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ガメラ対宇宙怪獣バイラス

シリーズ第4弾

大映の経営状態が悪化し、前作辺りから低予算化を余儀なくされるようになったこのシリーズだが、本作になると、顕著にその低予算化が目につくようになっている。

これを子供向けになったと評する人もいるようだが、ガメラは1作目から子供を中心に置いたドラマだったし、前作「対ギャオス」に出て来た少年に比べると、まだ本作に登場する正夫たちの方が年長のように見える。

2作目の「対バルゴン」なども、子供が主要な登場人物として登場しないと言うだけで、実際に劇場に観に来ていた観客の大半は子供だったのである。

元々この種の映画は、子供客しか観に来ないジャンルだったのであり、大人向け風に見える作品があるとしたら、それは海外マーケットを意識した予算の掛け方とお色気要素などだったのだと思う。(初代ゴジラなどは、まだ客層が見えていなかった頃の作品)

この作品も、海外配給を最初から意識しており、それは、主人公の少年の1人が外国人である事からも明らかである。

冒頭、バイラスの宇宙船が地球に接近し、思わぬ敵ガメラにやられた後、地球上に恐るべき生物を発見せり!その名は…と若山弦蔵の渋い声が宇宙船内に響くと、宇宙船が大爆発し、それと同時に軽快なガメラマーチがかぶさり、バーン!とタイトルが出る所までは、何度観ても、子供向きの映画のアバンタイトルとしては緊迫感もあり、良く出来ていると感じる。

ただ、残念ながら、本作の見所はそこまで…と言っても過言ではないような気がする。

本編が始まると、一挙にテンションが下がってしまうからだ。

子供映画としては、まあそこそこの出来かも知れないが、怪獣映画としての見せ場は乏しく、途中には、前作までの見せ場シーンが結構長時間挿入されており、東京破壊シーンなどは、モノクロだった1作目の「大怪獣ガメラ」がそのまま使われていたりする。

これは明らかに、本作ではもはや都市破壊などの見せ場を作る予算がないための苦肉の策なのだ。

しかし、こうした手段は、前作までを知ってる子供には手抜きにしか見えず、年長世代の中には、もうこの辺りでガメラを見限った者も多かったと思う。

とは言え、こうした「子供が宇宙人相手に活躍する冒険もの」と言うジャンルは、当時、そんなにたくさんあった訳でもないので、海外でも観ていた子供は少なくなかったようで、今、50才代くらいの世代の中には、ノスタルジーも交え、この作品に愛着を覚えているファンも結構いるのではないだろうか?

偶然だとは思うが、最近のハリウッド映画「プロメテウス」などを観ていると、本作を連想させる部分があったりする。

この公開時は、すでに怪獣ブームは一段落しており、子供たちのブームは妖怪に移りつつあった。(と言うか、大人はそう言う流行に持って行こうとしていた節がある)

本作の併映作が「妖怪百物語」なのも、そうした時代背景があるからなのだが、当時の年長組の子供にとっては、どちらかと言えば「妖怪百物語」の方がメインで、もはや「ガメラ」の方は、弟世代向けの添え物意識だったような気がする。

ただ、明らかに予算がないように見える中、宇宙船は、ガメラが対戦する結構大きなものから操演用のものまで、幾通りか大きさの違う作り物をちゃんと作っているようだし、小型潜水艇なども実物大で登場しており、子供騙しなりに、最低限の予算は使っているように見えるし、宇宙船のデザインなども、その可動要素も含め、今観ても、当時としては結構斬新だったように感じる。

あくまでも、都市破壊など、怪獣映画独特のカタルシスを期待した子供たちからすると、騙された感が強かったと言うだけである。

今改めて見直してみると、宇宙人に降伏してしまったら、子供の犠牲者も2人ではすまなくなると思うのだが、国連はあっさり、子供優先で降伏を選択したり、子供の方は自己犠牲を申し出たりする辺りは、いかにも日本的判断であると感じるし、ガメラが宇宙人に操られ暴れ回ると言うアイデアは、「怪獣大戦争」(1965)の二番煎じのようにも感じる。

