虐げられる労働者たち、組合、貧困、朝鮮人、子供…と来れば、同じ今村昌平脚色、浦山桐郎監督「キューポラのある町」(1962)を連想するが、公開時期から考えると、こちらの方が原点に近いのだろう。
本作では、労働組合も業界全体の不況の前には無力であるかのような救いのない描き方になっているが、労働組合讃歌のような理想主義的な内容に変化している「キューポラのある町」よりは、現実に近いように思える。
社会の歪みが、社会的に一番弱い底辺の層の、さらに弱い子供たちに押し寄せる悲惨さ。
その悲惨さを乗り越え、兄弟たちが片寄せ合って生き抜こうとするのを、さらに引き裂く現実。
この時期、「二十四の瞳」(1954)や「つづり方兄妹」(1958)など、子供たちの目を通して社会の歪みを浮き出させる作品が何本か作られており、本作も、そうした流れの中の1本と言うべきかもしれない。
バラバラになり、1人ぼっちになった子供たちは、絶えず暗い気持ちに教われるが、そこに押しつぶされてしまわない生命力や、根っからの明るさ、未来に対する夢が子供たちには備わっている事を描く事で、映画的には最後の救いとしている。
ただ、現実問題として考えると、この兄弟たちに明るい未来が待っているかどうかは疑問が残る。
主役の4人兄弟をはじめ、ここに登場している主立った人たちは、みな朝鮮人のようだ。
朝鮮人が劇中に登場する日本映画は、戦前から何本かあるが、主役が朝鮮人と言う設定なのは本作がはじめてではないだろうか。
なぜ、朝鮮人がこうした苦しい生活を日本で強いられていたのかと言う説明は一切ない。
劇中で小沢昭一が呟く、俺たち朝鮮人は、首切りとかそんなんばっかりたい…と言うぼやきや、北林谷栄が末子に言い聞かせる、昔の朝鮮人はもっと辛かったんだ…と言うようなセリフに、日本人とは違う立場だったと言うことが暗示されているくらいである。
地域によっては、朝鮮人が身近に暮らしていたであろう当時としては、日常過ぎて、あまり突っ込んで描けなかった部分なのかもしれない。
原作は10歳の少女が書いた日記らしいが、この映画は、子供の目から観た大人の世界と言うような描き方でもなく、かなり大人目線になっていると思う。
「にあんちゃん」と言う呼び名も、途中までは、誰の事を指しているのか良く分からなかったりする。
途中から「にあんちゃん」と言うのは、次男の高一の事であり「二番目のあんちゃん」の略称なのだろうと言うことが分かって来る。
その辺から、徐々に物語は、小学生のにあんちゃんと妹の話になっていくのだが、前半は、長門裕之演じる長男と、松尾嘉代演じる長女を中心とした、どちらかと言うと大人側の物語になっている。
それにしても、この当時の松尾嘉代は幼顔で、本当に高校生くらいにしか見えないなぁ〜と思っていたら、実際にこの頃は16歳くらいで、まだ子供と言った方が近い年齢である。
この松尾嘉代と末子のバスでの別れのシーン等、古風な演出ながら、松尾嘉代の表情が巧く、やっぱりジンと来てしまう所がある。
かな子先生役の吉行和子も、丸顔で可愛らしいが、当時24歳くらいだったはず。
桐野先生役の穂積隆信も、若くて爽やかなイケメンなので驚いた。当時28歳くらい。
こうした若手を支えているのがベテラン勢で、「ビルマの竪琴」(1956)に登場した現地の婆さんのしゃべり方に近い北林谷栄、肺病病み風の痩せた浜村純、典型的なおじさん殿山泰司、生真面目そうな所長役の芦田伸介などが、堅実な芝居を見せてくれる。
そして、そうした大人たちを相手に、堂々の存在感を見せてくれているのが2人の子役で、特に末子役の前田暁子と言う少女は、最近の子役にはない当時の子供の素朴さがある。
後半、子供をメインに、若干、明るいタッチに変化している事もあり、号泣させられるようなラストになっていないため、名作、傑作、感動作…などと素直に呼び難い感じはあるものの、秀作である事は間違いないと思う。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
