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月光仮面 幽霊党の逆襲

宣広社製作のテレビ人気番組「月光仮面」の東映による映画版だが、本来87分あるはずの映画の、今回観たのは60分くらいになった短縮版のようである。

自分が観て来たこのシリーズの中では、あまり良くできた話とも思えないので、短縮されていてもさほど悔しさはない。

何よりテレビバージョン版を知っていると、この作品に不満がないではなく、幽霊党の話なのに、幽霊党の連中が消えたりするテレビ版でお馴染みだった特撮がないことである。

単純なオーバーラップ技法とは言え、こうした処理があるかないかで敵の怖さや怪しさは全然違う。

映画版では、幽霊党の恐怖感がすっかり失われてしまっており、昔の少年マンガなどに良く出て来た単なる全身黒頭巾集団に過ぎない。

幽霊党とは名ばかりで、首領に至ってはドクロ仮面の亜流止まり。

心霊術を使うと言う設定があるのに、そうした怪し気な術も視覚的には登場しないので、最後は単なるピストルの撃ち合いと言う単調さ。

では、特撮は一切ないのかと言えば、東映お得意の爆破シーンはちゃんと用意されており、合成も、オープニングとラストに、空に月が合成されている。

ラストシーンで、月光仮面が空を飛んで崖を飛び移ると言う、飛び人形も使用されている。

どうやら当時の東映は、テレビ版の方で話題だった、マンモスコングの回の着ぐるみやミニチュア特撮、この回の幽霊党のオーバーラップ技法など、手間がかかりそうな特撮は省いてしまっているとしか思えない。

その代わり、月の絵の合成とかミニチュアの爆発の一発撮りなどは、それほど手間がかからないし慣れているので取り入れた…と言うことなのだろう。

確かに、ミニチュアの爆破は手慣れた感じがして巧い。

刑事や警官隊の描写などは、さすがに古くからテレビ刑事ものなども多く手がける東映らしく安定感がある。

事件展開も、子供向けとは言え、一応大人が作っている最低限の配慮のようなものは感じるので、大人になった今観ると、特に退屈と言うこともないのだが、子供時代にこれを観ていたら、幽霊党の衣装など以外にあまり奇想天外な要素と言うか、けれん味がないので退屈に感じたのではないかと思う。

ただ、月光仮面の曲乗りなどは、若い頃の舘ひろしでも入っているのではないかと思いたくなる程度の動きは見せてくれる。

はる子を演じているのは、後に国会議員になった山東昭子。

ごく普通の娘と言った感じで、目を見張るような美少女と言う感じではないが、それほど年少設定でもないのに、月光仮面のおじさん!などと言っているのがおかしい。

祝探偵役の大村文武は、一重まぶたと言うこともあるせいか、幽霊党の子分を演じている潮健児などとあまり変わらないような印象で、やや酷薄そうに見えてしまう所はある。

今観ると、若いし、それなりにばりっとしたスーツなどを着ているので、かろうじてヒーローの体裁を保っていると言う風に見えなくもない。

敵役の首領を演じているのは、往年の二枚目俳優岡譲司。

この時代は、子供映画の敵役などを良くやっていた頃だと思う。

敵のボスの情婦的なおりんが登場するのも嬉しい。

最初はメガネキャラで登場するが、後半は、幽霊党の紅一点として最後まで付き合っている。

まだ時代が時代だけに、肌も露な衣装などは身につけておらず、大人向けのお色気サービスはないが、かなりきれいな女優さんである。

特撮マニア的に嬉しいのは、藤田助手を演じているのが、「ウルトラセブン」「ひとりぼっちの地球人」での仁羽教授や、「第四惑星の悪夢」でのロボット長官などでお馴染みの成瀬昌彦であること。

本作でも、額の秀でたインテリ風の風貌を生かした研究室の助手役で、心霊術をかけられ苦しむ青年の一人芝居を良く演じている。

ラストシーンに、五郎八や子供たち(男の子は何と子役時代の風間杜夫!)が来ているのに、カボ子が来てないのがちょっと不自然な気もしないではないが、売れっ子だった若水ヤエ子のスケジュールの関係でロケに不参加だったのかもしれない。

