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悪名波止場

シリーズ第7弾

前作「悪名市場」のラストに、そのまま繋がるストーリーになっている。

つまり、前作のラストで登場した藤田まこと扮する偽清次との出会いが新たなドラマへと発展するのだ。

ここでは、港を仕切り、麻薬の密売にまで手を染めている地元ヤクザと朝吉が対決する展開になっている。

偽清次が高松の沖仲仕から奪い取った金を返すため、自分が働いて返そうとすると言う辺り、相棒の清次が呆れるくらい朝吉の人の良さが表現されている。

そこに、女ばかりが乗り込んでいる女子舟や、幸薄いハーフの少女などがからんで来る。

今回悪役の鬼瓦を演じている吉田義夫は、東映の悪役やテレビの「悪魔くん」の初代メフィスト役で知られるベテランである。

このシリーズには、毎回、色々なゲストが登場しているが、この作品では、歌手の青山ミチと水原弘が登場している。

特に、おみずこと水原弘は、劇中一切歌うことなく、役者に徹して重要な役を演じている。

港が舞台になっているだけに、全体的にロケが多用されており、開放的なイメージになってる。

ヤクザものと言うより、勧善懲悪の暴れん坊アクションとでも考えて、気楽に楽しんだ方が良いと思う。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1963年、大映、今東光原作、依田義賢脚色、森一生監督作品。

四国から大阪に戻る船の中、矢尾の朝吉(勝新太郎)、お照(藤原礼子)と共に乗っていた清次(田宮二郎)は、自分の偽者が同じ船に乗り合わせていることにいら立っていた。

その偽清次こと三郎(藤田まこと)は、船室の中で、沖仲仕たち相手に博打をやって金を儲けている所だった。

相手になんなはんなと止めるお照だったが、辛抱できなくなった清次は、三郎に近づくと、その帽子のジャンパー脱いでんか?と頼む。

しかし、三郎は、何言うてんのや?耳から手ぇ突っ込んで扁桃腺コリコリやるで!と意味不明の文句を言って来たので、清次も、おまえの脳天、フルーツジュースにしてやるで!と言い返し、自分がほんまもんの清次と証し、ペテンをやっていた三郎の金を巻き上げると、博打に参加していた沖仲仕たちに返金してやる。

三郎は、病気で寝てる妹いるねんと言い訳して謝る。

そこに、フルーツジュースがどうした?と言いながら朝吉がやって来たので、三郎は思わず、わいの妹が好きでんねんと言ってごまかす。

タイトル

妹が病気で寝ていると言う三郎の話を真に受けた朝吉は、三郎の住む島に途中で降りると、妹に会いに行くと言い出す。

三郎に家に行ってみると、そこにはきれいな娘がいたので、誰かと聞くと、部屋を借りている姉ちゃんやと言う。

見ると、座敷で妹らしき女性が苦しんでいる。

長いこと苦しんでいるんか?と三郎が間借り人の悦子(滝瑛子)に聞くが、みつが無関心そうだったので、朝吉がその態度に切れかかるが、麻薬が切れたのよとみつ子は答え、三郎は、悪い奴に味を覚えさせられましたんやと朝吉に説明する。