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1959年、日活、安本末子原作、池田一朗脚色、今村昌平脚色+監督作品。 昭和三十四年度芸術祭参加作品 昭和28、9年頃、すなわち朝鮮ブームと神武景気の中間に当たる不況時代は、石炭産業にとってもどん底時代でもある。 代表的な大山でさえ赤字に苦しみ、中小炭坑に至っては当時200以上が廃炭坑し、失業者は2万を越えた。(炭坑の画像を背景に) この映画は、その頃佐賀県西端にあった、そのような切羽詰まったある小炭坑を舞台として、どん底の暮らしにあえぎながらも、強く生きた4人の兄弟の生活の記録である。(貧しい安本家の葬式を背景にナレーション) 安本家の父親の葬式 表で受付をやっていた金山春夫(小沢昭一)から、香典は金券ばかりで、現金は1216円しかないと聞いた坂田の婆(北林谷栄)は、その現金は全部自分のもの、死んだ者に自分が貸しとった分たいと言い、勝手に現金を全部奪い取ったので、慌てて止めようとするが、婆は、もうアイゴーと泣きまねを始め、家から出された棺桶の後から付いて行く。 隣の西脇(浜村純)が見送ろうと家から出て来たので、様子を見に来ていた保健婦の堀かな子(吉行和子)は、西脇さんは寝とらんと…と家に戻そうとする。 すると、西脇の妻がうちの人は病気でもなんでもなか!と文句を言って来たので、そんならレントゲンを撮りなさい!とかな子も言い返す。 遺された4人兄弟、長男安本喜一(長門裕之)、長女安本良子(松尾嘉代)、次男安本高一(沖村武)、次女安本末子(前田暁子)も棺桶の後から付いて行くが、一緒に付いて来ていた故人の仕事仲間、辺見源五郎(殿山泰司)は、その場にいたかな子と小学校の教諭、桐野先生(穂積隆信)を葬列に呼び込むと、葬列に参加していた鉱業所長(芦田伸介)に、この喜一を本採用にしてもらいたい。先生と保健婦さんに頼まれましたと言い出したので、呼ばれて付いて来たかな子と桐野先生は訳が分からず顔を見合わせる。 母親もおらず、子供だけになった安本家では、会社の金では3日も食えんと辺見が、旧友でもある所長に無理を言っていたのだった。 棺桶を小舟に積み込んでいる時、工事現場からスト解除を知らせるサイレンが聞こえて来る。 小舟には、喜一、良子、辺見、北村五郎(西村晃)等が一緒に乗って出発するが、それを岸から見送っていた高一は、何を思ったか、急に海に飛び込むと、泳いで小舟に追いつこうとする。 しかし、どうしても小舟には届かなかったので、途中で「バカ!」と怒鳴るのだった。 その後、家の前で、末子が花をいじっていると、何ばしよっと?と言いながら金本がやって来る。 家から出て来た高一が末子に芋を渡すと、どこからかサイレンのような音が聞こえたので、金本は又ストか!と驚く。 しかし、それは高市のおならの音だった。 ある日、かな子と桐野先生が並んで歩いていると、鉱山のトロッコに乗っていた男たちがからかって来る。 そのトロッコに乗っていた喜一に近づいて来た坂田の婆は、俺と一緒に株式会社をやらんか?良子を奉公に出せ。口減らしにもなるし、長崎の料亭から良か女を捜しに来とる。うんと金も受かるぞと話しかける。 一方、かな子は、鉱山の社宅の中には、水道が1つしかないので、何とか改良して欲しいと工場の担当者に頼んでいた。 何度頼んでも、会社側が動こうとしない事に業を煮やしたかな子は、写真に撮って新聞社に送りますよ!と脅す。 その後、かな子は西脇の様子を観に行く。 外にある便所から出て来た喜一は、家の前にいた良子に、もう米なかと?と聞き、お前、俺が本採用に決まるまで、他所で働く気あるか?と聞く。 良子は、乗り気ではなさそうだったが、良かよ。そうせ口減らしに働かないけん思うとったけん…と返事をする。 喜一は、落ち込んでいる良子を慰めようと、本採用になったら、4人で暮らせると言い聞かす。 その時、隣から、生活保護やレントゲンやらいらん!と怒鳴るせい(山岡久乃)のわめき声が聞こえて来る。 どうしたのかと喜一が様子を観に行くと、かな子の勧めに、西脇の妻せいが包丁を振りかざし、文句を言っていた。 工場へ戻る喜一は、坂田家に向かうかな子と歩きながら、妙な話があると伝える。 坂田家は大家族だったが、赤ん坊の扱いが不潔過ぎるし、第一、子供が多過ぎるとかな子は注意する。 すると、婆は、たくさん産んどけば、1人くらい当たると、まるでくじ引きのようなことを言う。 そんな婆にかな子は、良子ちゃんでも使うてやったらどうね?と勧め、人身売買のような事をしとるそうやなかね?と、今喜一から聞いた話の事を指摘する。 そこに、米を貸してくださいと高一が末子を連れてやって来たので、婆は怒り出すが、それをなだめた倅の義雄(福原秀雄)は、北村の所で借りれば良か。姉ちゃんは、おじさんの所で働く事になったから心配するなと高一に伝える。 その後、赤ん坊を背負った北村の所に来た高一は、米一升貸してくれ、借りた分は、後で坂田のおじさんが入れると言うとったと伝えると、北村は愛想良く米を分けてくれる。 