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予想通り、最近良くある、観客を飽きさせないことだけに腐心したような、ノリとテンポだけの「ハリウッドVFXバカ映画」の1本だった。

特撮ファンは、馬鹿げた部分や荒唐無稽も愛するものなので、マニアにとっては「バカ映画」と言うのは決してマイナス評価ではないだろう。

ギレルモ・デル・トロ監督は、1964年生まれらしいが外国人なので、日本の特撮番組に接した時期の時間差はあるにせよ、特撮世代的には「第二期ブーム世代」だと思う。

何だか、「鉄人28号」とか「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などが大好きだなどと、一見「特撮第一世代」風の発言もしているが、一方で「パトレイバー」など、アニメからの影響も自ら指摘しているようなので、やはり、感覚的には「第二世代」の人だと感じる。

だから、その同世代くらいの人には、一番フィットした内容かもしれない。

逆に、その世代から外れた世代の目線から観ると、何だかちょっと微妙に違うんだよな~…と言う部分があるのも仕方ないだろう。

劇中のローリーではないが、「ウサギ(記憶)を追いかけるな!(過去にとらわれるな)」と言う言葉は、ひょっとすると、マニア体質の観客に対する警告なのかもしれないが、だからと言って、この作品を全肯定できるかどうかと言うのは、また別の話だと思うからだ。

個人的には、ロボット映画として観ればまずまず、怪獣映画として観れば、かなり不満点が残る作品だと感じた。

それでも、前半は、圧倒的なビジュアルと謎を解明して行く展開などにそこそこ乗れるのだが、徐々に展開がありふれたものになって行き、クライマックスは、良くあるパターンで…、又こんな終わり方か…と言う不完全燃焼感が残る結果となった。

テンポも良く、途中だれることもなく、あっという間に最後まで観られることは確かだが、アイデア的には、日本製の特撮ものやアニメをご都合主義的にミックスさせたものに、若干「ID4」も混ざっているか?…と言った感じの、全般的に凡庸な印象で、派手なことをやっている割に、心には何も迫って来ない。

ストーリー全体も、1年くらいかけてテレビで放映するような壮大なドラマを、ダイジェストして映画版にした感じで、もっと部分部分のドラマや操縦者たちのキャラクターを掘り下げれば面白くなったかもしれないのに…と惜しい気がする。

それでも、途中まではそう悪くもなく、怪獣が増殖して来て人類が絶滅の危機を迎えそうになる辺りまでの過程は、凡庸なりに燃えないものがない訳でもなく、この設定だったら、ガメラが出現しないと変だろうと言うような展開なのだが、後半がありきたりで大雑把なお決まりパターンになってしまうのでがっかり。

そもそも、香港が大半の舞台で、日本はちらりとしか出ない上に、怪獣映画の見せ場の一つである、有名な建造物破壊などが日本パーツでないので、隔靴掻痒たる気分になってしまう。

男女が一緒に操縦すると言うアイデアも微妙で、ものすごく活かされているとも思えない。

監督自身は、もし続編があったら、イエーガーと怪獣が合体するアイデアなどを持っているようですが、その前に、怪獣の魅力のなさをどうにかすべきだと思う。

監督は今回の怪獣をデザインするにあたって、着ぐるみを意識した「人間が中に入ることが可能な造形」に拘ったようですが、どうも、それが裏目に出てしまっているような印象だった。

特に、イエーガーと戦うメインの怪獣たちが、どれも似たり寄ったりで、個性に乏しく見えるのが残念。

日本製の怪獣は、漫画的な目で愛嬌を生み出していた部分があったのだが、外国風のリアリズムの感覚に合わないのか、光線技などと同様に無視されているように思う。

そのため、全体的なシルエット以外に、怪獣に感情移入しにくい。

さらに、日本では、その着ぐるみの限界を超えるため、「操演」とか「二人羽織スタイル」とか様々なアイデアで、奇想天外な怪獣を生み出して来たのに、CGI造形の自由さをあえて封じたことで、逆に、怪獣の着想を限定してしまった感がある。

造形的に面白い怪獣やイェーガーも登場していない訳ではないのだが、それらの登場シーンはわずかでしかない。

監督がとあるインタビューで、怪獣が悪役だけでなくヒーローにもなりうるのは日本だけで、諸外国では宗教上の考え方で、怪獣は悪役にしか描かれない…と言う風な趣旨の発言をしているが、そう言う根本的な文化の違いが、この映画での怪獣の描き方の微妙な魅力のなさにも関連しているのかもしれない。

来年の「GODZILLA」でも、そう言う文化の差が出て来ることが当然予想されるだけに、怪獣好きとしては心配の種だ。

個人的に、もっと観たかったのは、ペントコスト司令官が東京でマコを助ける怪獣戦、そして、ロシアのパイロットサーシャ・カイダノフスキーの活躍ぶりなど、ダイジェスト的な内容で犠牲になってしまった部分だと思う。

3D効果も、雨降りとか基地内とか夜景とか水の中とか、暗い設定が多かったせいか、イマイチ。

それでも、芦田愛菜ちゃんの演技力や、香港の市街地でイェーガーが戦うシーンで、ビルの特定階内部からの視点で描いている円谷プロ風の演出など、関心させられる部分も多かったことも付け加えておこう。

