「X-メン」にも登場したアメコミキャラクターを主人公にしたスピン・オフ作品で、今回は日本を舞台にしている。
予告編等でも薄々予想した通り、「007は二度死ぬ」(1967)以来、ほとんど変化していない「外国人が珍しがる奇妙な日本の風俗を背景にしただけの荒唐無稽なバカ映画」になっていた。
日本到着直後の、夜の都心部のネオン街、巨大企業のボスの屋敷と言う名目で作られた意味不明な似非日本趣味の屋敷セットの中にある風俗まがいの浴室、現代に登場する忍者、これまた意味不明な秘密基地のような研究所等、「007は二度死ぬ」にそっくりな要素が多いのが気になる。
明らかに「007は二度死ぬ」を下敷きにしているような雰囲気があるのだ。
爆撃機B-29が接近して来ただけで、広島の原爆投下と同じと判断し、即座に割腹自決しようとする長崎の日本兵等、日本人の目で観ると、冒頭から奇妙な描写の目白押し。
ヤクザを絡ませる事で、日本国内なのに銃器の使用も日常的かのように描いているし、逃亡途中のローガンは、パチンコ屋やラブホテルなど、明らかに、海外から観た「おかしな国ニッポン」を象徴するかのような場所をあえて選んで逃げ込んでいる。
完全な見せ物アクションであり、所詮はマンガと割り切って楽しむ作品だろう。
おそらく、他の国を舞台にしたハリウッドアクションと言うのは大体いつもこんな感じであり、その当事国の観客が観ると、みんな苦笑しているのに違いない。
登場している日本人キャラの内、メインの数名以外は中国系など日本人ではないようで、セリフも英語とたどたどしい日本語である。
忍者のハラダ役は、日本人ヒロインマリコと絡むシーンがあるだけに、日本語が怪しいのは興ざめだが、それでも、かなり日本語を勉強した努力は見える。
おそらくは、忍者役と言う事で、風貌、英語力とアクションセンスのバランスで選ばれたのだろう。
小川直也や角田信朗が、僧侶やヤクザ役で出演しているらしいが、小川直也の方は一瞬、顔が確認できたものの、角田さんの方は、はっきり確認できなかった。
全体的には「ヘンテコ日本」の映画なのだが、一応、日本ロケはしており、噂によると、日本人キャストとあちらのキャストの意思疎通が巧く行かず、現場は大変だったようである。
ヒロイン役を演じている2名の女優さんは、共に有名なモデルさんらしいが、あまり日本では一般に知られている人とも思えず、真田さん以外は顔なじみがないのが一般受けし難い部分かもしれない。
さらに、真田広之さん自身も、中途半端な小悪党と言った感じの存在でしかなく、魅力的なキャラクターになってないし、見せ場となるアクションも少なめだったのが残念である。
せっかく、忍者と真田さんが共演している設定なのだから、もっと真田さんの見せ場を多くして欲しかった気がする。
要は、実態は倒産寸前である超巨大企業の最高権力者の座を巡るお家騒動に、ローガンが巻き込まれたと言うことらしいが、真田さん扮するシンゲンが、息子である自分を無視され、一挙に権力を握る事になった実の娘に怒りの矛先を向けると言うのも良く分からない。
そもそも、会社が倒産寸前だとすると、その最高責任者になる事にはあまりメリットはないはずで、逆に、重い責任を負わされるリスクの方が多いように思える。
シンゲンが怒りを向けるべき本来の相手は、自分を無視した父親であって、娘は何の関係もないのではないだろうか?
父親の経営能力を隔世遺伝していると思われる娘への嫉妬なのだろうか?
