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大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス

昭和ガメラシリーズ第3弾

前作「ガメラ対バルゴン」で、大人向け(?実際は、小学生高学年程度向けだったと思うが)を指向したこのシリーズだが、結局、この手の作品を観に来る客層は子供しかいないことに気づいたからか、1作目同様、ガメラと心を通わせる子供を中心とした、かなり子供向け…と言うより、低年齢層向け内容になっている。

予算も厳しくなって来たのか、前作よりもかなりスケールダウンしている感は拭えず、今のCG映像を見慣れた目から観ると、ちゃちそのものなのだが、話の展開自体は面白く、怪獣の特長を事細かに説明したり、奇抜な作戦を考え、実行しても、後一歩と言う所で失敗したり…と言ったハラハラ感の畳み掛けは巧く、当時の子供を夢中にするには十分な出来となっている。

子供が怪獣の対策本部に自由に出入りし、色々大人たちにアイデアを授けると言う発想は、大人が考えた「子供の憧れ」なんだろうが、観ている子供としては必ずしも嬉しい訳ではない。

少なくとも、当時10歳以上の子供たちの中には、この「子供が活躍する」と言う部分は、しらけた設定だったと感じた子もいたはずだ。

金子修介監督などもその1人だったようで、平成版の「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995)では、子供は登場するものの、子供が大人のように活躍したり、ガメラが子供の味方などと言う、いかにも嘘くさい子供騙し描写は少なくなっている。

英一が劇中で絵日記を書いていると言うのは、後年の同脚本、同監督作品「ボクは五才」(1970)の、絵日記を頼りに父親探しの旅に出かける幼稚園児と言う発想に通ずるものがある。

名古屋地区に飛来したギャオスが、電車の屋根を剥がし、逃げ出した乗客を補食したり、野球場が登場したり…と言った部分は、「ガメラ 大怪獣空中決戦」でも引用されているし、この作品で、ひょろりとした気の弱そうな八公と言う、丸井太郎扮する人夫の熊の弟分のような役を演じているのは、同じく「ガメラ 大怪獣空中決戦」で大迫力を演じた蛍雪次郎氏の師匠に当たると言う螢雪太朗氏である。

ギャオスが夜行性と気づいた後、明かりを灯した飯場からギャオスの出現を発見したり、ギャオスの羽ばたきで身体が浮かんだりと、ややコミカルな面も持ち合わせ、怪獣と関わる重要な役柄を演じているのも同じである。

今観て感心するのは、「釈迦」(1961)などと言う超大作の主人公まで勤めたような大映の人気者が、一方で、こうした子供向けのチープな作品にもちゃんと出ていること。

これは、東宝の初期特撮映画などに習い、海外マーケットを意識していたからではないかと想像する。

昭和シリーズ末期の頃の、幼児向けの設定とは対称的な、身体の線を強調したようなお姉ちゃんキャラのようなものが登場しているのもそうした海外マーケット戦略の名残だろう。

この「ギャオス」辺りまでは、まだぎりぎり高学年層も我慢して観ていたが、そろそろ大映のガメラシリーズは卒業しようかな?と考えた子供もいたはずで、この後、ガメラシリーズの低年齢化と低予算によるチープさはますます顕著になって行く。

それは逆に言えば、当時、低年齢層だった世代にとっては、この作品などは、まさしく自分たちの映画と感じた人たちもいたのか、ギャオスの造形や特長の分かりやすさもあり、ギャオスは、作品の評価とは又別に、ある世代の怪獣ファンたちの中では人気キャラになって行ったような気がする。

悪役が多かった名脇役、上田吉二郎が好々爺を演じているのも貴重である。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1967年、大映、高橋二三脚本、湯浅憲明監督作品。

北緯31度、東経140度、突如海底より明神礁が噴火!付近を航行中の船舶は警戒を要す!

