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お姐ちゃん罷り通る

今回は、シリーズ3作目にして香港ロケをしている豪華版。

1ドルが360円だった時代の海外ロケである。

そんな事が出来るくらい、このシリーズは、当時人気があったと言う事なのか?

内容はたあい無い話だが、観光気分も味わえ、気楽に楽しめるプログラムピクチャーの典型のような作品になっている。

パンチ、センチ、ピンチの設定も微妙に前作とは変わっており、各人、役名も違う。

パンチが勤めている出版社名が「週刊ラッキイ」から「週刊ニッポン」に変わっているし、妹も、前作ではガリ勉型で理屈っぽかったキャラが、明るいキュートなタイプの女優に変わっている。

アパート住まいになっているのも前作とは違う。

同じなのは、南道郎が編集長役を演じている事だけ。

ピンチも、金持ちの娘と言う設定は同じだが、前作では亡くなったことになっていた母親も健在で、父親役も上原謙から高田稔に変わっている。

同じなのは、パンチが基本黄色、センチが青、ピンチが赤と言う衣装を着ている事が多い事くらいか。

今回も、元気一杯で頭が足りないコメディリリーフ役のピンチが、密航と言う大胆な手段をとって香港まで同行し、現地でも、お騒がせを巻き起こすと言う趣向になっている。

ピンチが黒めがねの男から逃げ回ると言う形で、観光名所をカメラが追って、紹介している。

観光要素を強調するためか、ストーリー自体は単純になっているような気がする。

中国人役を演じている池部良の中国語が、戦争中に中国に渡っていたためか、やけに流暢に聞こえる事や、劇中でピンチやセンチが使っている「だってもさ(だって)」と言う奇妙なギャル語?は、この映画の中だけの造語なのか、それとも、本当に当時、そんな言葉を若い娘たちが使っていたのか?など、細かい所が、今観ると、妙に気になったりする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1959年、東宝+邵氏機構、ランラン・ショウ+笠原良三脚本、杉江敏男監督作品。

舞台上の建物のセットで、客席に向かってマシンガンを撃ちまくっているのは、ショーに出演中のセンチこと秋山重子(重山規子)と、その相手役清川秀夫(山田真二)

そのセンチに客席の最前列から大声で応援をしていたのは、ピンチこと中原美津子(中島そのみ)、脇でカメラを構えていたのは、取材で訪れていた園江敏子(団令子)

3人は仲良し、銀座のお姐ちゃんトリオだった。

舞台上でギャングを演じていた清川とその愛人役をしていたセンチは、警官役から発砲され、2人とも舞台中央で倒れるが、その時、清川はちゃっかり、先に倒れていたセンチにキスをして、センチからビンタをされてしまう。

幕が降り、楽屋に戻って来たセンチは、本番中、いきなりアドリブでキスをして来た清川に文句を言う。

清川はセンチに夢中のようだが、センチの方はそんな清川の事を、踊りも満足に出来ないくせに二枚目ぶっている男と小馬鹿にしていた。

そこに、パンチとピンチが陣中見舞いにやって来る。

日頃から警官嫌いのピンチは、舞台上のこととは言え、警官相手にマシンガンを売っていたセンチがかっこ良かったと喜ぶ。

その後、パンチを乗せて出版社に戻ろうとしたピンチは、非常口から外に出かかった所で、自分の赤いスポーツカーの近くに警官が立っていることに気づき、嫌な予感がする。

実は、ピンチの車は、「駐車禁止」の標識の真横に停めていたからだった。

ピンチは、自分は眼が悪いもので…などとごまかしながらも、警官から免許証の提示を求められてしまう。

ピンチの車で「週刊ニッポン社」に戻って来たパンチは、すぐに池林編集長(南道郎)の元へ向かうと、使ってもいないタクシー代960円、劇場入場料300円、写真のフイルム代200円を請求し、その場でちゃっかりハンコを押してもらう。

そんなパンチの元にやって来たのは、ボーイフレンドの前原達夫(江原達怡)で、今度、インターナショナル・アーティスト・アソシエーションと言う芸術家を世界に紹介する会社のアシスタント・プロモーターとして募集された仕事に、150人の応募者の中から選ばれて就職したので、日東劇場に今出ている中原美津子を紹介してくれないかと言う。

