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ガメラ対大悪獣ギロン

シリーズ第5弾

第一作で登場した船越英二が、又、別の博士役として再登場しており、又、初期のガメラに戻ったか?と一瞬思わせるが、大映の経営悪化から低予算化を余儀なくされた時期の本作は、いかにして予算をかけずに怪獣映画を作るかに腐心した作品のように見える。

ガメラは、炎などの大量のエネルギーを求めて移動する習性があると初期の頃は説明していたが、前作辺りから、もうその辺の基本設定はどうでも良い事になったらしく、本作でのガメラは、宇宙へ連れ去られた2人の少年を助けるためだけに他の惑星まで飛んで来ている。

これは、「ガメラ対ギャオス」の時、ガメラ好きな少年がガメラを呼ぶ手段として、自分の家が所有する山林を焼けば良いじゃないかなどと無邪気に提案し、そのエピソードでは、それが叶えられると言う無茶な展開だったが、さすがに同じ手を何回も繰り返す訳にも行かず、下手をすれば、観客である子供たちに、ガメラを呼ぶには火を放てば良いなどと言う悪い解釈をされても困るので止めたのだろう。

子供を主役にすえ、ピンチの時にガメラが来てくれるためには、変な条件や縛りはない方が良いのは当然である。

かくしてガメラは、ガメラ!〜助けて〜!などと子供が呼ぶと、いつどんなときでも出現する、子供に取って都合の良いコンビニエンス・ヒーローとなる。

劇中、友子ちゃんが、兄たちを助けてと神様に祈るシーンがあり、それが結果的にガメラによる救出である事を観ると、「大魔神」同様、当時の大映作品には、意図的か否かは別にして、少なからず宗教的な色合いが含まれていた事にも気づかされる。

又、ギャオスの切断光線と言い、ギャオスの包丁頭と言い、当時の大映は、「座頭市」の居合いで有名になった「物を切断する見せ場」を、怪獣物にも応用していた事が分かる。

「座頭市」は大映京都の作品で、「ガメラ」は大映東京の作品なので、同じスタッフが関わっていた訳ではないだろうが、見せ場の作り方は似ている。

宇宙が舞台なのに宇宙人は2人しか登場せず、無重力状態の表現が省略されていたり、謎の惑星の大気も地球と全く同じらしい…など、低予算特有のご都合主義の連続なので、SF映画として…などと言う視点で語るような類いの作品ではなく、せいぜい、幼児向けのB級(低予算)ファンタジーと解釈すべき類いの作品だろう。

そもそも、ガメラが何故空気のない宇宙で生きていけるのか?とか、宇宙でどうやってジェット噴射が出来るのか?とか、頭の悪い私にはさっぱり分からないことだらけ。

「子供騙し」と言っても、当時ですら、もはや小学校の上級生辺りは到底騙されはしなかった。

とは言え、ギロンが棲む第10惑星テラは、太陽を挟んで地球の反対側にあるため、地球からは発見できない星だと説明しているなど、この発想は意外と面白い。

本作と同じ1969年に、スーパーマリオネーションの人気番組「サンダーバード」などでお馴染みのジェリー・アンダーソンが、「決死圏SOS宇宙船(Journey to the Far Side of the Sun)」と言う実写作品を作っているが、これが全く同じ発想である。

公開は、本作の方が半年ほど早く、「決死圏SOS宇宙船」は日本ではかなり遅れてTV放映されただけだったと思うので、日本が発想をまねたとは考えにくい。

しかし、逆も考えにくく、単なる偶然の一致のようだが、このような奇抜な発想が同じ時期に日英で映画化されていると言うのは面白い。

技術面でも、ミニチュアや着ぐるみの類いはさすがにちゃちと言うしかないが、中央天文台の情景描写の部分などは、画面の上半分が絵合成であるにも関わらず、今、静止画面にして目を凝らしても、すぐにはそのトリックに気づかないほど巧い。

過去何度も観ている作品だが、改めて観てみると、又あれこれ気になる点がいくつも見受けられる。

例えば、正夫とトムが宇宙船を探しに、川向こうの森へ自転車で向かうシーン。

妹の正子ちゃんはまだ幼いので、お兄ちゃんの自転車の荷物乗せ部分に乗せてもらって森へ向かっている。

そして、お兄ちゃんとトムは、宇宙船に乗って宇宙のかなたへ飛んで行ってしまった訳だが、この後、正子ちゃんはどうやって家に戻ったのだろう?

幼い足では家までの距離は大変なはずで、途中で泣き出したりしなかったのだろうか?

必ず通る派出所の前を通らないはずもなく、警官のコンちゃんが1人で帰って行く正子ちゃんの姿を見つけたりしなかったのか?

