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サラリーマン物語 大器晩成

桂小金治、山田吾一、野呂圭介のトリオによるサラリーマン喜劇で、4本作られたシリーズの、本作は4作目に当たるらしい。

調べてみた所、前の3作は、山田吾一が主役だったり、桂小金治が主役のようなので、本作ではじめてトリオものになったのかもしれない。

そもそも、日活にも、この手のサラリーマン喜劇のシリーズものがあった事自体はじめて知った。

山田吾一は、同じ日活の「事件記者」シリーズなどで人気があった人なので、最初はその人気の延長線上の企画だったのではないか?

本作の主人公は一応3人と言う形になっているが、山田吾一の影はやや薄くなっており、メインは桂小金治のように見える。

コメディを強調しようとすると、どうしてもお笑いの方の感覚を持っている桂小金治の方を主役に持って来た方がやり易かった?

「昭和ガメラシリーズ」や「女中のおヤエシリーズ」などで活躍した高橋二三の脚本だけに、本作も、随所にアイデアが盛り込まれた楽しい作品になっている。

昔のテレビドラマ等でも活躍していた久里千春が、コメディエンヌとして大活躍しているのも楽しい。

ファンファン(岡田真澄)の実兄で、岡田美里の実父であるE・H・エリックが登場しているのも見所だろう。

日本語ペラペラの変な外人として、一時期活躍していた人だ。

しょぼくれた印象の河上信夫も、学歴がないばかりに苦労する課長にぴったりで哀愁を漂わせている。

ただし、東宝の植木等などのように強烈なキャラクターはいないので、全体的に地味な印象は拭えない感じはするものの、2本立てのプログラムピクチャーの1本としては、十分楽しめる内容だと思う。

これを機会に、シリーズの前の3本も観てみたいと思った。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1963年、日活、川野京輔原作、高橋二三脚色、春原政久監督作品。

(原始時代)空を稲光が走る。

落雷して木が倒れる。

倒れた木が燃えているのを観て驚く原始人3人(桂小金治、山田吾一、野呂圭介)

これは、まだ人類が猿に近かった頃の事である。

人間が火と呼ぶものとの遭遇である。

日本語で火、英語でファイアー、中国語でホオ、フランス語でフラム…と、みな「ハ行」の言葉なのは、最初に火に触れたときに出た人間の驚きを表しているのではないかと言われている。

地面に落ちている雷でやけた鳥を拾い上げた原始人(山田吾一)がそれを口にし、旨さに驚く。

これが焼き鳥の始まりである。

しかし、その後、いくら空を見上げても焼き鳥が降って来る事はなく、代わりに降って来たのは雪だった。ああ無情…

彼らは、寒さと上にさらされとさかに来ていた。

1人の原始人(桂小金治)が、拾った石を洞窟の奥の壁に投げつけると、不思議な事に火花が散った。

こうして人類は火打石を発見する。

やがて江戸時代

火打石で火をつけようと苦労していた3人の丁稚(桂小金治、山田吾一、野呂圭介)たちは、馬に乗って近づいて来た外国人(E・H・エリック)が、煙草にマッチをすって火をつけるのを観て驚く。

外国人は、彼らにマッチをプレゼントしてくれるが、その付け方が良く分からない。

外国人の始動のもと、1人の丁稚(野呂圭介)がマッチをマッチ箱ですろうとして大爆発が起きてしまう。

そして現在…

道に落ちていた煙草を拾い上げたホームレスのおじさんに、3人のサラリーマン平賀吾介(山田吾一)、百地金太(桂小金治)、伊東明(野呂圭介)が一斉にライターの火をつけて差し出す。

タイトル

彼ら3人が入って行ったのは、ライターで知られる「関東発火器株式会社」

8時半のタイムレコーダーにギリギリ間に合ったのは吾介だけで、後の金太と明は、タッチの差で遅刻になってしまう。

営業部の部屋に入った3人は、誰も出社していないので、今日は日曜日だったか?と驚く。

「サラリーマン読本」なる本を読んでいた明は、サラリーマンは健康第一である!と書いてある事を読み上げる。

そんな3人に呆れた風に声をかけて来たのは、土井課長(河上信夫)で、今日、社長がアメリカから帰って来るので、部長の命令で、営業部みんなで羽田空港へ行ったのだと言うではないか。

