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コブラ('82)

「スター・ウォーズ」人気で生まれたと言う感じの寺沢武一原作コミックのアニメ映画化

公開時は、立体3D方式とドルビー・サウンドで上映されたらしいが、今回観たのは2D版。

ストーリーはなかなか凝っていると感じるが、今観ると、さすがにそれほど面白い!と絶賛するほどのものではないように感じる。

やはり、2Dアニメだと、実写に比べ、一画面ごとの情報量が圧倒的に少なく、絵柄や動画技術が古びるのも早いためかもしれない。

何よりも、「スター・ウォーズ」の影響を受け過ぎており、頭上から画面中央に向かって飛び去って行く巨大宇宙船の描写等が「スター・ウォーズ」そのままで、しかも、それが2D表現であるため、実写ほどインパクトがあるものになっていない。

登場するメカ類も、かっこ良いんだか、かっこ悪いんだか、微妙なデザインばかりと言う印象なのも弱い。

さらに、4つくらいの惑星が登場するにしては、それぞれの設定が、「砂漠」「岩場」「雪山」「メカ惑星」と、皆無機質な風景ばかりで変化に乏しいのも残念な気がする。

登場して来る女性キャラたちも、寺沢さんの特長なのだが、3姉妹を含め、皆同じようなタイプばかりで、これ又変化がない。

当時は、アメコミ風の絵柄やキャラ設定が新鮮だったが、類型的なグラマー描写が全部魅力的だったかと言えば疑問だろう。

3姉妹のジェーンとミランダの声を担当しているのは、中村晃子、風吹ジュンと言った、当時の人気アイドル的な女優さんたちだが、コブラの声が松崎しげる出会ったのには正直驚かされた。

主題歌も歌っているので、そちらの方はさすがに巧いと思うが、コブラの声に合っているかと言うと…、これ又微妙な気がする。

野沢那智が声を担当したテレビ版の方もきちんと観ていなかったので、そちらと比較してどうこうと言う事ではない。

ひょっとすると、世代的に、コブラの元ネタ風のキャラ、虫プロのアニメラマ映画「千夜一夜物語」の「アルディン」のイメージで観ていたせいかもしれない。

「アルディン」の青島幸男の声でとは言わないまでも、もっと軽い感じの「ルパン三世」の山田康雄風、軽妙な感じの声を予想していたため、渋過ぎる松崎しげるの声には、個人的にギャップがあり過ぎたのだろう。

しかし、この当時、「スター・ウォーズ」に松崎しげるが関係していたことは承知している。

「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」の最初の日テレでのテレビ放映の時、ハン・ソロの声を吹き替えたのが松崎しげるだった事は有名である。

ルーク役の渡辺徹、レイア役の大場久美子同様、当時は、その声のキャスティングに疑問の声が多かったような気がする。

ひょっとしたら、一匹狼の宇宙海賊ハン・ソロの声を演じた男=宇宙海賊コブラの声も…と言う発想で選ばれたのかもしれないな等と想像してしまう。

とは言え、クリスタルボーイの表現等、今観ても面白い部分はあちこちに発見できる。

今のCG技術で再現したら、クリスタルボーイも又違った存在になっていたような気がする。

浮遊刑務所内で、クリスタルボーイがコブラをクリスタルの壁で覆い、それを真一文字に切断して、あたかも「燃えよドラゴン」(1973)の鏡の部屋のようにする所等、当時の映画を知るファンにとっては楽しいパロディ演出等もある。

今観て、ビックリするほど面白いと言うほどではないにせよ、十分に楽しむ事が出来る娯楽アニメではある。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1982年、 寺沢武一原作+脚本、 山崎晴哉脚本、出崎統監督作品。

アアア…、ヒヒヒ…

聖アルムトウス伝…、神はのたまわれり…、この世に神は存在しない!