だとしたら、父親としても人間としても、随分小さな人間と言うことになる。
こちらが、字幕の説明をきちんと理解していないのかもしれないが、何だか、ノブローと真田さん演じるシンゲンがマリコを憎んだり、付け狙う行動自体、最後まで良く理解できなかった。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
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2013年、アメリカ映画、クリス・クレアモント+フランク・ミラー原作、クリストファー・マッカリー+マーク・ボンバック+スコット・フランク脚本、ジェームズ・マンゴールド監督作品。 湾のような場所の上空に2機の機影が遠くに見えて来る。 それを発見した見張り台の日本兵は、空襲警報を大声で発する。 その捕虜収容所の中にある古井戸の中に閉じ込められいたローガン(ヒュー・ジャックマン)は、両手の爪を石積みの壁に差し込んで昇り、蓋の隙間から外の様子を観ていた。 広島と同じだ!と叫んでいる日本兵の声が聞こえる。 若き日本兵、矢志田(Ken Yamamura)は外国人捕虜を収容所の外に逃がし始めるが、別の兵隊がその捕虜たちを撃とうとしたので、それを止めさせ、古井戸に近づいて来ると、ローガンにも逃げろと声をかけるが、B-29だ、逃げようがない。俺は逃げないと、井戸の底に降りていたローガンは答える。 その時、矢志田!何をしている?早くしろ!と、彼の上官のような軍人が声をかけて来たので、矢志田はやむなく古井戸から離れて行く。 矢志田を呼び寄せた3人の上官たちは全員上半身裸になっており、矢志田がその横に正座すると、みな一斉に切腹し始める。 矢志田も短刀を手にして切腹しかけるが、どうしても決心がつかない様子で迷う。 B-29から投下された原爆が爆発する。 その時、矢志田の所に駆け寄って来たのがローガンで、古井戸の中に逃げろ!と叫ぶと、自分も中に飛び込み、押し寄せて来た炎から、蓋で井戸の底に飛び込んで踞った矢志田の身体をかばう。 ローガンの身体は、原爆の炎で焼かれ、苦痛の叫びをあげる。 しかし、その火傷や負傷の痕も、一瞬に直って行く。 ベッドで目覚めたローガンに、横で寝ていたジーン(ファムケ・ヤンセン)が、何か夢を見たの?と聞いて来たので、長崎…と、ローガンは答える。 ジーン、許してくれ…、二度と、君も他の人間も傷つけない…とローガンは言うが、もう手遅れよ…と答えたジーンの腹部を観ると、ローガンの手の爪が突き刺さっていた。 止せ!今度こそ、本当にローガンは目覚める。 そこは、雪が残る山の中だった。 拾った置き時計を観ると、7時20分を指していたので、買い物をするため町に降りかけたローガンは、近くにいる熊を発見する。 熊は、ローガン等気にしない様子で小便をする。 町に降りて来たローガンを、車の中から監視している人影があった。 雑貨屋に入ったローガンは、ボウガンなどを買い求めている狩りに来たらしき騒がしい一団を観かける。 女店員が、あなたもハンター?と聞いて来たので、ローガンは、今は違うと答える。 その後、山の中に戻ったローガンは、ハンターたちが騒いでいる声を聞いたので、外に出て近くを探していると、倒れて苦しんでいる熊を発見する。 どうやら瀕死の状態のようだったが、死に切れないでいるらしかった。 それを観たローガンは、俺にやらせるな…と哀し気に言いながらも、爪を出すと、熊にとどめを刺してやる。 再び町に降り、酒場で、熊退治の自慢をしている男の側に近づいたローガンは、その男が、仲間たちがみんな熊に倒されたが、俺だけが熊を倒して帰還したと言う風な言い方をしていた。 俺も1杯おごると言いながら、話に興味を持ったような振りをしたローガンは、1本の矢をテーブルに置くと、毒を塗った矢を使うのは違反のはずで、卑怯者がやる事だ。どこで見つけたと思う?と言うと、その矢をカウンターの上にあったハンターの右手に突き刺し、熊の背中で見つけたと教える。 熊は毒の苦しみから凶暴化し、5人の人間を殺した…、許せ、ジーン!と呟いたローガンは、向かってきかけた3人の男たちと戦おうと身構えるが、そこに入って来た東洋人らしき女が、止めときなさい。どうせこの3人は1週間以内に交通事故で死ぬんだから。裏に車がある…とローガンに話しかけて来る。 