TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

続・兵隊やくざ

シリーズ第2弾

シャバでヤクザだったとんでもなく乱暴で頑強な男が、軍隊と言う閉鎖社会の中で、理不尽な相手に対しては、上下関係も無視して暴れ回ると言う荒唐無稽な痛快アクションものだが、その主人公大宮貴三郎には、どこかしら「無法松の一生」の無法松にも似た純情さが潜んでいるのが本作で明らかになる。

この作品で登場する可憐な看護婦緒方恭子に対し、大宮が一目惚れしてしまうからである。

いかにも可憐な恭子を演じているのは、大島渚夫人の小山明子さんだが、本当にこの当時の小山さんは美しい。

前作で登場した娼婦の音丸を、月とスッポンなどと称しているのがおかしいが、ちゃんとスッポンの良さもフォローしているところが優しい。

威張る男に対しては魔神のように立ち向かうが、可愛い女たちに対しては少年のように純情になる大宮に、観客が感情移入しないはずがない。

この作品を観ていると、つい岡本喜八監督の「独立愚連隊」を思い出すのだが、両作品には共通点があり、共に北支を舞台にしていると言うだけではなく、軍隊と言う閉鎖社会の中で縦横無尽に暴れ回る主人公の姿が、フィクションと分かっていても、ついつい応援したくなるような胸の空くヒーロー像になっている点である。

「独立愚連隊」の方は、どこかしら西部劇を意識したような作りになっているのに対し、こちらは、もっと荒々しい「喧嘩もの」になっているのが違うくらいである。

今回、敵役として登場した岩波曹長を演じる睦五郎は、本当に強面で悪そうに見える所が嬉しい。

敵が悪そうであればあるほど、強そうであればあるほど、観客としては大宮を応援しがいがあると言うものである。

今回の注目点は、同じ勝つ新主演の「悪名」にも良く出ている芦屋雁之助、小雁兄弟が登場していることで、ユーモアシーンが増えているだけではなく、大宮が恭子から毛をもらいお守りにするなど艶笑譚的な要素も増えており、かなりシリアスな雰囲気が横溢していた前作に比べると、いかにも娯楽映画風に変化して来ているように感じる。

その分、ご都合主義と言うか荒唐無稽さも増しているのだが、もう大宮貴三郎と言う希代のキャラクターは勝手に動き出しており、観客はただただ、暴走機関車のようになったその行く末を見守るだけになっているのが楽しいと言えば楽しい作品である

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1965年、大映、有馬頼義原作、舟橋和郎脚色、田中徳三監督作品。

有田上等兵(田村高廣)と大宮貴三郎一等兵(勝新太郎)の2人は、南方に移動する部隊から脱走するため、移動中の機関車に秘密裏に移動すると、機関手を脅し、客車の連結部分を外させる。

これは、我らの運命を賭けた一か八かの大勝負だった。

タイトル

無事客車を引き離し、機関車を強奪して逃走に成功したと思っていた2人だったが、進行中の線路前方が突然爆破、2人とも雪原の放り出され気絶する。

一体これはどうしたと言うんだろう?何もかも巧く行くと思ったのに…

気がつきましたか?そう呼びかける声に目覚めた大宮は、目の前に、目を見張るようなきれいな看護婦が立っているのを観る。

ここはどこかと聞くと、奉天の陸軍病院だと答えた看護婦は、あまり動かないように、腰を強打していますと注意して帰って行く。

気づくと、隣のベッドには有田上等兵も寝ており、腰を痛めたのなら、もうあっちの方はダメだろう。俺の方は頭と腕を打ったが、あの方は打っとらんなどとからかって来たので、今の看護婦、良いですねと大宮が声をかけると、音丸とどっちが良い?月とスッポンか?などと有田が聞いて来たので、スッポンの味も捨てたもんじゃないですよなどと笑う。

大宮は、上等兵殿、あの方も大丈夫のようですと言い出したので、有田は捧げ筒をやっとるか?と笑う。

2人は目に見えて回復したが、やがて恐れていたことがやって来た。

病室にやって来た憲兵伍長は、お前ら2人は転属で客車に乗っていたはずだ、何故、機関車に乗っていたのかと聞いて来る。

有田は真顔で、警備兵として乗っていたと答え、大宮も同じだと答えるが、警備兵が、客車が連結を離れたことに気づかないのはおかしいと憲兵伍長は突っ込んで来る。

大宮は、振り返った時には付いていたなどと適当に答えるが、有田は、この男は頭を打って大分おかしくなっている。とにかく、客車が離れたお陰で部隊は無事だったのだから良かったのではないか?と話を巧妙にすり替えてしまう。