又、何とか家までたどり着いたにしても、疲労困憊していたりして、母親がその異変に気づくような気もするのだが、その辺の描写はない。

観ている方が年を取り、大人目線になってしまったので、子供当時には気づかなかったそう言う点が気になるようになったと言う事だろう。

他にも、主人公の子供たちが、宇宙船を探しに森へ出かけるシーン、城山派出所のコンちゃんに会う部分だけ、雨で道路が濡れているが、後半、コンちゃんが天文台に電話をかけるため、派出所に戻って来るときも、やはり道路は濡れている。

おそらく、コンちゃんが派出所前のロケに参加できたのはその日だけだったので、前後のつながりを無視し、半ば強引に撮影を決行したと言う事だろう。

撮影は、子供たちの服装を見れば分かるが、かなり寒い冬場だったようで、第十惑星テラの基地内セットの中でのシーンでも、2人の子供たちがセリフを言う時、息が白い。

どんなに文明が進んだ宇宙人の基地でも、人間用の空調はなかったと言う事かもしれない。

又、宇宙人の女に捕まり、明夫と共に檻に入れられたトムがその中から玩具の鉄砲を撃つ展開になるのだが、ちゃんと檻の透明カバー部分に一カ所だけ丸く穴が開いていたりするのも面白い。

銃を撃つため以外に何の意味もない穴なのだからだ。

ボブ約の外国人少年が、ロッテオリオンズの帽子をかぶっているのは、大映作品だからだろう。

ロッテの前身は「毎日大映オリオンズ」だったから…

劇中、ガメラに着地で失敗するな!と正夫が呼びかけたり、鉄棒のシーンから、ガメラが見事に着地のポーズを取ってみせるなどと言うオリンピックネタは有名だが、トムが間違ったボタンを押してしまい出現したギロンが地上の岩にぶつかると、湖の底でひっくり返っていたガメラの顎に、衝撃で崩れて来た岩が当たってガメラが正気に戻るなどと言う描写も愉快でつい笑ってしまう。

自然現象さえ自由にコントロールできるほどの高度な文明を持っているはずの宇宙人が、脳を食べようとする時、宇宙銃型バリカンで明夫の髪を坊主にするなどと言うローテクを使っている間抜けさ。

瞬間移動機のスイッチや、ギロンが破壊する宇宙基地の中にいた明夫たちの頭上に落ちかかる建物の破片などは、どう観ても、発泡スチロールの破片にしか見えない。

たった2人しか生き残ってない宇宙人の1人が怪我をすると、「役に立たなくなった者は抹殺される」論理であっさりもう1人が殺したりしているし、微生物が共食いをしながら高等生物になったなどと説明がある所を観ると、もっと早くあの宇宙人たちは滅びていたような気もするなど、観るたびに面白い部分を発見できてしまうのは、こうした実写幼児物の醍醐味かもしれない。

しかし、今回一番驚いたのは、ガメラが、まっ二つになった宇宙船を炎で溶接し、それをインスタント宇宙カプセル代わりにして子供2人を乗せ、わざわざ地球の、それも出発地点まで送り届けてくれるのは、どう言う超能力による物なのか?さっぱり分からない。

ギロンから両手に手裏剣を受けたガメラが、そのままでは手が引っ込められず、ジェット噴射が出来ないので、ゴーゴーを踊るように身体を揺すり、手裏剣を落とそうとしているのも訳が分からない。

指は動くんだから、普通に手で引っこ抜けばすむ事ではないか?

実際、その後、湖中では手で手裏剣を抜いているくらいなのに…?

子供の目線で描いているためだろうが、ガメラは利口なのかバカなのか良く分からない描写だ。

この、手足が引っ込められない=ジェット噴射が出来ないように、敵怪獣がガメラの手足に何かくさび状の物を刺すと言うアイデアは、次の「対ジャイガー」でも用いられている。

う〜ん…、世代特有の性なのか、怪獣映画を語り出すと、毎回、止まらなくなる…

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1969年、大映、高橋二三脚本、湯浅憲明監督作品。

白鳥座 網状星雲、彫刻星座 渦状星雲、三角座 渦状星雲、大熊座 不規則星雲、牡牛座 カニ星雲、一角獣座 バラ星雲、オリオン座 馬頭星雲、牡牛座 プレアデス星団、琴座 環状星雲…(それぞれの写真を映しながら)

この銀河系宇宙だけで恒星の数はおよそ1千億。その上、銀河系宇宙とそっくり同じような星雲が大宇宙には30億もあると言われている。

古い星が爆発してガスになって飛び散って行き、又そのガスから新しい星が生まれて光り輝く。

文字通り、無数の星のそれぞれにどんな秘密が隠されているのだろうか?

ある星で異変が起こった…。(…とナレーション)

タイトル

リック天文台(アメリカ)、アレチボ電波望遠鏡(アメリカ)。ジョドレル・バンク電波望遠鏡(イギリス)、モスクワ電波望遠鏡(ソビエト)…(それぞれの写真を写しながら)

世界各地の天文台では電波望遠鏡が不思議な電波をキャッチした。

確かに規則的に断続する信号音が、宇宙のかなたから届いたのである。

新聞の輪転機が廻り、「宇宙より謎の電波!」「高等生物からのメッセージか?」など文字が踊る。

中央天文台に集まる新聞記者たち。

テープを再現し終わった志賀博士(船越英二)は、現在は途絶えておりますが、この電波音が、はたして宇宙人からのメッセージかどうかまだ分かりませんと言うので、記者の1人(夏木章)が、昨年、イギリスのムラー天文台でも同じような電波信号をキャッチしたと発表がありましたが?と聞くと、それとは違います。前のは太陽系外からのものと推定されていましたが、今度はもっと近いものに違いありませんと猪野博士は答える。

