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悪名幟

人気シリーズ第10弾

「第三の悪名」以来、オリジナルスタッフが再集結し、タイトルバックも初期のものに戻った作品

とは言え、時代は、もはや戦前でも戦後でもなく、完全な現代(撮影当時)である。

もはや、ビルが建ち並ぶ大都会となった大阪の町に現れた着流し姿の朝吉と清次のコンビは、「悪名一番」の東京での2人同様、何となく似つかわしくない存在になってしまっている。

初期の作品で朝吉の恋人、琴糸役を演じていた水谷良重が、今回は全く別人設定で出ているのも奇妙な感じで、ある程度、話が繋がっていた初期の作品を観ていた観客からすると、この作品で、朝吉が初めてお米と会った時、琴糸を思い出さないのが不思議でならない。

お米の顔をじっと見つめ、昔知っている人に似ていたもんで…とか、言いそうなものである。

設定も、琴糸と同じく、恋人風なのに…

初期の作品は、忘れたことにしているのだろう。

今回の悪役は、腕っ節が強そうな悪役ではなく、いかにもインテリヤクザ風の佐藤慶で、いかにも60年代風だなと思ってしまう。

その佐藤慶も、劇中で、義理や人情や、任侠などを古くさい時代遅れのものと吐き捨てている。

そんな時代遅れの代表に、主人公の朝吉はなってしまっていると言うことで、お政やブラシ工場の支配人などからも、どことなくうさん臭い目で見られていたりする。

もはや、一般市民の方も、極道もんに問題を解決してもらうなどと言う習慣がなくなってしまっているのだ。

これでは、朝吉や清次は、地元でも迷惑をかけるだけのアウトローに過ぎず、地元に根付いて正業に付くことも叶わない。

悪名が生きにくい時代になって来たと言うことで、ラストはそのうら悲しさを暗示しているとも言えるだろう。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1965年、大映、今東光原作、依田義賢脚色、田中徳三監督作品。

久々に大阪に戻って来た八尾の朝吉(勝新太郎)と清次(田宮二郎)コンビ。

朝吉は清次に、金はなんぼ持っている?徳島に行くのはいくら?などと聞くので、1人350円だと清次は答える。

取りあえず、昼飯でも食おか?昔、びっくり鍋ちゅうのがあったけど今でもあるかな?等と言いながら、朝吉は、記憶を辿って店に向かうが、その店は外装は代わったものの今でもあったので、店の入口の所にいた老人に、今でも、びっくり鍋ちゅうたら、あらの鍋か?と確認し、清次を連れに買いに上がって行く。

注文を取りに来たの娘は、勝手に鍋ですやろ?と聞き、すぐに持って来た時、頼んでないお銚子まで持って来たので、頼んでないでと朝吉は断ると、うちが飲むんや。兄さんらが好いたらしいので…と、勝手に居座って飲み始めたので、呆れた朝吉は、店の人怒られるでと注意すると、私がここの店の娘で、お米(水谷良重=二代目水谷八重子)と言いますなどと平然と名乗る。

朝吉はそんなずうずうしいお米(およね)に、こいつと話があるから出て行ってくれと頼む。

朝吉は、怪訝そうな顔をしている清次に、わうら、決まった職もないし、決まった家もない。考えたら恥ずかしいやないか。この際、ぷっつり極道辞めよ。道に迷ったらあかんと言うと、自分の財布を清次に渡し、徳島へでも帰らんかい。今日はわいの送別会やと言い出す。

