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銀座旋風児

日本テレビ放送網開局60周年、日活100周年、タツノコプロ50周年記念作品…と言う大仰な冠がついているにしては、やけにチープ感漂う作品になってしまっている。

安っぽくなった一番の原因は、CGに頼り過ぎてしまった事だと思う。

本編部分の安っぽさから推測するに、どう考えても大した予算をかけていないのに、CG処理でやたらにスケールを大きくし過ぎてしまい、そのツケが、画面に出てしまっているのだ。

ほとんどが、グリーンバック合成と思われる多重合成を用いているため、存在感がない空疎な画面の羅列になってしまっている。

ストーリー面でもおかしな部分が多過ぎ、オリジナルアニメとの比較云々以前に、観ていて不自然さばかりが気になる展開になってしまっている。

21世紀初頭、ギャラクターが人類に攻撃を加え始め、17日目には世界の半分は征服された…と説明しているのに、それからさらに13年も経過していると言うのに、東京の町並み等は、軍隊が警備している以外、見た目はほとんど現在の東京と同じである。

この辺から、観ていて混乱してしまう。

途中から、「石」の適合者たちがエージェントになり、ギャラクターに抵抗し始めたと言うことなのだろうが、17日で世界の半分が征服されたのなら、1ヶ月も経たないうちに、全人類はギャラクターの軍門に下っているはずである。

全人類は、ギャラクターの奴隷と仮し、主要都市等廃墟同然になっていると思うのだが、冒頭に登場するジュン等は、普通にショッピングを楽しんでいる。

何故、東京はそんなに平和なのかさっぱり分からない。

どうやら、ヨーロッパの方が壊滅的被害を受けているようにも見えるが、その理由も分からないままだし、ISO(国際科学技術庁)の立派なビルや島の中に作られた秘密基地等も、どうやってギャラクターの目を逃れ建設できたのかも分からない。

所詮は子供向けのSFファンタジーだから…と言うことなのかもしれないが、子供向けにしては、三角関係等、妙に大人びて深刻な話がメインになっているのが気になる。

こうしたストーリー上の妙なシリアス感は、画面の安っぽさを浮き立たせてしまう。

「ヤッターマン」などの場合は、基本ギャグタッチの作品だったから、多少、画面が薄っぺらくても、そんなに気にもならなかったのだが、今回は妙にまじめな話にしてしまった結果、絵作り面での手抜き感が気になってしまうのだ。

ケンとジョーとの微妙な関係、ベルクカッツェの意外性など、アニメシリーズでお馴染みの部分を処理するために、本作では、かなりひねったアイデアが用いられている。

そのコアになる部分のアイデア自体は、それなりに納得しないでもないが、それ以外の部分の設定が不自然過ぎて、どうしてもガッチャマンたちに感情移入できなかった。

主役であるはずの健は、妙に堅物で魅力不足だし、南部博士等、悪役にしか見えない。

ヒーロー側がそうした魅力の薄いキャラクターになっているだけに、セリフにしても、南部博士やガッチャマンたちより、ベルクカッツェが言っている事の方が正しいように聞こえてしまう所がある。

そもそも、ヒーローであるガッチャマンたちが、子供が素直に憧れるような設定になってない所が哀しい。

今風に、あるいは、大人向けを意識して…と言うことだったのかもしれないが、結果的には、大人が観ても、全く憧れる対象になり得ないキャラクターになってしまったような気がする。

ラストシーンを観る限り、続編を匂わしているが、はたしてどうなるか?

興行的に惨敗しそうな予感すらする記念作ではある。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2013年、映画「ガッチャマン」製作委員会、タツノコプロ原作、渡辺雄介脚本、佐藤東弥監督作品。