すると、我々が住む太陽系にも宇宙人が存在するってことですか?と別の記者が聞くと、そうとも言えません…と志賀博士は説明を続ける。

月は空気も水もない死の世界です。

もちろん、どんな生物も存在していないと言う事は皆さん、もう良くご承知の通りです。

この火星にも運河なんてなかったし、金星は摂氏数百度の地獄と分かりました。

木星は、凍ったアンモニアの粒が海となり全表面を覆い、この土星も同様です。

人類のような高等生物がいる訳がありません。

では、その電波音は何を意味するんです?と記者が聞くと、もし仮に、太陽系に一番近い星、プロキシマケンタウリから発信された物として、最新の宇宙船アポロで太陽系を飛び出して、そこに着くにはどのくらいかかると思います?と志賀博士は話をそらす。

50万年です。彼に今、宇宙人から招待状が舞い込んだとしても、あちらから来てくださらない限りは、お目にかかるのは夢物語でしょうなと苦笑まじりに発言したので、聞いていた記者たちは大笑いする。

本当に宇宙人っているの?と、兄明夫(加島信博)の友達で、泊まりに来ていた外国人のトム(クリストファ・マーフィ)に聞いたのは、友子ちゃん(秋山みゆき)。

絶対いるさ!でなきゃ、あんな電波が届くはずないもんとトムは流暢な日本語で答えるが、その時、ベランダで望遠鏡をのぞいていた明夫が、トム!何か変な物が飛んで来たぞ!と呼びかけて来たので、トムと友子ちゃんは望遠鏡をのぞきに行く。

しかし、「宇宙船だ!」「本当だ!かっこいい!」と興奮する明夫とトムが望遠鏡を独占してしまい、友子ちゃんにはなかなかのぞかせてくれない。

川向こうの森の辺りだと明夫は言い、すぐにでも出かけようとするので、友子ちゃんも、私も行く!と後を付いて行く。

いつも遊んでいる森の空き地だと思うんだと言いながら、3人が着替えをしようとしていると、明夫の母親(浜田ゆう子)が部屋に入ってきて、お勉強しているのかと思ったら、又星を眺めていたのね…と呆れ顔になる。

お母さん、宇宙船を見たんだよと明夫が報告すると、又そんなことを言って…、子供のくせに夜更かしはいけませんと言うだけ。

僕たちが毎晩星を観察しているのはね…とトムが言い訳をしようとすると、分かってます。誰も知らない新しい星を見つけて、明夫彗星とかトム彗星とか、自分の名前を星に付けたいんでしょう?と母親は何でも見抜いているとばかりに言葉を遮ろうとするので、それだけじゃないんだよ。新聞に宇宙から電波の信号が入ったって出てたんだ。規則的な繰り返しがあるんで、宇宙人が呼びかけているんじゃないかって…、どの星だろうかって探していたんですとトムが横から説明し、明夫も、この広い宇宙のどこかには、文明はものすごく発達していて、戦争や交通事故がない平和な星があるに違いないと思って…と説明するが、母親は、全くそんな話を信じようとはせず、いい加減にしないと望遠鏡を取り上げますよなどと言って。

ちぇ、大人って夢がないんだな…とがっかりした明夫だったが、明日…と共に囁きかけ、トムもOKと承知する。

翌朝、自転車に乗り、森へ向かう事にしたトム、明夫、友子ちゃんの3人だったが、宇宙人より怖い、城山派出所の警官コンちゃん(大村崑)に出くわす。

コンちゃんは、派出所の前で、木刀の素振りをしていたので、トムは玩具のピストルを取り出すと、コンちゃんが自転車の後ろに置いていた汗吹き用の手ぬぐい目がけて発射する。

すると、吸盤の付いた矢が飛び出し、手ぬぐいを派出所内の壁に張り付けてしまう。

それに気づかなかったコンちゃんは、汗を脱ぐおうとして手ぬぐいがない事に気づき、あちこちさがしてようやく、壁に張り付いていた手ぬぐいの中から、玩具の矢を発見すると、又、あいつらだな…と気づき、前の道を通り過ぎようとしていたトムたちを呼び止める。

こんな朝早くからどこに行くんだ?とコンちゃんが聞くと、明夫の自転車の後ろに乗っていた友子ちゃんが、コンちゃんと呼び掛け、私たち、宇宙船を観に行くのと正直に打ち明ける。

明夫は、おまわりさんにコンちゃんなんて言ったら失礼だよと注意するが、コンちゃんは、名前が近藤だからコンちゃんで良いんだよと友子ちゃんをかばってくれる。

しかし、宇宙船の話など全く興味ないようで、自転車の2人乗りは行けないから歩いて行きなさいなどと言うので、仕方なく、トムと明夫は自転車を押しながら森の中に入って行くことにする。