今度、ショーダンサーを世界中に紹介したいと言う相談を受けたパンチは、ギャランティの1割をもらうと言う条件で、センチに交渉してやると約束する。

パンチが自宅アパートへ帰宅すると、妹の澄子(笹るみ子)は、何かを椅子のクッションの下に隠して出迎える。

食事を済ませて来たと言うパンチに、今日は、1切れ150円の肉があったので、ステーキを焼いたんだけど…と澄子が言うので、無理して食べてみる事にする。

ところが、出されたステーキはナイフが全く通らないほどの固い肉だったので、肉屋に文句を言ってやるなどとナイフに力を入れていたパンチは、勢い余って1枚80円の皿を切ってしまう。

洋裁を習っている澄子は、学院の卒業制作用に作った服をパンチ用に作ったと言いながら、クッションの下から取り出して姉に見せると、パンチは喜んで、その場で試着してみるが、イギリス製の1m3000円もする生地を使ったので9000円かかった。自分で払えない場合は父兄が払うのよと、姉譲りのちゃっかり妹から言われてしまう。

そこに、センチがやって来て相談があると言うので、パンチの方も相談があったのと喜ぶ。

インターナショナル・アーティスト・アソシエーションと言う協会が、踊りながら世界中を見物できると言う企画で踊り子を捜しているのだとパンチが教えると、日東劇場を止めてフリーになろうと思っていたと言うセンチは喜んで飛びつく。

その話を聞いていた澄子は、清川秀夫って言う彼氏がいるんじゃないの?とセンチに聞くが、センチはあの男が嫌なので辞めるのだと言う。

あさっての昼に、会社へ来てとパンチが打ち合わせしていると、下から、共同電話がかかって来たと言う合図のブザーが鳴る。

パンチが下に降りて電話を取ってみると、相手はピンチで、パパとママに呼ばれて、お嫁に行けと見合いを勧められたと相談されたのでピンチだと言う。

相手は大学の法科を卒業した弁護士の卵らしく、頭は良さそうだけど、弁護士って悪い奴じゃない?などとピンチは、相手の見合い写真を見ながら妙な事を言うが、そう言うのは面白いのでやるだけやったんさいとパンチはアドバイスする。

ピンチはそのパンチの勧めに従う事にし、パパ敬太郎(高田稔)と民子(坪内美詠子)が一緒にいた部屋に来ると、見合いをやると返事をする。

パパは、明後日、帝国ホテルで見合いをやると告げる。

センチは、そんなパパに、見合いをするからには、今10人以上いるボーイフレンドに断りに行かなければいけないと言い訳し、違反が多いので没収されていた車のキーを返してもらう。

翌々日、赤いオープンカーに乗って、1人帝国ホテルにやって来たピンチは、入口の前で、タクシーから降りた客が、もっと手前で停まってくれていたら100円ですんだ料金がホテルの入口まで入って来たので120円になった。20円分返せ!などと運転手にせこい文句を言っていて邪魔だったので、クラクションを鳴らして道を開けさせる。

ロビーに入ったピンチは、そこにパンチとセンチと前原達夫が座っていたので、どうしてここが分かったの?などと感激していたが、世界旅行の打ち合わせに来ていたパンチたちの方も、ピンチがやって来たので驚く。

前原が、このホテルのスイートルームにずっと住んでいる金持ちのうちの社長がやって来たと言うので、みんなが目をやると、やって来たのは、先ほどタクシーにせこい文句を言っていた大神仁太(多々良純)だった。

センチと、そのマネージャーと自己紹介したパンチは、ピンチも友人だと紹介するが、大神は明らかに迷惑そうだったので、あんた、見合いは?とパンチが注意して、ピンチを追い払う。

すでに、両親と、見合い相手の久保田浩(久保明)とその両親が待ちかねている部屋にやって来たピンチは、用意してあったレストランに向かう。

一方、大神は、世界公演は、香港を皮切りに、世界各国を廻ると打ち明け、ギャラは、3000US$を支払うと言うので、1円=360円なので、108万になると素早く計算したパンチは、快諾したセンチと共に、自分もギャラはいらないが、センチと同じ待遇で同行させてもらいたいと言い出す。

