内田けんじ監督「運命じゃない人」に似た技法で撮られた青春物語。
同じ出来事を違う視点で何度も繰り返すと言う技法だが、その仕掛けに慣れると、内容自体は良くある青春の1ページと言った感じの内容になっている。
1つのクラスの男女数名が、互いに意識したり、ぶつかったりしながら、桐島と言う人気者が突然姿をくらませたと言うちょっとした出来事を共有する数日間を過ごすと言う展開になっている。
何かドラマチックな出来事が起こるでもなく、淡々とした数日間が描かれているだけなのだが、それがかえって、生徒各人の微妙な心の揺らめきを浮き彫りにさせている。
視点もコロコロ変わっているため、特に誰が主人公と言う事もないのだが、一応、男子の方は、野球部に入っていながら部活に参加せず、勝手に帰宅部等と称して毎日だらだら過ごし、女子にも適当にモテているのだが、そんな自分にどこか後ろめたさも感じている宏樹と、クラスの人間関係から離れた閉鎖的なオタクとしての前田辺りが抽出されている。
女子の方は、全体的に同じような比重で描かれているようにも思えるが、恋愛に不器用な吹奏楽部の亜矢と、精神的に一番大人な女子として描かれているバトミントン部のかすみ辺りに目が行くように描かれている。
そうした中、映画部の前田たちのエピソードは、映画ファンの自虐ネタのようになっており笑える。
顧問の教師の考え方も、前田ら学生の方の映画の考え方も、良くある狭いオタク趣味、カルト趣味に過ぎず、商業映画とは明らかに違った自主映画独特の閉鎖性を感じさせ、興味深い。
この映画のスタイルもそう言ったカルト映画オタク的な趣味で貫かれているようにも思える。
最後の最後にタイトルが出て来るのも、「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984)等でもお馴染みの手法。
実写版の「時をかける少女」(2010)などにも、8mm映画作りをやっている学生の姿が描かれているが、監督自らの青春を重ねているのだろうか?
8mmフィルム映画作りを知る世代としては、今さらながら、そのあまりのダサさ(もちろん、8mm映画がダサいというのではなく、良くある映画オタクの姿がと言う事)に気恥ずかしさを感じてしまう。
青春ものは、おそらくどんな世代が観ても共感できる部分があるはずで、いつの時代でも高い評価を受けるもののような気がする。
個人的には、まずまず…と言った印象の作品だった。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
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2012年、映画「桐島」映画部、朝井リョウ原作、喜安浩平脚本 、吉田大八脚本+監督作品。 金曜日 とある高校の2年C組の終業時の風景 桐島の彼女で結構可愛い梨紗(山本美月)が廊下を歩く。 前田涼也(神木隆之介)は、同じ映画部の武文(前野朋哉)と共に、顧問の片山(岩井秀人)に職員室に呼ばれ、今、シナリオを書いていると言われたので、ちょっとショックを受ける。 今度は、自分たちのシナリオで映画を撮らせてもらえるはずだったからだ。 体育館前に梨紗は来て、ベンチに座ると、バレー部を終えて一緒に帰るつもりの桐島を待つ。 吹奏楽部の沢島亜矢に、1年生の後輩詩織(藤井武美)が声をかけて来る。 金曜日 とある高校の2年C組の終業時の風景 友弘(浅香航大)は、パーマをかけた頭の事を女子たちにからかわれている。 担任教師が、来月の三者面談に使うからと言いながら調査票をクラス全員に配る。 