海辺で遊ぶ3人の子供。

知ってる?適合者がウイルスXに感染すると、ギャラクターになるんだってと男の子が言うと、「石」の光が守ってくれると女の子が答える。

光が消えたら?と男の子が問うと、その時は…と女の子が言いかける。

2015年 東ヨーロッパ

1人の子供が、家の外に出ると、町は何者かに爆撃して炎上していた。

21世紀初頭、怪物が現れて戦争が始まった。

化物たちはシールドと言うものに守られており、人間の武器は一切通用しなかった。

怪物が現れて17日目、世界の半分は征服された。

怪物はギャラクターと呼ばれた。

人間は限られた地域でしか生活できなくなり、多くの難民を生んだ。

外に出て、燃え盛る町を呆然と観ていた少年の手には、青い石が握られていた。

そこに背後から、不気味な黒い怪物が近づいて来て、その石を渡せ!と手を伸ばして来る。

少年の前は崖っ淵だった。

追いつめられた少年は、何を思ったか、自ら崖から飛び降りるが、次の瞬間、少年の身体は空中高く飛び上がる。

それを観た黒い怪物ベルクカッツェは、覚醒したか…、適合者よ!と呟く。

「石」を操り、現在に蘇った忍者…、私たちはこう呼ばれた。

「GATCHAMAN」のタイトル

13年後 東京

町には戦車が走り、防衛軍の兵隊が一般住民たちに混じっていた。

そんな街角の喫茶店に、買い物袋をたくさん抱えて嬉しそうに駆け込んで来た白鳥のジュン(剛力彩芽)は、テーブル上のパソコンを器用にいじっていた弟の燕の甚平(濱田龍臣)のモニター画面を覗き、何やってるのよ?と聞く。

人間観察のため!などと甚平は答えるが、モニターに出ている画面は、明らかに内務省の内部資料だったので、そんなことするより正規のルートを使えば?私たちは資格あるんだから!と注意するが、面倒だから、ハッキングしてるの!と甚平は答える。

外に出たジュンと甚平は、モップを抱えた清掃夫に化けたみみずくの竜(鈴木亮平)とすれ違う。

メガネをかけたサラリーマンに化け、近くの椅子に腰掛けていた大鷲の健(松坂桃李)の無線時計が鳴り、潜入任務は終了したとの指令が届く。

敵は「ラスト・スーサイド(最後の自殺)」なる計画を企てている事が分かった。その内容を探り出すのだと指示が来る。

そんな彼らに気づいたように、頭からフードをかぶった謎の男が、健たちを見つめていた。

中野サンプラザ近辺に、突如空から円盤のようなものが飛来し、ビルに衝突して地上に落下すると、突然、タイヤのような形状の巨大メカになり、回転しながら町を破壊し始める。

向かう方向には、ISO(国際科学技術庁)の本部ビルがあった。

防衛隊が攻撃を加えるが、ギャラクター軍団は、スーツの右腕から武器を発射しながら進軍して来る。

南部博士は、本部の会議室で、99%人間とギャラクターのDNAは一致しており、残りの1%が分かれ目です。1718年、アフリカで28個の未知の鉱物を発見し、我々はそれを「石」と名付けました…と発言している最中だった。

その時、「コードレッド」が発令され、全員地下シェルターに逃げるよう促されるが、南部博士は、動揺する科学者たちに、大丈夫です。既に作戦は発動されていますと言い、落ち着かせる。

