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絶海の裸女

「ウルトラセブン」のキリヤマ隊長として有名な中山昭二主演の復讐譚。

新東宝らしい扇情的なタイトルだが、もちろん、ヒロイン役の久保菜穂子が脱いだりするはずもなく、登場する裸女と言えば、無人島の浅瀬で泳ぐ芳子と秋子の姿を引いたカメラで捉えるシーンだけ。

一見ヌードのように見えるが、肌色の水着を着ているものと思われる。

それでも、身体にぴったりのボーダーライン柄のワンピースを来た若き久保菜穂子はなかなか色っぽい。

話は、いかにも「月光仮面」等で知られる川内康範の脚本らしく、やや古めかしく通俗な復讐譚になっている。

どうと言うことはない低予算プログラムピクチャーと言った印象で、とびきり面白いとか、つまらないと言うほどではない。

沼田曜一と国方伝演ずる悪役も、いかにも類型的で、昔の悪役と言った感じ。

余談だが、この映画、DVD上映だったが、ラスト間際でフリーズしてしまい、最後の部分は観られなかった。

正直、ラスト部分は気になるのだが、もう一回、繰り返して観たいと思うほどの作品ではないこともあり、なかなか困った事態である。

念のため、キネ旬データのあらすじでストーリーのラストを調べても、相変わらず、実際に観た後半部分と明らかに異なり、何の参考にもならなかった。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1958年、新東宝、川内康範+ 織田清司脚本、野村浩将監督作品。

この女だ!殺しても飽き足らない!俺の青春をめちゃめちゃにされた。

復讐するのはこの女大川あやめ(久保菜穂子)と…

彼女のマネージャー竹島剛二(沼田曜一)(バーのカウンターで飲んでいた竹島が、気配に気づいてナイフを取り出しスクリーンに凄んでみせる)

そして、こいつだ!こいつに俺の右手を取られた。(車を必死に運転する男の後ろ姿)

終戦後6年目の夏

私は、東洋ウエルター級のチャンピオンとして洋行していたが、帰りの船上で、流行歌手の大川あやめと恋仲になった。

マネージャーの北島は、俺とあやめの仲を裂こうとしたが、俺の愛情には敵わなかった。

デッキ上で身を寄せあう稲田五郎(中山昭二)とあやめに、夕食のメニューを聞きに来たのはあやめの弟子柴田芳子(矢代京子)、井上秋子(斎藤千弥子)だった。

あやめはチキンが良いわと答え、稲田もそれに従う。

次の瞬間、大きな爆発音と共に、船が傾く。

機雷にぶつかったので、老齢者から先に避難して下さいと言う船内アナウンスが流れる中、乗船者たちは我勝ちに船から逃げ出そうとする。

無電係が沈み行く船室で必死に打電していた。

無人島

海岸に打ち上げられていたのは、マネージャーの竹島とあやめの弟子芳子と秋子だった。

最初に気がついた竹島は、ふらふらと立ち上がると、岩場にたまった水を飲もうと顔を付けるが、塩水だと言うことに気づき顔をしかめる。

3人が海岸を歩いていると、倒れているあやめを発見。

すぐに助け起こすと、あやめも息を吹き返す。

竹島は、森の木や枝を使って簡単な家を造り始めるが、やがて雨が降りだす。

柱にもたれかかっていたあやめの肩口を観ていた竹島の目線は嫌らしかった。

それに気づいたあやめは緊張し、私は稲田さんと婚約したんです!ときっぱり拒絶しようとするが、この無人島にあるのは男と女!思い知らせてやる!と言うなり竹島はあやめに襲いかかって来る。

森の中から食料になる果物を取って戻って来た芳子と秋子は、小屋の中で抱き合っている二人を発見、逃げ出したあやめを追って、竹島が海岸へ向かうと、自分たちもあやめを心配して、果物をその場に置くと追いかけてみる。