世襲制でもないのに社長が子供を連れて帰って来るってどういう事だろう?と首を傾げると、子供が後継者になるとすると、両専務は気が気ではないだろうよと課長は言う。

その頃、羽田では、一向に社長が到着する気配もないし、渥美専務(雪丘恵介)の一派である関口、大下、神原たちが、名簿に社長の名前が載ってないとうろたえていた。ライバル畠山専務(天草四郎)や営業部の社員たちも事情が分からず戸惑うばかり。

一方、会社に残って重役室に来ていた金太は、トランシーバーのテストを行っていた。

その横で算盤占いをしていた吾介は、社長令嬢は22~3で、顔は社長が女になったと思えば良いなどと言うので、つい、部屋の隅に置かれていた社長の銅像を観て、女もののカツラをかぶった星社長(小川虎之助)を想像してしまうのだった。

羽田では、社長が帰って来ると情報を持って来た秘書役の関口が渥美専務に小言を言われており、これは社長の嫌がらせではないか等と噂し合っていた。

営業部に残っていた3人の所に来た受付係が、今、外国人の客が来ているのだが…と名刺を置いて行く。

シーザー・ピタゴラス(オスマン・ユセフ)と言う外国人に応接室で会った吾介は、片言の英語で話しかけてみるが、相手は全く反応なし。この人はメキシコ人だよと言い出した明が、適当な言葉で話しかけるが、これも通じない。

すると、突然ピタゴラスが、残ったキン太に向かい、あなたは日本語しゃべれますか?と日本語で聞いて来たので、金太は微笑んで、日本人ですからと答える。

全くこの人たちは何人ですか?日本語しゃべれないなんて!とピタゴラスは、吾介と明をバカにしたように見つめる。

ピタゴラスは、ガスライター100万個を契約したいと言うとんでもない話を始める。

条件は2つあり、1個1ドルであることと、名前をピタゴラスライターとすることと言う。

1個1ドルとしても100万個で3億円になると言うので、吾介と明は仰天して、すぐに承諾しかけるが、ただ1人、金太だけはそんな契約はお断りすると言い出す。

吾介と明はそんな金太を黙らせようとするが、金太は、1個1ドルなんて安く売ってしまっては、いつまでもメイド・イン・ジャパンは安物だと思われるぞと言うのだ。

ピタゴラスは、そんな金太の答えに怒ったのか、あなた方は3億円をドブに捨てたも同じです!ライターの会社はお宅だけじゃありませんから!と言い残し、帰って行く。

「サラリーマン読本」を持ち出した明は。仕事上の失敗は首と知るべし!と読み上げる。

羽田では、関口が、多摩川に着く飛行機があるそうです!と渥美専務にご注進にやって来たので、その場にいた全員が多摩川の三矢航空と言う会社へ移動する。

降り立った「太平洋横断」と機体に書かれたセスナ機から星社長が降りて来て、待っていた専務2人と営業課員たちに、一緒に降りて来たサングラスをかけた女性を、娘の不二子(松尾嘉代)だと紹介する。

畠山専務が、娘さんがおられたとは意外ですねと言うと、わしが、財産目当ての偽者でも連れて来たと言うのか!不二子の家は大変な富豪で、こんな飛行機等たくさん持っているくらいだと星社長は言い返す。

会社に戻って来た社長を出迎えた金太は、胸の所に糸くずが付いておりますと言い、糸くずを払う振りをしながら、さりげなく星社長の上着の胸ポケットに小型マイクを入れ、横に立っていた不二子に色目を使い出したので、後ろに立っていた吾介が、付けペンの先で金太の尻を突ついて止めさせる。

営業部に戻った金太は、今から星社長が重役会議でする話を実況中継するので、聞きたいものは1人100円払ってくれと言い出す。

そして、100円払った連中と一緒に地下のボイラー室に向かった金太は、トランシーバーのスイッチを入れる。

やがて、星社長の声が胸ポケットに入れたマイク越しに聞こえて来る。

20数年前、アメリカに行っていた事があるが、その時、ある日本女性と懇ろになった。

太平洋戦争前に、自分は帰国、彼女は日本人収容所の中でこの子を産んだが、戦後、連絡がつかなくなった。

その後、母親は病を得て亡くなったのだと星社長は、重役たちに説明していた。

ボイラー室でそれを聞いていた明は興奮し出し、社内の空調用のハンドルをどんどん回してしまったため、重役室の音頭はどんどん上昇していたが、誰もその事に気づくものはいなかった。