とある惑星の砂漠地帯を、馬のような動物に乗って、不気味に笑っていたのは、ザゴバと言うお尋ね者だった。

そんなザコバの頭上を巨大宇宙船が飛び過ぎて行く。

次の瞬間、抜群のプロポーションの女が、そのザコバに襲いかかると、あっという間に、首を斬り落とす。

ザコバの首をぶら下げて、エアカーで街の酒場にやって来た女ジェーン(声-中村晃子)は、カウンターに首を起き、バーテンに、タルカロスのストレートを注文する。

重犯罪者捕獲人か…、その女を二階のテーブル席から見下ろして呟いたのは、女性型アンドロイド、レディを連れたコブラ(声-松崎しげる)だった。

レディを先に帰らせたコブラは、エアバイクに乗って、エアカーで酒場を後にしたジェーンの後をつける。

コブラに気づいたジェーンは、誰よ?ザコバの首を横取りしようっての?地球人?とエアカーの中から問いかけるが、アイラブユーとコブラはおどけると、良い事教えようか?700万ビートルの賞金首を知っているとバイクから伝えると、さすがに興味を惹かれたらしきジェーンは、どこ?奴がいるのは?と聞く。

すると、コブラは、ここだ!ここにいるよ!史上最高の賞金首!と答える。

タイトル

ジェーンは、そんなコブラのエアバイクをレーザー銃で破壊すると、砂漠に飛び降りたコブラに、噓!あんたはコブラじゃないわ。コブラは2年前に死んだと教えるが、コブラは、それは噂だろう?と笑う。

次の街まで60パースあるけど、乗って行く?とジェーンに誘われたコブラは、喜んで彼女のエアカーに乗せてもらう。

街に着いたジェーンは、ジェーン・フラワーと言う名前、R233と言う認識番号等を証し、警官にザコバの首を渡すと、早急に冷凍保存して銀河パトロールに渡して欲しいと依頼する。

30万ビークルの支払方法を警官から聞かれたジェーンは、地球の口座に振り込んで欲しいと告げ、部屋を出ると、まだそこにコブラが待っていたので呆れる。

一緒に歩いているうちに、700万ビートルの賞金がかかった宇宙海賊コブラの大きなポスターが壁に貼ってあったので、ジェーンは、ほら、本当のコブラはこんな男よと教える。

コブラの耳には小型のレシーバーが付いており、今、ザコバの首を置いた部屋で、どうするか指示を下さいと言う声がするのを盗聴していた。

ホテルのシャワールームでくつろいでいたジェーンに、ジェーン、見つかったかね?愛されたかね、ジェーン?早く戻ってもらわなければ…と言う男の声が聞こえて来る。

ジェーンも、私も帰りたい…と答える。

シャワールームから出て来たジェーンは、窓から、遠くのビルの上に光る点滅する光を見つけ微笑むと、こっち来る?と声をかける。

点滅していた光は、葉巻に火をつけかけていたコブラのライターの炎だった。

そのジェーンの誘いを聞いたコブラは、背中に背負ったジェットバックから翼を伸ばすと、ジェーンのいるホテルの一室に飛んで行く。

ジェーンの部屋の窓に近づいたコブラは、自分のすぐ背後に、光の玉が出現した事に気づく。

その光の玉は窓ガラスを突き破って、ジェーンの部屋に侵入する。

光の正体は、ザコバの首だった。

首は、クエェ~!と叫びながら大きな口を開けて、ジェーンに噛み付こうとする。

ジェーンは、ベッド脇にかけていたガンベルトのレイガンを取ろうとするが、首が飛びかかって来て邪魔をする。

部屋の中に降り立ったコブラは、そんなザコバの首を殴りつける。

しかし、くたばりそうもないザコバの首がジェーンに又飛びかかって来た時、ジェーンのレイガンは、ザコバの口の中に突っ込まれ発射される。

凍結保存しなかったのかしら?あの警官…と、ザコバの首を処分したジェーンは不思議がるが、その時、割れた窓の外に、巨大な宇宙船が姿を現した事に気づく。

海賊ギルドだった。

第七宇宙のギルドに、あの警官が密告したに違いなかった。

コブラとジェーンは、何とかその部屋を脱出し、部屋に侵入して来たギルドの殺人部隊をから逃げながらコブラは、ゆっくり話が聞きたいな…と事情を聞こうとするが、ジェーンは時間がないわと言うだけ。

