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地球防衛未亡人

河崎監督、いつもながら、こちらの期待を外さないつまらなさ振りは健在。

監督お得意の、時事ネタと趣味の懐かしテレビ特撮ヒーローものを合体させた風刺特撮コントである。

バカ映画と言うほどハチャメチャなこともしてないし、パロディと言うほど元ネタを茶化している訳でもない。

コメディと言うほど笑えもしないし、風刺と言うほど鋭いことを言っている訳でもなく、ハラハラドキドキ感も皆無と言って良い。

だったら、良い所ないじゃないかと言われそうだが、確かにあまりない。

最初からブルーレイ上映と言う形だし、単館で、しかも上映期間も短そうなので、ブルーレイやDVD販売がメインで、映画館上映は「劇場公開作品」と言うお墨付きをつける為だけの宣伝用と割り切ったような展開なのだろう。

それでも、怪獣とか壇蜜とか、未亡人と言う言葉に反応してしまって映画館に来る人間がいると言うことが驚き。

その辺の、一部で絶滅危惧種とも言われている「物好き感覚」をちゃんと理解している河崎監督のプロデューサー感覚だけは感心する。

同じ怪獣ものの「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」(2008)より、スケール感もアイデアもより小粒になった印象で、何より登場人物がヒロイン以下ほぼ全員、演技に関しては素人同然みたいな人ばかりで(役者風の芝居をしているのは堀内正美くらいか?)とにかくセリフも一本調子なら、芝居も学芸会レベルで、これに、年齢的には大御所のはずの森次晃嗣の、高齢俳優特有の滑舌を良くしようとするあまり、わざとらしいセリフ回しになると言う物悲しい芝居が加わり、全体的にお寒い仕上がりになってしまっている。

トビヤマ参謀を演じている沖田駿一など、日活時代からキャリアは長いはずなのに、外見的にモト冬樹と大差なくなっているのに驚かされるくらいで、芝居としては、長いブランクを感じさせずにはおかない。

政治パロディ部分も、宇部総理やノッチのオズマ大統領が全く似ておらず、かろうじて面白かったのは、シロクラ元都知事くらい。

なべやかんなど、誰かの物まねで出ているのか、単なるオタク代表として素で出ているのか、その立ち位置が分からないほど。

テレビ特撮ネタも、全体的に今さら感100%みたいなネタばかりで、陳腐過ぎて苦笑すらも出て来ない。

怪獣ものとしても、最初から低予算で、都市破壊などのスペクタクルは一切ないことは承知の上なので、これ又盛り上がりようがない。

もちろん、ヒロイン役の壇蜜のお色気サービスなども期待すべくもなく、いつもはあった「ペーソス要素」も今回はないので、本当に見所がない作品になってしまっている。

これで、ヒロインがめちゃめちゃ魅力的とかならまだ救いようがあったのかもしれないが、どうもこのヒロインの壇蜜と言う人、個人的にはさっぱり魅力を感じない人である。

色っぽいとも思わなければ美人とも思わない。

表情に乏しい普通のお姉さんと言った印象で、それが特に本作では、輝くような魅力のあるキャラクターになっているかというと、そう言う感じでもない。

そもそも、このヒロイン、結婚式を明日に控えた前日に婚約者を死なせていると言う設定なので、結婚してない。つまり、未亡人ではないのではないか?と言う疑問が残る。

式より前に籍を入れていたとも考えられるが、そうした説明はなかったような気がする。

アメノウズメとの関連性も、分かるような、分からないような…

「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」を観た時、怪獣映画は本当に終わってしまったんだな〜…と言う一抹の寂しさがよぎったが、もはや、何もよぎらない。

怪獣映画も怪獣パロディも、共に遠い過去のものになったな〜…としみじみと感じさせる作品だった。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2014年、「地球防衛未亡人」製作委員会、右田昌万脚本、河崎実プロデューサー+脚本+監督作品。