短縮版なので断定は出来ないが、映画版シリーズの中では、せいぜい平均作程度…と言った出来ではないだろうか。


▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1959年、東映、川内康範原作、織田清司脚色、島津昇一監督作品。

真っ暗なワイド画面の左側に三日月。

その左側に月光仮面が合成出現、手前にズームアップして来て、2丁拳銃を画面に向かって撃つ。

タイトル

バイクを走らせる月光仮面を背景にキャスト、スタッフロール

機関車と並走する月光仮面の勇姿

とある大学の地質学研究所

夜の11時、研究室に残っていた地質学の権威鈴木博士(斎藤紫香)は、依頼主からの電話に、おめでとう!データはさっきそちらに送った。あんあ良質の物が日本にあったとは…と実に嬉しそうに電話で会話していた。

妹さんが心配してるだろうから早く帰りたまえと鈴木博士から声をかけられた助手の藤田(成瀬昌彦)は、お茶でも入れてきますと言い残し、研究室を出ると、給湯室でやかんに水を入れ、コンロにかけていた。

その時、室内を見回っていた守衛が通りかかり、毎晩大変だな。身体に気をつけなよと藤田に声をかけ、外に出て行く。

1人、研究所で顕微鏡をのぞいていた鈴木博士は、誰かが部屋に入ってきた気配に気づき、藤田君…と言いかけるが、そのとき部屋の電気が消えたので、驚いて振り返ると、ドアの所に立っていたのは、髑髏の面をかぶった怪しい人物と、黒い三角マスクに白い一つ目が書かれた部下のような人間たち数名だったので驚く。

部屋の前にやかんを持って戻って来た藤田助手は、通用口が開いており、雨の外から中に侵入したらしき、濡れた複数の足跡が研究室に続いているのを発見、慌ててドアを開けると、そこに鈴木博士が倒れていたので、驚いて駆け寄ろうとするが、その時、怪しい黒服面に一団に襲いかかられる。

髑髏マスクをかぶっていた首領のような男は不気味に笑い出す。

翌朝、地質学研究所の前は、大学生、新聞記者、現場検証の刑事たちでごった返していた。

そこにやって来たのは、祝探偵(大村文武)と助手の袋五郎八(柳谷寛)が乗った車。

又、担ぎ出されたんですね?などと言う記者たちに囲まれて研究所に入る祝の後から車を降りた五郎八が、やっぱりうちの先生は人気があるなぁ~と自分のことのように威張っていると、馴染みの山本記者(草刈竜平)が、五郎八先生、ご意見をとからかって来る。

研究室内では、警視庁の松田警部(増田順司)が、守衛から、夕べ、確かに藤田助手は残っていたんですね?と確認していた。

藤田助手が、今朝になっても姿を見せないので怪しんで調べていたのだが、そこに入って来た祝が、藤田犯人説には疑問があると言いながら、室内を見回し、「48-6072」と書かれた紙切れを拾い上げ、松田警部で手渡す。

電話番号と気づいた松田警部は、すぐさま部下に相手先を調べさせる。

松田警部は、殺された鈴木博士は、いつもここに泊まり込んでいるような、身寄りもない変人だと祝に教える。

そこに、藤田の妹の直子(香山光子)がやって来て、昨日出たきり兄は帰っていないと言うので、鈴木博士が殺されていたことを松田は知らせる。

いつも何時頃帰って来るかと聞くと、特に決まってないが、最近は11時頃になることが多かったと直子は答える。

研究を鈴木博士に依頼してたのは誰だろう?と考えていたが、そこに、先ほどの紙切れに書かれた電話番号の持ち主が分かったと刑事が知らせに来る。

電話番号は、六本木に住む大岡鉄蔵と言う人物の物だと言うので、祝と松田警部は早速会いに行く。

大岡鉄蔵(佐々木孝丸)と自宅応接間で対面した2人に茶を運んで来たのは、1人娘のはる子(山東昭子)だった。

鈴木博士との関係を松田警部が聞くと、自分は山師で、以前は石の鑑定などしてもらっていたが、最近は会ってないし、研究所を訪れたこともないなどと迷惑気な態度になった大岡だったが、鈴木博士が夕べ殺されたと聞くと、驚いたように立ち上がる。

