブに自分たちも入ってみる。

しかし、女の子たちにシカトされたので、仕方なく、カウンター席に座ったダンは、女性バーテンダーに、無理してバーボンのロックを注文する。

直人は、初めて口にするアルコールにむせかけるが、ジュースもあるわよと言ってくれたバーテンダーを無視し、見栄を張って、もう一杯注文する。

その後、酔った勢いで踊り始めた直人だったが、突然、何者かに突き飛ばされる。

襲いかかって来たのはジョーだった。

ジョーは、いまだに直人に対抗心を燃やしており、その場でも、瓶を割って凶器にすると、直人に殴り掛かろうとするが、その手を掴んで止めたのはダンだった。

直人と戦いたかったら、まず俺を倒してからにしろ!とダンは諭す。

2人は一発触発の雰囲気になるが、先ほどの女性バーテンダーから帰ってくれと言われたので、店を出ることにする。

その後、ダンとタクシーで帰っていた直人は、ある場所に来た所で、急に止めて!と言い出し、自分だけ降りてしまったので、ダンも慌てて降りて来る。

そこは、「ちびっこハウス」だった。

怪訝そうなダンに、俺はここで育てられたんだと入口から中を覗きながら事情を説明した直人だったが、その時、玄関からボールを拾いに外に出て来た女性を観て、慌てて門の陰に身を隠す。

まぎれもなく、成長したルリ子(夏菜)だったからだ。

その場を離れた直人は、ルリ子はもう自分のこと等覚えていないだろうと考えていた。

そんな直人の心情を思いやり、ダンは、今度は俺がおごってやるぜと約束する。

後日、いよいよそのダンのデビュー戦の日がやって来る。

控え室で、そんなダンに付き添っていた直人は、金の使い道を考えた。パクんなよ、俺の得意技!と言って、カンチョーの手形をしてみせ、ダンを笑わせる。

ダンはマスクを顔に装着し、ゴールドタイガーマスクに変身すると、試合会場に向かう。

対戦相手は、直人が最初に戦った敵であるスーパーコングだった。

その試合は、なぜか、スマホで観られるようになっており、大勢の一般客が目にすることになる。

試合会場には、ジョーも観に来ていた。

コングを倒したゴールドタイガーマスクだったが、その体力消耗振りは明らかだった。

その時、リングの外に現れたのは、ジョーが変身したホワイトタイガーマスクだった。

お前から先に倒せと言ったから、そうしてやると言いながら、ホワイトタイガーマスクは、勝手にリング内に侵入すると、場内から、殺せコールがわき起こる。

実況していたアナウンサー(辻よしなり)は、無情の2回目のゴングが鳴ったと絶叫する。

すでに大量を消耗し尽くしていたゴールドタイガーマスクのダンに迫るホワイトタイガーマスクのジョー。

それに気づいた直人は、試合会場に駆けつけるが、鉄格子に阻まれて近づくことが出来ない。

ジョーは、ダンを投げつけ、鎖で出来たリングロープに十字架のように絡ませると、直人の目の前で、その足を徹底的に痛めつけ始める。

ジョーは、タイガーマスクは俺1人で十分だ!と雄叫びをあげると、ダンの膝を砕く。

直人は思わずタイガーマスクを装着しようとしかけるが、それを止めたのはミスターXだった。

控え室に運ばれて来たダンに、大丈夫かと声をかけた直人だったが、ダンは気丈にも、今日は俺がおごる版だったのに悪かったなと謝る。

直人は、医者を呼びに部屋の外に飛び出して行くが、その直後に入って来たミスターXは、いきなりダンの顔に右手を押し当て、窒息させようとしながら、左手に出現した超小型蜘蛛型ロボットのようなものを、ダンの上着の下に滑り込ませる。

蜘蛛型ロボットが、服の中を心臓部に這い上がり、胸を突き刺すような動きが見えた瞬間、ダンは息絶えてしまう。

そこに医者と看護婦を連れて戻って来た直人だったが、ダンが死んだと知らされると驚愕する。

虎の穴に戻って来た直人は、1人入口付近に佇んで、自分のタイガーマスクに涙をこぼしていた。

その後、ミスターXの部屋に無断で入った直人は、控え室でダンに何があったのか、真実を教えてください!とミスターXに迫る。

ミスターXは、足を怪我した競走馬がどうなるか知ってるか?と教え、君たちはただの人間ではなく闘士なんだよ。戦えなくなった闘士に存在価値があるだろうか?と諭す。

そして、ブラックタイガーマスク、お前は何故戦う?身寄りのなかったお前にこれまで食事を与え、技を教えて来たのは何のためだと思う?と問いかけたミスターXに、直人はありがとうございますと礼を言うが、持って来たタイガーマスクをテーブル上に置くと立ち去ろうとする。

そんな直人に、このまま組織を抜けようとすると、お前は死を持って償うことになるぞとミスターXは警告する。

もうここに俺の居場所はなくなりましたと言い残し、立ち去る直人。

部屋に1人になったミスターXのいつも光っている青い左目が、赤く変化する。

その後、試合の様子を観ていた総帥は、各地の虎の穴の様子を報告に来た男(三池崇史)に、ヨーロッパの状況を聞き、これからアメリカ大陸の状況を調べに行くと言う男に、綿密に調査しろ。東京支部は危ういかもしれんと命じる。