その夜、久々に高一は、飯を何杯も食べ満足していた。 しかし、良子が高だけに働きに行く事を知っている高一は、姉ちゃん、婆が虐めたら言うてくれ。飯一杯食うても、3人じゃつまらんとこぼす。 末子は喜一に、借りた米、どげんして返すと?と心配して聞くが、有浦中学のマラソンの景品は五級スーパーラジオたい!と喜一は、その景品を手に入れ、売る事を考えていた。 ところが、第11回有浦中学の運動会の日は土砂降りで中止になり、体育館での演芸大会に変更される。 壇上では、金山が得意の浪花節を披露しており、場内を埋め尽くした観客たちが感動していたので、このままでは景品のラジオを取られてしまうと考えた高一は、兄の喜一をけしかけ、無理矢理手を上げると、壇上に送り出し、周囲の観客たちに応援を頼む。 しかし、喜一は何の芸もなく、無理矢理歌い出した炭坑節も酷いものだったが、金山が横から手伝ってくれたこともあり、場内の観客たちも一緒に歌い出す。 それでも、景品のラジオをもらったのは金山だった。 坂田の家の前で洗濯ものをしていた良子に、そのラジオを見せに来た金山だったが、良子から、兄はそれを売って米代にするつもりだったと聞かされると、急に、やるよ等と言い出すが、良子は断る。 さらに金山は、今晩一緒に映画観に行かん?と聞くが、行きたかばってん、行かれんと良子が言うので、あんな棺桶に片足を突っ込んどる婆さんなんか気にせんと…と金山は言うが、窓からその言葉をしっかり聞いていた婆が、誰が片足突っ込んどるじゃ!と怒鳴りつけて来る。 亡くなった父親の49日に、線香を上げに来た辺見は、課長に来月から喜一を本採用にしろと発破かけとると言ってくれる。 今日は道草食わんと帰って来い。おはぎば作るとたいと喜一は、学校に行く高一と末子に言う。 喜んだ2人だったが、姉ちゃんは?と末子が案ずると、姉ちゃんおらんと、誰がおはぎを作るとか?と喜一は笑う。 その日、小学校に行った末子は、昼休み時間に高一のクラスに来て兄を探す。 しかし、姿が見えないので、運動場に出て、鉄棒を1人でやっていた高一を見つけると、自分の弁当を渡そうとする。 高一は、いらん!おはぎば食わんといかんので腹ば減らしよるったい!と負け惜しみを言う。 貧しくて、弁当も持って来れないので、水道の水で我慢していた高一を、クラスの男の子たちが、窓からからかって来る。 頭に来て、教室に飛び込んだ高一は、クラスメイトたちに向かい、俺は水腹でもいつでも相手にやってやるぞ!と啖呵を切るが、その後、教室を出て人目がなくなると、腹減った~…と本音を漏らすのだった。 道で露店を開いていた金山のもとにやって来た喜一は、最近は金券も5割に減った…と愚痴る。 すると、近づいて来た坂田の婆が、買うてやろうか?と声をかけて来るが、5割そのまんまの条件を言うので、喜一は断る。 金山も、良子ちゃんの手が腫れるほど洗濯させて…と嫌味を言うと、婆は怒り出し、喜一と喧嘩になる。 そんな喜一を呼びに来た辺見は、所長の所へ連れて行く。 何と、本採用どころか、首になったのだと言う。 所長は、今、炭坑の状況はどん底で、今までも無理をして仮採用してやっていたんだと説明するが、一緒に話を聞いていた辺見は、友達甲斐がない!と文句を言う。 その言葉に切れた所長は、自分もこの前のボーナスも取っとりゃせん!山がどげんもならんのが分からんのか!と怒鳴り出したので、辺見もさすがに、もう良か…と言うしかなかった。 それでん、ここはまだ良か方じゃ。高谷や毛塚は廃炭坑やそうじゃ。働いていたものもバラバラじゃ…と所長は語る。 その後、北村は、ぼた山の近くで1人ぼーっとしてた喜一を見つける。 どうやら、焼酎を飲んで来たようだった。 帰宅すると、坂田のおじさんが良子を連れて来ており、置いてやりたいが婆がうるさいけん、堪忍してくれよなと言い、自分だけ帰って行く。 末子が、学校で教科書を買うので150円持って来いと言われたと言うと、喜一は学校なんていかんで良か、休んでしまえとやけになったように言う。 その時、裏の窓から顔をのぞかせた金山が、唐津の店で人ば探しとると教え、喜一が首になった事を聞くと、俺たち朝鮮人は、首切りとかそんなんばっかりたい…とぼやきながら帰って行く。 面白くないのか、喜一が映画を観て来ると言って出かけようとしたので、見かねた高一が、映画観る金があるとやったら、教科書代出してやったらどうね?ケチンボ!と言い出したので、怒った喜一が高一に飛びかかり、その場で喧嘩になる。 