 

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2013年、アメリカ映画、トラヴィス・ビーチャム原案+脚本、ギレルモ・デル・トロ脚本+監督作品。

子供の頃、僕は星を眺めていたものだった。

でも、俺は違った方向を観ていたんだ。

俺が10の時、太平洋プレートの裂け目から出現した最初の怪獣がサンフランシスコを襲った。

怪獣は、数万人の命と3つの都市を破壊した後、軍隊の力で、海岸から50kmの所で殺された。

これで、自体は終わったと思われたが、それは間違いだった。

69日後、マニラが襲われ、3回目の襲撃はメキシコだった。

そして我々は気づき始めた。

これは決して終わらないのだ。始まりに過ぎないのだと…

我々は、怪獣に対抗するためもう一つの怪物を作った。

巨大ロボ「イェーガー」だ。

しかし、初期の実験段階に置いて、操縦者に問題が出た。

それでパイロットが2人になった。

それぞれの右脳と左脳を同時に使うことにしたのだ。

そこから、我々は勝ち始めた。

イエーガーの性能は、パイロットの腕次第。

これで怪獣への危機は回避できたかに見えた…(と、ローリーの声でのナレーション)

夜中、基地内で起こされたイェーガーパイロット、ローリー・ベケット(チャーリー・ハナム)は、兄のヤンシー・ベケット(ディエゴ・クラテンホフ)と共に、アラスカに出現したカテゴリ3の怪獣、通称ナイフヘッドを退治に出かける用意を始める。

すでに、彼ら兄弟パイロットは、4匹の怪獣を仕留めており、今夜の仕事も楽勝かに思えた。

ローリーは、喧嘩には負けなかったし、ドリフトへの適合性はある男だった。

イェーガー「ジプシー・デンジャー」の乗り込んだ彼ら兄弟パイロットの脳波シンクロナイズが開始され、互いの頭の中を共有し合うドリフトが行われる。

ドリフトとは、飛行パイロットの神経操縦システムから生まれた技術だった。

スタッカー・ペントコスト(イドリス・エルバ)司令官は、怪獣発生地域に小舟がいるとの報告を受けながらも、アンカレッジを死守するのだ。10人乗りの船に構ってられんと非常な指示を兄弟に出す。

出撃したギプシー・デンジャーは、ハリケーンが荒れ狂う海の中を歩き始める。

一方、漁船らしき船の乗組員たちは、レーダーで、島が近くにあることに気づいていた。

しかし、その島は、船の方に自分から接近していた。

船の間近に、怪獣ナイフヘッドが出現する。

さらに、ジプシー・デンジャーが到着し、船を掴むと、ナイフ・ヘッドを殴りつける。

さらに、プラズマ・キャノンを2発発射!あっさり怪獣を撃破し、船の船員たちを救助したと本部に報告するが、まだ怪獣反応があるぞ!すぐ逃げろ!とペントコスト指令は叫ぶ。

その直後、ジプシー・デンジャーのすぐ横にナイフヘッドが出現、ジプシー・デンジャーは左手をもぎ取られ、開いた側面から、兄のヤンシーの身体は外に放り出されてしまう。

パイロットが1人になったジプシー・デンジャーは、ナイフヘッドに胸を突かれるが、プラズマ・キャノンを撃った瞬間、本部との通信が途絶えてしまう。

アラスカの海岸で、金属探知気を使い、息子と宝探しをしていた男は、強力な反応がある方向を観ると、それは傷ついたジプシー・デンジャーだった。

ジプシー・デンジャーは海岸に倒れ、その中から、ユニフォームもぼろぼろになったローリーがふらふらと外に出て来たので、父親は、大丈夫か?手を貸そうか?と声をかけるが、ローリーは何も答えず、その場に倒れ込んでしまったので、父親は息子に助けを呼びに走らせる。

タイトル

アラスカ 5年後 基地閉鎖の日

ペントコスト司令官は、テレビ会議の複数の上司たちから、今や、海岸線防護壁が成功しているので、イエーガー計画は封鎖し、後、8ヶ月分の予算だけ出そうと言う無茶な命令を受けていた。

テレビ画面が消え、テレビ会議が終わると、それまで直立不動の姿勢だったペントコスト司令官は鼻血が出ていることに気づく。

その頃、ローリーは、「命の壁」と称されていた海岸防護壁を作る工事現場で働いていた。

そんな中、カテゴリー4の怪獣がシドニー郊外に出現し、1時間で海岸防護壁を壊して侵入して来たと言うニュースが流れる。

それを観た工事人たちの間に無力感が走る。

今作っている防護壁も、怪獣の前には無力だと知らされたからだ。

その怪獣を倒したのは、胸からミサイルを発射するストライカー・エウレカだったが、パイロットのチャック・ハンセン(ロバート・カジンスキー )は、インタビューの中で、イェーガー計画が中止されるのは、使えないパイロットしかいないからだ!と息巻く。

