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忍びの者 続霧隠才蔵

市川雷蔵主演の「忍びの者」シリーズ5作目。

時の権力に踏みにじられた下層の忍者が、その権力に独り立ち向かう様を描くパターンが基本だが、初期作品ほどのインパクトはないものの、本作では南の島を舞台に異国情緒溢れる異色の展開が描かれている。

若山富三郎演じる真田幸村が、意外と気弱に描かれているのが珍しい。

その分、家臣の才蔵が孤軍奮闘というか、独り相撲を取らざる得なくなる姿が観ていて痛々しい。

父親を失い、生きる望みを失ってしまう志乃や、才蔵を殺す使命と、彼を愛してしまった気持ちとの相克に悩むあけみなど、登場する女性たちの姿も哀しい。

主人公霧隠才蔵は、シリーズ初期の石川五右衛門同様、忍者は人の心を持たない。人を愛さないと言う掟を守りながらも、絶えず、弱い立場の女に対しては、情けをかけることを忘れない優しさを持っている人物として描かれている。

冒頭の大阪夏の陣の描写では、実際に実物大の塀を爆破するなど迫力満点。

これはおそらく、最初から前作との「正続編」として作ることを前提に、2本分の予算が投入されていたためと思われる。

見所である忍者同士の戦いは、あまりに半蔵側の伊賀忍者たちが弱過ぎ、やや単調な印象を受けなくもない。

シリーズ前半で登場場面が多かったこともあってか、別人役で登場している藤村志保の登場シーンが少ないのも仕方ない所かも知れない。

シリーズの中では平均的な出来と言った所ではないだろうか。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1964年、大映京都、高岩肇脚本、池広一夫監督作品。

元和元年5月8日、 大阪夏の陣は、ついに最期の段階に突入した…とテロップ

真田大助(小林勝彦)は父、真田幸村(城健三朗=若山富三郎)に、天守閣が!と叫ぶ。

燃える天守閣の中では、淀君らが最期の時を迎えていた。

攻める徳川家康(小沢栄太郎)は豊臣方の人間、特に、真田幸村の息の根を止めるように命じていた。

霧隠才蔵(市川雷蔵)は、戦とは最期に勝つことです。殿!むざむざと家康に天下をゆだねるのですか?と迫り、自害しようとしていた幸村を止める。

右足を負傷した家康は、幸村の死骸はまだ見つからぬか!秀忠(島田竜三)!全国にふれを出し、幸村の首を取ったものに、即刻500石を与えるのだと命じる。

そんな家康の元に駆けつけた服部半蔵(伊達三郎)は、あじ川から、小舟が漕ぎ出し、3人が乗っていたと報告する。

それを聞いた家康は、霧隠じゃ、やりおったな!霧隠才蔵!と悔しそうに呟くのだった。

タイトル

家康は、行き先は薩摩しかない。今、幸村に上陸できる所がどこにある?と推理していた。

その推理通り、薩摩に接近していた幸村と大助、霧隠才蔵(市川雷蔵)の小舟を崖から見つめていたのは、服部半蔵以下伊賀忍者たちだった。

半蔵は、夜を待とう…と呟く。

小舟を漕いでいた才蔵は、後3里ばかりで雑賀港に着きますと大助と幸村に告げる。

雑賀は、琉球、ルソンへの貿易港であった。

その時才蔵は、船が接近して来ている音を察知する。

鎧を外した才蔵は、静かに海に入り、背後から接近していた3隻の伊賀忍者の小舟に水中から接近すると、1隻ずつ船をひっくり返して、懐中に堕ちた敵忍者をしとめて行く。

霧隠〜!と呼んでいた大助の声目がけ、半蔵が投じた手裏剣が刺さり、大助は小舟の上で息絶える。

そこに戻って来た才蔵は、積んでいた瓶から油を海に流し込み、それに火を投じて、海面は火の海と化す。

島津義弘(沢村宗之助)、家久(五味龍太郎)親子は、無事、幸村を無事薩摩まで送り届けた才蔵を褒め讃えると、関ヶ原以来の仇敵、家康を倒そうとする幸村に全面協力を申し出る。

南晴幸と変名していた幸村は、家康を倒すには最新式の種子島(鉄砲)を手に入れるしかないと考えていたが、三連発砲を献上しに来た種ケ島久尚(林寛)は、開発の元にしたと言うポルトガルの下絵なるものを見せてくれぬかと家久が頼んでも、容易にその製造法を明かそうとはしなかった。