それでも憲兵伍長は、不可解な事件だと首を傾げていたが、ともかく、関東軍の南方移動を防ごうとする防諜活動だ。誰にも喋るな!と念を押して帰って行く。

その後、大宮は、わざと回復が遅れているような振りをして、あの美人看護婦緒方恭子(小山明子)に肩など貸してもらって、外を歩く練習などしていた。

そこにやって来た有田は、間もなく現隊復帰して除隊になるそうだと嬉しそうに大宮に教えるが、何故か大宮は不機嫌そうになり、松葉杖を抱えると、唖然とする恭子と有田をその場に残して1人で立ち去ってしまう。

その日の夕方、2人は身の回りの整理をしていたが、そこにやって来た医長は、2人に対し、4月15日付けで、北支派遣軍4242部隊への派遣を言い渡したので、有田は呆然とし、医長に食って掛かる。

しかし、除隊と決まった命令はその後変更になったと言うだけで、医長は、明朝出発すると伝える。

有田はがっくり脱力すると、俺たちはよくよく軍隊に縁があると見える…と呟くと、くそっ!と吐き出す。

これまで世話になった礼を言いに、恭子のいる看護婦室に出向いた大宮は、4242部隊なんて「死に死に」で縁起が悪いなどと愚痴るが、あの部隊には私の弟の緒方四郎がいるのと恭子は教えてくれる。

大宮はそんな恭子に向かい、実は記念に欲しいものがある。あなたの毛を下さいと言い出す。

恭子は、髪の毛?と聞くと、別の毛です!自分は死ぬかもしれません。もうあなたに会えないかもしれません。自分は目をつぶっております。自分だけの大切なお守りにしたいんですと大宮が熱心に言うので、困惑した恭子は部屋を出て行ってしまう。

頭を下げたままの大宮は、再び入って来た看護婦に、お願いしますともう1度頼むが、頭を上げてみると、それは婦長だったのでバツが悪くなり、敬礼をして出て行く。

明くる日、有田と大宮は、世話になった病院を去ることになるが、大宮は、自分の方を観ていた恭子が何かを地面に落として行ったのに気づき、それを見に行くと、紙が落ちており、それを開いてみると満面の笑顔になって、いきなり走り出すのだった。

その後、有田と大宮は、九龍関の多久島部隊に合流し、中隊長である多久島中尉(須賀不二男)に着任の挨拶をする。

さらに、人事係の岩波曹長(睦五郎)にも挨拶をするが、岩田は軍隊の主のような奴で、有田が現役の三年兵と聞くと、ここには召集で5〜6年はざらにいるぞと威張り始める。

それを大宮があざ笑うと、野戦のビンタがどんなものか教えてやると立ち上がった岩波は、いきなり大宮の顔を殴り始めるが、あまりの面の堅さに、2、3発で、自分の手の方が痛くなり止めてしまう。

これをきっかけに、大宮貴三郎の名は、たちまち中隊中の評判になった。

やがて、訓練が始まるが、その休憩中、緒方一等兵(酒井修三)が、銃口をなくしたと焦って探しまわっていたので、お前の姉さんの世話になったので、自分の分をやると声をかける。

お前が罰せられるぞと緒方は心配するが、大宮は、もう一つ持っていることを見せる。

訓練が終わったので、1人で一番風呂に入り、浪花節などうなっていると、そこに、三中隊の江崎軍曹(芦屋雁之助)と青竹軍曹(芦屋小雁)が入って来る。

2人は先に入っていた大宮を見知らぬ上官と思い込んだ様子で、背中などを流し始めるが、大宮はそんな2人にこの辺の女の状況などを聞くと、すぐに浴室を逃げ出し、ふんどしを履いていたが、そこに又、他の下士官たちも入って来たので、あわてて服を手に持ったまま逃げ出すが、下士官たちは全員、そんな大宮を上官と思い込み敬礼をする。

そんな中、浴室の江崎軍曹は、大宮が忘れて行った石鹸箱に、大宮一等兵と名前が書いてあるのを発見、自分たちが勘違いしていたことに気づく。

その後、石鹸箱を持って大宮の元にやって来た江崎と青竹は、一等兵の分際で一番風呂に入り、俺たちの背中を洗わせるとは何事か!と怒鳴りつけるが、それを横で聞いていた有田は、自分が大宮の戦友と自己紹介した上で、班長殿、この制裁は自分に任せて頂けませんかと口を挟む。