そこに、辺見がやって来て、兄弟喧嘩を止めさせると、課長から頼まれたと言い、長崎の工場の紹介状を喜一に渡すと、高一と末子は俺が預かると言い出し、いきなり押し入れを開けて、布団を確認すると、すぐに引っ越しの準備をしろと言い出す。 あまりに急な話に、唖然とする兄弟たちだったが、取りあえず、布団を持ち、辺見の家に向かう。 行くと、辺見の女房たつ(辻伊万里)が不機嫌そうにしている。 どうやら、辺見が勝手にやった事で、たつには一言の相談もしていないらしかった。 それに気づいた喜一は、持っていた金を、当座の食費としてたつに渡して、良子と共に帰る。 自宅に戻り寝床に入った良子は、大丈夫かね?2人きりで…、うち、唐津に行くと辛うなった…と呟く。 鶴の鼻発着場から、翌朝、良子は小舟に乗って唐津に出発し、喜一は見送りに来た金山と握手して走って長崎の工場に向かう。 その日、学校から帰って来た高一と末子は、辺見の家の中で、たつと辺見が自分たちを預かった事で言い争いをしているのを聞く。 炭坑では、工夫の女房たちも集まり、給料遅配に関する団体交渉の結果を待ちわびていた。 そこに、組合の曽我等が戻って来て、どがんもいけん。金券70%支給すると言う会社側の提案を伝えたので、家族たちは猛反発し、近くで話し合いを野郎と言うことになる。 そんな中、会社も困っとるんやからと、ただ1人、辺見が言い聞かそうとするが、誰もその言葉に耳を貸すものはいなかった。 仕方なく、風呂に入った辺見だったが、あまりに熱いので、風呂焚きの北村にうめんか!と怒鳴りつける。 そこに、辺見の家の赤ん坊を連れた末子がやって来る。 お前最近学校行っとらんそうやないか?と辺見が聞くと、頭が痛かったけん…と末子は答える。 その頃、町内の文化会館で、産児制限の説明会を予定していたかな子は、誰1人やって来ないので、せっかく書いた看板の紙を破りながら、どうしたんですか?と聞いて来た桐野先生に、みんな意識の低か!と不満をぶちまける。 それを聞いた桐野先生は、みんな、給料遅配の方が大切でしょうとなだめ、末子が学校を休んどるのを知っとるか?と教える。 心配したかな子は、桐野先生と末子を連れ、医者に診せに行くが、栄養障害以外に特に病気はないと言うことだった。 病院の横の広場では、鉱山の労働者とその家族たちがデモを繰り広げていた。 かな子は、でももう4日も休んどるんですと心配するが、桐野先生が真新しい教科書を末子に渡し、明日から学校来るんだぞと言うと、末子は素直に喜ぶのだった。 そこに、西脇が飛び込んで来たので、レントゲン撮りに来たのね!とかな子が喜ぶと、子供の熱が酷か!死にそうだ!と言うではないか。 驚いたかな子が、西脇の家に行って赤ん坊を診ながら、奥さんは?と聞くが、西脇は答えない。 幼い娘に母親は?と聞くと、下関の新天地に行った。良か着物着て…と言うではないか。 赤ん坊の症状から、間違いなく赤痢と判断したかな子は、この家をすぐ消毒するけん、その子連れて来て!と西脇に頼み、自分も保健所に出かけて行く。 社宅の水道は使用禁止になり、症状の軽いものまで、炭坑を休ませるようかな子は働きかけたので、かな子は会社側から嫌味を言われる。 そんなかな子の元にやって来た高一は、末子が赤痢らしいと伝える。 かな子は、臨時の避難所を作るため、テントを借りて来るよう高一に頼む。 かな子の奮闘のお陰で、末子の症状も快方に向かう。 ゴミ屋をしている金山は辺見の家の前に来ると、そこにいた高一に、兄ちゃんから手紙は来たか?と聞くが、奥にいた辺見の女房たつは、手紙を書いてくれ。末子の赤痢でえらく物入りやったと…と高一に嫌味を言う。 たまらなくなった高一は、金山を追いかけると、何か仕事はないですか?アルバイトしたかと申し出る。 その後、友人と2人で空き缶拾いを手伝う事になった高一は、その友人と共に、ぼた山に昇るトロッコに乗って町を眺めていた。 人口わずか2000人の小さな町だった。 頂上にいた作業員から、昇るんじゃないと叱られたので、トロッコを飛び降りた2人だったが、何やら社宅の方で人が騒いでいるに気づく。 西脇の親父が首を吊ったのだった。 高一が社宅に戻って来ると、通りかかったかな子に、家で酔った辺見が、この辺にもう赤痢はおらんけん、あんたがうろうろすることはなか!があがあ騒ぎ立てててん、あんたは成績が上がるかもしれんばってん、働き手ば休まされたうちは、どぎゃん酷か目に遭わされとるか知っちょるかね?この辺じゃみんな言うとるぞ。西脇は、あんたのバカッ騒ぎで殺されたようなもんだと…と罵倒して来る。 