義弘は家久に、さっそく、伊達や斉藤に密書を出すように命じる。

幸村は、家康は間もなく太政大臣に任じられ、半年以内に京に上って来るはずで、それまでに種子島に渡らねばならないと伝えていた。

その頃、駿府にいた家康は、三浦按針から買い入れたイギリス式鉄砲より高度な新式鉄砲を家久から献上されて喜ぶが、薩摩城中に南晴幸なる人物が匿われている事も先刻承知している口ぶりだったので、家久は薩摩に戻って来ると、それを父親の義弘に伝える。

義弘は、国境は網の目を張り巡らせていたにも拘らず、間者が藩内に忍び込んでいるらしいことに驚いたようだった。

南晴幸のことを知っているのは、自分ら親子と、生まれて国から一歩も出たことがない宗全しかいないはずだった。

その頃、国境の森の中を走っていた猟師は、空に向かって猟銃を撃つと、崖下から、別の猟銃を撃つ音が聞こえて来る。

崖の上にいた猟師は、下にいた猟師に向かい、紙つぶてを投げて渡す。

下でそれを受け取った猟師が走って去っている途中、ふいに現れて倒した霧隠才蔵は、死んだ漁師が持っていた密書を奪い取る。

そこには「家久帰着、義弘と鳩首協議中、幸村未だ、種子島に出発せず」と書かれてあった。

年老いた猟師が自宅の山小屋に戻って来ると、志乃(藤村志保)が、亡くなった老妻の仏を、今日が命日だと言って拝みに来てくれていた。

感謝した猟師は、すぐに帰ろうとする志乃に、お父上へのお土産にと言って、その日獲ったばかりの獲物を持たせてくれる。

その志乃を、山小屋から藩内にある海江田一閑斎(浅野進治郎)の道場まで尾行して来たのは才蔵だった。

一閑斎は、戻って来た志乃が、猟師からもらって来た獲物を国境で仕留めたと聞くと目を光らす。

その夜、一閑斎は義弘の屋敷に向かうが、帰る途中、殿が急に用を思い出したので、もう一度お戻り願いたいと家臣たちから呼び止められる。

翌日、義弘の屋敷内の庭先に植わっていた蘇鉄の根本から何やら取り出そうとしていた宗全(荒木忍)も、いきなり現れた義弘と家臣たちによって捉えられてしまう。

蘇鉄の根本には、想像通り、密書が埋められていた。

信任厚かった宗全と一閑斎が実は隠密だったことを知った義弘は激怒し、2人を銃撃で処刑する。

危うい所で、武家諸法度に乗っ取り、島津藩の改易は必定だった。

何としても種子島に渡らねば…と焦る幸村に対し、才蔵は自分1人で行くと申し出る。

幸村の隠れ家としては、出湯と庵がある指宿が良いだろうと言うことになる。

宗全と一閑斎の首がさらされる。

道場では、1人娘の志乃が、懐剣で自決しようとしていたが、その懐剣を弾き飛ばした才蔵が、死んではならん!父はそなたを巻き込むまいとして隠していたのだと説得する。

あなたは誰です?と聞かれた才蔵は、自分が父親を殺した仇だと答え、隠密や忍者の世界では、人の心を持ってはならん。ひたすら使命を果たすのみ。そなたは生きろ!何としてでも女の幸せ、見つけてくれと頼むが、あなたが薩摩に来なければ、父は死なずにすんだのですと言うなり、落とされた懐剣を拾い上げ、突いて来ようとする。

その時、志乃を捕縛しようと役人が乱入して来たので、才蔵は霧隠の術を使い、煙を巻いて志乃を連れて逃げ出そうとするが、気がつくと、志乃は自らの胸を懐剣で突いて、すでに事切れていた。

種子島

1人、島の繁華街に潜入した才蔵は、島の役人2人に執拗に尾行されていた。

やむなく身を隠すために、一軒の飲み屋に客として入り込むが、そんな才蔵に、役人に追われているのね?気にしないことよ。見慣れないものを見るとつけたがるのが種子島の役人さと語りかけながら近づいて来たのは、店の女あけみ(藤由記子)だった。