食後、勘定書を持って来たお米に、朝吉は、わい、この店で働かせてくれへんやろか?と言い出し、勘定の分だけ働くと言う。

清次は驚いて、財布を返そうとするが、それはお前のやと朝吉は受け取ろうとしない。

そんな朝吉の様子を見たお米は、あんた極道もんやろ?いっちょ稼いだら?行きまひょと誘うので、清次と共に付いて行くと、「若竹」と言う旅館に連れて来られる。

そこには、素人の奥さん連中が集まっており花札に興じていたので、混ぜてもらった朝吉は、お米が5万貸すとそれを元手にツキにも助けられ勝ち進む。

すると、奥さん連中は、次々と帰り始める。

朝吉は、勝負の相手がいなくなったので、帰ろうとするが、その時、1人のおばさんがやって来て、小切手でも言いやろ?と賭場を仕切っていた沿道(佐藤慶)に確認する。

遠藤は、小切手はちょっと…と渋るが、そのおばさん、お政こと谷口政(ミヤコ蝶々)は、朝吉相手に勝負をする。

その時、清次は、有閑マダム(ミス・ワカサ)から、飲まない?と誘われたので、喜んで後に付いて行く。

しかし、朝吉のツキは落ちていなかったようで、結局、お政は、小切手の最後の一枚までなくなってしまう。

金は明日までに受け取れば良いからと言い出したお米は、朝吉に、ここは旅館やからと言う。

朝吉と部屋について来たお米は、あんた、生まれたときから極道なん?と聞いて来て、家の人があんた観たら惚れるやろなあ思って…と話しかけて来る。

仲居が、朝吉が注文したジュースを持って来ると、布団を敷かせ、お米は帰って行く。

一方、有閑マダムの部屋に来ていた清次の方は、相手がぐずぐず鏡台の前でイヤリングなど外しているので、イライラしていた。

朝吉は、仲居の手前、恥ずかしがって一旦外に出ただけだろうと思い、蒲団に入ってもお米が戻って来るのを待ちわびていた。

すると、案の定、人の気配がしたので、えらい気を持たせて…などと言いながら振り向くと、そこに立っていたのはお米ではなく、お政だった。

お政は、朝吉ににじり寄ると、お願いがある、小切手の金、しばらく待ってくれまへんか?明日、銀行へ持って行かれたら不渡りになる。自分はブラシ屋をやっているのだが、今、資金繰りに困っており、行員たちに払う給金もないので、博打で一山当てようと思って来たのだと言う。

あまりに必死に迫られるので、朝吉は根負けし、話だけ、隣にしてきますわと承知する。

隣の部屋で酒を飲んでいた遠藤らの前に来た朝吉は、殺気の小切手を明日銀行に持って行くのは待ってくれ。小切手はおばはんに返してやろうと思うと頼むが、遠藤は、お渡しできへんと言う。賭場のけじめがつかないし、会長に聞かなあきまへんと言うので、会長は何と言う人や?と聞くと、春田正太郎言いますねん。びっくり鍋の社長ですわと言う。

それなら、わいがその社長はんに話をつけるわと遠藤には言い、部屋で待っていたお政には帰らせる。

工場に戻って来たお政を迎えたのは、1人息子でガンマンの真似をしている健太郎(杉山光宏)だった。

翌朝、有閑マダムの部屋で泊まっていた清次がニコニコ顔で朝吉の部屋にやって来るが、朝吉が仏頂面なので、ひょっとして振られましたのかいな?などとからかっていると、そこにお米から、浪花ブラシの社長についていちゃもん付けたんですって?と朝吉に電話がかかって来る。

あんな極道のおばはんのこと、お父ちゃんに言うたらあかんと心配して電話をして来たようだったが、今からそちらに行くと朝吉は答え、一緒について来ようとする清次には、徳島に帰らんかい?とはり倒す。

清次は、その時初めて、朝吉の極道を辞めると言うのが真剣であることを知る。

びっくり鍋にやって来た朝吉を、玄関先でお米が制止しようとするが、それを振り払って中に入ると、ずらりと幹部連中が居並んだ部屋に、昨日いた老人に案内される。

元締めはんてどなたはん?と朝吉が聞くと、今、案内して来た老人が上座に座り、自分が正太郎だと名乗ったので、朝吉も八尾の朝吉ですと名乗る。

遠藤はんから聞いてはると思いますけど、相手は素人のおばはん相手に玄人の仁義を通すこもないですやろと頼む朝吉だったが、正太郎は急にドスを利かすと、カタワになって血反吐吐くの分かってるやろな?と脅し付けると、ドスを貸してやると差し出す。

