TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

新・悪名

シリーズ第3弾

設定が戦後に変わり、死んだモートルの貞に代わり、そっくりの弟清次が登場している。

貞も清次も同じ田宮二郎が演じているので、見た目的には変化がないのだが、清次の方は、妙な英語まじりの言葉をしゃべる、兄に輪をかけたようなきざで軽薄な男になっている所に注目したい。

闇市を奪おうとするかつての顔なじみたちとの諍いを中心に、又、正義感の強い朝吉の活躍を痛快に描いている。

設定上、やむを得ない展開だとは思うが、一生連れ添うことを誓ったお絹役の中村玉緒と、本作を最後に朝吉が別れることになるのが惜しまれる。

原作がそうなっているのか、映画版独自にそう言った設定にしたのかは分からないが、正直な所、実の夫婦が、映画に中でもベタベタしていると言うのはやりにくいものかも知れない。

本作で初お目見えしている茶側一郎扮するらんちゅうのお銀は、この後のシリーズでもたびたび登場することになるが、おかまに惚れられる朝吉の迷惑ぶりが面白い。

同じく、本作でゲスト的に出演している島田洋介(島田紳助の師匠)、今喜多代(今いくよ、くるよの師匠)の夫婦漫才コンビも、この後、色々な役でレギュラー的に参加するようになる。

タイトルに「新」と付いているように、前2作とはちょっと違った雰囲気もあるが、米兵にレイプされたことをきっかけに転落の人生を送りかけた月枝に対し、ラストで朝吉が語りかけるセリフなどには、優しさだけではない、考えさせる重みがある。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1962年、大映、今東光原作、依田義賢脚色、森一生監督作品。

※文中に、今では差別用語と言われる言葉が出ていますが、時代背景を考えると、それを省略したり言い換えると意味が通じにくい部分もあり、劇中で使われている通りにそのまま使用しております。なにとぞご了承ください。

暗闇の中にぎょろりと光る目。

その目は、満州事変の時代から外地に出て14年振りに復員して来た八尾の朝吉こと村上朝吉(勝新太郎)の目だった。

その期間中、通算4年くらいは重営巣に入っとったと列車の乗客に説明していた朝吉だったが、気がつくと、駅から買い出しを終えた大勢の客が車内に乗り込んで来て、あっという間に超満員の状態になる。

タイトル

故郷の八尾に戻って来た朝吉は、自転車の乗って近づいて来た男を観かけると、幼なじみの辰吉(丸凡太)だと気づき声をかけるが、朝吉に気づいた辰吉は、何故か悲鳴を上げて逃げ出そうとするので、自転車を押し倒して辰吉を捕まえる。

迷わず成仏してくれ!と妙なことを辰吉が口走るので、何を言ってるんや?と朝吉が驚いていると、ようやく事態を飲み込めたらしい辰吉は、朝やん、生きとったんか!と喜びに変わるが、お前は戦死したことになっており、ちゃんと墓も建っていると言うではないか。

実家に帰って観ると、母や兄も仰天し、父は寝付いてしまっていると言う。

朝吉は、気になっているお絹の消息を聞くと、あんたの葬式のときは、骨壺を抱いて泣いていたが、京都の桂の方に行ったらしいと言う。

声を聞きつけたのか、隣から起きて来た父は、良う帰って来たと声をかけてくれたので、すんまへん、日本は負けてしもうた。自分も頭丸めて帰って来たんやと朝吉も神妙に謝る。

父親は、われ、どう言う気で帰って来た?と言うので、極道の朝吉は戦場で死んだと答えると、兄たちを手伝うてくれ、農地改革とやらで、田んぼがわいのもんになったんやと父親は説明する。

