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兵隊やくざ殴り込み

シリーズ第7弾

シリーズも、もう辺りになると軍隊批判的な要素や大宮のキャラ設定などどうでも良くなっており、悪い上官を傍若無人な大宮が殴って制裁するだけではなく、単身、八路軍と戦い、勝ってしまうと言う、荒唐無稽ヒーローアクションものになっている。

初期の頃は、大宮をビンタしたものは、自分の手の方が痛いほど、大宮の面の皮は厚いと言うお約束的な表現があったはずだが、この作品では、いかにもインテリで腕力などなさそうな香月少尉が大宮をビンタしているが、香月少尉は特に痛そうな素振りも見せていない。

慰安婦との艶笑譚的要素も、高級将校相手の明美と、文学好きの変わった娼婦さつきと言う、違ったタイプの2人を登場させており、共に、精力絶倫の大宮を戸惑わせると言う、とぼけたおかしさを出している一方、病気で死んでしまう夕子と言う哀れな娼婦の末路も描いている。

悪役の上官も3人登場しており、取りあえずシリーズの要素はまんべんなく用意されている感じだが、どれも見慣れたもので、特に強烈なインパクトがあると言うほどのものはない。

この作品での見せ場は、後半の軍旗を奪還するため、大宮が孤軍奮闘すると言うハチャメチャな戦闘シーンだろうが、リアルな戦闘と言うより、ほとんどギャグに近いような気がする。

さらに、この作品には、前半の下痢ネタと、営巣に入れられた大宮が、苦役として肥桶を担がされ、途中で切れて、当番兵に糞尿をまき散らすなどと言う汚い描写も盛り込まれており、戦争風刺と言うより、完全なコメディと解釈した方が良い内容かもしれない。

いよいよ敗戦を迎え、今後の展開が気になる所ではある。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1967年、大映、有馬頼義原作、笠原良三+東条正年脚本、田中徳三監督作品。

第104部隊

黒磯一等兵(丸井太郎)が、鉄砲の筒を磨きながら、卑猥な歌を歌っていると、横で大宮貴三郎(勝新太郎)も、愉快そうにしていた。

そこにやって来た分隊長の染谷伍長(伊達三郎)が、大宮に何をしとるか!と叱りつけたので、いざと言う時、鉄砲の筒先が病気にならないようにしていますと答えると、バカもん!と怒鳴られ、大宮と稲垣には、連隊へ行って、郵便物を取って来いと命じ、黒磯と川田たちには、2ヶ月振りにトラックが来たので、良いことあるかもしれないなどと美味しそうな指示を出したので、大宮は自分もそちらに行かせて下さいと頼むが、断られる。

寝台で休んでいた有田は大宮に、帰りに何か土産を持って来いと頼む。

郵便物を受け取って帰りかけていた稲垣は、大宮への手紙があることに気づいたので、差出人は吉川御影楼からだ教えると、梅香だ!と気づいた大宮は、自分は字が読めないので読んでくれと頼む。

稲垣は、その手紙を、おもしろおかしく読み始めるが、その時、近づいて来た香月少尉(細川俊之)は、そんな2人に、自分の手紙だけを先に読む奴がるか!しかも、ここは軍旗室の前だ!俺が制裁を加えてやる!と言いながら、大宮の頬を殴り、稲垣の方も殴ろうとしたので、その前に立ちはだかった大宮は、手紙を読んでくれと頼んだのは自分ですから、殴るなら自分だけにして下さいと頼む。

すると、香月少尉は、戦場で友情は大切だ、今の心を大事にしろと大宮に言いつけると去って行ったので、なかなか義理人情知ってるなと大宮も感心する。

郵便物を稲垣に託し、先に部隊に返した大宮は、トラックから物資を運んでいた荒磯に会うと、わざと荷物を班長にぶつけ気絶させると、天ぷら油を盗んで川に出かける。

手榴弾を川に投げて爆発させ、魚を捕ると、それを部隊の隅で、フライにして揚げていた大宮だったが、そこに近づいて来た赤池曹長(南道郎)は、手榴弾で魚を捕ったんだろう?軍法会議もんだぞと脅すと、後で持って来いとフライを要求する。