怪獣対決がメインでないためか、宇宙船の中のテレパシー実現装置などの子供が喜びそうな小ネタはあるものの、人間の身体を宇宙服代わりに着ているバイラスがいる一方、何故、バイラスのボス的存在だけが檻のようなものの中に入っているのかとか?面白い発想の中にも説明不足気味なものもあり、アイデアマンの高橋二三氏の脚本にしてはかなり釈然としない部分も多い。

子供向けを意識し、血を出す事を極力避けたと言われる円谷英二のゴジラものなどに比べ、血のりがばんばん出るガメラシリーズの伝統通り、この作品では、バイラスがガメラの腹部を。尖った頭部(?)で突き刺すと言う残虐シーンが登場する。

バイラスと言えば、そのシーンと、ガメラがバイラスに乗ってサーフィンするお気軽シーンの2つが、強烈に脳裏に焼き付く作品かもしれない。

シリーズお馴染みの本郷功次郎は、明らかにおじさんなのに半ズボン姿で登場しているし、ジムの父親役は、テレビの子供向けヒーロードラマ「少年ジェット」でブラックデビルを演じていた高田宗彦、さらに、この作品でデビュー後、お色気映画で末期の大映を支える事になる渥美マリ、そして、ウルトラマンタロウこと篠田三郎まで、ちらりと登場していたりするのも見所である。

それにしても、スーパーキャッチ光線で半球上のバリアに包まれた海中のガメラが、正夫たちの乗った小型潜航艇を逃がしてやるために、バリアの下部をゴムのように持ち上げてやるシーンは、どういう素材を使っているのだろうと不思議に感じた。

何回観ても、こういうちょっとした発見が出来る所が、アニメやCGとは違った、実写特撮映画の楽しみ方の1つなのかもしれない。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1968年、大映、高橋二三脚本、湯浅憲明監督作品。

宇宙を飛ぶ、5つの球体が集まったような奇妙な宇宙船。

その中に声が響く。

宇宙船乗務員に告ぐ!宇宙船乗務員に告ぐ!

我々のレーダーは、長い宇宙空間航行の間、我々が探し求めていた我々の攻撃目標をキャッチした。

レーダースクリーン始動!

六角形のスクリーンに映し出されたのは青い地球だった。

これだ!これが我々の攻撃目標、太陽系宇宙で我々の生息にもっとも適した惑星地球である…と声(若山弦蔵)は続ける。

この地球を包む大気は、酸素21、窒素78の混合気体に、アルゴン、炭酸ガス、希ガス等からなり、我々に必要不可欠な窒素を多量に有している。

我々の目標は地球を占領し、我々の植民地にすること!ただいまから地球に接近して攻撃を開始する!

その時、宇宙船に振動が起き、声が、どうした?と動揺し、レーダースクリーン始動!と命じる。

そこに映し出されたのはガメラだった。

何だ?この生物は?こんな生物が地球上に住んでいるのか!この生物は我々の敵だ!攻撃開始!と声は命じる。

ガメラは、宇宙船に体当たりするが、奴のジェット噴射を消すんだ!と声が命じ、それまで下を向いていた宇宙船の各球体の噴射口のような部分が一斉に内側を向き、消化器のように、ガメラのジェット噴射に白い煙を吹きかけると、奴のジェット噴射は一瞬消える。

しかし、後ろ足の噴射は消えず、ガメラは、5つある球体の内の1機を破壊する。

宇宙船内の声は、緊急飛行に切り替える。奴の崩した宇宙船を切り離すんだ!と叫び、次の瞬間、本体から切り離された球体部分は大爆発を起こす。

母なる星バイラスの指令部に告ぐ!第1号機は地球侵略に失敗した。至急第2号機を派遣せよ!地球上に恐るべき生物を発見せり!その名は…(と声が途絶えた瞬間)宇宙船は大爆発を起こす。