翌朝、ちびっこハウスのジャングルジムの所にやって来た子供たちは、そこで寝ていた直人を起こすと、侵入した不審者と思い込み、ルリ子とその兄の園長を呼ぶ。

何事かと近づいて来たルリ子は、直人が首から下げていたネックレスを観て、その青年があの伊達直人だと気づくと驚く。

そして、園長室に戻った兄に、直人をここのスタッフとして雇って欲しいと頼む。

すでに、父の若月光太郎は亡くなっており、園長室の壁に遺影が飾られていた。

兄は、子供の養護と遊びは違うぞ…と釘を刺した上で、住み込みのボランティアとしてなら…と条件付きで許可する。

かくして、直人は「ちびっこハウス」のスタッフとして、慣れない雑用に明け暮れる毎日が始まる。

そんなある日、外で直人と二人きりになったルリ子は、直人が、この10年間、何をしていたのかと聞く。

直人は、実は、お金持ちの紳士に認められて動物園で働いていたんだけど、最近、その人と喧嘩して出て来たんだと答えたので、信じられない様子のルリ子がその動物園の名前を聞くと、虎の穴と直人が答えたので、冗談だと思い込む。

そろそろクリスマスの時期が迫っていた。

その頃、虎の穴では、ジョーがあいつと戦う許可を下さいとミスターXに直訴していた。

数日後、「ちびっこハウス」の募金箱を開けてみたルリ子は、大金が入っていたので、驚いて、直人を呼びに行くが、直人はすやすやと眠っていた。

そんな直人にルリ子はそっと掛け布団をかけてやるのだった。

ある日、子供たちを川に魚釣りに連れて来たルリ子は、同行して来た直人に、ちゃんと資格を取って、ここで働いてくれないかと頼む。

直人は、ただ、ありがとうと感謝するしかなかった。

そんな河原の直人の様子を、土手の上から見ていたのはジョーだった。

その後、「ちびっこハウス」に戻った直人やルリ子は、ハウスが燃え上がっているのを知り、愕然とする。

アキラ先生がまだ中に入ると子供が言うので焦るが、何とか、最後に残っていた子供を抱えた園長が門の所に逃げ延びて来る。

直人から、どうしてこんなことに!と聞かれた園長は、分からない。不審者を観たと言う子供がいる。背が高くあごひげを生やした男だったそうだと答えたので、それを聞いた直人は、不審者の正体に気づき愕然とする。

直人はその後、虎の穴のミスターXの元に戻って来ていた。

お前を待っていたよと言うミスターXに、「ちびっこハウス」に火を放つよう指示したのはあなたですね?と詰め寄る。

虎の穴の掟を破ったお前だが、許してやらないでもない…、ミスターXはそう切り出して来る。

情は弱者の言うことだ。お前はくだらない情に流された!と直人を責めるミスターX

しかし、直人はマスクを装着し、タイガーマスクに変身する。

その時、タイガーマスクの前に現れたのは、観たこともない相手だった。

それは、ミスターXが開発した新しいマスクでジョーが変身したグレートタイガーマスクだった。

始末するんだ!グレートタイガー!虎の穴を裏切った報いを受けさせろ!ミスターXがそう命令する。

タイガーマスクは、グレートタイガーと戦い、ジャンピング殺法で相手を頭から地面に叩き付ける。

グレートが倒されたことを知ったミスターXは、自ら杖を持ち、タイガーに挑んで来る。

しかし、Xもタイガーマスクの敵ではなく、投げられて崖から墜落する途中、かろうじて、崖に突き刺した杖にしがみついていたが、覗き込んだ直人に、お前は必ず、私の元へ返って来る!と叫ぶと、自ら手を離し、落下してしまう。

1人になった直人に近づいて来たのはマキだった。

油断するな、直人。ここは閉鎖されるだろうが、虎の穴は世界中にある。これからどうするんだ?と語りかけて来たマキに、俺はもう逃げません。戦い続けます!と決意を述べる直人。

直人は焼け残った「ちびっこハウス」に戻って来る。

焼け残った園長室の先代若月先生の遺影を観た後、室内を見て回っていた直人は、1人部屋に残って整理をしていたルリ子と再会する。

直人!と驚くルリ子に、俺のせいだ…、本当にごめんと詫びる直人。

意味が分からず、どうして直人のせいなの?とルリ子は聞くが、俺が戻って来たから…と直人は悔む。

パパはね、直人のことを本当の息子のように思ってたのよ。だから、死ぬまで、直人が必ず戻って来ると信じていた。だから、私も、直人が戻って来てくれて本当に嬉しかった!俣どっかに行っちゃうんじゃないでしょうね?と言うルリ子の言葉を聞いていた直人は、感激して、ルリ子を抱きしめると、初めて、守りたいものが出来た。だから行くんだ。必ず、又戻って来る。俺の帰る場所はここしかないんだと告げる。

その言葉を聞いたルリ子は泣き出してしまう。

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これで終わりだと思うなよ…、そう呟くミスターXの背後には、次なる刺客となる新たな青年が立っていた。