バレー部の副キャプテン久保(鈴木伸之)通称ゴリラや同じバレー部の日野(榎本功)と桐島の事等噂しあいながら、体育館へと向かう。 女子たちは、何となくクラスに残りおしゃべりしていたが、まだ自分たち以外に男子が1人残っていた事に気づく。 残っていたのは前田だったが、そこに武文が「おまた!」と言いながら呼びに来たので、女子たちは、2人の男子が部屋を出たとたん、「おまた!」と真似しながら、バカにしたように笑い出す。 映画部では、顧問が付けた映画のタイトル「君よ拭け!僕の熱い涙を」のダサさに落胆していた。 沙奈(松岡茉優)は、部室に向かっていたバトミントン部の東原かすみ(橋本愛)や宮部実果(清水くるみ)に、自分は菊池宏樹(東出昌大)の事がマジで好きだからなどと宣言する。 部室でユニフォームに着替えていた実果は、かすみの右腕の筋肉を触り、自分とは違う等と感心する。 実果の姉は、2年の時、県のベスト4になった実力者だったが、既に他界していた。 体育館にやって来た実果たちは、ベンチに腰掛けていた梨紗に手を振る。 梨紗はスマホをいじっていたが、そんな梨紗の元に、慌てたように駆け寄って来る沙奈がいた。 知らない?宏樹がバスケしてて…、桐島が…と伝えると、梨紗は驚いたように駆け出したので、実果たちは唖然とする。 金曜日 とある高校の2年C組の終業時の風景 トイレから出て来た友弘が、拭いてない手の水をわざと周囲にはね飛ばす。 担任が調査票を配り、2年の2学期は大切だなどと生徒たちに言う。 教室の後ろの席に座っていた沢島はサックスを組み立てる。 教室を出て、トイレに行った竜汰(落合モトキ)を廊下待っていた出た宏樹に、通りかかった野球部のキャプテン(高橋周平)が、明後日の日曜、10時から北高と試合やるんで出ないか?と誘って来る。 宏樹は、全然参加してないが、一応、野球部に所属していたからだった。 キャプテンが去った直後、トイレから出て来た竜汰が、何だって?と事情を聞くので、出ろって、次の試合に…と宏樹が説明すると、何で?と竜汰が不思議がるので、特別枠だろと宏樹が無関心そうに答えると、外人かよ!と竜汰が突っ込む。 廊下に出た吹奏楽部の沢島亜矢に、1年生の後輩詩織(藤井武美)が声をかけて来る。 宏樹が友弘、竜汰と片面バスケで遊び始めると、数名の女子たちが近くで応援を始める。 友弘ら3人組は部活をしておらず、帰宅部と自称してだらだら毎日を過ごしていたが、そんな3人の見た目に憧れる女子もいるのだった。 沢島亜矢もその1人で、宏樹のことが好きらしく、彼ら3人のバスケ遊びが見える屋上でサックスの練習を始める。 友弘は、女の子なんてみんなやりまくっているけど、チャンスないんだよ、あの子…と、毎日、サックスを吹いている亜矢の事を下でからかっていた。 そんな3人組に沙奈が近づいて来るが、辞めるんでしょう?バレー部と竜汰が何気に呟くと、友弘は、知らなかったようで、マジ?と答える。 桐島は? 桐島、部活やめるんだって?とみんな知らなかったみたいで驚くが、梨紗待ってるよ、体育館の前で!と沙奈が焦ると、取りあえず、梨紗に知らせて来いよ!と宏樹は沙奈に伝える。 屋上でサックスを吹いていた亜矢は、いつの間にかバスケをしていた3人組がいなくなった事に気づくが、そんな亜矢に、場所を代わってくれませんか?と呼びかけて来た男子がいた。 映画部の前田だった。 金曜日 とある高校の体育館での部活報告 2年C組の桐島の活躍が報告されるが、本人の姿が見えないので、整列して聞いていた生徒たちは辺りを探す。 映画部が、映画コンクールで2次は落ちたももの1次審査を通過したとの報告があり、生徒たちは、釈然としないながらもお義理で拍手する。 映画のタイトルが「君よ拭け!