妹の名はとし(紺野ユカ)と言い、力になって頂戴ねと、心配げにとしを見守る朝吉に言い残して、三郎はさっさと逃げ出してしまう。

取り残された朝吉は、そんなつもりで来たんじゃないと棒立ちになるが、そんな朝吉を残して、悦子はさっさと出かけて行ってしまう。

一方、港に取り残されていた清次とお照に近づいて来たのは、鬼瓦の吉(吉田義夫)とその子分たちだった。

吉は、新田屋の身内だが、船で取った沖仲仕の金を返せ。進駐軍の帽子をかぶって、ひょろっとした男が降りて来ると聞いたと清次に迫ると、子分たちが殴りかかって来る。

清次は、それなら人違いやと弁解するが、相手は聞き入れそうにもなかったので、仕方なく喧嘩を買っていると、そこに朝吉が戻って来て加勢する。

清次が、お前ら八尾の朝吉を知らんのか?と啖呵を切ると、さすがに吉は知っていたらしく、清次に化けた若いもんを連れて行かれた所を教えて下さいと下手に出て来る。

しかし、朝吉が、この辺の土地は良く分からんとごまかすと、お近づきの印に、飯でも食ってもらって…と、朝吉らを地元のキャバレーに案内する。

キャバレーでは、若い女性歌手(青山ミチ)が歌を歌っていた。

そこのホステスとして働いていた悦子が、朝吉の顔を見るなり、うちの小屋で会ったと言ったので、吉は、おとしの兄のサブちゃんかと三郎のことを思い出す。

その三郎は、家に戻って来て、何とか起き上がっていたおとしに、しばらく兄ちゃんはこの土地を離れるからと言って、金を渡すと出て行く。

その直後に、吉の子分たちがやってくるが、おとしは、兄ちゃんなら出て行ったし、どこへ行ったのかもしらんと言うので、すごすごとキャバレーにいた吉の元に帰って来る。

金を持った三郎が逃げたことを知った吉は、弁償してもらわなければならん。港には港の仁義があると言い出したので、朝吉は、この辺で博打が出来る所はないか?と聞く。

吉は、女子船(おなごぶね)に案内するように子分に命じる。

女子船には、おげん(清川虹子)と平造(杉狂児)夫婦の他には若い女しか乗っておらず、そこに連れて来られた朝吉は、女たちと花札をやり始める。

しかし、キャバレーで待っていたお照の元に戻って来た時には、3万の借金して負けたことを明かす。

義兄さんは、おなごはんには優しおますからな…と皮肉を言ったお照は、自分が大阪に帰ってお金を作って来ると言い出す。

そんな中、清次はお気楽にギターをかき鳴らし、女性歌手の伴奏をしていた。

翌日から、朝吉と清次は、トラックが運んで来る石炭を地面に降ろすだるま仕事を手伝い始める。

清次は途中で嫌になり、近くの波止場でやっていたバナナの荷下ろしの笛でクレーンを誘導する係を見つけると、自分にやらせてくれと申し出て、その仕事を手に入れる。

その頃、鬼瓦の吉は、会社の社長(伊達三郎)から、次のヤクの手配に付いて、おとしを女子舟に乗せて使え。女の1人や2人くらい、カ○ワにするくらいやるんやと厳しい指示を受けていた。

そんな事務所にやって来た仙太郎(水原弘)は、吉から、お前のかかあに用事じゃと言うと、サブが仲仕の金を巻き上げたの知っとろうがと言われる。

仙太郎は自宅に帰り、妻のおとしに、船に戻れ、母ちゃんには俺が謝ってやるから。仕事をすれば、銭も入るし、ヤクも手に入るぞと妻のおとしに優しく誘いかけるが、戻っていたおみつは、まだそんな男と付き合うのかい?別れれば良いのに…とおとしに声をかける。

その頃、石炭降ろしの仕事を終えていた朝吉は、すっかりばてていたが、すこに、昼間だけの作業だったクレーンの誘導係をしていた清次が戻って来る。

しかし、今日の石炭降ろしは久々にオールナイトでやるのだと聞かされた朝吉は、みんなばてとるやないか!と抗議するが、金のためには断る訳にもいかず、清次も手伝わせて朝までやり抜くしかなかった。

朝、日払いの給金をもらうために並んだ朝吉だったが、渡された金を確認すると、月に6000円しかならないので、8万円の借金を返すには1年かかる事を知る。

金をもらって近くの飯屋に清次と入ると、今、給金を渡していた水平松(天王寺虎之助)が店主と分かり、そこに顔を見せた吉も、泊まるのもうちの宿に泊まると良いと勧める。

結局、全部、彼らの懐に金が戻って来る仕掛けと知った朝吉は、清次から、人が良いのもいい加減にしときなはれと呆れられる。

しかし、朝吉は、お照が銭を持って帰るまではやると言い張る。

その頃、おとしを連れて女子船にやって来た仙太郎は、こいつの兄貴が高松の沖仲仕から金を持っていった。それを知った朝吉親分は、金を返すために、あんこになって働いているとおげんに教えていた。

吉から紹介された木賃宿で小休止していた朝吉は、清次を連れておとしの家にやって来るが、家にはおとしがいないことに気づく。

その時、家の側に、外国人の女の子がいたので、清次は得意の英語で、おとしの事を知らないかと聞くが、反応がないので、ジェスチャーで、ヤクを腕に打っている真似などをして見せる。

すると、その女の子は、もういっぺんやって、おもろいわと日本語で話して来たので清次は唖然とする。

家の中から、その女の子のことに気づいた悦子は、又来たの?保育園のママさんの所にお行きと声をかけて来る。

悦子は、おとしなら亭主が来て船に帰ったと教えると、あんたらのこと、港で大笑いの噂になってるの知ってる?と、他人の借金のために力仕事までやっている朝吉たちのお人好しぶりを指摘する。