JAP本部

緊急出動指令が突如発せられる。

大型物体が10分後に地球に衝突!と、本部にいたワコ隊員(大野未来)がモニターを観ながら報告。

墜落予想地点は、日本の南方、三角諸島と判明

タマオカ長官(森次晃嗣)は、墜落地点が今微妙な場所だけに顔を曇らせる。

島に衝突した物体から出現したのは、3年前に東京に飛来したベムラスと知ったダン隊員(壇蜜)は、長官!私に出動させて下さい!と嘆願する。

イワムラ博士(堀内正美)は、へたに刺激して人口密集地域に誘導してしまう恐れがあると警告する。

テレビニュースでは、キャスター(古谷敏)が、中国が、今回の魚島での騒動の責任は全て日本側にあると声明を出したと報道していた。

その時、モニターを観ていたワコ隊員が、ベムラスがいません!と叫ぶ。

探せ!とトビヤマ参謀(沖田駿一)は命じ、ワコ隊員は、日本本土に向かっているベムラスの姿を発見する。

長官はダン隊員に、JAPヤローでの出動を命じる。

フィフティ・ゲート オープン!

ベムラスは浜浦発電所に迫っていた。

チームメカニックのすかした青年カミゴウ(福田佑亮)は、JAPヤローに傷一つ付けたら、ただじゃおかないぜ!とダン隊員に声をかけて来たので、ダン隊員は軽くいなす。

出撃したJAPヤローのダン隊員は、浜浦発電所に接近したベムラスを攻撃。

良いぞ!ダン!と長官は喜び、ワコ隊員も、さすがダンさん!と感激する。

その時、攻撃していたダン隊員は、不思議な感覚に襲われる。

不思議な快感に襲われ、操縦席の中で身悶えし始めたのだった。

パイロットの異変に気づいたトビヤマ参謀は、攻撃中止を長官に進言。

トビヤマ参謀は、想定外の出来事です。万一浜浦がベムラスに襲撃されても責任は我々じゃない。今、引き返すのが得策です!と強く進言。

タマオカ長官も、ダン、中止しろ!と命じるが、ダン隊員からの応答はなく、JAPヤローは怪獣の攻撃で墜落して行く。

脱出するんだ!ダン!とタマオカ長官は絶叫する。

その直後、東都電力との回線が繋がり、浜本、加藤、村中と言う3人の担当者がモニターに登場、この建物は何ですか?と聞くタマオカ長官の質問に、最初はのらりくらりと言葉を選んでいたが、長官から、だから何ですか?と強く聞き返されると、使用済み核廃棄物の倉庫であることが分かる。

ベムラスは、倉庫から、その使用済み核廃棄物の入ったドラム缶を取り出し、ぱくぱくと食べ始めていた。

JAP本部の病室に入院していたダン隊員を見舞いに来たワコ隊員は、カミゴウさんが救出したのよと教える。

ダン隊員は、ベムラスはまだ生きているね…、悔しい!とベッドの上で顔を歪める。

ワコ隊員は、そんなにベムラスに執着する理由をダン隊員に聞く。

3年前、私は向島で芸者をやっていたの…とダン隊員は語り出す。

(回想)その頃は、売れっ子として、それなりに充実した毎日を過ごしていたが、そんなある日、礼次郎さんと言うお客さんと出会ったの。

礼次郎さんは、座敷で踊っている私に神的な物を感じると言った。

2人はたちまち恋に落ちたが、ベッドに誘われたダン隊員は、嫌!ちぎるのは結婚するのは待っておこうと言われ、その礼次郎の紳士振りに感激する。

ウエディングドレス姿を夢見るダン隊員。

結婚式を前にした最後のお座敷…

その時、ベムラスがやって来た。

座敷にいた礼次郎は、怪獣ベムラスが破壊した料亭の下敷きになり死亡。

その礼次郎の葬式で、バカよ、礼次郎さん!あなたは大バカよ!私を1人にして…、ちぎる約束出来なくなったのよ!帰って来て、帰って来てよ!と遺影に語りかけるダン隊員は、ベムラス、私は、絶対、お前を許さない!と誓う。

