TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

銀座のお姐ちゃん

1作目の好評を受け、シリーズ化される事になったらしく、その第2弾。

確かにこのシリーズ、3人娘のキャラの元気良さが今観ていても面白く、人気があったのも頷ける内容だと思う。

今の感覚で言ういわゆる美人タイプではない(重山規子は、かなり男性好みの顔立ちではないかと思うが)等身大風の女性たちが主役だけに、女性が観ても楽しいだろうし、男性が観ても楽しい。

2作目の本作はカラーワイドになっており、テンポも早く、めまぐるしく変わる展開は、今観ていてもだれる部分はない。

ラストで、3人娘がそれぞれ、赤、青、黄色の三原色水着を着ている所などは、美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみの3人娘トリオ映画からの継承だろう。

本作での3人は、料理教室で知り合った仲良し同士と言う設定になっており、パンチは妹を養っている金儲けに熱心な雑誌編集者、センチは売り出し中のダンサー、ピンチは製薬会社社長令嬢なだけではなく、男勝りで合気道の使い手と言うことになっている。

前半に登場するボディビルをやっている作家と言うのは、もちろん三島由紀夫がモデルで、堺左千夫扮する横山も、「さぼり」がよろめいたなどと言っている。

当時「よろめく」と言う言葉をはやらせたのも三島らしい。

パンチが、ボディビルダーや胸毛のある男に憧れていると言うのも、当時の風潮だったのだろうか?

見所は色々あるのだが、やはり、仲代達矢がラブコメのイケメン青年役で出ている所は貴重かもしれない。

この当時の仲代達矢は、こういう軽いイケメン青年風の役柄も少なくない。

劇中では、その仲代が原子物理学の若き研究者で、原子力の平和利用に付いて、自信ありげに話していると言うのも時代を感じさせる。

ロカビリー歌手役の山田真二は、本業は歌手の人だが、甘いイケメンなので、ひばり、チエミ、いづみの3人娘映画の頃から、常連のように登場している。

江原達怡も、この当時は、ちょっと軟弱そうなイケメン青年の役が多かったような気がする。

越路吹雪の恋人伊達役を演じている小泉博が、かなり硬派な日本男児を演じているのも、見た目が柔和な人だけに珍しいような気がする。

戦前はバリバリのイケメン俳優だった上原謙も、この当時はコミカルな中年役を良く演じている。

余談だが、娘のピンチが幼い頃に亡くしたと言っている母親の写真が、父佐平の書斎に置いてあるのだが、どう観ても40代くらいのおばさんにしか見えない。ピンチが幼い頃亡くなったのなら、10年以上前の話のはずで、その夫である佐平をパンチは48歳くらいと見当をつけているので、その亡くなった妻が40代くらいと言うのは奇妙な気もする。

亡くなった当時30代設定の母親の写真が、今の感覚では40代に見えると言う事かもしれないが…

最初は女性の自立を説いていたやり手女マネージャー役の越路吹雪が、最後は、好きな男と一緒になるのが幸せと言う、何だかちょっと前時代的に聞こえる意見に変わってしまうのは、やはり、50年代の限界だったのか?

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1959年、東宝、白坂依志夫脚本、杉江敏男監督。

銀座の情景を背景にタイトル

ピンチこと長島園江(中島そのみ) が赤いオープンカーを走らせ、銀座にある「週間ラッキイ」の編集部があるビルの前に到着するが、その乱暴な運転に煽られて、タクシーら3台が危うく十字路で衝突しかけ、互いに窓から首を出して文句を言いあう。

下林編集長(南道郎)のいる編集部、大和印刷に校正刷りの電話をしていたパンチこと淡涼子(団令子)の背後には、ラーメン屋の出前持ち(加藤春哉)が勘定をもらうために立っていたが、今回のラーメンには、いつもは2枚入っているはずのチャーシューが1枚しか入ってなかったので、5円負けて35円にしなさいと一方的に言われ途方に暮れていた。