ギャラクターの上げた右手の上に立った健は、ギャラクターの頭部に右手にはめ込まれた青く光る「石」から送られるエネールギーを注入していた。

この「石」から出る「G粒子」がシールドを突破し、ウィルスXを停止し、活動を破壊することが出来ますと南部博士は説明していた。

健に「G粒子」を注入されたギャラクターは倒れる。

俺が見えるか悪党ども。実態もなく忍び寄る白い影…

大鷲の健、白鳥のジュン、燕の甚平、みみずくの竜はビルの頂上から手を繋ぎ、輪になって地上に降り立つと、ギャラクター相手に戦い始める。

甚平は、アメリカンクラッカー型武器で戦う。

タイヤメカは、靖国通りから明治通りに南下していた。

健は、幹部怪人の1人と対峙する。

その時、ドクロベエ様型人形(声-滝口順平)が転がり「お仕置きだべえ~」と呟く。

その間、ジュンはタイヤメカの中に侵入し、爆破装置を止めようとしていた。

竜は、少女型幹部怪人と戦っていた。

甚平は、白い幹部怪人に、身体を壁面に楔で固定されて身動きできなくなる。

甚平の救援を求める声を無線で聞いたジュンは、助けに行こうとするが、爆弾の解除が先だ!と健の声が聞こえて来る。

その時、白い幹部怪人の身体に、青い羽が何本も突き刺さる。

地上に降り立った黒いGスーツのガッチャマンが起動すると、白い幹部怪人は爆発する。

ピンチを救ってもらった甚平は、誰?知り合い?と思わず聞く。

ジュンは、爆弾の解除にまだ手こずっていた。

木星が月の裏側に隠れた。ゲートが開くと言うと、幹部怪人2人は、異次元に消えて行く。

爆発まで数秒を残した所で、ジュンが地上に降り立ち、爆破装置とタイヤメカの動きを止める事に成功した事が分かる。

黒いGスーツの男は、初陣にしては上出来だなと健に馴れ馴れしく話しかけ、ISOヨーロッパから来たジョージ朝倉だと他のメンバーたちに自己紹介する。

その男は、通称「コンドルのジョー」(綾野剛)だった。

ISO東アジア支局がある島

エレベーターの中で2人きりになったジュンは健に、甚平の事、ありがとう。助けてくれて…と礼を言うが、俺が危なくなっても任務を優先しろとぶっきらぼうに答える。

ジョーの事は知っているの?と聞かれた健は、ジョーとは古い付き合いで13年になる。俺たちみたいに親を殺されて…と健は言うが、それを聞いていたジュンは、私の親は死んでいない。敵の捕虜になっただけとジュンはムキになって反論する。

エレベーターを降りたジュンは、健と打ち解けたと思い、絶対料理作ってあげよう!と1人喜ぶ。

ガッチャマンの5人は、メディカルセンターで健康チェックをする。

最近、健は姉ちゃんに告られそうになったんだよと甚平が言い出したので、ジュンは怒る。

それを聞いていたジョーは、健がふった原因はナオミだと言う。

島の海岸で、ホットドッグを置き、寝転んでいた健に近づいて来たジョーは、ヨーロッパはどうだと健に聞かれ、半年でギャラクラーに殺された10万人以上の死体を見た。ガキの頃から自由を奪われ、訓練に明け暮れ、何の意味があるんだ…とこぼす。

俺たちは、この「石」に選ばれたんだ。他に選択肢はないと健は冷静に答える。

彼らの首筋には、番号のようなものが浮き出ていた。

俺は、ナオミの復讐が出来たら、それで良い…とジョーは呟く。

南部博士の元に来ていたカークランド博士(光石研)は、実権の最終段階に入ります。人類の未来を、君の玩具たちに任せておく必要はなくなったと話していたが、そこに、呼ばれた健がやって来たので、君たちはやがて自由の身だとカークランド博士は告げる。

カークランド博士が退室すると、ジョーはどうだ?と南部博士が聞く。

健は、掟を破り裏切るかもしれませんと答えたので、5年前の君のようにか?と南部博士は問い返す。

この前の作戦は敵の囮作戦だった。我々が敵のメカと戦っている間、東京74区に別の連中が出現していたと南部博士は言い、その映像を見せる。

そこに写っていたのは、ギャラクターの首領ベルクカッツェだった。うかつにも東京に潜入させてしまったのだ。

映像に写っているベルクカッツェは、女のように見えた。

その話を戻って来た健から聞いたジュンは、ベルクカッツェが女だなんて、なんか意外…と呟く。

我々の新しい任務は、情報提供者の保護だ。その相手はイリア、ギャラクターのNo.2、ベルクカッツェとの覇権争いに破れ、亡命を希望し東京に潜伏中!とメンバーたちに指示を出すが、その後、エレベーターの中ではジョーに、イリヤを殺すなと命じる。

今は復讐より未来ってか?と苦笑したジョーは、お前こそイリアを殺すなよなと言い返す。

6時間後 東京

ガッチャマンたちは正装し、とあるパーティ会場に潜入していた。

コンピュータールームにいた甚平はジョーに、招待客中からセレクトした2人の夫婦の写真を送り、この人たちでお願いと通信していた。

入口付近の受付では、手のひら認証のために、招待客たちに、手のひらを装置に掲げさせていた。

そんな列の中に、夫婦を装った健とジュンが混じっていた。

いよいよ2人が認証装置の前に近づく。

ジョーは、入口付近にいた身替わり用の外国人夫婦を発見し、近づくと麻酔銃を撃ち込み、気分が悪くなった相手を外に連れ出していた。

甚平は、身替わり用の外国人夫婦の指紋データと健とジュンの指紋データを交換する作業に手間取っていた。

健は装置に手をかざすが「エラー」になってしまう。

やり直しを命じられ、もう1度かざすと、今度は「クリア」、しかし、装置に出て来た該当者の写真と健が全く別人だったので、係員は怪しみ、脇に控えていたガードマンが近づきかけるが、次の瞬間、良く見直すと、装置の画像はいつの間にか健の写真に変化していたので、無事、通過する事が出来る。