電源が全部切られたらしく、エレベーターが動いていなかったので、コブラは満身の力を込め、エレベーターの扉をこじ開けると、シャフトを降下して脱出する。

ジェーンのエアカーでホテルを抜け出すも、ギルドの追跡宇宙船はしつこく追って来る。

コブラはエアカーのフード部分を開けさせると、俺は良いこの前ではぶりっ子してしまうんだ等と言いながら、後部座席に後ろ向きに立ち上がり、左手を追って来る宇宙船の方に向ける。

すると、左手が発光し、サイコガンに変化する。

コブラの放ったサイコレーザーは、見事にギルドの宇宙船を貫き、大爆発を起こす。

左手にサイコガンを持つ男は宇宙に1人しかいない!ジェーンは、この男こそ本物のコブラであると言う事に気づく。

たった1人で宇宙ギルドに歯向かったと言われるコブラ…

その首にかけられた賞金700万ビートルは、その海賊ギルドがかけたと思われている。

そんなコブラが、顔まで変えていたとは思ってもいなかったわ…と、砂漠にエアカーを泊めて外に降りたジェーンはコブラに話しかけ、キスする。

ジェーンとキスをした瞬間、コブラは観たこともない宇宙の姿が見えたような気がして驚く。

ジェーンの方は、すっかりコブラに参ったようで、あなたなら愛せそう…と迫って来る。

生きていた…?コブラが…?そう呟いていたのは、宇宙ギルドの大幹部クリスタルボーイ(声-睦五郎)だった。

ベッドルームでリラックスしていたクリスタルボーイは、自らの骨格が透ける透明な顔に指を突っ込んで、脳部分のメカを自ら揉む。

コブラは今、ジェーンと共に行動しているとも報告を受けたクリスタルボーイは、兵力を今の4倍に増やせと指示を出すと、ついに現れたかコブラ…と呟く。

エアカーで再び移動し始めたジェーンは、ギルドから私の命を守ってくれるのはあなただけ。私と一緒にある星に行って欲しい。目的地は私の生まれた星、もう1つは…と迫り、要求が多いなと言いながら、コブラがキスでごまかそうとすると、口にしてコブラ!と言いながら、ジェーンはいきなりエアカーをいきなりひっくり返すと、自ら積極的にコブラにキスをする。

