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兵隊やくざ 強奪

シリーズ第8弾で、大映製作のシリーズとしては、これが最終作となる。

さすがに戦争が終わってしまい、もはや軍隊の中での苛めと戦う無鉄砲な大宮と言う図式は通用しなくなったので、今回はがらりと趣向が変わっている。

日本兵が中国解放軍から盗んだ10万ドルの宝探しと、赤ん坊を連れての旅と言う2つのアイデアで物語は展開するが、何だか普通の戦争娯楽アクションになってしまった感じで、もはやかつての、まるで漫画の主人公のように無敵の大宮と言うイメージではなくなっている。

ラスト、夏八木勲が大宮と殴り合いをやるのだが、夏八木扮する松川は、大宮の顔を殴っているが、自分の手の方を痛めてしまうと言ったオーバーな設定はもうない。

まあ、当時の若き夏八木勲では迫力不足で、悪役としては小者にしか見えず、上官と兵隊の身分差を無視しての戦いと言う図式がもうなくなっていることもあり、大宮が勝っても爽快感はない。

60年代後半のこの時期になると、もう映画大手同士の五社協定などは有名無実のものになり、俳優もギャラが高そうなベテランは敬遠して、安く使えそうな新人を起用し始めたと言う事なのだろうが、それは結果的には、次の時代を背負って立つことになる新世代の俳優たちが、結構良い役でスクリーンに登場できたチャンスでもあった訳で、この当時の夏八木さんや江守徹さんなどは、内心張り切って参加していたのではないかと想像したりもする。

話は、有田と大宮が、途中、別れてしまうと言う展開になっているため、有田が知恵を出し、大宮が暴れ廻って危機を脱すると言うコンビネーションがないのも若干物足りない。

その分、赤ん坊と出会う事で、意外に子煩悩な大宮の一面がかいま見せると言う部分や、若き江守徹や佐藤友美の姿を珍しがると言った辺りが、本作の見せ場かもしれない。

全体的に低予算な感じだが、一応、中国人の家などは、それなりにロケセットが組まれており、同時期に東宝で作られていた「独立愚連隊」の後継シリーズの雰囲気に近いような気もする。

シリーズ物の常で、本シリーズも初期の頃が一番熱気もあり面白いが、徐々にマンネリ化して、最後は、これじゃ、観客が離れても仕方ないな…と感じさせるような、どこか空疎な雰囲気が漂う作品になっている。

少し補足をしておきたいが、シリーズ映画をまとめて一挙に観る機会などそうそうない。

今回は、GyaO!と角川のお陰で、そうした得難い機会に巡り会えた訳で、当然ながら、シリーズ各回の感想は「シリーズを通して観て来た上での」印象になっているはずだ。

通常は、古い娯楽映画は単発で観る事が多く、その時は、前後のシリーズの印象との比較などはしない(できない)ので、あくまでも「単発で観た印象」を書いている訳だ。

両者の感想が同じようなときもあれば、全く違ってしまう事もあるだろう。

今回の「兵隊やくざ」シリーズなども、後半の作品を「単発で観ていたら」、又違った印象を受けた可能性もある。

この作品なども、それまでの作品を知らずに単発で観たら、「兵隊やくざ」って、こういう作品だったんだ…と、それなりに満足していたかも知れないのだ。

何年にも渡って、その時代時代にフィットするように微調整して作られて来たであろう作品を、一挙にまとめて観て語ると言う行為は、あくまでも特殊な見方と解釈すべきかもしれない。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1968年、大映、有馬頼義原作、舟橋和郎+吉田哲郎脚本、田中徳三監督作品。

昭和20年8月15日、長い長い戦争が終わった。

満州はソ連軍によって占領され、我が軍の大半は捕虜になった。

かろうじて逃げ延びた者は、万種の大荒野を南へ南へと敗走した。

この時分、各地で満人の武装蜂起が起こった…(と、有田上等兵のモノローグ)

日本人を乗せたトラックが、中国人ゲリラに襲撃される様子をバックに、タイトル

私と大宮は、1日も早く内地に帰ろうと、先を急いでいた。(と、有田上等兵のモノローグ)