ジュンと共に会場内に入り込んだ健は、仮装パーティ用のマスクを付け、目指すイリアを探す。

「ヨーロッパ奪還計画」などと書かれた大きなポスターが貼られた会場内で、ジュンは、イリアの事を話して。何かあったの?と聞く。

俺は昔、ヨーロッパの辺境で、ジョーともう1人とで訓練をしていた。

難民救出中、もう1人が死んだ。殺したのはイリヤだ!と健は打ち明ける。

もう1人って、ナオミさん?とジュンは、以前ジョーが言っていた名前を思い出す。

すると、心配するな、ナオミと付き合っていたのは俺だと言うジョーの声がインカムから聞こえて来る

(回想)中央アジア 5年前

難民と一緒にバスで移動中だったジョーは、いきなりナオミ(初音映莉子)にプロポーズをする。

休戦ラインまで後4kmの所であり、ジョーはけじめをつけたいと言い、指輪を差し出す。

あまりに突然の事だったので、ナオミは戸惑いながら、同乗していた健の方に目をやる。

健は、一瞬の間の後、おめでとうと声をかけて来たので、ナオミは、ジョーの指輪をもらう事にする。

ナオミ、俺が一生守る!とジョーは約束する。

(回想明け)健とジュンの前に立ち止まったマスクの男は、やっと東京にもエージェントが配置されたようだなと話しかけて来る。

その時、コンピュータルームにいた甚平に、インカムの調子が悪いと言うジョーの声が届いたので、甚平は、一旦席を外す。

マスクを外して顔を見せろ!でないと、ここにいる全員が死ぬ事になるぞとその男イリア(中村獅童)は言うので、やむなく健とジュンはマスクを外す。

久しぶりだな…と、健を観たイリアは笑い、これで、俺の亡命は認められたと考えて良いのか?と聞いて来る。

健は、「ラスト・スーサイド」を教えてもらおうと迫る。

その頃、コンピューターの前に戻って来た甚平は、モニター画面が全てエラーになっている事に気づき焦る。

車の運転席で待機していた竜に、何か、腹減らないか?と話しかけて来たのはジョーだった。

車の所にイリヤを連れて来た健とジュンは、竜の姿が見えない事に不信を感じる。

竜は、光の輪で身体を縛られていた。

異変を察知した甚平も駆けつけて来るが、ジョーはイリヤに銃口を向け、それに気づいた健はジョーに銃口を突きつける。

ナオミはこいつに殺された!とジョーは訴えるが、任務が先だ!頼む!俺に撃たせるな!と健は命じる。

しかし、ジョーは発砲しようとしたので、健は発砲してしまう。

(回想)ナオミは俺が一生守る…、ジョーがそう言ってナオミを抱きしめた瞬間、バスの後部で爆発が起こり、結婚指輪が吹き飛ぶ。

バスは横転し、生き残っていたのはナオミと健だけで、ジョーは気を失っていた。

周囲を見渡した健は、廃墟のビルの上に発っていたイリアを見つけ、怒りに駆られ倒しに行こうと向かう。

しかし、ナオミは、石の力が消えたら撤退するのが規則だから、止めて!と制止しようとするが、健は聞こうとしなかった。

そんな健に向かい、イリヤは腕から光線を発射するが、その光線は、一瞬早く健の前に出て抱きついたナオミの背中に命中する。

その後、病院で気がついた健を見舞った南部博士は、ジョーは君とチームを組むのを拒否している。君には東アジアの訓練施設に移ってもらうと告げる。

(回想明け)ISO東アジア支局がある島に連れて来られたイリヤは、電磁シールドで囲われた厳重な檻の中に入れられていた。

そんな待遇を受ける事になったイリヤは、人間は実に愚かだ…。抵抗すれば、600トンの液体窒素で凍らされる…と苦笑する。

そんなイリヤに銃口を向けながら、健は「ラスト・スーサイド」とは何だ!とまだ問いつめていた。

答えたら処刑される…とイリヤは嘲る。

殺したければ殺せ!お前はあの女を愛していた。そして俺はあの女の命を奪った…、いつからそんな風になった?私を殺したいのに殺せない。命令に逆らえない、ただの犬…、彼女を死に追いやったのはお前か?とイリヤは健に問いかける。