そんな悦子に朝吉は、ヤク中の部屋を借りたりして、誰ぞの囲われものになっているのか?お前、土地のもんと違うやろ?と聞くと、引揚者だと悦子は答える。

港に戻る途中、朝吉にかき氷をおごってやった清次は、あの子に大分惚れてますな?とおとしのことをからかうが、そこに女子舟の女2人がやって来て、年寄りが会いたいと言ってる。足腰立たんようにしちゃる言うとったでと告げる。

それを聞いた朝吉は、何で仕置きを受けなあかんかよう分からんが、行ったるでと答え、女たちと船に向かう。

おげんの船に来ると、おげんは清次をおかねの船に連れて行けと平造に命じる。

平造から近くの船の中に案内されたせいじは、いきなり女たちから飛びかかられる。

驚いた清次は、目、つぶってみいな、順番に相手するわなどと言い、隙を見つけて逃げ出そうとするが、さらに増えた女たちから迫られる。

朝吉の方も、女たちに抱きつかれており、逃げ出そうと甲板に上がると、平造が、この辺は鱶が多いなどと言って牽制する。

船の中に戻った朝吉に、おげんは酌をしてやれと、その場にいたおとしに命じるが、朝吉がわいは酒は飲めんのやと断っても承知しなかった。

一方の清次は、女たちにシャツを破られ抱きつかれて、半裸の状態になっていた。

無理矢理酒を飲まされた朝吉は、甲板から海に戻していたが、そんな朝吉の背中をさすりながら、おとしは、本当に飲めなかったのねと詫びる。

そんなおとしに、何で、あんな薬使うようになったんや?と朝吉が聞くと、以前、流産した時、鬼瓦の親爺さんが打ったのと打ち明ける。

朝吉は、この船に戻って来てまじめに働く気なんやろ?辛抱せなあかんとい言い聞かせる。

その時、どこからともなく太鼓の音が聞こえて来たので、おとしは、もうすぐ港祭りがあるので、その太鼓の練習をしているのだと教えると、うちも、2年ほど八尾に住んでたことがあると言うので、朝吉は、河内音頭を歌って聞かせるのだった。

その後、外国船が接近すると、女子衆は小舟を出し外国船に向かう。

おげんは女子たちに、外国の品、ちゃんと持って来るんだぞと声をかける。

そこに、悦子を連れて清次がやってくると、おとしは、港裏の家で待っといてねと朝吉に伝えて、自分も外国船に向かう。

翌朝、おげんは、食堂にいた水平松を呼ぶと、夕べ、外国船から受け取った品物を見せる。

おげんは、その品物は保育園に納めるものと思っていたが、金を払い終わった鬼瓦の吉は、おげんが帰ると、水平松に、闇市場に流して来いと命じる。

その吉の元にやって来た仙太郎は、おとしは手に入らんかったと言うて戻って来たと報告するが、怒った吉は仙太郎を殴りつける。

その頃、おとしは朝吉に、兄の三郎からもらった金を渡していた。

自分は、香港から入って来る薬を仕入れて来いと言われたが、そのまま戻って来た。自分はあんこになっても働くと言い切るが、その直後、薬が切れ、禁断症状が出る。

それでもおとしは、苦しいけど我慢する。辛抱する!と言って耐えようとするのだった。

朝吉と清次は、おとしから受け取った8万の金を持って鬼瓦の吉に返しに行くと、おとしとは何の関わりもないと思って聞いてくれと前置きした上で、あんたんとこ、麻薬の密売やっとるそうやないか?誰がおとしに仕入れさせたんや?と聞く。