カラスのような生物が多数飛び回っていた共同墓地にやって来たコブラは、年に一度、俺はここに来るとジェーンに教える。

ここに俺の宇宙船があると言うコブラの足下には、「不死身の英雄コブラここに眠る」と刻まれた墓碑があった。

さあ、付いておいでとジェーンに告げたコブラは、開いた床から、下に広がった巨大な格納庫に向かってパラシュートで飛び降りる。

ジェーンも、その格納庫に置かれていたコブラの愛機「タートル号」目がけてパラシュート落下する。

タートル号の操縦席にはレディが待機していた。

ジェーンの紹介とコブラから目的地である惑星シドの名を聞いたレディは、刑務所だけの星よと教える。

ジェーンは、シド刑務所には妹がおり、愛を届けに行くのだとコブラに教える。

タートル号は出発し、ジェーンの毛髪検査の結果、彼女はミロス星人だと知ったコブラは、1世紀も前に滅びたと言われるミロス星の伝説を思い出す。

レディは、コブラが連れて来たジェーンに嫉妬しているようだった。

翌朝、タートル号の前に、ギルドの小型攻撃艇メルキャットが多数接近する。

その知らせをレディから受けて目覚めたコブラは、たった1人のスクランブル!と自分で言いながら、小型艇に乗り込み、応戦に出かける。

いつの間にか、ジェーンも目覚めたらしく、コブラの活躍を操縦室で観ていた。

全部の敵宇宙船を撃破したコブラは、火を貸してくれよ、レディ。ライターをベッドの中に忘れて来たんだと、スクリーンに向かって言う。

タートル号に戻ったコブラは、懐かしいな、伝説の星ミロス星…とジェーンに、自分が子供時分に聞いた事がある話を披露する。

ミロスの王は代々女王。ミロスは、星々の間の戦に巻き込まれ、旅の果てに滅んだ…

気がつくと、タートル号の背後に、透明な球体の中に座った無表情な僧のような人物が付いて来ていた。

ジェーンが言うには、トポロ教授と言う人物で、私の星の精霊なのだと言う。

そのトポロ教授(声-久米明)は、ジェーンを宜しくとコブラにテレパシーで伝えて来る。

そうこうするうちに、惑星シドの大気圏に接近する。

ジェーンとコブラが乗った2隻の小型着陸艇は、岩場だらけの地表面で覆われたシドの着地点を探しているうちに、湖のような箇所を見つけたので、そこに着水する。

上空には、悪名高い巨大な浮遊刑務所が浮かんでいた。

歩行用の脚部が出た着陸艇を運転して、高い場所に出たジェーンはコブラに、あの中に妹のキャサリン・フラワーがいるのと教える。

刑務所に入れられほどの罪を犯したのかい?とコブラが不思議がると、妹はギルドの大幹部クリスタルボーイに捕らえられたのだとジェーンが説明する。

しかし、巨大刑務所の仲のどこに妹がいるのかは分からないらしかった。

取りあえず2人は、飛行モードにした1隻の着陸艇に相乗りし、浮遊刑務所に接近してみる。

その巨大刑務所の一室に、クリスタルボーイはいた。

ジェーンは、自分にはキャサリンの他にドミニクと言うもう1人の妹もいるのだと明かす。

その時、接近に気づかれたらしく、浮遊刑務所の船底から雷撃光線を浴びせられたので、コブラは刑務所の甲板部分に飛び移り、ジェーンは刑務所から一旦離れる事にする。

甲板上で待ち構えていたのはクリスタルボーイで、また会えるとはな…。帰って来たな、私の生き甲斐が…とコブラとの再会を喜んでいる風で、マントを取ると、三たび殺し損ねたとコブラに挑みかかる。

クリスタルボーイは、自分の胸に手を差し込むと、黄金の肋骨の1本を抜き取り、それを弓形に変型させて武器にするが、コブラは、そんなクリスタルボーイとまともに対決する気はないらしく、船内への入口へ向かうと、兵士たちを殴り倒して中に潜入する。

キャサリン!と名を呼びながら、刑務所内を探しまわるコブラだったが、中は広大で、キャサリンがどこにいるか全く雲を掴むような有様だった。

その頃、地上にいたジェーンは、妹のキャサリンにテレパシーを送っていた。

キャサリン、聞いて、私よ…。私の愛したコブラ、彼と共にそこを出るの…

しかし、なかなか答えようとしなかったキャサリンから帰って来た返事は、ごめんなさい…、今私、答えたくない…と言うものだった。

一方、別嬪のミロス星人なんだ!と、キャサリンのいる場所を囚人たちに聞いて廻っていたコブラだったが、そんなコブラの移動経路は、刻々と司令室にいるクリスタルボーイの元に集まっていた。

第6排気口にいるとの知らせを受けたクリスタルボーイは、水を入れるように命じる。

排気口の中にいたコブラは水攻めにされるが、葉巻をくわえると超小型空気ボンベでも入っていたのか息が出来るようになる。

貯水タンクの上でホバリングしていた飛行兵士軍団は、水の中に人影を発見、レーザーを撃ち込むが、逆に、水中にいたコブラは水の中からサイコガンを撃つと、飛行兵士の1人を仕留め、その兵士が乗っていた飛行メカを奪い取り、それで刑務所内を飛びながらキャサリンの名を呼ぶ。

すると、ここよコブラ!と自分を呼ぶ声が聞こえて来た。

コブラはその声の主であるキャサリンが閉じ込められていたクリスタルの部屋を見つける。

君がキャサリンだね?と問いかけながらコブラが近づくと、そこに笑いながらクリスタルボーイが出現、キャサリンのいた部屋の周囲に、新しいクリスタルの檻が出来、コブラは閉じ込められてしまう。

クリスタルの檻に閉じ込められたコブラは、サイコガンをクリスタルボーイに向けるが、お前のサイコレーザーは、お前の情熱や気力がエネルギー源らしいが、私には通じない。私の身体は特殊で、どんなレーザーでも素通りしてしまうのだと嘲る。