このエウレカのパイロットは香港に行くことになると言う。

その直後、工事現場にヘリが到着し、そこから降りてローリーに近づいて来たのはペントコスト司令官だった。

君を今まで探していた。他のベテランパイロットが死んだんだと言うペントコスト司令官に、俺は二度と誰かの頭の中に入るつもりはない!あんな思いはしたくない!とローリーは拒絶するが、君はどこで死にたい?ここか?イエーガーの中か?!と迫られる。

香港

そこに、最後のイェーガー基地「シャッター・ドーム」があった。

ペントコスト司令官と共に、ヘリから降り立ったローリーの前に、雨傘をさしていた女が迎える。

ペントコスト司令官は彼女を、マコ・モリ(菊地凛子)と言う優秀な助手で、コ・パイロットの候補を彼女が集めると紹介する。

マコは、ローリーを観て、イメージが違いますと言う。

シャッター・ドーム内に入ったローリーは、ハーマン・ゴットリープ博士(バーン・ゴーマン)と、通称ニュートことニュートン・ガイズラー博士(チャーリー・デイ)を紹介される。

ニュートが腕に彫っている刺青が「怪獣山嵐」だとローリーが気づくと、ゴッドリーブ博士は、ニュートは怪獣オタクなんだとからかう。

いつか、本物の怪獣を間近で観たいんだ!と夢を語るニュートに、言っておくが楽しくないぞとローリーは釘を刺す。

ペントコスト司令官は、そんなローリーに、今の俺たちは軍隊ではない。レジスタンスだ!と教える。

イェーガーの整備室にやって来たローリーは、怪獣を倒すたびにリセットされると言う「怪獣タイマー」をペントコスト司令官から見せられる。

イェーガーは現在4体残っていると言う。

中国製のクリムゾン・タイフーンは、3つ子のタン兄弟(チャールズ・ルー、ランス・ルー、マーク・ルー)が操縦する。

ロシア製のチェルノ・アルファは、サーシャ・カイダノフスキー(ヘザー・ドークセン)とアレクシス・カイダノフスキー(ロバート・マイエ)が操縦、型は古いが、6年もの間、怪獣を海岸線から中に入れなかったと言う。

そこに、犬のマックスを連れた、通称ハークことハーキュリーズ・ハンセン(マックス・マルティーニ)が近づいて来てローリーと再会の握手をしながら、ヤンシーは残念だったとお悔やみを言う。

今、ハークはヤンシーは、息子のチャックと共に、エウレカに乗っているのだった。

ペントコスト司令官は、あのロシア人が核弾頭を調達できるので、それを海底の裂け目に撃ち込むのだと計画を話す。

裂け目はいつもは閉じているのでは?とローリーは疑問を口にするが、君は乗るだけだとペントコスト司令官は言う。

黒板に複雑な数式を書きなぐっていたゴットリープ博士は、怪獣の出現感覚が早くなっていると指摘するが、その横では、ニュートが倒した怪獣の内臓を調べていた。

ゴットリープ博士は、このまま行くと、怪獣は次は2体同時に出現し、その次は4体…と数が倍増して行く可能性があると予測、それを聞いていたペントコスト司令官は、そうなると、人類は絶滅だと断定する。

怪獣が出現する時間が予測できれば、海底の裂け目が開いた状態になるタイミングを知ることが出来るので、爆破できますとゴットリープ博士は説明する。

続いてニュートは、自分の研究の結果、怪獣は全部同じだと思うと言い出す。

シドニーとマニラに出現した怪獣のDNAは全く同じもの、つまり怪獣はクローンだったと言うのだ。

自分が怪獣の脳にサイコダイブ出来れば、裂け目のことが分かるはずなのに…とニュートは思い切った発言をするが、ペントコスト司令官は、それを無視して、ゴットリープ博士に研究成果を書いた書類を提出するよう命じ、部屋から出て行く。

マコは、ローリーに、ダブルコアリアクターを動力源としたジプシー・デンジャーを見せる。

ローリーは、新品以上になっているジプシーを観て感激する。

さらに、分析係の旧友テンドー・チョイ(クリフトン・コリンズ・Jr)にも再会でき大喜びする。

自分の部屋に来たローリーは、案内して来たマコに、君の仕事は、イェーガーのパイロットを探すことだけか?シミュレーターに乗ったことは?と聞いてみる。

するとマコは、シミュレーターでは51回怪獣を倒したと答えたので、51回目で外されるとは…とローリーは同情する。

あなたは何をするか分からない。リスクを冒して仲間を危険にさらすこともあるので、今回は向かないかもしれないとマコは冷静に教える。

ローリーはそんなマコに、実戦の決断は自分で下す。責任は全部自分で背負う。それが俺のやり方だ!と伝える。

その後、マコはペントコスト司令官に、自分も候補者リストに入れるべきだと進言するが、ペントコスト司令官は、もう二度とその話はするな。復讐心を持ち込むべきではないと反対するが、ジプシーに乗るのに一番ふさわしいのは私です!とマコも反抗する。

その後、ローリーは、犬のマックスを連れたハークと、その息子チャックに会う。

チャックはローリーに対し、5年間何していた?と上から目線で聞き、ローリーが壁を作っていたと答えると、お前はオヤジの知り合いだから大人しくしているが、お前らの精でイェーガーがオシャカだと悔しそうに言い捨てると、1人で立ち去って行く。