本日未明、三宅島小島が噴火!、全島民が緊急避難!(…と、写真や記録フィルムに声がかぶさる)

地殻変動計測所 地下地震研究室の集結する新聞記者たち

記者会見が始まり、最新データを持って会場に現れた所長(丸山修)に、待ち構えていた記者の1人が、その計測系は相当大きな地震規模をキャッチしているようですが?と、壇上横に設置された地震計器メーターを指差しながら口火を切る。

青木博士はそれを否定せず、富士火山脈が活動を開始したことを意味します。

噴火の場所が南から北へ移動していると言うことは、今後さらに北の休火山が活動が起こることは予想されますか?と言う質問にも、十分できますと答えたので、まさか、富士山が…と記者が呟く。

しかし、その後、富士山は大噴火を起こし、付近の村では、不吉なことが起こらなければ良いが…と老人が、村長金村辰衛門(上田吉二郎)に耳打ちしていた。

そんな中、村長の孫英一(阿部尚之)は、ガメラが噴火する富士山に飛来したのを目撃、姉ちゃん、ガメラだよ!と嬉しそうに目を輝かせる。

回転ジェットで飛来したガメラは、富士山火口から流れ出す溶岩の炎を吸収し始める。

タイトル

富士山の噴火と、その溶岩を求めて富士山火口へと入ったガメラを調査するため、ヘリコプターで調査団が出発する。

「中央縦断高速道路 富士東地区工事現場 高速道路公団」と立て看板が立ったプレハブの事務所から、現場主任の堤志郎技師(本郷功次郎)は、飛来した調査ヘリの様子を見るために表に出たため、事務所の電話が鳴ったのに気づかなかった。

電話をかけていたのは、高速道路公団開発局長(伊東光一)からの指示を受けた秘書だったが、出ないと言うと、日本高速道路を本年中に完成することを公約に公債を発行しているおる。公約を実現すること、これが我々にとって至上命令なんだ。それがどうだ!と地方課長に叱責する。

地方課長(遠藤哲平)は、他の地区は9分通り完成しているのに、コース予定地区に立ち退き反対運動が起こりまして、中部地区のみ未完成でありますと報告すると、言語道断も甚だしい!工事が中断しているそうじゃないか?と文句を言う。

その時、堤に電話が通じたと言うので、総合調査団の調査結果を検討して、富士火山脈の活動範囲を知りませんと危険だと思いますと言う堤に、富士山が噴火しようがガメラがやって来ようが、工事遅延の言い訳にはならんのだ。今日中に、立ち退き反対の地主にうんと言わせるんだ!と一方的に命じて電話を切る。

仕方なく、堤は、工事人夫のマイトの熊(丸井太郎)や八公(螢雪太朗)に、工事再開だと伝えるが、富士が噴火しそうだって言うのに…と熊はぼやく。

富士山火口を上空から観察していた調査団のヘリは、近くの二子山から突如、黄色い光線のようなものを発射されたので、迂回して逃げようとするが、ヘリは光線でまっ二つに切断され、墜落してしまう。

調査ヘリ墜落事件の臨時捜査本部に、パトカーで県警本部長(大山健二)がやって来たので、記者たちが一斉に詰め寄り、富士の噴火と関係があるかとかガメラとの関連性に付いて、はたまた、二子山に墜落したヘリからは、死体が一つも発見されなかった点など質問を浴びせるが、本部長は発表を待ってくれと受け流して建物内に入って行く。

そんな中、発表なんて待ってられるか!と吐き捨てた東洋新聞カメラマン岡部(三夏伸)は、単車に乗って現場へ1人向かうことにする。

工事現場にやって来た熊や八公らは、そこに立てられていた「高速道路貫通反対同盟」なる看板をバリケードのようにして道を塞ぐ反対派の村人らを発見して驚く。

そんな中、岡部はマスコミと気づかれぬように、村人たちに会釈して村への道に入り込んでしまう。

村長の孫娘すみ子(笠原玲子)は、今日は危ないので帰って下さいと、熊たち工事関係者に頼む。

岡部は、二子山ハイキングコースの入口に到着していた。

村長の家に集まった反対同盟の村人たちは、又、工事が始まったので、今日中に奥の飯場は壊そう。保証金などと言うのは、ごねればごねるほど上がる。こんな山ん中の貧乏村にこんなぼろい金儲けは二度とないだろうなどと、牧場主(小山内淳)を中心に、欲に目がくらんだような話し合いをしていた。