それを聞いていた高一は、おいしゃんのバカタレ!かな子先生が一生懸命やっとるけん、このくらいですんじょっとばい!と辺見に食って掛かると、過労の極致に達していたかな子はめまいを起こし、道ばたに倒れてしまう。 数日後、倒れた娘のかな子を心配して駆けつけて来た母親(賀原夏子)は、たった1人の娘ば、こげな辺鄙な所においておかれまっせん。早う東京へ行って、亮一さんと一緒になってくれにゃ、私はもう…と叱かる。 お母さん!となだめた婚約者の松岡亮一(二谷英明)は、言えば言うほどこの人は意地になりますと口を挟んで来たので、意地ではありません。1年おって、ようやくここの人が分かりかけて来たんです。ここの人は、少なくとも都内の人よりは、ずっと自分に忠実で、素朴ですよとかな子は言い返す。 あんたがうんうん言っとんたんじゃ、何もなりゃせんが…と母親は呆れるが、しかしな、かなちゃん、自分に忠実と言うことは、頑迷と紙一つじゃけん、あんたもいい加減、それで苦労して来たはずじゃないか。あんたがあちこちで頭をぶつけるたんびに、石頭!とか、分からず屋とか、怒鳴ってばかりいたのと違うね?と亮一が諭す。 もちろん、私の意思が100%理解されているとは思うとらんよ…、でも努力さえすれば…とかな子は、まだ理想を語る。 あんた、病気になるくらい努力したばってん、その何とか言うおっさん1人の偏見と無理解さえ壊す事出来んじゃったやないかと亮一は反論する、 だから、もっと努力をせんといけんのよとかな子は聞かないので、おいおい、すると、僕は無限に待たされるのかい…と亮一は笑う。 そこに高一と末子を連れ、辺見が訪ねて来る。 今の話のおじさんよとかな子が亮一に囁きかけると、偏見のおじさん?と亮一も微笑む。 辺見が挨拶すると、母と親戚の人ですとかな子は紹介する。 辺見は、今日は謝りに来たとです。この前は酔っぱろうとって見当違いなことを言うてすまんじゃったですと言うので、かな子は、よかよかと笑う。 高一に酷く怒られましたばい。負うた子に教えられ…ちゅうもんですたいと言い、西脇の子供たちは、下関の母親が引き取りに来たと知らせる。 かな子は末子に、赤痢直ったけん、遠足に行けるねと話しかけると、末子も姉ちゃんに会える嬉しそうに答える。 やがて、末子は、桐野先生と一緒にバスで唐津に遠足に行く。 昼休みの1時間の自由行動の時間になったので、末子は桐野先生に断り、姉良子からもらった地図を頼りに会いに行く事にする。 ところが、良子が働いているはずの福島精肉店主(松本染升)は、今、お使いに出されていないと言う。 店員が言うには、競艇場の方だと言うので、末子は競艇場へ行ってみるが、良子には会えなかった。 バスの出発間際まで良子が来るのを待った末子だったが、船に間に合わなくなると言うので、桐野先生がバスに乗せ出発する。 その直後、バスは急停車する。 良子が会いに来たのだ。 バスの窓から、良子は末子に話しかける。 しかし、運転手から時間がないとせかされたので、桐野先生は、あんたも元気にしとかんといけんよと良子に声をかけ、バスは出発する。 窓から、姉〜ちゃん!と呼びかける末子。 良子はしばらく走ってバスを追いかけるが、やがて立ち止まると、寂し気に店に戻って行く。 ある日、炭坑から時ならぬサイレンが聞こえて来たので、事故が起こったと知った家族たちがみんな集まって来る。 上がって来たトロッコには、数名のけが人が乗せられており、その1人は辺見だった。 首になっても、わしはここにおる!足を怪我して、もう山に登れなくなった辺見は、社宅に見舞いに来た所長にそう言っていた。 所長は、会社のもんとしてでなく友達として言いたか、今が引き時じゃと言い聞かせる。 側で聞いていた女房のたつも、今辞めれば、退職金の他に加給金まで付くと言うのに…と口を出して来たので、金の事ば言うな!と辺見は叱るが、たつも、言うばい!内にはあんたが引っ張り込んだ余計もんが2人もおるんやけんと言い返す。 ぼた山の近くの広場に来ていた末子は高一に、辺見のおじさん、会社辞めるとじゃろか?そしたら、私たち…と話しかけ、追い出されるばいと高一も答える。 ばってん、おじさんは可愛そうね…と末子が言うと、うん…、運が悪か…と高一も同情する。 その時、丘の方を観ていた末子が、にあんちゃん、あれ、兄ちゃんじゃなか?と言う。 観ると、長崎に行っていたはずの喜一が、上半身裸のパンツ姿で走って来るではないか。 あんちゃん!と驚いた高一と末子は喜一に抱きつく。 