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中村プロダクション製作だけに、中村(萬屋)錦之助が自分の友人や知人俳優を集め、ゲスト的に出演しているその人たちとちょっとずつ絡んで芝居をして行っている感じで、錚々たる豪華出演者の名前だけで想像すると一見オールスター映画のようなのだが、どちらかと言えば、錦之助の座長芝居のようになっている映画である。

終世の友人中岡慎太郎役の仲代達矢と、妻になるお良役の吉永小百合の登場シーンが若干多いと言う程度だろうか。

若々しい古谷一行を見られるのは貴重かもしれない。

龍馬の妻になった後の吉永小百合の眉剃り、お歯黒メイクは珍しいが、池田屋での風呂場のシーンから着物を羽織っただけで動き回るシーンなどは、さすがに肌の露出等はない。

肝心の龍馬だが、土佐藩を脱藩して暗殺されるまでのいくつかのエピソードをざっと駆け足でなぞっているだけと言った印象で、歴史の一部を勉強している感じはするものの、映画として成功しているかと言うと、微妙だと言わざるを得ない。

見せ場と言えるような部分は、冒頭の下士と豪士の斬り合いシーン、中村賀津雄演じる近藤長次郎切腹前後の料亭シーン、池田屋騒動、ラストの龍馬暗殺シーンくらいだが、どれも、ものすごく印象に残ると言うほどでもない。

ちょっと古い技法である丸いワイプが使われていたり、ラストの龍馬の最期の演出なども、死んだはずの龍馬がいきなり起き上がったり、そこにスポットライトが当てられたりと、ちょっと演劇風の演出になっている。

ただ、冒頭の豪士役山形勲が町民を切り捨てるシーン等は、酔った侍によるなで斬りのような斬り方と言う事もあるが、いわゆる「斬殺音」のような物は使われず、全く無音なのだが、かえってそれがリアルに見えたりする部分もある。

黒澤映画などの影響なのか、一時期テレビ時代劇でも流行っていた、大げさな「斬殺音」を嫌った意図的な演出と思われる。

この当時の錦之助は、テレビ版「子連れ狼」の拝一刀のような、眉が薄く酷薄そうに見える顔つきになっている。

芝居も、若い頃の伸びやかな芝居と、その後の妙に気張った臭い芝居の中間くらいと言った所で、まじめに演じている事は分かるが、気負い過ぎているのか、若干、堅い感じを受けなくもない。

その堅さのせいか、話自体に面白みがないためか、あまり錦之助演じる龍馬が魅力的に見えないのが残念な気がする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1970年、中村プロダクション、伊藤大輔脚本+監督作品。

江戸時代

土佐藩城下

道で子供たちが歌って遊んでいるとある町の一角

咳き込みながら機を織っていた中平三和(二木てるみ)は、3日も寝込んでしまって約束の期限に間に合わんと申し訳ないと、品物を撮りに来ていた商人の使いに来ていた四十吉(大辻伺郎)に詫びていた。

しかし、四十吉は笑顔で、構いませんよ、じゃあ問屋の方には言い繕っておきますからと言いながら、2反分の賃金をその場に置くと、右足に怪我をしていたので、その包帯を巻き直す。

次の指定の模様紙を渡された丁稚の佐市(保積ペペ)は、それを届けに先に外に出る。

饅頭屋の長次郎 (中村嘉葎雄)は、店の前を通りかかった勉強好きな鋳掛け屋の馬之助(松山英太郎)が、いつものように本を片時も話さず、天秤棒を担いで通りすぎようとしていたので、呼び止めた所でにわか雨が降って来たので、一緒に縁台を店の中にしまい込む。

ちょうどその時、中平家を出ようとしていた四十吉が草履を履いているのに気づいた中平寅之助(片山明彦)は、足に怪我をしているのに泥濘に草履ではいかん。下駄を履いて行きなさいと勧め、とんでもない、町人風情が甲高など…と遠慮する四十吉だったが、三和も遠慮なさらずこれも…と言って、傘も手渡してやる。