下林編集長から、ロカビリーの女マネージャーからインタビューを取って来てくれと頼まれたパンチだったが、そこに現れたピンチから、車を買ったので観て!と声をかけられ踊り場に出ると、下に停めてあった真っ赤なスポーツカーを観て感激する。

出前持ちも一緒に下まで降りて来て、チャーシューが1枚しか入ってなかったと言うのは何かの間違いで、40円払ってもらわなければ困るとおどおどしながら抗議していたが、もうパンチはピンチの車に乗り込んでおり、出前の事など相手にしていなかった。

そこに帰って来た横ちゃんこと横山(堺左千夫)に、編集長に帰りがちょっと遅れると言っておいてと声をかけ、2人の娘は車を出発させる。

「ボリサ」か…と呆れて見送る横山に、「ボリサ」って何です?と出前持ちが聞くと、「さぼり」がよろめいたってことさと横山は教える。

その頃、センチこと影山季里子(重山規子)は、雑誌のモデル撮影をやっていた。

その撮影スタジオにやって来たピンチは、以前3000円借りた時にカタとして渡しておいたら、いつの間にか流れた事になって、今やパンチのものになったトランジスタラジオの事をぼやいていた。

そこに撮影を終えたセンチが合流し、雑誌のクリスマス号は9月に出るので、暑い時に毛皮などを着せられてまいるなどとぼやく。

3人はパンチの車に乗り込んで出発するが、すぐに渋滞に巻き込まれてしまう。

その時、歩道に立っていた1人のベレー帽の青年が、センチを見つけてしゃっくりをしていたが、センチの方も気づいて挨拶を返すと、下宿の息子で瓜生冬彦(江原達怡)と言う漫画家志望の子だけど、緊張するとしゃっくりをする癖があるなどと教え、パンチの雑誌で使ってくれない?などと頼む。

取りあえず3人娘は、パンチの取材先であるロカビリー演奏をやっている「アウトサイダー」と言う店にやって来る。

舞台では、川田三郎(山田真二)と言う下手な青年が歌っており、それに女の子たちが群がっていたが、二階のテーブルでそれを聞いていたピンチ等は、ビールを飲みながら、ロカビリーなんてもう古い、アナクロねなどと酷評していた。

パンチは、若い男なんて退屈よ、何たって、中年男が最高よなどと、中年最高説を唱えていた。

そんなテーブルにやって来たのが、ロカビリーの仕掛人である女マネージャー久我摩耶(越路吹雪)

パンチは、週刊ラッキイなんて聞いた事がないと言う摩耶に、社長が新興宗教で儲けた金で始めた新しい雑誌ですから、潰れるのも早いはずですなどと言い、インタビューなんかどうでも良いですから、自分を助手として使ってくれませんか、ロカビリーブームを仕掛けた摩耶さんを尊敬しているんですなどと言い出す。

センチとピンチも自己紹介し、自分も使ってくれなどとねだる。

摩耶は、そんな3人娘を面白がり、友達になりましょうと言ってくれる。

演奏が終わって、そんな3人娘と摩耶のテーブルの横のテーブルにやって来た川田とバンドメンバー2人たちは、昨日、与太者たちを痛めつけてやったなどと聞こえよがしに自慢話を始める。

それを聞いていた3人娘は興味を持ち、特に男性的な男に憧れているピンチは、川田にちょっぴり注目し、あんたも武勇伝聞かせてとねだる。

バンドマンたちに飲み物を持って来たバーテンが摩耶に、伊達さんと言う方から電話が入っていますと伝え、摩耶は最初は迷っているようだったが、結局、電話に向かう。

ピンチは、川田たち3人に、一緒にドライブしないかと誘う。

ピンチ、パンチ、センチが乗った赤いオープンカーと、川田等が乗った青いオープンカーは、スピード競争しながらひた走る。

その途中、何と運転しているピンチはまだ免許を持ってないと言う事を知ったパンチとセンチは青ざめるが、何とか、港の埠頭ぎりぎりの所で停まって、男等に勝つ。

6人の男女が車を降り、海から漂って来る汚穢の匂いなどを嗅いでいると、いつの間にか、ピンチの車に3人の与太者が乗っている事に気づく。

ピンチは車から降りなさいよと、その与太者たちに文句を言いながら、川田たちにやっつけてよと頼むが、川田たち3人は先ほどの武勇伝など忘れたかのようにビビっており、とても相手になるような様子ではなかった。