星社長は、社長の椅子は、この不二子の婿に譲ると言い出し、その婿になる者は、我が社の青年社員から選ぶと言うのだ。

それを聞いていた明はますます空調用のハンドルを回して行ったので、重役室は蒸し風呂状態になる。

星社長は、秘書役だった関口の任を解くと、営業部に戻るよう命じ、代わって不二子を社長秘書にしたいと言う。

その時、あんまり熱いので、胸ポケットからハンカチを取り出そうとするが、マイクを取り出してしまい、いつ鼻薬を買ったかな?等と言い出した星社長は、それを自分の鼻に突っ込んでみたりする。

さらに、パイプと勘違いした重役がライターの火を近づけたので、マイクは燃え出してしまう。

ボイラー室で聞いていた金太たちは、ゴソゴソと言う音がした後、トランシーバーが爆発したので驚く。

重役室では、飾ってあった社長の銅像まで汗を流していた。

森山!暖房利き過ぎだ!と星社長は怒鳴り、ボイラー室にいた吾介も、空調用の温度計が上がり過ぎている事に気づき、慌ててハンドルを逆に回す。

しかし、今度は冷房の効き過ぎで、重役室ではみんな凍えていたし、銅像からはつららが下がっていた。

星社長は、不二子の婿候補になる者は、英語に堪能な事。独身でないと応募できないと言い渡す。

渥美専務は、一派の関口、大下、神原たちに、次期社長候補になってくれと発破をかけ、畠山専務の方も、金太、吾介、明を呼ぶと、ハッパをかける。

4時半になり、金太たちが帰りかけていると、1階ロビーにやって来た田舎者丸出しファッションの娘が金太に抱きついて来る。

驚いた金太が君は誰かと問うと、山田村の吾作の娘、花で、お父が東京に言って、金太の嫁になれって言ったと言う。

その時、ようやく金太は、幼なじみだった花村花子(久里千春)と気がつくが、時期社長候補を狙う今、相手にするはずもなく、その場を逃げ出してしまう。

取り残された花は、残っていた明や吾介に泣きついて来たので、明は、これから家庭教師のバイトあるので!と言い、花を吾介に押し付けると、先に帰ってしまう。

明が家庭教師をやっていたのは、土井課長の子供だった。

しかし、学歴がないばかりに万年課長の土井が頼んだ子供と言うのは、まだ幼稚園前の幼児マサシだったので、全く勉強等に興味がなく、明の顔に墨で落書きしたり、玩具の銃を撃って来たり、玩具のバットで殴り掛かって来るだけだった。

そんなマサシに振り回されていた明は、子供部屋の窓の外に金太が顔をのぞかせた事に気づき、窓を開けて何事かと聞く。

金太が耳打ちして来たのを利いた明は、そりゃ、酷いよ、無情だよと呆れる。

花子は、3人が一緒に暮らしているアパートの一室に来て、彼らの衣服を全部洗濯していたので、帰って来た明と吾紹介は着るものがなく、パンツ一丁に毛布をかぶって寒さに震えていた。

そんな2人に、花子は芋をすれと命じ、金太さんはどこに言ったのかと聞く。

花子を国へ返してくれと頼まれていた明は、金太は出張で大阪…、いや、沖縄かもなどと答える。

しかし、からかわれたと気づいた花子は、さらに洗濯するので、全部脱いでくれ!と2人に迫る。

翌日、重役室で星社長は、米国視察の結果、かの国では、想像以上に宣伝に力を注いでおる。かくなる上は、我が社も向こう一ヶ月、宣伝強化月間とし、良い成績を上げたものには金一封と副賞を出すと言い出す。

秘書役となった不二子は、副賞は、私とキスをして頂きますと言うではないか。

それを社内放送で聞いた独身社員たちは俄然張り切り出す。

4時半、エレベーターに不二子が乗ろうとしたのに気づいた金太は、乗っていた社員たちを全員外に追い出すと、自分が不二子を中に招き入れ、2人だけで降り始める。

お嬢様、お暇でしたらおデートでも?と金太が誘うと、今、宣伝強化月間で忙しいのでは?と不二子が聞く。

すると、僕自身をPRしたいと思いまして…などと世辞を言う金太だったが、1階でエレベーターが開くと、そこで待っていた花子が金太に飛びついて来る。

この方は?と不二子が聞くので、花子が、おらあ、金太の嫁…と言いかけるが、その口を塞いだ金太は、花子をエレベーターの中に引きずり込み、サラリーマン最高の夢は社長になる事だ!と言い聞かせ、4階で花子だけを押し出し、降ろしてしまう。