大宮貴三郎(勝新太郎)と有田上等兵(田村高廣)は、殺された日本人の死体が折り重なっているのを発見する。

駆け寄ると、近くに、まだ生きている日本兵が5人縛り付けられているのも発見したので、すぐに捕縛を切り助けてやる。

有田は大宮に、持っている食料をくれてやれと命じ、俺たちの分がなくなりますよと不満そうに答える大宮に、ひもじいときはお互い様だと言い、持っていた乾パンを全部5人の日本兵達にくれてやる。

有田は5人に、みんな、後は時分で何とかしろよと言い残して分かれる。

5人はその後、大きな石像のある場所に来ると、その石像からの距離を測りながら、目指す場所に来てみるが、その場所には大きな穴が掘られている事に気づく。

一方、大宮と有田は、突撃訓練をしている日本軍らしき部隊に遭遇、怪しみながらも近づいてみる。

すると、2人は、日本兵たちに銃を向けられ、そこに近づいて来た加藤中尉(須賀不二男)に兵隊たちが敬礼し、大宮と有田が敬礼しなかったので、兵隊から何故敬礼せん!と怒鳴られる。

有田は、俺たちはもう軍人じゃないと答え、戦争は終わったんですがね?と加藤中尉に告げると殴られたので、怒って反撃しようとした大宮をなだめた有田は、我々はもう武装解除している。あんたにはもう我々を殴る権利はない!と加藤中尉に抗議する。

しかし、中隊長にあんたとは何だ!と加藤中尉はいきり立ったので、あんた、終戦の大詔が煥発されたのを知らんのか?と有田が問いかけると、あんなものは腰抜けの重臣どもが勝手にやった陰謀だ。真の御聖断ではない!我々はこの地に留まって敵を迎え撃ち、最後の1兵まで戦い抜く!などと言うので、大宮は呆れて、てめえ1人でやりゃ良いじゃねえかと悪態をつくが、監禁しろと言われてしまう。

牢屋に連れて来られた大宮は、反抗的な態度を取ったので、背後から銃で頭を殴られ、牢の中に昏倒する。

その頃、加藤中尉の部屋にいた特務機関員の松川大尉(夏八木勲)は、兵隊の意気は盛んだなと感心したように言うと、加藤中尉は、全ては大尉殿の思惑通りと答える。

松川大尉は、部屋の中にいた中国人女を側に呼び寄せると、火と命じ、女がすったマッチの火に、なかなかタバコを近づけようとせず、火が女の指に近づいて来てようやく煙草に火をつけると、その女の手を握って、この手で何人、日本人を殺した?と聞く。

しかし、女が何も答えないと、服を脱げ!と命じる。

その頃、糧秣倉庫の中の柱に縛られていた有田は、床に倒れている大宮の顔に、ネズミが近づいてのに気づき声をかけると、ようやく大宮は目を覚ます。

大宮は、俺たち殺されるんですかね?と心配すると、有田も、そうかもな…と答える。

松川大尉は、下着姿になった中国人女に、この身体で何人の男を抱いた?お前の部隊の勢力は殿くらいで、今、どこにいるか言いなさい!などと、彼女の指の間にペンの軸を挟み、それを上から握りしめながら執拗に質問していた。