仕方ないので、ピンチ自ら与太者たちを相手にし出し、1人を海に叩き込んでしまう。

実はピンチ、最近、合気道を習っていたのだった。

3人の与太者たちは恐れをなし、逃げ去ってしまう。

バツが悪くなった川田たち3人のバンドマンたちも、次のステージがあるから…と言い残し、3人の女の子たちをその場に残し、自分たちの車で帰ってしまう。

それを観ていたセンチやピンチは、やっぱり、パンチの中年最高説は正しいのかも…と呟く。

アポロ製薬の社長室では、社長の長島佐平(上原謙)と、専務の岩波(森川信)が、最近の自社製品の売れ行きが良い事を話し合っていた。

岩波は、近々、どいつの会社と契約に向かう事になっていた。

そんな佐平の部屋にやって来たのはピンチで、幼い頃から呼んでいた親爺に、かってもらった車が調子良い事と小遣いをねだって帰りかけるが、そんなピンチを佐平は夕食に誘う。

ステーキを食べた後、ピンチは「クラブ ロリータ」と言う会員制ナイトクラブに連れて来てもらう。

月500円の会費で、ボトルをキープしてそのボックスの鍵を持っておける店なのだと言う。

ピンチはその場で、自分もここの会員になると言い、紹介人は佐平と言う事で申告する。

ピンチはストレートでウィスキーをぐいぐい飲みながら、親爺は再婚しないの?と聞く。

ピンチは、早くに母親を亡くしていたのだった。

佐平は、ピンチとワルツを踊り始めるが、ピンチは、料理教室で知り合ったパンチなんて、中年男こそ最高なんて言っている子もいるのよなどと話し、今自分の稽古ごととして、合気道と歌を習っているのと教えると、急に歌が歌いたくなったと言い出し、ステージのバンドメンバーに耳打ちすると、その場で「東京〜デカンショ♬ デカンショ娘〜♬」などと歌を歌い始める。

翌日、出版社のビルの屋上にある掘建て小屋で暮らしているパンチは、漫画家志望の瓜生冬彦が持って来た原稿を観て、使ってやる代わりに、稿料の2割をリベートとしてもらうわよと言い含めて帰すと、その原稿を持ったまま、編集室の下林編集長の元へ向かう。

下林編集長は、何かネタがないかね?火のありそうな所を焚き付けて、スキャンダルでも何でも作りたまえなどとハッパを駈けながらも、パンチが持っていた漫画に興味を示して来たので、実は、金持ちのボンボンが趣味で描いているので、原稿料を相当弾まないと描かないかも…などと噓を言って、採用してもらうことに成功する。

そんなパンチに赤電話から電話して来たのがピンチで、頼みたい事があるので迎えに行くと言う。

パンチは、これから小説家に会いに行くので、ボディビルセンターに来て欲しいと指示を出す。

パンチが会いに来た小説家は、ボディビルで筋肉を鍛えていた前田悠一(八波むと志)だった。

「週刊ラッキイ」で連載中の「花と散る」と言う作品の原稿をもらいに来たのだが、まだ出来てないだけではなく、君の所は原稿料安いよなどと文句を言って来る。

そして、浴室に逃げ込んでしまったので、もうそれ以上粘るのを諦めたパンチの元にピンチがやって来る。

ピンチは、ボディビルをやっている男たちの肉体を観て憧れる。

その後、自宅に帰って来たパンチは、センチを庭先に待たせ、家の中に入る。

二階の佐平の書斎に入ろうとすると、掃除をしていたお手伝いセサ(河美智子)が、書斎には人を入れさせないように言われておりますと止めようとするが、小さい頃に死んだ書斎にあるお母さんの写真が観たくなったのと言い訳をし、書斎に入る。