どこから来たの?と問われた才蔵は、薩摩から一山当てに来たとごまかす。

その時、嫌がる別の店の女を追って来た明国人が近づいて来たので、才蔵は足を引っかけ転ばす。

明国人は形相を変え、鞭で才蔵を叩こうとするが、難なく避けた才蔵を見ると、やるな貴様!と呟いて、その場は、他の仲間たちと一緒に帰って行く。

あけみに聞くと、今の明国人は竜飛(藤山浩二)と言い、からかわれていた店の女は真鶴(明星雅子)と言うあけみの妹だった。

取りあえず店を去ろうとした才蔵だったが、あけみが名を聞いて来たので、照蔵と答えておく。

あけみは、自分も本州に帰りたい。誰か連れて行ってくれないかしら…と才蔵の顔を見つめながら呟きかける。

翌日、鉄砲製造工場に潜入した才蔵は、内部を事細かに観察した後、爆弾を投げて騒動を引き起こし、その隙に海岸まで逃げて、そこから密書を結んだ伝書鳩を飛ばす。

指宿の庵に滞在していた幸村は、その伝書鳩の密書を読む。

鉄砲工場の溶鉱炉の警戒が厳重なので、何か秘密があるらしい。竜飛と言う明国人も監視すると書かれてあった。

後日、先日の飲み屋で張っていた才蔵は、竜飛が役人らしき男と別室に向かったのを観て、それとなく後をつけ様子を見るが、そこに声をかけて来たのがあけみだった。

役人は、竜飛が会ったと言う才蔵のことを島津藩の隠密かも知れん。先日の工場での爆発も才蔵の仕業ではないかと疑っており、ポルトガルとの交易しか認められていない中、万が一、明国と密貿易している事がバレたら、薩摩が責めて来るに違いないと怯えていた。

その頃、席に戻った才蔵は、あけみにまとまった金を渡し、これで妹と本州に帰れと勧める。

あけみは感激し、一緒に行ってくれるんですか?とすがって来るが、才蔵は、俺には仕事があると断る。

しかし、あけみは、いつまでも仕事が終わるのを待ちますと言うので、才蔵は、俺なんか待たず、お前たちは幸せ探すんだなと言い聞かす。

その深夜、無人の飲み屋にやって来た白髪の老人は、あけみと真鶴に、お前たちはくノ一であるのを忘れてはおるまいな?と釘を刺す。

お前らの父、武部与藤次は才蔵に殺された。

鷲はその亡骸に誓った。1年以内に、お前の娘たちに仇を討たせると…。しかし、1年経たずにその時が来たんだ…と言う老人の言葉を聞いた姉妹は、敵がいるんですか?と聞く。

白髪の老人は、照蔵と言う男が才蔵だと教えたので、姉妹、特にあけみの方は仰天する。

尋常な手だてでは到底歯の立つ相手ではない。お前らは女の務めを果たすのだと老人が続けると、女の恥を捨てるのですねと真鶴が覚悟していると言う風に答える。

そんな姉妹に老人は、琉球に生息するはぶの猛毒の入ったギヤマンの瓶を渡し、これを体内に入れれば死に至る…分かるな?と説明する。

何のためにあいつは来たんですか?とあけみが聞くと、鉄砲だ。どうした?怖じ気づいたのか?くノ一は、この蝋燭のように、消えて行く自由すらないのだ…と老人は言い、あけみが島を抜け出したがっていることを先刻承知しているようだった。

指宿の幸村は、才蔵からの最期の密書を受け取っていた。

明国との密貿易をしていることは間違いなく、その確証を掴むつもりだと書かれてあった。

義弘は家久に、伊達、福島、加藤からは知らせが届いていると伝えていた。

しかしその頃、駿府の徳川家康は薩摩の企みに気づいており、引導を渡すために金地院崇伝(稲葉義男)を薩摩に向かわせていた。

一方、あけみは才蔵暗殺を迷っており、白髪の老人から、真鶴はあっぱれくノ一じゃ。今頃は立派に霧隠を仕留めていると責められていた。

真鶴は、才蔵に、ハブの猛毒入りの酒を勧めていたが、それを口にした才蔵は急に苦しみ出し倒れる。

そこに、あけみが駆けつけ、霧隠才蔵は死んだと自慢げに報告する妹をビンタするが、気がつくと2人の前に才蔵が何事もなかったかのように立っており、口に含んでいただけの毒酒を窓から吐き出していた。