成り行き上、危険はないと察し、車に乗り込んだローガンは、その女はユキオ(福島リラ)と言う名前で、ずっと自分を捜していたと聞かされる。 それを渡すためと言うので後部座席を観ると、そこには日本刀が置かれていた。 誰に?とローガンが聞くと、矢志田様とユキオは答え、借りを返したい。直接お礼が言いたいって…、病で余命幾ばくもないのだと教える。 どこにいると聞くと、東京とユキオは答え、断るのは礼儀に反すると付け加える。 ウルヴァリンと会えて光栄よ。正義感からあの酒場に行ったのでは?とユキオは、ローガンを見透かしたように言うので、ローガンは車を停めろと命じる。 停止した後、町に向かうパトカーとすれ違ったのを観て考えを変えたのか、ユキオの言葉に心を動かされたのか、1日だけだ。別れを言ったらすぐ帰るとローガンは答える。 15時間で着くと教えたユキオは、ローガンを個人ジェットが待機していた飛行場に案内する。 飛行機は大丈夫?とユキオがからかったので、問題ないと答えたローガンだったが、気流の関係か、飛び立ったジェット機は不気味に揺れ続けるので、ローガンは酒を飲んでごまかすしかなかった。 ローガンは、毛布に包まり寝ようとしていたユキオに、お前には未来が読めるのか?と聞く。 酒場の男たちが、1週間以内に自動車事故で死ぬと予言していたからだ。 俺はここで死ぬのか?とローガンが聞くと、いや、ここじゃないとユキオは意味ありげな答え方をする。 夜の歌舞伎町らしき町並みを走り抜ける車の中にローガンは乗っていた。 町並みを窓から観上げると、そこに「矢志田産業」と書かれた巨大な看板が見えた。 矢志田家の屋敷に到着すると、矢志田の具合が悪いとユキオは告げる。 到着したローガンは金属探知器を通るよう指示されたので、間接にボルトが入っているとごまかし通過した後、ガードマンたちが銃を持っている事を指摘すると、ヤクザに襲撃されたのだとユキオは言う。 屋敷の中では、剣道をしている2人がおり、その片方が、斬り込むたびに身体をひねってジャンプする不思議な動きをしていたので、誰かと尋ねると、矢志田の息子のシンゲン(真田広之)だとユキオは教える。 矢志田は伝統を重んじるとも伝えたユキオから姉のマリコ(TAO)と紹介された女性は、屋敷内のベッドに横たわった老いた矢志田(山内 春彦)と何か話しているのを観かける。 どうやら、マリコは、矢志田産業の後継者になれと言われ、戸惑っているようだった。 困惑しながら部屋から出て来たマリコに近づいたユキオは、メールを送っても返事ないし…などと姉に話しかけるが、マリコは、あの汚い人は誰?とローガンの方を向き、おじいさんが会いたがっていた人と聞くと、あんな汚い格好でおじいさんに会わせたくないと言う。 ローガンは、2人の女中が控えた浴室に案内され、無理矢理、風呂に入れられ、まるで動物でもあるかのように、女中たちから身体を洗われる。 ひげを剃られ、着替えをさせられたローガンに再会したユキオは、ステキだわと言って笑う。 病室のような部屋に案内されたローガンは、そこでベッドに寝ている矢志田と、医師のような外国人女性ドクター・グリーン(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)に出会う。 クズリ…、変わってないな…とローガンの顔を見て喜んだ矢志田は、グリーンに席を外させる。 ガンの専門家だと、出て行ったグリーンのことを教えた矢志田は、壁に書かれた風景画を眺めていたローガンに、私が産まれた村だ。700年間、忍者が一家に仕えて来たと説明する。 永遠に生きるのは苦しいだろう?お前は主君がいない浪人のような者だ。永遠の命を絶たせて、死なせてやる。矢志田産業になら出来る。お前は十分に苦しんだと矢志田は言う。 俺はあんたに別れを言いに来ただけだとローガンは戸惑うが、しかし、お前は死にたがっていると矢志田はローガンの心を見透かしたように言う。 よく考えろ。その代わり、私の孫のマリコを助けてくれ。彼女は私の宝だと言うので、後悔するから、止せ!とローガンは、それ以上の頼みを断る。 部屋を出たローガンは、中庭を挟んだ向こう側の渡り廊下にいたマリコが、父親のシンゲンから殴られているのを目撃する。 その直後、マリコは、発作的に屋敷の中を通り抜け、崖に面した部屋から飛び出そうとしたので、ローガンが駆けつけ抱きとめる。 その後、ユキオに会ったローガンは、お別れだけだって?と、矢志田から思わぬ依頼を聞かされた事を責める。 