しかし、女は表情1つ変えないので、なかなかの代物だなと感心した松川は、全部脱げ!と命じる。

一緒に部屋にいた加藤中尉は、尋常の手段ではなかなか…と、その女が口を割りそうにない事に気づいていた。

倉庫の中の大宮は、腹が空いたとぼやき出し、外の監視兵に、飯はまだか?と声をかけるが、飯はない。お前らは銃殺になるのだから、飯など必要ない!などと答えて来る。

有田もさすがに深刻な表情になるが、その時、倉庫の裏の壁の一角が崩れ、何者かが中に侵入して来る。

観ると、それは、昼間大宮らが助けてやった、あの日本兵たちだった。

彼らは、食料品を狙ってやって来たようで、そこに縛られていた2人にも気づくが、何故か、2人を助けようともせず、そのまま缶詰などを盗んで、穴から逃げ去って行く。

がっかりした有田だったが、その時大宮の様子がおかしい事に気づく。

くすぐったそうに身をよじって笑っているのだ。

心配して声をかけた有田だったが、実は大宮を後ろ手に縛っていた結び目の部分に、砂糖でも付いていたのか、ネズミがかじっていたのだった。

そのお陰で綱が切れた大宮は、有田も助け、2人して、穴の相手裏側から倉庫を抜けだすが、外に出てみると、加藤部隊が女を1人銃殺しようとしている事に気づく。

身を伏せて見守っていた有田だったが、隣にいた大宮は、我慢が出来なくなったようで、立ち上がると、日本兵の1人を背後から襲い、機関銃を奪い取ると、その場で発射し威嚇すると、杭に縛られていた女を助け、一緒に逃げ出す。

有田と大宮と中国人女は、部隊を遠ざかり、とある中国人の家の付近に来る。

中に入ってみると、誰も住んでいなかったので、取りあえず、女を寝室に連れて行き、有田は、井戸から水を汲んで、女に飲ませようとする。

しかし、女は飲もうとしないので、不思議に思った大宮が、女の身体に触ってみると、拷問を受けている事に気づき、取りあえず、ベッドに横になるよう勧める。

その際、大宮もその女に覆いかぶさるように一緒に寝ようとしたので、有田が大宮の尻を叩いて諌める。

その時、大宮は、女が何も言わないのはトイレを我慢しているからではないかと思いつき、ションション?などと怪し気な言葉で話しかけてみると、女が頷いたので、トイレに行かせる。

そして、ベッドに残っていた、家の住人のものと思われる女物の着物を頭からかぶり、その匂いを嗅いでいたが、女の帰りが遅いので、ちょっと様子を見て来る事にする。

すると、トイレには女の姿はなく、逃げられたと悟り、周囲を見回していた大宮は、庭の一角に赤ん坊が1人、置き去りにされている事に気づく。

驚いた大宮は、赤ん坊を抱き上げると、有田を呼んで、この子どうします?と尋ねるが、置いとけ、今の俺たちには育てる事は出来んと言われてしまう。

第一、この子、日本人の子か、満人の子か分からんじゃないかと有田が言うと、大宮は憮然として、人間の子でしょう?と答える。

それでも有田は、俺たちといると、どんな危険な目に遭うか分からんと言い聞かし、さっさと家を出て行ったので、残った大宮は仕方なく、赤ん坊を家の中に置いて有田の後を追う。

その時、家の中から赤ん坊の泣き声が聞こえて来たので、大宮は自分に言い聞かせるように、海の親だって捨てたんだから、俺たちが捨てたって…、あのままにしておけば死にますよね?などと有田に話しかけたので、とうとう有田は折れ、大宮、連れて来いと命じる。

喜んだ大宮は家にかけ戻り、泣くな〜よしよし〜♬などと子守唄を浪花節調に歌いながら赤ん坊を抱いて来る。

しばらく歩き、小休止しようと、畑からトウモロコシを持って戻って来た大宮は、残っていた有田が赤ん坊を抱いていたので、受け取ろうとするが渡そうとしないので、可愛くなったんでしょう?と大宮は笑う。

有田は、どんなことをしても内地に帰ろうなと言い、大宮も、内地でも3人でいつまでも暮らしましょう!と大宮も答える。

側に流れる川の中に入った大宮は、内地に帰ったら、隅田川のぽんぽん蒸気に乗せてやるぞ!などと1人はしゃぎ始めるが、有田は、はしゃぐのは早い、苦労はこれからだと声をかけ、今後、万一、俺とお前が離れ離れになった場合は、落ち合う先は蘇家屯だと教える。

それでも大宮は、苦労性だな〜と呆れ、赤ん坊が泣き出したので匂いを嗅ぎ、ウンチをしている事が分かったので、おしめを替えようとするが、その時、赤ん坊が腰に巻いていたおしめ代わりの手ぬぐいに「ふかがわ」と言う日本語が染め抜いてある事に気づき、こいつ、日本人の子では?と感づく。