頭に来た花子は、急いで階段で1階に降りると、エレベーターから降りて来た男を背負い投げするが、それは金太ではなく、関口だった。

慌てた花子は、気絶した関口を背負って病院へと向かう。

一方、金太の方も、エレベーターから降りると、不二子と間違えて渥美専務に抱きついてしまう。

明は、人気作曲家三津木トリ之介(トニー谷)に、ライターのCMを依頼しに行っていた。

流動食しか受け付けないと言う超偏食の三津木は、お手伝いがいないかね?と言うので、明自らが料理人を買って出る。

インスポレーションが湧いて来たと言い出した三津木は、玩具のピアノで作曲を始めるが、明は、根菜をミキサーで粉砕したものと、皿の上に置いた見えない「パリの科学食料」とやらを三津木に食べさせる。

吾介はと言えば、ライター販売店の女の子に、自社のサロメライターを持たせて、ポスター用の写真を撮っていたが、色気が足りないと文句を言うと、色気って男が引き出すものよ。今夜、平賀さんが私から色気を引き出してくれない?と色目を使って来る。

そこにやって来たのが、吾介の先輩に当たり退社した中川弘美(木室郁子)だった。

ライターを持つその姿をこっそりカメラに撮った吾介は、その後、お幸せですか?先輩が辞められた時、僕はショックでした。先輩のあなたに憧れていたんですが、僕は入ったばかりでしたから…と打ち明ける。

弘美は驚いたようだったが、笑顔で去って行く。

その直後、ぼーっとその後ろ姿を見送っていた吾介は、無視された販売店の女の子から、いじわる!と言われ、水を顔にかけられてしまう。

星社長と不二子が、クラブでくつろいでいる所に近づいた金太は、不二子がサロメガスライターで火をつける瞬間をカメラに収める。

渥美専務一派の大下は、近日中にライバル他社が発売する新製品のポスターをかき集め、渥美専務の所に持って来る。

他社の情報に精通する事こそが、他社に先んずるための必須条件だと言う考えからだった。

かくして一ヶ月後、宣伝強化月間の結果報告が不二子自らのアナウンスで社内放送され、1位は2名おり、百地金太と大下だと言う。

金一封と副賞の授与は今夜だと言うので、金太は洗面所で熱心に歯を磨き始める。

やがて、鏡を相手にキスの予行練習を始めるが、吸引し過ぎたのか、鏡に唇が吸い付いて離れなくなったので焦る。

ようやく鏡から顔を外した金太は、洗面所の入口に立っていた洋装の美人を観て驚愕する。

それは、イメージががらりと変わったが、あの花子だったからだ。

芋虫がチョウチョに化けた!と金太は叫ぶが、その花子は関口からデートに誘われたらしく、関口から強引に連れて行かれる。

エレベーターで1階に降りた花子は、そこで出会った渥美専務にお晩ですと挨拶をするが、渥美専務は誰だか分からずきょとんとする。

その夜、クラブに呼ばれた金太と大下に、星社長は金一封を手渡し、不二子が立ち上がって、では副賞をどうぞと進めたので、金太と大下はその場でジャンケンをして、見事金太がキスの権利を獲得する。

優しく抱いて…等と言いながら、自分が女のように、目をつぶって抱かれようとした金太だったが、そこにスターライターの社長黒崎(八代康二)が、イーグル・ピタゴラスを連れてやって来たので、不二子はそちらに挨拶をし、目をつぶっていた金太は、誰にも受け止められないまま、ソファーに倒れ込んでしまう。

星社長に向かい、黒崎社長は、うちはお宅のように、3億円を断るような事は出来ませんと笑うので、一体どう言う事かと星社長や、その場に同席していた両専務は戸惑うが、ピタゴラスの口から、金太に3億円の取引を断られたと聞くと、唖然とする。

金太も、もはやこれまでと観念する。

翌日、星社長に呼びだされた金太は、何かを差し出したので、星社長は辞表と思って読むが、それは「みはる」の付けを書いたメモで、間違えた金太は慌てて、昨日もらった金一封だけ返す。