しかし、2人はお前にどんな制裁が出来るんだと言い、自分らで大宮を殴ろうとするが、自分の手の方が痛いことに気づくと、「ものすごい一等兵…」とぼやきながら逃げ帰る。

その後、大宮の姿が見えなくなったので、外にいた緒方に聞いた有田だったが、他中隊の者に付いて行ったのを見かけたと言うので、直感的に三中隊に呼び出しされたと考える。

事実、大宮は、江崎と青竹の待つ三中隊に来ていたが、2人は、そこに呼んでおいた元相撲取りで十両だったと言う北川上等兵(阿部脩)に大宮を殴るよう命じる。

さすがに元力士の怪力は凄まじく、机に置いてあった缶を握りつぶしてみせると、大宮をボコボコにする。

そこにやって来たのが有田で、江崎たちに、制裁は昨日ですんでいるはずです。浴場で大宮を上官と間違えたのは班長たちの方で、大宮は自分の口から身分詐称をした訳ではありませんといつものように屁理屈で説明する。

すると、江崎たちは、この上等兵も可愛がってやれと北川に命じたので、倒れていた大宮は、待て!と声をかけると、先ほど北川が握りつぶした缶を広げ、引きちぎってみせると、いきなり立ち上がり、北川を痛めつけはじめる。

江崎と青竹の2人の首も締め始めたので、有田はいつものように、その様子を観察しながら、まずいと判断したので、止めろ!と制止する。

その場は一応収まったが、このことで大宮は、三中隊から付けねらわれることになる。

それで、有田は、乙官上がりの八木曹長(上野山功一)に相談し、今までの部隊と違い、ここには実弾があるので、いつ背中から撃たれんでもない。曹長の当番兵として預かってくれないかと頼む。

当番兵とは、言わば「おさんどん」のようなもので、掃除洗濯、身の回りのことはなんでもやらされる雑用係だったが、八木曹長に一時預けられた大宮は、文句も言わずに仕事をこなしていた。

その日、八木は岩波曹長と花札をやっていたので、スイカなど切って持って行った大宮だったが、負けてばかりの八木が降りたと言い、岩波は大宮にやらんかと誘う。

金がありませんのでと大宮が遠慮すると、5円くらいなら貸してやると岩波が言うので、博打やる時は階級はなしにしましょう。勝って殴られたんでは割に合いませんからと約束させ、勝負を始めるが、大宮は面白いように勝ち続け、逆に岩波の方はどんどん機嫌が悪くなるが、約束をしている以上、金を払わないわけにはいかなかった。

臨時収入が手に入った大宮は、日本人街で手に入れた日本酒を手みやげに、久々に有田の所へやって来ると、緒方恭子に手紙を書いてくれないかと頼む。

有田は、お前、字が書けんのか?と聞くと、少しは書けますが…などと言うので、有田は呆れるが、たっての願いとあって、代筆をしてやることにする。

何て書くんだ?と聞くと、愛してるんだと言うので、有田は改めて、大宮が本気で恭子のことを惚れた事を知る。

大宮に言わせると、あの女は特別だそうだった。

ある晩、八木が留守の時、岩波曹長が芸者の染子(水谷良重=二代目水谷八重子)を連れて来る。

染子が風呂に入りたいと言うので、岩波と2人で入るが、外で釜を焚いていた大宮に、背中を流せと声が聞こえて来る。

入っても良いのでありますか!と返事をし、浴室に入ると、染子が背中を向けており、洗ってやれと岩波が湯船から言うので、大宮は、染子の背中を洗ってやる。

その夜は、大宮が寝ている部屋の隣で、2人がいちゃつく声がずっと聞こえて来て寝られないので、辛抱できなくなった大宮は、起き上がると、隣に向かい、買い物に行ってきますと声をかける。

こんな時間に何を買いに行くんだと聞かれた大宮は、必需品であります!と答える。

その後大宮がやって来たのは、慰安所だったが、夕食時間の後は、下士官しか入れないとやり手ババアに断られるが、粘っていると、用をすませた江崎が大宮を発見し、歌を歌いながら出て来た青竹も、一等兵が今時分来ているのに気づき驚くと、何しに来た!と怒鳴りつける。

