少ないセット、限られた役者、コントのような会話…、低予算で作った、一見、舞台劇のような作品。
ロケシーンは、オキタが鑑別所を出るシーンと、エンドクレジット部分など数シーンくらい。
とあるひなびたホテルの1室と、その隣に作られた特殊な覗き部屋が主な舞台になる。
その両方の部屋に、それぞれ訳ありの奇妙な面々が集まって繰り広げる奇妙な展開。
「茶の味』(2004)などでもお馴染みのウンコネタが今回も登場する。
そうした幼児性が、全体的に満ちあふれているような気がする。
一見、深刻そうなシーンも登場するが、その根底にあるのは、子供っぽい悪戯心に溢れた感性なのではないかと思う。
そうした感性に乗れるか乗れないかで、この手の作品の評価は違って来るだろう。
個人的には、シュールなイメージが多かった「茶の味」ほどではなかったが、本作もそれなりに楽しめた。
特に、従来のキャラクターイメージとは全く違う特殊な役を堂々と演じた原田芳雄さんには感心させられた。
劇中、結婚式のエキストラの話が出て来るが、実際そう言う仕事はあるらしく、実際の葬式などでも親戚縁者を演じるエキストラの仕事はあるらしい。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
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2000年、東北新社+タキコーポレーション+テレビ東京、石井克人原作+脚色+監督作品。 トイレ内部のタオル掛けの金属部分のアップ 外から、トイレ貸してと男が頼むと、大はダメよ。換気がないからと答える女の声。 トイレの電気が付き、三木シュンイチロウ(永瀬正敏)がトイレに入って来て、小の方をし始めるが、途中で、病気かな?止まんねえよ。出っぱなしだな…とぼやくくらい、勢いが弱まる気配はない。 それでも、何とか、外に出ると、手を洗った?電気消した?と女の声がして、あ、いけね!と戻って来た三木がトイレの電気を消す。 ホテルのフロントでは、客が誰もいないので、2人の従業員がだべっていた。 森ちゃんと呼ばれているポーターの森下(森下能幸)が、フロント係の深ヅメ(津田寛治)から、自分が話したことを信じていないとかいるとかと言い争っているようだった。 深ヅメの話とは、空からいきなりウンコがふって来たと言う馬鹿げたものだったので、森下は、まるっきり信じていなかったのだが、その態度に切れた深ヅメが、本当なんだってと、その場所の地図まで書き始める。 今日は泊まりだから…と迷惑そうに森下が困惑すると、いやすぐ近くだから、車で20分くらい、自転車だと1時間…などと、ちょっと観に行く距離ではないのに深ヅメは真剣そのもの。 そこにやって来たのが三木で、予約してるんですけど…とフロントの中にいた深ヅメに声をかけるが、宿泊名簿に記入をしてくださいと言った後、今日は早番だからと言って、深ヅメは裏に消えて行く。 その直後、ばかやろう!こんな所で何さぼってるんだよ!と言う深ヅメの怒鳴り声と、ドタバタ音がしたので、三木と森下は驚くが、その後、裏からフロントカウンターに出て来たのは、ズボンのチャックが全開で、サソリのマークが入ったパンツを覗かせている男と、首を絞められたのか、口に吐瀉物をこびりつかせた男だった。 首を押さえて苦しそうだった男が、吐き気を催したのか、大きな口を開けて前のめりになると、口からアニメが飛び出して来る。 逃亡しているアニメの三木が、車に轢かれかけ、持っていたアタッシュケースを落とすと、その中に札束が詰まっている。 そのアニメの三木のアップが実写の三木に変化する。 ナイフを持った男と大男相手に戦うソノダシンゴ(堀部圭亮)のアニメのアップが実写に変化。 踊っている男女のアニメ それぞれ、顔のアップが、ミツコシカナ(小林明美)とトドヒラトドヘイ(岡田義徳)の実写に変化。 ベッドのある部屋の中にトンボが飛んでいるアニメ、オキタソウジ(浅野忠信)とキャプテンバナナ(フグタハンモリ)(原田芳雄)のアニメが実写に変化。 