そして、そこに置いてあったジョニーウォーカーの黒瓶を持ち出すと、それに紐を付け、窓から下にいたピンチに降ろして受け取らせる。

その「ロリータ」の楽屋でステージ衣装に着替えていたセンチは、急に見知らぬ男が入って来たので悲鳴を上げるが、その男は一旦外に出た後、また中をのぞき、楽屋はどこでしょうか?と聞いて来る。

センチは、ここだと教え、久我摩耶さんからここに来るように言われたと言うその男に、摩耶さんさんは今ここの社長と食事に出かけているので、帰って来るまで、それに入って向うを向いていてくれと頼む。

それとは、部屋の隅に置いてあっただるまの着ぐるみだった。

男は、センチしか楽屋にいないので、仕方なさそうにその中に入る。

その直後、センチがステージに向かおうとした時、摩耶と「ロリータ」の大黒社長(田武謙三)が楽屋に帰って来る。

大黒社長は、楽屋の鍵を締めると、自分はこの店を始め10数件のキャバレーを持っているし、テレビ局にも出資し、映画会社の大株主でもあるので、今のうちに覚悟して欲しいね等と言いながら、摩耶に迫ろうとする。

そして、ソファに座って、煙草を口にくわえるが、その時、横にあっただるまの中から手が伸びてライターで火をつけてくれたのに、つい反射的に礼を言う。

そのだるまが立ち上がったので、大黒は驚いて、自ら鍵を開け、部屋を飛び出して行く。

摩耶も唖然としていたが、だるまを脱いで現れたのが、伊達邦太郎(小泉博)だったので、あなただったの…、危なかったわと言って安堵するが、伊達は、こんな商売していたら当たり前だと言って、摩耶の頬を叩いて、楽屋を出て行く。

ちょうどその時、楽屋に戻って来たセンチが、そのビンタの瞬間を目撃してしまい怯える。

そんな「クラブ ロリータ」にやって来たパンチとピンチは、持ち込んだジョニ黒をキープボックスに入れておいてとボーイに頼み、その鍵を受け取る。

2人が座っていたカウンターの隣にやって来た摩耶は、センチをこの店で、週2回出してもらう事になったのだと教え、あの人、お母さん養っているそうねとセンチの事を感心すると、パンチも、自分も妹を養ってますと答える。

これからの女は、技術を身につけて自立して行かないとね…と言いながら摩耶はその場を立ち去るが、その様子を観ていたパンチとピンチは、何だか、お姉さんの様子が変ね?振られたのかな?などと囁きあう。

その後、あたかも毎日遊んでいるだけのように言われるて悔しがったピンチは、自分も毎日忙しいし、あなたと同じような仕事くらい自分にも出来ると見栄を張ったので、だったら、私の仕事の代わりが出来る?と挑戦したパンチは、出来ると言うピンチに、さっきのボディビルをやっていた小説家から原稿を取って来てみてと頼む。

その時、センチの踊りがステージで始まったので、2人もそれを観ながら応援する。

帰ろうと車に戻ったピンチはガソリンが残り少ない事に気づくが、自分は今20円しか持ってないのでガソリンが買えないと漏らすと、パンチは、自分が金を貸すから、借金のカタとして、酒のキープボックスの鍵を渡せと言う。

翌日、パンチは下林編集長から、「花と散る」の原稿はどうなっているのか!と発破をかけられていたが、その頃、単身、庭で木刀の素振りをしていた前田悠一の屋敷にやって来たピンチは、君の所は無礼だぞ!いつも女性ばかり寄越してと文句を言う前田に、あんた、へっぴり腰で隙だらけじゃない!と言い返す。

それを聞いた前田は、勝負しようか?と言い出したので、ピンチは相手になるが、私が勝ったら原稿を書くのよと先に釘を刺しておく。

そして、木刀で打って来た前田の腕を取ると、簡単に転がしてしまう。

倒された前田は、書くか!とピンチに凄まれ、素直に、書きます!と謝る。

その頃、パンチの方は、アポロ製薬の子会社になった「ガラガラ硝子」の株式総会にこっそり潜入していた。

総会には、長島佐平と岩波も出席しており、会はつつがなく終了しかけていたが、最後に挙手をして立ち上がったパンチが、役員の交際費は雑費になると思うがその明細を知りたいと発言する。