大宮はとっさに、自分は今、八木曹長の当番兵をやっており、曹長に言われた用がありやって来たと言うと、近くにいた娼婦も頷いてくれたので、何とかその娼婦と部屋に入り込むことが出来る。

その娼婦は、下士官より兵隊さんの方が好きと言ってくれる。

翌日、第二分隊の木村と言う少年兵が戻って来ないことが判明、直ちに非常呼集がかけられ、逃亡兵の捜索が始まる。

そんな中、八木曹長が飯を食っている所に染子がやって来たので、大宮は、そう言うことだったのかと2人の仲に気づく。

八木は染子に、自分が除隊したら、お前を本土に連れて帰ると約束していたが、戦争が続く限り所帯は出来んだろう。自分も南方に送られるかも知れんと不安も口にする。

染子は、私、どうしようかな…?志願もないし、忘れないわ、あなたのこと…と答えるだけだった。

隣の部屋にいた大宮の所に来て水を一杯飲ませてもらった染子は、あんたも辛いわね。我慢するのよと慰める。

ところが、その後、中隊に泊まって来るはずだった岩波曹長が急に帰って来たので、八木は染子を、大宮の部屋の戸棚の中に押し込む。

大宮がかんぬきを開け、今日はお泊まりでは?と聞くと、岩は、木村が捕まったんだと言って奥の部屋に入ると、八木と同じ部屋で寝る。

夜中、納戸の中が寒いと言いながら、染子が大宮の布団の中に入ってきたので、大宮は慌てるが、すぐに寝入った染子が鼾をかくので、それを止めようと口を手で押さえると、声を出してしまい、隣の岩波に聞こえてしまう。

大宮の隣に染子が寝ていることを知った岩波は、お前が呼んだのかと聞いて来たので、大宮はやむなく、はい!と答えるが、目の前で大宮が殴られているのを見かねた八木が、自分が呼んだのだと打ち明ける。

すると岩波は、そんなに欲しけりゃな、熨斗をつけてくれてやっても良い、どうせ淫売なんだからなどと染子を侮辱し、貴様は初年兵の時、ビンタされて逃げた。そう言う男だと八木本人までもバカにする。

さすがに腹にすえかねた染子は、岩波のバカやろう!と怒鳴り、私は八木さんに惚れたのさ。二度とお前とは寝ないよと岩波をバカにし始めたので、聞いていた大宮は慌てて染子を部屋から追い出してしまう。

このことがきっかけで、当番兵を首になった大宮は部隊に復帰し、山西省へ出動した。

しかし、村は全員逃げており、後に残っていたのは、病気の老人と姑娘が1人だけだった。

多久島中隊長は、こいつらを八路軍(パーロー)の手先と言うことにして捕まえようと言い出し、岩波は、初年兵に突き殺させたらどうでしょう?と提案する。

結局、病気の老人を、初年兵全員の度胸試しにと、銃剣で突き殺すと言う公開処刑をすることになるが、その場に立ち会っていた有田上等兵は、この老人は病人です。例え、パーローであっても、捕虜は正統な扱いを受ける権利がありますと岩波に進言する。

1人の老人を殺すことは、多数の敵を作ることになりますと理屈を述べると、岩波は反軍思想だなと言い出し、その場で有田を殴りつける。

それでも有田は、初年兵たちに、無謀な命令に従う必要はないと声をかけ、大宮は、銃剣を取り付けている他の初年兵たちに、おいみんな、止めようぜと言って止めさせる。

逆上した岩波は、自分の銃を抜いて、老人を射殺しようとするが、その時、八木曹長が空に向かって銃を発射し、結局、多久島中隊長が、この男は使役に使うと言って、老人の処刑は中止されることになる。

大宮は有田の元に駆け寄ると、やりましたね!見直しましたよと笑いかけて来るが、このまますむはずがなかった。

その後、部隊から離れた場所に、古参兵たちから呼び出しを受けた有田上等兵は、こてんぱんにやっつけられる。

その頃、飯の支度を手伝っていた大宮は、有田の姿が見えないことに気づき、戻って来た古参兵たちに有田のことを聞くが、みんな笑っているだけ。

すぐさま、有田を探しに行った大宮は、ぼろぼろになった有田を見つける。

相手は?と聞くが有田は答えないので、黒住兵(五味龍太郎)ですね?と察した大宮は、嘗められてたまるか!と激怒する。

有田は、自分が今度のことで軍法会議にかけられるのは覚悟しているからもう止せと言い聞かせても、腹が収まらない大宮は、出来上がった飯を先に食っていた古参兵たちの所へ来ると、礼を言いに来たと言って殴り掛かる。