そして、自らのあばら骨で作った黄金のスティックで、コブラを打ちのめす。

コブラが通常の回転式拳銃を撃っても、弾は全てクリスタルボーイの身体の表面にめり込んだだけで、すぐに表皮から弾き出されてしまった。

特別房に監禁しておけ!鍛えれば使えそうだとクリスタルボーイは命じ、捕まえられたコブラはチューブの中で凍結され、刑務所の船底の水槽の中に沈められる。

タートル号のレディはコブラを呼び出していたが、応答はなかった。

惑星イドの地表でジェーンはキャサリンと再会するが、コブラが死んだと聞かされ驚愕する。

コブラにテレパシーで呼びかけても届かない事に気づいたジェーンが焦ると、届かないのね?姉さんが彼を愛してないからよとキャサリンは責める。

そして、ジェーンは、抱き合っていた妹のキャサリンが、いきなり黄金のスティックで自分の腹を刺し貫いた事に驚く。

姉の愛するものを妹が愛するのは、ミロスの女王の証拠…。でも私は別の人を愛しているの。この人よ、姉さん…とキャサリンが紹介したのは、あろう事かクリスタルボーイだった。

クリスタルボーイとキャサリンは、光に乗って飛んで行く。

湖に落ちたジェーンは、今際の際に、自分の愛をもう1人の妹ドミニクに送ることにする。

さようなら、コブラ…

湖から一筋の光が宇宙に向けて飛び立って行く。

その時、既に生命反応が停まっていたはずの、水中のコブラが動き始める。

それに気づいたクリスタルボーイは驚くが、計器類を観る限り、コブラは完全に死んでいるはずで、何がコブラを動かしているのか理解できなかった。

コブラは、固められていた氷を砕くと、浮遊刑務所の船底をこじ開け、室内に満ちていた大量の水もろとも、空中に落下して行く。

地表面に叩き付けられたコブラは、何者かに誘われるように湖の中に潜ると、ジェーンの遺体を見つけ、その唇にキスをすると、それまで見開いていたジェーンの目が閉じる。

その身体を抱いたコブラは地表に戻って来るが、そこにはクリスタルボーイ初め、ギルドの攻撃隊が待ち構えていた。

クリスタルボーイは、焼き殺せ!と命じるが、その時上空から青白い光が接近、そこからクレーンが降りて来て、コブラとジェーンを掴むと飛び去って行く。

レディの操縦するタートル号だった。

レディは、オルガン型治療装置を使い、コブラの身体を治癒して行く。

何とか蘇生したコブラは、葉巻をレディにせがむと、ジェーンの遺体を安置してある部屋に来る。

トポロ教授からの声が届いたので、その指示通り、ジェーンの遺体は宇宙に放してやる事にする。

レディが、ジェーンのもう1人の妹ドミニクはルルージュ星にいると教えると、向かってくれとコブラは頼む。

そんなタートル号の背後に、透明な球体の中に座ったトポロ教授も、「ノーポリーダ…」と呟きながら付いていた。

ルルージュ星に到着し、スノーバス乗り場で出発時間を待っていたコブラは、氷河期にあるこの星が観光で持っている星であり、ドミニクは、サンシティにいるらしいスノーゴリラに参加しているらしいと言う情報をレディから聞いていた。

そのゴリラにあってみるかと呟いたコブラは、他の観光客らと共にサンシティ行きのスノーバスに乗り込む事にする。

レディはタートル号に戻り、次の指示を待つ事にする。

スノーバスが出発し、ガイドアンドロイドが案内をしている時、突如、狙撃され倒れる。

スキー板を履いた雪山の山賊スノーゴリラが襲撃して来たのだった。

スノーゴリラが投げて来た爆弾が爆発し、スキーバスは横転、雪の中で停まる。

周囲を取り巻いたスノーゴリラのリーダー、隻眼の女サンドラが、バスから出て来た乗客たちに向かい、金目のものを全部供出するなら命は助けてやると告げる。

そうした中、コブラは、密かに崖縁にしがみつき移動していたが、手を滑らせ危うく谷底に落下しかかる。

何とか、靴のつま先から出したナイフを崖に突き刺し落下を免れると、サンドラらスノーゴリラが退却すると、密かにその後を付け始める。

スノーゴリラのアジトのような建物を突き止めたコブラだったが、気がつくと周囲をサンドラらに取り巻かれていた。

尾行に気づかれていたようだった。

スノーゴリラと戦ううちに雪に埋もれてしまったコブラに向かい、銀河パトロールのスパイか、ギルドの犬か?とサンドラは問いつめるが、部下の1人が、コブラが埋もれた雪の中で光るものを発見、自爆するつもりです!と警告する。