連れの按摩から、武市半平太が血判状を集めて徒党を組んだと言う話を聞かされた山田広衛(山形勲)も、昼日中から酔った帰り、にわか雨に雨宿りを強いられていた。

土佐勤王党か…目障りだと不機嫌になった山田は、傘とは着物をどこからか調達して来いと按摩を雨の中走らせる。

饅頭屋の店の中で鍋釜を叩いていた鋳掛け屋の馬之助は、長次郎から蒸かし立ての饅頭を馳走になっていた。

雨が小止みになったので、表に出ていた山田の横を通りかかったのは、傘を持って歩いていた四十吉だったが、履き慣れぬ甲高につんのめり、倒れた弾みに、山田の身体にぶつかってしまう。

酔っていた山田は、とんだ粗相を…と、泥濘の中、土下座して謝罪した四十吉に、貴様町人の分際で、甲高を履き、ご禁制の傘まで持っているのは「御法度破り」として、成敗いたすので観念せい!と言いながら刀を抜いてきたので、四十吉は腰を抜かす。

そして山田は、怪我をしている右足の甲を踏みつけて来たので、悲鳴を上げながらも後ずさった四十吉は、それで勘弁してもらえるものとばかり思い込み、ありがとうございますと礼を言うが、山田は容赦なく、四十吉の身体をなでるように斬りつけて来る。

痛さと恐怖で逃げようとする四十吉だったが、その身体を膾斬りにして行く山田。

四十吉は、先ほど落とした傘を拡げて、振り回し最後の抵抗をするが、難なく惨殺されてしまう。

それを偶然目撃したのが、先ほど先に使いに出ていた佐市で、驚いて中平家に飛んで帰ると、どうしたんだ?と驚く寅之助に、永福寺裏で四十吉が斬られた事を身振り手振りで伝える。

自分が親切のつもりで甲高を履かせたばかりに、四十吉を犠牲にしてしまったと気づいた寅之助が現場である寺の裏に駆けつけると、もう四十吉は事切れていた。

寅之助は、このものに甲高を履かせたのは自分であるが、こんな不憫な事を…と恨めし気にその場にいた山田に伝えるが、山田は、下士剣客の分際で上士に対し無礼な…と言うと、三男坊にも斬り掛かって来る。

その様子を、たまたま通りかかった馬之助が目撃、驚いて逃げると、中平忠吾郎(古谷一行)に知らせに行く。

山田は、上士である自分に対し、斬り掛かって来れない事を良い事に、寅之助の脇差しを取り上げ、二刀流の構えで相手を切って行く。

そこに槍を持って駆けつけて来た忠吾郎は、山田に突きかかって行くが、酔っているとは言え技量の差は明らかで、難なく避けられてしまう。

そこに雨具を手に戻って来たのが按摩で、忠吾郎が山田を襲撃していると思い、忠吾郎にむしゃぶりつくが振り払われる。

次いで、山田を止めようと、背後から羽交い締めして諌めようとするが、忠吾郎は、その山田と按摩を一挙に串刺しにする。

そこに近づいて来たのは、酔った帰りの山田の仲間の豪士たちで、山田が倒れているのに気づくと、その場で槍を持っていた忠吾郎に斬り掛かって来ようとするが、忠吾郎は槍を振り回して、何とか逃げ去ろうとする。

その頃、勤王党の血判状を眺めて満足げだったのは、千左右吉(山本學)乾や武市半平太(仲谷昇)らだった。

中岡兄弟も揃ってその日の会合には出席する予定だったので待っていると、饅頭屋の長次郎が駆け込んで来て、永福寺裏で中岡様が豪士と決闘に及ばれまして…と報告する。

驚いた千たちであったが、その時、屋敷に血まみれの中平忠吾郎がたどり着いたので、急いで屏風の後ろにある隠し部屋に入れる。

その時、上士たちが忠吾郎を探していると馬之助が知らせに来て門を閉める。

その直後、その上士たちが屋敷に入り込んで来て、ここに忠吾郎はおらんか?と聞いて来る。

屋敷の中を覗き込んだ上士たちは、そこに造り酒屋の冷や飯食いで、江戸の千葉道場に行っていたはずの坂本竜馬(萬屋錦之介)がいるのに気づく。

いつの間にか、土佐に戻って来ていたらしく、竜馬は、ありゃ、死んだ。自分で死んだがや…と言うので、これか?と自ら腹をかき斬る仕草をしながら、切腹であろうな?と豪士は聞いて来る。