しかし、朝吉は、わいはこんな物騒なもん持ったことないんやと返す。

すると、その度胸に感心した正太郎は、気に入った。男とはこういう応対するもんやと言うと、遠藤に、小切手は返してやれと命じる。

遠藤は、賭場に決まりつきまへんと反論するが、仕方なく自分の事務所に帰って来ると、年寄りが良い格好しやがって…と、正太郎のことをバカにすると、この小切手はただでは返せん、あのおばはんに120万貸すと言うことにして借用書書かすんやと子分たちに説明する。

その頃、朝吉は正太郎から鍋を振る舞われていた。

正太郎は、今日日、任侠の精神がないと嘆き、朝吉も、損得の話ばかり…と返し、すっかり2人は意気投合していたが、そんな両者の様子を嬉しそうに見守っていたお米が、朝吉に酒を勧めようとする父親に、この人は酒が飲めないと言い聞かす。

正太郎は、うちにで働いてみる気はないか?と勧めるが、朝吉は、自分は極道は極道でも稼業人になるつもりはないときっぱり断る。

すると正太郎は、このお米を女房にしたってくれへんか?かかに死なれ、わしが1人で育てたんやと言い出す。

朝吉は、嫁にしたら、お宅と縁が出来てしまうやないですかと言い、それでは河内音頭でも聞かせてくれと言われたので、それだけは承知する。

その後、別室でお米と2人きりになった朝吉は、人に頼まれたら嫌と言えんのやと言い、お米は部屋を締切り、カーテンを降ろして電気を消すと、朝吉とキスをするのだった。

朝吉は、表の公園まで付いて来たお米から、あんたどうするの?と聞かれ、極道辞めんと国にも帰れんわと言い、取りあえず、お政さんの所へ行って早よ知らせて来ると言って出かける。

小切手の話はけりがついたと朝吉から知らされたお政は喜び、支配人の村井(南条新太郎)に朝吉を紹介する。

一方、遠藤の不動産屋に来たお米は、小料理屋か屋台の出物はないか?朝吉はんがやるんやと聞いて来たので、遠藤は、えらい気の入れようでんなと呆れたように答える。

その頃、工場の自宅内に案内されていた朝吉は、息子の健太郎から玩具の拳銃を突きつけられ、面食らっていた。

お政は、女親だけで育てたのであないになってしまったが、あの子だけがわたいの生き甲斐ですねんと言い、朝吉がねぐらもないと聞くと、良かったら、うちに来てくれへん?二階も空いてるし、男手がないと何かの時に困るので…などと迫って来るが、そこへ支配人の村井が顔をのぞかせ、びっくり鍋の偉いさんが、仕事が見つかったと電話がありましたと言う。

その後、朝吉はお米と2人で、おでんの屋台を始めていた。

遠藤は、子分の直治郎(千波丈太郎)を連れ訪ねて来た中津(島田竜三)相手に、お政の工場を手に入れる計画を打ち合わせていた。

捨て値でも500〜600万になる話に、中津も興味を示す。

あんたの組の名でやらせてくれと協力を依頼した遠藤は、正太郎の縄張りも全部頂くつもりであんたと手を組むんだと息巻き、中津は、朝吉はうちの若いもんにやらせようと言う。

翌日、ブラシ工場にやって来た直治郎は、小切手を返す代わりに、120万融資するので借用書を書いて欲しい。利子は月1割などと法外な要求をしたので、お政は驚き、一緒に話を聞いていた支配人も、どうも話が巧過ぎると思った、警察へ行ったらどうなりますやろ?と言うと、こちらはお叱りを受けるやろうが、社長はんも、博打で小切手を書いたと新聞に載りますやろな…ととぼける。