マシンガンを撃ち込まれたドアから、男が1人倒れて来るが、すぐに立ち上がり、2丁拳銃で撃ち返して来る。 若頭ことイソムラ忠(我修院達也)のアップが実写に変化。 タイトル ファイルに載っている「ホテル ニューメキシコ」の写真を観た三木は、良いかもね…と気に入り、不動産斡旋業の坂上のオバちゃん(松金よね子)が、ね、結構、素敵でしょう。今はシーズンじゃないからすぐ予約が取れたわと言うので、三木は、別に予約なんかしなくて良いけど…と困惑しながらも、人気ねえんだ…と呟く。 大体、あんたの条件が難しいのよ。交通の便が悪い。作家の人が隠れ家にするようなホテルで、誰にも見つからない所。ここから2、3時間で行ける場所で、誰かが来たら、逃げられるように迷路のような道が近くにある…なんて…とおばちゃんはこぼす。 あれ、お前が一枚噛んでるってことないな?マツケンが受け取ってないって言うんだよ…と、ソノダに聞いていたのは、出崎親分(島田洋八)だった。 こっちは北海道の人間にマークされてるんで、お前に頼むんだ。1人で動いてくれや…と言いながら、出崎はソノダに袋を差し出す。 ソノダは、はい!と言うしかなかった。 おかっぱ頭にメガネと言う超ダサイ青年トドヒラトドヘイは、花束を持って、とある安アパートの部屋のブザーをピンポン♪と押していたが、一向に返事がないので、超高速連続ピンポン押しをやる。 一方、とある部屋の天井の換気口を枠を外し、まずはティッシュの箱を部屋の中に落とし、次いで降りて来たのは、病的な覗き魔オキタソウジだった。 その部屋は謎めいており、大きなベッドの枕元には、シーラカンスのオブジェが飾られていたりした。 きょろきょろしていたオキタは突然、黒いマントとコスチューム、そして黄色く異様な形をしたマスクをかぶった男がいたので固まってしまう。 私の名は、キャプテンバナナ!、怪しいコスチューム男はそう名乗る。 三木は、自分でジュラルミンケースを部屋にも近うもうとするが、無理矢理、森下が、自分の仕事ですからと、ジュラルミンケースを持とうとするので、ついこのハゲ!と言ってしまう。 それを聞いた森下は、ハゲとか言うんですか〜!と怒り出したので、三木はちょっと言い過ぎたかなと反省し、ハゲっぽかったから…と言い訳するが、どの辺でハゲっぽいって思ったんですか〜!と、並駄目になりながら、又しつこく森下に問いつめられる。 その間も、森下はジュラルミンケースから手を離そうとしないので、観た瞬間からヅラって感じだからね!と言い放った三木は、森下を突き飛ばして部屋に入る。 その部屋は、実はオキタとキャプテンバナナのいる部屋の隣にあり、壁の一面そっくりがハーフミラーになっており、全部相手側の部屋に透けて見えていることにミキの方は気づかなかった。 2年待っていたよ、オキタ君!とキャプテンバナナが呼びかけたので、オキタは唖然としながら、何で僕の名前を?と聞く。 私のホテルを作ったのは…と言いながら、かぶっていた奇妙な形のマスクを脱いだキャプテンバナナは、君の父親だと言うので、オキタは、親父が!?と驚く。 (回想)すみませんでした、もう2度と来ません…、そう頭を下げて鑑別所を出るオキタに、係官は、そのセリフ、前に何べんも聞いたよと答える。 帰りに乗ったタクシーの運転手も、あんた、覗きで捕まったんだってね〜、前にも乗せたよとオキタに話しかけて来る。 オキタは、子供の頃から、覗きの常習者だったのだ。 オキタリュウジロウの部屋は?と病院の受付で聞くが、横に立っていた看護婦は、知りません!と冷たく答える。 オキタリュウジロウ(岡本信人)は、ベッドで包帯だらけで生命維持装置を付け、もう最期の時を待っていた。 その病室の前には、親戚や知人が集まっていたが、オキタが中に入ろうとすると、いきなり親戚(田中要次)から胸ぐらをを掴まれ、何しに来た!と文句を言われる。 父親の側に近づこうとしても、みんなが邪魔するので、僕は息子なんだよ!と抗議しながら、ようやく父親の側に来たオキタは、親父、ご免よ…、又捕まっちまったんだよ。覗き病なんだよと詫びる。 