豪士の下士のと貶められようが、武士が死ぬときは切腹だと言い切る龍馬。

すると、豪士たちは、忠吾郎自害の遺体を改めたいと豪士たちは言う。

その言葉を隠れ部屋の中で聞いていた忠吾郎は、刀を抜いていた。

しかし、豪士たちは、このまま龍馬たちと対峙していても埒が明かんと判断したのか、いずれ改めに来ると言い残して、その場を立ち去って行く。

そこにやって来たのは、中岡慎太郎(仲代達矢)であった。

長次郎が、弟様が…と言いにくそうに伝えようとしてると、屏風の影から出て来た忠吾郎が、刀を手にして奥の間に向かおうとするので、その意味を悟った長次郎は、中平様、お嬢様に何か?…と遺言を聞くと、三和にな…、幸せにと…と言い残した忠吾郎は、障子を閉める。

長次郎は泣き出す。

奥の部屋で腹を斬った忠吾郎のうめき声を聞いた中岡慎太郎は、中平!と叫んで、自らの刀に手をやりながら部屋の中に飛び込む。

血刀を下げて部屋から出て来た中岡は、武智、中平の事もこのままではすむまい…と呟く。

その後、中平忠吾郎の遺体は、戸板に乗せて運ばれて行く。

中岡は、桂小五郎からの手紙を預かって来たと言い、今に長州藩は周囲に取り込まれてしまうぞと案ずる。

俺には俺の覚悟がある!この際、家老の吉田東洋を暗殺しようと思う。これまでやり損ねたのも一度ならず、二度三度…と、武智は言う。

そんな会話の中、俺は藩を捨てる。上士と下士の確執には飽き飽きした。こんな藩なぞどうとでもなれ!と吐き捨てたのは龍馬だった。

そして、龍馬は、途方もない夢を語り出すが、現実離れした話と感じた中岡は食って掛かる。

龍馬と中岡の口喧嘩を見かねた武智は、お前たちは顔を合わせれば仇のようにいがみおうとる…と呆れる。

龍馬よ!脱藩してそれからそれからどうする?と聞かれた龍馬は、江戸にし残して来た仕事がある。慎太よ、俺をどこかの港に降ろしてくれ。もう半時も我慢できんようになったとせかす。

江戸へ行って何をするのか?と武智から聞かれた龍馬は、斬る!お前が吉田東洋を斬るように…と答える。

そんな夢みたいな事を…と中岡が呆れると、笑わば笑え!と龍馬は吐き捨てる。

その後、船に乗るため、海岸を歩く龍馬が、おらが心は〜♬と「よさこい節」に合わせて歌い出すと、中岡も、おらだけ知っちょる♬と続け、武智と3人で笑う。

見ちょれ〜、見ちょれ~、黙って〜見ちょれ~♬おらがすること、おれだけ知っちょらや〜♬よさこい〜よさこい♬

江戸の千葉道場に戻った龍馬は、屏風で狭い空間をこしらえた中に入り、その中で剣を抜く稽古を続けていた。

そこに戻って来た千葉道場の同士は、明神下の自宅にいると思うと、暗殺者の動静を龍馬に知らせる。

問答無用で斬るか?喋らせるだけ喋らせて斬るか?…と同士は、暗殺の仕方を聞くと、斬るときは、こいつが知っちょらやと龍馬は持っていた刀を観ながら答える。

彼らが向かったのは、軍艦奉行の勝海舟(神山繁)の屋敷であった。

2人に会った海舟は、問答無用で斬るか?喋らせるだけ喋らせて斬るか?と笑いながら言う。

2人の目的をとっくに見抜いているようだったが、怯えるでもなく、広い地球の上の小さな島国である神国日本は、諸々の異国は攻めて来ないと安心していられるのか?もしもの時は神風を吹かせてみせるか?お2人さん…と問いかける。

同士の侍は、吹くとも!といきり立つが、横で聞いていた龍馬は、何故か黙ったままだった。

それだけで軍艦奉行は勤まらん!と海舟は答え、船がねえんだよ…。仮に船があったとしても、誰が乗り、誰が動かすのか、その船を?日本は、どこにあるのか分からないほどの小国で四面は海だ。これで世界相手に船で戦えるのか?

