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コント55号 俺は忍者の孫の孫

忍法表現は初歩的ながらも特撮技術で表現されており、東宝のコント55号主演作としては、本作の次に作られた「コント55号 宇宙大冒険」と共に、風刺色の強い特撮ナンセンス映画になっている。

冒頭、テレビレポーター役の砂川啓介が、子供達に将来の夢を尋ねると「政治家」と答え、そのために必要なことはとの問いに、「嘘つきになる」とか子供が答えている所から、すでに本作の狙いが透けて見える。

私も未読なのだが、今では、なかなか手に入らない幻の作品といわれる原作とは、全くかけ離れた内容になっているらしい。

白雲斎が出現する時の雷鳴は、東宝特撮ファンならお馴染みの「モンスターゼロ」出現の時の音。

劇中、二郎さんが司会を勤める番組名が「シルバーショー」なのは、コント55号が評判になった現実のテレビ番組名が「お昼のゴールデンショー」だったことのもじりだろう。

印刷物のインクを消し去る「墨消しの術」や、物を浮かせる「物体浮遊の術」、トンボ眼鏡をかけると相手の衣服が透けて見える「物体透視の術」など、ナンセンスな忍法が登場する。

コント55号主演の前2作「世紀の大弱点」(1968)と「人類の大弱点」(1969)が、わりと普通のドラマに近かったのにくらべると、本作は視覚的なナンセンスさがより強調されているだけ、若干、映画的になったと言えるかも知れない。

惜しむらくは、かなりの低予算だったらしく、視覚的な見せ場が全体的に安っぽく、それが、うまく笑いにつながっていないこと。

やはり、映画で笑いを取ろうとするならば、よほど、間の取り方など、笑いのセンスのある人が作るか、それなりの予算をかけて大仕掛けにしなければ、ナンセンスさが生きて来ないということが分かる。


▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1969年、東宝、山田風太郎「忍法相伝73」原作、桜井康裕+伊達八郎脚色、福田純監督作品。

消防署員、伊賀欽一(萩本欽一)は、ビルの屋上で男が焼身自殺しかけている姿を発見、慌てて現場に駆け付けるが、どうも、その焼身自殺は、地方から上京してきた甲賀二郎(坂上二郎)という男の売名目的でのパフォーマンスだったことに気付く。

すっかり仕事にも嫌気がさした欽一はその場で退職、行き付けの中華料理店で店主(藤岡琢也)相手に愚痴をこぼしていたのだが、あの甲賀二郎が話題の人としてテレビに出演しているのを目撃、世の中、何もかも嫌になって、自宅で首吊り自殺をしようとする。

しかし、紐を結んでいた梁が折れ、欽一の頭に落下。

その途端、雷鳴が轟いたかと思うと、不思議な煙と共に、その中から白髪の老人が出現する。

欽一の祖父の祖父、伊賀白雲斎欽一と名乗るその老人(萩本欽一-二役)は、伊賀忍法相伝の書なる巻物を欽一に授けると、それを読んで忍法を身に付け、ライバル、甲賀二郎をやっつけろと命ずるのだった。

今や、「シルバーショー」というテレビ番組の司会者に抜擢されるまでになった二郎の元を訪れた欽一は、テレビ番組の本番中、二郎に忍法勝負を挑むが、別に忍者でも何でもなかった二郎は持ち前の機転でその場をごまかして、欽一の鼻を明かすのだった。

一躍マスコミの寵児となった二郎の人気に目を付けた日本平和党の党首、相良以蔵(曽我廼家明蝶)は、二郎に国会議員として立候補を依頼する。

一方、大日本太陽党の幹事長、鷲塚剛太郎(伴淳三郎)は、欽一に二郎の選挙妨害を依頼することになる。

折から、忍術合戦の手伝いとして伊賀の里から欽一の家にやってきた、田吾作(由利徹)、権兵衛(たんくだん吉)の二人の忍者の協力も得て、二郎の選挙妨害を計る欽一だったが、考えつく作戦は全て裏目に出て、逆に二郎の人気は高まる一方。

万策がつき、二人のダメ忍者と共に死のうとした欽一だったが、相伝書の最後に記させた「忍法123 男子懐胎の術」を思い出し、それを試してみることにする。

代議士婦人を夢見、一時は二郎の秘書になっていた、かつての中華料理店のバイト娘、有明つな子(高橋紀子)の協力もあり、雄鶏が生んだ卵を、何とか、二郎に飲ませて妊娠させようとするのだが…。