そう簡単に俺は死なんぞと言う才蔵に飛びかかってテーブルの下に押し倒された真鶴は、首筋に傷を負っていたが、そこにテーブルの上でこぼれた毒酒が滴り落ち、傷から毒が体内に入った真鶴は、その場で苦悶の末息絶える。

それを観たあけみは、あなたは父親ばかりか妹まで…と才蔵を睨んで来たので、お前たちは何者だ?と才蔵が聞くと、武部与藤次の娘です。あなたが、父の仇と知った時、私は狂いそうでしたとあけみは答える。

でも、私がやらなければ妹が…。あなたも忍者を捨てない限り、いずれは殺されますと言うあけみに、忍びと言う時は「刃」の下に「心」を置く。死は常に覚悟しているのだと才蔵は答える。

才蔵が去った後、部屋に入ってきた白髪の老人は、あけみ、今こそ獣の心に、悪鬼羅刹となって霧隠才蔵を倒せ!くノ一の誓いを忘れまいぞと命じるのだった。

才蔵はその夜、竜飛と種子島の役人2人が密約を交わす現場を天井から監視していた。

どうやら、竜飛側が、鉄砲の値段を吊り上げているらしかった。

役人側が、これでは鉄砲の製造を止めると言い出すと、あんたらが、かねまで獲って、他半から注文を取っているのを知らないとでも思っていたか?と竜飛が突きつけると、さすがに反論できなくなった役人は、竜飛が差し出す証文に署名するしかなかった。

その時、室内にいた竜飛と2人の役人が相次いで倒れてしまう。

天井から才蔵が薬を撒いたためだった。

才蔵は、机の上に置かれたままの証文を引き上げると、その場から逃げ出そうとするが、突然、カンテラの灯で照らされたので、待ち伏せされていたことに気づく。

闇の中から才蔵目がけ、次々に火手裏剣が飛んで来る。

闇の中に立っていた白髪の老人は、死ね!霧隠才蔵!と叫んで笑う。

火手裏剣の餌食になったと一瞬見えた才蔵だったが、才蔵の空蝉の術で手裏剣を交わしていた。

そんな才蔵を見つめていたのはあけみだった。

あけみ、やれ!と老人から命じられたあけみは、才蔵目がけて持っていた爆弾を投げる。

しかし、爆破の後、才蔵の姿が見えなくなったので、忍者たちは全員後を追う。

その後、闇の中に姿を現した才蔵の姿があった。

翌日、海が見渡せる崖の所に佇んでいたあけみに、与藤次が泣いていようぞ。くノ一とて忍者、しくじりは許せん!と白髪の老人が背後から迫る。

あけみは、しくじったのではありません。裏切ったのですと自ら告白し、老人の背後に付き添っていた忍者からその場で斬られ、崖から落ちて死ぬ。

白髪の老人がその場で顔の造作を取り去ると、その下から現れたのは服部半蔵の顔だった。

その頃、島津義弘、家久の元を訪れていた金地院崇伝は、南晴幸なる人物を差し出せと迫っていた。

差し出せば、当家には何のお咎めもないように取りはからうし、あえて、南晴幸の生死は問わないとまで言うと、自分は先に帰って行く。

家久は、父親が幸村を差し出す決意をしたことに驚くが、18代にして島津家を断絶させるわけにはいかない…と、義弘は苦渋の決断をする。

薩摩に舞い戻っていた才蔵は、町中を進む侍の列が、葵の御紋を立てていることに驚く。

指宿に向かった才蔵だったが、幸村は馬で出かけた後だった。

その幸村を呼んだ義弘と家久は、征夷大将軍と島津藩では結果は分かっていると、幸村の身柄を家康に渡す決断をしたことを打ち明けていた。

それを聞いた幸村は、拙者が駿府に行けば、島津藩が助かると言う密約がある事を知り、明日発つことを約束する。

指宿に戻って来た幸村は、才蔵から、種子島と明国との密貿易の証拠を持って来たと知らされるが、もう、終わった…。全て終わったのじゃ…と呟くと、大御所の命令で駿府に行くのじゃ。島津がわしの引き渡しを許したのだと知らせる。