そこに帰って来たすみ子は、この辺に高速道路が通ったら便利だし、村も開けて何よりじゃない?と眉をひそめるが、出迎えた婆やは、土地を捨てる人たちの気持ちはそう簡単にいきませんよと諭すのだった。

すみ子は、英一がいない事を知ると、せっかく絵日記を買って来てやったのに…と呟く。

その頃、山奥の飯場に到達した熊たちは、そこがめちゃめちゃに荒らされているのを見つけ唖然としていた。

堤は、これは明らかに妨害だなとつぶやき、熊たちには、話し合いがすむまでは、今後も妨害があるかもしれんが、何事も辛抱してやってくれと頼む。

片付けを始めた時、八公が、大将!あれは何でおます!と言いながら、二子山の方を指差すので、みんなが目をやると、山の中腹が緑色に光っていた。

地層に金の鉱脈がある所は何かの気象条件で光ることがあるそうだが…と堤が言うと、あの爺さんたちが俺らを山に近づけようとしないのは、金が出るからでは?と熊が推測する。

どちらにしろ、二子山は、工事予定地なので調べに行こうと言うことになる。

その頃、すでに二子山に入り込んでカメラを回していた岡部は、木の陰に隠れていた英一から石を投げられ、近づくと、ハイキングをしているので案内してくれないか?と頼んで来る。

しかし、英一は岡部を新聞社の人だろう?と見抜き、案内したら、ボク、裏切り者になるよと断るので、あの不思議な光線のことを調べたら特ダネになるんだがな~…、もし、ガメラでも来たら、すごいことになるぞなどと焚き付けられると、好奇心をこらえられなくなる。

結局、岡部を案内して山奥に登ることになった英一だったが、そこには大木が倒れていたりする。

青く光る洞窟の前に来た英一は、いつもこの幌穴は光るのかい?と岡部に聞かれると、初めてだよと答え、この中に入ったことがあるかいと聞かれると、ないよと答えながらも、せっかく来たんだから、探検して行こうよと言い出す。

中に入ってみた岡部は、中に風が吹いていることに気づくと、もう1つ、抜け穴があるってことだな…と呟くが、その時地震が起こり、洞窟内が崩れ始める。

英一は動けなくなり、おじちゃん怖いよと助けを求めるが、岡部の方はもっと怯えており、英一をその場に残したまま先に洞窟を出てしまう。

そんな岡部は、自分の身体が空中に持ち上がったと感じ入ると、目の前に不気味な怪獣の巨大な口が開いており、その中に投げ込まれてしまう。

二子山を登っている途中だったハチ公は、兄貴、今何か聞こえまへなんだか?と熊に聞くが、熊も堤も何も聞かなかったと答える。

一方、英一も、落盤の隙をついて何とか外に逃げ出すが、巨大な怪獣が目の前にいることに気づき逃げ出すが、崩れて来た大きな石が足の下に乗り、身動きが取れなくなったので、お母さ~ん!お姉ちゃ~ん!と叫ぶ。

その時、近くの崖が突如崩れ、ガメラが出現する。

英一は喜ぶが、次の瞬間、怪獣の手に掴まれ持ち上げられてしまう。

それを発見した堤たちは、その子供が、村長の孫の英一だと気づく。

怪獣に接近したガメラは、怪獣が口から吐く光線で、右手を斬られてしまい、どくどくと青い血が溢れ出す。

怪獣の手から落ちた英一だったが、ガメラが自分の手でキャッチすると、火焔噴射でギャオスを牽制しながら、英一を自分の甲羅の上に乗せると、その場から飛び立ち、噴火している富士山の横を飛行する。