お政は仕方なく、借用書を書くことにするが、抵当にはこの敷地をと要求されてしまう。

朝吉はんはどないしてはりますのんとお政が聞くと、ここの儲けで屋台引いているらしいで。えらい奴に引っかかったもんや…と直治郎は噓を言う。

そんな事を知らず、仕入れの食料を自転車に積んで運んでいた朝吉は、いきなり一升瓶を割られ、近くに立っていた健太郎に、何するんや?と自転車を降りると、嘘つき!と叫びながら、健太郎は自転車をひっくり返してしまう。

朝吉から、手形がきちんと返されていないと聞いた正太郎は、顔を潰されたと怒り、遠藤に電話で怒鳴りつける。

遠藤は、直治郎に責任をかぶせることにし、しばらく姿を消しておくように命じる。

正太郎は朝吉に、1週間待ってくれ、これはわいの責任や、いざと言うことは、わしが責任を取ると約束する。

そんなある晩、屋台をやっていた朝吉の元に、子分を引き連れいちゃもんを付けに来たのは清次だった。

清次は、店をやっているのが朝吉と知り驚くが、子分たちの手前、ここはわいの親分のシマや!この屋台もらいに来た!と、小声で謝りながらも、威勢の良い啖呵を切ってみせる。

その後、清次が子分たちと単車で帰って来たのは、中津組の事務所だった。

子分たちには、後で酒をおごってやるから、今のことは黙っておけと口止めした清次は、社長の中津には、きちんと脅して来たと報告する。

朝吉は、後日、遠藤の不動産屋に来ると、後2日やでと確認しながらも、お米さんに聞いたが、あの屋台を手配してくれたのはあんたやそうやけど、どないして手に入れましたねん?いちゃもんを付けて来た奴がいるのやけど、あの辺はどこのシマです?と聞く。

遠藤が、一応、わいのシマのようなもんやと曖昧に答えると、清次の奴、どこの組に入っとんのや?と朝吉が呟きながら帰ったので、すぐに中津の所に電話を入れ、あんた、えらい男を抱えとんなと嫌味を言うと、あいつら、なんぞ企んどるに違いないと呟く。

中津の方は、清次が朝吉の子分と聞くのは初耳らしく、何も知らずにこやかにやって来た清次が出かけようとするので、もう良いと止める。

清次は、社長の態度に戸惑うが、そこに遠藤が来て、こいつが朝吉とつるんでいた清次とか言う奴だと中津に教える。

その後、お米も手伝いに来ていた屋台にやっていた清次は、親分が作ったおでん、食べたかった…などと言い、我に食わすようなおでんはないと朝吉が無視すると、道に倒れてしまう。

驚いた朝吉は清次に駆け寄り、お米は、通りかかった自転車のおっさんに救急車を呼ぶように頼む。

清次は、遠藤には気をつけなあきまへんで…と朝吉に伝える。

知らせを受け、病室に見舞いに来た正太郎は、遠藤と中津が手を組んだて本当か?と清次に確認すると、中津と言うのは、元わいの組下やが、どぎついことをしたんで破門した奴だと朝吉に教え、今度のことはわしの責任や、待ってくれと頼む。

遠藤の組にやって来た正太郎は、そこにいた中津がこそこそ逃げ出して行くと、お前、わしの顔がまともに見えるか?と遠藤に聞き、奥から出て来た直治郎に、例の手形を持って逃げさらしたのはお前か?と聞く。

手形はどうした?と聞くと、たちの悪いパクリ屋にとられたなどと遠藤が言うので、見え透いた嘘をつくなと叱り飛ばすと、今度の一件は組のためです。組を大きくするには金がいります。素人の義理立てして、古い任侠がどうのこうのと言われても…などと遠藤が反論したので、お前との縁もこれまでやな…と正太郎は伝える。