それを承諾した大神は、契約書を出してパンチにサインさせるが、自分も同行できると思い込んでいた前原は、1人、会社に残るように言われしょげてしまう。

一方、レストランで食事を始めたピンチの方は、緊張のあまり、食事が咽を通らず、代わりに、ワインを飲んで、むせてしまうと言う醜態を見せる。

お酒が好きなのですか?と久保田から聞かれると、赤いものが好きなのです。車も真っ赤などと答えたので、ぜひ、一緒に乗せて頂きたいなどと久保田は言い出す。

仕方なく、久保田を助手席に乗せて車を走らせる事になったピンチだったが、30ですか?スポーツカーと言っても大した事ないですねなどと久保田から言われたので、ムキになってアクセルを踏む。

すると、すぐに白バイ警官(八波むと志)に追いかけられ停められてしまう。

ここは40km制限だと白バイ警官から言われたパンチが戸惑っていると、久保田が助け船のつもりで、メーターは40になってましたよと教える。

しかし、そのメーターはマイルで表示されているとパンチは言い、結果、69kmも出していた事がバレてしまう。

怒ったピンチは、あなた弁護士の卵だったら、この場を何とか切り抜けてよと頼み、それに答える形で車を降りた久保田は、彼女は人生で初体験の見合いを経験し、葡萄酒を飲んでいたので…などと弁解し出したので、飲酒運転をしていた事までバレてしまい、免許証を取り上げられてしまう。

結局、車に乗れなくなったピンチは、久保田を近くの土手に連れて来ると、このチョンボのオタンコナス!と怒鳴りつける。

その頃、「週刊ニッポン」に戻っていたパンチは、池林編集長に、ただで世界旅行が出来る事になったと報告していた。

経費がかからず、世界の情報が手に入ると知った池林編集長は大喜びで、君の送別会を開こうなどと言い出すが、そんなお金があるなら現金で下さいとパンチから言われしらけてしまう。

そんな編集部にやって来たピンチは、今、重子から聞いたけど、あんたら2人で世界旅行に出かけ、私だけ置いて行くなんてひどいじゃない。あんた、私が邪魔だから、見合いを勧めたんでしょう!あんたみたいな人とは絶交だわよ!と1人で怒って帰ってしまう。

日東劇場の楽屋では、センチが劇場との再契約をしないと言う話を聞いた清川がやって来て確認するが、センチがパスポートを取り出してみせると、重子、結婚してくれ!と急にプロポーズをする。

しかし、センチは、あんたはダンスより役者をやった方が良いわよと言い、迫って来た相手をビンタして楽屋を後にする。

前原の方も、パンチのアパートにやって来ると、あの大神と言うのは狼だから注意しに来た。自分なんかあの会社で2ヶ月も働いたのに、たった3000円しかくれなかったので、それを叩き付けて辞めて来た。あいつが帝国ホテルのスイートルームに停まっていたなどと言うにも実は噓で、本当は神田の安宿に泊まっていたらしいのだと教えるが、せっかくもらった3000円を叩き付けるなんて…とパンチがバカにしたので、怒って帰ってしまう。

後日、大神と共に横浜の船にやって来たパンチとピンチは、339号室を当てがわれる。

見送りに着いて来た澄子は、「339」なんて「散々、苦労する」と読めるので嫌な部屋番号ねなどと言いながら、見物に出かける。

そこに、今度はピンチがやって来て、船の切符はどこで買うの?私も一緒に行くなどと言って来たので、船の切符の当日券なんてある訳がないし、外務省に届けて旅券がないと外国へは行けないのよと、パンチとセンチは呆れながら教えてやる。

その時、出航のチャイムが鳴り出したので、戻って来た澄子と一緒に早く下船するように勧める。

ピンチはむくれて、あんたたちなんて。2度と付き合ってやんないから!と捨て台詞を残して部屋を出て行く。

着替え終わったパンチとセンチがデッキに登ると、周囲にいた外国人客たちが一斉に振り向いて来る。

パンチは、ロングビーチのコンテスト以来、日本人の値打ちは上がっているのよなどと言いながら散策していたが、その時、センチが落としたハンケチを拾った男性が声をかけてくれる。