訳を聞くと、左指を穢して工場を辞めて帰って来ていたら、中学の運動会で飛び入りマラソンをやっとったんで…、工場は給料安うして、金ば送られんかったけん、手紙だけっちゅう訳にもいかんかったけんな、許してくれよなと言うではないか。 辺見のおじさん、会社辞めるかも知れんと高一が教えると、今聞いたと喜一は答えながら走り続ける。 そこに、やはり、賞金目当てで参加したらしい金山が追い抜いて行ったので、喜一も後を追いかけ、末子たちは、あんちゃん、頑張れ〜!と声援を送る。 その夜、寝床に入った末子は、なかなか寝付けなかった。 私たち兄妹は、貧乏のどん底に落ちていました…(末子の声) 兄ちゃんの職がないのです。それどころか、家だってないのですから… 私が一番願っている事は、例え豚小屋であっても兄妹4人が一緒に暮らしたい事です。 いつになったら、4人に幸福が訪れるのでしょうか?一生このまま苦労して行かなければいけないのでしょうか?何のために…? 翌日、丘の上から、眼下でやっている大掛かりなデモの様子を観ていた喜一が、じゃいよいよ本雇いが切られるとやろうか?と聞くと、会社、潰れると言うもんね…と、一緒に座っていた金山が答える。 会社側からは、3分の2首切り案が出されていたが、それを飲めない組合側との話し合いが行われていた。 3分の2首切りをしないと、銀行が金を貸さなかったのだ。 労働組合側は、経営者全員の退陣を要求し、委員長は首切り案は飲めないと抵抗する。 団体交渉に出席していた坑夫長は、じゃあ、閉山じゃ。今日でこの山は終わりたい!と言い渡す。 首になった人たちは、少しずつ去って行く…(高一の声) 組合も結局、どうにも出来なかったのだ。 坂田さん一家も北海道の炭坑へ移って行ったし、辺見さんも希望退職をしので、あんちゃんは、僕らの預かり先を毎日探して歩いた。 僕らは、みんなと別れて、霧出の閔(大森義夫)さんの家に行く事になった。 あんちゃんは、そこからかな子先生の紹介で佐賀に職を探しに行くのだ。 バスで有浦中学前にやって来た喜一、高一、末子の3人は、閔(ぶん)さんの家に到着するが、そこは観るも無惨な荒れ家だった。 閔さんは、昔、喜一等の父親の世話になったらしく、親切に迎えてくれたが、その妻(牧よし子)は気性が荒そうな女だった。 喜一は、また、当座の食費を閔さんに渡すと、自分は佐賀に向かう。 その後、妻が鍋で作ってくれた雑炊を振る舞われるが、一口食べた高一は、そのあまりの唐辛子の辛さに、吐き出してしまう。 末子は水汲み等させられ、高一は畑仕事等させられる事になり、腹減った…、あんちゃんは3000円も渡したのに、あれじゃ無茶苦茶ばい…と、食事の酷さに文句を言う。 末子も、辛かね、とても食べきらんよと言うので、高一は、こげな所にはおれんばい。あんちゃんには悪かばってん、末子、やっぱり逃げようと言い出す。 家を逃げ出した2人は、途中の芋畑に入り込むと、高一が芋を抜いて食べる。 川の側で休んでいるうち、いつしか2人は裸になり、川に入ってはしゃぎ出す。 川に浮かんで空を見上げた高一は、日が暮れかけている事に気づくと、船に間に合わんぞ!と言い出し、慌てて服を着ると出発する。 末子等は、着替える間もなく、パンツ一丁姿で愉快そうに兄を追いかける。 何とか、炭坑の近くまで戻って来た2人だったが、末子は、頭がぼーっとなっとると言う。 途中、出会った金山は、逃げて来たとね?と声をかける。 辺見さんの所に帰りたいと高一が言うと、高ちゃん、今、夏休みやろ?住み込みで1日100円の仕事があるんやが、アルバイトせんね?と金山は言い出す。 文化会館で、再度「計画出産」の講演会の準備をしていたかな子の所に、桐野先生が近づいて来たので、かな子の手伝いを買って出ていた坂田の婆は、気をつけた方が良か、女助平やけん…と言い残して立ち去って行く。 桐野はかな子に、この講演会には、あの婆に借金がある奴ばかりが集まるんですよ。あの婆さんが熱心なのも、あんたを息子の嫁にしようとしているからですと教える。 そして、今度一緒に天草に行きませんか?と誘って来たので、かな子は、今、坂田の婆さんから忠告されたんですと笑う。 それでも桐野先生は、行くのなら、来週に水曜日ですけんと教える。 おいちゃん!と呼びながら、高一が辺見の家の戸を叩くが、誰も出て来ない。 家の中では、辺見の妻のたつが、ここも後3日で出んといかん!人情だけじゃ、飯食えんけん!と夫を睨んでいた。 辺見は、可哀想と思わんか!この鬼婆!と怒鳴りつけるが、それ以上強くは言い返せなかった。 