その間、部屋の外に出たはる子に、夕べ、お父さんは電話はしなかったかと聞いた祝は、嬉しそうに11時頃話していた。相手は鈴木博士と名乗った。自分が最初に電話に出たので間違いありませんとはる子は答える。

結局、何も答えようとしない大岡を残し、松田警部は祝探偵と共に、屋敷を後にする。

殺人事件の捜査本部に帰って来た松田警部と祝探偵は、刑事たちの調査の結果、大岡は、戦前の昭和15年、ぱっとしない日本から満州に渡り、一山当てららしいが、戦後は帰国、今では何をやっているのか良く分からない不思議な男だと言う報告を受ける。

祝探偵がはる子から聞いた情報から、大岡が鈴木博士に依頼した鑑定が成功だったことも確かなようだった。

大岡と藤田隆二が事件の鍵を握っているらしかった。

その時、長谷川刑事から電話が入り、藤田が自宅に帰宅して来たが、興奮状態で病院に運ばれたと言う知らせが入ったので、松田や祝たちは、入院先の関東第一病院へ向かう。

病室のベッドに寝かせられていた藤田は錯乱状態で、何者かに向かい、首輪、止めてくれ~!僕は何も知らない!苦しい~!などと叫んでいたかと思うと、急に黙り込んで無表情になったりする異常な状況だった。

そんな錯乱状態になった兄を見舞っていた妹直子は、ベッドの上で泣き崩れる。

メガネをかけた看護婦が、鎮静剤を打とうと、藤田の左腕をまくり上げると、そこに「幽霊党」と墨で書かれていたので、それを観た松田警部と祝探偵は驚く。

その後、祝は、鷹の羽道寛(岡譲司)と言う心霊術の権威の屋敷を訪れていた。

茶室で祝に茶を振る舞いながら、その藤田の症状は心霊術を使ったものだろうが、それほどの術が使える男は日本にはいない。強いて挙げるとすれば、死んだものの名を出さねばならんと道寛が言うので、その亡くなった人と言うのは?と祝が聞くと、竹林賢法と言う人物だが、満州で死んだ。それ以外では知らんと道寛は言い切る。

その夜、付き添っていた直子がちょっと部屋を出た隙に、ベッドに寝ていたはずの藤田がパジャマ姿のまま起き上がって出て来る。

藤田は、廊下に写った謎の影の手招きに従うように病院の入口から外に出て行くが、張り込んでいた2人の刑事がこれに気づき、後を付けることにする。

大岡家では、はる子がピアノを弾く中、中庭で大岡が考え事をしながら歩いていたが、その外を張っていた松田警部らは、近づいて来る藤田の姿に驚き、取りあえず車の陰に隠れて様子を観ることにする。

そこに、病院から尾行して来た刑事2人が合流し、事情を話していると、当の藤田は大岡家の門から中に侵入しようとしていたので、慌てて背後から止めようとする。

その時、近くの物陰に潜んでいた幽霊党の2人が銃撃して来たので、刑事たちは藤田を確保しながら、幽霊党を追って行く。

すると、止めてあった警察車両の窓に「幽霊党」の貼紙がしてあるではないか。

大岡の屋敷の中では電燈が点滅し出し、はる子が怯えるので、部屋に入ってきた大岡が抱いて落ち着かせようとするが、その時、ドクロマスクを付けた幽霊党の一団が入って来たことに気づく。

大岡!俺のこの声を聞けば名乗らずともお前には分かるはずだとドクロ仮面が言うと、貴様!竹林賢法と、大岡は娘を守りながら驚く。

大岡!貴様が例え、地に潜ろうとも、幽霊党から逃れることは出来ない。わしは、腕の良い山師である大岡鉄蔵に用がある!とドクロ仮面は言う。

幽霊党の子分ははる子を拉致すると、連れ去って行き、ドクロ仮面は大岡に、わしの残忍さは知ってるだろう?と脅すと、氷川神社の狛犬の足の下に、時と場所を指定した名刺を置いておくのだと言い残し、立ち去ろうとする。

その時、月の光を~♪ 背に~受~けて~♪と言うメロディが聞こえて来たので、あれは何だ?とドクロ仮面が聞くと、辺りをきょろきょろ見回っていた子分の1人が、夜空の雲が切れて月が姿を現し、二階の窓ガラスに写った人影を見つける。