森に入った3人は、草薮が動いたので怯えるが、兎が飛び出して来たので安堵して男の子2人は別方向へ探索に向かうが、友子ちゃんは兎を捕まえようとして反対方向へ向かい、そこで巨大な宇宙船を発見したので、兄たちを大声で呼び寄せる。

宇宙船を見つけた2人の少年は喜び、入口らしき部分が開いていたので、宇宙人がいるかもしれない、中に入ってみようなどと言い出しす。

でも、友子ちゃんは、宇宙人なんて怖いじゃないのと動こうとしないので、他所の星なんかに飛んで来るような宇宙人が怖いはずないよ。お前程度低いなと明夫からからかわれる。

その明夫が、ごめん下さい!などと呼びかけながら宇宙船の中に入ろうとしたので、今度は、友子ちゃんの方が、宇宙人が地球の言葉なんか分かると思うの?程度低いわねとやり返す。

中に入った明夫は、誰も乗っていない事を知ると、操縦席のような所に座り、発進準備!などと、宇宙士ごっこを始める。

トムも調子を合わせ、適当にスイッチを押していたが、扉が閉まり、宇宙船が動き出した事に気づく。

1人外に残っていた友子ちゃんが見ている前で、宇宙船が浮上し、あっという間に大空に消えてしまったので、どこへ行くの?お母さんに叱られるわよなどと文句を言う。

操縦席に座っていたトムは、窓から見える周囲の景色が、いつの間にか宇宙空間になっており、船内が無重力状態にもなっていないので驚く。

その時、中央の窓に、接近して来る巨大な隕石を発見、方向転回も出来ないし、このままではぶつかる!と2人の少年は怯えるが、その時、ガメラの泣き声が聞こえ、宇宙船の横にガメラが飛んでいるのを発見、子供好きなガメラらしく、自ら隕石にぶつかって粉砕してくれる。

明夫とトムは、子供好きなガメラと一緒ならもう怖くないなどと急に安堵する。

トムがガメラはマッハ3だ、すげえスピードだなと感心すると、明夫は、違うよ、大気圏外の宇宙速度だぜ。月へ行ったアポロ8号だってマッハで言えば33以上だ。マッハ50になれば、太陽系を飛び出してしまうよと明夫が訂正する。

(ガメラマーチが流れ)宇宙船と平行して宇宙を飛ぶガメラ。

その後なぜか、ガメラは宇宙船の前方に出ると、宇宙船を止めようとでもするようなそぶりを見せる。

さらに、ガメラが徐々に宇宙船に追いついて来れなくなったのに気づいた明夫は、船内のスピードメーターのような物の回転が速くなったのを発見する。

どうして早くなったのだろう?と不思議がった明夫だが、きっとリモコンだろうと解釈する。

その頃、地球に残った友子ちゃんは、自宅に帰り着くと、母親に、お兄ちゃんたちが宇宙船に乗って飛んで行ったのよと報告するが、母親は全く信じようとせず、宇宙船とか宇宙人などは皆作り話よと言って相手にしないばかりか、休みの時だって、お勉強をしないと、良い学校へ行けないのよと説教する。

無理解な母親に説明するのを諦めた友子ちゃんは、可哀想なお兄ちゃんたち…、今頃、どこにいるんだろう?と哀し気に空を見上げるが、当の明夫とトムは、宇宙船がどこかに到着しており、しかも、ドアが開いているこことに気づき、地球と同じ空気がある新しい星を発見したとはしゃぎ、さっそく外へ出てみる事にする。

見たこともない世界がそこに広がっていたが、その時、地球でも見覚えのあるギャオスが空を飛んでいる事に2人は気づく。

でも、地球のギャオスとは体色が全く違っており、この星のギャオスは銀色だったので、トムはさっそく、宇宙ギャオスだねと命名する。

その時、川の水が逆流しているのに明夫は気づく。

川は干上がり、その底が二つに割れると、その底から、顔が巨大な包丁のようになっている、見たこともない怪獣が地上にはい出して来た。

地上に降り立ったギャオスは、その新怪獣ギロンに向かって光線を吐きかけるが、ギロンの顔の刃物のような部分で反射して、跳ね返って来た光線で自分の右足を切断してしまう。

飛び立ったギャオスは、低空飛行で、ギロンの背後から迫って来るが、ギロンは飛び上がると、ギャオスの右の翼を根本から切断、地上に落下したギャオスの左の翼も根本から切断してしまう。

ムフォフォフォ…とギロンは笑い声を上げると、胴体だけになったギャオスの首を切断、残った身体も輪切りにし始めたので、それを観ていたトムは、残酷だなぁと顔をしかめる。

しかし、ギャオスの肉は臭いからなのか、食べようとはしないので、トムは愉快がるが、そのギロンに自分たちが見つかったので、明夫と2人で、近くにあった三角錐状の装置の中に逃げ込む。