喪服を脱ぐダン隊員は、私の命を賭けて、絶対ベムラスを倒してみせる!と誓うのだった。

(回想明け)そうだったの…、話を聞き終えたワコ隊員は納得する。

ベムラスを倒すまで、私の復讐は終わらない…。でも、ワコちゃんにも言えないわ。攻撃したとき、感じたなんて…とダン隊員は心の中で恥じていた。

その頃、とある雑誌の編集部では、ベムラスに関して、何か別の切り口から記事に出来ないか?と編集長が言っていた。

JAPの天野ダン隊員が芸者上がりって言う噂があるんですが…と記者が言うと、編集長は、本当かね?と身を乗り出して来る。

ベムラスは、食事時間が3時間で、10時間の睡眠時間を取っていた。

JAP本部に、宇部総理(福本ヒデ)と矢住大臣(なべやかん)がやって来たので、タマオカ長官らとベムラスに関する会議を始める。

マゼラン星雲からやって来たと思しきベムラスは、前回東京を襲来したときより、パワーアップした印象だった。

その原因は核燃料を食べているからではないかとイワクラ博士は指摘、放っとけば良いんじゃないですか?大助かりじゃないですかとは言う。

その時、伝令を受けた首相が、中国の方で動きがあったみたいですと言うので、テレビのニュースをモニター上に出してみる。

キャスターは、中国もベムラスの所有権を主張、それを聞いたは、中国もベムラスの存在価値に気づいたようですと言う。

JAPで、ベムラスを調教出来ませんか?と突然、宇部総理が言い出したので、タマオカ長官は面食らう。

さらに、韓国が、縦島とベムラスを交換しようと提案があったと宇部首相に伝令が届く。

秘書は、ベムラスの所有権は日本にあると主張しましょう。そうすれば世界に対し、強気の外交が出来ますと宇部総理に提案する。

宇部総理はその意見に乗り、補正予算を出しましょうと言い出す。

それを聞いたトビヤマ参謀は、きっとベムラスを飼いならしたネコのようにしてみせます!と安請け合いする。

その時、モニターに出現したのは、妻らしき女性と抱き合っていたアメリカのオズマ大統領(ノッチ)だった。

ベムラスの所有権を日本が主張するのは、対外的には良いでしょうと言い、つまりは、肝心の時にはアメリカに任せろと言外に匂わせて来る。

そして、TPPの方も引き続き宜しく!と挨拶してテレビ電話を終える。

宇部総理は、アメリカの顔色をうかがいながらやりますと答え、隣で聞いていた秘書は、これまで通と言うこと…と皮肉る。

その頃、本部を抜け出し、「大伴クリニック」と言う病院に来ていたダン隊員は、大伴(モト冬樹)から、あなたは攻撃しています!と暗示をかけられ、身体が溶けて、どっかに行きそう…と身もだえていた。