何者だ!とドクロ仮面が誰何すると、月よりの使者月光仮面!この世に悪がある限り、月光仮面は現れる!と言って月光仮面が出現したので、バカめ、地獄よりの使者幽霊党を相手にする気か?とドクロ仮面はうそぶき、銃撃戦が始まる。

屋敷内から聞こえて来た銃声に気づいた松田警部たちは、一斉に内部に突入する。

警察が来たことに気づいたドクロ仮面は、月光仮面に捨て台詞を残して退却する。

何とか、月光仮面に助けられたはる子だったが、気づくと、父親の大岡の姿がない事に気づく。

そこに松田警部、少し遅れて祝探偵も駆けつけ、大岡がいない事を知ると、しまった!彼さえいてくれれば、幽霊党の正体が分かったのに…と悔しがる。

自動車2台で秘密の屋敷に部下たちと帰って来たドクロ仮面は、邪魔をしてくれた月光仮面への復讐を誓うと共に、大岡を見つけ出す為に、警察や祝の周辺にも監視を怠るなと部下たちに指示を出す。

その後、祝探偵事務所前で、怪し気な男がうろつくようになる。

事務所内では、取りあえず、はる子をしばらく事務所に保護することになり、松田警部も来ていた。

はる子は、パパは、あれは俺のものだ!身体を張って見つけたものだと言ってましたと、幽霊党が来た時、大岡が言っていた言葉を祝や松田に教えていた。

祝は、不安がっているはる子に、はる子さんは、パパを信じていてくださいと落ち着かせる。

五郎八やカボ子(若水ヤエ子)も、お茶をもてなし、優しくはる子を迎える。

祝は松田警部に、幽霊党のからくりが分かりかけてきました。

大岡は何かを鈴木博士に依頼した。

それは幽霊党が殺人を犯してまで狙っているもの。

大岡が、どこかに身を隠したのも、心霊学に長じた首領が恐ろしいのでしょうと説明する。

松田警部は、鷹の羽道寛を病院に連れて行こうと思っていると明かすと、それも良いかもしれないと祝も賛成する。

藤田が入院している病室にやって来た鷹の羽道寛は、カーテンを閉めさせ、部屋を暗くすると、これは、心霊術だけではなく、極度の疲労困憊も加わっているようなので難しいかもしれないと前置きした上で祈祷を始める。

その頃、大岡の屋敷を警戒していた刑事は、やって来た祝探偵がいきなり閉ざされていた門を開けて中に入ろうとしたので、驚いて同行することにする。

その門の所にも、見慣れぬ男が近づき、中の様子をうかがい始める。

屋敷の中に入って内部を観察し始めた祝は、庭先に潜んでいた怪し気な男に気づく。

同行していた野村刑事(久保一)たちは、一斉にその男を追うために外に飛び出す。

室内に1人残った祝探偵は、洋酒だなの方に目をやると何事かを考え込み始める。

一方、病室の藤田助手は、僕は…と何か言いかけるが、そこで昏睡してしまう。

鷹の羽道寛は、ダメじゃ、わしの術では解けん!と力尽きる。

祝探偵事務所では、五郎八が、はる子のために料理を作ってやっていた。

はる子は恐縮し、手伝おうと言うが、カボ子があなたはお客様だから座っていて、五郎八さんは私の言うことなら何でも聞くんだからなどと調子の良い事を言うので、台所で聞いていた五郎八は文句を言うが、その時、玄関のブザーが鳴ったので、先生が帰って来たとカボ子は喜び、玄関先に向かおうとするが、同居していた繁少年(風間杜夫)が、先生じゃないよ。先生はブザーを2度押すけど、今のは1回だったと鋭い指摘をしたので、カボ子は怯え出す。

五郎八が誰ですか?と勇をふるって声をかけると、警察のものです。こちらに大岡はる子さんがおられるはずですが、多摩川で水死体が発見され、それが大岡鉄蔵氏のようなのでお迎えに上がりました。祝先生は現場の方に直行なさるはずですと言うので、はる子は色を受けるが、五郎八とカボ子は、そんなはる子を支えながら、刑事らしき男の車に乗って一緒に出かけることにする。