大宮は、あいつ、気に入らない。ゴマスリやろう!と陰口を聞く。

夕食時、全員にフライをごちそうした大宮だったが、有田だけは、フライに手をつけようとせず、臭いんじゃないか?と大宮に聞く。

しかし、大宮は、そんなことないですよと言いながら、有田の分まで食べてしまう。

夜の点呼の時、大宮の様子がおかしくなり、腹が痛いと染谷伍長に言うと、そろそろと便所へと向かう。

その後、再び点呼を始めようとするが、黒磯を始め、他の兵隊たちも腹痛を訴え始める。

それを見た有田は、やっぱりさっきのフライだな?と言い出す。

すっきりした顔で大宮が戻って来ると、染谷伍長以下兵隊たちが全員、便所へと向かい、1人残った有田は、さっきの油、あれ、ひまし油じゃないのか?と大宮に聞く。

便所は大にぎわいで、将校用の便所に入ろうとした赤池曹長は、先に染谷伍長が入っていたので叱りつけようとするが、我慢しきれなくなったのでそのまま便所に飛び込む。

又腹痛を起こし、下士官用の便所に入っていた大宮は、後から来た下士官に見つかり叱られると、自分は字が読めないのでありますと謝りながらも、その下士官が入った便所をこじ開け、しゃがんだ下士官のケツを観ながら、下士官と兵隊は出るもんが違うんですか?などと嫌味を言う。

そんな第104部隊に、軍旗隊が来ることになるが、その軍旗とは、ほとんど、廻りの飾り部分だけが残ったボロ布に過ぎなかったので、整列して拝観していた大宮は、隣に立った有田に、軍旗作る金も布もないんですねと囁きかける。

その後、部隊内で相撲大会が開かれ、大宮が順調に勝ち進んでいた。

最後の対戦相手(橋本力)と戦っている時、部隊の庭先に、下士官たちの相手をする女連中がやって来たので、兵隊たちは浮かれ始め、土俵上の大宮と相手も女に手を振り、行司役を務めていた赤池曹長も、よそ見をしていたので、大宮が相手を上手投げで倒したにも拘らず、相手の方に軍配を上げてしまう。

すると、その試合を観ていた軍旗隊の香月少尉が立ち上がり、今のは行司差し違えで、大宮の上手投げの勝ちだと苦情を言ったので、赤池は仕方なく、大宮に軍配を上げ、商品の日本酒の一升瓶は大宮が手にすることになる。

部隊仲間は大喜びで大宮の元に集まるが、大宮は、すまんがこれは、さしで飲みたい人がいるんだと断って、香月少尉のいる下士官の棟に向かう。

その時、影沼少佐 安部徹と一緒に出て来た明美(野川由美子)を見つけると、手を振ってみると、明美の方も気がついたようで微笑みかけて来る。

その頃、滝島准尉(小松方正)の部屋に来ていた赤池曹長は、最古参の准尉殿が、香月少佐のような若造に頭を下げなければいかんのはしゃくですななどとゴマをすっていたが、軍隊では金線一本で違うし、あいつは、親爺が青森大五連隊の連隊長で手強いからなと准尉は眉をひそめる。

それにしても大宮は糞忌々しいと赤池が呟くと、あいつには有田と言う策士が付いていると准尉が言うので、何とか2人を引き離すことは出来ないもんですかな?と赤池はぼやく。

そんな噂をされているとは知らない大宮は、香月少佐の部屋に来ると、少佐殿とさしで飲みたいのであります!と申し出る。

すると、嬉しそうに相手をしてくれることになった香月少佐だったが、休みなのに、何でこんなむさ苦しい部屋で本なんか読んでるんですか?と大宮が聞いてきたので、他に色々やることがあるんだと苦笑しながら答える。

女は知っているんでしょう?と大宮が調子に乗って聞くと、知らんと少佐が言うので、俺も14の時まで知らなかったからな…などと答え、お前14の時に女を抱いたのか?と少佐が驚くと、抱かれたんですよとしらっと答えた大宮は、何だか我慢できなくなったようにモジモジし始め、分かるでしょう?と少佐に言い残して、部屋を出て行ってしまう。