覗き病なんて…ない。昔、わしが作ったホテルに覗き部屋があると、ベッドの父親はオキタに告げる。 その時、オキタの背後に並んでいた見舞客の中にフグタハンモリ、つまり、今のキャプテンバナナが立っていたことには気づかなかった。 (回想明け)そうだ、この部屋は、オキタリュウジロウが僕のために、1人コツコツと作ってくれたものだ。彼が元気だった頃は、週に2日来て、良く一緒に覗いていたものだ。君はその息子だ。覗く権利がある!とキャプテンバナナが言ってくれると、感激したオキタは、おじさん!と喜ぶ。 私の名はキャプテンバナナ!ここではそう呼ばれている…と、おじさんと呼ばれたフグタハンモリは訂正し、どうぞ!とオキタを、隣の部屋が丸見えの壁面に向かったベッドの端に座らせる。 森下は、まだ、三木のジュラルミンケースを離さず、車を持った男の方がモテると言うんですか〜!とミキに問いかけていた。 そんなしつこい森下に、ヅラ、ずれかけてるぞと言いながら蹴飛ばした三木は、相手が転んだ隙に、自分の部屋に入り込み鍵をかける。 覗き穴から外を観ると、少し離れた所で、森下が髪を直していた。 キャプテンバナナは、隣の部屋の音が聞こえるヘッドホンをオキタにも渡し、自分もベッドに座って、隣の部屋を観察し始める。 ミキの方もベッドに腰掛け、ジュラルミンケースを近くに置き、テレビのスイッチを入れるが何故か写らない。 良く観ると、100円の投入口が付いていたので、今頃金取るのかよ…とぼやきながら、三木はコインを投入するが、それでもテレビは写らなかった。 その時、ドアチャイムが鳴ったので、三木は、又あの森下が戻って来たと感じ、ハゲ!おめえに用事なんてないんだよ!と大声を出すが、一瞬、兄貴?とソノダが来たんじゃないかと想像する。 それを観ていたオキタは、誰か来ましたねと嬉しそうに良い、キャプテンバナナも、女かもよと呟く。 三木は、慌てて、ジュラルミンケースを隠そうときょろきょろするが、結局、平凡な、ベッドの下に押し込むと、ナイフを取り出し、ドアの覗き穴から外を観る。 すると、そこに立っていたのはカナだったので、ドアを開けた三木は、デレデレした態度で彼女を部屋に招き入れる。 キャプテンバナナは、オキタ君?と話しかけるが、オキタはそんな呼び掛け等全く聞こえてないようで、隣の部屋に入ってきたカナをガン観していた。 キャプテンバナナは、オキタの耳からヘッドホンを取り外すと、オキタ君、落ち着け!と諭そうとするが、オキタは嬉しそうに、カナちゃんですよなどと言う。 三木は、自分が飲んでいた缶ビールを飲むか?と勧めるが、何故かカナは不機嫌そうにいらないと断る。 カナは煙草を取り出し、ベッドに腰掛けて吸い始めたので、三木はその隣に座って、馴れ馴れしくカナの尻を触り始める。留守電聞いたでしょう?私、結婚するの。お金貸していたと思うけど、返してとカナは言い出す。 すっくりしていけよと三木は迫るが、カナの方は早く帰りたいのと訴える。 もっとリラックスしてさ…、シャワーでも浴びてさ…と三木はカナに勧めながら、誰と結婚するんだ?その男、金持ってないだろ?貧乏だろ?と聞く。 ところがカナが金持ちだと言うので、金持ちだったら、金必要ないだろ?と三木は聞くが、カナは、男が金持ちでも金は必要なの!と苛立たしそうに言う。 それを隣で聞いていたオキタが、何なんでしょうかね?と聞くと、借金かね?とキャプテンバナナも不思議そうに推測し始める。 カナちゃんは観るからに男性経験豊富だ。相手が例え金持ちでも、借金していると自分に対するイメージが変わってしまう。小さなことだけどマイナスだ。長い目で観ると破局になるかも…とキャプテンバナナは推理する。 お前、俺の女だったろ?と三木が聞くと、昔わね…と面倒くさそうにカナが答えていた。 付き合ってたんだ!と、この会話を聞いていたオキタが驚くと、昔わね…とキャプテンバナナが念を押し、昔、カナちゃんより、ちょっと可愛いこと付き合ってたことがあるんだと自慢げに言う。 教えろよ、相手のことと三木がしつこく聞くと、まともな仕事している人とカナは言う。 