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眠狂四郎女妖剣

人気シリーズ第4弾

眠狂四郎の出生の秘密が明かされる、シリーズ中でも重要な作品となっている。

転びバテレンや黒ミサと言った、それまでの時代劇にはあまり登場して来なかったような異国の宗教がらみの要素が入っており、それがこの作品を一種独特の雰囲気にしている。

それまでにも、架空の邪教集団と戦うなどと言った通俗時代劇はあったような気がするが、キリスト教の神や悪魔と言った要素を本格的に導入した時代劇と言うのは珍しいような気がする。

それに加え、菊姫とびるぜん志摩と言う2人の謎めいた女性との対決が描かれている。

両者に共通しているのは、「女の底知れぬ欲望と怖さ」と言う要素である。

この2人に比べれば、備前屋とか武部光源と言った男たちは小者に過ぎない。

そこにあるのは腕力や武力の怖さではなく、心理的な闇の怖さである。

黒ミサの暗示になっているような淫らな祈祷をする巫女青蛾を演じている根岸明美や、無頼の男についつい尽くしたくなる女を演じている春川ますみなども、女の怖さを表現している要素の一環だろう。

ただ、そう言った女の怖さが映像として巧く描かれているかと言うと微妙な感じがする。

心理的な怖さと言うのは、文章でこそ、より強く想像力に働きかけて来るものかも知れないからだ。

映画としてはむしろ、薄幸な娘役を演じている藤村志保の方が印象に残る。

そうした女性との対決に重きを置いた感のある本作では、男との戦いは若干物足りなさを感じないでもなく、「眠狂四郎殺法帖」以来の再登場となる陳孫役の若山富三郎との戦いも、好敵手的な存在に変化して来たことは理解できるにしても、やはりあっけなさ過ぎる。

テンポが重要な娯楽映画なので、色々説明的な細部は省略していると言うことなのだろうが、狂四郎が「忍びの者」ばりに、警戒厳重ではないかと思われる切支丹牢屋敷に、どう言った手段を使ったのかあっさり忍び込んで、誰にも気づかれず牢の中を監視していると言った辺りの描写も、やや不自然さを感じないではない。

とは言え、謎めいた出だしから、旅に出た後の狂四郎に次々襲いかかる刺客との戦い、そして怪奇要素や伝奇要素も混じっているなど、娯楽作品としてのツボはあれこれ盛り込まれている感じで、大傑作と言うほどではないにせよ、それなりに楽しめる作品にはなっていると思う。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1964年、大映、柴田錬三郎原作、星川清司脚本、池広一夫監督作品。

※文中に、今では差別用語と言われる言葉が出ていますが、時代背景を考えると、それを省略したり言い換えると意味が通じにくい部分もあり、劇中で使われている通りにそのまま使用しております。なにとぞご了承ください。

風呂から上がった女は、浴室を出ると、そこに待っていた侍女から腰巻きを巻いてもらう。

大奥では、お火の番が巡回をしている深夜

奥女中らしき女たちが部屋で苦しんでいた。

菊姫様、お、お薬を…とねだる彼女らはアヘン中毒だった。

その女の首筋を、菊姫らしき女が踏みつけながら、美しいものは皆死ぬが良い…と呟いていた。

翌日、浜町河岸に2人の女の土左衛門が上がり、騒ぎになっていた。

死体を観た岡っ引き(森田健二)は、これはアヘン中毒にかかった奥女中ですよと見抜いていたが、その側で、その様子を見ている野次馬の中に眠狂四郎(市川雷蔵)の姿もあった。