しかし、健は、答えろ!と電磁シールドの隙間から銃口を突き出すだけだった。

「ラスト・スーサイド」とは、東京ごと、ISOを壊滅させる作戦だが、ベルクカッツェの頭の中にだけにある…と答えたイリヤは、良かったな、これで私を殺せる…と健に言う。

ベクルカッツェが東京に潜入したのは何故だ?と健はさらに問いかけるが、やらなければやられるぞ…とイリヤは答えるだけだった。

その頃、モスコーンを開発中だったカークランド博士に、一夜が懺悔したいと言い出したので、映像をカークランド博士の部屋に流す。

私は、あなたの妻を殺してしまった…、それも、拷問の末、嬲り殺した…、なぜなら、カークランド博士の妻だから…などとイリヤが言い始めたので、カークランド博士は強く動揺し、側にいた南部博士は映像を切らせようとする。

彼女は何もしゃべらなかった。あなたを愛していたから…、映像が切断される直前、イリヤはそうカークランド博士に話しかける。

その後、ガッチャマンチームには待機命令が出される。

カークランド博士が開発したG粒子ビームを人工衛星から地上の主要都市に向かって発射し、殲滅できる「モスコーン計画」を始める事になったからだった。

確かに、その方法だと、ギャラクターの戦力も奪う事は出来るが、その都市にいる一般人も巻き添えにすると言う事だった。

カークランド博士の意見に反対するものはいなかったと健はメンバーたちに伝える。

そんな中、甚平とジュンを外に呼びだした竜は、母ちゃんがもう長くない。1月持たない。もちろん、本当の母親ではなく、難民救出で助けた女性だが、俺を本当の息子のように慕ってくれている。

少しでも側にいたいので、除隊を考えている…、俺は「適合者」と言うだけで、お前等のような戦う理由はないと言うのだった。

それを聞いたジュンも、戦わなけりゃいけない理由は最初はあったけど、今は分からない。私たちは「適合者」と言うだけ…と答えていた。

メディカルセンターに入院していたジョーを見舞った健は、いつまで寝てるんだと言葉をかける。

高圧電流弾を食らえば、普通は1週間は動けないと、ジョーはベッドの上で答え、あれがもし、実弾でも撃っていたか?と問いかける。

俺たちはエージェントだ。任務は絶対だと健は答える。

彼女は違った…、掟を破って、お前を守った…とジョーは言う。

その頃、イリヤが幽閉されている部屋にやって来たカークランド博士は、作戦が終わったら、この手で君を殺す!と怒りを露にする。

あの程度のあおり言葉で来るとは…と嘲ったイリヤは、警備兵を瞬時に倒すと、カークランド博士の前に立ちふさがる。

狙いはモスコーンか!ようやく、カークランド博士はイリヤの策略に気づく。

お前ほどのものが、起動装置を持ち歩かぬはずがない!イリヤは、笑ってカークランド博士を捕捉する。

イリヤが同朋した知らせを受けた健は、直ちに追ってくれ!と指示を出すが、甚平の答えがない事に気づく。

しかし、任務は、イリヤ確保の方が優先だった。

イリヤの幽閉されていた部屋に駆けつけた竜は、イリヤが座っていた椅子に甚平が縛り付けられており、その頭上から液体窒素が吹きかけられている事に気づくと、慌てて椅子ごと引き抜いて助ける。

竜は、助けに来ない健に不信感を募らせる。

カークランド博士をストレッチャーに乗せ、基地から運び出そうとしていたイリヤの前に立ちふさがったのがジョーだった。

青い羽を手にしたジョーに対し、紀元前5世紀、宇宙よりウイルスXはもたらされた。

それに感染したものは、ある地方ではゾンビ、ある地方では吸血鬼、又別の場所では悪魔等と呼ばれ恐れられた…とイリヤは語り出す。

第二次世界大戦の時、これを軍事利用しようと考えたが実現しないまま敗戦を迎える。

戦後、ある博士が、それを地底の研究所でそれを発見、ウィルスXに感染してしまう。

彼が最初のベルクカッツェなのだ。

「石」の適合者は、ウィルスXの適合者でもあり、新化の可能性を持つものなのだ…と言いながら、イリヤは後ろ髪をかきあげ、首筋を露出する。

そこには、ガッチャマンたちと同じようなバーコードが浮き出ていた。

そして、ああ、変身は疲れる…と言いながら、イリヤはナオミの姿に戻る。

ウィルスXに不可能はないのよ…、そう言いながら、マオミは基地内の電気を落とす。

その時、南部博士は、まさか?!と気づく。

細胞だって自由に操れる。どんな姿にだってなれると言いながらジョーに近づいたナオミは、ジョーがつけていたペンダントの石を観ると、お揃いの…、大事にしてくれていたんだ…と、自分のイヤリングを見せる。