その後、朝吉は、配給物資をもらう列の中に立っていたお絹(中村玉緒)とばったり出くわす。

お絹の方も、朝吉に気づくと仰天し、思わずその場を逃げ出したので、その後を追って行くと、お絹は一軒家に飛び込む。

そこには子供用の三輪車が置いてあることから、お絹は人妻になっていること朝吉は知る。

朝吉は、一生、お前を愛しますと俺が書いた証文を持ってないやろと聞くと、持ってます、あんさんの形見として…と言ってお絹が証文を取り出してみせたので、朝吉はその場でそれを破り捨てると、お照のことを聞く。

阿倍野の闇市で観た言う人ありましたとお絹が教えると、幸せらしい。もう会わん。達者で暮らせと言い残して、朝吉は出て行く。

その後、朝吉は、阿倍野の闇市で大福餅を売る小さな店を開いていたお照と再会する。

お照の子供も大きくなっていた。

朝吉は、パンパンと言う言葉の意味が分からなかったが、お照から、町で袖引く女のことや。わても、飲食店辞めてやりかけたけどな…と教えられる。

そんなお照に、貞の故郷を知っているかと聞くと、徳島やった。お母はんと弟が1人いたはずだすと言い、所書きをその場で書いてくれる。

さっそく徳島の小松島に渡った朝吉は、所書きにあった家まで来たが、不在らしかった。

しかしすぐに、おふく本人(武智豊子)が近づいて来たので、貞のお母さんですね?と朝吉は声をかけると、貞が死んだことには、自分にも責任があると思うて、遅まきながら詫びに来ましたんやと頭を下げるが、おふくは、もう遅いわと不機嫌に答えただけだった。

貞に弟がいると聞いて来たが…と尋ねると、末の子は親を捨てて出て行った。今は大阪やろ。わしはここで、コ○キになって死ぬのを待つだけやとおふくが嘆くので、朝吉は、自分が貞に代わって親孝行させてもらうと申し出る。

朝吉は、おふくを連れて八尾の実家に帰って来るが、両親たちは、見ず知らずの年寄りを引き取るなどとんでもないと反対する。

それでも朝吉は、わいが働くさかい、頼むわと説得し、取りあえず、おふくを自宅に招き入れる。

後日、「故 陸軍上等兵 村上朝吉の墓」と書かれた立派な自分の墓を観た朝吉は複雑な気持ちになるが、辰吉たちが、縁起でもないと言うので取り払う作業をしてくれる中、側に立って自分の方を観ている見覚えのない娘の姿を観かける。

辰吉が言うには、弥吉の妹月枝(浜田ゆう子)と言うではないか。

子供の頃は知っていたが、見違えてしまった朝吉だったが、近づいて来た月枝は、兄ちゃんも、朝吉さんみたいに生き返ってたら良いのに、ラバウルで戦死しました。遺品が届きましたから、もうあきまへんと言う。

辰吉たちは、朝吉の帰還を祝して神社で飲み会をやるので、月枝にも、後で酌しに来てくれと声をかけ、倒した墓を担いで墓場を後にする。

神社では、太鼓に合わせ、男(鉄砲光三郎)が得意の河内音頭を披露しており、みんなはその周囲で酒を飲み始める。

月枝は女友達のみつ子と2人で神社に向かっていたが、途中、進駐軍の米兵に襲撃されてしまう。

何とか逃げ延びたみつ子が、神社の辰吉に、米兵に襲われたことを知らせに来たので、朝吉たちはその場所に向かうが、米兵たちはすでにジープで立ち去っており、周囲を探し廻っていた朝吉は、その場から逃げて行く月枝の後ろ姿を観ただけだった。

それに気づいた辰吉は、警察に行っても、相手が進駐軍では…と顔を歪ませる。

朝吉は、1人で月枝の家に向かうが、そこで黙々と作業をしていた月枝の父親は、月は家を出て行ってしまったと言う。

朝吉は、自宅に戻ると、父親に、わいはやっぱりあかん。八尾にじっとしとることが出来ん。大阪に行くと相談する。

父親は、胸の収まるようにしたりと言って理解してくれる。

おふくも一緒に連れて行き大阪にやって来た朝吉は、取りあえずお照の宿に厄介になることにするが、そのお照は、千日前で撮ったと言う貞の写真をおふくに見せると、弟と言うのは、死んだうちの人に似ていませんか?と聞き、良う似た人が、阿倍野の闇市に来るのだと言う。