僕の熱い涙を」と発表されると、聞いていた生徒たちから失笑が起きる。 体育の授業でサッカーをやる事になるが、映画部の2人と曙と称されるデブの男子は、運動が全くダメだったので最初からメンバーから外されてコートの外で立っていた。 やがて、1人助っ人がいる事になるが、選ばれたのは曙の方だった。 授業後、女子から先生が集合って言ってたよと聞いた武文は、顧問の所へ向かいながら、体育で何点取っても意味ないとバカにし、水島ひかりに会った夢を観た等と自慢に出すが、前田は、その内容を聞きたがる。 2年C組の放課後、教室に残って映画雑誌を読んでいた前田は、「おまた!」と声をかけながらやって来た武文と一緒に教室を出るが、その時、中にいた女子たちが笑う声が聞こえて来たので、笑ってろ!と武文はバカにする。 職員室にやって来た前田と武文に、顧問の片山は、テーマは自分の半径1mなんだといつもの持論を展開し、前田が提出した「宇宙ゾンビ」なんて、君らにとってリアリティあるか?と聞いて来る。 前田は、先生はロメロを観たことがありますか?と問いかけ、「デッド・オブ・リビングデッド」に付いて熱く語りかけるが、すぐに顧問から制止されてしまう。 説教の後、剣道部の部室の奥にある映画部のコーナーにやって来た前田と武文は、片山、又書いてるんだって?あいつ、自分の趣味を押し付けているだけなんだと他の部員のぼやきを聞く。 前田は、作りたいものを作るつもりだと決意を述べる。 前田が作りたいのは「生徒会・オブ・ザ・デッド」と言う作品だった。 さっそく学校の屋上に、撮影にやって来た前田たち映画部だったが、近未来設定の建物として使うつもりだったアンテナ付きの屋上の前に、吹奏楽部の沢島亜矢が立っていたので、場所、代わってくれませんか?と声をかける。 え?と意味が分からない様子の亜矢に、ここで撮影したいんだけど、今日は音を採らないので、あの辺で吹いてくれないか?と少し離れた場所を指して頼むが、亜矢は、もう少しで部室に行くから等と言いながら、その場を動こうとはしない。 今、練習してなかったでしょう?と前田が突っ込み、10mずれても変わらないんじゃないですか?と頼むが、何故か亜矢は動こうとしない。 近未来の設定で、宇宙ウィルスが飛んで来て、宇宙ゾンビに…とストーリーを説明しようとするが、それって遊びでしょう?と亜矢がバカにするので、じゃあ、あなた、そこを使用する許可証持ってるんですか?ここを使う権利は平等でしょう!などとムキになってしまう。 気がつくと、バスケをやっていた宏樹たち3人の男子の姿は消えていた。 焦る亜矢を、後輩の詩織が迎えに来る。 詩織と一緒に、亜矢が吹奏楽部に戻って行ったので、前田は思わず、勝った!と喜ぶ。 体育館では、バレー部とバトミントン部が一緒に練習をしていた。 暗くなった頃、「秀栄進学塾」の前のバス停から梨紗がバスに乗り込む。 最後部の席に宏樹が乗っていたので、梨紗はその隣に座る。 お前、こっちだっけ?と宏樹は梨紗に、方向違いなんじゃないかと聞く。 もしかして、ずっと待ってた?来ねえよ、桐島…と宏樹が教えると、知ってるんでしょう?何か知ってるんでしょう!と梨紗は聞いて来て、ざけんなよ!と切れた梨紗は泣き出す。 土曜日 バレー部は他校と試合をするが、桐島がいない事もあり、負けてしまう。 桐島の代わりにレギュラーになって試合に出た小泉(太賀)は、全く役に立たなかった。 日曜日 ゾンビ映画を観に行っていた前田は、同じ場内に東原かすみの姿を見つけ、ちょっと驚く。 上映後、ロビーで、飲み物等買ってやり、映画の話をするが、かすみはあまりホラー系の映画に興味がない模様。 タランティーノの話等振って観ても、イマイチ乗って来ず、何となく話が噛み合ないまま、2人は別れるが、前田はちょっと興奮気味だった。 