すると、2人の身体は、瞬時に光線に包まれ、別の装置に瞬間移動するが、そこはギロンのさらに目の前だったんで、2人は慌てて、もっと遠い場所の装置へ瞬間移動する。

ギロンは川底の格納庫の中に入り、そこが閉まると、又元のように川の水が流れるようになる。

何とか、ギロンから逃れる事に成功した2人は、目の前の建物の中に入ってみる事にする。

呼びかけても誰もいないその建物だったが、廊下の中央部には移動台のようなものがあり、それに乗ると自動で目的地まで2人を運んでくれた。

コントロールルームのような所には、目が光る2人の女のように見える宇宙人が何事かを話し合っていた。

そこに明夫とトムはやって来るが、女性のような姿の宇宙人を観ると、つい、あの〜…、ここはどこでしょうか?お姉さんだけなの?などと2人は、気安く話しかけてしまう。

すぐに、宇宙人に日本語が通じるはずがないと悟った2人だったが、2人の女性が何か装置を始動すると、急に日本語で、あなたたちが来るのを待っていたのと1人の宇宙人が答えて来たので驚く。

すると、これは「ウルトラスピーキングマシン」と言って、どんな言葉でも翻訳する機械なのとその宇宙人は教えてくれる。

ここは、なんて言う星?地球からと聞くと、私たちはテラと呼んでいるわ。あなただけの地球とは、太陽を挟んで地球の反対側にあり、大きさも動きも地球と同じだと言う。

地球の双子星で、太陽の反対側だと、お互いに絶対見えない、太陽系の中では第十惑星というわけだねと明夫はすぐに合点する。

その時、室内の警戒ブザーのような物が鳴り出し、ギャオスが中央スクリーンに映る。

2人の宇宙人が装置をいじり出すが、その時、名前を呼んでいたので、明夫が確認すると、バーベラ、フローベラだと自分たちの名前を教えてくれる。

他の人はどこにいるの?と明夫が聞くが、それには答えてくれない。

中央スクリーンに映し出された外の風景を観ていると、又、さっきにように川の水が逆流し出したので、ここでは、天然現象もコントロールしているのとフローベラが説明する。明夫は、宇宙のどこかに、文明が栄え、戦争も交通事故もない理想の星がないかと毎日望遠鏡で星を探していたんだと打ち明ける。

川底からさっきの怪獣が出現したので、明夫がそう指摘すると、あれはうちの番犬、ギロンよとフローベラは言い、あれだけはどうにかコントロールできるようになったのと、この星が何故荒れ果てたのか打ち明け始める。

どうしてこんなに文明が進んでいるのに、怪獣ばかりいるの?と明夫が聞くと、私たちの世界では巨大な電子頭脳が全てをコントロールする優れた社会を作っていたの。ところが、電子頭脳のちょっとした狂いが天変地異を起こし、コントロールできない強い怪獣まで色々作ってしまったの。宇宙に向かって助けて下さい!って何回かメッセージを送ったけど、どこからも返事はなかったの。

生き残った者が巨大な宇宙船で他の星に行こうとしたら墜落して、私たち2人だけになったの。

小型調査船が残っていたので呼び戻してみたら、あなたたちが乗っていたのとフローベラが説明し、もう人の住める所はこの宇宙基地だけになったのとバーベラも言い、さらに、外は段々寒くなっており、後5時間もするとこの辺も氷河に覆われてしまうので、その前に脱出しましょうと明夫たちに教える。

バーベラは、スクリーンをの中に写った町を、この宇宙基地の裏側にあった都市で、もう怪獣たちの巣窟となってしまったと言う。

明夫は、バーベラたちに僕たちの地球へ行こうと提案し、それを聞いたフローベラも、宇宙船を修理し、氷河に覆われる前に出発しましょうと言ってくれる。

その時、スクリーンの中のギャオスを観ていた明夫が、ガメラがいてくれたらなぁ〜、ガメラがきっとぼくらを探していると思うよと言うのを耳にしたフローベラは、ガメラ?と不思議そうに呟く。

確かにその頃、ガメラは、2人の少年を捜して、宇宙を飛び回っていた。

コントロールルームの上にある休憩室に、明夫とトムを案内したバーベラは、元のコントロールルームに戻って来ると、あの宇宙船には2人しか乗れないのよ。あの子たちを生かしておいてたって…と告げるが、氷河がやって来るまでには時間があるじゃない。それまでに、あの2人が食料として有害かどうか調べ、必要とあれば携行食料にするのよとフローベラは答え、バーベラに宇宙船を調べに行かせる。

そんな宇宙人たちの会話など知らないトムは、あのお姉さんたを地球に連れて行ったら、かっこいい宇宙人だからみんなびっくりするぜなどとのんきに話していたが、急に明夫があらぬ方を観たまま動かなくなり、返事もしないので驚く。

明夫は、コントロールルームのフローベラから、直接脳にメッセージを送られていたのだった。

あなたが今一番欲しい物は何?とフローベラが聞くと、明夫は、ドーナツを思い浮かべたので、スクリーンでそれを確認したフローベラはすぐに用意してあげるわと答え、苦しくない?と聞く。