岩波は、今手元に資料がありませんので、後ほどお返事します…とその場は収める。

前田から原稿を受け取ったピンチは、「週刊ラッキイ」に電話をしてパンチを呼ぼうとするが、パンチは前田の所へ出かけたと言うので、頭が混乱する。

仕方がないので、ロカビリーの「アウトサイダー」でセンチと落ち合い、暇つぶしをすることにしたピンチだが、歌手の川田は、港へのドライブ以来、すっかりピンチに頭が上がらなくなり、奴隷のようにこき使われる。

そこに久我摩耶がやって来て、川田を奴隷にしたと言うピンチの話を聞くと、彼は意外と心がけはいい子よと言い出す。

ロカビリーなどすぐに廃るだろうから、今のうちに作曲などの勉強などをするって言ってるわと教える。

すると、今度はセンチが、いつかの人誰?と摩耶に聞き、その人、お姉さんをぶったのよとピンチに教える。

するとピンチは、素敵!その内紹介して頂けません?と摩耶に頼む始末。

摩耶は、そんなピンチに、車を1時間ばかり貸してくれない?と頼み、鍵を受け取ると、店を出て行く。

摩耶の様子を怪しんだピンチは、追いかけてみようか?とセンチに言い、楽屋にいた川田に車を借りる事にする。

川田はすっかり、ピンチに参っているようで、その様子に気づいた他のバンドマンたちは呆れる。

摩耶の車を追ってみると、羽田空港に到着した。

見送り台へ出てみると、摩耶が誰かを見送っているようだったので、その方向に目をやると、そこには、先日、「ロリータ」の楽屋に来て摩耶を叩いたあの伊達が、国際線のパイロットして搭乗する所だった。

遠くから摩耶の哀し気な様子を観ていたピンチたちは、秘密の匂いがするわねと囁きあう。

その夜、パンチは、佐平に連れられて「クラブ ロリータ」に来ていた。

パンチが、パンチから預かった鍵で、キープボックスのジョニ黒を出させて左平に飲ませると、佐平は、そのジョニ黒が自分の書斎から持ち出されたものとは知らず嬉しそうに飲み始める。

佐平はパンチに、株は何株お持ちなんですか?と聞くと、10株だと言うので驚き、どうして株式総会などにいらしたんですか?と探りを入れると、パンチはマンハントのためで、自分は、金は地位がある中年男性が好みなのだと平然と答える。

お目当ての人はいましたか?と聞くと、今目の前にいると言うので、急にパンチに興味を示した佐平は名前を尋ねる。

パンチは影山季里子と偽名を名乗り、佐平の方も長澤と偽名を教え、妻は死にましたとも打ち明けると、急にパンチの隣に座って来る。

さすがに警戒したパンチは、美味しいものは最後まで取っておく方が良いわよと落ち着かせると、私を奥さんにして、こんな店を持たせれば、少なくとも亜と1割儲かるわなどと吹き込む。

一方、そんなパンチに会うため、ピンチとセンチは、出版社ビルの屋上の掘建て小屋にやって来るが、まだパンチは帰っておらず、1人勉強中の妹がいたが、ピンチとパンチを観るなり、あなたたちね、お姉さんを堕落させているのは!といきなり難しい言葉を使い、最後には、戦争が起こしたのは、あなたたちのような女性の社会意識の弱さがあったからよ!と2人に説教をする。

何の事やらチンプンカンプンだったピンチとセンチはぽかんとしていたが、そこにようやくパンチが帰って来て、妹に土産のシュークリームを渡すと、お茶くらい出してよと言い出したピンチに、そこにあるから自分で入れろと妹は言う。

仕方なく自分たちで、茶を入れたセンチとパンチは、昭和20年、戦争末期、軍需工場に出かけた少女は、そこの訓練監督係だった伊達邦太郎に出会った!と急に物語口調で話し始める。