しかし、その灯は、雪の中から姿を現したコブラのライターの光だった。

俺はギルドの子分ではないと説明するが、その時、光の馬に乗ったドミニク(声-風吹ジュン)が近くの丘の上に姿を現し、その人が探しているのは私、待っていたのよ、コブラ!と伝える。

ドミニクはコブラの近くに来ると、私も姉さんのようにあなたを愛するわ…と言いながら、コブラにキスをして来る。

すると、ジェーンとのキスのときと同じように、コブラには見知らぬ星雲の姿が目の前に広がって見えた。

気がつくと、スノーゴリラのメンバーたちが次々とゴーグルを脱いで行き、彼女らが全員女性である事が分かる。

サンドラも、第七銀河でギルド相手に果敢に1人で歯向かった、700万の賞金がかかったコブラの名前は知っていたらしく、コブラへの態度を急変させ、敬意を持って歓迎する。

実は、このルルージュ星もギルドの支配下にあり、観光収入の90%をギルドに収めているのが現実で、サンドラたちにとって、宇宙ギルドは憎むべき相手だったからだ。

しかし、持ち上げられたコブラは照れ、俺も宇宙海賊だから、時々、ギルドとかち合い、奴らの偉そうな態度が気に入らなかっただけさと謙遜する。

その後、アジトの中のドミニクの部屋に案内されたコブラは、私を愛してくれる?コブラ、私の全てはミロスのためにある…と言いながら、いきなりドミニクが裸になって迫って来たので焦ってしまう。

俺を決めつけるのは止めてくれ!と牽制したコブラは、ジェーンとは遊びのつもりでちょっと…などと、深入りしたくない言い訳をする。

それでも、ドミニクは、光の馬を作ると、ジェーン姉さんが生き返ったのと言い出したので、コブラもそんな気がしだし、ちょっと狼狽しながらも、ジェーンがなぜギルドに追われていたのか尋ねる。