ハークは、息子がああなったのは俺のせいだ。子供時代、ひっぱたくべきかそうでないか迷ったんだと詫びて来たので、ローリーは、ひっぱたくべきでしょうと教える。

やがて、ペントコスト司令官とマコが見守る中、ローリーのコ・パイロット(副操縦士)を決める棒術のテストが始まる。

ローリーは、次々と対戦相手を倒して行くが、それを採点しているマコの顔を観ると、君は何だか不満そうだと指摘する。

すると、マコは、どの相手も、後2手早く倒せたはずだと言い出したのを聞いたローリーは、彼女と戦わせてくれ。優秀な彼女が敵わないとでも?とペントコスト司令官に申し出る。

ペントコスト司令官は、仕方なさそうに、4ポイント先取した方が勝ちだとルールを言い渡す。

ランニング姿になって棒を持ち近づいたマコに対し、ローリーは、俺は手加減しないぞと宣言し、マコも、私もよと応じる。

両者の力量は互角で、両者とも同じようにポイントを加算して行く。

3:2でマコ優勢になった後、感情を抑えるんだとペントコスト司令官の指導があった後、マコは1ポイント加えて勝つ。

俺はマコと組む!とローリーは宣言するが、その言い訳は聞かない。2時間後にシャッター・ルームに!と言い渡したペントコスト司令官はその場を去って行く。

一緒に自室に向かうマコに、ローリーは、俺たちは適合性があると告げる。

マコは、動揺したのか、向かいのローリーの部屋の方に入りかけてしまうミスをする。

そんなマコに、司令官に従っているだけではダメだとローリーは言い添えるが、彼に従っているだけではないの…と答えたマコは、尊敬しているのと付け加える。

何が問題なのか、話してくれないかとローリーはマコに聞くが、その頃、エレベーターに1人で乗っていたペントコスト司令官は、鼻血が出ているのに気づき、薬のカプセルを飲む。

太平洋沿岸地域の住民たちは内陸部への避難を完了する。

その頃、ニューク博士は、独断で怪獣の前頭葉へのドリフトをやっていた。

その直後、ニュークは気絶する。

マコは、自室の覗き窓から、自分の部屋の前まで来たローリーがノックするのではないかと密かに期待していたが、ローリーはノックせず、そのまま立ち去ってしまう。

がっかりして覗き穴から離れたマコは、その直後、ノックがあったので、嬉しくなってドアを開けるが、そこに立っていたのは、赤い小さな靴の片方を手にしたペントコスト司令官だった。

随分昔になるが、私は君と約束した。着替えるんだ!とペントコスト司令官はマコに告げる。

先に防護服に着替えたローリーが、ジプシー・デンジャーに乗り込んで、新たなコ・パイロットが来た気配を感じ、自分は左手を痛めているんで、こっちで良いかと向かって左側の立ち位置に立って聞くと、問題ないわと答えたのは、防護服に着替えたマコだった。

安堵した様子のローリーは、5分後に君は、僕の頭の中だと言い、すぐに、ブレインシェイクが始まる。

ウサギを追うのは止めろ。ウサギとは過去のことだとローリーはマコに注意する。

右脳の調整成功!左脳の調整成功!

その時、調整室に慌ててやって来たゴットリープ博士が、ニュート博士が怪獣とのドリフトを勝手にやってしまったと報告したので、ペントコスト司令官が研究室に行ってみると、頭から装置を外され、左目から出血したニュートが椅子に座らせられていた。

ニュートは、怪獣の脳の中で観たことに興奮しているようだったが、ペントコスト司令官がとにかく落ち着いて話せと迫る。

ニュートが言うには、怪獣は命令されて人間を襲っています。怪獣の買い主は植民地を探しているんです。以前にも地球に来たことがあり、それは恐竜時代で、環境が合わなかったことから、一旦引き上げ、今、地球上の環境が彼らに都合が良いものに変化したので再攻撃を駈けて来たんです。

彼らにとって人間は害獣。怪獣は害虫駆除のために送り込まれているのです。怪獣は彼らが作ったクローンです…と報告したニュートは、これ以上は、新鮮な怪獣の脳がないので無理ですと悔しがる。

しかし、話を聞き終えたペントコスト司令官の様子を見たニュートは、あるんですか!?と聞く。

怪獣の内臓を売って儲けている奴がいる。アジアのブラックマーケットで生きているハンニバル・チャウだと説明したペントコスト司令官は、1枚のカードをニュートに渡すと、この紋章を探せ!ただし、チャウを信用するな!と命じる。

ジプシー・デンジャー内で、ブレインシェイク中だったローリーは、兄のヤンシーが死ぬ瞬間を思い浮かべてしまう。

それに触発されたのか、マコの方もウサギを追い始めてしまう。

ローリーはそれに気づき、ウサギを追いかけるな!俺の声を聞くんだ!と心の中で念じるが、既に過去の虜になってしまったマコは、雪が降る東京の町の中で、ただ1人、脱げた赤い靴を持って迫って来た怪獣から逃げていた少女時代(芦田愛菜)を思い出していた。