「ガメラマーチ」に乗せてタイトル

とある海岸に車が近づき、降り立った2人の男は、ボーイスカウト隊長島田伸彦(本郷功次郎)と、近くにある国際海洋研究所所長ドビー博士(ピーター・ウィリアムス)だった。

島田隊長は、日米合同のボーイスカウト野営地として研究所の敷地を提供してくれた事をドビー博士に感謝し、集合だと命じる。

リーダー(篠田三郎)が笛を吹き、ボーイスカウトたちを全員呼び集める。

その笛に気づいたガールスカウトの中谷マリ子(八重垣路子)は、弟の正夫と、そのアメリカ人の友人ジムの姿が見えない事に気づき、2人を捜しながらも集合地点に向かう。

点呼を取ってみると、115名の隊員のはずなのに113名しか集まっておらず、2人いないことが分かると、島田隊長は、又あの2人だなと見当をつけると、マリ子の友人青山順子(渥美マリ)も、はい!あの2人ですと答える。

その頃、当の中谷正夫(高塚徹)とジム・モーガン(カール・クレイク)の2人は、国際海洋研究所の建物の中に潜んでおり、研究所が開発した小型潜航艇のチャックを研究員が海辺でしているのを盗み観ていた。

研究員たちが立ち去ると、すぐに潜航艇の横に降りて来た2人は、こんなの玩具だよとバカにし、悪戯してやろうか?と言うと、中に乗り込み、バッテリーの+とーをあべこべにすると、円陣が逆回転して、前進がバックになり、バックが前進になるんだと正夫が細工してしまう。

その時、姉のマリ子が、左腕につけたコンパスを観ながら、正夫は東方48度、約200mの所におりますと、島田隊長に教えると、そのコンパス型無線機のアンテナを延ばし、正夫に通信を送る。

遅刻の罰として、夕食を半分に減らすと無線で言われた正夫とジムは、慌てて潜航艇を出ると、集合地点に向かおうとするが、正夫の帽子が風に飛ばされ、高いポールの上に引っかかってしまう。

しかし、ジムが得意の投げ縄の技で落としてくれたので、帽子は戻り、2人は何とか、集合場所に到着する事が出来る。

島田隊長は、今日は、ドビー博士のご好意で、小型潜水艇に乗せて頂ける事になったと全員に通達したので、子供たちは大喜びをするが、正夫とジムはまずい事になったと顔を見あわせる。

小型潜水艇の所に集まったボーイスカウトたちを前に、ドビー博士はこれは子供にでも運転できると説明し、試しに、自分と柴田先生が乗りますと言いながら乗り込んだので、正夫とジムは慌てる。

海に入った潜水艇の中、ドビー博士は柴田隊長に、横のボタンを押すように指示を出す。

そのボタンを押すと、側面にガラス窓が現れ、海中の様子が手に取るように見える。

ドビー博士は、さっそく前進させようとするが、何故か潜水艇はバックし始める。

これには、柴田隊長もドビー博士も困惑し、慌てて色々スイッチを押すが、浮上しようとすると沈んだりと、潜水艇は絶えず逆に動いてしまうので、何とか浜に戻って来た潜水艇から出て来た2人はふらふらの状態だった。

都合により、潜水艇の訓練は中止すると柴田が言うと、ボーイスカウトたちからは驚きと落胆の声が広がるが、そんな中、正夫は、自分は機械に強いし、ちゃんと操縦できる自信がありますと名乗り出る。

青山順子も、マリ子のコンパス型無線機を指しながら、これも正夫くんのアイデアを、正夫くんのお父さんの会社で作ったんですと応援したので、ドビー博士と協議の末、正夫とジムは潜水艇に乗る事が許可される。

マリ子は、海に入って行った潜水艇を見送りながら、きっと竜宮城を探検して来るんだわと皮肉を言う。

正夫の操縦する潜水艇がスムースに動いているので、それを観たドビー博士は、信じられん!奇跡だ!と驚く。

海中に潜った2人は、側面の窓を開き海中の様子に目を見張る。

その頃、宇宙空間では、バイラスからの第2号機が地球に接近していた。

その船内に、又声が響く。

宇宙船乗務員に告ぐ!宇宙船乗務員に告ぐ!