その男性は、パンチとセンチに香港へ行かれるのですか?と聞き、自分も商用で世界を巡っており、この船で香港に帰る所だと言うので、どうやら日本人ではないと気づいた2人がそう尋ねると、母親が日本人で、大学も日本に行っていたと言うその男性は、2人に名刺を渡し、邱良漢(池部良)と名乗る。

香港の金持ちらしいと気づいた2人は、急に浮き浮きし出す。

センチなどは、中国人の金持ちと言ったら、みんな脂っこいボテやんばかりと思っていたけど…などと、邱に夢中になった様子。

所がその時、うるさいな!寝られないじゃない!と文句を言う声が近くから聞こえて来る。

聞き覚えのある声にパンチとセンチが見ると、何と、船を降りたはずのピンチがデッキの下の物陰に寝っころがっているではないか。

パンチは驚き、密航は無賃乗車のような事ではすまないのよ。船長に見つかったら、海に放り込まれて鱶の餌食にされてしまうわよと慌て、ちょうど近づいて来た船長に愛想笑いして挨拶してやり過ごすと、2人してピンチを自分たちの船室に連れて来て隠す事にする。

そして、パンチとピンチはいそいそと着替えると、先ほど夕食を誘われた邱良漢の船室274(船酔い)号室へ向かう。

1人船室に取り残されたピンチは、空腹に耐えかね、死んじゃうより見つかった方がマシか…と独り言を言うと、自分もレストランへと向かう。

すると、見知らぬ男性と同じテーブルでパンチとセンチが楽しそうに乾杯などしていたので、酒を運ぶボーイの後ろに隠れながら3人のテーブルに近づいたピンチは、素早くテーブルの下に潜り込む。

パンチは、どうやら邱のお目当てはセンチの方だと気づくと、ちょっとふてくされていたが、テーブルの下で、ピンチが邱の靴を小突くと、驚いた邱は、パンチから足で合図されたと思い込み、パンチに笑顔を送って寄越す。

一方、ピンチから足を触られたパンチの方も、邱が足で合図を送って来たと思い込み笑顔で答え、邱からダンスを申し込まれたので喜んで相手をする事にする。

残ったセンチはことの成り行きに唖然としていたが、自分も足を触られたので、ようやくテーブルの下のピンチに気づく。

出て来ても大丈夫と言われたピンチはテーブルに顔を出すと、おなかが空いたと打ち明ける。

すでに自分たちは食事を済ませていたセンチは、どうせ邱のおごりなのだからと言いながら、ボーイを呼び寄せて、ピンチ用の食事を注文してやる。

ピンチは、運ばれて来た大量の食事を全部平らげ、シャンパンも一緒に飲んだので、すっかり良い気持ちになり、センチと踊ろうと言い出す。

その途中、パンチとお尻がぶつかってしまい、パンチはピンチがいるので驚くが、軽い酩酊状態になっていたピンチは、こうなったら歌うぞと言い出し、棄て0事情で演奏していたバンドに相談に行くと、その場で歌を歌い出す。