その後、飲み屋で飲んでいた狂四郎に、眠狂四郎様ですか?と近づいて来た町人があった。

先ほど、土左衛門を観ていた狂四郎の側にいた鳥蔵(小林勝彦)と言う男であった。

鳥蔵は、狂四郎にマリア像が掘られた細工物を見せたので、隠れキリシタンか?と狂四郎は相手を観る。

江戸にはまだ大勢いますと鳥蔵は答え、長崎におられた神のような方が、今は浜名湖にいるのでお助けくださいと言う。

役人に捕まれば、拷問されむごたらしい殺し方をするはずだと言うのだ。

そんな手助けはまっぴらだと狂四郎は断るが、あなたのお生まれのときのことを良くご存知の方で、びるぜん志摩と言う世にも美しい方だと鳥蔵は続ける。

しかし、狂四郎はその話に乗らず、助けたくば、お前たち宗徒でやるんだなと断る。

そこへ、守山行次郎(沖時男)なる役人がやって来たので、鳥蔵は逃げ去るが、守山から事情を聞かれた狂四郎は、今の町人はスリ、巾着きりだと答える。

備前屋徳右衛門(稲葉義男)の店にやって来た室屋醇堂(浜村純)は、荷物が積まれた倉庫内に連れて来られると、その中味が、アヘン、ギヤマン、鼈甲、時計と聞かされると、大奥に入ると笑いが止まるまいと皮肉を言う。

中でも、アヘンは儲けが大きい…、男禁制の大奥、菊姫様からそそのかされたのが功を奏したと備前屋がほくそ笑むと、公方様の娘じゃ、何で大奥の女が美しいものか。菊姫が美しいものを殺したがっていると醇堂は教え、ここらで方策を講じますぬと…備前屋は眉をひそめる。

備前屋は、時の老中、水野忠成から、隠れキリシタンの情報をもらっていた。

その時、倉庫内に見知らぬ男がいたので、醇堂は緊張するが、それは陳孫(若山富三郎)と言う密貿易仲間らしく、次の船は浜松沖に着き申すと告げる。

外に出た陳孫は、かつて戦ったことがある狂四郎とばったり出会う。

狂四郎が、通りかかった1人の女を見つめていると、御主、色好みだな…と陳孫がからかって来たので、あの娘の引いていた影がはかな気だった…と狂四郎は答え、陳孫は、又会おうと言って別れる。

岡っ引きに追われていた鳥蔵は、狂四郎のねぐらに逃げて来るが、狂四郎はいなかった。

一方、先ほど、狂四郎が目に留めた幸薄そうな女小鈴(藤村志保)は、切支丹牢屋敷の北門を入って行く。

その女を付けていた狂四郎は、屋敷内に侵入し、牢に入っていた宣教師らしき異国人に水を差し入れてやる。

宣教師は、あなた、心優しいとたどたどしい日本語で話しかけて来るが、狂四郎は、御主に水をやったのは哀れだからではない。神の力で、御主自身の心と身体がどれだけ強くなれるか見せて欲しいんだと告げる。

その時、牢屋敷目付(木村玄)に連れられて小鈴が牢の前に来る。

目付は、ヨハネスと呼びかけた宣教師に、今夜から、この娘が貴様と一緒に寝るぞと言い、持って来た酒も手渡すと、娘も抱け。そして転んで、仏門に帰依し、末代まで切支丹に戻らないと誓い、後で血判を差し出せと命じると、小鈴の方には、兄の鳥蔵を助けるためだ。娘の操くれてやれと命じて立ち去って行く。

牢の中に入れられた小鈴は、お願い!兄は隠れキリシタンで捕まったんです。明日打ち首にされるんです。渡し、あなたに抱かれてみせる…と、宣教師ヨハネス・セルディニイ(クー・バイチュク)に言うと、その場で着ていた着物を脱ぎ捨てる。