甲羅に捕まった英一は、ガメラ、良いぞ!良いぞ!と喜ぶ。

お孫さんがガメラの背中に乗っている!と知らされた村長と姉のすみ子は、ジープに乗せられ、ガメラが降り立ったハイランドパークホテルの側まで連れて来られる。

ガメラが、観覧車の横にいるので、駆けつけた堤は、自ら観覧車に乗り込み、ガメラの甲羅部分まで上昇する。

ガメラは、それに呼応するように、自らの身体をより観覧車の方へ近づけたので、甲羅の端に向かった英一を、ゴンドラの中へと堤は救出する。

観覧車のゴンドラが、ガメラの顔の横を通って下降する時、英一はガメラ~!と呼び掛け、ガメラはそれに答えるように叫ぶと、火焔噴射を始め飛び去って行く。

下で待ち受けていたすみ子と村長に会った英一は、ガメラ、さよなら!さよなら!と手を振り、怪我はなかったかと駆け寄る村長に、大丈夫だよと答え、姉ちゃん、ボク、ガメラに乗ったよ!と自慢げに話す。

英一がガメラの背中に乗ったことは、大きく新聞紙上で紹介される。

自衛隊の対策本部に招かれた英一は、ギャオスの口から光が出てね、ガメラの手に当たると、メスで切ったように傷が付くんだなどと生々しい目撃談を披露するが、そのギャオスと言うのは?と聞かれると、ボクが名前つけたんだ。泣き声がギャオって聞こえるもん!だと英一は答える。

仕方なく、大人たちもギャオスと怪獣の名を呼ぶようになり、あのギャオスは鳥類かは虫類かと質問する。

青木博士は有史以来、あのような怪獣が存在したことはなく、あえて言えば「怪獣類」だろうと解説する。

次いで光線のことを質問された青木博士は、まず超音波発生装置から出た900万サイクルの超音波メスが金属を切断するの映像を流し、次いでギャオスの解剖予想図を示しながら、ギャオスの背骨は咽骨の部分が二本に別れており、それがあたかも音叉のように共鳴しあって、あの殺人的超音波を発生しているのではないかと説明する。

自衛隊中部司令官(夏木章)は、ギャオスには咽骨が2本ある訳ですな?と確認し、それで、ギャオスの首は後ろに廻らないのではありませんか?と堤は指摘する。

超音波光線を避け、攻撃するにはギャオスの背後に回れば良いのかと司令官は気づく。

緑色に輝く光については、空腹を覚えるか怒りに燃えるか、動物的本能に目覚めている時、身体から発する一種の光線だろうと推測、何千年も昔の動物が、どうして急に今頃、地の底の幌穴の中から出て来たんでしょうな?と村長が聞くと、近頃連鎖的に噴火を始めた富士火山脈の活動で、目を覚ましたものと思われます。ギャオスが大都会に現れた場合を想像するのことを考えると慄然とします。司令官、総攻撃をお願いしますと青木博士は依頼する。

司令官は承知し、直ちに総攻撃を開始する。

その時、二子山が又発光し始める。

ジェット機が、そんな二子山に向かうが、幌穴の中からギャオスが放つ光線で、次々と切断されてしまうので、司令官は作戦を、地上砲かに切り替えましょうと提案する。

自宅に戻って来た英一は、ガメラはきっと、この前やられた傷を治すために、海のそこにいるんだ。ガメラ、早く元気になって来ておくれよ。ガメラ~!と呼びかけながら、いつしか部屋の中で眠っていた。

目覚めた英一は、家の電灯が点滅していたり、テレビが映らなかったりと言う奇妙な現象が起こっていることに気づくと、不安になり、お姉ちゃん!おじいちゃん!と呼びかける。

そのすみ子や村長は、窓から外を観ており、外では馬たちが逃げ出していた。

ギャオスが出そうなのよと言って、すみ子は英一を招き寄せる。

それでも、好奇心おう盛な英一は、ボク観て来る!などと表に飛び出そうにするので、ダメよ!とすみ子は止める。

翌日、村人から何も食料を売ってもらえなくなった熊と八が、荒木牧場に牛乳を分けてもらいに出かけると、牛が1頭もおらず、1人の牧童が猟銃を振り回しており、仲間たちから取り押さえられているのを見つける。