横に立っていた不二子は、副賞を渡す前で助かったわと言う。

しかし、金太は、減俸処分を受けてしまう。

その頃、関口は花子に、サロメガスライターのCMソングを歌わせ大成功していた。

花村花子が歌うCMソングは、大ヒットし、町の床屋やバーでも、みんなが口ずさむほどになり、花子も一躍新人スターとして雑誌等に載る。

関口は金一封をもらい、不二子は副賞をどうぞと勧めるが、関口は、自分は美味しいものは最後まで取っておく方なので…と言い辞退する。

ライバル渥美専務の部下に成果を奪われた畠山専務は、金太、吾介、明を呼びつけ、ふがいないと叱責する。

その夜、金太は、焼き鳥の屋台で1人酔っぱらい、「妻をめとらば~♪」と歌っていたが、その屋台にいたもう1人の客は外国人(E・H・エリック)で、日本の事に詳しかったので、すぐに意気投合する。

その外国人は、うちのホテルの遊び来て良い、山谷ホテルだと教える。

翌日、世界一のライター王と言われているフラッシュ・バルブなる人物が来日しているとの新聞報道を読んだ星社長は、このバルブ氏を見つけ出し、他鞘に先んじて契約するよう社長命令を出す。

契約したものには、金一封と副賞として不二子と24時間のデートが出来ると言うではないか。

その新聞の顔写真を観た金太は大喜びする。

夕べ、屋台であったあの外国人がそうだったと知ったからだ。

金太は不二子と共にタクシーで、山谷の新川田屋旅館へと向かう。

日雇い労働者が泊まっているその安宿に、昨日のあの外国人がいたので、あなたは、バルブ氏ですねと金太が話しかけると、相手はバレたか…と正体を明かす。

バルブをキャバレーに誘った金太は、前、社長にやったのと同じ小型マイクをバルブの上着の胸ポケットに入れ、不二子と踊り始めたバルブの会話をテーブル席でトランシーバーから聞いていたが、お嬢さんが危ないと察知、とにかく泥酔させる作戦に出る。

宿に連れ帰って来た金太が、我が社との契約OK?と聞くと、私にもっともっとサービスしてくれないと…と言い出したバルブは、あの人を世話しなさいと言うので、ミスト○コ風呂でも何でも紹介しますと金太は仕立てに出るが、バルブが言うのは不二子の事だと分かる。

翌日、金太からその事を聞いた星社長は、唐人お吉じゃあるまいし!と怒る。

その場にいた渥美専務は、金太に嫌味を言い、そこに大下が、ライバル社の最新資料を持って来る。

その後、金太は社内で花子に再会したので話をしようとするが、いつの間にか花子のマネージャーに収まっていた関口が、1時から映画の打ち合わせに行かなければいけないと不二子をせかして連れて行ったので、こっちのスケジュールは巧く行かないもんだと金太は嘆く。

その頃、土井課長は、渥美専務から、バルブ氏への接待用に、500万ほど回してくれと頼まれ困惑していた。

先月も200万融資しているのに、未だ未済だったからだ。

融資をためらう土井課長に、社長へは自分から良く説明しとくからと、渥美専務は権力を傘に強引に迫る。

その後、土井課長の元に、土井の妻の咲江(横田陽子)と息子のマサシを連れてやって来た明は、坊ちゃんが幼稚園に合格されました!と報告する。

土井課長は、これで大学までエスカレーター式に進学できる!と大感激して子供を抱き上げる。

金太に連れられライター販売店に来ていたバルブは、そこに貼ってあった花子の宣伝ポスターに目を留める。

そこに、スターライターの黒崎社長がやって来て、同伴して来た女をバルブに紹介すると、バルブは気に入ったようで、あなたの会社はサービス満点ねと喜ぶ。

慌てて引き止めようとした金太に対しては、頭の悪いサラリーマンはダメね、豆腐の角に頭をぶつけて死になさい!などとバルブは罵倒して行く。

金太は、関口と花子に頭を下げ、無理に、その日の6時10分から9時10分までのスケジュールを空けてもらう。

そこに金太に近づいて来た吾介と明は、お前は幼なじみを人身御供にしようとするのか!と文句を言う。

しかし、花子は、オラ、金太のためなら何でもやると言ってくれたので、金太は感激し、一生恩に着るよと言うと花子と抱き合う。

その晩、料亭「花楽」で、花子が寄り添うバルブを前に、金太、吾紹介、明は、女装をしてかっぽれを披露していたが、面白くないと怒ったバルブは、3人を廊下に追い出し、花子と2人きりになる。