とても良い気持ちですと、止まった状態の明夫が心の中で答えると、トムが、その明夫を揺すって来たので、邪魔だと判断したフローベラは、トムの身体も動かなくしてしまう。

そして、さっき、ギャオスのことを言っていたけど、地球にも怪獣が一杯いるの?と明夫に質問する。

すると明夫は、今はいません。ガメラがいるから。ガメラは子供の味方なんですと心で答え、これまでガメラが出現し、子供を助けたシーンを思い浮かべる。

それはそのままスクリーン上にも再現され、フローベラはガメラの事を知る事が出来る。

その後、ようやく身体が動き始めた明夫は、同じく動き始めたトムに、何だか今、お母さんが作ってくれたドーナツをたらふく食べたような気がしたなどと打ち明ける。

フローベラは、戻って来て宇宙船はすぐにでも出航できるわと報告したバーベラにカードを渡し、これが指示する食べ物同じ物を作って、中に睡眠薬を入れてねと指示を出す。

眠っている間に、あの子たちの脳細胞を生のまま食べるのよ。先祖代々習い覚えた知識が蓄積されている脳細胞を食べておけば、私たちがこれから地球に行っても、すぐに新しい環境に適応できるわ。この星の微生物が共食いしながら高等生物になっていくのと同じ事よとフローベラは言う。

その頃、地球では、トムの母親(イーデス・ハンソン)が、トムを迎えに、明夫の家に車でやって来ていた。

出迎えた明夫の母親は、トムくんは明夫と出かけてまだ戻らないと教える。

友子ちゃんはご存じないかしら?とトムの母親が聞くと、いいえ、あの子は何か言い含められているらしく、宇宙とか何とか言って…、トムくんはきっとまだうちに泊まりたがっているんですよなどと明夫の母親は説明していたが、その間、二階のベランダから友子は2人の話を聞いていた。

ではもう数日お邪魔させて下さいと言い残し、車で帰るトムの母親は、いつの間に潜り込んだのか、後部座席に友子ちゃんが乗っている事に気づき訳を尋ねる。

トムの母親は、途中で、警官のコンちゃんも呼ぶと、一緒に、友子ちゃんが言う森の空き地に向かう。

友子ちゃんは、宇宙船が降り立った場所に来て、ここよ!ここに宇宙船があったのよのと訴えるが、トムの母親は全く信じようとはせず、この間、アメリカの航空宇宙局でね、正式に発表したのよ。空飛ぶ円盤なんて、ほとんどが作り話か、目の錯覚なんですってと丘の上から言い聞かせようとする。

しかし、宇宙船の着地地点に降りていた友子ちゃんは、ウソじゃないもん。私ちゃんと観たんだもの…と反論するので、アポロ宇宙船の飛行士も言ってたでしょう?地球だけが宇宙のオアシスだって。他所には生き物なんていない、宇宙人なんていないだって…と、トムの母親はさらに説得する。

それでも諦めきれない友子ちゃんは、優しいコンちゃんに、コンちゃんは信じてくれるでしょう?と問いかけて来たので、コンちゃんは困ったような顔になりながらも、じゃあ、信じよう。君はウソなんかつかない良い子に違いない。コンちゃんが君の兄さんを捜してあげるよ。心配しないで。天文台に聞いてみようと答える。

しかし、それを横で聞いていたトムの母親は納得できないようで、子供たちの話を信じて天文台に連絡するんですか?空飛ぶ円盤なんてなんて関係ありませんよ。子供たちはきっとこの近所で遊んでいるんですよ。子供たちのウソを話を信じてやる振りをしてやると言う事は、教育上良くない事なんですよと文句を言う。

大人2人が言い合っている間にも、友子ちゃんだけは、お兄ちゃ〜ん!必ず探しに行ってもらうわ。だから、頑張ってね!と、どうか神様、お兄ちゃんたちをお助けくださいと空に向かって祈るのだった。

第十惑星テラの休憩室にいたトムと明夫の元に、バーベラが、カードの指示通りに作ったドータツとミルクを持って来てやる。

2人は、明夫の母親の作る物と同じだ!などと驚きながらも喜んで、何も疑わないで食べ始める。

明夫は、急に、今ガメラが来たような気がしたんだなどと言い出すが、やがて2人は睡眠薬が効いて来て眠ってしまう。

そこにやって来たバーベラとフローベラは、明夫の身体を、装置の中に運んで固定すると、宇宙バリカンで髪の毛を刈って坊主頭にしてしまう。

そして、脳細胞を食べるため、頭を切開しようと、ドリルを明夫の頭に近づけるが、その瞬間、警戒ブザーが鳴り響いたので、仕方なく、2人の宇宙人は転送装置でコントロールルームに踊る。

中央スクリーンに映し出されたのは、先ほど明夫の頭に浮かんでいたガメラだった。

フローベラは、ガメラから先に始末しましょうと言い出すと、ミサイル発射装置を地上に出しながら、怪獣同士で戦わせるのよと言い、川底からギロンも出す。

ギロンは、ガメラの背中の甲羅に顔の包丁をぶつけ、何度も斬りつけたので、とうとうガメラは出血を始める。

ガメラは、ギロンの左手を掴んで噛み付こうとするが、ギロンは、顔の側面にある手裏剣状の武器を発射して、ガメラの顔面に命中させる。

ガメラは顔からも出血し、地上に降り積もっていた雪を手にして、それを自分の顔に当て冷やす。

その後も、ギロンが手裏剣を放って来たので、ガメラは近くに亜あった大きなつららをもぎ取り、それで手裏剣をはね飛ばすが、途中で力尽きたのか、背中から側にあった湖に落ちてしまう。