その場所を詳しく聞くと、杉本町の進駐軍の物資を扱っている辺りだと言う。

さっそく、そこに向かった朝吉は、パンパンになっていた月枝を見つけたので、連れ帰ろうとするが、その周辺にいた大勢のパンパンたちから殴られてしまう。

パンパンのグループにはボスらしき女お雪(万里昌代)もいたので、朝吉は、わいは松島にならした八尾の朝吉や!と怒鳴りつけるが、女たちは言うことを聞かないので、近くのクリーニング屋からハサミを借り受けると、それで、月枝の髪の毛を切ってしまう。

何とか、月枝をパンパングループから引き離した朝吉は、政治と言う男を知らないか?こんな頭にされて商売できへんやろ!と聞くが、月枝は、まだ商売してへんとふてくされて答えるので、わいの泊まっている家に泊まれ。明日、一緒に八尾に帰ろうと勧める。

そこへジープで近づいて来た、英語まじりの言葉をしゃべる軽薄そうな男がいた。

その顔を観た朝吉は仰天する。

死んだ貞に生き写しだったからだ。

すぐに、これが貞の弟の清次(田宮二郎)と気づいた朝吉だったが、その清次が月枝の雇い主らしく、月枝を探していたらしくジープに乗せて帰ろうとしたので、自分も一緒に乗り込み、らんちゅうのお銀(茶川一郎)と言う、ギョロ目のオカマの家に連れて来られる。