兵隊たちは、みんな、町の慰安所目がけて急いでいたが、大宮は近道をしようと川の方へ向かうが、調子に乗って草むらを飛んで走っているうちに、泥の中に転び、泥んこになってしまう。

慰安所に先に来て待っていた有田は、泥だらけの大宮がやって来たので、どうしたんだと聞くと、女にはまる前に、泥にはまっちまったんですよと大宮は憮然として答える。

後15分しか時間がないと告げたやり手姿さん(近江輝子)は、大宮にはさつき(岩崎加根子)、有田には夕子(三木本賀代)をあてがう。

それぞれの部屋に入ろうとした時、有田は、店の主人と金勘定をしている赤池曹長を窓越しに発見、大宮を呼ぶと、あいつ上等兵のくせに悪いことばかりして…と教える。

部屋の洗面器で顔を洗った大宮は、窓際に吊るしてあった短冊を観てこれは何だ?と聞くと、さつきは、「柔肌の 熱き血潮に 触れもみで 寂しからずや 道を説く君」よと教え、あなた大学どこなの?などと聞いて来る。

すぐに相手を抱こうとしていた大宮は戸惑い、大学って、色んな所だよなどとごまかすが、与謝野晶子って知ってるでしょう?などと聞いて来たさつきが、詩の意味を尋ねたり、あなたが好きな詩を教えてくれなどとねだって来る。

仕方なく、大宮は、遊女は客に惚れたと言い、客は来もせで来ると言う 噓と噓との色里…などと適当なことを言うが、もっと聞かせてと言われると、雨だれ落ちは三途の川 又の敷居は死出の山 そよと吹く風 無常の風~ これが親分 兄弟分~♩などと浪花節を歌いながら、さつきの着物を脱がせ始めたので、さつきはあきれ顔になる。

霧の深い夜、歩哨に立っていた黒磯らは、照明灯が上がったのを目撃し、当番なのにさぼって寝ていた大宮を起こす。

大宮は異変を察すると、すぐさま染谷伍長を呼びに行くが、その後も異常は見当たらず、貴様ら俺を担いだな?貴様、眠ってたんだろう?と見透かされてしまう。

ところが、翌朝、昨夜半、第3監視所が敵襲を受け全滅。今早暁、交代の分所が急襲された。我が軍隊はかし斥候で給水所を偵察すると染谷伍長は兵隊たちに命じる。

その時、有田にだけは滝島准尉が呼んでいると言うので、部屋に行ってみると、そこには赤池曹長もおり、大学出のお前がいつまでも兵隊をしているのはおかしい。師団本部で暗号の集合教育を受ける事になった。転属命令だといきなり言われたので、軍隊でも、自分の意見を言うくらいの自由はあると思いますが…と断ろうとするが、滝島准尉は聞く耳を持たず、直ちに荷物をまとめて本部行きの車に乗れと命じる。

有田は、斥候に出かけた大宮宛に簡単な手紙をしたため、寝台の枕の下に差し込んで出かける。

その後、斥候から戻って来た大宮は、有田がいなくなっている事気づき、仲間の1人が手紙を発見する。

大宮がその手紙を受け取った時、染谷伍長が来て、有田上等兵は、暗号兵として移転したと教えたので、俺の上等兵殿をどこにやった!と染谷伍長につかみ掛かる。

他の兵隊たちに止められるが、大宮は、畜生…と悔しがる。

その頃、赤池曹長は、慰安所の主人に、女たちの管理が甘い、もっと厳しくしろと文句を言っていた。

大宮は、1人、部隊を脱走していた。

赤池曹長は、言うことを聞かないと言うさつきを呼び出すと、何が文学だ!女郎は女郎らしくしろ!と怒鳴りつけるが、すると、さつきは、堕落すりゃ良いんだろ?あんたみたいに!と言い返したので、赤池は殴りつける。

部屋に戻って来たさつきは、いくら女郎でも、こんな所まで流れ着いてきたんだから、一番不幸かもね…、心さえ堕落しなければ良いと思っていたけど、独りよがりだったわ…と夕子に話すが、時々咳き込んでいた夕子は、赤池から蹴られた腹が痛いと言い出したさつきのために薬を探しに出る。