ユキオは、自分とマリ子とは本当の姉妹ではなく、自分は貧しかった少女時代、矢志田さまに拾われて、友達がいなかったマリコのために、妹として一緒に育ててもらったのだと説明する。 マリコは、飛行機の手配はしてくれた?とユキオに確認して来る。 ローガンを明日早々に帰すように言っているのだった。 永遠の命は苦痛だ…ローガンは、また、ジーンと共にベッドで寝ている夢を観ていた。 2人がキスをすると、又無意識のうちに、ローガンは手の爪を出していた。 その時、屋敷内が騒がしいのでローガンは目覚める。 廊下に出ると、中庭を挟んだ向こう側の廊下を、矢志田がベッドごと運ばれていた。 側にいたユキオが、予測できなかった…と悔しそうに泣く。 翌日、東京タワーが間近に見える寺で、矢志田の葬儀が行われる事になり、ローガンもユキオと共に出席する事にする。 ドクター・グリーンも出席していた。 寺の屋根には、1人の黒づくめの男ハラダ(Will Yun Lee)が潜んで、参列者たちの様子をうかがっていた。 ローガンはユキオに、マリコの隣に立っている見知らぬ男の正体を聞くと、婚約者のモリ・ノブロー(Brian Tee)と言う法務大臣だと言う。 ユキオが、ローガンをシンゲンに紹介すると、父が君を呼んだ訳を知っているが、洞窟に帰るんだなと、シンゲンはローガンを睨み、悪態をついて来る。 ユキオは、自分は矢志田様とマリ子を守るとローガンに告げる。 その時、ローガンは、マリコと一緒に本堂に向かう僧侶の袖から覗いた腕に、刺青らしきものが彫ってあるのを発見、マリコに、何かおかしいと言いながら、手を引こうとするが、それに気づいた矢志田家のボディガードが、下がりなさい!とローガンの無礼を叱責する。 次の瞬間、マリコの横に立っていた僧侶が、突然、マシンガンを取り出し、ボディガードに向かって乱射すると、半裸の刺青姿になった偽僧侶たちは、マリコを連れてその場から逃げ出そうとする。 その様子を、携帯のビデオカメラで淡々と撮影していたグリーンの側に来た若い衆が、ビデオなんか撮ってんじゃねえよ!と文句を言うと、グリーンは口からは虫類のような舌を出し、その若い衆の顔を嘗める。 すると、その若い衆の顔は一挙にただれ始める。 マリコは、クズリ!とローガンの名を読んで助けを乞う。 ユキオは、坊を使いヤクザと戦い始め、ローガンも爪を出して戦う。 そして、屋根の上の忍者ハラダも、矢を取り出して、ヤクザを射抜き始める。 ローガンは、ヤクザから、鉄パイプのようなもので殴られるが、マリコを奪い返すと、寺から町中に逃げ出す。 それを追って来るヤクザたち。 営業中のパチンコ屋の中に逃げ込んだローガンは、奥の部屋にマリコと身を隠すと、後から追って来たヤクザの1人を、ドア越しに突き刺す。 そして、パチンコ屋を逃げ出したローガンは、何故追われている?とマリコに問いかけるが、マリコは何も答えずに、上野駅の雑踏の中に消えようとする。 マリコは新幹線の席に着くが、気がつくと、ローガンも通路を隔てた隣の席に座って来る。 これが新幹線か?時速500km?とローガンは興味深そうに聞く。 その頃、マリコがローガンと共に、北門から出たようだとの報告をボディガードから受けたシンゲンは、大人になった人形に興味はないとノブローに囁きかける。 ローガンがマリコに、どこへ行く?と行き先を尋ねると、南に家族の別荘があると言うので、君は今日中に、矢志田家の当主になる身だ。少しは認識しろ、お嬢様…と皮肉を言うが、すでにマリコは、イヤホンを両耳につけ音楽を聴き始めたようで、ローガンの言葉は無視したようだった。 その後、ローガンは、トイレに行くと、自分の胸から出血が続いているのを観て、トイレットペーパーで応急処置を始める。 どうなっている?何が起こっているんだ…、いつもなら、傷口等すぐに治癒するはずのローガンは、自分の身体に起こった異変に狼狽していた。 トイレの外に出た所で、ローガンを探していたヤクザの一団が気づいたので、やむなくローガンは戦い始める。 壁を斬り裂き、ヤクザを放り出すが、ローガンの身体も掴まれ、外に出てしまう。 やむなく屋根の上に昇ったローガンと3人のヤクザたちが戦う事になるが、最後に残ったヤクザが、ちょうどマリコが座っている席の上の透明屋根に来て、下のマリコに気づいたようだったので、ローガンは屋根の上に突き立てていた爪を外すと、そのヤクザ目がけて飛びかかる。 