そんな夫婦喧嘩を外で聞いていた高一は、もうここにもいられないと悟り、末子と共に、近くの空き家に入り込む。 すると、末子は、その裏庭に咲いた花を見つけ喜ぶ。 どげん細い所で良かけん、みんなで住みたいね…と呟いた末子は、にあんちゃん、今晩、どげんすっと?と高一に聞く。 その夜、かな子が、学校の教室に帰って来ると、そこで寝ている高一と末子を発見する。 かな子は、霧出から来たと?と驚きながらも、自分の住居用の部屋に連れ込む。 高一は、布団に寝かされた末子を、ちょっとの間だけ置いといてくれんか?僕、住み込みのアルバイト行くとですと頼む。 承知したかな子が、2人のために握り飯を作って持って来てやるが、もう2人とも熟睡していた。 高一が始めたアルバイトとは、船から、獲れた魚を入れた箱を、天秤棒で担いで、山の上の干場まで運び上げる重労働の仕事だった。 ある大雨の日、こんな重労働を1ヶ月も働くと思うと、少々がっかりだ…と高一は考えていた。 仕事を決めて、学校に一旦戻って来た喜一は、パチンコ屋の住み込みで5000円と言うのは結構好条件だそうですと、紹介してくれたかな子先生に報告していた。 そして、東京でご結婚されると言うのは本当ですか?末子から聞きました…と聞く。 私も、随分考えたんですけど…とかな子は答えるが、その場にいた末子は哀しそうだった。 金山に不要品を買わせようとしていた坂田の婆は、値段が安いと知ると、売らない。又戦争が始まるまで取っておくよと言い出し、金山が不機嫌そうにカエルと、風呂焚きの北村に、末子はまだ帰っとらんか?…と聞く。 末子は今、北村が預かり、婆は子守りをさせていたのだった。 その時、末子が戻って来たので、今頃まで何しとった!と叱りながら、自分が背負っていた赤ん坊を末子に背負わせる。 喜一は帰ったか?と婆は聞き、あんちゃん、にあんちゃんの所に寄ってから佐賀に帰るって…と末子が言うと、おまえんとこもてんでんばらばらだな〜…、元気出せよ〜!こんな婆でも、馬鹿な子を連れて親戚の世話になっとりゃ、まだまだ働かな…、昔の朝鮮人はもっと辛かったんだと言う。 かな子先生、来週、東京に行きなさると…末子が寂し気に言うと、町もんは、やっぱり町もんたいと婆は言う。 その時、銭湯から出て来た男が、パンツ一丁で体操のような事を始める。 太鼓が鳴り、笛が鳴り、祭りが始まる。 喜一と会っていた高一が、末子は可哀想たいね…と呟くと、北村さんの所しかおるとこなかけん、しようなか…と喜一は答える。 あんちゃんも可哀想じゃ…、コブは付いとるし…、良か人はみんな行ってしまうし…と高一は同情する。 堤防に来て、向こう岸に見える社宅の灯を観た高一が、電気が大分減ったごたるな…と言うと、この間の首切りで助かった連中も、結局切られるそうじゃと言うので、全員解雇ね?と高一は聞く。 じゃあ、今年の冬は誰もおらんけん、真っ暗じゃろな…と高一が言うと、どこへも行き所のないもんもたくさんおるとばいと喜一が教える。 どげんして暮らすと?その人たちと高一が聞くと、日雇いでんして、コ○キのごとして生きて行くとやろ…と喜一は言う。 蒸し暑かね…と喜一が言うので、明日の時間、何時ね?と高一が聞くと、9時たいと言うので、それを聞いた高一は、泳ごう!と言い出す。 2人は服を脱いで海に飛び込むと、小舟の所まで競争し、その上に這い上がる。 あんちゃん、俺、東京に行こうと思うとばい。ここは貧乏過ぎてどうしようもなか。東京はここより少しは金持ちたい。同じコ○キでも東京の方が良かろうと思うてな…と、いきなり高一が言い出したので、喜一はびっくりして、ばってん、お前まだ小学生ばいと指摘する。 小学生でん何でん、俺はもう1年、どげんしても東京へ行きたか!行ってダメなら、それまでたい…とまで高一が言うので、何事も経験たい…、ばってん、俺、今、お前行かれるの、辛か…と納得してくれた喜一は、泳ごう!今度は俺が先たい!と言うと、海に飛び込んで岸に向かう。 あんちゃん!くそ!と呼んだ高一も後に続く。 翌週、かな子先生は、玄海丸に乗って去る事になる。 都内の人は、やっぱり都内で暮らすのが一番ですたいと、末子と共に見送りに来ていた桐野先生が言う。 かな子先生は、自分がしていた腕時計を外すと末子に渡し、先生、末子ちゃんの事、頼みます!と言い残し、去って行く。 それを哀し気な顔で見送る末子。 高一は、何とか1ヶ月のアルバイトを終え、給料をもらっていたが、雑費とか引かれており、予想していた金額に足りなかったので、雇い主に、妹にやらなければいかんのでと文句を言うが、雇い主は電気代が高くついた等と言ってそれ以上出そうとはしない。 