しかし、竹島に気づかれ睨まれたので、それ以上近づくことは諦め、小屋に戻って来るが、地面に置いておいたはずの果物がなくなっている。

まさか人食い人種では?…と2人は怯えながら、周囲を探していると、小屋の陰から姿を現したのは、バナナをくわえた稲田と、もう1人の生存者でボクサー仲間の手塚泰(国方伝)だった。

あやめさんは?と稲田が聞いて来たので、2人の娘は何も答えられなかったが、それを勘違いした稲田は、ダメだったか…と落胆する。

しかし、そこに当のあやめが戻って来たので、稲田は感激するが、一緒に戻って来た竹島が、突然持っていたジャックナイフを取り出してあやめの前に立ちふさがる。

俺の女だ!と稲田を睨みつける竹島。

夜、海岸に出た稲田はあやめに、竹島の言っていたことは本当なのか?生きるためならどうなっても良いと思ったのか?と問いただすが、あやめは、あんまりです!と憤慨する。

そんな2人の様子を、小屋で目覚めてやって来た竹島がうかがっていた。

稲田が憤然としてその場を立ち去ると、残っていたあやめの所に近づいた竹島は、稲田は何て言った?もし俺に逆らったら俺はお前を叩き潰すぞ!と脅し付けるのだった。

翌日、海岸に出ていた手塚は、岩陰の海で全裸で泳いでいる芳子と秋子の姿を偶然目撃する。

手塚は、泳ぎ終わって服を着ていた2人の女に近づいたので、怯えた芳子と秋子は海岸を逃げ出すが、後を追った手塚は、一方の娘を押し倒すと、襲いかかろうとする。

逃げる女たちの悲鳴に気づいたのが、同じく海岸でぼんやり腰を降ろしていた稲田で、波打ち際で娘に襲いかかっている手塚を見つけると、すぐさま駆けつけ、手塚と殴り合った末、その場で叩きのめす。

稲田は小屋に戻って来るが、足に怪我をしていることに気づいたあやめは、近くに生えていたハッパをちぎって、その汁を傷口につけて治療し始める。

そこに戻って来たのが竹島で、夕べ俺が言ったことを忘れたのか?とあやめを睨みつけると、ここは俺の家だ、出て行ってくれ!と稲田に怒鳴りつける。

稲田は、仕方なく、その小屋を出ることにするが、芳子と秋子も、自分たちも連れて行ってくれと稲田に頼んで来たので、稲田は、じゃあ、付いて来たまえと言って2人を連れて行くしかなかった。

稲田たちが小屋を出て行くと、食べないか?と言いながら、竹島は採って来たヤシの実をあやめに差し出す。

しかし、黙ったまま床に横たわっているあやめに気づいたのは、戻って来た手塚だった。

手塚は、先ほどの欲求不満が残っていたのか、いきなりあやめに襲いかかって来る。

それに気づいた竹島は、木の枝で手塚に殴り掛かるが、手塚は殴り返して来る。

竹島はジャックナイフを取り出して威嚇するが、手塚はあやめの身体を盾にする。

飛びかかった竹島は手塚の左腕に斬りつけ、勝手な真似をすると叩き殺すぞ!と怒鳴りつけるが、手塚に持っていたナイフを弾き飛ばされ、殴り倒されてしまう。

倒れた竹島は、手塚、稲田をやっつけるんだ。あいつ娘を2人連れて行ったぞ。日本に帰ったらチャンピオンになるぞ!俺がいくらでも売り出してやると言い、懐柔しようとする。

その頃、稲田と芳子と秋子は、見つけた洞窟の中で眠っていた。

その洞窟を発見した手塚と竹島は、ずかずかと中に入り込んで来るが、すぐに気づいた芳子と秋子が逃げ出した後、大きな石を眠っていた稲田の右腕の上に落として潰すと、逃げた女を捜せ!と手塚は竹島に命じる。