路地のゴミ箱の陰に隠れて怯えている少女時代のマコに、ローリーは、これはただの幻影だ、何一つ本物じゃない!とその背後に立ち、呼びかけるが、少女のマコは、怪獣の方に目をやるだけで、ローリーに気づかない。

そのマコの恐怖心が、ジプシー・デンジャーの左腕を上げ、プラズマキャノンの発射準備状態になる。

その腕の先にあるのは司令室だった。

緊急避難命令が出され、ローリーは頭の中で、マコ!聞いちゃいけない!と叫び続ける。

そこに戻って来たペントコスト司令官は、動力を切るんだ!と命じる。

プラズマキャノン発射直前、何とか、動力が停められる。

神経ブリッジも無効化され、ドリフトシークエンスが終了する。

その頃、ニュートは、ペントコスト司令官から渡されたカードのマークを探して、香港の骸骨街に来ていた。

懐中電灯でマークの場所を探し歩き、どうやら、るハンニバル・チャウがいるらしき店を発見したニュートは、一見漢方薬屋のように見える店の中に入り、ハンニバル・チャウに会いたいと店主に告げる。

すると、店主は、店の横の隠し扉を開き、その奥にある秘密の部屋にニュートを導く。

ニュートは目を見張る。

そこには、ありとあらゆる怪獣の臓器が揃っていたからだ。

怪獣についていたと思しき生きた寄生虫までいた。

信じられん!とニュートが呟くと、アンモニアに付けとけば大丈夫だと言いながら、ジャックナイフを取り出し、ニュートの鼻の穴に突っ込んで来た大男がいた。

どうやらそれがハンニバル・チャウ(イドリス・エルバ)本人のようだった。

ニュートは仕方なく、ペントコスト司令官の名前を出す。

その頃、一旦、部屋に戻って来たマコとローリーの前にやって来たチャックは、ローリーは過去の英雄に過ぎないし、マコは新米だ。お前らはチームの恥だ!俺は生きて帰るつもりだ。俺のために消えてくれ。メス犬には首輪が必要だなどと暴言を吐いたので、思わず殴りつけたローリーは、マコに謝れ!と怒鳴りつけ、2人は喧嘩を始める。

そこに、ペントコスト司令官と共にやって来たハーク・ハンセンは、お前も兵士なら、兵士らしく振る舞え!と息子のチャックを叱りつける。

俺のミスだ。君らを組ませたのが悪かったとペントコスト司令官が言うので、俺がきっかけを作ってしまったんだとローリーは弁護するが、マコは落ち込んでおり、許可を得ると、泣きながら下がってしまう。

帰って行くペントコスト司令官に、ローリーは、どういうつもりなんですか!と追いすがるが、今は命令に従うんだ!マコは記憶を制御できていない!とペントコスト司令官は告げる。

(回想)路地から恐る恐る出て来た少女時代のマコは、地面に落としていた赤い靴の片方を拾うと、東京の町は壊滅していた。

その時、逆光の中に浮かび上がったイェガーを見上げた少女マコは、イェーガーの中から出て来た操縦士の姿を観る。

ヘルメットを取ったその操縦士は、若き日のペントコスト司令官だった。

その顔を観た少女マコは、思わず微笑む。

(回想明け)あなたにはマコが大事なはずです。もう少し話してくれ。あなたがマコを育てたとペントコスト司令官に追いすがって来たローリーだったが、ペントコスト司令官は、ローリーが掴んだ腕を払いのけると。二度と私に触るな!私は自分の人生を聞かすつもりはない。最後まで戦うが、私への賞賛はいらない!と言い聞かす。

ローリーは、分かりましたと言ってその場は引き下がるしかなかった。

食堂でその後マコと会ったローリーは、食後、格納庫の一隅で2人きりになる。

君にすまなかった。ヤンシーがやられた時、まだ神経が繋がっていた。彼の恐怖と絶望を知った瞬間、彼の記憶は消えた。僕たちには信頼が必要だ。今日のドリフトはしっかり俺たちを結びつけたとローリーは話す。

イェーガーに最後に乗ったのはいつ?とマコが聞くと、随分昔だ…とローリーは答える。

その直後、ゴットリープ博士の予測通り、二体の怪獣が同時に出現する。カテゴリーは4と最大級の怪獣だった。

ペントコスト司令官は、香港市民に避難命令を出すよう指示を出し、チェルノ・アルファとクリムゾン・タイフーンの出撃を命じる。

さらに、ストライカー・ユリイカも出動することになる。

ペントコスト司令官は、出撃するパイロットたちに、夫必要な戦いはするな!気を抜くな!最大の怪獣だ!と釘を刺す。

チェルノ・アルファは、海岸線の警備に当たる。

その頃、ニュートはハンニバル・チャウに、怪獣の脳、特に、巨大生物に特有の第二の脳が欲しいと交渉していた。

何のためにそんなものが必要なんだ?と聞かれたニュートは、怪獣とダイブするんだと告白すると、ニュートの左目を広げて観たチャウは、魂消た!お前、本当にやったな!と言う。