同じ石を使ったものだった。

ナオミはそのまま、怪しむジョーにキスをする。

これで思い出した?ベルクカッツェは別の男に後を引き継がれ、今や70人のギャラクターで人類は全滅させられると思う。こうして私はあの時連行された。私は生まれて初めて選択の自由が与えられたのよ。エージェントになるか、ギャラクターになるか?今度はジョーに選ばせてあげる…とナオミは言い、唇を離したジョーが身体の異変に気づくと、ウィルスに感染したでしょう?と笑う。

我が名はベルクカッツェ!三代目は私!自由の象徴!そう語るナオミの両目は赤く輝き、ジョーの左目も又、赤く輝いていた。

ナオミは、ジョーのペンダントを掴むと、ベルクカッツェに変身し、ジョーは子供の頃から縛られなかった。私はそんな所が好きだった。いつもその「石」のために奴隷になっている!何故エージェントになってるの?私の仇を討つため?でも私は生きている。もっと自由に生きなさい。私のように…と言う。

さらに、金星が月の陰に隠れる…と言い出したナオミは、適合者同士が手を取り合えば、別の世界の扉が開くと言いながら、ジョーの手のひらと手を合わせ、そこに出現した光の文様の背後に姿をくらます。

(回想)「石」の抜群の適合者である事が分かった三人の子供、健、ジョー、ナオミに会いに来た南部博士は、ギャラクターをやっつけたい!と言う彼らに、君等にそのチャンスを与えようと告げる。

(回想明け)健たちは南部博士の元に来ていた。

洗面所の鏡で、左目の異常に気づいたジョーは苦しむが、しばらくすると元に戻っていた。

健は、さっき一瞬聞こえたのは女性のようでしたと南部博士に伝えていた。

南部博士はメンバーたちに作戦を伝える!と言う。

その頃、海上に、巨大な島のような不気味なギャラクター要塞が浮上する。

ベルクカッツェは、そこに連れ込んで来たカークランド博士に、人間って不幸、やられたらやり返す…、それを永遠に繰り返す。に復讐に復讐…、私がそこから解放してあげる。復讐の連鎖を止めるために、人類自らの手で、自分たちを殺すの!と告げる。

それを聞いたカークランド博士は、お前たちに正義はない!と怒鳴りつけるが、人間の正義はなくても、ギャラクターの正義はある!とベルクカッツェはあざ笑う。

敵の狙いが分かった。モスコーンだ。カークランド博士は、自らの肉体にモスコーンの制御装置を装着していたのだ。彼らはモスコーンを使い、ニューヨーク、ロスアンゼルス、リオデジャネイロ、シドニー、東京等の主要都市を破壊する気だ。ゴッドフェニックスの出撃を許可する!と南部博士はガッチャマンに伝える。

それを聞いた竜は、ゴッドフェニックスは、まだテスト飛行もしていないと戸惑い、その前に聞きたい事がある!と健に向かうと、何故甚平を見捨てた!と責める。

任務に従った…と健は答えるが、任務なんてどうでもよか!俺がいなかったら死んでたぞ!と竜は納得できないようだった。

良いか、分かるな?俺たちは適合者だ!と健は言うが、それまで黙っていたジュンが、あんた、狂ってる!もっと普通に出来ないの?と声をかけたので、健もさすがに切れ、俺たちが普通でいられる訳ないだろう!と声を荒げる。