2人に近づいて来た牧場主は、夕べ牛が逃げてしまって、あいつはそれを追って行って気が狂ってしまった。

みんなお前たちのせいだ。村中みんなそう思っていると理不尽な文句を言って来るので、熊と八は早々に引き上げることにする。

村長のうちでは、駆けつけて来た村人たちが、村中の動物が逃げ出すのは天変地異の前触れではないのか?とか、今のうちに売らないと…と言った不安を口にし、動揺していた。

それを村長は、そんなことをしたら買いたたかれる。黙って、わしに任しとけと必死に言い聞かす。

トランジスタラジオからは、ギャオスに対する有効な攻撃方法が見つからないと言うニュースが流れる中、今後の仕事のめどが立たなくなった工事現場からは、人夫たちが帰り始めていた。

熊は、大将はいつまでここに踏みとどまるつもりか?と聞き、自分たちも残ると八と一緒に残ることを約束する。

その時、近くの笹薮から英一が姿を現したので、粋がっていた八と熊は飛び上がる。

堤がこんな時間に外に出ていて怖くないのかい?と聞くと、平気だよ。ギャオスはおやつ前には出ないもん。ボク、絵日記つけてるんだ!と英一は自慢げに言うので、堤は、それはギャオスに関する重大な情報だと気づく。

堤から話を聞いた青木博士も、ギャオスは夜行性かもしれないと否定せず、夜でも明るくできる照明弾のようなものはないかと、堤は司令官に問いただす。

すると、ゲリラ用に開発されたAGILと言うのがあると言う。

堤から話を聞いた熊と八も、工事事務所近辺に明かりを大量にともしていた。

その時、600万燭光と言う最新式照明弾が投下され、堤自身も、ここは二子山に一番近い場所なので、ギャオスが出たら信号弾で知らせることになっていると言い、その場を動かないことを決意する。

熊と八も泊まり込むことにするが、寝ずの番は、トランジスタラジオを眠気覚ましに八公が受け持つことにする。

明け方、灯していた多くの電球やトランジスタラジオの音が異変を示し、寝袋で寝ていた八公は目覚めると、大将!兄貴〜!と叫ぶ。

直ちに信号弾を撃ち、攻撃を開始する。

ギャオスは洞窟の中で羽ばたき、八の身体が空中に浮かび上がる。

自衛隊の前線基地も破壊され、ギャオスは空高く飛び立つ。

ギャオスは木曽川を南下、名古屋市外に飛来する。

ギャオスは光線で名古屋城を破壊し、接近して来た新幹線の屋根を斬り裂くと、逃げ出した乗客たちを掴んで食べ始める。

ライトが灯された中日球場が開放され、名古屋市民にも、明るい所に集まるようアナウンスカーが走り回る。

そんな中、中日新報記者(仲村隆)も、人気がなくなった市街の様子を取材するため、車で走っていたが、やがて町を破壊しているギャオスに遭遇、車を光線でまっ二つに切断され、カメラマンが撮り残されるが、慌てて、動く片面の方に乗り込むと、写真を撮りながら走り去る。

中日球場のグラウンドに集まっていた市民たちは、上空に飛来したガメラを発見する。

ガメラは背面飛行の形になり、甲羅でギャオスを押さえ込む飛行をする。

その時、ギャオスの腹から黄色い液体が発射され、ガメラの手足の噴射が消えてしまう。

ガメラはそのまま、海に落下するが、逃げ去ろうとするギャオスの片足を加えていた。

ガメラが海面に叩き付けられた衝撃で、船から落下した船員たちは、夜明けの太陽が昇るに連れ、ギャオスの頭が赤く変化することに気づく。

ギャオスは、ガメラの頭部に光線を発射、ガメラの頭が切れ、又もや多量の血を噴き出す中、ギャオスは何とか逃げ去るが、ガメラの口には、噛み切ったギャオスの片足が残っていた。

その後、港にやって来た作業員2人は、海に何かが浮いているのを発見、近づいて観ると、それがギャオスの片足だと分かり、怯えて警官を呼びに行く。

ところが、警官を連れて戻って来た作業員たちは、ギャオスの足が発見時より小さくなっていると言い出す。

東洋医学研究所に運ばれたギャオスの足をを前にした青木博士は、確かに、時間経過と共に足が小さくなっていることに気づくと、顕微鏡で血液を調べてみることにする。

その頃、二子山の幌穴に戻っていたギャオスは、痛そうにしながらも、失った片足が生えて来ていた。

山田博士(村上不二夫)は、大胆な仮説ですが、紫外線発生器を用いてみようと思う。ギャオス攻撃の決め手になるような気がすると提案し、さっそくギャオスの足に紫外線を当ててみると、みるみるギャオスの足は縮んで行った。