その直後、さつきは、窓から入って来た大宮が、これを読んでもらいたいんだと有田の手紙を差し出し、自分は字が読めないんだと言うので、驚きながらも読んでやる。

師団司令部に行くにあたっては、赤池らの企みがあるようだ。暗号兵になれば、この戦争がどうなっているのかも分かると思う。3ヶ月間、自重して待ってろ。くれぐれも言う。脱走しちゃいかん…とさつきは読んで聞かせるが、それを聞いていた大宮は、もう脱走しちゃったもん…と言う。

そこに、夕子が入って来て、大宮がいるので驚くが、自分が相手をしてやると言って別の部屋に呼び込む。

しかし、その夕子も咳き込んでいるので、大宮は、風邪でも引いてるのか?と声をかけるが、こんな身体でも、兵隊さんの役に立てれば良いの。私、兵隊さん好きだから。でも兵隊さんの中にもひどいのがいて、さつきさん、赤池の奴に暴行されて寝ているのよと教える。

それを聞いた大宮は怒り出し、主人の部屋に行くと、赤池はどこだと聞き、寝室で女と寝ていた赤池を発見するとつかみ掛かる。

赤池は殴られながらも、貴様、脱走して来たな!憲兵を呼べ!と店の主人に呼びかけるが、大宮は殴りながら、憲兵呼んで来い!呼ばれて困るのはお前じゃねえか!と怒鳴りつける。

しかし、上官に暴力をふるったかどで、大宮は営巣に入れられてしまう。

滝島准尉は赤池に、あっさり憲兵に引き渡した方が良かったんじゃないか?と話すが、憲兵を呼んだらこっちが危ないですよと答えた赤池は、何とかあいつを徹底的に痛めつける方法がないですかね?と忌々しそうに聞く。

滝島准尉は、あいつは営巣慣れしとるからな…、痛めつけるなら、禁色と苦役だと答える。

かくして、獄中の大宮には、ひとつまみの飯と水が与えられだけになり、肥運びなどの苦役が強いられる。

それを哀れんだ仲間の兵隊たちが、パンを渡そうとするが、それを拾おうとした大宮の手を当番兵が踏みつけるので、切れた大宮は、運んでいた桶から、糞尿をまき散らして暴れる。

その後も、薪割りなどの苦役は続き、倒れ込んだ大宮は、上等兵殿…、大宮はもう、ダメであります…と呟くが、当番兵に殴られる。

それを観ていた明美は、お止めよ!同じ日本兵同士で、良くそんな事が出来るわねと、呆れたように当番兵に声をかける。

あまりの大宮への虐待振りを見かねた兵隊仲間の水巻一等兵(水島真哉)が、香月少尉に直訴に行く。

大宮を、影沼少佐が出かけた副官室に連れて来た明美は、缶詰や洋酒を振る舞うと、自分はいつもは承徳の置屋にいるのだと教える。

それを聞いた大宮は、じゃあ、5日間は空き家じゃねえか!と目を輝かせる。

あなた江戸っ子でしょう?と明美が聞いて来たので、隅田川で産湯をつかったんだなどと大宮が答えると、自分も向島で出ていたと言う明美は喜ぶ。

部屋にあったレコードをかけた大宮は、副官は旅団本部に出かけたので、夕方まで戻らないと言う明美をベッドに押し倒すが、その時、明美は、もう帰った方が良いんじゃない?と言い出す。

大宮は、俺は大将が来ようが、元帥が来ようが、離れるもんか!等と言いながら明美にむしゃぶりつこうとするが、その背後には、いつの間に戻ったのか、副官の影沼少佐が立っていた。

大宮は重営巣に入れられ、手足を鎖でしばられてしまう。

それを知った香月少佐は、影沼少佐に、あのような被人道なそちは許されないと思いますと進言しに行くが、影山は、全ては副官の俺が決める。あんな兵隊は全員への見せしめにあれで良いんだと言うので、香月少尉は、見せしめのために罰はあるのではないと思いますと反論するが、影沼少佐を怒らせただけだった。