神を捨てて、私の操を取って下さい!と訴える小鈴を前にしたヨハネスは苦悩するが、牢の近くの物陰から、その様子を狂四郎がじっと見つめていた。

ヨハネスは、持ち込まれた酒を飲むと小鈴に抱きつく。

抱かれた小鈴は、涙を流して笑いながら、転んだ!転んだ!バテレンが私を抱いた!兄さんが助かる!と叫ぶ。

その後、ヨハネスは釈放され、牢屋敷から出て来るが、そこに近づいて来た馬に乗った狂四郎は、地獄に堕ちろと叫んで、馬上からヨハネスの首を斬り落とすのだった。

小鈴の自己犠牲も空しく、鳥蔵は磔になる。

そこに連れて来られた小鈴は、兄さんを助けて!と絶叫するが、その小鈴の前に、大勢の男たちが近づいて来る。

男たちの目に欲望を観て逃げ回る小鈴。

そんな処刑の様子を、近くに置かれた駕篭の中で、菊姫が笑いながら観ていた。

側に控える武部光源(中谷一郎)は、そんな駕篭の中の菊姫にアヘンを詰めたキセルを手渡していた。

その処刑場に紛れ込んでいた狂四郎は、小鈴を襲う男たちを斬り捨てて行くが、小鈴はすでに、舌を噛み切って自害していた。

狂四郎は鳥蔵に向かい、神を信じるからこの様だ!と呼びかけ、駕篭に対しては、公方家斉の娘だろう。芝居見物のつもりか?と声をかけると、駕篭はその場を離れて行く。

狂四郎は、その駕篭の側に置き忘れられていたアヘンの入った薬箱を見つける。

菊姫の乱行をこれ以上放置できないと感じた老中水野忠成は、菊姫を岡崎5万石の本田長司に預けると言う上意を伝える。

その頃、狂四郎は薬箱を持ち、室屋醇堂に会いに来るが、その代理として備前屋徳右衛門が出て来たので、大奥でアヘンを使うのは、お前の知恵だろう?と狂四郎は聞き、メ○ラにしたり、ツ○ボのしたりしているらしいな?虫を殺すように積み亡き人を殺すようなことを続けるのなら、商いを辞めることだと忠告すると、手だれは何人集めた?と確認する。

備前屋が11人と答えると、腕前拝見と遺功と狂四郎は答えると、庭に出て、次々と刺客を倒して行く。

公儀副番頭(そえばんがしら)下曽我典馬(浜田雄史)と名乗った相手に対しては、円月殺法を披露して倒す。

その後、住まいの寺に戻った狂四郎だったが、そこにふらふらとやって来たのは、背中に匕首が刺さった鳥蔵だった。

鳥蔵は、びるぜん志摩様を助けてくれ…、あなたと血のつながりがあるお方で…と言い残して息絶える。

俺は旅に出る。聖女を観に行くのだ…と狂四郎は呟く。

西に向かって旅立った狂四郎を監視していた者の報告を聞いた室屋醇堂、備前屋、陳孫らは、びるぜん志摩に会いに行った?では、街道筋で葬ろうと相談しあう。

狂四郎と道ですれ違った修行僧姿の易者(伊達三郎)は、そなたには凶相が現れている。箱根を越え、西方に進めば死ぬと告げる。

その後、花嫁の乗った馬とすれ違った狂四郎は、あの花嫁、真剣勝負の仇討ちにでも行くようだと呟くと、側で一緒に観ていた青蛾(根岸明美)と言う祈祷師が、別の男を這わせ、拝みます。花嫁以外の男を夜ばいさせます。拝みまするは私…と言うので、お堂の中で行われるその奇習を狂四郎は見学することにする。

青蛾が祈っているその奥の間では、先ほどの花嫁と見知らぬ男がまぐわっていた。

ことが終わったのか、男が黙って出て行くと、青蛾は狂四郎に、御浪人、まだ座っておいでなのは、贄となるためか?花嫁の精が乗り移った私に!精魂の限り尽くしてもらおうぞ!と言いながら迫って来る。