そんな大宮と有田の様子を、近くの草むらから、中国人らしき2人が監視していた。

大宮は、赤ん坊に飲ませる乳を捜しに、近くの農家に、頬かぶりをして出かけるが、メスヤギがいたのでそれを持ち帰ろうとして、家の主たちに囲まれる。

一方、赤ん坊と一緒に横になっていた有田は、中国人たち数名に取り囲まれた事に気づく。

ヤギを連れて戻って来た大宮は、中国人のジープとトラックが近づいて来たので隠れるが、そのトラックの荷台に有田が乗せられていたことには気づかなかった。

有田がいるはずの場所に戻って来た大宮は、そこに赤ん坊だけが置き去りにされている事に気づき、有田を探す。

その頃、民族解放軍と名乗る中国人たちの住処に連れて来られた有田は、あそこで何をしていた?と聞かれ、日本に帰るつもりで、蘇家屯に行く道中だったと答えるが、方向が全然違う!荷物をどこに隠した?と問われたので、意味が分からず戸惑う。

中国人たちは、今時この辺をうろついている日本人は一味に違いないと言うので、あれか…と思い当たった有田は、苦笑して、言えんなと言い出す。

解放軍の中国人は、あの10万ドルは、我々の軍資金なのだ!と説明し、何とかあり谷口を割らそうと迫るが、殺してみろ、10万ドルの隠し場所は永久に分からんぞと有田はうそぶく。

大宮は、赤ん坊を抱き、ヤギを引っ張って歩いていたが、柱に縛られてしまった有田の方は、こんな時に大宮がいてくれたらなぁ〜…とぼやいていた。

しかし、見張りの中国人が1人だけしかいなくなった事に気づいた有田は、その中国人を呼ぶと、足で床に字を書きながら、10万ドルの在処をお前だけに教えてやると吹き込み、まんまと綱を解かせると、その中国人の後頭部を殴り、銃を奪うと、その衣類を脱がせた後、気絶させる。

中国人の服を着て外に出た有田は、気づいた解放軍が撃って来たので、聞き覚えた片言中国語を叫び、自分の服を指しながら、自分は中国人だとアピールする。

すると、ちょっと距離があった事もあり、解放軍は銃撃を止めてくれたので、有田は堂々とその場を逃げ出す。

その頃、大宮らに助けられた5人は、加藤中尉の部隊にやって来るが、すでに全滅していた。

彼らは、加藤中尉の死体を発見すると、松川大尉も近くにいるはずだと探しまわるが、不思議な事に松川大尉の死体だけは見つからなかった。

その時、近くに潜んでいた八路軍が撃って来たので、5人は慌てて逃げ出すが、2人は撃たれて死ぬ。

逃げ延びた3人は、八路軍のトラックと遭遇したので、慌てて崖下に身を隠す。

そんな3人は、赤ん坊とヤギを連れて近づいて来た大宮と出会う。

大宮は、持っていた水筒の水を旨そうに飲みながら、3人に近づき、銃を持っていたその内の1人権藤兵長(江守徹)に水筒を渡す。

権藤は、その水筒の水を飲もうとするが、その隙に、大宮は権藤が持っていた拳銃を奪い3人に向けると、抵抗して来た3人を殴りつける。

その時、側に置いていた赤ん坊が泣き出し、まずい事に、八路軍のジープとトラックが崖の上に停まる。

大宮は赤ん坊を抱いて地に伏せるが、泣き声は続いている。

さらに悪い事に、八路軍の将校の1人が、彼らのいる場所のすぐ上まで歩いて来る。

権藤たち3人は、赤ん坊の声で自分たちが見つかる事を恐れ、大宮の身体に全員覆いかぶさる。

下敷きになった大宮は、赤ん坊を潰すまいと必死に耐える。

ようやく、上の将校は部下に呼ばれ、ジープに戻ると、トラックと一緒に立ち去って行く。

3人と大宮は、ほっとして立ち上がるが、気がつくと、赤ん坊が動いていないではないか。

死んだのか?この野郎!赤ん坊死んだぞ!てめえたちもみんな死ね!と叫び、大宮は3人を叩きのめす。

その時、ようやく赤ん坊が泣き出したので、死んでいなかった事が分かり抱きしめた大宮だったが、3人への恨みは消えないようで、てめえらも銃殺だ!と言いながら、銃を向ける。