お銀は、一目で朝吉を好きになったようで、おじ様、好き、好き!と迫って来る。

清次が言うには、ここが自分の事務所らしい。

ここは何かと聞くと、デモクラシーに基づいた文化クラブで、国際友好クラブと言う入会金が高い所らしい。

ミーが理事長や、会費の滞納をしたものは許さず…と証文にあると朝吉に見せた清次は、兼やんの家行って相談して来いとお銀に命じる。

月枝を連れてお兼(浜世津子)の家に出かけたお銀だったが、短刀をいきなり月枝を突き付けて脅すと、その家の一室に閉じ込めてしまう。

部屋の窓には鉄柵がはまっており、逃げられないようになっていた。

お銀は、貸金、立て替えとくって…とお銀に声をかけ、さっさと帰ってしまう。

事務所に戻って来たお銀が、月枝は職業紹介所に渡したと清次に報告するのを聞いた朝吉は、騙されたと気づき、外に出ると清次と殴り合いを始める。

朝吉は、背負い投げや得意の頭突きで清次を倒すが、その時、清次の仲間らしき男が銃を撃って助けに来る。

清次は、あんさん強いけど、頭、古いね。ま、長生きしやと嘲笑して去って行く。

翌日、お照の店にやって来た朝吉は、この場所借りるのもショバ代払うてんやろ?と聞くと、三国人に借りたと言う。

朝吉は、雑炊屋やろうと思うと言い出す。

さっそく、野菜を切り、雑炊を作り始めた朝吉だったが、大根の尻尾を捨てていた朝吉に、お照の息子が、こんなん捨ててたら商売できへんでと注意する。

その頃、お雪のアパートで目覚めた清次は、お雪から所場代を取ると、昔の楽天地みたいな繁華街を造るつもりやと夢を語る。

そして親爺と清次が呼んでいる金子(沢村宗之助)の所に金を預けに行くと、後10万ですなと残高を確認する。

朝吉の方は、出来立ての雑炊を売り始めていたが、そこに、ご機嫌さん!と言いながら清次が顔を出す。

母親のおふくもそこにいることに気づく、挨拶をするが、おふくは不機嫌そうに、お前に親と呼ばれとうないと顔を背ける。

しかし、清次は、この辺はその内わいのものになるんやと言い、そこに愛人のお雪もやって来て、女房気取りでおふくに挨拶をする。

お雪は、私、勝の娘なんよと朝吉に自己紹介すると、朝吉親分のことは、いつでも、良い親分やと言うてはりましたとお愛想を言う。

その勝(須賀不二男)は、今や、大淀組の社長になっていると言い、パンパンの元締めよと清次も説明する。

その清次、闇市の中で、投げ売りをしている店があると聞くと、すぐにそこに向かい、大淀組の子分たちと一緒に、その店主を袋叩きにし始める。

これには、さすがのおふくも耐えきれなくなったのか、清次を止めに行く。

朝吉も、弱いものいじめしているヤクザたちを観るに見かねて助太刀に向かうと、蹴散らしてしまう。

三国人に好きにやられて黙っているのか!と捨て台詞を残して去って行く清次に、惚れていると言うお雪も付いて行く。

この喧嘩を観ていた三国人の堀(伊達三郎)は、昔、虐められていましたから…と、助けてくれた朝吉に感激し、無理矢理酒を飲まそうとする。

そこにやって来たお銀は、うち、岡惚れよと気持ちの悪い流し目で朝吉を見つめると、自分のアパートに連れて行く。

そして、掘さん、喜んでたわよ。良く飲んでくれたって…と、朝吉を褒める。

月枝、どないしてる?と朝吉が聞くと、その足で職業紹介所に向かう。

そこには、まだ若い娘が来ており、死んだつもりで来たなどと話していたので、見かねた朝吉は、持っていた金を娘に渡して帰らせると、受付に座っていた女(今喜多代)に、月枝のことを聞いてみる。

すると、その女は亭主を呼んだので、朝吉は顔を出した男に、お前、三国人か?と聞く。

すると、その男、勘やん(島田洋介)は、新世界のカポネはわいの親分やと威張る。

そこに、チャカを売ってくれと言う客が来て、拳銃を借りて帰ったので、ここでは銃も貸してるのか?と朝吉が聞くと、脅し用なら300円と言う。

ですじゃ俺も貸してくれと金を渡し、銃を手にした朝吉は、それで今借りた相手である勘やんを脅すと、月枝の部屋に案内させる。

わいは、兵隊を辞めた時、極道も辞めようと思うてたんやが、こんな極道がのさばるようなったら、わいも極道に戻らなあかんなと言いながら、連れて帰ることにする。

闇市で、カレーを食べさせた朝吉だったが、月枝は、髪をじょきじょき切られた時、好きになった。朝吉さんは女の人にモテたんやろな。うち、朝吉さんの子供が生みたいなどと言い出す。

奥さん、再婚しはったやないか?朝吉さんと一緒やったら、死んでも良いわなどと迫って来たので、朝吉は面食らってしまう。

その頃、勘やんは、清次に、月枝を取られてしまったと報告していた。

表面上は土建屋の大淀組の勝に会いに来た朝吉だったが、社長になった勝は、表面上、以前とは別人のような丁寧な口調の男に変わっていた。

勝は、三国人をいてこますんや。うちには200人人手があると言うので、飛田を押さえてるのは何ちゅう奴や?紹介所やと朝吉が聞いていると、そこに当の勘やんが、親分!と言いながら駆け込んで来たので、朝吉は、われがこいつの後押しか?と勝を睨みつけ、松島で、女郎で稼いだことを忘れられんらしいなと言い残して帰る。

朝吉は闇市で「びっくり雑炊」と名付けた5円の雑炊が売れに売れ、評判になっていた。

そこにやって来た金子は、闇には相場と言うものがある。明日から10円にした法が良いなと忠告して来たので、側で店を開いていた掘は止めようとする。

そこにやって来た勝は、金子にすき焼き屋に誘うと、闇市は三国人が不法占拠していると相談していた。

一方、お照の所を訪ねて来たお絹は、あの人が生きている事を知って以来、今の人としっくりいかんようになってな…と打ち明けると、朝吉にと持って来た形見の着物を渡し帰って行く。