これによって、ギャオスの肉体は、紫外線に弱いため、太陽光線に長く当たっていると死ぬことが分かった。

対策本部に招かれた名古屋港で海に落ちた船員は、太陽に当たったギャオスの頭が赤く光り出したと指摘し、それを聞いた青木博士は、一種の危険信号ですなと解説する。

司令官は、紫外線発生装置を作ってレインジャー部隊で攻撃したらどうでしょう?と提案するが、そんな大きな発生装置を作るのは難しいと博士は懐疑的だったが、その時、英一が船員に、ガメラがギャオスにやっつけたんだって?どうやってやっつけたの?と聞きに来る。

船員は困りながらも、ガメラに乗った時、目が回らなかったかい?と聞くと、平気だよ、ガメラはぐるぐる回らず飛んでくれたんだもんと答える。

その会話を聞いた青木博士は、今良いヒントを聞いた。ギャオスを一カ所に釘付けにするにはぐるぐる回してめまいを起こさせると言う手がある。耳の奥には三半規管と言う平衡感覚を司っている。ギャオスをガメラのような丸い台に乗せ、ぐるぐる回転させれば良いのですと提案する。

しかし、いますぐ、そんな回転台を作ると言っても…と司令官は戸惑うが、それを聞いていた英一が、あるじゃない、この上に!と指摘する。

それは、ハイランドパークホテルの上にある回転展望台のことだった。

かくして回転作戦が始まる。

近くの変電所を急遽改良し、現在の2.5倍の出力が可能になり、ホテルへの送電を増やすと共に、回転展望台の上には噴水装置が設置される。

堤たちも、ホテルの回転板補強工事に協力、ギャオスは身長65m、体重が約25トン、地下室で工事を観ていたマネージャーが、どうやって、この上にギャオスをおびき寄せるんですか?と聞くと、皆さんがアッと言う方法なんですよと堤は答える。

ドーム型の待避壕を建設し始めた堤は、熊と八に、回転板の上にあるのは一種の噴水のようなもので、ギャオスは人間を好む。人間の血液や体液に似た液体を作ることが出来るそうなので、それでギャオスをおびき寄せるのだと説明する。

自衛隊は、ホテルの対策本部から待避壕へと異動を開始するが、そんな中、堤に会いに来た牧童や村民たちは、高速道路反対同盟は解散し、公団の言う値段で売りたいと申し出る。

堤は、図々しい村人たちの要求に呆れながらも、コースも変更されるかも知れませんよと伝え、上司に伝えときますと…と答えるに止めるが、そこにやって来た村長は、ここで腰砕けたら行かんぞと叱りつける。

その後、医学研究所では、山田博士を中心に、ようやく人間の体液に近い人口血液の完成を観ていた。

青木博士は、司令官に、気象条件などから考えて、今夜結構して下さいと頼む。

その夜、人口体液を噴射しながらヘリが3機、二子山からハイランドパークの方へ飛び、ギャオスをおびき寄せる。

計画は成功し、体液の匂いで、ホテルの上の回転板に飛来したギャオスは、噴水から出ていた人口体液を吸い始める。

それと同時に、回転台を回転し始め、ギャオスを釘付けにしようとする。

モーターは大丈夫か?との心配の声も上がる中、3時間は大丈夫なはずと堤は保証するが、補強した回転板には予想以上の不可がかかり、日の出を間近に控えた時、変電所は燃え始める。

ギャオスの頭は赤くなり、もう一歩と言う時に、変電所からの電力がストップし、ギャオスは、ホテルを破壊すると、黄色い体液で、変電所の火事も鎮圧してしまい、逃げ去ってしまう。