それを聞いた才蔵は驚きながらも、大阪城を脱出したのは何のためです?薩摩まで来たのは何のためです?徳川を倒すためだったはずです!と反発するが、幸村は、伊達殿も福島殿もしょせんは同じだ。大御所は強大なものになってしまった。家康が例え死んでも、徳川政権は揺るぐまい…と達観したようなことを言う。

それでも、才蔵は1人になっても家康を仕留めてみせます!と言い残して立ち去ろうとするが、それを後ろ姿に幸村は、才蔵、今日限り、血の通った新しい人間に変わってくれと語りかける。

翌日、真田幸村は、駿府から差し向けられた駕篭に乗り出発するが、途中、才蔵の襲撃を受ける。

たった1人で、護衛の侍全員を倒した才蔵は、駕篭の中を覗くと、そこには、自分が投げた手裏剣を使って、首を斬り自害している幸村の姿があった。

それを見た才蔵は、殿!私はお言葉に背きます。最期の忍者として家康を仕留めます!と言う。

その後、幸村を死なせたことを報告しに来た服部半蔵は、度重なる再贈暗殺の度重なる失敗のこともあり、家康から、その馬面、二度と見せるな!と怒鳴りつけられ、盃を額に投げつけられてしまう。

半蔵はその後、部下の忍者たちを集め、我々だけで才蔵を倒さんと面目が立たん。侍の手は一切借りんと伝えていた。

かくして、駿府城の屋根裏には、半蔵の部下たちが、様々な罠を仕掛けて準備する。

家康の部屋の天井裏に潜んだ半蔵は、上様、御用心の上にも御用心を…と声をかけるが、それを聞いた家康は、忍者ごときが立ち向かって何が出来ると嘲る。

やがて、駿府城に才蔵が忍び込んで来る。

才蔵は屋根裏に忍び込むと、次々に仕掛けられていた罠を突破し、潜んでいた伊賀忍者たちを仕留めて行く。

半蔵も、鎖で才蔵に仕掛けて来るが、結局、自ら仕掛けていた「槍襖」に串刺しになり息絶える。

家康が入っていた浴室の上にやって来た才蔵は、含み針に毒を塗り、家康の左足の古傷目がけて飛ばす。

家康は苦しみ出し、慌てて寝室に寝かせられるが、医者も原因が掴めないので、傷口をえぐって、様子を見るしかなかった。

才蔵はその後、家康が寝かされた寝室の天井裏で、じっと時間の過ぎるのを待ち受けていた。

やがて、気がついた家康は、廻りにいた近臣の者たちに遺言を語り出す。

大名の加藤、福島は、武家諸法度に乗っ取り、容赦なく取り潰せ。

島津と伊達は心を配らなければならぬ。

島津からは人質を取り、伊達からは、浅野家に輿入れした振姫を取り戻すのじゃと言う。

さらに、キリシタンバテレンは日本征服を目指しているので、追放を起草いたせと崇伝に命じる。

秀忠には、そちの命に背く者があれば例え一文の者であっても直ちに討ち果たせ。情を抱いてはならんと伝える。

その時、使い者が崇伝に何事かを耳打ちし、崇伝は家康に、今、賢き辺りより、殿を太政大臣にとの知らせが届きましたと伝えると、家康は感激して、1人にしてくれ。1人になって喜びをかみしめたいと言い出す。

側近たちが部屋を出、寝室に家康だけが残ると、天井板が1つ外れ、そこから、ひげが伸び、憔悴した才蔵が顔をのぞかす。

もうろうとした視線でその顔を認めた家康は、霧隠才蔵と言う忍びの者はお前か?と聞く。

そうだ。お前の古傷に毒を吹き込んだのは俺だ。貴様を殺してやるんだ!と、才蔵は愉快そうに答える。

しかし家康は、無駄なことをしたな。与はもう75才。殺さずとも死んで行く身だとつぶやき、負け惜しみを言うな!と言う才蔵に、与は天下を握った。位人臣を極めた。徳川の世も盤石…。後、何があると言うん…と言った所で息絶える。

それを天井裏から観ていた才蔵は、やった!俺はやったんだ!と驚喜し、屋根裏から外に抜け出すと、殿!霧隠才蔵は勝ちました!この通り、勝ちました!と心の中で叫びながら、城の外を嬉しそうな笑顔で駈けて行く。

元和2年4月17日、徳川家康死去

即日喪は発せられたが、政局は微動だにする気配さえなかった…とテロップが重なる。


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