月曜日 その日、前田は、同じクラスの霞をかなり意識してちら見をしていた。 バレー部の久保は、飯田は?と朝からいら立っており、どう言う事だ!あいつに何言った!と梨紗に詰め寄るが、負けたからって当たんないでよ!と梨紗はふくれる。 前田は「スクリームス」観たと武文から聞かされる。 野球部のキャプテンは、菊池、負けたわ、日曜…と宏樹に寂し気に伝える。 宏樹は実果に、桐島は?と聞く。 ゴリラこと久保は、小泉とバレーの練習に行く。 梨紗は桐島を探していたが、その日、桐島は休んでいた。 メールも電話も全部無視!と梨紗は切れる。 昼休み、ベンチに座っていた梨紗や沙奈の事を笑っている?と聞かれた実果だが、笑ってないよと否定し、何か買って来ると言い、その場を離れる。 グラウンド脇の土手で昼飯を食っていた宏樹、友弘、竜汰たちも、みんなと巧く行ってなかったらしいとか桐島の事を噂していた。 前田は映画撮影用の血のりを武文と用意していた。 部室に来たかすみは、実果がまだ着替えていなかったので着替えないの?と聞くが、何かを思い詰めたような実果は、すっごい頑張っていたんだよ小泉君、桐島君のサブなのに、結局、負けるのよね〜。何のために頑張ってるんだろ?分かんないでしょう、かすみには…などと独り言を言い、もうダメだ!帰ると言い出す。 前田たち映画部は、グラウンド脇でゾンビ映画を撮っていたが、野球部の一員がフレームインしてしまいNGになってしまう。 その時、霞が通りかかった事に気づいた前田は、思わずカメラをかすみの方に向けてしまう。 体育館では、小泉がゴリラからしごかれまくっていた。 沢島亜矢は、また、いつもの屋上でサックスの練習をする振りをしながら、下でバスケをやっている宏樹の事を見つめていた。 そこに、詩織がやって来る。 俺たちなんのためにバスケやってんだろ? 竜汰がいきなりそう言い出したので、桐島待つためだろ?と友弘は答える。 宏樹は、やりたいからだろ?と無愛想に答え、3人は何となくその場を去る。 それを観た亜矢の片想いに気づいているのか、詩織は、演奏している先輩なら、好きになる男子はいっぱいいますよと励ます。 ファミレスで梨紗は、実果って最近変わったねなどと噂する沙奈に、良いの?ここにいて…、宏樹は?と聞く。 その宏樹は、夕暮れ時、帰宅途中で、1人黙々とバットスイングとランニングの練習をしている野球部のキャプテンの姿を発見し、思わず見を隠してしまう。 火曜日 今日来るってさ、桐島…、面談だって…、そんな噂がクラス内で囁かれる。 どこ情報?と誰かが聞くと、親ネットだと言う。 亜矢が教室を出る。 同じく廊下に出た梨紗に、今日、桐島君と会うんでしょう?私も行くなどと沙奈が付いてきたので、何で?と梨紗は聞く。 訳分かんない…、その会話を聞いていた実果が呆れたように呟くと、私も…とかすみも同意する。 沙奈は宏樹に、後で化学棟の裏で会おうと約束する。 前田は、顧問の片山に呼ばれる。 実果は教室で調査票を書いていたかすみに、先日の事を謝る。 かすみは、今日提出だから…と言って、まだ教室に残る事を伝える。 映画部に戻って来た前田は、血がダメだってと、片山から言われた事を武文らに伝え、どうする?と聞く。 武文は、どうするって?お前だろ?撮りたいもの撮るって言ったのは!と前田を叱咤激励する。 その言葉に励まされ、撮影を続行する気になった前田は、台本を忘れた!と思い出し、教室に取りに戻る。 扉を開けた前田の目に飛び込んで来たのは、かすみが友弘の手にミサンガを付けてやっている姿だった。 前田がどぎまぎし、台本を取ってでて行くと、友弘は、そろそろバラした方が良くね?