私だって、普通に生きたかった…。でも「石」を埋め込まれ、醜いコスチューム着せられて…、私も狂っている!とジュンはいら立つ。

そこに、お前等、全員寝てろ。俺1人で十分だと言い、姿を現したのはジョーだった。

ジョーは健に向かい、リーダーだったら、掟じゃなくて仲間を守れ!と言う。

南部博士は、全員揃ったガッチャマンたちに、改めて命令する。5人で行け!そして、人類を救え!と告げる。

それでも竜は、「石」を使った殺戮兵器…と、自分の運命を嘆いていた。

ゴッドフェニックスが島から飛び立つ。

やがて、ギャラクター要塞に近づいたゴッドフェニックスは、バードミサイルを発射、4人は要塞内に占有する。

健、ジュン、甚平、竜の4人は、現れたギャラクターたちと戦い始めるが、そうした中、ジョーは1人で先に行こうとする。

それに気づいた健は、カークランドを探せ!分かっているんだ。リーダーなら、掟じゃなく仲間を守る!と声をかける。

要塞内部に潜入したジョーは、ベルクカッツェと出会う。

羽を使って向かって来たジョーに、そんな攻撃では私は倒せない!私を取り戻したいのか?殺したいのか?とベルクカッツェは嘲る。

目を覚ませ、ナオミ!とジョーは叫ぶ。

モスコーン発射時刻が迫る中、健たちはまだギャラクターと戦っていた。

そんな中、何とか基地中央部に到達した甚平が発見したのは、身体の大半が石化したカークランド博士だった。

それを観た甚平は、どうやってハッキングしろって言うの?と戸惑う。

そこに、少女の姿をした幹部怪人が出現する。

せっかく自由が与えられたのに、これが答え?ジョーを倒したベルクカッツェが迫る。

俺は、ギャラクターにはならない!とジョーは倒れながら拒否するが、なら、あなた自身が殺しなさい!とベルクカッツェは言う。

その時、バードブーメランが飛んで来て、健が駆けつける。

俺が見えるか悪党!

ジョーの目の前の床には、バードブーメランが斬り裂いたベルクカッツェのマスクの破片が落ちていた。

振り向いたベルクカッツェのマスクの半分が斬り裂かれており、中のナオミの顔が見えていた。

それを見た健は驚愕する。

久しぶり!健!そう話しかけたベルクカッツェは、何で…と絶句した健の様子を見て、教えてなかったの?それでも友達?と床に倒れたジョーに聞く。

健のせいで私は死んだ。でも自由になれた…ベルクカッツェはからかうように言う。

宇宙空間に浮かぶモスコーンの全セイフティロックが解除される。

(回想)砂浜で遊ぶ3人の子供

それは、幼い頃の健、ジョー、そしてナオミだった。

(回想明け)モスコーンが発射され、海上の島が一つ消滅する。

カークランド博士の頭頂部に手を当てた甚平は、直接、博士の脳にG粒子を送り込み、モスコーンの軌道を修正していたのだった。

ニューヨーク、ロスアンゼルス、リオデジャネイロ、シドニー…と、何とか全部、軌道修正して危険を回避できたに思えた。

そんな中、竜は、少女型幹部怪人と戦っていた。

その時、俺の復讐は何のために…とカークランド博士が呟いたかと思うと、突然、その身体は爆発してしまう。

からは文字通り「スーサイド」してしまったのだ。

これでは、もはや、軌道上のモスコーンを地上から操作する事は不可能だった。

衛星を直接破壊でもせんと止まらんぞ!と竜が叫ぶ。

ジョーは健に、お前等は脱出しろ!

モスコーン照射圏外に離脱!と司令室に来たベルクカッツェが言うと、要塞全体が海上から浮上し始める。

そこにジョーがやって来たので、そんなに私とデートしたいの?とベルクカッツェは苦笑する。

ジョーは、自らの首からペンダントを引きちぎると捨てたので、あぁ、そっち?と呟いたベルクカッツェも、自分のイヤリングを外して捨てる。

南部博士から健に連絡が入り、直ちに脱出しろ!もう東京都民に避難勧告を出すタイミングを逃したと言う。

まだジョーが残っていますと健は答えるが、今、適合者を5人とも失うわけにはいかない!後はジョーに託して、脱出するんだ!と南部博士は言う。

健は、ジュンたちに3人で行け!と言い、自分はジョーを助けに向かおうとするが、やっと分かったわ!私は死ぬまで健といるの!それが私が戦う理由!とジュンが言い出す。

その会話を聞いていた南部博士は、ダメだ、健!今すぐ脱出しろ!と命じる。

俺は4人を助けるために1人を助ける。1千万人のために1人を犠牲にすると言う考え方を否定する!最後の任務だ!ジョーも、俺たちの未来も、全て救出する!と健は仲間たちに伝える。