その直後、帰って来た朝吉に、今、お絹が来たことを話すお照。

掘は朝吉に、大淀組が闇市の一角を壊しに来るらしいと耳打ちする。

清次は金子の所へ行っていたが、そこに来た子分が、先方から電話があったと金子に伝えたのを聞く。

清次は、金子が勝と合同で、今の闇市の後に娯楽施設を建てるなどと言い出したので、今まで自分が金を払ってあの土地を買ったじゃないかと抗議すると、あの土地には既得権があったんだ。間に入った奴に騙されていたんだなどと金子はとぼける。

騙されていたと悟った清次は、金子に詰め寄ろうとするが、子分から殴られ気を失ってしまう。

気がついた清次は、お雪のアパートに連れて来られていたが、叱りつけるお雪を無視し、ライフルを持ち出すと、再び金子の事務所に向かう。

しかし、又しても、ぼこぼこにされてしまう。

お雪は、闇市の食堂にやって来て、おふく、お照、掘らと一緒にいた朝吉に、清次を助けてくれと頼むと、自ら大淀組の様子を見にいく。

組事務所の前にはトラックが2台停まっており、その荷台に50人くらいの人夫が乗り込んでいた。

戻って来たお雪からその報告を聞き、今夜中に取り壊しに来るつもりだと分かった朝吉は、闇市を守ろうと決意するが、そんな朝吉に掘は、三国人が10人ここにいると声をかける。

お銀も駆けつけて来て、女の一念よと朝吉に笑いかけ、パンパンたちも集まって来る。

夜の闇の中で待ち受けていると、想像通り、大淀組のトラックがやって来る。

その助手席には、捕まった清次が手を縛られ乗せられていた。

バラックの上に身を伏せていた三国人たちが、トラックから降り立った人夫目がけて石を投げ始める。

それに気づいた清次は、手を縛られたまま、加勢をし出す。

お雪とパンパンたちも一斉に飛びかかって来る。

清次と再会した朝吉は、わい、生きとるんかい?と声をかけ、清次も思わず、親分!と答える。

大淀組のビルから出てきた勝と金子は、すごすごと引き返して来る人夫たちを観て驚く。

勝は、遠慮することはない!ぶっ放したれ!と喝を入れると、もう1度、子分たちを引き連れ闇市にやって来る。

闇市では、お絹から受け取った着流しを着た朝吉、清次、お雪らが待ち受けていたので、朝やん、仕事の邪魔をしたら敵わんがなと勝が声をかけると、当たり前のことをしただけやと朝吉は答える。

一緒に来ていた金子が、どうしても立ち退かんと言うのか?と脅し、子分たちは拳銃を取り出すが、そんな金子に向かい、理事長!と声をかけた清次は、持っていた手榴弾を投げつける。

朝吉も手榴弾を持っていた。

それを知った勝は、今夜の所は止めるわと言うが、そんな勝に、向う5年間や、一札書かんかい!と朝吉は迫る。

憮然とする勝に、清次が用意していた書類を持って行く。

朝吉は、この闇市は、わいが預かったると宣言し、わいの金は?と迫る清次に、後で返したると金子も答えるしかなかった。

勝と金子らが帰ってしまったので、朝吉は、花火見せたろか?と言って持っていた手榴弾を投げてみせるが不発だった。

みんな拍子抜けして背中を見せた時、大爆発が起きたのでみんな縮み上がる。

その後、朝吉は、月枝を連れて八尾に帰る。

闇市の雑炊屋は、清次がお雪と後を継ぎ、お照、おふくと共にやっていた。

朝吉は月枝の頭の髪の毛を観ながら、大分伸びた…、お前が受けた傷は日本の傷や。良う見つめて出直さなしようないと、神妙に語りかけるのだった。