お前、ジジイと結婚するんだろ。もうおしめなん化していて、おしめちゃんなんて呼ばれているような…。おしめが結婚相手だ!と三木が決めつけると、あんたより若いわよ!とカナは憤慨する。 そんなカナに、俺と結婚しよう?と三木は迫り出すが、突然思い出したように、所で何で俺の居場所分かったの?と聞く。 カナは、坂上のオバちゃんの店に行き聞いて来たと言う。 オバちゃんは、カナの顔を観ると、三木なら今来たのよと嬉しそうに教えてくれたのだと言う。 それを聞いた三木は唖然とし、そう言うのしゃべっても良いのかよ?秘密厳守だろ?秘密厳守かと思ってた!と悔しがる。 それを観ていたカナは、バカじゃないの?と言うので、バカでしょうと三木は答える。 そんな2人の様子をじっと盗み見していたオキタは、この2人、絶対セックスしない感じじゃないですか?とキャプテンバナナに聞く。 今、質問したね?とキャプテンは聞き、いや…、そんなのバカでも分かるから…とオキタが謙遜すると、今、バカって言ったね!と、急にキャプテンバナナが怒り出したので、オキタはすみませんと謝ることになる。 カナは、テレビを見ようとスイッチを入れるが写らないので、100円投入口に気づくとコインを入れるがやはり写らない。 その時、突然、トドヒラトドヘイが部屋に入って来たので、驚いたカナが、どうしてここにいることが分かったのよ!と聞くと、やっぱり、坂上のオバちゃんに聞いて来たと言う。 あら?カナちゃんの彼氏じゃないとオバちゃんは喜び、今、カナちゃん来てたのよとあっさり教えてくれたらしい。 何でオバちゃんの所へ行ったのよ!と聞くと、君に会いたくなって…とトドヒラは恥ずかしそうに言う。 いつも週末に会ってるでしょう!とカナが言うと、多分…、好き…だから…とトドヒラはもじもじしながら答える。 電話してくれれば良いのに…とカナが不機嫌そうに言うと、止まってたよとトドヒラは言う。 勝手に、自分のアパートに来られたことを知ったカナは切れ、約束したよね?家に来ないでって!言ったでしょう?今度マンションに引っ越すからって言ったよね!とトドヒラを責める。 何で、会いに行ったかって言うと…、好きだから…とトドヒラが言うと、軽蔑したでしょう、あの部屋…、嫌われたくないの!とカナは哀しそうに訴える。 嫌わないよ、本当に…と言いながら、トドヒラは、持って来た指輪をカナに出してみせる。 その指輪を横から急に取り上げたのは三木だった。 何だよ君は!と、その時になって初めて存在に気づいたように驚いたトドヒラに、人間だよ!と答える三木。 甘く見るなよ!と怒ったトドヒラは、三木とベッド状で取っ組み合う。 それを観ていたカナは、もう止めてよ!と止めようとする。 それでも三木とトドヒラは、ベッド状で安っぽいプロレスごっこのようなことを始める。 それを盗み見していたオキタは、何かこの2人、バカっぽいですね…と呟く。 私みたいにね…とキャプテンバナナはふてくされていたので、まだ怒っているんですかとオキタが呆れると、うるさい!と言いながら、キャプテンバナナはベッドに仰向けに寝転がる。 明らかに怒ってるじゃないですかとオキタが指摘すると、私はバカじゃないです!とキャプテンは呟く。 オキタ君、あんたはここに来てから、私の格好や名前のことを一切聞いていない。それは、私のことをバカだと思っている証拠だよとキャプテンがすねたように言うので、思ってないですよとオキタは困ったように答える。 じゃあ、どう思ってた?とキャプテンが聞くと、何だか、すごくかっこいいなって…思いましたよとオキタが答えると、分かりますか?嬉しい!と喜んだかに見えたキャプテンだったが、正直に言いなさいよ!とやはり、どこかオキタの言葉を信じ切れていないようだった。 一方、もみ合っている男2人を他所に、床に落ちていた指輪を拾い上げたカナは、その指輪の裏側に「KANA」と彫り込んであるのを発見し、満足そうに指にはめてみる。 そんなカナを、又オキタは凝視していた。 キャプテンバナナは、オキタのヘッドホンを取り外して、名前を呼びかけるが、又してもオキタはカナから目線を外そうとはしなかった。 