竹島は、急に自分が子分のようになった言い方に反発するが、手塚は、いやなら良い。その代わり、今晩あやめを…、強いものが勝つんだ!と睨みつける。

その夜、その言葉通り、小屋にやって来た手塚は、竹島の目の前であやめに抱きつこうとしたので、竹島はこれだけは勘弁してくれよと泣き落としに掛かる。

事情を知らないあやめが、どうしたのよ?と聞くと、手塚が、約束したんだ。お前は俺たち2人のものだなどと言うので、そんなことどうだっていいじゃない!私が欲しいんだったら、2人で戦って決めれば良いんじゃない?勝ったものと一緒になってやるわなどとあやめは言い出す。

その言葉に従い、手塚と竹島はにらみ合うが、あやめはばからしそうにふて寝する。

勝負は結局、手塚が勝ったようで、あやめに抱きついて来たのは手塚だった。

翌日、すっかり主人気分になっていた手塚と、まるで召使いのような立場になった竹島に、女王のようになったあやめは、ぼんやりしてないで魚でも取ってくれば?と命じる。

仕方なく2人の男は、釣り竿代わりの木の棒を持って海岸へ出かける。

崖っぷちに立ち、それぞれ海に向かって竿を突き出した2人だったが、竹島は手塚の方をちら見しながら様子をうかがい、そっと背後に忍び寄ると、突き落とそうと手を延ばすが、相手に気取られ、難なく避けられてしまう。

それえでも諦めず、背後で様子をうかがいながらナイフを取り出した竹島だったが、その時、手塚は、水平線の向こうに船影を発見する。

竹島もそれに気づき、驚喜した2人は必死に手を振り大声を上げて呼びかけると、それを発見したかのように応答の汽笛が聞こえて来る。

おそらく、沈没した船の救援無線を受け探しに来た船らしかった。

竹島と手塚は互いに抱き合って喜ぶ。

その頃、あやめは、洞窟内にやってくる。

そこでは、右手を潰され苦しんでいた稲田を、芳子と秋子が看病していた。

そんな稲田に近づいたあやめも、自らの服の一部を裂いて看病しようとするが、それに気づいた稲田は、竹島にそそのかされた手塚にやられた。貴様が殺させたんだ。この売女め!と罵る。

あやめは覚悟していたように、どうせ私は不貞の女よ。でも、生きるためには仕方ないでしょう?あんただって、こんな身体になっても生きたいくせに!と吐き捨てる。

そこに、竹島がやって来て、船が来たんだ。命が惜しかったら早く出るんだ!とナイフで脅し付け、芳子と秋子にも洞窟を出るように命じる。

自分は取り残されることに気づいた稲田は助けてくれ!と哀願するが、お前は一生この洞窟にいるんだと竹島は畦蹴り出て行く。

稲田はあやめにも命乞いするが、汽笛の音に導かれるように、結局みんな出て行ってしまう。

孤島の洞窟の中に一人残された稲田は、その後、水が洞窟内にも浸入するような大雨の時、壁の一部が崩壊し、その中から、旧日本軍の遺産らしき箱を発見する。

蓋を開けて見ると、中には財宝が詰まっていた。

俺はこうして、数十億と言う宝石を見つけた…

運命の神は俺を見捨てなかった。

俺は必ず復讐する!

かくて、数年は経過した…(と、東京銀座の風景の上にテロップ)

あやめは、大劇場で歌う流行歌手の座に戻っていた。

竹島も、相変わらず、あやめのマネージャーをやっていた。

そんな竹島は、新聞に大きく載っていた「大富豪坂田五郎氏が、芸能界やスポーツ界への出資を考えており、業界人を呼んで意見を聞きたがっている」という記事に注目し、舞台を終え楽屋に戻って来たあやめに教えながらも、今夜の検討何か観に行くのは止せ、手塚にはもう会わない方が良いと忠告する。