最初は驚いていた客たちも、ピンチの歌声と共に踊り始める。

「東京は銀座のお姐ちゃん♬」と歌う歌の中でピンチに呼びかけられたパンチとセンチも、元気よく「オウ!」と返事をし、楽しい時間を過ごすのだった。

いよいよ船は香港に到着し、パンチとセンチは、ピンチを隠して上陸させるために、センチの衣装トランクの中にピンチを詰めてごまかす事にする。

トランクは、船員に運ばれて行くと、他の荷物と一緒に陸揚げされるので、パンチとセンチはハラハラしながら見守っていた。

さらに、荷物は全て税関で審査される事が分かり、2人は万事休すと感じる。

問題のトランクを開けるよう係員から求められた2人に、近くにいた邱が通訳をしてくれる。

仕方なく、トランクを開けたセンチだったが、係員は、トランクの底にあった、バナナの皮を見つけただけで、許可を与えてくれる。

そのバナナは、船室でピンチに渡したおやつ代わりのものだった。

邱は、香港で困ったことが起きたら連絡をくれと2人に言いながら、連絡先の電話番号をその場で書いて手渡す。

パンチとセンチは、大神に言われるがまま、フェリーで香港に渡る。

宿泊先兼ショーの舞台となる「オースティンホテル」に到着すると、大神は、ホテルの支配人である張支配人(大友伸)をショーに出演する女性たちに紹介する。

張支配人は、ホテル専属丁梨華(丁紅)と言う歌手も紹介してくれるが、彼女は小さい時、横浜に住んでいた事があるらしく、少し日本語が喋れた。

大神は、明日の午後1時にリハーサルを始め、その夜から働いてもらうから、今日1日は自由に使って良いが、ギャラは明日の午前中に払うので、あまりお土産など買いすぎないようにと女性陣に告げる。

指定の部屋に入ったパンチとセンチは、すぐに、トランクを開けて見るが、衣装の下に入っていたピンチはぐったりしており、呼んでも起きなかった。

胸を触ったセンチが、心臓が止まっている。死んでる!と騒ぎ出すが、それは右の胸よと注意したパンチが、ピンチの手首の脈を調べた所、ちゃんと生きており、気絶しているだけだと気づく。

ピンチが一番怖がるものって何かしら?と考えたあげく、白バイだろうと気づいたパンチが、サイレン音を真似して見ると、急に起き上がってハンドルを握っている格好になったピンチは気がつく。

しかし、トランクから出て来たピンチの首は、不自然に曲がったままだった。

やがてそれに気づいたピンチは、焦って2人に首を元の位置に押し戻してもらう。

外に出たがるピンチに、密入国が警官にバレたら大変よと、パンチたちは忠告するが、警官なんてみんな黒メガネかけてるからすぐに分かるわとピンチは言い張る。

結局一緒にホテルを出た3人は、人力車に乗って市内観光に出かけるが、町中で降りて、二階建てバスなどに感心していたピンチは、自分の肩を叩いた黒めがねの男に驚き、慌てて逃げ出す。

急にピンチがいなくなったので探していたパンチとセンチは、警察にも届けられないと困っていたが、そこに、黒めがねの男をまき、人力車に乗ったピンチが戻って来る。

人力車の車夫は、料金をピンチに要求するが、ピンチはパンチとセンチと一緒にさっさとその場を離れてしまったので文句を言う。

3人は、その後、植物園にやって来る。

その時、また、階段の上と下から黒めがねをかけた2人の男が近づいて来たので、思わずピンチは謝りかけるが、2人の男は互いに挨拶してすれ違ってしまう。

全く、警官とは無関係の人たちだったようだ。

その後、ピークトラム(登山電車)で山の上に上った3人は、有料双眼鏡で下界の様子を見てたが、ピンチが覘くと、先ほど市中でまいた黒めがねの男が見えたので、慌ててその場を逃げ出してしまう。

3人は、フローティングレストランに小船で向かう。

お腹一杯食事を取った3人が帰りかけた時、丁梨華が見知らぬ男性と2人でやって来たので、挨拶を交わした3人だったが、テーブルに着いた丁梨華と青年が、手を取り合って見つめあっていたので、ついピンチたちは、見とれてしまう。

しかし、丁梨華とその恋人周永万(張沖)は、周の父親が2人の結婚に賛成してくれない事に悩んでいたのだった。

翌朝、パンチとセンチ、ピンチが一緒の寝ていた部屋にノックの音がして、入って来たのは、センチと一緒に日本から来たダンサーたちだった。

今日、ギャラをくれると言っていた大神がいなくなっており、昨日の午後の飛行機で東京に帰ったらしいと言う。

どうやら、自分たちは騙されたらしいと困惑する彼女たちの話を聞いていたピンチは、あのおじさん、臭いと思ってたのと言い出すが、お金ならじゃかじゃか持って来たから、あなたたちの旅費くらいどうにでもなるわと言いながら、自分のバッグを開けて見るが、昨日の夕方まで入っていたはずの現金がなくなっていると言い出す。