我々2号機は、1号機の犠牲を無駄にしてはならん。ガメラを倒すのだ。どんな事をしてもガメラを倒すのだ!

その宇宙船の影響なのか、海中を航行中の正夫たちの潜水艇も、計器類がおかしくなっていた。

その時、ジムが、90度の方向に怪獣だぞと声を上げる。

正夫はそれがガメラと言う事を知ると、逃げようと怯えるジムに、大丈夫、ガメラは子供の味方だからと教え、腕の通信機で地上にいる姉のルリ子に、僕たちは今、ガメラと並んで走っているんだと通信する。

しかしそれを横で聞いていた島田隊長が、ガメラなんて噓を言っていると、後で夕飯食わせんぞと叱って来たので、今、ジムが証拠の写真を撮っていますと正夫は返事する。

ジムが、ガメラが海底で四つん這いになったと言うので、正夫は潜水艇で、その腹の下をくぐり抜けたりしてみる。

その時、宇宙に浮かんでいたバイラスの宇宙船から、スーパーキャッチ光線がガメラに向かって発射される。

すると、ガメラの周囲にドーム上のバリアが出来てしまい、その中に閉じ込められた正夫たちの潜水艇も外に出られなくなる。

正夫は地上の姉に連絡を取ろうとするが、通信機も聞こえなくなっている事に気づく。

すると、ガメラが、バリアの下の部分を手で持ち上げてくれたので、その隙間から潜水艇は無事逃げ出す事が出来た。

宇宙船の中に声が響く。

このスーパーキャッチ光線の有効タイムは後15分である。

我々は15分以内にガメラの自由を奪う方法を発見しなければならない。

従って、ただいまよりガメラの記憶装置をビデオドロームに再生し、ガメラの過去を調査する。

ガメラはいつ、どのようにして誕生し、どのような性能、それを知り、ガメラの弱点を見つけ出そう。

北極生まれのガメラのこれまでの活躍、対バルゴン、対ギャオス戦が再現される。

ガメラは恐るべき破壊力を持った動物であるが、唯一の弱点は人間の子供に対して、異常なまでに好意を示すと言う事にある。

いかん!スーパーキャッチ光線の有効期限が切れる!即刻ガメラ攻撃を開始する!

陸に戻って来た正夫たちは、本当にガメラに助けられたんですと弁解するが、証拠としてジムが差し出したインスタント写真は、海の中でフラッシュを焚いてしまったため、真っ白になってしまっていた。

その時、ボーイスカウトたちは、空から飛来したバイラスの宇宙船と、海から浮上して来たガメラに気づく。

正夫とジムは喜び、ガメラの名を呼びかけながら浜辺を走って行ったので、ルリ子と島田隊長は、ボウーイスカウトたちを研究所に避難させると、慌てて2人の後を追う。

その直後、宇宙船から浜辺の2少年に対し、スーパーキャッチ光線が発射され、2人の姿は消え失せてしまう。

バイラスの宇宙船の声が、脳波翻訳装置を使い、ガメラに直接語りかける。

ガメラに告ぐ!お前が我宇宙船を攻撃するなら、あの2人の少年の命はない!

ルリ子と島田隊長が、ドームに包まれた正夫たちの側に駆けつけると、ドームと少年2人の姿は浜辺から消えてしまった。

ガメラに告ぐ!2人の少年は人質にした。今度、お前がこちらの命令に従わないと、2人の少年の命はない!

ガメラ、着陸せよ!命令に無視すると、2人の少年の命はない!