正太郎が帰ると、裏から戻って来た中津に、こうなったら、行くとこまで行くしかしゃあないな…と告げる。

自宅に戻り、一家の者を集めた正太郎は、遠藤を破門することにしたと言い、全員の承認を得ると、遠藤をここへ呼んでくれと言うと、自分は朝吉はんに話して来ると言って出かける。

夜店が並ぶ一角へやって来た正太郎だったが、待ち受けていた鉄砲玉がぶつかって来て、腹を刺された正太郎は、その場によろめいて倒れる。

正太郎の葬儀が行われ、1人になったお米は、別室で沈んでいた朝吉の側に来ると、このままじゃ親分が浮かばれんと義憤に狩られ出かけようとした朝吉に、あんたには関係がないと止める。

朝吉は表でも手伝うて来ると言って下に降りるが、玄関口に酔ってやって来たのはお政で、このどアホ!と朝吉に怒鳴りつけると、あんたみたいな1人でふらふらしとる男に子供を取られた気持ちがわかるか!とからんで来る。

詳しい事情を聞くと、明日の12時に、権利書を持って来たら子供を返すと言って来たと言うではないか。

翌日、町外れのスクラップ工場に1人でやって来た朝吉の姿を、バラック小屋の中で見つけたのは、猟銃を持った直治郎だった。

健太郎を縛ってその場に連れて来ていた遠藤は、奴の出方観てからやと言いながら、直治郎と一緒に表に出ると、何しに来たんや?と朝吉に問いかける。

子供はどこや?と朝吉が言うので、健太郎を小屋の外に出して来てみせる。

直治郎が、工場の権利書は持って来たんやな?と聞くと、朝吉は持って来た権利書を渡すが、遠藤はお前には礼がしたいと言い出し、その場に正座した朝吉をムチデし博徒、後は子分らに任せる。

朝吉は一切手出しせず、殴られるに任せる。

やがて、殴りつかれた遠藤たちは、健太郎をその場に残して去って行く。

近くで待っていたお政の元に、朝吉が健太郎を連れて来ると、お母ちゃん、堪忍やで、もうガンマンの真似などせえへんとお政に泣きつく。

そんな健太郎に、ボン、おっちゃんの顔を良う見い。間違っても人間のクズになったらあかんぞと言い聞かす。

お政は、この子さえ戻って来たら何にもいりませんと言うが、朝吉は、権利書は必ず取り戻します、あんな奴をのさばらせといたら、世の中のためにならんのやと答える。

その後、清次の入院していた病室にやって来た朝吉は、怪我の具合はどうだ?と聞き、清次はもう大丈夫だと答えると、2人はがっちり握手をする。

事務所に戻って来た遠藤は、奪って来た権利書を中津にさばかせようとしていたが、そこに朝吉と清次がやって来る。

清次は、わいの手をこないしたのはこいつだっせと中津を指差し、朝吉は、わいをこないしたのはこいつや、返したらんかい!と清次に呼びかけると、一緒に相手を殴りつけ始める。

朝吉は遠藤をキッチンに追い込むと、水槽に顔を付け、ガスレンジに顔を付けようとする。

清次は中津から権利書を奪い返し、朝吉が痛め付けていた遠藤に自分もパンチをお見舞いすると、朝吉の後を追って帰って行く。

正太郎の位牌の前に報告にやって来た朝吉に、お米は、どうしても行くの?と尋ねる。

こんだけ人騒がせたんや、居座ってたら迷惑する人もいてるやろと言い、親分、念仏だと正太郎の位牌に話しかけると、又、河内音頭「大楠公」を歌い始める。

清次と2人で近くのブランコの所へやって来た朝吉は、親分、又、わいら、悪名さらしましたなと清次から言われると、離れられんようになっとるんやな、わいら…と呟く。

さて…、ほんま、どこに行きまひょう?と清次が聞くと、行き先なんかあるかとぼやきながら、朝吉はどこへともなく歩き始めるのだった。