すられたのよと教えたパンチは、でも契約通り仕事を市内と日本人の恥よととダンサーたちに言い聞かせ、困った時に電話してくれと言っていた邱良漢に電話してみるが、相手は日本語がわからない人間しかいないらしくらちがあかなかった。

その夜、ホテルのステージでは、丁梨華が歌っており、テーブル席には周永万も観に来ていたが、そのクラブに、邱良漢と金持ち風の男が連れ立ってやって来たので、思わず周永万は帰ってしまう。

それに気づいた丁梨華は、哀し気な表情になり歌い続けていた。

どうやら、金持ち風の男は、周永万と丁梨華の結婚に反対している父親の周万福(尤光照)らしかった。

そのクラブのショーを脇で観ていたパンチは、邱良漢が来ている事に気づき喜ぶ。

続いて、センチが踊り始めると、周万福は一目でセンチの事を気に入ったようで、娘の事を聞かれた邱良漢は、あれは日本人で自分の知りあいだと教える。

ショーが終わって、楽屋に戻って来たセンチやパンチ、踊り子たちは、先に戻っていた丁梨華が泣いている事に気づき訳を尋ねる。

すると、恋人の父親が自分たちの身分違いの結婚を反対しているので別れるしかないと言うので、センチは、日本に来れば、ラーメン屋でも何でもして食べて行けるのに…と同情する。

ピンチ用の食べ物を土産に部屋に戻って来たパンチとセンチは、ベッドの上のピンチが、大きな果物籠の横でバナナを食べている姿を見つける。

何でも、邱良漢が訪ねて来て差し入れしてくれたものらしく、明後日、話があるので、別荘に来てくれ。うちの人になってくれと言っていたとピンチは教える。

それを聞いたパンチは、婚約を申し込むつもりだったのかもしれないわと言い、旧に浮き浮きし始めるが、ピンチは、邱さんが申し込んだのはセンチの方よと教えると、センチは、仕方ないからお受けするわ。あなたたちのために…などと気取った風に言い出す。

それを聞いていたピンチは、私も小間使いとして連れて行って?ひょっとしたら、目に留って、チャンスが私に来るかもしれないじゃない?野球はツーダウンからって言うじゃない?などと言って、強引に仲間に加わろうとする。

2日後、3人で買ったチャイナドレスを着て、迎えに来た車で広大な別荘にやって来た3人は、プールサイドにいる大勢の女性を発見、あの人たちは家族や親戚ではないかなどと噂しあう。

その時、ピンチは、また、あの黒めがねの男が現れたので、いきなり庭園内を逃げ回り、草人形の首の部分に成り代わり、何とか追って来た相手をごまかすと、邱良漢に招かれて部屋に入っていたパンチやセンチと合流する。

その時、部屋の外から言い争う男たちの声が聞こえて来たので、何事かと驚いた3人だったが、邱が言うには、ここの主人と息子が喧嘩をしていると言うではないか。

では、この別荘はあなたのものではないのかと聞くと、邱は、自分はここの主人の秘書をやっており、ここの主人も奥さんがいると言うではないか。

その主人の息子が、ナイトクラブの歌手と結婚したいと言っているので反対をしているのだと聞かされた3人は、その歌手と言うのは丁梨華のことだと気づく。

さらに、ピンチが、さっきプールにいた12人の女性たちはここの主人の妾たちよと教えたので、センチは、自分は2号ならぬ13号にさせられようとしているのだと言う事が分かり怒り出す。

ピンチも、台風じゃあるまいし…と同意し、パンチも加わって、3人で部屋を出て、周万福と周永万が言い争っていた書斎に入って行く。

永万は、3人を見るとバツが悪くなりその場を出て行くが、センチの顔を観た万福は、言葉が通じないのを良い事に、わしは金で日本人でも自由に手を入れる事が出来るなどとつぶやき、それを、邱良漢が3人に通訳し、自分も前前から主人の考え方に賛成出来なかったと打ち明ける。