海洋研究所に戻って来た島田隊長は、リーダーから、全員退避終わりましたと言う報告を聞くが、姉のルリ子は泣き出したので、ガールスカウト仲間の順子や柴田正子(八代順子)が慰める。

その時、研究所の建物すれすれに接近したガメラが近くの浜辺に着陸する。

続いて宇宙船も着陸したので、ルリ子は、あの中に弟たちが捕らえられているんです。何とかして助けて下さい!とドビー博士に頼む。

気がついた正夫とジムは、自分たちが見知らぬ場所の中にいることに気づく。

そこに、医者のような格好をした男たちがぞろぞろ通り過ぎて行くのが見えたので、何だい、あの人たち?捕虜にしては変だな?と話し合い、おじさん、僕たちみたいに捕まえられたんだね?一緒に逃げましょうと正夫が話しかけてみるが、相手(橋本力)は返事もせずに、通路の方へ行くと、空中を飛んで移動して行く。

それを観た正夫とジムも、空中を飛ぼうと真似をしてみるが出来なかったので、便利な物は何でも大人用だからなとぼやく。

通路を進んでいた正夫とジムは、自分たちが通り過ぎた通路に、透明な膜のような仕切りが出来ているのに気づくが、ドアのような物だろうと解釈する。

一室に集まっていた医者姿の男の1人(夏木章)が、ただいまよりガメラ攻撃開始すると、壁の装置に向かって言う。

脳波コントロール受信機用意!レーダースクリーン始動!レーザー光線発射用意!

レーザーをガメラに向けて発射し、ガメラが弱まった様子を見た男たちは、脳波コントロール装置発射!と叫ぶ。

宇宙船から発射された、半球上の装置がガメラの首筋に付着すると、それをスクリーンで観ていた医者姿の男が、これでガメラの脳波を自由にできると言う。

ガメラ飛び立て!と男が命じると、ガメラは飛行し出し、宇宙船の廻りを飛行せよと男が命じると、その桃李実行する。

ガメラが脳波をコントールさせ、自由に操られるらしい。何とかしなければ…と気づいた少年たちは、船内を探検してみる事にする。

ある部屋に来て、何だか、咽が渇いたな…、ジュース一杯でも飲みたいな…と正夫がぼやくと、壁面の装置の一部が開き、コップに入った2杯のジュースが出て来る。

2人は恐る恐る口にし、日本製のジュースより美味しいと正夫はいうが、そのコップを装置の上に戻した瞬間、ジュースは引っ込んでしまったので、サンドイッチと言えば良かったと公開すると、又装置の一部が開き、そこにはサンドイッチが乗っていた。

それを見た正夫は、この宇宙船はテレパシーで動いているのだと気づく。

何でも、頭で望んだ事が実現する装置なのだった。

そう分かったジムは、ここから逃げ出すため、パラシュートを出してくれと頼み、正夫もあいつらをやっつける武器をくれと頼むが、何故か機械は反応しない。

そこに、あの医者姿の男たちが現れ、テレパシー実現装置にはセイフティ回路がついており、宇宙船に危険な事を考えた場合のみ、そのテレパシーを実現しないのだと説明する。

お前たちは、ガメラをコントロールするための大切な人質だ。この宇宙船の中で自由に振る舞うのは差し支えないが、破壊活動だけは絶対に不可能なのだ。

彼らは全員、不気味に目が光っていた。

ジムは、彼らにカメラを向け写真を撮ろうとし、正夫は、お前たちは日本人じゃないのか?と聞き、ジムも、宇宙のどっかに、地球と同じような星があって、そこから来たのか?と聞くが、男たちは何も答えず、別の部屋に向かう。

あいつらは地球人じゃない。あいつらに地球を占領されたら大変だぞと正夫は見抜き、ジムは、あいつらをやっつける方法はないかな?と首をひねるが、その時、正夫は、そうだ!と何かを思いついたようで、テレパシー実現装置に、リンゴが食べたくなったなどと言い出す。

ジムは、そんな事言ってる場合じゃないよと呆れるが、リンゴを剥くにはナイフがいるだろう?と正夫が囁きかけると、すぐにその意図を見抜き、僕も食べたくなったと言うが、出て来たのは皮をむいたリンゴだったのでがっかりする。