2人は互いに恋に落ちたが、大空襲に会い、防空壕の中に飛び込んだ2人は、最初にして最後の×××…とパンチが言うので、何よ、その×××って?とパンチが聞くと、検閲が入ったのよと言う。

伊達はその後、神風特攻隊として飛び立って行き、お姉さんは、キャバレーでジャズを歌って生計を支えたのです…

(回想)進駐軍相手のキャバレーで歌う久我摩耶

そんな彼女の店に、ある日、1人の元日本兵がやって来る。

伊達邦太郎だった。

その姿を観た摩耶は、行きてらしたのね…と近づくが、そんな摩耶の頬を伊達は叩いて帰って行くのだった。

(回想明け)お姉さんは、涙を浮かべた目でお兄さんを見つめていたのでした…とパンチが話し終えると、つまんないメロドラマね…と、先に布団に入りながら妹がぼやく。

その後も、お姉さんは青年を捜しました。

そのして、今日、お姉さんは、ロカビリーの女マネージャーになっていましたが、そんなお姉さんの仕事を知った青年は、若者の心を軟弱にすると激怒したのでした。

天皇制反対!と寝ていた妹が寝ぼけて言う。

摩耶の思いがけない過去を知ったパンチは興味をそそられるが、2人から自分の事を聞かれると、すごい人を見つけたのよ。もうパンチのお父さん、紹介してもらわなくても良くなったと言い出す。

その人には、イカレポンチの娘がいるそうで、同情が愛情に変わりそうだわ…とパンチはコイした娘のような目つきで呟く。

その頃、自宅に戻って来た佐平の方は、1階のソファで居眠りしているセサを起こさないように二階の書斎に上がると、亡き妻の写真立てを裏返して、今日のパンチの事を思い出しながら、1人、愛蔵のジョニ黒を開けようと棚を開けて見るが、そこにあったはずのジョニ黒がなくなっているのでぽかんとしてしまう。

松屋デパートの水着ショーに出ていたセンチを、楽屋から観ていたのは瓜生冬彦だった。

「週刊ラッキイ」用に書き上げた漫画を観てもらいに来ていたのだが、センチはショーの最中なので、パンチに見せれば良いじゃないと言って、楽屋に戻って来て着替えると、すぐに又ステージに戻って行く。

そこに、パンチがやって来て、瓜生の原稿を観て受け取ろうとするが、瓜生は、彼女に観てもらわないうちは渡せないと言う。

ようやくショーが終わったセンチが楽屋に戻って来て、瓜生の漫画を見ると、そこには、自分に似た女性が書かれてある事に気づく。

こうして瓜生から原稿を受け取ったパンチは、あのロマンスグレーとあの後2階ほどデートしたけど、相手が段々セクシーになって来るので助けて欲しいとセンチに言い出す。

まだあの人には、洋服3着、靴2足、真珠のネックレスなどしか買ってもらってない。私って、結婚と交換にそんなに値打ちしかない女?だから、今後は身を守るためにあなたに付いて来て欲しい。私、これを巧く利用して結婚しようと思う。今彼は48歳として、すぐに年を取って死んでしまえば、自分は大金持ちになる。とりあえずは、イカポンの娘を結婚させる事ねなどとパンチは計画を打ち明けると、これから、原子力の平和利用に付いて田村と言う先生に話を聞きに行かなくては行けないから、みゆき通りの入口で待っていてとセンチに伝える。

その後、大学にやって来たパンチは、外でキャッチボールをしていた青年に、原子物理学の教室の場所を聞き、校舎に入ると、そこには白衣姿の老人(沢村いき雄)が、棚の掃除をしていたので、原子力の平和利用に付いて意見を聞こうとすると、その老人は、そんな難しい事は分からないと言う。