そんな海舟の言葉をじっくり聞いていた龍馬は、先生!と呼びかけるほど感動していた。

夕暮れが迫り部屋が陰って来たので、海舟は幼い娘を部屋に呼び寄せると、外国語で何事かを命じ、娘も又、外国語で応じて下がって行く。

同士の方は、龍馬が海舟を討たないので、帰るぞ、龍馬!腰抜けめ、見損のうた!と吐き捨てると、立ち上がり部屋を出て行く。

海舟は、その場に残った龍馬を前に、殺され損ねて日も暮れたか…と呟き、庭先に降りるが、その背中に向かい、龍馬は両手をつくと、先生!と呼びかける。

先ほどの娘が戻って来て、部屋のランプを灯す。

龍馬はもう1度、勝先生!と庭にいる海舟に呼びかけていた。

「大姉様…

龍馬からの手紙を読んでいたのは、姉の乙女(香川桂子)だった。

人間の一生は、合点の行かぬ事ばかり。き○たま詰め割って死ぬよりほかはないのか?等と書いてあったので、乙女は噴き出してしまう。

勝海舟先生から数々の話を聞き、大いに目が開きもうした。

今は、長崎亀山社中と言う商社の頭領となって、図のような船に乗っている…と、船の絵と共に描いてある。

その後、海援隊と改称、国家のために飛び回っている」等と書かれており、同封の写真には、鋳掛け屋だった新宮馬之助、饅頭屋だった近藤長次郎も、龍馬たちと一緒に同士として写っていた。

その近藤長次郎は、料亭で亀山社中の仲間たちと酔っていた。

座は盛り上がっており、芸者の小万(江利チエミ)などが得意の歌を披露している。

やがて、社中の中核連中が芸者を部屋の外に追い出すと、亀山社中の規約には、多数決による合議によって何事も決定する。それに違反するものは切腹の罰則を科すとある…と、千左右吉が発言し、近藤君、君の意見は?と問いかける。

切腹?それ何のこと?…と聞き返した長次郎は、きちんと頭が働かないほど酔っていたので、意義なし!賛成!と答えてしまう。

近々出航するリチャードソン号の乗船簿を借りて来たのだが、その中に「上杉宗次郎」なる名前があったが、これは君の字と同じだね?と、「亀山 近藤」と長次郎が別に書いた書状の筆跡を並べ、弁明できるか?と千は問いつめる。

それを聞いた長次郎は、なるほど…、同郷人ばかりの懇親会とかで、おれを盛り潰したんだな?と仲間たちの策略に気づく。

海外脱出することがバレたら殺される…。こんな社中から…、否、こんな日本から逃げ出す決心したのは何故か、聞きたいか?と座った目の長次郎は語り出す。

エギリスのロンドンに行けば、饅頭屋だからと差別する奴はいないだろうと思ったんだよと長次郎は言う。

そんな長次郎に、立派に武士らしく…と仲間たちが切腹を迫ると、武士らしくだと?町人が死ぬ時だけ武士だと?そう言いながら、著次郎は酔いつぶれて倒れてしまう。

すると、仲間たちは、屏風を逆さに置き、切腹の作法通り準備を始める。

お前等は勝手に処分するつもりか?しかも龍馬さんの留守の間に?!良し死んでやる!そう叫んだ長次郎は、用意された刀を握ると、隣の屋敷のステンドグラス窓を割って、中に飛び込むと、坂本〜!と絶叫して腹を斬る。

そこへ新宮馬之助を連れ、何も知らずにやって来たのが中岡慎太郎だった。

中岡は、龍馬は下関に鋳掛け屋を同行して行きましたと聞かされるが、君たち、いまだに同郷人をそんな侮辱した呼び方しているのか?と呆れる。

そこに、長次郎の遺体を見つけた芸者たちが悲鳴を上げながら隣の屋敷から逃げて来たので、事情を知った中岡は驚愕し、君たち近藤君を!同じ結盟にありながら…!と絶句する。

そこに、新宮馬之助が戻って来て、桂小五郎が西郷さんとの話し合いを承知したと伝える。

それを聞いた中岡はありがたい!と感謝するが、君らの仲間が近藤君を…、あちらの屋敷におる。傑出した仲間を妬みやそねみで…!と教える。

長次郎が死んだ事を知った馬之助は、饅頭屋に生まれたくせに頭が良くて、侍育ちの者より出世して…、なんでこんな目に遭わせられなきゃならないのか!おんしらみんな、鋳掛け屋のどら息子も殺せ!と叫ぶと、長次郎が腹を斬って血まみれの短刀を握りしめ、畳に突き刺すのだった。