五郎八は、隣に座ったはる子を慰めるつもりで、幽霊党なんて、この五郎八様がかたっぱしからのしちゃいますよ!などと吹聴する。

そんな中、前に座った刑事らしき男は、先に現場に連絡しておきますと良い、無線で呼びかけるが、その無線を受け取った相手は幽霊党の首領ドクロ仮面だった。

やがて、はる子らが乗った車の前に、ドクロ仮面が乗った車が飛び出して来て通路を防ぐと、中から降りて来た子分たちが、はる子を連れ去ろうと襲いかかる。

車から降りる、刑事に化けた幽霊党の一員は、かたっぱしからのしちゃったらどうだ?俺もなと五郎八に笑いかける。

五郎八は、まんまと敵の罠に落ちたことを悟りながらも、必死に抵抗し、本当に刑事役の男の頭を殴りつける。

怒った幽霊党の子分たちから逆襲された五郎八は、道ばたに気絶してしまう。

一方、カボ子の方も必死に抵抗し、ツインテールを引っ張られて車外に引きづり出されると、相手の足に噛み付いたりするが、こちらも道ばたの壁に叩き付けられてしまう。

無事、はる子を手に入れ、車で逃走するドクロ仮面は、祝の間抜けめ。これで餌が出来た。後は、日本中の新聞が俺に力を貸してくれると愉快そうに語る。

その時、背後から、バイクに乗った月光仮面が追尾して来ていることに気づく。

撃って撃って撃ちまくれ!とドクロ仮面は後部座席の部下に命じ、部下は機関銃を撃ち始めるが、月光仮面はバイクの上に腹這いになる曲乗りを見せ、弾を避ける。

先行していた幽霊党の車を月光仮面のバイクが追い抜くと、次のT字路で月光仮面が右に曲がった瞬間、幽霊党の車は左に曲がり逃れようとする。

しかし、気がつくと、月光仮面は前方から向かって来るではないか!

さらに、幽霊党の車に接近した月光仮面は、バイクの上に立ち上がると、ジャンプして幽霊党の車の上に飛び移る。

停まれ!と言いながら、月光仮面が運転席に銃口を向けると、幽霊党の車は鉄橋の上で停止し、銃撃を始める。

月光仮面は大きくジャンプし、鉄橋の橋脚の上に飛び移る。

そこに、後から追って来た幽霊党の子分たちの乗ったオープンカーが到着したので、ドクロ仮面は目つぶし弾を投げさせる。

一旦は、車の外に逃れかけたはる子だったが、またもや、敵のオープンカーに拉致されてしまう。

幽霊党の車は爆弾を橋の上に投げて逃走し、その直後、鉄橋は大爆発を起こす。

ドクロ仮面の読み通り、翌日の新聞紙上には「大岡氏の長女誘拐される」という記事が大きく報じられていた。

さすがにこれだけ大々的に報じられれば、身を隠している大岡も読むはずだった。

祝探偵事務所では、五郎八とカボ子が、祝の前に辞職届を提出し、はる子を奪われた詫びをしていた。

しかし祝は一笑し、こんなものは引っ込めたまえ、君たちに頼んで出かけた僕が悪いんだと、皮肉るように慰め、そのまま出かけて行く。

後に残されたカボ子は、はる子さんに悪くて…と泣き出してしまう。

そのはる子は、幽霊党の屋敷の中の牢に閉じ込められていた。

パパや私をどうしようと言うの!とはる子が気丈にも聞くと、外に立っていたドクロ仮面は、今に何もかも分かるよと言い残し、立ち去って行く。

捜査本部の松田警部は、死んだ人間が敵の首領で…などと、祝探偵と共に事件の展開を整理しながらも混乱していたが、その時、入院していた藤田助手の意識が戻ったとの電話が入る。

早速松田と祝はすぐに病院へと向かう。

病室では、直子が、目覚めた藤田に、もう3日目になったのよと教えていた。

やって来た松田警部に、鈴木先生はどうなったんですか?と藤田が聞いて来たので、殺されていたと教えると、やはり、あの黒覆面の男が…と驚きながらも呟く。

その時、メガネの看護婦が、お薬の時間ですからと言い、吸いのみをを藤田に含ませようとするが、それを横から奪い取った祝探偵は、吸いのみの中身を、窓際に置かれていた金魚鉢の中に投じる。