その時、テレパシー実現装置が何かに反応する音が聞こえたので、又、何か起こったかもしれないと感じた2人は、テーブルの陰に身を潜めていると、そこにやって来た医者姿の男の1人が、テレパシー実現装置の中から、ミルク缶のような容器を取り出して別室に向かうのが見えた。

その男の後を追って、違う部屋にやって来た正夫たちだったが、そこは何故か暗かった。

正夫は、自分の帽子を何かに取られてしまい、部屋が生臭い匂いで満ちていたので振り向くと、そこには、巨大なイカのお化けのような怪獣が檻に入れられていた。

あいつも僕たちように、どこかの星から誘拐されて来て、動物の見本に飼われているんだな。その後で動物の博士が改造して身体の中を調べるんだと感じた正夫だったが、ジムが檻から出してやろうとすると、猛獣かも知れないものを出すのか?と言って止める。

じゃあ、僕たちもどこかの星に連れて行かれるのかな?と心配するが、その時、檻の中の怪獣が頷いたので、自分たちの言葉が分かると気づいた2人は、何かの役に立つかもしれないと言う事で、その怪獣を檻から出してやろうとするが、どこにも鍵らしき物が見当たらなかった。

その時、又、医者のような男が1人やって来たので、ジムに投げ縄を投げさせ、男の右腕に巻き付けると、お前たちの動物園に連れて行かれてたまるか!と正夫が抗議するが、次の瞬間、男の右腕はすっぱり切れて、正夫たちの方に飛んで来ると、2人の腕を捕まえ、壁に押し付ける。

男は、宇宙船の中で破壊活動は不可能なのだと、右腕を元に戻しながら言うと、宇宙船内で自由に振る舞う事も禁止すると笑いながら言い、正夫とジムは、壁にガラス製のくさびのような者で身体を固定されてしまう。

ガメラは、宇宙人から、奥武蔵ダムを破壊せよと脳波コントロールを通じて命じられ、その言葉に従う。

次の攻撃目標は東京だ!と宇宙人は脳波コントロール装置に伝える。

宇宙船の中では、壁に張り付けられた正夫が、コンパス型通信機の呼び出し音に気づき、何とか腕を引き抜き、通信機で、地上の姉のルリ子に連絡を取っていた。

弟がまだ生きていた事を知ったルリ子は喜びながらも、ガメラが暴れ回っていると教える。

それを聞いた正夫は、ガメラは脳波を宇宙船からコントロールされているんだ。僕等は人質になっており、今、壁に張り付けられているんだと答え、ルリ子は、いつもイタズラする時のように2人で元気出してねと励ます。

そんな2人は、医者姿の男の1人がミルクタンクのようなものをテレパシー実現装置から取り出し、先ほどの怪獣の部屋の方に持って行くのを観かけ、あれは怪獣の宇宙食じゃないのか?と想像し、又自分たちの空腹を思い出すのだった。

ガメラは宇宙船から指令されるがまま、東京を襲撃し、東京タワーや東京湾の石油コンビナートも倒す。

そんな中、宇宙船の男は地球人に対し、我々はガメラを自由にコントロール出来るのだ。地球人が降伏しない限り、次々とガメラに攻撃を続けさせる。これ以上無益な破壊を好まぬならば、速やかに地球人は降伏すべし!降伏せぬ場合は、人質の2人の少年の命も保証できないと言い渡す。

自衛隊司令官(藤山浩二)は、停電した作戦本部の中で、今やガメラによる災害区域は全国に拡大しているが、我々が所有する武器ではガメラを葬り去る事は不可能であります。根本的な作戦としては、宇宙船を攻撃するしかないのだが、その中には少年が人質になっている…と説明する。

そこに、ジムの両親(高田宗彦、メリー・ムラス)と、正夫の父親(北原義郎)がやって来て、何とか子供たちを助けられないのか?と司令官に聞いて来る。

司令官は無念そうに、我々は救出の方法を持たず、今や選択肢は2つしかない。子供たちを助けるために地球全人類が降伏するか、子供たちを犠牲にして宇宙船を攻撃するか2つに1つ、今、その判断を国連本部の緊急理事会で話し合っており、その連絡を待っている所なのですと言う。