当時、長州は、イギリス、フランス、オランダ、アメリカの船団に下関砲台を占拠され、幕府にも封鎖されていた。

そうした長州藩を救いうる者は、ライバルであった薩摩藩しかないのである。

龍馬の仲立ちにより、長州の桂小五郎(御木本伸介)と薩摩の西郷吉之助(小林桂樹)は攻守同盟を結んだ。

その頃、坂本龍馬は京へ向かったのであった。(…とナレーション)

品川弥次郎(天田俊明)の家で、桂と西郷の談合の様子を聞いた龍馬は、桂の話を聞き終えた西郷が、いかにもごもっともですと頭を下げ、近衛家の別邸に戻って行ったと知る。

やがて、桂小五郎が龍馬の元へ戻って来る。

こちらの言う事をもっともだと考えているのなら、二藩連合の話をしないのか?と桂が言うので、なぜこっちから切り出せんと龍馬が聞くと、切り出せるか!と桂は言う。

一方は朝廷側、一方は朝敵、攻守同盟持ち出せば、それは対等の同盟にならん!と桂は言うのだった。

藩の面目がどうかとか言う前に、同じ日本に生まれた日本人ではないのか!と龍馬は叱る。

しかし、桂は長州人は長州に帰るしかないと言うので、龍馬は俺たち土佐人を観ろ。武市半平太ら23人が高知人60余名の鉄砲隊に追いつめられ、全員斬罪。

大半がまだ元服前の15歳の連中が、河原に首をさらされ…

帰る所のあるものは良い。でも、俺たちとさの脱藩郎党じゃ死罪と決まっとる。帰る所は日本中ないんだ!と涙ながらに訴え.帰れ!帰れ!と桂をなじる。

例え藩が滅ぼうが、コ○キの真似は出来ん!と言う桂に、日本は滅びても構わんのか?と龍馬が聞くと、皇御国は滅びん。薩摩が残っている限り天下のための争いはある。この大安心があればこそ悔いはない…と桂は訴える。

龍馬は、薩長が手を結べば幕府軍に勝てる!薩摩と仇になったのも宿命なら、お互い手を取り合うのも、それも又、宿命じゃなかか?と説得する。

寺田屋に戻って来たのは龍馬だった。

その側に店を出していた夜鳴きそばの屋台の主人は、才谷梅太郎と偽名を使っていた坂本龍馬の動静を探っていた。

仲居のお良(吉永小百合)は、押し入れの中に寝ていた龍馬の用心棒役、三吉慎造(江原真二郎)を起こして、龍馬の帰還を知らせる。

龍馬を部屋で出迎えた三吉は、龍馬におめでとうございますと挨拶する。

龍馬も、巧く事が運んだので、こんばんは飲むぜよ!と機嫌が良かった。

酒を持ってきたお良は、お風呂の後片付けに向かい、三吉は、これからはいよいよ薩長の天下に!と意気込むが、龍馬は、断じて薩長には天下は取れん。毛利幕府、島津幕府…、その内、倒幕の美名に隠れ、どちらかが生態将軍になろうとするはずだと言うので、三吉は、それは暴言!と気色ばむ。

そんな事にならぬように、名も命も賭けて拒み通すと続けた龍馬は、おらの心は〜、おらだけが知っちょらやだ〜♬よさこい〜よさこい♬とよさこい節を口ずさみながら酒を飲み始める。