夫の仙太郎やと吉が答えると、その仙太郎は誰が動かしとるんや?と朝吉はさらに詰め寄る。

しかし、吉はとぼけるばかりで何も答えが得られないことを悟った朝吉は、必ずわいは尻尾掴んだる。覚えてけつかれ!と捨て台詞を残して事務所を出て行く。

他の女子衆と一緒に船の甲板掃除をやっていたおとしの元に鬼瓦の吉と一緒にやって来た仙太郎は、うちはもうヤクだけはやらんと拒否するおとしを殴りつける。

他のことなら何でもやる。ヤクだけはやらん!と頑に拒否するおとしに対し、仙太郎は、もやい綱の束を手に取って、それでおとしの顔面を殴打し始める。

倒れたおとしが動かなくなったので、名前を呼び掛けた仙太郎だったが、身体に触れてみて、女房がすでに死んでいることに気づく。

側で観ていた吉も驚き、加減してやらんか!と仙太郎を叱りつけるが、もう死んだおとしはどうしようもなく、事故死に見せかけるため、甲板からしたいを岸壁に落下させる。

しかし、それを目撃していたものがいた。

同じ船で、船員と抱き合っていた悦子だった。

おとしが事故死したと聞いた女子舟仲間や朝吉は、何も知らずに、おとしの通夜にやって来る。

その場には、夫の仙太郎も悦子もいた。

そこに、鬼瓦の吉が、白々しく花輪などを持ってやって来たので、朝吉は、お前らがやったんと違うか?と睨む。

その頃、先日会ったハーフの少女がいる保育園にやって来た清次は、不審そうな顔をする保育士に、タコ釣りでも連れて行ったろ思って…、遊んでもかましませんか?と網の外から声をかけ、顔見知りなので喜んで付いて来たマリ(ジニー・マリッチ)と言うその少女を外に連れ出す。

清次は、そのマリを連れ、鬼瓦の事務所に来ると、これはおとしの子だと噓を言い、おとしの労災補償金を要求する。

吉は怪しむが、一応社長に相談に行くと、規定通り出してやれ。朝吉がわざわざ事故死と認めているのやと耳打ちする。

5万円の保証金を手にした清次は、マリにカレーとフルーツポンチを食べさせる。

おとしの遺体の前では、朝吉が河内音頭を歌っていた。

目の前に仙太郎がいることに耐えられなくなったのか、悦子が表に出て行く。

その時、マリを肩車し、一升瓶を2本下げた清次が帰って来たので、それを観た悦子はどこに行ってたの?と清次に詰め寄る。

マリを1人で保育園に帰し、家の中に入って来た清次は、会社に談判して金を取って来てやったと自慢げに朝吉に札束を披露するが、これは亭主にやるもんやと朝吉から叱られてしまう。

あの子をそんなことに使ったの?と清次に問いかけた悦子は、マリは私の子よ!と告白し、でも良いわ、おとしが喜ぶんならね。でも、会社が喜ぶだけじゃない!と清次の愚行を責める。

それなら、おとしは事故死じゃなかったと言うのか?と朝吉が聞くと、悦子は知らないよと言って家を出て行く。

その悦子を追って埠頭まで来た朝吉は、もう1度、おとしは事故死やなかったんか?あの子の父親は進駐軍の兵隊さんか?と聞き、あいつがしよったことはわいが謝るわと話しかける。

でも、事故死やってこっちから証明するようなもんやないかと悦子が言うので、何ぞ、確かなこと、知っとるのと違うか?そうやったら、そいつを警察に突き出してやるんや!と説得する。

女性歌手が歌っているキャバレーにやって来た仙太郎は、一緒に飲んでいた鬼瓦の吉と社長に、悦子が事故死やないと言うとると耳打ちする。

それを聞いた社長は、消すんや!お前がやるんやと命じたので、言われた千太郎は、俺が?と驚く。

葬式の席で意気投合した、女子舟のおみつ(弓恵子)と清次が外に出て行くのとすれ違うように、朝吉と悦子が戻って来る。

おとしの仏の前に座った悦子は、しゃべったら殺されるわ。あんただって殺させるわと朝吉に言う。

すると朝吉は、お前と一緒やったら死んでも良いと答える。

悦子は、マリは死んだ姉さんの子よ。私をお母さんだと思ってるわ。不憫な子だから可愛がってやるの。あたい、あんたが好きよと言うと、その晩は同じ家で寝ることにする。

翌朝、まだ朝吉が寝ているうちに起きた悦子は、1人家を出ると港に向かうが、まだ連絡船がなかったので、近くの人気のない売店で時間を潰そうとするが、そこに仙太郎がやって来て、マリなら倉庫で泣いとると言う。

会社に悪さしている言うんで、罰を受け取るんやと言うのを聞いた悦子は驚き、その倉庫に連れて行かせる。

その頃、目覚めた朝吉は、悦子の姿がないことに気づくと外に探しに出かける。

仙太郎は、悦子をマリが1人で待っていた瓶詰め箱の集積所の中に連れて来る。

悦子がマリを抱きしめると、横に積まれていた瓶詰め箱が倒れかかって来る。

その場を出ようとした仙太郎だったが、自分に向かって走って来るトラックに気づく。

そのトラックは明らかに、仙太郎を轢き殺そうとしていたので、必死に逃げ回る。

その頃、港で悦子を探していた朝吉は、大阪から戻って来たお照と再会する。

金を用立てして来たと話すお照に、もうその金なら帰したと説明しながら、おとしの家に連れて来る朝吉。

悦子がいなくなったと聞いたお照は、それは女の愛情ですと言い、わてが金策に駆け回っている間、義兄さん言うたら女子舟でチャラチャラして…、わてかて抱いて欲しいとすねる。