すると、権藤が、10万ドル金貨があるんだ。お前にも半分やると言い出したので、大宮は何の事だ?と話を聞いてみる事にする。

聞けば、彼らがある所で見つけ、内地に持って帰ろうとした金を、特務機関の松川大尉が横取りして、自分たちを置き去りにしたのだと言う。

話を聞いた大宮だったが、その話には乗らず、今お前らが持っているものを出せ!と脅し、3人から財布を頂戴して、その場から立ち去らせる。

その後、大宮は、ヤギがいなくなった事に気づき、おっぱいがいない!おっぱい!と騒ぎ出す。

一方、解放軍から逃げて来た有田はヤギを発見していた。

そのヤギには、赤ん坊の上着が結んであったので、有田は周辺を探し始める。

すると、赤ん坊の泣き声が聞こえて来たので、近づいてみるが、それは、別の女が抱いた赤ん坊と、中国人たちだった事が分かる。

有田は、又、自分の中国服を示しながら、笑顔で立ち去ろうとするが、怪しんだ中国人たちは撃って来る。

その頃、大宮に、笑顔で近づいて来た1人の中国人がいた。

その中国人郭伝燿(平田守)は、私味方と言い、頼みたいことがあるので、一緒に来て欲しいと話して来る。

さすがに警戒した大宮だったが、女と酒もあると言われると、結局付いて行くしかなかった。

民家の部屋のような所に案内された大宮の元に、1人の中国人女性が酒を運んで来る。

大宮は興奮し、その女をベッドに押し倒して寝ようとするが、ベッドの横に置いた赤ん坊が泣き出したので、足であやそうとするがうまくいかない。

その時、郭が大宮を招き、サングラスをかけたボスなる男と引き合わせる。

頼みって何だい?と大宮が聞くと、そのボスと呼ばれた男は、部屋の壁にかけてあった額縁を外すと、そこには望遠鏡のようなものがはめ込まれており、それを覗くと、隣の部屋の様子が見えた。

隣は明らかに賭博場だった。

ボスは、その中の手前のテーブルに座っていた3人の男を片付けてもらいたいと言う。

郭は、金でも欲しいものでも何でもやる。ボスに出来ない事はないとまで言うので、大宮は、有田と言う日本人の相棒がいるが、解放軍に捕まった。助けられるか?と聞くと、出来ると言うので、大宮は引き受ける事にし、郭は銃を渡そうとするが、私、こんなもの使わないと大宮は拒否する。

中国人に化け、賭博場に出向いた大宮は、件の3人とギャンブルを始めるが、コインをテーブルの下に落としたので、それを拾おうと身をかがめた瞬間、向かい側に座っていた2人の中国人が、テーブルに手を延ばして来たので、それを取り押さえ、中に隠していたサイコロを落とさせると、こんなインチキしてやがったのか?と睨みつけると、3人を店の外に追い出す。

その後、赤ん坊を抱いて、外でおしっこをさせていた大宮だったが、そのオシッコのしたには、先ほどの中国人の1人が身を隠しており、大宮の背後には残りの2人が迫って来る。