大伴が、怪獣が倒れた!と叫ぶと、ダン隊員は、思わず、礼次郎さん!と叫ぶのだった。

診察を終えた大伴医師は、あんたは立派な変態ですと診断を下す。

雑誌記者の大賀は、向島に取材に来ていた。

当時のダン隊員を知る女性によると、当時、27、8だったダン隊員はおぼこ娘だったようだと言う。

よっぽど礼次郎さんを愛していたので、JAPに入ったのはその敵討ちの為じゃないでしょうかと女性は語る。

大賀は、それを聞いて、そうか!と合点する。

ベムラスは睡眠の時間だったので、一目その姿を観ようと、野次馬がその近くに集まっていた。

自衛隊は、オスプレイだけではなく、メスプレイも使いますと説明。

前方はオスプレイ、後方はメスプレイで、寝ているベムラスを大きなネットに包み込み、空中輸送する作戦に出る。

モニターでその様子を観ていたワコ隊員は、巧く行きましたね!と喜ぶ。

しかし、ワコ隊員は、病室から抜け出したダン隊員が、家にもいない事を知り、その安否を気遣っていた。

ダン隊員は、まだ大伴クリニックに通っていた。

大伴医師は、対抗催眠療法で記憶を呼び覚ましましたとダン隊員に説明していた。

あなたは、怪獣を攻撃するとき、性的興奮を感じていましたね?夫の仇を討つと言う形で興奮するんです。自分も死ぬことで、ご主人と永遠に結ばれると思ってらっしゃいますね?と大伴医師は指摘する。

あの時、私も死ねば良かったわ…とダン隊員が呟くと、好きな人が出来れば、この症状も改善するかも知れませんと大伴は言うが、好きなのは礼次郎さんだけです。私が操を捧げるのはあの方だけなのです!とダン隊員は答える。

私は処女でございましたとダン隊員が打ち明けると、33歳ですね?と念を押した大伴医師は、警告します。二度とあの怪獣と戦っては行けませんと断じる。

又戦うと言うことは死を意味しますと大伴は告げるのだった。

クリニックの外に出たダン隊員は、待ち伏せしていたらしきカミゴウと出会う。

やっと見つけたよと喜んで近寄るカミゴウに、あんたみたいなケツの青いガキに何が出来るのよ!とダン隊員は無視しながら歩く。

本部に戻って来たダン隊員は、事態は収拾したかのように説明するタマオカ長官に、あなたは地球防衛軍としての誇りはないんですか!と詰め寄る。

核廃棄物が日本で処理出来るようになれば、我が防衛隊も多大な費用を得ることが出来るとトビヤマ参謀は捕らぬタヌキの皮算用を始める。

君は、3年前にご主人が殺されたそうだな?ちっぽけな復讐心から言っているだけじゃないのか?と参謀は嫌味ったらしく聞くが、それに反論しようとしたダン隊員をビンタした長官も、ダン隊員、しばらく頭を冷やせと命じる。

ベムラスは、七ヶ所村核廃棄物処理場に送られ、そこで核廃棄物をたらふく食べ出す。

その様子を観ていたワコ隊員は、ドラム缶の大きさは施設によって違うんですか?と首を傾げる。

私の気のせいであれば良いのですが…とワコは不安げにモニターを見つめていた。

宇部首相は、しばらくベムラス特需が来ますよ。いわゆる、ベムノミクスです!とご満悦だった。

そこにやって来た元都知事のシロクラ(TABO)は、ベムラスを新しい東京のキャラクターにしたらどうでしょうと提案する。

検討しましょうと宇部総理が答えると、シンちゃんさ〜、あんたのお父さんとも俺親しかったんだよと馴れ馴れしく宇部総理に話しかける。

しかし、宇部総理は、アメリカの意見も聞いてみないことには…と煮え切らない態度。

そこにイワクラ博士が、総理!大事です!と言いながらやって来る。

核廃棄物のドラム缶を食べる瞬間のベムラスの写真が、7月10日時点のものと、7月17日時点のものとが並べて投影され、両者のドラム缶とベムラスの口の大きさの変化から、ベムラスは当初の1.5倍の大きさに成長したとイワクラ博士は説明する。

ベムラスも生物だからね〜、成長すれば大きくなるだろうとトビヤマ参謀はのんきに答えるが、ベムラスは生物として一つだけ行っていないことがありますと博士は指摘する。

一度も排便してない。ベムラスは便秘です!不純物が肛門付近に固まっているんです!とイワクラ博士は断定する。

このままだと破裂します!地球の生態系を破壊するほどの大爆発になります。もういつ起こってもおかしくない。もうパンパンですよ、ベムラスのお腹は…と博士は断定する。

その頃、大賀記者は、天野ダン隊員の本籍を探し当てていた。

そこは小さな神社だった。

そこにあった石碑には、天のうずめが舞い踊った…と記されていた。

宇部総理は、奥さんとベッドルームで就寝中のオズマ大統領をテレビ電話で起こす。

ベムラスが大きくなっているとの報告を聞いたオズマ大統領は、ベムラスは金の卵を産むガチョウだ。それを手放すなんて!と不快感を表すと、ベムラスの犬小屋を日本に置きたまえ!と命じる。