その後、マリコの車両に戻って来たローガンは、どうしたの?と聞くマリコに、降りるぞと声をかける。 見知らぬ町中に降り立ったローガンは、安全な所に逃げようと言い、目の前にあった奇妙なホテルに入り込む。 マリコは、ここはラブホテルだと説明するが、意味が分からない様子のローガンは、全く英語が話せない受付のおばさんに、2部屋用意して欲しいと頼み込む。 おばさんが分からないので、やむなく、マリコが通訳をすると。「地下の牢屋」と」ナースの部屋」「火星探検の部屋」しか今空いていないと言う。 結局、ローガンが選んだのは、「火星探検」の部屋だった。 奇妙なベッドを前に、あなたは?とマリコが聞くと、ローガンは寝ないと答え、部屋の外のベランダ部分に出て、雨が降り始めた外をじっと眺める。 酷い出血ね…、また、ジーンの幻影がローガンに話しかけて来る。 放っておいてくれ!とローガンは拒否するが、死ぬのは簡単よ。一緒に来て…と手すりの向うへと誘う。 ローガンはその場に気絶してしまう。 気がつくと、ローガンは手術台のような所で目覚める。 側に付き添っていたマリコが言うには、ラブホテルの受付をしていたミエコの息子のヒトシが、ローガンの胸に残っていた弾丸を摘出したらしい。 ただし、ヒトシは、大学で医学を学んでいる学生に過ぎず、専門は動物なのだと言う。 確かに、部屋の隅には動物が入っている檻が置いてあった。 ローガンは、助けてくれたヒトシやエミコ、そしてマリコに礼を言うと、前は必要なかったんだが…、超能力が消えているのはあの主治医の仕業だろうと勘づく。 そのラブホテルの側に、当のドクター・グリーンがやって来る。 通りかかった中年男が、コール・ガールとでも勘違いしたのか、いくら?と聞いて絡んで来たので、グリーンがキスをしてやると、その中年男は突然路上に倒れてしまう。 そんなグリーンに近寄って来たハラダは、2時間も待たせやがって!と不満をぶちまける。 グリーンは、連れて来てって頼んだはずよ、ミュータントを…。ローガンはどこにいるの?と聞くと、ハラダの顔に息を吹きかける。 ハラダの顔の反面がただれ始めるが、ヤクザより早く見つけてと命じたグリーンは、その場を立ち去って行く。 マリコとローガンは、その後、バスで長崎の郊外にやって来る。 別荘にやって来たマリコは、葬儀の時、屋根から矢を放って守ってくれたのはハラダと言い、武道大会の矢の部門で優勝した男で、自分とは結婚の約束をしていたが、祖父が15歳まで待てと言い出し、その後、自分は父親から、モリ・ノブローと無理矢理婚約させられてしまったと教える。 マリコが作ってくれた食事を食べようとしたローガンが、箸を煮物に突き立てると、焼香みたいに見えるので縁起が悪いと言い、マリコが箸を抜いてやる。 ローガンは、矢志田は君に何と言ったんだ?なぜ、父に叩かれた?と聞く。 マリコは、祖父は自分を矢志田産業の後継者に指名し、自分は日本で一番権威のある人物になったのだと教える。 ノブローはろくな奴じゃないとローガンが言うと、父が政界への足がかりにしようと選んで、断れば不名誉になる。分からないでしょうね、日本人じゃないと…とマリコは哀し気に教える。 その頃、矢志田家では、まだ娘が見つからんのか!とシンゲンが、呼び寄せた警察関係者に癇癪をぶつけていた。 一方、マリコから電話を受けていたユキオは、私も行くわ、彼、怪我しているじゃないと伝える。 その直後、マリコを呼ぶ声が玄関から聞こえる。 顔見知りの近所のおばちゃんらしく、道の大きな木が倒れているので、手伝いが欲しいと言うことだった。 ローガンは、木を切り分ける手伝いに出るが、いつものような力が出ず、異常に疲れを感じていた。 作業を終え、近くの石灯籠が並んだ海辺で休んでいたローガンに、マリコは、通りかかったリヤカーの行商人から、リンゴを買ってくれる。 リンゴをかじって周囲を見渡したローガンは、近くにある鳥居等、見覚えのある風景に気づく。 少し歩くと、マンホールで塞がれた穴があり、そこが、かつて自分が閉じ込められていた古井戸跡であると直感する。 (回想)古井戸の中、原爆の炎から身を呈して守ってくれたローガンに、矢志田は、自分が持っていた日本刀を差し出し、受け取ってくれと頼む。 刀を抜いてみたローガンが、片手で構えていたので、日本刀は両手で持つんだと矢志田は教えるが、ローガンは、美しいがもらえないと断る。 矢志田がそれでも頼むので、俺の代わりに持っていてくれ。