すると、瞬時に金魚たちが死んで浮かんで来たので、松田警部たちは驚く。

看護婦はいつの間にか銃を取り出しており、良く幽霊党のおりん(藤里まゆみ)を見破ったねと言い残し、病室から逃げ出したので、刑事たちが後を追うが、病院前に用意していたらしき車でおりんは逃走する。

病室では、大岡が鈴木先生に依頼して来たのはウラン鉱だったと藤田が証言していた。

それを聞いた松田警部と祝は、大岡は欲に目がくらみ、政府に届けることなく、ウランを海外に持ち出そうとしているのか!と推理する。

ぐずぐずしてはいられなかった。大岡が姿を現すかもしれなかったからだ。

実際、大岡は動き出していた。

密かに氷川神社にやって来た大岡は、約束通り、狛犬の足の下に、幽霊党と会う時間と場所を記した名刺を置いて行く。

その場で監視をしていた子分(潮健児)が、すぐさまそれを首領のドクロ仮面のもとに届ける。

その名刺の裏には、「今夜10時、自宅で会う」と書かれてあった。

それを読んだドクロ仮面は、とうとう降参したか…と笑う。

その頃、自宅に戻って来た大岡は、どんでん返しになった洋酒棚の秘密の抜け穴から部屋の中に戻って来るが、そこに祝が待っており、私はあなたがこの家の中に潜んでいると思っていたんですよ。やっぱり奴らと取引するんですね?と話しかけると、驚いて、あなたは竹林賢法がどんなに残忍か知らないんだ、わしは1人で話し合うつもりだ。帰ってくれ。あんたがここにいるとぶち壊しだ!と迷惑がる。

そこに、祝に知らせたのか?と声がして、ドクロ仮面を先頭に、おりんと幽霊党が入って来る。

しかし祝は動じず、お前たちは袋のネズミだ!と言い、次の瞬間、屋敷のあちこちから、待ち構えていた警官たちが突入して来る。

幽霊党は、目つぶし弾を投げながら、大岡を拉致して逃亡を図る。

祝は刑事や警官たちに、目に気をつけろ!と注意する。

松田警部は、「至急!至急!松田警部より警視庁!」と警察無線で応援を呼びかける。

自分たちの屋敷に戻って来たドクロ仮面は、例の仕掛けの点検をしとけとおりんに命じる。

テーブルの椅子に座らせられていたはる子の前に連れて来られた大岡は、すまん!お前にこんな思いをさせて…と詫びる。

ドクロ仮面からウラン鉱の場所を聞かれた大岡は、四ツ峰峠の麓にある廃坑の中だと教え、バッグに入れていた詳細な地図とウランの鑑定書、権利書などを提示する。

すべて渡したのだから助けてくれと頼んだ大岡だったが、ドクロ仮面は、俺は人を信用しない男だ。2人とも山まで来てもらおう。お前は山師だろう?山師は山で生き、山で死ぬんだと言い出したので愕然とする。

そこへおりんがやって来て、準備完了です。すぐ出発しましょうと声をかけて来るが、その時ドクロ仮面は、側に立っていた1人の部下の前に来て、覆面を取ってみろ!と命じる。