あなたが田村先生でしょう?と聞くと、そこにさっきキャッチボールをやっていた青年が入って来て、自分が田村京助(仲代達矢)だと言うので、パンチは唖然としてしまう。

老人は、小使いさんだった、

その後、田村がとうとうと原子力の事を庭で説明するが、パンチは、田村の顔をぽーっと見つめているだけで、何一つ理解は出来ていなかった。

パンチは、あなたの口元ってチャーミングねとうっとりするが、まじめそうな田村は、原始物理学への研究費をもっと回して欲しいと書いて下さいと頼む。

その後、みゆき通りでセンチと落ち合ったパンチは、あんな青年がいるとは思わなかったわ…と報告していたが、そこに、佐平が車でやって来る。

パンチと一緒にセンチも車に乗り込もうとしたので、その方は?と佐平が戸惑うと、自分の友達で伯爵の娘ですとパンチはセンチを紹介する。

その頃、パンチは自宅から航空会社に電話をして、伊達邦太郎と言うパイロットはいつ帰って来るのかを聞いていた。

そこに帰って来た父佐平は、パンチを2階の書斎に呼ぶと、おれ恋をしたらしい。相手はお前と同じくらい年の子だ。私に相当好意を持っているらしいと打ち明け、相手は偽名を使っているらしいんだが、今日、伯爵令嬢なる友人まで連れて来て、これからも又、付いて来るらしい。どうしたら良いんだろう?と相談する。

パンチはあっさり、こちらも2人で行きゃ良いじゃない。そして、今度こそ真実を語り、僕は君を愛してるよと言ってやるのよとアドバイスする。

その後、パンチは車で羽田に向かい、帰って来た伊達を見つけると声をかける。

佐平の方は、専務の岩波を連れてパンチとの落ち合う場所で待っていた。

若い女性の相手を命じられた岩波は、興奮のあまり、パーキングメーターにコインを入れる手が震えていた。

そこに、約束通りパンチとセンチがやって来たので、打ち合わせ通り、岩波はセンチをその場に足止めしようとするので、センチは思わぬ事態に驚くが、パンチから、今日はいよいよ結婚を申し込まれそうなので、あんたはその人から好きなもの買ってもらえば良いじゃないと言われ、納得する。

その後、岩波と銀ブラしていたセンチだったが、その姿を街頭で似顔絵を描いていた瓜生が観てしまう。

ピンチは伊達を「アウトサイダー」に連れて来ていた。

伊達は、ロカビリーの演奏を観て、こんな植民地な夷狄の歌!と吐き捨てるが、それを聞いていたピンチも、あんただって、アメリカの飛行機の運ちゃんじゃないかよと言い返し、お姉さんはあんたを愛しているのよ。あんたを男と見込んでお願いしますと摩耶との仲直りを必死で説得していたが、ステージ上からその様子を観ていた川田は、嫉妬深い目つきになっていた。

その頃、「ロリータ」にパンチを連れて来た佐平は、自分の本名を打ち明けようとしていたが、その時、パンチは、偶然、友人の出版記念会の帰りだと言う田村京助と目が合う。

マンボ、踊れる?と聞いたパンチに、田村は付き合う事になり、取り残された佐平は、詰まらん事になったなと呟き、憮然としてしまう。

そんな佐平に、伊達を車に乗せて、摩耶を探して移動中のピンチが電話を入れて、デートの様子を聞く。

左平は、遅れても良いから、必ずここへ来て、相手をじっくり観てくれと頼む。

その頃、岩波は、センチを旅館の一室に連れ込んでいたが、指輪を買ってもらい、もう帰りたがっていたセンチに、今度ドイツに行くので、ダンスを教えて欲しいと強引に頼み、持っていたトランジスタラジオをかける。

そのラジオから流れて来た音楽に悩まされていたのが、その隣室で婦人月刊誌用の原稿を書いていた久我摩耶だった。

摩耶は、ずっと同室で原稿を待っていた編集者田辺(佐田豊)に、気が散るから帰ってくれと頼む。

その直後、部屋にやって来たのが、伊達を連れたパンチだった。

こんな所で何をしているんだ?と伊達が聞くと、摩耶は原稿を書いているのだと教えるが、そのタイトルが「君、結婚したもうなかれ」で、男性と言うものは勝手なものですなどと書いてあったので、やっぱり君はこんな生活をしてるのか!と伊達は怒り出し、摩耶の方も、失礼ね!怒るわよ!と答え、伊達は、恥知らず!と罵倒するが、隣の部屋では、同じセリフを岩波とセンチが言い合っていた。