大宮に痛めつけられた黒住兵長は、有田を殴ったのは隊長の命令だったんだと詫びる。

すぐさま八木曹長に抗議に行くが、隊長殿に因縁をつけに来たのか?そんなことをすれば、軍法会議は免れない有田は、ますます不利になり、追いつめられてしまうぞと注意される。

その多久島中隊長は、捕虜として捕まえていた姑娘を後で連れて来いと見張りに命じていたが、近くに身を潜めて、中隊長の行動を監視していた大宮は、女を抱く気だなと気づくと、そっと2人の見張り兵の背後から近づき殴り倒すと、小屋の中に入り込み、縛られていた老人と姑娘の縄を切ると、外に逃がしてやる。

その後有田に会いに行くと、有田は、大宮の顔もボコボコになっているので思わず笑ってしまう。

大宮がシケモクを有田に吸わせると、運命って分からんもん。軍隊がなければ、お前と言う男とも出会うことはなかった…と感慨に耽る。

大宮はあっけらかんと、軍隊なんて縛られなければ良いんでしょう?などととぼけてみせるが、有田は、お前はまだ人間性を失っておらんと感心する。

その時、捕虜が逃げたぞ〜!と言う声が聞こえて来たので、有田は驚き、お前がやったことが分かれば銃殺だぞと心配する。

しかし、大宮は、その時はその時で、明日は明日の風は吹く〜♩などと歌い出す始末。

その時、近くで着弾の音がし、八路軍が攻めて来たことが分かる。

全員応戦に出発し、大宮も、恭子からもらったお守りにキスをすると、銃を構える。

そんな中、八木曹長は、1人前進して様子を見に行くが、物陰からその背後を密かに銃で狙っていた岩波曹長は発砲し、八木はその場に倒れる。

八路軍は撤退したが、有田上等兵は命令違反で7日間の営巣入り、見張りだった緒方と西川は、捕虜に逃げられた罪で10日間の営巣に入れられることになり、これにはさすがの大宮も責任を感じていた。

ある日、有田に会いに来た大宮が、東京が大空襲を受けて大変らしいなどと最新情報を教えると、俺たちの命も長くないな…などと呟いた有田だったが、八木曹長は背中から撃たれていた。敵は後ろにいたんだ。女で岩波と争っていたと言っていたな?野戦では良くやる手だと言い出す。

それを聞いた大宮は、八木曹長の遺体を焼く時、身体の中から弾を見つけましょうか?と聞き、有田は、岩波の拳銃が手に入らんか?と頼むと、大宮は任せといて下さいと張り切る。

そんな大宮は、当の岩波から、今、本舎で、八木の霊を伴ってのでお前も来いと呼ばれる。

簡単な仏壇が作られた本舎に来たのは大宮だけではなく、染子も連れて来られる。

八木の位牌を観た染子は、陰気くさいのは嫌いだから帰ると言い出す。

しかし、大宮と染子、岩波は3人で酒を飲み始める。

岩波は、八木のことはもう忘れるんだと言うが染子が、軍人なんかに惚れやしないよと言い返すと、そんなに八木が好きだったのなら、坊主になれ!俺が切ってやる!といきなり言い出し、つかみ掛かって行く。

その隙に、大宮は、岩波が置いていた上着の下から銃をそっと抜いて盗む。

最初は必死に抵抗していた染子だったが、急に抵抗をやめると、もう良いわよ、髪でも何でも切ってよ!と開き直る。

後日、他の初年兵らと共に使役をしていた大宮は、近くにトラックが対綾をぬかるみに取られ動かなくなったので、使役を数名貸して欲しいと言う運転手が来たので、その手伝いに向かう。

車輪の後ろでトラックを押し始めた大宮は、タイヤがはね飛ばす泥水で全身泥だらけになるが、その時、助手席から降りて来たのは、何と、憧れの看護婦緒方恭子だった。

聞けば、九龍関の野戦に移って来たのだと言い、弟は元気かと聞いて来たので、大宮はバツが悪くなり、元気は元気ですが…と曖昧な返事しか出来なかった。

その直後、何とかトラックは動き、大宮は後で恭子と会えるのを楽しみにする。

その恭子は、多久島中隊長の元に来て、営巣に入れられていることを知った弟に会いたいと申し出るが、まだ未決だし、軍法会議にかかるかも知れない。そうなれば懲役7年かな…などと多久島は伝え、何とか計らってみましょうなどと言うと、恭子を自分の部屋に連れて行く。