狂四郎は冷静に、あの花嫁に淫らな薬を盛ったのか?と聞くが、青蛾は、契ろうてや!と叫びながら組み付いて来ようとする。

その時、天井に潜んでいた忍者が落ちて来るが、狂四郎は、大刀、小刀の二刀流で、忍者と青蛾を斬り殺す。

死んだ忍者は、昼間出会って不気味な予言をした易者だったので、西に進んで死んだのは易者自身か…と狂四郎は呟く。

やがて、川止めに会った狂四郎だったが、「いんへるの」と呟く奇妙な鳥追い女が、買ってくれと話しかけて来たので、狂四郎は即座に買おうと返事をする。

島田の宿に泊まった狂四郎に酌をしていたお仙(春川ますみ)と言うその女は、お侍さん似てる。十字架にかけられた男に…、政道の作り物で観たと話して来る。

上方に行って、ご禁制の耶蘇教に取り憑かれた男と別れた後、だにのような男につきまとわれ…とその女は過去を打ち明ける。

その内、狂四郎はウトウトし始めたので、酒の薬を盛られたことに気づき、行灯の灯を明るくしろとお仙に命じる。

しかし、殺すにしては毒が弱かった。

そこに、1人の浪人者が侵入して来たので、狂四郎は横に切り払い、相手の目を潰す。

目を切られた浪人者は、窓から下に落下して行く。

備前屋がお前を使ったんだろう?男が無頼ものであればあるほど、尽くしたくなる女がいるものだが、お前もそうだろう?メクラになれば、もうつきまとって込んだろうと言いながら、お仙に迫った狂四郎は、そのまま無抵抗になった相手を抱くのだった。

翌日、歩いていた狂四郎の横に並んだ駕篭の中から、陳孫が、あの男、わしが殺した。浜松で又会おうと告げて、先に進んで行く。

松林に吊るされている男の死体があり、それは森田勘五郎と言う役者だと野次馬たちが噂していた。

藤波大和様のお屋敷に入って行くのを観たと言う農民もいた。

その後、狂四郎の前に現れた侍数名は、城代家老藤波大和様が会いたいと申されていると言うので、菊姫の差し金でしょうと問うと、主人の太田備中守が江戸詰めになって留守なので、今夜、御貴殿と…と言うではないか。

狂四郎は、容易いこと…と承知し、戌の刻、姫の寝所へと告げられる。

その夜、寝床に入っていた男は、仲間が殺された恨みを晴らしたいと申し出た上方帰りの役者守田粂次(南条新太郎)だった。

暗闇の中、菊姫が部屋に入ってきたので、部屋の隅で待ち受けていた狂四郎は、いきなり行灯をつける。

すると、驚いた菊姫は、部屋を逃げ出して行く。

狂四郎は、わしがカマキリのように殺されるのを百も承知の作戦…と呟く。

翌日、菊姫はどこだと、狂四郎が家老藤波大和(浅野進治郎)に詰め寄ると、本日、能を舞われると言う。

その能の舞台に乱入した狂四郎は、見かけばかり美しいキ○ガイ女!と叫ぶなり、能面を斬り捨てる。

その下から現れた菊姫(毛利郁子)の顔の下半分は、醜くただれていた。

高貴なお方に無礼な!と武部光源は立ちふさがるが、狂四郎の罵倒は止まらず、お前は気が触れているのだ!自分は醜い。相手は美しい。だから殺す。しかも、意地で殺そうと言うのだからたまらないと迫る。

そんな狂四郎に、藤波大和は、即刻、国を出られいと命じる。

狂四郎が立ち去ると、恥をかかされ憤懣やるかたない菊姫は武部に、殺すのじゃ!と命じる。

旅を続ける狂四郎に、いつしか子犬がじゃれ付いて来ていた。

その頃、利倉屋与兵衛(水原浩一)の店に備前屋徳右衛門が来ると、そこにはすでに陳孫が待ち受けていた。

そこに、サンピンらしい奴が来たと子分が知らせに来る。

狂四郎は、役人から追われ、町を逃げていた男とすれ違うが、気がつくと、その男がおとしたらしい十字架を発見する。

狂四郎は、急いで逃げた男を追いかけると、路地裏で発見したので、びるぜん志摩はどこにいる?鳥蔵に聞いて来た。隠れ家はどこにある?と聞きながら、鳥蔵から受け取ったキリスト像が彫り込まれた細工コンパクトを見せる。