有田は、昭和20年7月7日、暗号兵の集合教育を修了し、現隊に復帰、暗号室勤務を命じられる。

予定の3ヶ月よりはるかに早い、1月半での復帰だった。

部隊に戻って来た有田に、水巻一等兵は、大宮が重営巣に入れられていると教えたので、驚いた有田はすぐに営巣のある建物に向かう。

中の様子をうかがっていた有田は、営倉看守から何をしとる!と聞かれたので、大宮一等兵の戦友の有田上等兵であります。現隊に復帰したのを知らせに来たのであります!と、わざと中にいる大宮に聞こえるように答える。

その声を獄中で聞いた大宮は、上等兵殿!と喜ぶ。

そんな有田に声をかけて来たのは香月少尉だった。

部屋に連れて来ると、大宮の処置がひど過ぎるので、副官を取りなして来たが、俺の力ではどうしようも出来なかった。水巻一等兵から、お前と大宮の事を聞いたので、師団指令部の参謀に連絡して、早く呼び戻したのだ。後は貴様の処置に任せる。分かるか?と言うので、それを聞いた有田は、はい!と答え、表情を引き締める。

暗号部にいた有田は、何か考え事をしており、部屋を出ると、軍費の帳簿を調べ始める。

そこにやって来た赤池は、何をしている!と怒鳴りつけるが、相変わらずの悪党だな…、貴様、影沼と組んで、二重帳簿を作り、軍費をごまかしていたな?お前や影沼、滝島のことが良く分かったと有田が言うと、赤池は有田を外に連れ出し、銃を突きつけると、抗命の罪で射殺してやる!と言って来る。

しかし有田は動じず、撃つなら撃ってみろ。こんなこともあろうかと、お前らの悪事を書いた遺書を、暗号の中に残してあると脅すと、大宮を出して、暗号室勤務の当番にするよう副官に進言しろと命じる。

かくて、大宮は営巣から出され、有田と再会すると感激して抱き合う。

俺の手紙、読まなかったのか?と有田が聞くと、呼んだ時には脱走してたんですよと大宮は照れ、どうでした通信の方は?と聞く。

有田は、面白くないな。戦局の話だ。通信にいると色々な情報が入る。日本も危ないな…と教える。

そして、公用腕章を大宮に渡した有田は、疲れてるだろう?無理するなと声をかけるが、疲れてるってのが良いんですよなどと大宮は笑う。

中国人の家から、鴨を盗もうとしていた大宮だったが、家人に見つかると、金を払い、すぐさま承徳の置屋にいた明美を訪ねると、これは土産だと言って渡すが、承徳の日本人たちは、今日限り、松花江へ引き上げなければいけなくなったのだと言う。

それを聞いた大宮は、じゃあ、俺たちはきれいな仲で別れるって言うんだな?と言いながら、明美にキスをしようとするが、その時、鴨を入れた袋を床に落として鴨が出て来たので、明美は驚く。

さつきの店の前にも、日本人避難用のトラックが停まっており、店の主人が、なかなか出て来ないさつきを呼ぶが、顔を出したさつきは、夕子ちゃんの様子がおかしいと呼びかける。

夕子が既に息をしていない事を知った主人が、死んだものはどうしようもないなどと言って見捨てようとしている所にやって来た大宮は、お前は最後まで残って、仏の面倒を見るんだ!と命じるが、主人が金ならいくらでも出すからなどと言って来たので、思わず殴りつけ、自ら、夕子の顔に布をかぶせると、さつきをトラックの荷台に乗せる。

さつきは、大宮さ〜ん、さようなら〜!縁があったら会いましょうね!と呼びかけて去って行き、その後続のトラックには明美も乗っていた。

その夜、消灯ラッパが鳴った後、通信部に緊急通信が飛び込んで来る。

ただちに起床呼集がかけられ、整列した将校たちには、師団本部より緊急指令があり、敵八路3個師団がヨウメンの後方40kmに距離にありシンヨウチンに向かっている。全員玉砕の精神でこれに当たらねばならない。香月少尉は軍旗の安全を期すため、護衛隊を編成し、サイチンの天野旅団へ移せと命じられる。