がっかりして立ち去りかけた高一を追って来た、雇い主の娘は、自分の金を高一の胸ポケットに入れてくれるが、それを取り出した高一は、いらんです。僕はもう、人には頼らん事にしたとです!ときっぱり言い、金を返して去って行く。 そして、北村の銭湯にやって来た高一は、湯船の中の掃除をしていた末子に会うと、俺、東京へ行くぞ!と伝える。 にあんちゃんも!と驚いた末子は、もう帰って来んけん、勉強しろよ。どげんかなるけんと高一が言うと、もう会えなくなると察し、泣き出す。 高一は、今もらって給料を全部やろうと思うたけど、東京までの汽車賃が900円かかるけんと言いながら、残りの金を末子に渡そうとする。 末子は、いらんと言うが、もろうとけ!と高一は押し付ける。 すると、末子は、にあんちゃん、これ、かな子先生からもらったんやけど、持って行って。東京でいるやろうけんと押し付けて来る。 それを受け取った高一は、走って去って行く。 1人立ち尽くして見送る末子は、にあんちゃん…と呟いて泣く。 走る機関車 私は一日も早く小学校を卒業したいです。(そう、末子は、眠気と戦いながら、夜、作文をノートに記していた) 卒業する頃には、今より身体も大きくなっているだろう。そしたら、私だって働けるようなるだろうと思います。 私は何でも良いから、自分で働いて、あんちゃんを助けて、4人揃って暮らせるようしたくてたまりません。 あんちゃんと言っても帰って来ず、にあんちゃんと呼んでも帰って来ない…、今はただ1人の私…(いつしか机に突っ伏して寝る末子) 東京駅に付いた高一は、右も左も分からない状態で、東京中を歩き回っていた。 やがて、自転車屋のウィンドウに貼ってあった店員募集の紙を見つけると、迷わず中に入り、自転車を修理していた店員(河上信夫)に、僕を雇ってくれんですかと切り出す。 店員があっけにとられていると、ちょうど出かけようとしていた主人(高原駿雄)が出て来たので、高一を紹介する。 しかし、主人も高一の言う事が良く分からないらしく、後はお前が聞いといてくれと言い残し出かけてしまう。 高一は物怖じせず、ここは何と言うんですか?と聞き。中央区月島と聞くと、島ですか!学校はいくつあるとですか?あんたは住み込みですか?などと矢継ぎ早に店員に質問して来る。 店員が困惑している所に、先ほどでかけた主人が警官を連れて戻って来て、この子ですよと指差すので、高一は元気良く、こんにちわ!と挨拶をする。 唐津警察署の前では、桐野先生が、12時50分で着くそうですと喜一等に説明していた。 東唐津駅に降り立った高一は、そこに、喜一、良子、桐野先生が待っている事に気づき、東京も大したことないね!などと笑いながら合流する。 良子は、心配しとったとよ、高ちゃんと、泣きそうな顔で声をかけて来る。 平串行きの昭和バスに、高一を連れて乗り込んだ桐野先生は、喜一と良子に、いつか良か日も来るけんねと声をかけ出発する。 後に残った喜一は、高一は俺の弟やけど、良か男たい!と、晴れやかな顔で言う。 小舟に乗って鉱山に戻る途中、桐野先生が黙り込んでいる高一に向かい、何ば考えとるか?人間、どこで暮らそうが一緒だと声をかけると、東京は人ばっかりで…、こっちの方がよっぽど良かですよと高一は答える。 お前は、学校の成績も一番じゃ。何でも出来る!と桐野先生は勇気づける。 岸では、末子が迎えに来ていた。 にあんちゃ〜ん!と呼びながら走って来た末子と、船を降りた高一は、嬉しそうに手を取り合ってぐるぐる回り出す。 その弾みで、末子は海に降り飛ばされ、水の中に尻餅をついてしまう。 でも、末子は愉快そうに笑う。 桐野先生が、起き上がって来た末子の濡れたスカートを脱がせると、絞ってやる。 東京、どげんやった?面白かった?と末子が聞くので、高一はうんと答えると、さ、行こうと言い、末子の手を握って歩き出す。 僕は又帰って来た。(と、高一の声) 山は潰れたし、北村のおじさんは失業中だ。 これからの僕と末子の生活は凄く辛いだろう。 ばってん、僕はへこたれんぞ! しばらくは大人しく勉強して、いつかまた、ここを飛び出してやる。 もっと広い、大きな所で自分の力を試したいのだ。 父ちゃんもあんちゃんも、貧乏のために出来なかった事を、僕がやってみせるんだ! 今にきっと!… 高一と末子は、手を取り合って、ぼた山を昇るのだった。 |
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