しかし、あやめは新聞を読みながらも、タイトル防衛戦だから観たいわと言い張る。

孤島での三角関係はまだ継続していたのだ。

手塚は、試合会場に来たあやめと竹島の前で、難なく相手をKOし、タイトルを防衛する。

その後、手塚、あやめ、竹島の3人は、ホテルで行われた坂田五郎のパーティに招待され出席する。

サングラスをかけ、白髪の紳士であった坂田は、今後、自分の全財産を芸能界やスポーツに投入するつもりですと挨拶する。

召使いらしき男が、そんな坂田に、手塚、あやめ、竹島を紹介し、稲田五郎さんはまだお見えになっておりませんと告げる。

坂田は3人に、今度、芸能界の健康促進のため、芝浦に1万坪のゴルフ場を作るつもりなんです等と話しかけると、あやめは、自分たち用の劇場を建てて頂けませんか?と頼み、手塚も、ボクシング専門のスタジアムが一つもないので作って欲しいと願い出る。

坂田は分かりましたと了承する。

手塚は今でも、あやめを気安く呼び捨てにし、竹島に対しては君付けする等、あの無人島での関係を引きずっており、竹島はそれにいら立っていた。

帰りの車の中、竹島は、坂田のことを怪しんでいた。

声のアクセントが稲田に似ていると言うのだ。

しかし、あやめの方は、そんな話よりも、今は坂田財閥を巧く利用する方が得策だと考えていた。

ある日、あやめの楽屋に電話があり、電話を取った娘が稲田さんからだと受話器をあやめに渡す。

それを横で怪しみながら観ていた竹島は、相手は坂田で、劇場の話で来るようにとの電話だったと聞いても心底納得できかねるような表情だった。

あやめは、今度のチャンスを逃がしたくないわと、坂田との出会いを喜んでいる風だったので、君はそんなつもりで、坂田と?と月島は愕然とする。

あやめが部屋を出た後、又電話が鳴りだしたので、警戒しながらも、月島は受話器を取る。

一方、自宅の庭で縄跳びのトレーニングをしていた手塚は、やって来た2人の弧度がサイン帳にサインをねだったので書いてやろうとした時、前のページに「稲田五郎」のサインがしてあるのに気づき、これは君のサイン帳?と聞いてみる。

すると、表で知らないおじさんから頼まれたのだと言うので、驚いて門を出て通りを見ると、見知らぬ男が角を曲がるのを観かける。

怪しんでその後を追い始めた手塚だったが、気がつくと「稲田」と表札が掛かった屋敷の前に来ていた。

恐る恐る中に入って庭先をうろついていた手塚だったが、そんな彼の前に現れたのは竹島だった。

竹島も、電話で、あやめの仕事の打ち合わせがあるのでここへ来てくれと言う電話を受けたが、ここは空家だと言う。

2人で門から出るとき、表札を再確認しようとすると、もう表札は掛かっていなかった。

手塚は竹島に、お前は罪深いことをしているからな…と他人事のように嘲る。

屋敷から帰る2人の姿を、大木の背後から監視している男の姿があった。

その後、あやめの事務所に自らやって来た坂田五郎は、あやめの前で、契約書にサインしてみせる。

その時、外から戻って来た竹島は、中の気配に気づき、ドアの鍵穴からそっと中をのぞくと、サインしている坂田の左手の手元が見え、白い手袋をしている坂田の右手は義手だと言うことに気づく。

坂田とあやめが部屋から出て来たので、慌てて竹島は廊下の角に身を隠す。

その後部屋に入ってみた竹島は、テーブルに刺さっている1本のナイフを見つける。

それは、無人島で竹島が使っていたあのジャックナイフだった。

一方、キャバレーにやって来た稲田が、今夜あやめさんを帰さないと言ったら?などと口説くと、あやめは、よろこんで!などと言いながらあっさり抱きついて来る。

そんな事言って、竹島さんがおられるのでしょう?などと坂田が笑うと、あやめは自らキスしようとして見せる。

そんなあやめに対し、来週、ドライブしませんか?私の別荘がまで…と坂田が聞くと、あやめは、喜んでと快諾するのだった。

事務所に手塚を呼び寄せた竹島は、無人島に持って行ったジャックナイフを見せながら、坂田が帰った後刺さっていたんだ。坂田は右手が動かないし、あいつは俺たちを殺すつもりなんだと打ち明けるが、手塚は真に受けなかった。