日本のリスクは何も変わらないとオズマが言うので、有事の際は?と宇部総理が恐る恐る聞くと、オトモダチを差し向けますとオズマは笑って通信を切る。

その日米会議を聞いたトビヤマ参謀は、イワムラ博士、ベムラスは爆発しないかもしれないじゃないか?怪獣なんだから、我々の人知を越えた存在だよ。今まで通り、核廃棄物を食べさせるよう、日米会議で決定した!と伝える。

それを聞いたタマオカ長官は、バッカじゃないの!と吐き出すが、言いたいことがあるんなら、相手の目を見て言うんだ!とトビヤマ参謀が睨みつけると、独り言ですよとタマオカ長官はすまして答える。

更衣室でユニフォームに着替えていたダン隊員の元にやって来たカミゴウは、もう止しなよ!と止めるが、礼次郎さんの為じゃないの。私が変態だから、ベムラスを攻撃すると感じる体質になったのとダン隊員は答える。

仇を取ったらどうするの?とカミゴウが聞くと、防衛隊を辞めると言う。

そんなダン隊員に近寄ったカミゴウは、俺を観ろよ!と迫る。

ワコ隊員は、イワクラ博士から、大変なことが起きるとき、電エースが現れると思っていると聞かされる。

電エースとは20世紀を救ってくれた異世界から現れる稀人なんだ。沖縄で、幾多の国難に際して現れたニライカナイなどもそうだと博士は解説し、彼が必ず現れると信じていると言う。

カミゴウは、ダン隊員を家のベッドに寝かせて帰る。

起きたダン隊員は、「変態でも良いじゃないか みつを」と言う置き手紙を読み、あの人、みつをって言うんだ。何よ、青二才が…と吐き捨てると、礼次郎さん、私どうしたら良いの?と悩む。

政府は、ベムラスが大きくなっていることを国民の目から隠す為、周囲を囲む建屋の建設を決定する。

その頃、大賀記者からダン隊員の写真を見せられた神社の宮司(きくち英一)は、ダンだ!生きていたのか!と感激していた。

記者が、JAPの隊員なんですよと教えると、30年ほど前、産まれたばかりの赤ん坊が賽銭箱の前に置き去りにしようとしていた女学生がいましたと宮司は話し始める。

聞けば、処女なのに解任したのだと言う。

ある夜、夢の中に巫女のような女が現れ、踊ったそうだ。赤ん坊が産まれた後、その女学生は何かに憑かれたようにここへ来たと言う。

その夢の中で踊っていたと言うのが、アメノウズメではないじゃろうか?その赤ん坊は、その後、子宝に恵まれない夫婦に預けて育てられたが、飛行機事故で両親とも死んだそうだ。

だが、彼女の死体だけは見つからなかった…と宮司は言う。

アメノウズメの生まれ変わりなんですかね?と記者が聞くと、私もそう思います。あんな事故で生き残るなんて、神様としか思えないと宮司も頷く。

(夢)君にはがっかりしたよ…と礼次郎はダン隊員に言っていた。

私が仇を討たないから?私が変態だから嫌いになったの?礼次郎さん、行かないで!嫌いにならないで〜!