香月少尉と護衛隊は、軍旗を持って出発するが、途中で、崖上に待ち構えていた八路軍の襲撃を受ける。

護衛隊は全滅の危機にさらされ、森田通信兵が、通信室の有田に応援を頼んで来るが、今の場所を言う前に撃たれてしまう。

側にいた香月少佐も、通信を仕掛けた所で、左肩に被弾、さらに間近での爆発で倒れる。

残念だ…、軍旗が…と、香月は何とかマイクに話しかける。

有田が、香月少尉!今の場所は?と聞くと、チョウケンの南方20km、桜花廟付近…と言った所で通信が途絶える。

それを通信機の側で聞いていた大宮は、香月少尉殿!今から行きます!と叫ぶと、たった1人で部隊を飛び出し、桜花廟への向かう。

現場に到達した大宮は、ほとんど全滅している護衛隊を発見、香月少尉を捜すが、通信機の側で息絶えていた少尉の遺体を発見する。

こうなりゃ、一世一代の殴り込みだ!と叫んだ大宮は、機関銃を持つと、八路軍と応戦中の護衛隊の残党と合流する。

八路軍の見張り台の上にぼろぼろの軍旗を発見した大宮だったが、気がつくと、銃撃している自分たちと八路軍の間に、倒れた満人らしき女(小林直美)と、赤ん坊が倒れて泣いているではないか。

聞けば、逃げようとして流れ弾にやられたと言う。

赤ん坊のいる場所に近づいた大宮は、倒れて泣いていた赤ん坊を抱き上げると、立ち上がり、八路軍に制するようにと手で合図をする。

それに気づいた八路軍も、攻撃をやめる。

大宮は、母親の方も助けて、近くの家の影に連れて来ると、赤ん坊を渡し、母親の足の傷に布を縛り、赤ん坊の頭をなで、強くなれよと言い残すと、手榴弾を八路軍の方に投げ、機関銃をぶっ放して、次々と敵を倒して行く。

そして、軍旗が縛ってあった見張り台の上に昇ると、そこからも手榴弾を下の八路軍に向かって投げ、敵をやっつける。

その後、桜花廟付近に到着した救援部隊は、死んだ兵隊たちを火葬した後、軍旗探索に向かおうとしていたが、その時、崖の上で、その軍旗を振る大宮の姿を発見する。

軍旗に対し奉り、敬礼をして、救援部隊が待っていると、近づいて来た大宮が、香月少尉の軍旗を取り戻して参りました!と報告する。

救援部隊長は、良かった…と大宮を褒め、最後まで自分が持っていたいと言う大宮に、そのまま軍旗を持たせると、列の先頭に立たせて、部隊まで戻って来る。

有田は、無事生還した大宮と抱き合って喜ぶが、大宮は、有田たちが書類を燃やしているので、何かあったんですか?と聞く。

すると有田は、戦争は終わったよ。日本は負けたよと言うので、大宮は、ありがてぇ!日本に帰れる!と喜ぶ。

そして、後1つ、後始末をしなければいけない事があると言い残して通信室を出ると、副官室にやって来る。

そこでは、影沼少佐、滝島准尉、赤池曹長の3人が、それまで隠し持っていた宝石類などを分配していた。

そこへ現れた大宮を見た影山は、貴様、こんな所に何しに来た?と叱り飛ばすが、日本は負けたじゃないか!負けりゃ、上官も兵隊もありゃしねえ!と言いながら影山に詰め寄ると、その首の記章をはぎ取ってしまう。

そして、3人を殴り始めた大宮だったが、滝島准尉が日本刀を振りかざして来ると、それを奪い取って、殴り倒す。

滝島らは、勘弁してくれ!一等兵殿!などと言って詫びて来る。

そこに荷物を担いだ有田がやって来て、派手にやったな〜と感心すると、大宮は3人に、上等兵殿にも挨拶しろ!てめえたちみたいなのがいるから負けたんだ!日本に帰って悪い事したら、許さないからな!と怒鳴りつける。

有田から荷物を受け取った大宮は、戦友たちに、縁があったら内地で会おうな!日本が負けたからって、俺たちが負けた訳じゃないぞ!と励ますと、有田と一緒に部隊の外に出る。

有田は大宮に、これからは、お前が俺の上官だ!と言い、2人はどこまでも歩いて行くのだった。


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