それで、キャプテンは、隣の部屋が見えるハーフミラーに、スクリーンを降ろしてしまう。 そして、どう思っているか、答えなさいよ!とキャプテンはしつこくオキタに迫る。 まだそんな事言ってるんですか?とオキタが呆れると、そんなこと?とキャプテンは絡んで来る。 私は病気なの!先が長くないの!この空間はね、この私と君のお父さんのためだけの空間だったの!色々あって、私はキャプテンバナナになり、このコスチュームになったの。それを君は、心の裏の蓋を開けた所で、バカだと思っているんだ!とキャプテンは決めつける。 すると今度は、オキタの方の顔色が変わり、僕の心の裏側の蓋を開いた辺りのことを分かるんですか?キャプテン!僕は…、僕はヤバいんだと言い、泣き出してしまう。 このオキタの豹変にはさすがにキャプテンも驚き、どうしたの?オキタ君、落ち着きなさい。とオキタの背中をさすってやりながらなだめる。 どうしたの?苦しいの? (回想)こうして、どうしようもなくなった時は、肩の力抜いて深呼吸…オキタは、精神科医(大杉漣)にアドバイスを受けていた。 (回想明け)物心ついたときから覗いていたんです…、オキタは自分の過去をキャプテンバナナに告白していた。 その頃は、子供のやることだから、誰も何も言わなかったし、槙原のおばちゃんなんか、僕が覗いている事を知ってて、股を開いて見せてくれたりして…とオキタが言うと、キャプテンバナナは急に興味を覚えたようで、そのおばちゃんのことを詳しく聞く。 25、6歳でマドンナに似ていて、下は…生えてないです…とオキタが教えると、その開くって、こうパカって感じ?とキャプテンが確認すると、いや、じんわりと…、僕が5、6歳だったかな?あの頃は覗き天国でしたよとオキタは過去を懐かしがる。 じんわりと言うのは、こんな感じ?とキャプテンが自分で股を開くポーズをしてみて確認すると、オキタも、いやこんな感じで…、ものを取るときはこうひねりが加わって…などと実演して見せる。 丸見えじゃん!とそれを観ていたキャプテンは興奮する。 それでも、中学になると警察に連れて行かれるようになり、少年院に入れられたんです…とオキタが話し終わると、私なんて、覗き始めて42年、使いこともあったさ…、でも今じゃ、覗き野郎のパラダイスだぜ!とキャプテンは慰める。 (回想)精神科医はオキタの手を握り、友達を作るんだよ。マニュアルなんてないんだから。友達作るのにマニュアルはない!とアドバイスする。 (回想明け)君はひょっとして、この部屋に来るために生まれたんじゃないかな?とキャプテンバナナが言い出す。 これは魂の連鎖だよ。今日は何を言われているのか分からなくても良い。いずれ分かる時が来る…とキャプテンが諭すと、何か、分かんないけど…とオキタは戸惑う。 共に覗かないか!例えば今、俺、健康サンダル履いてるでしょう?これだって意味がある訳さ。股間とハートを燃やせよ、オキタ君!などとキャプテンが訳の分からない激励をすると、僕、感動してきました!泣きそうです。恥ずかしい…とオキタは目を潤ませ、この部屋で恥ずかしいも何もないだろう!とキャプテンは力づける。 かっこいいですよ、キャプテン!キャプテンバナナの覗きベストテンみたいな話聞かせてください!とオキタは頼む。 何でこのメガネ野郎が…と、隣の部屋では、三木がまだトドヒラに難癖をつけていた。 好きなんだ!大体あんた誰?とトドヒラも引かない。 彼氏だよ!と三木が答えると、トドヒラは、男と付き合ったことないって言ってたよね?とカナに問いかける。 お前、ひょっとして…と三木が嘲るように聞いかけると、言いなさいよ!とトドヒラは言い返す。 自分のこと、良い男と思っているんだろ?思ってるでしょう?と三木が指摘すると、別に…と言いながらも、すかした表情のトドヒラはカナに対し、本当のこと言ってくださいと食い下がる。 カナはお前が金持ちだから結婚すると言ってるよと三木がばたすと、金のためなの?とトドヒラはカナに聞く。 その時、おいっ!