金太等3人は、廊下に出ても中の花子の事が心配でならずじっと様子をうかがっていたが、障子に写る花子は、バルブから服を脱がされ危機一髪の状態に見えた。

しかし、次の瞬間、花子は、得意の合気道でバルブを投げ飛ばすと、片腕をねじ伏せる。

そこに関口がスケジュールが…と言いながらやって来て花子を連れて行ってしまったので、怒ったバルブは、あんたの所とは契約しませんと言い切る。

とは言え、その後、ホテルに各社の営業マンを集めたバルブは、全員に自社のライターを持たせ、ライターは一回で必ず付かないと意味がありませんと言うと、つけて!消して!と「旗揚げゲーム」のように指示を出し始める。

結局残ったのは、金太、吾介、明の3人とスターライターの1名だけだった。

3人はいよいよ採用か!と意気込むが、そこに女を連れてやって来た渥美専務派の神原が、サロメの新型ライターを試して頂こうと思いまして…とバルブに接近する。

観ると、ライターが女の胸の谷間に差し込んであるではないか。

バルブは、その露骨な色仕掛け趣向が気に入ったようで、神原と女と一緒に部屋を出て行こうとしたので、我々はどうなるんだ!と金太が聞くと、バルブは一言、バカもんねと嘲る。

神原は、バルブの懐深く入り込んだと得意になるが、そんな神原に会いに来たのは、退社していたあの中川弘美だった。

赤ん坊が病気だと報告に来たのだったが、神原は、僕は今、出世コースのトップになる所なんだ!と言って迷惑顔をする。

その時、応接室に入って来たのは平賀吾介だった。

吾介は、立ち聞きしていた事を詫びると、君はひどい男だと神原を責めると、弘美に対して、赤ちゃんってこの男のか?と聞くと、君が独身じゃない事を発表する権利が僕にはありそうだねと神原を脅す。

すると、弘美は、この人を許してあげて!と吾介に頼み、神原の方は、君の勝手にしたまえ!と言い残し、部屋を出て行ってしまう。

その頃、星社長に呼ばれていた土井課長は、600万近い金が貸し出されているが?と問いつけられ、全部、渥美専務がご存知のはずですが?と弁解するが、損も場にいた渥美専務は知らん振りをするので、社長は土井課長に責任を取ってもらう。札幌の出張所に欠員があったので、そこに行ってもらうと命じる。

廊下に出た渥美専務を追いかけた土井課長は、何とかなりませんか?と懇願するが、僕が社長に口利きをしたので、首にならずに転勤ですんだんだと逆に恩義せがましく言うだけ。

土井課長は、どうにもならない事を悟ると、廊下に立ち尽くすのだった。

その夜、帰宅した土井課長は、息子が寝たか?と妻咲江に聞き、その日も来ていた明に酒を勧める。

咲江は、せっかく、幼稚園に入れたのに…と落ち込んでいるし、土井課長も、子供だけ置いて、お前と札幌へ行く訳にもいかんだろうと肩を落とす。

マサシだけは、サラリーマンにさせたくありませんね…と咲江が呟くと、土井課長も同調する。

同席している明は、土井課長に同情し、札幌へは自分が行きましょう。もう出世競争に嫌気がさしましたと言い出す。

自宅アパートに帰って来た明から話を聞いた吾介も、俺も腹を決めた!弘美さん親子を助ける!と言う。

金太も、俺はこの都会には合ってないらしい。会社を辞め、田舎に帰って百姓をやるよと言い、最後にあのバルブに文句を言いに行こうと相談する。

翌日、バルブが新たに泊まっていたホテルに出向いた金太たちは、あんたのやり方は商業道徳に反するじゃないか!と文句を言うが、若いね…と嘲笑したバルブは、この世の中で正しいのは金の力だけ。みんな金の奴隷なのです!などと言ってはばからないので、かっとした吾介や明、金太らは、一斉にバルブに飛びかかって行く。