海上では、出現した怪獣に、3本腕があるクリムゾン・タイフーンが、腕に付いたドリルで対抗していた。

チェルノ・アルファも、怪獣を投げ飛ばし、ハンマーパワーで粉砕しようとしていた。

しかし、怪獣のパワーの方が勝り、クリムゾン・タイフーンもチェルノ・アルファも破壊されそうになっていた。

それを観ていたストライカー・ユリイカは、殺されるのを黙って観ているわけにはいかない!と本部に連絡し、ペントコスト司令官の指令を無視して、二体を助けようと接近するが、怪獣の一体が口から吐き出した賛成の液体を浴びたイェーガーは溶けて行く。

その時、もう一匹の怪獣がチェルノに飛びかかる。

エウレカは、胸のミサイルで反撃しようとするが、その時、怪獣の背中から怪光線が発射され、香港の市内だけではなく、シャッター・ドーム内の計器類も全部止まってしまう。

そうやら、怪獣が発射したのは電磁波で、デジタル機器が全滅させられたのだった。

怪獣は、出現するごとに進化しているらしく、デジタルで動くイェーガーを封鎖するための武器らしかった。

万事休すか?

その時、ローリーが、ジプシーはアナログだ!と言い出す。

怪獣上陸で非難する香港市民たちでごった返す町中では、店から出て来たチャウが、2匹の怪獣が来ている。ドリフトは双方向だ。怪獣はお前を捜しているのかも。俺もそうなったと言い、サングラスを外して右目を見せると、そこは空洞だった。

チャウは、自分の個人用待避シェルターへ逃げるが、ニュートは一般市民用の待避シェルターに逃げ込むしかなかった。

一方、海上では、怪獣が発した電磁波のために、機能停止したストライカー・エウレカの操縦室では、チャックが止めるのも聞かず、父親のハークが装置を外した途端、外に待っていた怪獣の攻撃でイェーガーの一部を破損し、左手を損傷してしまう。

それでも、ハークは、1000万の都市をやられるのを黙って観ているか、この照明弾を使ってバカなことをやるかだと言い、息子のチャックも、照明弾を持って、エウレカの背中に這い上がると、間近に迫った怪獣に向かって父子同時に照明弾を発射する。

しかし、それは、怪獣を怒らせただけに過ぎなかった。

ハークとチャックが、死を覚悟した瞬間、ジプシー・デンジャーが出現する。

操縦席では、ローリーが、行くぞ、マコ!構えろ!、これは本番だ!と指示していた。

そのジプシーを観たチャックも、行け!ジプシー!ぶちのめせ!と応援する。

しかし、ジプシーは怪獣に港に投げ飛ばされ、怪獣の上陸を許してしまう。

起き上がったジプシーの中、ローリーは、一緒にあいつを倒すんだ!とマコに声をかけ、右肘からロケット噴射を始め、ロケットパンチ!を浴びせる。

さらに、地上に置いてあったコンテナを両手に掴み、それを掴んだまま、怪獣の顔面を挟み込むように殴りつける。

頑張れ、マコ!プラズマキャノン、行くぞ!空になるまで撃ちまくれ!

怪獣と組み合ったまま押されていたジプシーだったが、港の端ぎりぎりで怪獣が倒れる。

一旦その場から立ち去りかけたジプシーだったが、念を入れるために、もう1度とどめを刺す。

ニュートは、一般のこんこん市民と一緒に避難シェルターの中にいたが、もう1匹の怪獣は、車ルターの真上に来た事を知ると、これじゃあ、怪獣の食堂だ!と怯える。

あいつは、僕を狙っているんだ!ここを出ないと!と言っていると、それに気づいたらしき周囲の市民たちが、ニュートの身体を中央部分に押し出す。

その時、メガネが弾け飛んだので、ニュートはメガネを探し求める。

その時、天井が崩れ、夜光虫のように光る怪獣の舌がニュートの眼前に降りて来る。

その時、怪獣は何かを察知したのか、方向を変える。

巨大な船を引きずりながら、ジプシー・デンジャーが近づいて来たのだった。

その船をバットのように振り回して怪獣を殴りつけると、怪獣は慌ててビルの谷間に姿を消してしまう。

ジプシーは、逃げた怪獣を探して町中を歩き回るが、突如、横のビルを壊しながら、怪獣が飛びかかって来る。

ジプシーは、怪獣を殴りつけ、そのパンチは、ビルの一階分をなぎ払う。

怪獣は酸性の水流を口から放射して来る。

さらに、尻尾でジプシーに巻き付いて来たので、ジプシーは冷却ガスを噴射し、尻尾を凍結させた後、粉砕するが、次の瞬間、怪獣は両手の間から羽が出現、ジプシーを捕まえたまま空中に跳び上がる。

怪獣は、ジプシーを掴んだまま、成層圏まで上昇する。

カノンは既に撃ち果たしていた。もう武器がない!とローリーは叫ぶが、まだ武器はありますとマコが言い出す。

チェーンゴールド!

ジプシーの左手部分からチェーンのようなものが飛び出し、それが固まって劔状になる。

その武器で怪獣を仕留めたジプシーだったが、今度は成層圏からジプシー自体が落下し始める。

ジプシーには飛行装置が付いてない。

バランスを取れ!ショックアブソーバーだ!