すると、ドミニクは、ギルドが狙っているのは私よ。あなたの役目は、私を姉さんを、そしてキャサリンを愛する事…と言う。

可哀想なのはドミニク…、死ぬのはドミニク姉さんの方…

光の馬に乗ったドミニクとコブラが窓から外へ飛び出す様子を、近くから観ていたのは、キャサリンとクリスタルボーイ、そして宇宙ギルドの兵隊たちだった。

ギルドがアジトへ迫って来た事に気づいたサンドラは、全員退避を命じる。

スノーゴリラのアジトを急襲したクリスタルボーイは、総員でドミニクを探し出すよう命じる。

コブラは、雪の山中、ドミニクを背負って逃亡を図る。

2383年、今から100年前、移動惑星ミロス星は、巨大な星雲に接近した時、大気が汚染されてしまったの…、ジェーンは少しずつ、ミロス星の歴史を語りだしていた。

女王は胎児のまま、ミロスから宇宙へ脱出させられた。

100年後に、ミロスは同じ位置を通過する。

その時、ミロスが再び住める環境になっていたら良し。星の生死は女王にあります。私たちが決めなければいけないのです。

女王を決めるには2つの方法があります。

1つは、2人が死に、1人が女王になる場合、もう1つは、3人が同じ男を愛して1人の女王になる事。

私たち3姉妹は、元々、1つの肉体が3つに分かれたものだからです。

あなたが愛したジェーンは、私の中で生きていますとドミニクが言うと、その胸元からジェーンのイメージが浮かびだし、コブラにキスをする。

後はキャサリンだけ…。キャサリンがあなたを愛し、あなたがキャサリンを愛せば、私たちは女王になる。

でも彼女が愛したのはクリスタルボーイなのです。

もはや、私が死ぬか、キャサリンが死ぬかしか方法は残ってないのです。

敵兵を倒しながら、ドミニクをおんぶして雪山の中を逃げていたコブラは、なぜ、ギルドが女王問題に絡んで来るのかと聞く。

ミロス星はただの星ではないので、自分のものにしようとしているのです。

ミロス星は太陽を持たない宇宙を旅する人工的な星であり、その推進装置を動かせるのは女王だけなのです。

そのミロス星を使って、第七銀河の中央にある太陽にぶつけ消滅させる計画をギルドは持っていると言うのだった。

クリスタルボーイは、その目的のために、ジェーンとドミニクを殺し、キャサリンを自分のものにしようとしているのだった。

険しい雪山の絶壁を登っていたコブラの手を上から握って来たのは、助かっていたサンドラだった。

コブラと、彼に背負われたドミニクを引き上げたサンドラは、生き残っていたスノーゴリラが隠れていた洞窟の中へ案内する。

月が落ちた今、この星の温度は-26ゲーになっており、このままここにいては凍死は必至だった。

サンシティまで行けば、基地があるので、非常用モビールでそこに向かうしかないとサンドラは言う。

ドミニクは、自分のせいでこんなことになってしまったと詫びるが、どちらにせよギルドとは戦う運命であり、気にするなとドミニクは慰める。

サンドラは、サンシティに到着するまで何人生き残るか賭けない?と言い出すが、コブラは全員に100ビートル!とコブラは保証する。

非常用モービルに全員乗り込むと、クリスタルボーイやギルド軍団の目の前で雪原に飛び出して行く。

しかし、ギルド軍団もすぐに攻撃を加えて来て、操縦者がすぐにやられてしまったので、コブラが操縦を代わる。

それでもさらに6人のスノーゴリラがやられた所で、目指すサンシティが見えて来る。

その時、ギルドの巨大宇宙船からクリスタルボーイが地上に降り立って来る。

コブラは騒人間が聞かない事に気づき、ビートルは横転してしまう。

ビートルから振り落とされたサンドラは、こいつがギルドの大幹部かい?と言いながら、果敢にクリスタルボーイに向かって行くが、黄金のスティックで身体を貫かれ果てる。

生き残っていたスノーゴリラのメンバーたちも、勇敢にクリスタルボーイに向かって行き、全員討ち死にをする。

コブラは、ドミニクに、サンシティに向かって走れ!と命じながら、自分はクリスタルボーイに挑みかかって行く。

しかし、クリスタルボーイが投げた黄金のスティックが、街に向かって逃げていたドミニクの身体を貫いてしまう。

驚いたコブラが、倒れたドミニクに駆け寄った時、地表の氷が割れ、追って来たクリスタルボーイは、その流氷の破片に乗って遠ざかって行ってしまう。

タートル号に戻ったコブラは、レディの補佐のもと、サイコガンの練習を続けていたが、クリスタルボーイにサイコガンが効かない事は承知だった。

ドミニクは死に際に、これで、ミロス星の女王はキャサリンに決まってしまった。

ミロス星の門を潜り、第七銀河の太陽に修正するはずのキャサリンを殺して…と頼み、コブラ…好き!と言い残して死んで行った。