その頃、終い湯に入りかけていたお良は、窓の外から入口付近に人の気配を感じ、脱いでいた着物を羽織っただけで二階の龍馬の部屋に向かうと、伏見組が来ましたと知らせる。

それを聞いた龍馬は、この物干し場から裏に降り、薩摩の屋敷に知らせに行けとお良に命じる。

やがて、伏見組が龍馬の前にやって来て、松平肥後守の上意である!尋常にいたせ!と十手を差し出して来る。

三吉は、面倒くさい。やりましょう!と龍馬に話しかけ、銃を手にした龍馬は、捕り手が持っていた龕灯の灯目がけて発砲する。

暗闇の中で斬り合いが始まるが、龍馬の銃の弾が切れたので、まだその場に残っていたお良が弾を龍馬に渡す。

三吉の方は、槍で戦っていた。

お良は気丈にも、龍馬の前に立ちふさがり守ろうとする。

そんなお良を、龍馬は薩摩屋敷に急がせようとせかすが、斬り合いの最中、龍馬は右手を負傷したので、お良は、羽織っていた自分の着物を裂くと、それで龍馬の手を縛る。

良し!薩摩屋敷へ!と龍馬は命じるが、その直後、三吉が斬られる。

龍馬は、左手で剣を握ると必死に抵抗し、敵方の首を斬り落とす。

裏から外に逃げ出していたお良は、よろけながらも薩摩屋敷へ向かっていたが、屋台の蕎麦屋に化けた間者が捕まえようとする。

そのとき、背後から銃声が響き、蕎麦屋は倒れる。

薩摩屋敷に何とか到達したお良は、必死に門を叩いていた。

薩摩屋敷に保護された龍馬は、庭の蘇鉄に降りしきる雪を、西郷吉之助と共に眺めていた。

そんな傷療養には良か温泉があります…と西郷は龍馬に話しかける。

ただ、付き添いの者があるかどうか…、お心当たりがあったら申し出てくれ、男とは限らん…と意味ありげに問われた龍馬は、さて…と言いながら、つるりと左手で顔をなでる。

ありもはんか?と西郷は笑う。

寺田屋で、水を汲んで台所に戻って来たお良は、戻って来た長州の侍客たちが、お良はんはおわすか?今、水を汲みに出て行ったが…と話し合うのを耳にして、何となく竃の陰に身を隠してしまう。

京都から西郷さんが龍馬を鹿児島に連れて行くらしいので、お良さんを見かけたら知らせてやってくれと言う話だった。

長州藩の侍たちが宿を出て、その後、龍馬が戻って来ると、お良は囲炉裏の側で泣いていた。

龍馬はそんなお良に、わしはここを出て薩摩に行く事にした。急いで仕度しろと言い、仕度はお前のだぞと言い添える。

それを聞いたお良の顔は輝き、ほな、うちも一緒に?と喜ぶ。

最後うどんもそう言うんだよ。大至急、大至急と龍馬がおどけたように言うと、お良は感激して又泣き出すのだった。

九州の霧島神宮にお良と共に、無事を祈願して参る龍馬。

その後、高千穂峰にある天逆鉾目指して登山する2人だったが、先導するお良の気の強さは呆れるばかりだった。

山頂に登った龍馬は、開聞岳を見渡せる広大な景色を前に、西郷吉之助は沖永良部島に6年も島流しされていたとお良に言い聞かせると、我が胸の燃ゆる思いに比ぶれば〜、煙は薄し桜島山〜♬と唄い、胸一杯の思いで死んだ平野国臣の歌だと教える。

それを聞いていたお良は、思わず、バカ殿めらが〜!と叫ぶと、感極まったのか、あなた…と泣きながら龍馬の胸にしがみつくのだった。

龍馬は、そんなお良に自分お羽織をかけてやると、しっかり抱きしめてやるのだった。

慶応3年

亀山社中改め海援隊創設

海援隊の住まいから出かけようとしていた龍馬が、お良がいないことに気づく。

月琴の稽古に言っていると言う。

その稽古の帰り道、月琴を抱え、歌いながら楽しそうに帰って来たお良は、あの人、帰って来たでしょう?と龍馬がいたことに気づいたようだった。

マーミケイン号から乗り移られている所ですと、望遠鏡で外を覗いていた若者が教えると、お良も二階に上がって来てその望遠鏡を覗き込み、旦那は〜ん!と大声で呼びかける。

龍馬は、船の中で、後藤象二郎(三船敏郎)と会っていた。

後藤は、土佐藩を救ってくれと頼んでいたのだった。

生き残るには、薩摩もなければ長州もない。兵も銃も使わず砲火を交えず出来る方法があると策を述べる龍馬は、将軍慶喜をして、300年の政権を朝廷に返上してもらうのだと言い出す。

戦火が始まれば、日本全土焦土と化す!慶喜公が受け入れなければ…と後藤は心配する。

そうなれば、オロシアやエゲレスが割り込んで来る。日本は日本人の者でなくなる!