と言い出すが、かすみは、ダメ!女子は色々あるんだからと口止めし、この間喧嘩したでしょう?あの後1人で映画観に行ったら、会ったんだ、あいつに…と、かすみは前田のことを鬱陶しそうに言う。 かすみとのロマンスを夢見ていた前田は、撮影現場ですっかり落ち込んでしまっていた。 それでも、美術担当の生徒が用意した隕石の作り物があまりにもひどかったので、一部修正するよう指示を出す。 その後、撮影を始めようとしていると、又すぐ近くから、サックスの音が聞こえて来たので、助監督役の武文と前田は、建物裏にいた亜矢に、何で今日はここなんだ?と唖然とし、屋上じゃダメなの?何で今日に限って…、ひょっとして嫌がらせ?と問いつめる。 君だけの学校じゃないんだよ。一回くらい譲ってくれても…と前田が必死に問いつめると、はっきり答えられない亜矢は落ち込んでしまう。 理由を言って!と前田が亜矢に頼むと、だから…、今日で…、今日で最後だから…、ごめん…と亜矢は言う。 どう言う事?前田はさっぱり訳が分からなかった。 集中したいの。集中しなきゃいけないの…、部長だから…、今日で最後だから…、だからごめん!お願い!と亜矢は理解不能なことを言う。 諦めた前田は、その場を撤収し、屋上のシーンから先に撮ることにする。 1人バスケをしていた竜汰は、遠くに見える校舎の屋上に腰掛けている男子学生の姿を見つける。 やがて、その男子学生が、前のめりになって屋上から落下したので、驚いた竜汰はその場に向かう。 化学棟の裏で先に待っていた沙奈は、ビューラーでまつげをセットしていたが、そこに宏樹がやって来たので、近くに亜矢が観ている事を意識しながら、キスをせがむ。 戸惑いながらも宏樹はキスの相手をしてやる。 その様子を横目にサックスを吹いていた亜矢は動揺し、とうとう吹くのを止めてしまう。 サックスの音が止んだ事に気づいた沙奈は、目的を達したと感じたのか、行こと宏樹を誘ってその場を立ち去る。 体育館では、バトミントン部の実果が、バレー部のゴリラからしごきまくられている小泉の姿を見つめていた。 ゴリラこと久保は、立てよ!風助と怒鳴り、小泉も、何でだよ…、卒業するまで一緒にやるって言ってたのに…と桐島の事を呟いたので、いつまでも引きずってんじゃねえよ!と久保は苛立たしそうに声を荒げる。 そんな体育館に、桐島来たぞ!と誰かが知らせに来たので、ゴリラは外に走り出す。 小泉も後に続こうとしたので、たまりかねたように、良いよ!行かなくて!と実果は小泉に声をかける。 宏樹も、桐島が来たと言う声を聞く。 桐島の居場所を探す宏樹に、バレー部の面々がこっちだと声をかける。 屋上では、前田たち映画部が、ゾンビ映画のクライマックスを撮ろうとしていた。 梨紗も沙奈から桐島の事を聞き、屋上へと向かう。 かすみも、屋上に駆け上がって行く男子たちの姿に気づく。 友弘も駆けつけて来る。 屋上にやって来たゴリラたちは、桐島の姿を探し始めるが、映画の撮影をしている事等無視し、隕石用の小道具を蹴飛ばす。 それを観ていた前田は、待てよ!俺たちに謝れ!と勇気を持ってゴリラに立ち向かう。 俺たちの隕石を蹴ったろ?謝れ!と迫る前田に、事情を理解できないゴリラは、はぁ?といら立つ。 友弘も、何だよ…と屋上で戸惑う。 実果は、喧嘩を始めそうな男子たちの様子を嬉しそうに見つめており、喧嘩を止めようとした小泉を観ると、何、止めてんだよ、チビ!とつい口走ってしまう。 それを側で聞いていたかすみは、つい実果の頬をビンタしてしまう。 前田は意を決したように、こうなったらドキュメンタリータッチで行く!こいつらを食い殺せ!と、ゾンビメイクをしていた部員たちに命じる。 吹奏楽部では、亜矢も加わり、演奏が始まる。 