礼次郎の後ろを夢中で追いかけていたダン隊員は、やっと男を抱きとめる。

しかし、その男は礼次郎ではなく、カミゴウだった。

(現実)悪夢から目覚めたダン隊員は、嫌〜!夢は全部あいつのせいだ!とカミゴウに恨みをぶつける。

通信機で本部に呼ばれたダン隊員は、JAPヤローにブースターを付けて、ベムラスを宇宙に連れて行くことにしたと長官から聞かされる。

ダン隊員は、やります!と答える。

ワコ隊員は、成功率は15%しかなく、死ぬと言うのと同じよと思いとどまらそうとするが、良いのよワコちゃんとダン隊員は頷く。

先日はすまなかった。あの時、君が参謀に反抗続ければ、停職処分は免れなかったろうとタマオカ長官は謝る。

3年前、私は礼次郎さんと一緒に死んだのです。

君には不思議な力があると思っている。最後の最後まで諦めるな!とタマオカ長官は励まし、カミゴウも、俺のJAPヤローに傷一つ付けずに帰って来てくれと声をかけて来る。

イワクラ博士は、ウランの匂いだけを抽出した液体が入った容器を作った。猫にとってのマタタビのようなものだね。これを。馬の鼻先に人参を結びつけるようにベムラスの鼻先に設置し、それを食べようと宇宙でかぶりつくと、地球上の1万倍に効く眠り薬が発生し、そのまま怪獣墓場に送り込むようになる。

宇宙ステーションV4には、君を救出する準備を整えておく。この地点まで何とかベムラスを誘導してくれとイワクラ博士はダン隊員に伝える。

その頃、大賀記者は、山口敏博士から、女性の力の永遠性です。アメノウズメの踊りには超能力があったと言うことです。伝説には性的な意味があったんですが、その女性の踊りを観た男はイチコロになると言われていますと解説を受けていた。

モニターを観ていたワコ隊員は、後1分でJAPヤローが発信します!と長官に告げていた。

その時、一緒にモニターを観ていたイワクラ博士が急にうろたえ出すと、JAPヤローに乗ったダン隊員がベムラスに容器を接近させると、急にベムラスが暴れ始める。

そんなに欲しかったこっちへ来い!操縦席のダン隊員は、ベムラスを挑発する。

緊急事態!

雑誌社に戻って来た大賀記者が、編集長に天野ダンの取材の件を報告しようとすると、テレビを観ていた編集長は、ベムラスがJAPヤローを追って宇宙へ飛び立ったぞ!と驚いていた。

JAPヤロー1号!食いついた!ダンさん頑張って!とワコ隊員は応援する。

その時、これはどう言うことか説明してもらおう!総理の許可は?と言いながらトビヤマ参謀が入って来る。

ない!私の一存でやっている…とタマオカ長官が答えると、長官、これはクーデターと同じことですぞ。国家反逆罪で逮捕します!とトビヤマ参謀は告げる。

直ちに、警部隊員2名に拘束された長官は、部屋の背後に座らせられる。

タマオカ長官は逮捕拘束した!ただちに引き返すんだ!と参謀は、モニターを通じ、JAPヤローのダン隊員に命じるが、ダン隊員は、長官、きっと私がベムラスを宇宙へ連れて行きます!と誓っていた。

その時、マシントラブル発生!

それを見たカミゴウは、リジェクトするんだ!押してくれ!頼む!とマイクに呼びかける。

しかし、ダン隊員がリジェクトボタンを押しても変化はなかった。

リジェクト不能!

ダン隊員、ヤロースパークだ!拘束されていた長官が叫ぶ。

ヤロースパーク作動!

ダン!機首を上げろ!とトビヤマ参謀も叫ぶ。

JAP本部を飛び出したカミゴウは、外で電エースに変身する。

電エースだわ!やっぱり来てくれたのね!頑張って!とワコ隊員は大喜び。

彼こそは、常識を超えたヒーローだったのだ。

それ行け!ヒーロー!