興奮した伊達は、まだ横にいたパンチを、邪魔だとばかり部屋の外に放り出してしまう。

廊下に押し出されたパンチは、隣の部屋から出て来たセンチから助けを求められると、得意の合気道で、岩波を廊下に投げ飛ばしてしまう。

センチは、ショーの時間が!と焦っていたので、パンチは車で「ロリータ」まで送り届けてやる。

すると、店の前に瓜生が待っており、センチの姿を観るなり、君があんな女だったとは思わなかった!と言いながら、持っていたスケッチ帳をその場に捨てて帰ってしまう。

瓜生の不機嫌の理由が分からないセンチだったが、拾ったスケッチ帳には、自分の似顔絵に、「I LOVE YOU♡」と書かれてあったので、ようやく瓜生の気持ちを理解し、後を追いかけようとするが、既にショーに1時間も遅れていると外で待ち受けていた店の支配人に止められてしまう。

パンチも、店の中に入って佐平と会うが、相手は今トイレに行っていると言う。

佐平に様子を聞くと、あの青年に取られてしまったと言うので、パンチは、別のテーブルで仲間たちと談笑していた田村の側に来ると、今、あなたがダンスしていた相手は、私のおふくろになる人だから、契約済なのよ!と啖呵を切る。

ぽかんと聞いていた田村だったが、そこにパンチが戻って来たので、君、結婚するんだって?グッド ラック!お幸せに!と声をかけて仲間たちと帰って行く。

パンチは、ぐっと来てたのに…とがっかりするが、ピンチから佐平の事を私の親爺と紹介されると、唖然としてしまう。

あんたがおふくろなんてご免だわとピンチも事情を知りがっかりするが、佐平の方も、パンチを紹介されると悄然とし、私の立場はどうなるのかね?と訪ねるが、ピンチはあっさり、パーよと答える。

そこに、何故か川田がやって来て、君に勉強しろと言われたのでやっているのに!今に偉大な作曲家になって君を見返してやるよとパンチに絡んで来る。

ピンチが、あんたには作曲家なんて無理よ!あんたの歌なんて浪花節!と侮辱すると、川田は思わずパンチの顔を叩いてしまう。

思わず顔を押さえたピンチだったが、その手を開くと、その下の表情は恍惚としており、良い感じ…と呟く。

そんなピンチはパンチに、姉さんは今、男性排撃論を書いているのよと教え、センチの舞台が終わったら、3人で姉さんを応援行かない?と相談する。

その後、パンチ、センチ、ピンチの3人は、摩耶と伊達がいる旅館の部屋にやって来るが、ふすまを開けると、2人が身を寄せあって良い雰囲気になっており、女ってやっぱり、好きな男と一緒になるのが一番幸せなのよなどと言うので、3人は廊下でぐったりして、何だかつまんないわ…とため息をつく。

センチは、私、急に、しゃっくり聞きたくなって来ちゃったなどと言い出したので、私たちも誤解を解いて、男の子と仲直りしに行かない?とパンチが提案すると、パンチも行くと言い出す。

その時、ふすまが開いて、伊達は、ここは君たちが来るような所じゃないよと言うし、摩耶も、あんたたち、まだいたの?などと呆れたように声をかけて来たので、お邪魔だと悟った3人娘は早々に帰ることにする。

その後、3人娘はパンチの赤いオープンカーで海に向かっていたが、その周囲を愚連隊のバイクが取り囲んで冷やかして来る。

しかし、3人娘は明るく言い返し、道を曲がると、砂浜で先に待っていた、川田、田村、瓜生の元へ、それぞれ、パンチは黄色、センチは青、パンチは赤い水着姿で駆け寄る。

そして、それぞれカップルになるが、その後6人全員が手を繋いで、浜辺を走り出すのだった。