8mmフィルムカメラを回し始めた前田の目には、本当に、他の生徒たちの身体を食いちぎるゾンビの姿が見えていた。 カメラの中では、友弘も右手をもがれ、かすみも肩を食いちぎられていた。 それは、前田の潜在意識が作り出した幻なのかもしれなかった。 混乱の中、前田は誰かにぶつかり、8mmカメラを落としてしまう。 吹奏楽部の演奏が終了し、亜矢は満足そうな表情になっていた。 いつしか、屋上の騒動は終わっており、前田たち映画部は、散らばった小道具等を拾い集めていた。 部員の1人から、この映画のタイトルを確認された前田は「戦おう!俺たちはこの世界で生きて行かなければならないのだから」と言う長ったらしくダサイタイトルを教え、覚えといてよ!と念を押す。 8mmカメラのレンズフードを宏樹は拾う。 火曜日 宏樹は、化学棟裏で沙奈とキスをしていた。 亜矢が吹いていたサックスの音が止まる。 行こ!沙奈から声をかけられた宏樹だったが、桐島が来た!悪い!と言うと、その場を走り去って行く。 野球部のキャプテンが、菊地、どこ行くの?と慌てている宏樹を呼び止める。 キャプテンは?と宏樹が逆に聞くと、練習に決まってんだろと言うので、3年生で何で引退しないんですか?普通、夏が終わったら来なくなるじゃないんですか?と普段から疑問に思っていた事を聞いてみる。 するとキャプテンは、ドラフトが終わるまで…と言い出したので、スカウト来たんですか?と宏樹が意外そうに聞くと、来てないけど…、ドラフトが終わるまでは…、次は、次は来てくれよな…とキャプテンは宏樹に、又頼んで去って行く。 その時、宏樹!屋上だ!と友弘が声をかけて来たので、そこに桐島がいると思い、一緒に屋上へ駆け上がる。 しかし、そこには桐島はいなかった。 ゾンビの撮影後、バレー部の連中は気が抜けたように帰って行く。 女子たちも屋上から去って行く。 宏樹も帰りかけるが、その時、床に落ちていた8mmのレンズフードを無意識に拾い上げる。 一旦校舎内に入りかけた宏樹だったが、又屋上へ戻って来て、そこにいた前田にレンズフードを返しながら、変わってんね?と、前田が持っていたカメラの事を聞く。 前田は、これはビデオではなくて、8mmと言うフィルム用のカメラで親爺が使ってたものなんだ。ビデオと違い味があるんだと教える。 宏樹は、触って良い?と許可をもらい、その8mmカメラを覗いてみる。 本当に汚ねえ…と、カメラの中の世界の事を正直に宏樹が漏らすと、うるせえよと言いながらも、前田はちょっと嬉しそうだった。 将来は映画監督になるんですか?女優と結婚するんですか?アカデミー賞取れますか?などと、宏樹がカメラを前田に向けながら、マスコミインタビューの真似をし始める。 でも…、それはないかな…、前田は最初は照れていたが、何故かまじめに答えてしまう。 何でこんな汚いカメラで映画を撮っているかと言うと、俺たちの世界と映画の世界が繋がっているような気がするからなんだ。 そう答えた前田は、宏樹からカメラを返してもらうと、今度は、そのカメラで宏樹を狙いながら、やっぱ、かっこいいわと褒める。 カメラに写った宏樹の姿は、男の目から観てもかっこ良かったからだ。 褒められた宏樹は、何故か暗い表情になり、良いよ俺は…と泣きそうになったので、戸惑った前田は、大丈夫?と思わず声をかけてしまう。 屋上から降りて来る途中、携帯で桐島を呼び出そうとした宏樹だったが、相手は出なかった。 外に出ると、もうグラウンドに照明が灯っており、野球部の練習が始まっていた。 画面全体が白い光に満たせれ、タイトル |
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