邱は勇気を出して、万福に永万の結婚の事を許してあげたらどうかと勧めるが、それを聞いた万福は、その場で邱に首を言い渡す。

さすがに切れたパンチは、こんなデブの妾になるくらいなら、コ○キにでもなった方が良いわ!と憤る。

ピンチも切れ、自分たちは、銀座のお姐ちゃんと呼ばれているんだ!と啖呵を切ると、パンチはジャーナリストなので、今撮った写真で、親爺のスキャンダルを世界中にばらまいてやると睨みつけ、3人とも帰ってしまう。

訳が分からず、訳を尋ねる万福だったが、邱は、自分はもう首になったので…と答えるだけだった。

ホテルに戻って来た3人は、ノックの音が聞こえたので、慌ててピンチをトランクに隠すが、そこにやって来たのは邱で、メンツを重んじる主人は、スキャンダルを嫌がっているので、正式に息子たちの婚約を認める事にしたと言うので、トランクの中で聞いていたピンチは、思わず、やった!と喜びながら飛び出して来たので、邱は唖然としてしまう。

その後、3人は、周永万と丁梨華が座っていたクラブのテーブルにやって来ると、2人を祝福し、つい勢いで、自分たちにも東京に良い人などたくさんいるとパンチは見栄を張ってしまう。

その後、丁梨華と永万が仲睦まじく身を寄せあって踊り始めたので、すっかり当てられてしまったパンチが、一緒についてきた邱に、あんな姿を見せつけられてうらやましくないの?と聞くと、邱は、別にうらやましくありません。私には可愛い奥さんがいますからと言うではないか。

邱との結婚も夢と消えた3人娘は、岡の上に登り、眼下に香港の市外を眺めていたが、そこに現れたあの黒めがねの男が、日本領事館に来て下さいとピンチに告げる。

3人で領事館に行ってみると、ピンチのパパから依頼を受けピンチを探していたが、そのパパの計らいで、3人は一緒に飛行機で東京に帰れることになった。他のダンサーたちも船で帰国できると総領事 斎藤達雄)から伝えられる。

かくして、3人娘は、飛行機で日本へと飛び立つのだった。

飛行機内で食事を取っていた3人は、丁梨華からもらったネックレスのプレゼントを開けて喜んでいたが、パンチのネックレスには手紙が添えてあり、新婚旅行で東京に行くつもりなので、その時、皆さんの良い人を紹介して下さいと書かれてあった。

それを聞いた3人は急に考え込んでしまう。

帰国後、又日東劇場で踊る事になったセンチは、自分の楽屋に清川を無理に連れ込むと、仲直りしようと思ってと言いながら自ら目を閉じる。

清川はその意味に気づくと、喜んでキスをしてやる。

国際的詐欺師の大神仁太が逮捕されたと言うニュースが新聞に載り、「週刊ニッポン」編集部に戻っていたパンチは、今回の経験を元に面白い記事が書けると池林編集長に吹き込んでいたが、そこに前原がやって来て、自分も、大神の悪事を暴く記事を書いて来たと売り込む。

パンチは、そんな前原をこの編集部で使ってやってくれと池林編集長に頼むと、珍しく、自分が珈琲をおごるからと言って前原を外へ連れ出して行く。

パパの手配で、法務省入国管理局での問題処理をしてくれた久保田と一緒に出て来たピンチは、仕事を終えてさっさと帰ろうとする久保田を呼び止めようとする。

しかし、もうチョンボのオタンコナスなどと言われたくありませんからと言う久保田に、チョンボのオタンコナスだったのは私の方だわ。今回のもめ事を書類送検ですませてもらえたのは久保田さんのお陰。私のような馬鹿な娘にはあなたのような賢い旦那さんが必要なんですと言いながら、ピンチは久保田に自ら身体を寄せて来る。

その後、ピンチの所にパンチから、丁梨華と周永万がBOAC機でやって来ると電報を受け取ったので、迎えに行こうと電話がある。

羽田にやって来た3人は、飛行機から降り立って来た丁梨華に、それぞれ連れて来た清川、前原、久保田を、私の良い人よ!と教える。

それを観た丁梨華は、皆さん、ご機嫌ね!と微笑み返すのだった。