その内、もらいに行くからとローガンは約束する。 その後、2人は古井戸を脱出するが、眼前に広がる廃墟と化した長崎を観た矢志田は呆然となる。 (回想明け)俺はあの時、ここにいたんだ。君のおじいさんと一緒に…とローガンが呟くと、話は聞いたわとマリコは答え、いつか平和も来る…、きっとあなたにも…と付け加える。 良く眠ってないでしょう?夜声を上げていたわ。ジーンって誰?とマリコは聞いて来るが、雨が降りそうになって来たので、急いで別荘に戻る事にする。 途中で降られたので、2人は浴衣に着替えるが、マリコは、ちゃんと締めて、侍のようにと言いながらローガンの帯を締めてやる。 矢志田は俺を浪人と言った…、主君のない侍なんだ…とローガンは呟く。 マリコとローガンは、自然とキスをしていた。 その夜、ローガンは、マリコと同じ布団で寝ていたが、又夢の中にジーンが現れ、何してるの?苦しむだけよ。あなたが愛したものはみな死ぬ…と言うと、突如、矢志田の屋敷で観たシルバーサムライが襲いかかって来た所で目が覚める。 クズリって意味分かる?獰猛な獣の事よ。祖父は、昔、古井戸で会ったクズリの事を話してくれた…と語りかけて来たマリコは、ジーンって誰?あなたと同じ?彼女はどうなったの?と再び聞いて来る。 死んだ…、俺が殺した…とローガンは告白する。 その頃、東京で眠っていたユキオは、突然目覚めると、ローガン!と叫ぶ。 翌朝、目覚めたローガンは、家の中にマリコの姿がない事に気づく。 外に探しに出てみたローガンは、ヤクザらしき2人の男に連れ出されるマリコを発見、飛び降りて、ヤクザからマリコを奪い返そうとするが、ヤクザの抵抗も凄まじく、車に乗り込みかけていたヤクザの1人を投げ飛ばしただけで、マリコは車に押し込まれたまま走り出してしまう。 ローガンは、放り投げたヤクザに近づき、どこに連れて行った?と聞くが、俺はしゃべらないよ、ガイジン!と罵られたので、誰に雇われた!と威嚇しながら、ローガンは手の爪を振り下ろす。 町に向かって歩いていたローガンと遭遇したのは、車で駆けつけて来たユキオだった。 ユキオの車に乗り込んだローガンは、のブルーに会うので、連れて行ってくれと頼む。 ユキオの方も、車を走らせながら、話があると言い出し、ローガン、あなた、死ぬ。少し前観たの。鍵穴からのぞく感じだった。私が見えるのは人生の一部、あなたの死を観た!と言うと泣き出す。 どんな死に方だった?とローガンが聞くと、血まみれで、あなたは自分の心臓を掴んでいたとユキオは教える。 私が5歳の時、両親の死を予言した…とユキオは自分の特殊な能力に怯えたように話すので、ローガンは、俺を観ろ。まだ生きていると言って慰める。 ノブローのマンションにやって来たローガンが、車を降りて建物の中に入ると、ユキオも降りて来て後に付いて行く。 ノブローは、外国人女2人と乱交パーティの最中だった。 ずかずかとそんな部屋に入り込んだローガンは、驚いて女2人が逃げ出した後、ブリーフ一丁で狼狽するノブローに、婚約したなら、こんな事は止めろ!と睨みつける。 そして、何故お前が婚約者を殺そうとする?9単語以内で答えろ!と問いつめる。 ノブローは、矢志田は自分の病気の治療に数十億使ってしまい、会社はもう倒産寸前なんだ。息子のシンゲンは、私を後継者になるマリコの婚約者にしたが、私はマリコに嫌われている!と答えたので、ローガンは、ノブローを窓から外に突き落とす。 一緒に話を聞いていたユキオは、驚いて、窓から下を覗くと、幸いにも下にプールがあったので、ノブローは死んではいなかった。 その頃、矢志田の屋敷に連れ戻されて来たマリコに会った父シンゲンは、俺は大学で生物学を学んで来たが、全ての子供が親の特質を受け継ぐ訳ではない…と話しかけて来る。 父は私の中ではなく、お前の中に自身と同じ資質を見いだしていたんだ!だが、お前が後継者になっても、どうやってアジア最大の力を持てる?と娘に迫る。 その時、突如、何人もの忍者が屋敷内に侵入して来て、マリコを連れ去って行く。 その忍者と一緒に、ドクター・グリーンがやって来て、悪いけど、マリコを預かるわよと言うと、シンゲンの顔をは虫類のような舌で嘗める。 シンゲンは顔がただれ苦しみ出す。 そこに、ローガンとユキオがやって来る。 ガードマン等が誰1人として出て来ないので、不審に思いながら中に入った2人は、矢志田が寝ていた自宅内診察室で、「女を取り戻しに来い」と書かれた書き置きが死体に刺さっていた。 