倒幕の詔が出れば、夕顔丸は長崎に入港すると言う後藤。

そのとき、出航準備ができた事を部下が知らせに来たので、明朝、高知へ直行すると後藤は命じる。

君は高知に戻り容堂公を説得せよと龍馬が頼むと、出来なければ、容堂殺しておれも死ぬと後藤は決意を述べる。

死ぬ…なと諭した龍馬は、土佐は滅びようとも日本は殺せんと呟くと、おれも下関まで乗せて行ってくれと頼む。

海援隊に戻って来た龍馬が、二階に上がって観ると、お良が籐椅子に腰掛けたまま眠っている。

起こそうとして声をかけても目を覚まさないので、置き手紙をすることにした龍馬だったが、ふと思い直すと、お良が顔にかけていた本の上に、「京に行く。帰り少し遅くなるかもしれぬ」と書き残すと、月琴をかき鳴らすが、それでもお良は目覚めない。

ランプの火を消して行こうとした龍馬だったが、お良の奏でる月琴の音色が聞こえたような気がしたので、そのままにしておく。

お良は、寺田屋で、急いで仕度してくれんか?仕度はお前もだ…と龍馬に言われた時の事を夢に観ているのか微笑んでいた。

その時、壁にかかっていた月琴の糸が、ぷつりと切れる。

その時、お良の顔に乗せていた本が床に滑り落ちるが、そのページの間には、押し花が挟んであった。

翌朝、龍馬は後藤象二郎と共に、船に乗っていた。

慶応3年10月14日

京都二条城

慶喜公は、山内容堂ら土佐藩重臣等を集め、大政奉還を諮問

10月15日

大政奉還

翌月、近江屋と言う宿の二階に泊まっていた龍馬は、風邪を引いたらしく、炬燵で丸くなっていた。

側にいたのは中岡慎太郎ただ1人。

その時、宿の主人藤吉(香川良介)が上がって来て、伊東先生がお見えになったと告げる。

中岡は、タバコを買いに出かける。

上がって来た伊東甲子太郎(中村時之助)が、巷では新撰組や所司代共が躍起になっていると教えると、大政奉還させたからな…と龍馬は呟く。

近藤や土方に招待されています。御用心をと告げると伊東は帰って行く。

中岡が戻って来ると、今出て行った伊東の事が気に入らんのか、好かん奴だと入口の方を見下ろしてぼやく。

何の話だ?と聞かれた龍馬は、新撰組や所司代に用心しろと言う事だと、今の伊東の話を教える。

こっちの話、どうする?と龍馬に話しかけた中岡は、俺たちは良う喧嘩して来たな〜…と過去を懐かしむと、何か食おうか?腹が減って来たと言い出す。

龍馬も賛成し、シャモにしようと云う事になるが、その時、窓の下の通りをええじゃないか!と言いながら民衆が通り過ぎて行く。

その群衆の中で一緒に踊りながら「近江屋」に入って来た小僧が坂本に「トンプク」を渡すと、今のええじゃないかと言うのは、愛宕山のお札が、家の前に振って来るんだそうですと始まった由来を話す。

窓から下を見下ろしていた中岡は、町の契機が沸き立て来た証拠だな…と感想を述べる。

カモとネギを、小僧に買いに行かせた中岡だったが、その帰りが遅い。

鼻をかんだ中岡は、下に催促しようとしかけるが、シャモが届く前に片付けんとシャモがまずうなると言い、新しい議会は、士農工商から選挙で選ぶと、新政府の構想を述べ始める。

なぜ。我々侍を賤民と並べるんじゃ?と中岡が不満を述べ、侍を今後も特権階級にすべきだと言うが、だから、武士階級は根絶やしにせんと日本は変わらんと龍馬は言い切る。

去年の1月14日、饅頭屋が殺されたのは知っとる。そうしたのは、豪士じゃの下士じゃのと言う差別意識じゃ。

それを聞いた中岡は、龍馬、それを言うな…と苦しむ。

近藤長次郎の死に場雁とらわれているのではない。目から一枚鱗が取れた。みんな人間だ!士も農も工も商もない!身分はない!それが議会!と説く龍馬に、理屈はそうだと賛同しながらも、正直、おれは付いて行けそうにもない…と弱音を吐く中岡。