と声をかけ部屋に入ってきたのはソノダだった。 隣の覗き部屋の方では、ベッドの上に座り込んだキャプテンバナナとオキタが、覗きベスト10の話で盛り上がっていた。 ベスト7は、アイドルネタ!あの子の乳首は黒かった!とキャプテンが言うと、わ〜!聞きてぇ!とオキタは興奮する。 隣の部屋では、三木が入って来たソノダを観て、兄貴!と驚く。 何でここが!と三木が聞くと、おばちゃんに頼んだら、バレるに決まってるだろう!とソノダはバカにし、三木!てめえの単独犯か!?と睨みつけて来る。 ごめんなさい!と三木は謝るが、ソノダは、てめえ、叔父貴に泥かけやがったな!と激怒し、殴る蹴るの暴行を始める。 一体何があったの?とカナがソノダに聞いたので、知ってるんですか?とトドヒラはカナとソノダの顔を見る、 俺の女だった…とソノダが言い、すっごく昔…とカナも認める。 トドヒラは、何人の男と付き合ってるんですか!処女だと言ったじゃないですか!とカナに呆れる。 あの日、会った日は処女よって意味よとカナは苦しい言い訳をする。 初めて会った時、絶対この人と一緒になると思って…、だから嫌われたくなくて… トドヒラさん、聞いて欲しいの…、三木もソノダさんも私も同じ施設で育った幼なじみだったのとカナは言い出す。 本当に、あなたと会った時、この人と一緒になれたら良いなって思ったの。両親が学校の先生だって噓言ったりして… 想像してよ、結婚式の日、私の親戚は誰もいないのよ。 エキストラで、そう言うの貸し出すらしいって聞いて、1人2万えんで、良い役だと3万円、両親の役とかだと1日4万円で…、そんなお金、工面できないでしょう?とカナは哀しそうに打ち明ける。 そんな金、俺が出してやるよ、いくらでも。俺、いくらでも金持ってるよと言い出したのは三木だった。 やっぱりてめえが!とソノダが三木に迫ると、兄貴と俺の金だろ?バカなのは兄貴だろ?だっってあんな組じゃ、いつまで経っても俺たち出世できねえよ!俺なんか頭悪いし、根性ないし…と三木はソノダに訴える。 俺といっしょだと、兄貴いつまで経っても出世しない。死ぬまで付いて来いと言われた時、俺、すごい嬉しかったんだけど、兄貴が格下の奴らにからかわれてるの観ると…、俺は金を盗んだんだと三木は言うので、いくら?とソノダは聞く。 2億…と三木は答える。 昔から、金ちょろまかすの得意だったから…(コンビニのレジで小銭をちょろまかす回想) てめえ…、親父の顔に泥を塗ったのに…とソノダが睨むと、逃げようよ、一緒にと三木は頼む。 お前、俺と一緒に逃げる気か…、ソノダはちょっと戸惑った様子だった。 お前、俺が何しに来たか分かってるのか?と言いながら、胸元から何かを取り出すソノダ。 それを観たカナは、カメラ?!と驚く。 ソノダが差し出したのは、金ぴかのコンパクトカメラだった。 叔父貴がくれたんだ。お前を埋める前に証拠写真撮れって言われたんだとソノダは説明し、組員でカメラもらったの俺だけだぞ!と誇らし気に三木に言う。 しかし、そのカメラを横で観ていたトドヒラは、それ…、金ぴかだけど安かったよと言い出したので、ソノダは血相を変える。 私、同じもの持ってる。色違いだけど…とカナまで言い出したではないか。 メッキですよ。本体はプラスティク加工!とトドヒラが説明するので、カメラ博士か!と三木が突っ込むと、カメラ博士なんですとトドヒラは肯定する。 金製じゃねえのか…とソノダが愕然とした様子で聞くと、プラスティク性ですよとトドヒラは断定する。 それ、かっこ悪いと思うとカナも言い出す。 ちょっと言いにくかったんですけど、俺も最初に観た時、ちょっとかっこ悪いカメラだな〜ってと言うではないか。 質屋だと500円ですとトドヒラ。 親父はすげえ高いと言ってたんだぞと納得できない様子のソノダ。 騙されたんだよとカナが教える。 兄貴、一緒に逃げようよ!と、又三木が頼む。 みんなで逃げようよとトドヒラまで言い出す。 あなた、カメラ屋の店長なんでしょう?とカナがトドヒラに聞くと、噓なんだ…、バイトだったんだとトドヒラは告白する。