さらに、不思議な建物の写真も見つけたので、ユキオに聞くと、矢志田の故郷にある研究所だそうで、ここから3500kmの所にあると言う。 ローガンは、前に何か生物のようなものが入っていたガラス容器の中が空になっているのを発見し、何かに気づいたのか、矢志田が使っていたCTスキャン装置に横たわると、自らの身体をスキャンしてみる。 すると、心臓に、何か蜘蛛のような生物が付着して蠢いているではないか。 それが、自分の超能力を奪っている頑強だと気づいたローガンは、取り出さないと!と焦る。 ユキオは、止めて!あなたは死ぬ!と制止しようとするが、マリコを放っておけない!と言い出したローガンは、手の爪を伸ばすと、自らの腹を突き刺し、自分の胸のスキャン画像を観ながら、心臓に寄生した生物を取り除こうとする。 その時、鎧を身に纏ったシンゲンが刀を下げて入って来て、ローガンの上にあったスキャン用のカメラ部分を外してしまったので、胸に手を入れたローガンは、自分の心臓の位置が確認できなくなったばかりでなく、開腹手術中なので身動きもできない。 シンゲンは、そんな診察台の上のローガンに斬り掛かろうとするが、ユキオが妨害し、戦い始める。 苦しみながらも、ローガンは、心臓に寄生していた生物を引きはがす事に成功する。 見る見る傷口がふさがって行く。 シンゲンはユキオと戦いながら、父の望みはミュータントになる事だ!あの女が家を破滅させた!とグリーンの事を罵倒する。 手術台から起き上がったローガンは、両手の爪を出し、シンゲンと戦う。 シンゲンは、二刀流の構えでローガンに斬り掛かって来るが、治癒能力を蘇らせたローガンを倒せるはずがなかった。 ローガンは、途中で戦いを放棄し、娘を殺そうとした奴等殺すに値しないと嘲る。 ローガンの心臓を一突きにしたシンゲンだったが、相手が倒れないので、お前は何と言う化物だ!と問いかける。 ローガンは、ウルヴァリン!と答え、シンゲンを倒すと、自ら胸を貫いていた日本刀を抜き取る。 診察室に戻ったローガンとユキオは、何やら鎧武者のような姿の設計図を見つけるが、ユキオはきっと罠よとローガンに警告する。 その頃、矢志田の研究所内に、マリコを連れ込んでいたグリーンは、マリコから、おじいさんに何をしたの?と聞かれたので、安らぎを与えたのと微笑み、次はあなたよ…と言いながらマリコに迫る。 雪が降っている矢志田の故郷にローガンはバイクでやって来る。 マリコが縛られていた椅子の横には、全身シルバーの巨大な鎧武者が置かれていた。 研究所の前にある集落には、忍者を従えたハラダが降りて来たので、村人たちは、騒ぎを恐れて家の中に逃げ込む。 ローガンの前に対峙したハラダは、我々と戦っても無駄だ。我々は700年間戦って来たと警告する。 それでもローガンは強引に研究所の方へ向かおうとしたので、忍者たちは一斉に、ローガンの背中にロープの先に鏃の付いた武器を撃ち込んで来る。 ハラダも毒を塗った矢を撃ち込む。 その場に倒れるローガン ローガン!マリコ!ジーン! 夢から目覚めたローガンは、研究所の中の椅子に縛り付けていた。 そこにドクター・グリーンが近づいて来る。 マリコはどこだ?!とローガンは聞くが、グリーンは、横にある巨大なシルバー・サムライ像を観ながら、アダマンチウム製…、あなたと同じよと教えるだけだった。 その頃、ユキオも、研究所の門を破り、中に侵入しかけていた。 一方、マリコは、見張り役のハラダから、俺たちは幼なじみだろ?と研究所内で懐柔されていた。 能力抑制装置を自分で取ったのね…とローガンに話しかけるグリーン。 そのグルーンの正体ヴァイパーは、自分たちが利用するだけの駒に過ぎないとマリコに言い聞かすハラダ。 椅子に縛られたローガンは、突如、横に置いてあった巨大なシルバー・サムライが立ち上がったのを観て驚く。 ハラダはマリコにキスをして来るが、マリコは、ハラダの腰にさしてあった小刀を抜くと逃れる。 ローガンに近づいて来た巨大なシルバー・サムライは腰の剣を抜く。 ヴァイパーは、拘束されたローガンの手の爪を切断しようとする。 そこに駆けつけて来たマリコが、ローガンを救い出す。 ローガンに弾き飛ばされたヴァイパーは、通路から吹き抜けの穴の中に落下して行く。 シルバー・サムライに飛びつくローガン。 途中の階に落下したヴァイパーは、自らの顔や身体の薄皮を引きはがし始める。 