回転作戦も失敗したとテレビレポーターたちが残念そうに報道する。

英一は、ガメラさえ、いてくれたらなぁ〜とため息をつく。

翌朝、村長の家に押し寄せた村民たちは、とうとう山を売り損なった。あの時売っていれば札束を握ることが出来たはずだ。徳さんが山梨の公団本部に聞きに行ったら、コースを変更するそうだ。どうしてくれるんだ!村長、お前が公団から金を取って来てもらおう。できないのなら、村長が金を出せ!と詰め寄る。

おじいちゃんが虐められていると感じた英一は、自分たちだって欲張りのくせに、おじいちゃんを虐めて、だらしないぞ!玩具を村民たちに投げつける。

それをなだめたすみ子は、おじいちゃんも、みんなのためになると思ってやったんだと思います。おじいちゃんを責めないで下さいと頼み、村民たちはすごすごと帰って行く。

村長は、すみ子…と呼びかけながらも、落ちていた英一の玩具を拾い集める。

すみ子が英一の側に来ると、英一はガメラの絵を描いていた。

ガメラが来ればギャオスをきっとやっつけるよ。ギャオスはガメラの火焔噴射に弱いんだ。そうすれば、おじいちゃんも村の人に虐められなくてすむなどと英一は言い、でも、ガメラを呼び寄せる訳に行かないでしょう?とすみ子が聞くと、山火事起こせば良いんだ。ギャオスは火が嫌いだし、反対にガメラは火が大好きだからなどと英一は無邪気に言う。

山を燃やすのは大変よとすみ子が言うと、簡単さ、家の山を燃やせば良いじゃないかと英一が言う言葉を聞いていた村長は、待避壕の司令官や堤に、自分の山を焼いてガメラをおびき寄せると言いに行く。

自分から山火事を?しかし、ギャオスが黄色い霧で消してしまうかも知れませんよと堤は驚くが、消しきれず、ギャオスが焼け死ぬまでやるだけですと村長は答える。

それでも、ここで山を燃やせば、材木資源だけで2億円の損害になりますよと堤はためらうが、村長は金の問題じゃない。わしたちの欲深い心を諭すために、神様が地の底からギャオスを蘇らせたと思えてならない。今まで、欲の皮を突っ張らせていた自分たちが間違っていたと村長は伝える。

これは孫の考えで、山火事を起こせばガメラが来ると、孫は信じて疑わんのですと言う村長に、司令官は感謝し、堤は、道を切り開くのは任せて下さいと協力を約束する。

かくして、山火事作戦が始まる。

日の出まで3分の時点で作戦は決行される。

自衛隊機が山にミサイルを発射、山火事を起こすと、予想通り、出現したギャオスは、腹から黄色い霧を噴射し、火を消し止めたので、攻撃をさらに続行することにする。

その時、英一の予想通り、ガメラが飛んで来たので、やっぱり来ただろう?おじいちゃんと村長に嬉しそうに話しかける。

ギャオスは飛び立って逃げ出そうとするが、ガメラが掴んで引きづり落とす。

ギャオスはガメラを掴むと、待避壕の上を滑空し、ガメラを地上に落下させる。

さらにギャオスは、首を出そうとするガメラに光線を吐き、邪魔をする。

ガメラは、近くにあった岩を掴むと、それをギャオスの開いた口に投げ込み、光線を封ずる。

その後、側面飛行でギャオスに体当たりしたガメラは、ギャオスの首筋に噛み付く。

それを待避壕から観ていた英一は、ガメラ、良いぞ、良いぞ!と喜ぶ。

その時、朝日が昇って来て、ギャオスの頭頂部が赤く光り出す。

ガメラは、ギャオスを噛んだまま、噴火を続けている富士山の河口へと引っ張り上げて行く。

やがて、2匹とも噴火口へ落ち、その直後、ギャオスの光線が空に向かって走る。

それを観た青木博士は、ギャオスの断末魔だ!と言う。

そこに駆けつけて来た村民たちに、村長は、明日から工事を再開するそうじゃと伝えたので、コース変更は?と村民が心配げに聞くと、それは単なる噂じゃよと村長は愉快そうに答える。

英一は、ガメラ、ありがとう!さよなら、さよなら!と手を振って別れを惜しむのだった。

「ガメラ対バルゴン」と「ガメラ対ギャオス」の名場面を背景に、ガメラの歌とキャストロール。