地上では、ジプシーの落下の衝撃に供える。

ジプシーは地上に墜落するが、やがて立ち上がる。

マコ、大丈夫か?とローリーが声をかけると、マコも、ええ、あなたは?と答える。

シャッター・ドーム内の司令所にいたペントコスト司令官は、ガイズラー博士を呼ぶんだ!イェーガーを整備しろ!と命じる。

市内では、ハンニバル・チャウが、怪獣の死体の回収を仲間たちに急がせていた。

そこにやって来たニュートは、生きて戻ったぞ!脳をもらおうか?とチャウに交渉する。

シャッター・ドームに戻って来たローリーとマコは、その場にいた仲間たちから称賛を受ける。

前に進み出て来たハーク・ハンセンは、息子は黙っているが、感謝している。俺もだと握手を求めて来る。

ペントコスト司令官も、ベケット君、モリ君、私も長いこと戦って来たが、あんな戦いを観たのは初めてだ。みんなの誇りだ。しかし、今は祝っているときではない。仲間2人を失った。怪獣タイマー、リセット!と命じるが、その時、又鼻血が出て来たのをローリーは見逃さなかった。

怪獣の死体回収現場では、ニュートがチャウに、どうしてこんなに時間がかかるんだと文句を言っていた。

チャウは、CO2を注入しているのだと説明する。

死体回収隊は、怪獣の骨盤部分から胎内に侵入していた。

しかし、彼らからの連絡では、第二の脳は損傷していると言うことだったので、ニュートは悔しがる。

その時、死体回収隊たちは、怪獣の胎内で鼓動のようなものを感じる。

チャウが回収隊と連絡をしていた携帯を奪い取ったニュート博士は、携帯から聞こえて来る規則正しい鼓動の音を確認すると、妊娠しているんだ!と叫ぶ。

次の瞬間、携帯から悲鳴が聞こえ、怪獣の身体から怪獣の赤ん坊が飛び出して来てニュートの方に迫って来たので、ニュートは必死に逃げる。

もう少しで食われる!と言う時、怪獣の赤ん坊は倒れる。

チャウは、へその緒が首に絡み付いて窒息したんだ。すぐに分かったと言いながら近づいて来る。

次の瞬間、死んだと思っていた赤ん坊怪獣が大きな口を開け、そのチャウを飲み込んでしまう。

そして、苦しんだかと思うと、今度こそ本当に死んでしまう。

ニュートの足下には、今食われてしまったチャウの靴が片方落ちていた。

シャッター・ドームの中では、ローリーがペントコスト司令官に、病気は酷いんですか?と尋ねていた。

言ってどうなる?ペントコストは呟く。初期のイェーガーには放射能シールドが付いていなかった。

最後の戦いとなった東京で3時間戦った。そして被爆した。

今まで1人で戦ったのは、俺と君だけだ。だから君を呼んだんだとペントコストは告白する。

その時、カテゴリー4の怪獣に大河海底の裂け目の上に2体出現との報告が入る。

その頃、怪獣の赤ん坊の死体の場所にやって来たゴットリープ博士は、その場にいたニュークに、2人でドラフトしようと提案したので、ニュークは驚いていた。

チャックは、エウレカに乗ろうにも、父親のハークが腕に怪我をして無理だと知っていたので、誰が俺と組むんだ?と戸惑う。

そこに、少々太ったか?と腹の辺りを気にしながら防護服を着て現れたのはペントコスト司令官だった。

それを観たマコは、又イェーガーに乗ったら死にます!と止める。

乗らなければ人類は滅びる。君は立派に成長した。君がやり遂げるためにも、わたしを守るんだ!とペントコスト司令官はマコに話しかける。

そして、基地内に働いていた仲間に向かったペントコスト司令官は、我々は今日、最後の希望と人類の運命を賭けて戦う!と見事な演説をし、万雷の拍手喝采を受ける。

しかし、その演説には感心しながらも、チャックの不安は消えなかった。

チャック、君は独りよがりだが、ハークの息子だ。巧くドリフト出来る!とペントコスト司令官は告げる。

右手を負傷したハークが犬のマックスを連れてやって来る。

頑張れよ。今までドリフトして来たから話す必要はないんだ。気持ちは伝わっているはずだと息子に言うと、チャックも、ずっと前から分かっていた。マックス。元気でいろよ。世話を頼むと父親に言い残す。

ペントコスト、息子は預けたぞ!とハークは頼む。

その頃、ローリーはマコに、俺は過去にこだわって生きて来た。今は違う。最悪のタイミングで気がついたと告白していた。

ジプシー・デンジャーの操縦室内で、2人のブレインシェイクが開始される。

怪獣の赤ん坊の死体を前に、ニュート博士とゴットリープ博士は、2人同時に、赤ん坊怪獣の脳の中にダイブする。

すぐに2人は頭の装置を外し、ゴットリープ博士の方は気分が悪くなり、近くに落ちていたトイレの便座の中に吐いてしまう。

観たか!早く知らせないと!2人の博士とも、明らかに動揺していた。

計画は失敗する!

すでに、ジプシーとデンジャーは、核弾頭を持って海底の裂け目に向かっていた。

深海は真っ暗だったので、どうやって爆弾を投下すると聞かれたペントコストは、ナビゲーションが起動すると教える。

その時、彼らの右の方で何かが動くのを、司令室のテンドーが気づいていた。

しかし、その動きは速過ぎて補足不可能だった。

海溝まで後600m!