その男に連れて来られた小屋の中で、狂四郎は、黒い尼僧姿のびるぜん志摩(久保菜穂子)に出会う。

鳥蔵から依頼を受けて来たと名前を名乗った狂四郎は、わしの生まれたいわれを知っているそうだが?血のつながる者とも…と問いかけてみる。

しかし、びるぜん志摩は、申し上げられませんと言うだけだった。

その後、気がかりです。あなた様は追われていませんか?今日は信徒の集まりがあるのですと言いながら窓から外を見つめる。

遠くに見えていた信徒らしき一団が、突然、隠れていた役人たちに取り囲まれたのが見えた。

ここにいては危ない!と狂四郎はびるぜん志摩に警告するが、次の瞬間、小柄が柱に突き刺さる。

姫がお前の首を所望だ!もらうぞ!と近づいて来たのは武部光源だった。

やがて、びるぜん志摩は捕まり、小舟に乗せられ海に出て行くので、狂四郎も別の小舟で後を追おうとするが、そこに鎖がまを振り回しながら武部光源が迫って来る。

狂四郎は円月殺法を披露するが、武部の投げた鎖に刀が絡められてしまう。

しかし、狂四郎は、腰の小刀を抜くと、それを武部に投げつけ、相手に隙が出来た所をなで切りにする。

切られた武部は、そのまま海に落ちてしまう。

小舟に乗って、沖に浮かんでいた商船に乗り込んだ狂四郎だったが、そこには銃を手にした備前屋が待ち受けていた。

俺を誘うために志摩を?と問いかける狂四郎。

狂四郎、びるぜん志摩が取れるか?と備前屋が挑戦して来たので、取る!お前ら全部が死ぬと狂四郎は答え、備前屋とその家来たちを全員斬り殺して行く。

そんな狂四郎に最後に立ちはだかったのは、少林寺拳法を使う陳孫だった。

しかし、陳孫もあっけなく、海に転落してしまう。

船室の中にいたびるぜん志摩は、狂四郎の姿を観るなり、嬉しそうに、備前屋を良く殺して下さいましたと礼を言って来る。

そんな志摩に対し、無表情の狂四郎は、見せかけの美しさで信徒を騙したように、俺ももう少しで騙される所だったよと告げる。

お前は備前屋の木偶人形であり、切支丹信徒を備前屋に教え、それをネタに備前屋は老中水野忠成に密貿易を黙認させたんだ。女の本性は魔物だよと狂四郎から見透かされた志摩は、抜け荷の仕事にも、この黒い着物にも飽き飽きしましたと答える。

俺がお前を許すと思うか?俺はお前を斬る!と狂四郎が迫ると、信じられないと言う風に、志摩は、財宝と一緒に私も上げると言うのに…とうそぶく。

お前は美しい化物だ!お前を信じて、死んじまった者が多過ぎたよ。俺は人間を平気で切れる無頼者…と狂四郎はさらに志摩に迫る。

すると志摩は、私の血があなたの中にも流れています。一度転んだバテレンがどうなるか…、悪魔を信じます。それを黒ミサと申します。裸の女を生け贄として捧げます。その生け贄となったのがあなたの母!その人は武家の娘でした。転びバテレン(ビアガ・ラスモセン)は祭壇にて、あなたの母親を犯し、生まれでた子があなた!異国の転びバテレンがあなたの父親!狂四郎は、次々と恐ろしい過去を打ち明けて行く志摩の着物を斬って行く。

あなたの母親は、転びバテレンを愛したのかも知れない。子供を産むと、母は自害されたのです。呪われた子供を残して…、神にも祝福されず、悪魔の落とし子として…、私の母は、あなたの乳母、同じ乳で私も育ったのです。この身体捧げましょう!そう語り終えたびるぜん志摩を、狂四郎は一刀のもと斬り捨てる。

志摩は驚いたように、どうして、この身体を…と問いかけながら倒れるが、狂四郎は、平気で斬れる無頼の徒さ…と呟いただけだった。

その後、子犬と一緒に江戸に帰る狂四郎の姿があった。