その胸に刺さった黄金のスティックを引き抜いたコブラだったが、コブラは今まで、人に頼まれて人を殺す事も、女を殺す事もしない主義だった。

タートル号でコブラは悩んでいた。

タートル号は、ミロス星がある星雲目指して、超高速ゾーンを突破する。

ミロス星雲が見える空域に到達したコブラは、ミロス星はどれだ?と聞くと、星雲の中の瞳のように見える所だとレディが教える。

しかし、クリスタルボーイの乗ったギルドの宇宙船が先行して接近しており、最高速度で落ちるタートル号で追っても追いつけないとレディは言う。

コブラは、ジュニアならマキシマムは倍出るはずだと言い出し、勝手に小型宇宙艇に乗り込んでタートル号から発進する。

予想通り、すぐにギルドの宇宙船に追いつき、追い越す事に成功するが、気がつくと、隕石群のただ中に出る。

コブラは慌ててアクロバット飛行で、隕石群を交わしながら、何とかミロス星の地表にたどり着く。

そこは一面金属で出来た人工惑星で、空中にはボールのようなものが多数浮遊していた。

それは、汚れた大気が固まって出来た言わば「垢」のようなものだと言う声が聞こえる。

観ると、透明な球体に座ったトポロ教授が側に出現していた。

大気は浄化されているので重装備はいらないとトポロ教授が言うので、コブラは着ていた宇宙服を脱ぎ捨てる。

コブラは、山のようにそびえる巨大なメカを発見する。

それは私です。何百年もの時間をかけて作られたコンピューターで、今コブラが目にしている、丸い球体の仲の人物はコンピューターが作った立体映像に過ぎないと、トポロ教授は教える。

ミロス星人は、惑星の推進装置を操れるのは、黄金のプロポーションを持つもの、つまり女王だけだとも言う。

悪しき旅に導くものは、何人と言えども、これを抹殺せよとトポロ教授は言う。

その頃、キャサリンと兵士たちと共にミロス星に降り立っていたクリスタルボーイは、キャサリンに付いて、太陽の門と呼ばれる場所に近づいていた。

そこにはコブラがおり、近づいて来たキャサリン目がけ、サイコガンを撃って来るが、同行していたクリスタルボーイが自らのマントでそれを防ぐ。

衣服を脱ぎ捨て裸になったキャサリンは、人型の文様が描かれていた地上に自らの身体を横たえる。

無駄になったなコブラ…とクリスタルボーイが嘲ると、どうしても聞きてえことがあるとコブラも応じ、なぜ、この第七銀河を壊そうとする?と聞くと、ギルドの力を全宇宙に示すため、どこかの銀河を消せとの指示が上から降りたが、たまたま第七銀河出身の俺が、その任に付いたからに過ぎんとクリスタルボーイはあっさり答える。

コブラは、タートル号を出るときから抱えていた細長いバッグの中から、黄金のスティクを取り出すと、あんたがドミニクの胸を貫いたやつだと言いながら、それをクリスタルボーイの胸に突き刺す。

いかなるレーザーも通過してしまうクリスタルボーイの身体だったが、自らの肋骨で出来た黄金のスティックはあっさり身体を破壊してしまう。

不死身と思われたクリスタルボーイは、まっ二つに割れ、倒れる。

すると、ギルドのロボット軍団が行進を始め、コブラの横を通り過ぎると、巨大宇宙船の中に吸い込まれて行き、宇宙船は飛び立って行く。

太陽の門から立ち上がり、クリスタルボーイの遺体の側に立ったキャサリンは、それまでかぶっていた黄金の冠が取れ、今までの表情が変わる。

ジェーン姉さんとドミニク姉さんを殺したのは私だわ…そう呟いたキャサリンは、これまでクリスタルボーイに心を操られていたのだった。

しかし、それを承知した今となっても、女王としての最後の務めを果たすしかなかった。

やはり、姉さんたちが愛したあなたは素敵ね…とコブラに囁きかけたキャサリンは、さようならと言い残し、地表に空いた太陽の門の中に飛び込んで行く。

旅の終わりです。ミロスの進路を決めるのは1度だけ。それを変更できるのは次の女王が生まれたときだけ。旅を止めるために、自爆装置を作動させますと、トポロ教授が解説する。

驚いたコブラは、太陽の門の中を覗き込むが、そこには、ジェーン、ドミニク、キャサリン3姉妹の姿が下降して行っていた。

ジェーン!ドミニク〜!コブラは必至で呼びかけるが、彼女らはコブラを見上げているだけで何も答えなかった。

コブラは3姉妹に手を振って別れを告げると、急いでジュニアに乗り込み、惑星ミロスを脱出する。

次の瞬間、ミロス星雲は大爆発を起こす。

タートル号に戻ったコブラはレディに、俺たちの旅の終わりはどこだろう?と問いかけてみるが、さあ?コブラの旅に終わりなんてあるの?とレディは答え、それを聞いたコブラも、そうだな…と納得するのだった。