その頃、有田は営巣を出て久々に外の空気を吸っていた。

それを迎えに来た大宮は、恭子さんが今来ていると教え、でも、中隊長に聞きに行ったら、もう帰ったと言うんですよなどと、首を傾げる。

それを聞いた有田も、伝言も置いて行かないのは変だな?と呟くと、大宮と共に中隊長の所へ向かおうとしてみるが、近くにいた兵隊たちが、真っ昼間から女を連れ込んで…などと噂しあっていたので、それは恭子のことに違いないと察した大宮は、中隊長の部屋へ走る。

その頃、恭子は多久島から襲われそうになっていた。

断ると、弟のことは知らんぞなどと言われた恭子は泣き出してしまう。

無抵抗の恭子がベッドに押し倒されていたその時、部屋に飛び込んで来た大宮は、いきなり多久島を殴りつけると、お前なんか上官じゃねえ!この前も姑娘やろうとしてたじゃないか、このスケベやろう!と迫り、緒方と姉さんをあわせるかと聞くと、血まみれになった多久島はもう返す言葉もなく許可を与える。

その後、有田と大宮は、恭子を営巣に連れて来ると、見張り兵に、中隊長の許可をもらったと告げ、恭子を中に入れてやる。

しかし、大宮と2人になった有田は、このままじゃすまんぞ。又逃げるか?お前だけを逃亡させる訳にはいかん。お前とは別れたくないんだと言う。

そこに古参兵たちが近づいて来たので、ここは俺に任せろと言う有田に、大宮も従って、古参兵たちと岩波の部屋に連れて行かれる。

岩波は大宮に、隊長に暴行を働いたそうだな?有田もそれを傍観し、姉を弟にあわせたそうだな?、2人とも軍法会議に出すと迫るが、有田は、決行だ。こちらはお前を殺人罪で訴えると逆襲する。

大宮も、証拠は上がっているんだと言うので、岩波は、あるなら出してみろ!と虚勢を張るが、有田は、八木の背中から見つかった弾丸と、岩波の銃から抜き出した弾丸を2つ取り出し、この2つには同じ痕跡が残っている。お前が八木を撃ち殺した動かぬ証拠だ。俺たちを憲兵に渡すと、お前も捕まるぞと迫る。

岩波は追いつめられ、その場にいた古参兵たちに、全員やれ!命令だ!と叫び、古参兵たちは仕方なく、大宮にかかって行く。

大宮は孤軍奮闘、古参兵たちを残らず痛めつけるが、岩波は日本刀を抜いて斬って来ようとする。

すると、大宮は、岩波から奪っていた銃を取り出し、その右腕を撃ち抜いて刀を落とすと、軍法会議に出てやる!と叫び、有田と共に部屋を飛び出して行く。

目の前には、恭子が乗って来たトラックが止まっていたので、その運転席に飛び乗った2人は、機関銃を持ち出し撃って来た岩波たちを避けながら、騒動に気づき、外に出ていた恭子の前にトラックを横付けすると、すぐに乗せ、まっしぐらに部隊を脱走する。

敷地を囲っていた鉄条網も引きちぎって外に逃げ出した大宮たちのトラックだったが、運転席に乗り込んだ恭子は、私のために大変なことになって…と詫びて来る。

しかし、運転していた大宮は、軍隊なんてくそくらえだ!と吐き捨てただけだった。

やがて、村はずれに来たので、大宮は、恭子を降ろして別れを告げる。

お2人ともお元気で…と言葉を書けて来た恭子に、着いたら手紙書きますよと約束して出発する大宮。

助手席の乗っていた有田は、大宮、どこに行くんだ?と聞く。

任せといて下さいよ。とんでもない奴と一緒ですみませんねと大宮がとぼけたように言うので、その大宮がくわえた煙草に火をつけてやった有田は、どうしようもない奴だよと答え、大宮は、自分が吸っていた煙草を有田に渡すのだった。

 


続 兵隊やくざ(DVD)

続 兵隊やくざ(DVD)
価格:2,441円(税込、送料別)