しかし、その後の自分の試合場で、坂田が客として観に来ていることに気づいた手塚は、笑いかけて来た坂野顔に、稲田の顔を思い浮かべ、思わぬダウンを食らってしまうほどの同様振りを見せるが、何とか立ち直って防衛には成功する。

リングを降りた手塚の前に立ち上がった坂田は、おめでとう!と言いながら、握手を求めるように手袋を脱いだ右手を差し出すが、それは明らかに義手だったので、愕然とした手塚はその場を立ち去る。

その試合後、手塚に、やっぱりそうだったろう?などと話しながら竹島が一緒に帰っていた。

警察に言おうにもやぶ蛇になりかねなかった。

しかし、稲田に対する罪は証拠がないので、例え訴えても知らぬ存ぜぬの一点張りだと2人は相談しあう。

その時、背後から近づいて来た車の運転席に乗った坂田が、どちらまで?乗っていかれませんか?と笑いながら誘って来たので、2人は怯えて逃げ出す。

途中、手塚は転んでしまうが、そこにフロントライトを照らした坂田の車が近づいて来る。

転んだ手塚の前で停まった車から、手塚、久しぶりだな…、俺だよ、稲田だよ…と坂田は正体を明かした稲田は車を降りて来る。

怯えた手塚は必死に逃げ出すが、稲田の陰はその後も背後に迫っていた。

パニクった手塚は、通りかかったタクシーを停めると、乗り込んで運転手を殴って外に落とすと、自らタクシーを運転して逃亡し始める。

その後を追う稲田の車。

背後の車を気にしながら逃亡していた手塚は、100km近いスピードを出していたこともあり、目前に現れた通行止めの表札に驚いてハンドルを切るが、車は崖から墜落炎上する。

手塚が死んだことを、竹島は翌日あやめに教える。

しかしあやめは、1人でも秘密を知っているのが死んだら幸いじゃないのとうそぶいてみせる。

そんなあやめが、坂田の別荘に招待されていることを聞いた竹島は、坂田は稲田だぞ!と忠告するが、良くに眼がくらんでいたあやめは、私は坂田さんと結婚するんだわと言うだけだった。

すっかり坂田に夢中だと知り逆上した竹島は、思わずあやめの首を閉めようとするが、あっさり殺めに突き飛ばされ、テーブルの角で後頭部を打って倒れてしまう。

あやめが部屋を出て行った後、立ち上がった竹島は、あのジャックナイフを取り出していた。

あやめがやって来た坂田の書斎には、不気味な装飾品等が壁にかかっていたので、あやめは怖がる。

その時、いきなり不気味な召使いが、旦那様はお庭の方で待っておられますと声をかけて来たので、あやめは驚くが、その後、この奥にいられますと言う召使いに付いて庭に向かうと、離れのような家の前に洞窟があるのを発見する。

あやめさん!こちらですよ、いらして下さいと呼ぶ声が聞こえて来たので、恐る恐る洞窟の中に入ってみると、6年前のこと覚えているでしょう?今日こそお前に同じ苦しみを与えてやると言う稲田の声と共に、坂田が姿を現したので、思わずあやめは抱きつくが、坂田は突き倒すと、白髪のカツラを捨て去る。

そして、サングラスを外したその顔は、まぎれもなく稲田五郎だった。

驚いたあやめは、洞窟から逃げ出し、目の前の離れの中に飛び込み、ソファの陰に身を隠すが、そこに入って来たのは、意外にも、ナイフを手にした竹島だった。

どうやら、あやめの後を付けて来たらしかった。

竹島は立ち上がったあやめにナイフを突き刺し、あやめは倒れる…