しかし、ベムラスの前に降り立った電エースは、敵の一撃で気絶してしまう。

それをモニターで見ていたトビヤマ参謀は、だめだ、こりゃ!と嘆く。

その時、拘束中の長官が立ち上がったので、どこへ行くんです?と参謀が聞くと、トイレだと言う。

トイレに入ったタマオカ長官は、携帯で会話をする。

あ、どうも…、何!本当ですか?どうも…と言って携帯を切る。

参謀、どうするんですか?とワコ隊員はトビヤマ参謀に迫っていた。

悩んでいたトビヤマ参謀は、トイレから戻って来たタマオカ長官に、あなたを一旦保釈します。事態の収束を命じて下さいと頼む。

長官はワコ隊員に、ラダチにダン隊員を救出に向かわせなさいと命じる。

地上に不時着していたJAPヤローから降り立ったダン隊員の背後からベムラスが接近して来る。

タマオカ長官は、ダン隊員に踊りを踊るんだとマイクで命じる。

ダン、踊るんだ!

それを聞いたトビヤマ参謀は、う〜ん…、もうダメ…とがっかりする。

ダンさん?ワコはモニター上で踊り始めたダン隊員の様子が可笑しいことに気づく。

ダン隊員は、踊りながらユニフォームを脱ぎ捨てていた。

モニターを見つめるタマオカ長官とトビヤマ参謀の目が輝く。

それに気づいたワコ隊員は呆れるが、モニターに目を戻すと、ベムラスの様子が変です!と報告する。

ベムラスはダンの踊りに興奮しているんだ!とタマオカ長官が言う。

そこにやって来たイワクラ博士は、大変なことになりました。「クラインの壺」はご存知ですか?と突然長官たちに質問する。

「メビウスの輪」の三次元版のようなもので、ベムラスの腸がねじれて、別の空間に繋がっているんです!つまり、核廃棄物は別の空間に送り込まれているのです。今、戻さなければ、地球がどうなるか!と言う。

しかし、だったら困ることはないじゃないかとトビヤマ参謀はむしろ喜んでいたが、イワクラ博士は、こう言うこともあろうかと密かに開発しておいたクラインビームを使って下さいと提案する。

ワコ隊員は、クラインビームを照射準備!と命じ、そのとき、ベムラスは倒れる。

やはり、彼女はアメノウズメ?と長官が呟いたとき、今だ!とイワクラ博士が叫ぶ。

ビーム照射!

ビームがベムラスの腹部に当たる。

成功したのか?都庁間から聞かれたイワクラ博士は、ベムラスの腸は空っぽになりました!と喜ぶ。

ベムラス自体は、のんきに居眠りを始めていた。

しかし、核廃棄物はどこに行ったんだ?とタマオカ長官が首をかしげていると、ワコ隊員が三角諸島です!と突き止める。

三角諸島全体が、使用済み核廃棄物のドラム缶に埋もれていた。

秘書は宇部総理に、処理には5000年かかると報告する。

いっそのこと、中国にやりますかな?と宇部が冗談を言うと、中国から、未来永劫、日本にあげると連絡があったと伝令が来る。

台湾にやれば、あそこも欲しがっていたろ?とシロクラ元都知事が言い出す。

近隣は最低の国ばかり…と宇部が落ち込むと、日本は神の国だよとシロクラ元都知事は言い、しかし、吉住は何であんな気持ち悪い顔してるんだ?俺に似てるって?バカ言うな!とぼやいていた。

ベムラスはその後、スペースオスプレイとメスプレイによって宇宙に帰された。

長官は、先ほどトイレで情報を電話でくれた大賀記者に礼を言っていた。

ダン隊員にワコ隊員は、あんなにベムラスを憎んでいたのに、良く許してあげましたねと聞いていた。

憎しみからは何も産まれないって…、礼次郎さんが…とダン隊員は答える。

みんなの心から憎しみがなくなると良いですねとワコは感激する。

でも、ダン隊員には、ワコにも言えない秘密があった。

ところで、電エースってどうなったんだろう?とワコ隊員は首を傾げる。

その頃、都内の「東京仕事センター」方面から、1人歩道を歩いて来る電エースの姿があった。