その様子をスクリーンで観ていたフローベラは、死んだわ…、いい気味だと嘲る。

そんな中、休憩室で寝ていたトムが気がつき、坊主になった明夫を呼びかけるが起きないので、コントロールルームに転送してみるが、そこでフローベラたちが、早く子供たちを料理しないと。宇宙船は壊れてしまったわなどと話しているのを聞いてしまう。

休憩室に戻って来たトムは、装置の中で眠っていた開き大頭を叩いて目を覚まさせると、あの宇宙人たちは人食い人種だったんだと教え、一緒に外に逃げ出す。

宇宙船の中で故障箇所の修理をしていたフローベラとバーベラは、建物から逃げ出した子供たちに気づき、逃がしてたまるかと言いながら外に出る。

明夫とトムが、瞬間移動機で遠くの装置へ移動すると、すぐさま、フローベルたちが装置のスイッチを入れ、2人を元の装置へバックさせてしまう。

そして、中にいた2人を捕まえようと、装置の中に入ってきた瞬間、素早く外に抜け出した明夫は、瞬間移動装置のスイッチを押し、2人の宇宙人をと億の装置へ転送してしまう。

そして、戻って来ないように、装置のスイッチをトムと一緒に破壊してしまう。

ところが、2人は又装置の中に戻って来たので、バックできないはずなのに!と明夫は驚くが、バックが出来ないので、前進して戻って来たのよとフローベラは説明し、明夫たちを捕まえると、コントロールルームの中の檻に閉じ込めてしまう。

地球上では、トムの母親と明夫の母親が、いつまで待っても子供たちが戻って来ないので、帰って来たら、お尻を30回叩く事にしますなどと相談していたが、側にいた友子ちゃんは、無事に帰って来たらね…と冷静に呟く。

そこへ、突如、車が数台乗り付け、中から大勢の新聞記者たちが友子ちゃんの所に集まって来たので、母親たちは目を丸くする。

天文台からの連絡で、この近所から宇宙船が飛び立ったとの連絡があったので、宇宙船を観たと言う友子ちゃんに話が聞きたいと言う。

その記者の言葉を聞いていた母親たちは固まってしまう。

檻に入れられていたトムは、もう地球に帰れないのかな?こんな時ガメラがいてくれたら…などとぼやいていたが、何事かを考えていた明夫は、トムが持っている玩具の拳銃で、スイッチを押してみようと言い出す。

ガメラは、湖の底で裏返って気絶していた。

空気穴のつもりなのか、都合良く、檻を囲んでいた透明カバーの一カ所だけ空いていた穴から銃を付き出したトムは、コントロール装置のスイッチ目がけて発射しているが、弾は外れてしまう。

いかし、2度目の発射で見事成功。

スイッチには命中するが、スクリーンが開き、そこに写ったのは、出現したギロンの姿だったので、間違って、ギロンのコントロールボタンに当たった事が分かる。

その頃、宇宙船の修理を終えていたフローベラとバーベラは、ギロンが出現した事に驚き、ここからはコントロールできないので、すぐに出発する事にする。

しかし、浮き上がった宇宙船にギロンは頭で斬りつけ、宇宙船はまっ二つに斬られてしまう。

地上に落下した宇宙船内で、かろうじてフローベラは立ち上がるが、バーベラの方は怪我でもしたのか起き上がれないようで、助けを求めて来たので、フローベラは光線銃を出すと、私たちの星では、役に立たなくなったら死ぬ事になっているのよと言いながら引き金を引き、バーベラをその場で消滅させてしまう。

檻の中の明夫とトムは、スクリーンに映ったガメラの姿を観て、助けて!と呼びかける。

ギロンはもはや、コントロール不能の状態になっており、明夫たちが捕らえられていた宇宙基地も破壊し始める。

2人は大声でガメラに助けを求める。

暴れ回っていたギロンが、地上の岩にぶつかり壊すと、その振動で、湖中の岩も崩れ、それが、仰向けに気絶していたガメラの顎に命中する。

それがきっかけで目を覚ましたガメラは、地上に姿を現す。

ギロンが建物を破壊したお陰で、檻から脱出する事が出来た明夫とトムは、ガメラの出現をスクリーンで確認すると、ガメラ〜!頼むぞ!着地に失敗するな!とアドバイスを与える。

無事地上に降り立ったガメラは、ギロンに火焔攻撃を始めるが、ギロンの包丁頭には通じないようだった。

ガメラはギロンの背中に舞い降り、踏みつけ始めるが、すぐの弾き飛ばされてしまう。

吹っ飛ばされたガメラは、2つの建物の上部に通っていたパイプ部分を掴むと、鉄棒の大車輪のように回転してみせ、その後、見事な着地を決めてみせたので、観ていた正夫は、9.95!と高得点を献上する。