それを聞いた朝吉は、仕方ないと言った顔でお照を抱こうとすると、お照は驚いて、何しますのや!と叱りつけて来る。

そこに怪我をした仙太郎が戻って来て、会社の奴、悦子ばかりでなく、俺まで殺そうとしたと言うので、悦子はどこや?と朝吉が聞くと、内外倉庫の裏じゃと仙太郎は教える。

すぐさまその場に駆けつけた朝吉は、地面に崩れた箱を必死にどけ始めるが、気がつくと、悦子とマリを連れた鬼瓦たちが近づいて来るではないか。

吉はマリにナイフを突きつけていた。

一緒にいた社長は、明日祭りだから、一緒に酒でも飲もうと思っていたのに、何で余計なことをやった?と、子分たちが捕まえた朝吉に語りかける。

そして、朝吉と悦子に、無理矢理一升瓶の酒を飲ませると、海に流したれ。抱き合い心中と言うことになると社長は鬼瓦に命じる。

朝吉は、楠木正成も八尾の生まれだ!と抵抗すると、七回生まれ変わって怨霊になるかと社長は嘲笑する。

朝吉は、子分からスパナで後頭部を殴られ気絶してしまう。

夜、小舟に乗せられた朝吉と悦子は、鬼瓦の子分たちに海に運ばれて行く。

そして、海中に2人は縛られた状態で突き落とされる。

鬼瓦たちが乗った小舟が遠ざかって行くと、その場所に、別の小舟が数隻近づいていた。

清次と女子衆だった。

清次たちは海に飛び込むと、溺れかけていた2人を救出し、おげんと平造、仙太郎が乗っている女子船に連れて来られる。

気絶していた朝吉に、清次は気付け酒を飲ます。

間一髪、悦子も気がつき、甲板の側に寝かされていた朝吉の身体に手を触れる。

仙太郎は朝吉に、朝吉親分、許して下さい、おとしを殺したのは俺なんですと打ち明けると、殺してつかあさい!鬼瓦に無理矢理やらされ、折檻し過ぎたんだと詫びると、おげんには、お前らが稼いで保育園に渡していた品物は闇に流しとったんやと打ち明ける。

翌日、社長の所にやって来たおげんと平造は、社長と幹部の方々をお招きに来ました。第一突堤で、女子共が踊りをお目にかけますと丁重に挨拶する。

ご苦労とねぎらって2人を帰した社長は、横にいた鬼瓦に、分かったやろう?痛い目見せりゃ、向うから尻尾振って来ると笑いかける。

その後、鬼瓦と共に第一突堤にやって来た社長一行は、そこに待っていたおげんに、ヤクはどこにあるんや?と聞く。

しかしおげんは、ヤクはないでと笑い、ヤクはあるよと後ろに目をやるので、鬼瓦たちも振り向いてみると、横に積んであった荷物の上に朝吉と清次が立っているのを発見する。

お前ら、保育園に渡す島ものを闇に渡しとったそうじゃないかとおげんはにらみ、次の瞬間、後ろに控えていた女子衆が、一斉に鬼瓦と社長に飛びかかって行く。

朝吉と清次も下に降り、子分たちと喧嘩を始める。

女子衆にもみくちゃにされた社長は、証拠もないのにこないことして、後悔するな!と怒鳴るが、証拠はここにいると言って姿を現した仙太郎は、これをみんなに飲ましてつかあさいと一升瓶を女子たちに渡すと、わしはこれから警察に行ってきますからなと言い残して立ち去って行く。

清次は、まだ、ピッピがおますんやと言うと、笛を吹きながら、朝吉が操縦するクレーン車の誘導を始める。

そのクレーンの爪の中には、社長や鬼瓦が縛られて乗せられてたが、持ち上げられた爪は、そのまま海に漬けられる。

社長や鬼瓦は、半分、海に漬けられた爪の中で狼狽しまくる。

お照、朝吉は、バスの停留所から出発しようとしていた。

その時、悦子に連れられたマリがやって来て、清次に機嫌良うせいやと大人びた声をかけると、明治チョコレートを渡す。

それを受け取った清次は、マリと悦子が見送る中、すでに広島バスに乗り込んでいたお照、朝吉と共に、港を後にするのだった。