(ヨドハラカメラで、店長から、店のカメラでパンチラを撮ったことを責められているトドヒラの回想) 今、無職で、失業保険もとっくの昔に使い切っちゃった!とあっさり言うトドヒラ。 でも、金持ちなんだよね?と三木が聞くと、借金地獄とトドヒラは答える。 九州から長崎ルートで逃げる方法があるなどとトドヒラが言うので、お前、逃がし屋じゃねえか!と三木らは驚く。 でも、叔父貴のことを思ったら…、このスーツをくれたのも叔父貴なんだ…とソノダは躊躇する。 隣の覗き部屋の方では、まだキャプテンバナナの覗きベストテンが続いていた。 ハワイの水中覗きがベスト3で、いよいよベスト2の発表段階だったが、突然、ご免ねと言い出したキャプテンが泣き出す。 君の父親との思い出だよ…とキャプテンが言うので、親父との…とオキタも絶句する。 私のこのコスチュームになったことはもう話したよね?とキャプテンが聞き、ベスト6ですね?とオキタも答えるが、君の父親も、いつかはこの空間ならではのコスチュームになりたいって言ってたとキャプテンは打ち明ける。 そして、オキタの父親と一緒に写った写真をキャプテンは見せる。 キャプテン・ザ・イエロー!1年前の誕生日に俺が送ったんだよ。喜んだよ。懐かしいな〜…とキャプテンは、黄色の雨合羽を着込んだようにしか見えないオキタリュウジロウの写真を見ながらつぶやく。 (回想)精神科医に、もう4回も少年院に入ってますよと、オキタを前に指摘された時、付き添っていた父親のリュウジロウは、すみませんでしたと泣いていた。 (回想明け)君の父さん、このコスチューム着たら、興奮しちゃって…とキャプテンが話す。 (回想)息子の責任は父の責任だと思いますと頭を下げるリュウジロウ (回想明け)噓だよ!親父がこんな格好するなんて!あんた、やっぱおかしいよ!危うく巻き込まれる所だった!と突然オキタは興奮し出す。 変だよ君…とキャプテンが落ち着かせようとすると、変なのはあんただろ!とオキタは切れる。 これ着なさい。これを着れば分かるんだから。脱ぎなさい!この服は君のお父さんの形見なんだ。キャプテン・ザ・イエローのコスチュームなんだ!これを着ずに、反抗するなんて許さん!とキャプテンも興奮し出す。 でも…、何が何だか…と困惑したオキタは、トイレどこですか?と言い出す。 部屋の反対側だと教えられたオキタが、ベッドを降りそちらに向かうと、トイレの入口の横の壁が一部めくれ、ぱたぱた動いて奥が覗けそうだった。 隣の部屋では、裏切りたくないってことは分かったけど、そのスーツ…とカナがソノダに言っていた。 アルマーニ!これ叔父貴からもらったの、若頭と俺だけなんだからとソノダは又もや自慢げに言う。 出世コースなんだよねと三木も羨ましそうに言う。 覗き部屋の方では、トイレをすませて出て来たオキタが、横の壁のはがれかかっている部分がどうしても気になり、その奥を覗き込むと、いきなり、犬のような動物に吼えられる。 その瞬間、近づいて来たキャプテンが、その壁を手で押さえて閉めてしまう。 そして、さあ君、着てみてくれ、キャプテン・ザ・イエローJr.!と迫って来たので、オキタは、嫌だ!と拒否する。 ちょっとで良いから着てくれと言いながら、キャプテンはオキタにしがみついて来る。 そして、シロクマ君、手伝いたまえと命じると、部屋の奥に飾ってあった大きなシロクマ像が動きだす。 ちょっと良いかな?隣の部屋ではトドヒラがソノダのスーツ良く見ようと近づいていた。 このスーツは安物!とトドヒラが断定すると、アルマーニ嘗めてんのか!と三木が切れる。 アルマーネって書いてありますもの…とトドヒラが指摘する。 確かに、ソノダのスーツの内側には、「ジョルジョ・アルマーネ(本物)」としっかり書いてあった。 かっこわる〜…とカナがため息をつく。 これ何だ!とソノダも驚き、本当のこと言うと、観た瞬間、かっこ悪いなって思たんですよと三木も告白する。 叔父貴の信用、全然ないじゃないか!とソノダも愕然とする。 そんな三木の部屋に近づく怪しい影 三木は、ベッドの下に隠した金の詰まったジュラルミンケースを取り出す。 