正夫の父は、無線機の事を姉のルリ子に確認するが、遠ざかると聞こえなくなると知り、やっぱりか…と落胆する。

対策本部にドビー博士と共に参加していた島田隊長は、後10分でこの通信機の出力を上げて、正夫くんと連絡を取りますと正夫の父に伝える。

正夫は、ジムが投げ縄を持っている事を確認すると、その片方を自分が掴み、上部のくさびに引っ掛けた部分を引っ張ると、ジムの身体を少し浮かす事が出来、ジムは、何とか足が抜けたので、床に降りる事が出来た。

ジムのいた部分の空間が空いたので、正夫もそこに身体を曲げながら何とかくさびを脱出する事が出来た。

その時、通信機が通じ、今、国連で、2人を助けるか、全地球人類が降伏するかの選択を話し合っていると教えると、ジムと正夫は、僕たちは犠牲になるので攻撃して下さいと答える。

しかし、その時、作戦本部に国連から電話が入り、結論として、2人の少年を犠牲に出来ないので、我々は降伏しますと司令官がその場の全員に伝える。

ルリ子から、地球は降伏する事になったと聞かされた正夫は、僕たちにどうなっても良いんだ、攻撃して下さい!と頼むが、司令官は、これは国連本部で決定したことだし、これ以外に方法はないんだよと伝える。

その時、通信機の側にいた島田隊長は、あれから潜水艇のエンジンを点検してね、君たちがバッテリーのコードを逆に繋いだイタズラを発見したと言い出したので、通信機の前にいたドビー博士は、今頃そんなイタズラの話なんか…と眉をひそめるが、島田隊長は、いえ、あのいたずらが人類を救えるかもしれません。君たち何とかして、ガメラのコントロール装置を逆に付け替えるんだと2人の少年伝える。

それを聞いた正夫たちは、分かったぞ!コイルをあべこべに付け替えれば電流があべこべに伝わり、ガメラに対する命令があべこべに伝わるんだ!と隊長の意図に気づくと、やってみますと答える。

地球人の降伏によって、我々の第一段階は終わった…と、スクリーンで大火災の様子を観ていた宇宙人は言う。

これで何の抵抗もなく、第二段階の攻撃に移る事が出来る。

宇宙1優秀なバイラス人にとって、我々以外のものは全て不必要なのだ!ガメラ、地球人そのものを壊滅せよ!1人残らず皆殺しにするんだ!と言う声を聞いた正夫たちは、畜生!と言い、大変だ!怪獣が暴れているぞ!と声を出して、宇宙人たちを部屋の外に追い出すと、リモコン装置の赤と白の三角型のコイル部分をあべこべに入れ替える。