ローガンの右手の爪は、シルバー・サムライの灼熱化した剣で切断されてしまう。 脱皮したヴァイパーは自らの長い金髪もはぎ取ると、ローガンに迫り、口から毒を吹きかけて来る。 ローガンは、壁の電源装置を斬り裂き、研究所内の電源が落ちる。 研究所内に忍び込んでいたユキオは、持って来た祖父の日本刀を抜いてヴァイパーに迫る。 マリコの後を追って来たハラダは、止めろ!間違っている!と叫びながら、シルバー・サムライに矢を射かけるが、シルバー・サムライに捕まってしまう。 ローガンは落ちていたシルバー・サムライの日本刀を拾い上げるが、その時、昔、井戸の中で矢志田から聞いた」日本刀は両手で持つんだ」と言う言葉を思い出し、両手で握りしめると、刀身が灼熱化して来たので、その剣でシルバー・サムライの首を斬り落とすが、暴れ出したシルバー・サムライと戦ううちに、壊れた建物から落下しかける。 マリコは、シルバーが振り落とした瀕死のハラダに近づくと、ごめんなさいと謝る。 首がなくなったシルバー・サムライは、崖に突き出した壁面にしがみついていたローガンに迫る。 ヴァイパーもユキオに毒を吹きかけて攻撃していたが、首にロープを巻き付けられ、滑車で持ち上げられ、縛り首状態になって息絶える。 シルバー・サムライは、ローガンの両手を掴み持ち上げると、ローガンさんと呼びかける。 何と、シルバー・サムライの中に入っていたのは、死んだと思っていた矢志田だった。 私は生き延びて来た。今回も生き延びる。この鎧が私を生かしてくれている。超能力を移植させてもらうよ。我が一族を存続させるために、永遠の命が必要なのだ!そしてお前には死を与えてやる!と言うと、シルバー・サムライの中から、注射器を並べたような装置が、ローガンに向けて突き出して来る。 その注射器が刺さったローガンから、血液を吸入し始めた矢志田は、私は感じる!不死身になった!お前のように!と歓喜する矢志田の顔は、年老いた風貌から、戦時中の若い風貌に変化して行く。 通路に落ちていたローガンの右手の爪を拾ってシルバー・サムライに近づいたマリコは、本当の化物はあなたよ!祖父は葬った!と言いながら、矢志田の首に斬り掛かる。 シルバー・サムライはよろめき、その手を離れたローガンは、俺はただ、お別れに来ただけだ。さよなら…と言うと、シルバー・サムライの身体を外に突き落とす。 シルバー・サムライは、深い崖下に落下して行く。 大丈夫か?とローガンがマリコの側に来ると、ユキオも駆けつけて来る。 ジーンの幻影が、来たのね?と呼びかけたので、もちろん…と答えたローガンだったが、ずっといてとジーンに誘われると、無理だと断る。 その返事を聞いたジーンは、私は寂しいわ…と不満そうに言うが、君は人を傷つけ過ぎた。仕方なかった…、君を愛している、ジーン。永遠に…とローガンが語りかけると、ジーンの幻影は立ち上がり、去って行く。 ローガンは、矢志田産業専用空港に来ていた。 マリコとユキオが抱き合って別れを惜しんでいる。 寂しくなるわ、たった1人の家族だから…とマリコが言うと、ユキオは元気でね、お姉ちゃんと答える。 マリコはローガンに、近いうちに会いに来てくれる?と問いかけて来る。 キスをして来たローガンに、行かないで!とマリコは頼むが、ローガンは、俺は兵士だ。隠れてないといけないと言って、ユキオと共に専用ジェット機に乗り込む。 機内のテレビでは、マリコが巨大企業のボスになったと言うニュースが流れていた。 ユキオは、どこに行く?と聞いて来るが、ローガンは、まずは離陸しろ。それからは成り行きだ…と答える。 エンドロール 二ヶ月後、とある空港のボディチェックに並んでいたローガンは、突如、トレイに入れた小銭が振動し始めた事に気づく。 異変に気づき、後ろを振り返ると、そこに立っていた男、宿敵であるマグニートー(イアン・マッケラン)が、暗黒の力が蘇り、我々を滅ぼそうとしている。君の力を借りたいと話しかけて来る。 観ると、廻りにいる人間たちは、時間を止められているようでぴくりとも動かない。 信用できるか?とローガンが聞くと、信用しなくて良いと言いながら、車椅子に乗ったプロフェッサーX(パトリック・スチュワート)が近づいて来て、君以外にも超能力を授かった者はいるのだから…とローガンに迫る。 |
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