大宮が3人に連れ去られる所を目撃した郭は、すぐにボスに報告する。

郭は、あれは解放軍ですと言う。

解放軍の住処に連れて来られた大宮は、ふんどし一丁の裸にされ縛られると、梁班長(伊達三郎)から、10万ドルの在処を吐くよう責められていた。

そんな事も知らないで用心棒は出来ない!お前のクラブに隠されている事は調べ上げているのだなどと言われた大宮だったが、知らないものは答えようがなかった。

しかし目隠しをされ、何か言い残す事はないか?と聞かれた大宮は、あると言い、俺が死んだら、あの赤ん坊の面倒を見てくれよと頼む。

梁班長は、よかろう、子供に罪はないと言って承知する。

大宮は、有田上等兵殿〜!坊主、さようなら!と叫び、解放軍は部屋の中で銃を構える。

その時、2階から、1人の少将が部屋に降りて来る。

その人物は、大宮の目隠しを取り、自分がかけていたサングラスも外す。

大宮は、目の前に立っている少将が、自分が加藤軍で助けてやったあの女である事に気づき驚く。

女は大宮の捕縛を解いてやると、解放軍班長楊秋蘭(佐藤友美)と名乗る。

楊秋蘭は、10万ドルは、日本軍に盗まれた大切な軍資金だと説明する。

中国人にしては日本語が巧いなと大宮が感心すると。楊は、日本の大学を出たし、自分は日本が好きです。でも、戦争が人を変えてしまったと嘆く。

今、日本人は、内地に帰ろうとしているが足止めされている。国の命令で、帰す訳にはいけないのだと言う。

話を聞いた大宮は、日本人の恥さらしだ!と憤慨するが、あなたは、その人の用心棒をしているんですよと楊から指摘されると、あの野郎が松川だったのか…と初めて気づく。

大宮は自分がその金を取り返して来てやる。俺は絶対ウソつかない。俺は日本男児だ!と楊に約束する。

その頃、松川は逃げる準備をしていたが、それを横で観ていた郭は、日本遠い、私も連れて行ってくれるね?と頼んでいたが、もっと遠い所へ連れてってやると答えた松川は、机の陰から郭を射殺する。

さらに、もう1人残っていた女にも銃を向け、お前たちが死ねば、俺の事を知る奴は誰もいない!と言い捨てると、発砲する。

松川は車に乗り込むと出発するが、後部座席の下に中国服の一部が覘いている事には気づかなかった。

とある場所に車を停め、降り立った松川は、後部座席からスコップを持った大宮が降りて来た事に気づく。

松川に近づいて来た大宮は、手伝ってやるぜと笑いかけ、松川が立っていた場所を掘り始める。

やがて、穴の中からバッグが見つかる。

松川がそれを持ち上がると、10万ドルって重てえだろう?と大宮は笑いかける。

いくら欲しい?と松川は聞いて来るが、全部さと答えた大宮は、おい、松川、日本人なら、上手な日本語使えと睨みつける。

大宮が、もらって行くぞと言って、そのバッグを持ち去ろうとすると、松川が飛びかかって来たので、大宮は戦い始めるが、松川は途中で銃を取り出す。

大宮は、その銃を押さえつけようともみ合い、次の瞬間、銃声が響く。

松川は、立ち上がるとその場を離れようとし、ばったり倒れる。

大宮は、そのバッグを解放軍の住処に持って帰り、俺はウソつかない!日本男児だ!と繰り返す。

解放軍の連中は礼を言い、部屋を後のするが、1人残った楊は、そんな大宮に敬意を表するように帽子を脱ぐ。

大宮はその楊に顔を近づけるとキスをする。

日本人の帰国に許可が降り、残っていた日本人たちは慌てて、これが最後の便だと言うトラックの荷台に我先に乗り込んでいた。

そこに赤ん坊を抱いて近づいて来た大宮は、有田の姿を探していたが、あの権藤ら3人を見つけたので、以前奪い取った財布を返し、達者でな…、もう悪い夢観るなよと声をかけて分かれる。

これに乗り遅れると、日本に帰れませんと呼びかけていた最後のトラックが出発しても、大宮は乗り込まなかった。

1人、道に取り残され、赤ん坊を抱いて歩き始めた大宮は、向こう側から近づいて来る人陰に気づく。

少し片足を引きづりながら近づいて来るのその男こそ有田上等兵だと気づいた大宮は、上等兵殿〜!と叫びながら駆け寄ると、ひしと抱きつく。

有田も、感無量の表情で、大宮!こいつも無事だったかと赤ん坊の頭をなでる。

大宮は上機嫌で、3人で隅田のぽんぽん船に乗らなくちゃ!とはしゃぐ。

赤ん坊を抱きながら、有田と大宮は、広大な中国大陸を歩き始めるのだった。


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