そうした中、ギャラクター要塞は、宇宙空間のモスコーンに接近していた。

司令室では、ジョーとベルクカッツェが戦っていた。

ジョーの腕に埋め込まれた青い「石」の輝きは弱まりつつあった。

ジョー、ずっと会いたかった…。せっかく会えたのに、殺したくない。「石」に選ばれた適合者は、みんなギャラクターになるべきなのよ!とベルクカッツェは語りかけて来る。

今度は、ジョーがベルクカッツェになる番…と言いながら、ナオミはジョーにキスをする。

忘れないで、本当の自由はここにある…

ジョーの身体は紫色の煙に覆われ、変身しかける。

(回想)海辺で遊ぶ3人の子供。

知ってる?適合者がウイルスXに感染すると、ギャラクターになるんだってと男の子が言うと、「石」の光が守ってくれると女の子が答える。

光が消えたら?と男の子が問うと、その時は…殺して!私も殺すから…と少女ナオミは答えていた。

(回想明け)健が駆けつけ、ガッチャマンフェンサーでベルクカッツェの腹部を貫く。

床に倒れたジョーは4代目ベルクカッツェに変身しかけていた。

教えてくれ!ナオミなのか?健はそうベルクカッツェに問いかける。

私は健に愛されたナオミ…、ジョーに横取りされたナオミ…、それでも私を殺す?また、私を殺す?健も私と一緒に自由になろう…、そうベルクカッツェは囁きかけて来る。

いや違う!お前はナオミじゃない!ナオミはとっくに死んだんだ。死んだ人間は二度と蘇らない。会いたかったら天国に行くしかない!約束を果たせ、健!とジョーが叫ぶ。

掟とか義務とか、関係ないんだ!人は守りたいから戦う!救いたいから身を投げ出すんだ!あの時、ナオミは俺を救った。今度は俺が救う番だ!そう言った健は、ベルクカッツェの身体にさらにガッチャマンフェンサーを突き刺す。

さよなら…、健…、倒れたベルクカッツェの両目は、ナオミのように黒く戻っており、口元は微笑んでいた。

「あ・り・が・と・う」ナオミの口元はそう動いて見えた。

ベルクカッツェ、ナオミの身体は光に包まれ消滅して行く。

最後の仕事だと言い、要塞もろとも、モスコーンにぶつかる覚悟を決めた健だったが、行け!俺はここで死ぬ!俺はギャラクターになったんだとジョーが言う。

しかし健は、「石」の光は消えてない。まだチャンスはある!それにお前は大事な友達だ。絶対死なせない!一緒に生きよう!ナオミの分も…と答え、肩を貸す。

お前はバカか?バカでバカで、大バカ野郎だ!と呆れたように、ジョーは呟く。

ああそうだ、大バカ野郎だと健は笑いながら、ジョーをかついでゴッドフェニックスに運び込む。

しかし、もはや脱出するエネルギーは残っていなかった。

やはり、テスト飛行をやってなかったツケが廻って来たのだ。

モスコーン発射まで、後1分30秒!と甚平が教える。

バードミサイルを発射し、それを推進エネルギーにするんだと健は思いつく。

しかし、成功確立7%とコンピューターが伝える。

それでも可能性があると感じた健は、出力40%でバードミサイルを発射してみる。

しかし、機体は動かなかった。

健は、もう1度!と言い出す。

今度の成功率は、2.7%に落ちていた。

死ぬ時は一緒だ!なあ、ジュン…と竜は覚悟を決めたようだった。

ジュンは、判断は健に任せる。私たちはそれに従うだけ…と答える。

バードミサイルを発射したとほぼ同時に、ギャラクター要塞はモスコーンに激突、大爆発を起こす。

その爆発の中から、炎に包まれたフェニックスのようなものが飛び出して来る。

化学忍法「火の鳥」!甚平が自慢げに言う。

ゴッドフェニックスは脱出に成功したのだった。

健は、後部座席に座っていたジョーにグーを出し、ジョーもそれにグータッチをする。

良くやった!地上では南部博士が感謝していた。

ねえ、甚平、聞いて!健が言ったの、死ぬときは一緒って!とはしゃぐ。

健は呆れたように、全員一緒と言っただけだと憮然とする。

竜は、お前がリーダーだと笑う。

また、くだらない話ばかりして…、こいつらサイコーだぜ!とジョーも苦笑する。

これより帰還する!と健が言うと、全員、ラージャー!と答える。

エンドロール

メディカルセンターに再入院してベッドに寝ていたジョーの両目が赤く光り、苦しみ出す。