後400m!

怪獣が止まった!と気づいたテンドーたちは、何故止まったのかのか考える。

そこにヘリで戻って来た2人の科学者が司令室に走って来て、ゲートを怪獣が通れるのは、言わばバーコードのように裂け目が怪獣を認識しているからだ。イェーガーだけでは通過できない!バーコードに怪獣と誤認識させるために、怪獣と一緒に飛び降りろ!とニュートはマイクに向かって叫ぶ。

その時、裂け目の奥から、カテゴリー5、つまり最大級の怪獣が浮かび上がって来るのが確認される。

ジプシーが怪獣の一体に襲撃される。

チェーンドリル始動!

そのチェーンで、怪獣の首を絞める。

さらに、もう1匹の怪獣が接近する。

チャックは、爆弾投下できません!と叫ぶ。オーバードライブしている!

2体の怪獣がエウレカに迫る。

それを助けようと近づきかけたジプシーに、来るんじゃない!ダメだ、ローリー!そのまま裂け目に向かえ!マコ、良く聞け!きっと君なら出来る!ずっと君と一緒だ!ドリフトすれば私と会える!とペントコストが叫ぶ。

俺たちは歩く原子炉だ!裂け目を破壊できるとローリーはマコに話しかける。

オヤジが言ってた。チャンスがあるときはやれと…、司令官、組めて光栄でしたとチャックは言い、ジプシーのマコは、私、愛していますとペントコストに別れを告げる。

次の瞬間、エウレカは怪獣に破壊されてしまう。

やり遂げよう!そう言ったローリーたちジプシー・デンジャーは、死んだ怪獣の身体を掴むと、海底の裂け目に向かって歩き始める。

任務をやり遂げます!とローリーは誓う。

そこに巨大怪獣が出現する。

エアジェット噴射だ!

ジプシー・デンジャーは、新たな怪獣につかみ掛かったまま、一緒に裂け目に落下して行く。

その時、マコの酸素供給が切れたことを司令室は気づく。

ジプシーは、バーナー照射で、掴んでいた怪獣の息の根を止める。

裂け目に入った!成功だ!司令室のテンドーやハークらは喜ぶ。

その間も、マコへの酸素供給は減少していた。

ローリーは、自分の防具服の酸素ホースを抜き、マコの防護服に付け替えると、後は落ちるだけだ、俺1人で出来ると言いながら、気絶したマコの身体をリフトアップに、脱出ポッドで機外に放出する。

これより爆破する。リアクターをオーバードライブするとローリーは報告するが、司令室のテンドーは、今すぐ爆破しないと!と焦る。

その時、機内のコンピューターが、手動による動作が必要ですとメッセージを送って来る。

その間も、裂け目の中を、怪獣を抱いたイェーガーは落下し続けていた。

ローリーは、装置から身体を外すと、起爆装置の所まで行き、起爆スイッチを押す。

メルトダウンまで50秒…とコンピューターがカウントダウン始める。

イェーガーの身体は、すでに異次元の世界に侵入していた。

そこには、異次元の人間のような生物が、驚いたように上空から落下して来たイェーガーを観ていた。

脱出ポッド起動!ローリーも何とか、脱出ポッドに乗り込む。

数秒後、リアクターメルトダウンが起きる。

成功です!裂け目が崩壊します!司令室の中は計画の成功に湧いていた。

救出ポッド回収のため、ヘリがそう出動する。

マコの乗ったポッドはすぐに発見された。

ポッドの蓋が自動的に開き、気がついたマコが起き上がって周囲の海面を見渡す。

しかし、2機目のポッドはなかなか発見できなかった。

その時、バイタルサインが鳴り、ローリーのポッドが近くに浮上して来たので、マコは海に飛び込み、相手のポッドの蓋を取って中を確認する。

そこにはローリーが乗っていたが、ローリーのヘルメットを取ったマコだったが、脈がないことに気づく。

ローリー!嫌だ〜!マコは絶叫しながら、息が止まったローリーの身体を抱き起こす。

ダメ!死なないで!マコはローリーの上半身をきつく抱きしめていた。

その時、きつく閉め過ぎだ…と言うローリーの声にマコは気づく。

息が出来なかった…と言うローリーは、嬉しそうにマコを見つめる。

シャッター・ドーム内では、彼ら2人が無事生還できたことが分かり、歓声が巻き起こっていた。

司令官のマーキュリー・ハンセンだ!タイマーを止めろ!とハークが呼びかけると、基地内のみんなが拍手を始める。

2人の博士と犬のマックスも上機嫌の様子。

脱出ポッドを発見したヘリ軍団が、ローリーとマコの頭上に接近して来る。

大丈夫か?と基地から呼び掛けがあるが、2人はポッドの上で抱き合っていた。

エンドロール

赤ん坊怪獣の死体の目の部分から裂け目が出来、内側からナイフを手にしたハンニバル・チャウがはい出して来て、どこ行った?俺の靴は…、この野郎!と忌々しそうに呟く。

モンスターマスター、レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐの文字