部下が動かないので、ドクロ仮面自身が覆面を剥ぐと、中から出て来たのは祝探偵だった。

この賢法の目をごまかせると思っていたのか?とドクロ仮面が嘲ると、ウランを国外に持ち出せると思っているのか?と冷静に祝も応ずる。

そんな祝にドクロ仮面は、お前はここに残れ。爆破するこの屋敷にな…と言い、部下たちに牢に連行させる。

ドクロ仮面はおりんに爆破のスイッチを入れるように命じる。

おりんは、スイッチを入れ、後10分後に爆発しますと報告する。

その頃、牢の前に連れて来られていた祝探偵は、部下2人の隙を突き、倒して逃亡する。

おりんが、後5分です!と報告し、ドクロ仮面たちが屋敷を出かけようとした時、待て!と声をかけて来たのは、天井隅に潜んでいた月光仮面だった。

貴様!生きていたのか!とドクロ仮面が驚くと、月光仮面は不死身だ!と応え、またもや銃撃戦が始まる。

しかし、廊下に降り立った月光仮面は、おりんがスイッチを入れると、落とし穴に落ちてしまう。

ざまあみ見ろ!飛んで火にいる夏の虫とはお前のことだ!祝と共にこの屋敷でぶっ飛ぶのだ!とドクロ仮面は下を覗き込みながら笑うと、床を閉めさせる。

そこに、祝に逃げられました!と知らせる子分がやって来たので、バカめ!と叱りつけながらも、幽霊党は屋敷を脱出する。

刻々と残り時間を刻む時計の画像と、鉄格子のは待った窓のある地下室で考え込む月光仮面。

やがて、月光仮面は、2丁拳銃で鉄格子の1本を集中的に撃ち始める。

そして、その鉄格子をねじ曲げ、何とか廊下に脱出した月光仮面だったが、屋敷は大爆発を起こして崩れ去ってしまう。

四ツ峰峠に向かう車の中、このわしに逆らう奴はすべて消えるんだ、月光仮面のようにな…と助手席のドクロ仮面は後部座席に乗せられていた大岡やはる子に告げる。

その頃、捜査本部には、大岡や幽霊党が四ツ峰峠に向かったとの連絡が入っていた。

警察は直ちに出動する。

一方、四ツ峰峠に到着していたドクロ仮面たちは、大岡に案内させ、廃坑の中に入っていた。

坑道に入った大岡は、鉱脈は、大体、これから先だとウランの埋蔵場所を教えると、ガイガーカウンターを持参して来たおりんが装置を作動させ、確かに反応があることをドクロ仮面に知らせる。

大岡は、頼むから帰してくれ!俺を殺してどうなる?と哀願するが、ドクロ仮面は、すべての証拠がなくなる…とうそぶく。

そんな四ツ峰峠に警官隊が接近していた。

坑道の奥へと行かされた大岡は、待ってこれ!殺さないでくれ!と命乞いを始め、はる子も、パパを助けて!と思わず、大岡の前に飛び出すと父親をかばおうとする。

その時、2人の後ろの坑道の影に潜んでいた月光仮面がいきなり幽霊党に銃撃を仕掛けて来る。

竹林賢法!正義の前に悪はない!と叫びながら、前に出て来る月光仮面に対し、応戦しながら外に逃げ出す幽霊党。

おりんは足を撃たれて負傷してしまう。

その時、警官隊も到着し、トラックから降り立った警官たちと幽霊党の銃撃戦になる。

そんな中、ドクロ仮面は崖をよじ上って逃げ出そうとする。

途中まで登ったとき、側の崖に月光仮面が待ち構えていたことに気づく。

待て、賢法!お前は逃げることは出来ないぞ!と叫んだ月光仮面は、さらに上に登り始めたドクロ仮面の側へ空を飛んで飛び移る。

ドクロ仮面はそれでも必死に崖をよじ上るが、頂上付近で月光仮面に追いつかれ、ドクロ仮面をはぎ取られてしまう。

そこに現れた幽霊党の首領は、何と、竹林賢法ではなく、鷹の羽道寛だった。

次の瞬間、道寛は足を滑らせ、はるか下の谷川の河原に墜落死してしまう。

下では、松田警部たち警官隊が幽霊党を一網打尽にしていたが、そこに、ごくろうさまですとバイクに乗った月光仮面がやって来る。

大岡は、みんな私が悪いんです…と反省していた。

はる子さん、良かったですねと月光仮面が声をかけると、月光仮面のおじさ〜んと呼び声が聞こえて来る。

五郎八が、元気になった藤田助手や、繁少年、木の実ちゃん(黒瀬千代子)らを連れて駆けつけたのだった。

子供たちが偉かったねと褒めると、私は何もしていません。正義の為に戦っただけですと言いながら、月光仮面はバイクで去って行く。

その後ろ姿を見送っていた五郎八や子供たちの後ろから、祝探偵が近づいて来て、嬉しそうに子供たちの肩を抱くのだった。

空には大きな満月がかかっていた。