帝の立場は外国にはあるのか?と問われた龍馬は、エンペラーの存在など必要ないのだ。帝には神の座から降りて頂く…。そして国民の首長となって頂く。

世界は獣、日本は神国である等と言う考えは通用しない時代が来る…と述べる龍馬の考えを聞いた中岡は、恐ろしい事を…、そんな外国の書物から学んだのか?と、棚に置いてあった要所を指して怯えると、そんな途方もない話、千人万人の中に理解する者がいるか?と問いかける。

慎太!おれを目隠しして、牢の中に入れてくれ!慎太!と龍馬は中岡に迫る。

その時、十津川の豪士がお目にかかりたいと、藤吉が知らせに来る。

深瀬か中根だろう…と中岡は言うが、今来客中だと言うと帰って行かれましたと言いながら、部屋の行灯を灯し、名札を置いて行かれましたと教える。

龍馬は深く考えず、床の間に置いといてくれと頼むと、藤吉に、下から吹き上がって来る風が寒いので、階段の所に屏風を立てて風を防いでくれと頼む。

すぐに、廊下に屏風を置いた藤吉だったが、風に動いてゴトゴト音を立てるので、いかんな…とぼやいた中岡は自分の刀で屏風につっかい棒をする。

おれは怖い…、自分自身が…と続けた龍馬は、このままでは、みんなにおれはキ○ガイだと思われる。しかし、大事な時節に、むざむざ殺される訳にはいかん!それが気になって怖い…と龍馬が神経質そうに言うので、中岡は、龍馬!おれがいる!と言って勇気づける。

実際に気はふれなくても、キ○ガイになって死ななければならない時が来たら、慎太!おれを殺してくれ!と頼んだ龍馬は、結局、御主だけだな…。この世におんし1人きり…と呟く。

御主1人だけ…、因果なものよ…と苦笑した中岡だったが、えろう、シャモ遅いの…とぼやく。

もう帰って来るやろ…と炬燵に身をかがめていた龍馬は、言えや〜言えや〜何とでも言え~や、お〜らが心は〜おらだけ知っちょらや〜♬とまたよさこい節を口ずさみ出した龍馬は、そう言えば、十津川の誰とか言うとったな…と思い出したように、床の間に置いてあった名札を手に取って名前を確認しようとする。

その時、突如、覆面姿の浪人たちが部屋に乱入して来ると、まずは手前の部屋にいた中岡を斬り、次いで奥の間にいた龍馬に斬り掛かる。

龍馬は、床の間に置いていた刀を掴むと、鞘のまま刀を防ごうとするが、すでにその額から血が溢れていた。

倒れていた中岡にとどめを誘うとするものもいたが、待て!もう良い!と叫んだ3人の刺客たちは下に降りて行く。

その時、両手で刀を握りしめていた龍馬は、ばったり前のめりに倒れる。

下では、藤吉も斬られて死んでいた。

やがて、額が落ちた音で目覚めた龍馬は、中岡の名を何度も呼びかける。

やれれたか?中岡!どこだ?どこにいる!

その声で気づいたのか、瀕死の中岡もうっすら目を開ける。

あ〜、眼が見えん!と呻いた龍馬は、手探りで、近くにあったとっくりを触ると、盆にひっくり返した酒で手を浸し、自分の目を洗おうとする。

そして、握っていた刀を少し抜くと、そこに写った自分の顔を確かめようとする。

脳漿が噴き出している…と気づく龍馬。

その龍馬の方へ、這って近づこうとする中岡。

龍馬の身体にたどり着いた中岡は、龍馬〜!死ぬなよ〜!と叫びながら抱きしめると、泣きながら、お〜い!誰かおらぬか〜!坂本が死ぬ〜!と叫びながら、窓の方へたどり着くが、窓にすがって立ち上がろうとした時、自分も力がなく、外に転げ落ちてしまう。

屋根から落ちかけた中岡は、必死に瓦をよじ上ろうとあがきながら、龍馬〜!待ちよれよ〜!すぐ医者を〜!待ちよれよ〜!と叫ぶが、やがて自身が滑り落ちてしまう。

奥の部屋で突っ伏していた龍馬の耳に、よさこい節が聞こえたような気がした。

次の瞬間、死んだと思われた龍馬は急に身を起こすが、すぐに仰向けに炬燵の上に倒れ込む。

その身体にスポットライトが当たっていた。