良し、逃げるぞ!とソノダがみんなに言った時、ドアが吹っ飛び、奇妙な格好をした人物が床を転がりながら入って来る。 それは銃を持った若頭だった。 やっぱり裏切ったか…、君、殺すよ…と言いながら銃口を向けて来る若頭。 この2人は勘弁してくれ!とカナとトドヒラをかばう三木。 君のフェアレディZに発信器を付けといたんだよ、ソノダ君…と若頭はここを見つけた経緯を説明する。 三木は、ジュラルミンケースを盾に若頭に突進しようとするが、若頭が撃った銃弾ジュラルミンケースに穴を開ける。 若頭が撃った銃弾の一部が、大きな窓ガラスを割ってしまう。 ソノダが若頭に飛びかかり、その時若頭が落とした銃をカナが拾い上げる。 床に落ちて蓋が開いたジュラルミンケースを観たトドヒラは、お金ないよ〜と叫ぶ。 中には、旅行パンフレットのようなものが数冊入っているだけだった。 その時、割れた窓ガラスの向こう側から、キャプテンバナナとキャプテン・ザ・イエローのコスチュームを着たオキタ、そして、大きな熊のぬいぐるみが部屋に入り込んで来る。 オキタは、嬉しそうな顔で、カナちゃ〜ん!と言いながらカナに近づく。 シロクマの首が取れ、中に入っていた深ヅメ(津田寛治)の顔を観た三木は、お前、フロントにいた奴じゃねえか!と驚く。 何よ、あんた!と驚くカナに、一目惚れしました。愛してます!と告るオキタ。 私はキャプテンバナナ!とキャプテンは胸を張っている。 良かったら、電話番号を…と言いながらカナに接近するオキタ。 何で金ないの?と困惑する三木。 その時、部屋のテレビがいきなり写り出し、本日5時頃、千代田区のちびっ子ハウス前で、大金が詰まったトランクが発見されましたと女性レポーターが報道していた。 俺たちがいたハウスだ!三木は愕然として画面を見つめる。 そこには、懐かしい和服姿のオカマ園長、鬼塚大吉先生(田中星児)の姿が映し出されていた。 中にワープロうちの手紙が入っていて、皆さんで使ってくださいと書いてありましたとインタビューに答えていた。 (回想)坂上のオバちゃんの旅行案内所に来ていた三木は、話の途中で尿意を覚え、トイレ貸して!と頼むと、大はダメよ。換気ないから…とおばちゃんが言う。 トイレに入った三木が長い小便をしている間、事務所に置きっぱなしにしていたジュラルミンケースを観たおばちゃんは、勝手に蓋を開け、中に大金が詰まっている事を知ると、すぐにそのトランクを事務所内に置いてあったケース置きの中に隠すと、そっくりな別のジュラルミンケースにすり替え、その中に、パンフレット類を入れて蓋を閉める。 その時、三木がトイレから出て来たので、手を洗った?電気消した?とおばちゃんは確認する。 写真立てに入った写真には、三木、カナ、ソノダの子供時代らしい姿に、鬼塚園長先生が一緒に写っていたが、その横には、見覚えがある髪型の女性もちらり写っていた。 子供たちの姿で顔は映っていなかったが、その髪型はおばちゃんのものだった。 エンドロール 自転車で田舎道を自転車で走る森下。 途中、ヅラが風に飛ばされ、道に転がって行ったので、自転車を止め、取りに戻ろうとした森下だったが、その横を通過して行ったトラックに、ヅラはぺしゃんこに轢かれてしまう。 そのぺしゃんこになったヅラをジーンズの尻ポケットに突っ込んだ森下は、深ヅメから渡された手描きの地図を確認しながら、「不思議なウンコ ここ」と書かれたその場所にようやく到着する。 そのあぜ道には、確かに小さな穴が開いていた。 本当に本当だって!空からウンコがふって来たんだよ!と熱心に言っていた深ヅメの顔を思い出しながら、その穴の中に手を突っ込んでみると、出て来たのは、ウンコ型の玩具だった。 スイッチを押すと、ウンコ型の顔の口が動き、僕、おしゃべりウンコだよ。宇宙からやって来たんだと話す。 やっぱり噓だった…と森下が安心したように呟くと、全体本当!と深ヅメの声が聞こえる。 END |
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