しかし、その直後、ギロンが放った手裏剣が、ガメラの両腕に突き刺さってしまう。

ガメラは、不思議な踊りをのような動きを始めたので、トムは、ガメラがゴーゴーを踊っている!と喜ぶが、明夫が、手裏剣を抜こうとしているんだ。あれが邪魔で手足が引っ込められないんだよと説明すると、トムも、ジェット噴射が出来ないじゃないかと納得する。

ギロンが建物に迫っている事に気づくと、明夫は、ギロンのリモコンスイッチを探せ!メチャクチャに押すんだ!とトムに提案、やがて、その効果があったのか、ギロンは川底の塒に帰る。

明夫は、何か、武器がないかと探し始める。

一方、生き残ったフローベラは、ガメラが生きている事を知ると驚きながらも基地内に戻り、こうなったら最後の手段よ。どんな事をしても倒してやると呟く。

湖の中に潜んでいたガメラは、自分の手で、両手に刺さっていた手裏剣を抜いていた。

その直後、又ギロンが川底から地上に姿を現す。

コントロールルームのスクリーンが勝手に開き、ミサイルが映し出されたので、明夫とトムは、最後の武器だと気づき、スイッチを見つける。

湖中では、ガメラが、足に刺さった手裏剣を抜こうと、岩に足をぶつけたりして苦心していたが、湖に入って来たギロンがそのガメラの甲羅にぶつかる。

ガメラは、ギロンを捕まえたまま地上に飛び出すと、ギロンを頭から地上に突き刺す。

それを見た明夫は、今がチャンスだと悟り、ミサイルのスイッチを押す。

ミサイルはギロン目がけて飛び立つが、包丁頭にまっ二つに切断されてしまう。

切断されたもう片方のミサイルは地上に落下爆発し、その振動で宇宙基地にいたフローベラも落下した瓦礫に当たり、息絶える。

死んだ彼女の身体は光って消える。

切れたミサイルの片方はガメラがしっかり捕まえていた。

地上に逆さまに突き刺さっていたギロンが、又、手裏剣を発射し始めたので、思わず明夫は、ギロンの急所はその穴だ!と教えると、ガメラは、握っていたミサイルの半分をそのギロンの手裏剣穴に投げ、メザシのようにギロンの穴を串刺しにすると、その顔目がけて火焔噴射し、大爆発を起こす。

ギロンが息絶えると、明夫たちは万歳と叫び、ガメラが鳴くと、呼んでいると言って外に飛び出して行く。

ガメラは、まっ二つになった宇宙船を、火焔放射で夭折してくっつけていた。

2人がその宇宙船の中に入ると、ガメラは口に加えて地球に向かって飛び出す。

地球では、友子ちゃんが望遠鏡をのぞきながら、お兄ちゃんたちの帰りを待っていたが、何かを見つけると外へ飛び出して行く。

一方、警官のコンちゃんも、慌てて派出所に戻って来ると、天文台に電話を入れる。

その電話を受け取った志賀博士は、信じられませんと困惑するが、助手が近づいて来て、ガメラが宇宙船をくわえて近づいていますと報告するのを聞くと唖然とする。

噂を聞いた見物人やトムと明夫の母親、友子ちゃん、コンちゃんたちが集まった森の上。

コンちゃんは友子ちゃんに、言う通りになると良いねと声をかけ、母親たちには、信じてやって下さい。ガメラはこの子たちの友達ですからと言い聞かせる。

そこに、志賀博士も車で駆けつけて来るが、その時、友子ちゃんが、空の一角を指しながら、ほらガメラよと言う。

ガメラは、宇宙船が飛び立った場所に見事に着地し、くわえていた宇宙船の中から、明夫とトムが生還する。

それを観た母親たちは、私たち、子供たちの言う事を信じてやらなくっちゃいけなかったんですねと反省する。

友子ちゃんが丘を駆け下り、お兄ちゃんたちに再会すると、コンちゃんのメガネが落ちたので母親たちが注意すると、良いんですよ、ボクはね、嬉しいとメガネが落ちるんですとコンちゃんは答える。

明夫が近づいて来ると、母親が、こんなに多くの人にご迷惑をおかけしたのよと叱る。

明夫は、トムから借りていた帽子を取って謝るが、坊主頭になっている事に気づいたコンちゃんが、自分で先手打って来たなと指摘する。

しかし、宇宙人に刈られたんだよとトムが説明すると、友子ちゃんが、宇宙人にもコンちゃんみたいな人がいるのねと笑う。

志賀博士が2人に声をかけると、明夫とトムは、僕たちはすごい星を発見したんです。宇宙人もいました。宇宙のどこかには地球よりもずっと発達していて平和な星があると思っていたんだけど、やっぱり地球は最高ですね。博士が2人に声をかけると、地球に生まれた僕たちは他所の星なんかに憧れず、この星を戦争や交通事故のない星にして行くしかないと考えたんですと言うと、それは良い勉強になったねと博士も喜ぶ。

その時、友子ちゃんが、ガメラが首を引っ込めたわと声を上げ、ガメラが浮上し始めたので、子供たちは手を振ってガメラを見送るのだった。