怪獣が降りに入れられた部屋にやって来た宇宙人たちは、騙された事に気づく。

スーパーキャッチ光線の発射装置を聞いた正夫たちは、同じように計器のコイルをチャンジし、自分たちに向けて発射させる。

すると、想像通り、2人の身体は元の浜辺に戻っていた。

スクリーン室に戻って来た宇宙人たちは、2人の少年が逃げ出した事に気づき、驚くと共に、ガメラに、あの2人を始末させようと指令を出す。

ところが、ガメラが突撃したのは、少年2人の頭上を越えたバイラスの宇宙船だった。

それを観た正夫とジムは、万歳!と喜ぶ。

宇宙人たちは、破壊を免れた怪獣の部屋に集まる。

宇宙人たちは、怪獣をボスと呼び、我々もここに置いて下さいと頼む。

すると、怪獣を入れていた降りが外れ、その前に立った宇宙人の1人が怪獣通信機を始動させる。

その時、又、声が響き、母なる星バイラスの司令部!ガメラを殺さない限り、地球占領は不可能です。

我々2号機は、これより緊急飛行に移りますと伝える。

宇宙船の5つの球体の1機が、本体から外れて空中に飛び出したのに気づいた正夫は、ガメラ〜!宇宙船が逃げるぞ〜!と呼びかける。

ガメラは、その声に答えるように、残っていた球体の1つを、飛び立った球体にぶつけ、弾かれた球体を頭突きで岩場に激突させ、破壊する。

すると、ガメラの首筋に付いていたコントロール装置も爆発してなくなる。

正夫とジムは、墜落した球体の中の様子を見に近づくと、中には、あの怪獣を前に、医者姿の男たちが5人整列していた。

中央の怪獣は、最後の手段だ。私はどんな事をしてもガメラを殺す!そのために、今からお前たちの命をもらうと言うと、触手で5人の首を一挙に斬り落としてしまう。

すると、首ないまま立っていた人間たちの首の中から、小型のバイラス怪獣が出現し、次々に中央のボスバイラスの身体に合体し始める。

それを観た正夫は、あの人たちは、僕たちのように、スーパーキャッチ光線で誘拐され、あの宇宙人が人間の身体を宇宙服代わりに着ていたに違いないよと推理する。

5体のバイラスを合体したボスバイラスは巨大化し、岩場の宇宙船の残骸の中から姿を現す。

正夫たちは逃げ出す。

巨大バイラスは、球体の1つをガメラにぶつけ、目の前で爆破する。

浜辺で戦いを見守っていた正夫は、ガメラ!火焔噴射だ!と指示を出す。

ガメラはその通り、バイラスに火焔噴射を吐きながら迫って行く。

バイラスは、一旦海中に没するが、ガメラが水際に近づくと、海中から触手を伸ばして来て、ガメラの首に巻き付けると、水中に引き込もうとする。

バイラスは、頭部を三つ又に開き、それで岩場にしがみついていた。

しかしガメラは踏ん張り、逆に、バイラスの身体を地上に引っ張り出す。

ガメラはバイラスの足を持ち、頭部を砂浜に叩き付ける。

バイラスは、触手をガメラの両足に巻き付けると、ガメラをひっくり返し、さらに触手で足を掴み岩場に叩き付ける。

起き上がったガメラは巨大な岩を持ち上げると、それをバイラスの尖った頭部に投げつけて突き刺す。

頭部が開かなくなったバイラスは、海に潜ると、海底の岩で頭にはまった岩を砕く。

そんなバイラスの足を掴んだガメラは、海面を滑走し逃げ出したバイラスをサーフィンのように利用する。

正夫とジムは、良いぞ!ガメラ〜!と喜びながら浜辺を走って行く。

やがて、バイラスは海底に尖った頭を突っ込み、反動でガメラは浜辺に叩き付けられる。

腹を上に向けて動けなくなったガメラに、バイラスは尖った頭部で頭突きを食らわせ、腹に串刺し状態のまま岩場に激突する。

バイラスは、執拗に、ガメラの腹に、尖った頭部を突き刺してくる。

正夫たちは、ガメラの側で必死に応援を続ける。

すると、ガメラは、バイラスを腹に突き出したまま、背面の状態で空中に浮上し始める。

上空高く舞い上がると、ガメラに逆立ちの状態で突き刺さっていたバイラスの身体が凍り始める。

ガメラ、正常な姿勢に回転し、下にぶら下がったバイラスを、赤ん坊用のガラガラのように回転させ始める。

やがて、凍り付いたバイラスは、ガメラの腹から抜け落ち、海中に落下する。

あ!バイラスの最後だ!ガメラが勝ったんだ!と喜ぶ正夫とジム。

そんな2人に駆け寄って来たボーイスカウト仲間と両親、ドビー博士たち。

良くやったな。良くイタズラの理論を応用できたなと島田隊長は褒めてくれるが、ルリ子は、しかし、イタズラの罪により、夕食は抜きよと冷酷な事を言って笑う。

青山順子も、良かったわねと2人に笑顔で声をかける。

その時、ガメラが回転ジェットで飛び立って行ったので、正夫とジムは、手を振って、さよならと見送るのだった。