部屋の外に逃げ出し、ドアノブを押さえたバルブを追いかけようと、強くノブを引いた金太だったが、部屋の中に転がり込んで来たのは神原だった。

しかし、無我夢中で座布団を相手の頭にかぶせた金太らは、相手が違っている事にも気づかず、こてんぱんにのしてしまう。

これを知ったホシ社長は、もう少しで契約を取れそうだったのに!と悔しがり、渥美専務も、君等は婿選び競争は失格だなと嘲る。

その時、明が星社長に、土井課長の代わりに、自分を札幌に行かせてください!と名乗り出る。

それを聞いた星社長は、諸君の気持ちは良く分かった。ただし、まいた種は刈り取ってもらうよと言い渡す。

その後、バルブの部屋に謝罪に向かった金太たちだったが、怪我をしてベッドに寝ていたバルブは、金太らの姿を観るとまた襲われると勘違いし、ヘルプ!と言いながら逃げ出そうとする。

そこにやって来たのは、あのシーザー・ピタゴラスだった。

ピタゴラスはバルブを守るように立ちはだかると、私は柔道も空手も心得ています!と金太たちを威嚇する。

金太は、誤解です。今日は謝罪に来たのですと説明するが、ピタゴラスは、君たちの社長に会いたいと言い、怯えているバルブを叱り飛ばす。

星社長に会いに来たピタゴラスとバルブは、実は自分たちは、アメリカのライター会社から、日本ではどの会社が一番良いのか調べるため派遣された調査員で、バルブが社長等と名乗っていたのも、皆さんをテストするためだったのですと説明する。

そしてピタゴラスは、オタクたちが一番優秀だったので、契約をさせて頂きたい。こちらが金を出し、そちらが技術を出すと言うことでどうでしょうと提案して来る。

社名は?と星社長が聞くと、お任せしますと言うではないか。

結局、「関東発火器株式会社」は「サロメライター」と社名を変える事になる。

ある晩、明の札幌転勤の送別会を土井課長の家で開いていた。

明、金太、吾介だけではなく、赤ん坊を抱いた弘美も出席していた。

みんなで「妻をめとらば〜♪」と歌っていたが、土井課長は泣いていた。

そこに突然、星社長が不二子を連れて来るまでやって来たので、土井課長は驚きながらも、座敷に上がってもらう。

星社長は、今日はお詫びに来た。シーザーから聞いたのだが、百地金太らがやった事は、サラリーマン精神の正義だ。

さらに、調べた結果、土井君には何の落ち度もなかった。全部、渥美専務の仕業と分かったので次の重役会で処分するつもりだ。つまり、土井君が札幌に行く事もなくなった。

すると、社長に同行して来た神原も、私も申し訳ありませんでした。妻子を不幸にする所でしたと弘美の横に座って頭を下げる。

弘美は、あなた…と言って感激すると、平賀さんには大変お世話になって…とすまなそうに詫びる。

それを聞いていた星社長は、過ちは改むるに憚る所なしじゃよと言って笑う。

すると、不二子も、自分も、皆さんのテスト係であって、社長令嬢じゃないのよと告白する。

不明朗な噂があったので…と星社長も説明する。

金太らは驚くが、不二子は、またアメリカの大学に戻らなくては行けません、フィアンセも待っておりますから…と言うので全員がっかりする。

わしは不公平な事は言わん。アメリカから娘を呼び寄せる!と星社長が言い出しので、3人は急に態度を変え、お父さん!等と言いながら、社長にビールを勧める。

後日、金太らは、星社長と共に羽田空港に迎えに行く。

飛行機の搭乗口から出て来た娘と言うのは、太ったおばさんだったので、3人は逃げ出そうとするが、あれは亭主持ちだ。お前たちに会わせたいのは、あの娘の3人の子供だと星社長は止める。

その3人の子供と言うのは、カウボーイハットで、腰に拳銃をぶら下げたおてんばそうな幼女たちで、星社長の孫だと言う。

今時の娘は発育通いからな〜…と笑う社長の言葉に乗せられ、3人の女の子を「さくら幼稚園」に車で連れて来た金太たちだったが、女の子たちから各自、手をロープで繋がれた格好のまま、一緒に幼稚園に案内しようとしていると、女の子たちの方はさっさと車の中に逃げ戻り、代わりにお勉強しといてね〜!と言い残し去ってしまう。

取り残された3人は、もういっぺん幼稚園からやり直すか?それもよかろう…と言うことになり、回れ右すると、3人揃って幼稚園の中に歩いて行くのだった。