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ダークナイト ライジング

クリストファー・ノーランの手で新たにリブートされた「バットマン新三部作」の最終作である。

「007 消されたライセンス」(1989)のイントロ部分を連想させる冒頭部から、スーパーヒーローものの定番とも云うべき、やや類型的なラスト部分まで、とにかく金をかけているだけではなく、どのシーンを取ってもサプライズを意識したような、あれこれ考え抜かれた演出が用意されており、観客を飽きさせずに長時間の物語世界に惹き込んでくれる大作になっている。

ヒーローものには欠かせない残忍で圧倒的に強そうな敵役も登場するので、クライマックスでの壮絶な戦いを期待させるが、その部分に関してはやや拍子抜けする展開になっている。

もう一つひねりが用意されているためだが、意外性はあるものの最後の敵としては弱いと言わざるを得ない。

ヒーローものの最後の物語らしく、全体的に物悲しい雰囲気に溢れ、敵を倒して凱歌を揚げると云うような子供向けヒーローもののような爽快感にも乏しいが、それはこの新三部作全体を通した大人を意識したカラーであり、今作もその特長をきちんと継承していると云う事になる。

レギュラー陣は今回も全員それなりに活躍させているが、執事のアルフレッドだけがそこから外れているように見えるのは、主人公を表面上葬り去り、一つの物語を終焉させるためだけではなく、もう1人の強力な援助者を登場させ、活躍させるためだろう。

ティム・バートン監督版から数えると、すでに7作目のバットマン映画になるだけに、正直、ものすごく新鮮と云う印象はもうないだけに、どれだけ固定ファンの知識の裏をかくかと云ったひねりに創意が凝らされているように感じる。

特に、新三部作の前の2作とのリンクはかなりしっかり作られているだけに、そうしたバットマン全般や新三部作の基礎知識のようなものがない全くの初心者には、ひねりのいくつかは意味が通じないかも知れない。

色々、ゴッサムシティの一般市民たちの心を試すような大掛かりな仕掛けが用意されている所などは前作に似ているが、今作では、活躍させるべき主要キャラクターが多過ぎて、一般市民の葛藤や恐怖感などははしょられてしまっている。

そのため、核爆弾爆発寸前の緊迫感は薄い。

この辺も、何やら、昔の「007映画」に似ているような気がする。

007も良く、核爆弾を前に爆発を阻止する派手な戦いを繰り広げていたが、あれも単なる「アクションの緊迫感をちょっと高めるお飾り的設定」だったような気がする。

だから今回も、核爆発が起こっても、それで事件は無事解決で、特に放射能の影響がゴッサムシティに与える影響などと云った深刻な話にはなっていない。

核爆弾のタイマーのスイッチを無事切って、最後はいつものように美人のボンドガールとキスをして終わる007と同じ軽さである。

今作は、そう言った軽さを、全体のシリアスな雰囲気で覆っているので、一見奥深いメッセージ性を持った物語に見えるだけ…のような気もしないではない。

とは言え、見せ場は十分用意してあるし、迫力もあり、アクション好きなら満足する事請け合いの娯楽作である。

余談だが、物語中に登場するあるシーン、手塚治虫の「火の鳥」に似たようなシーンが出て来た気がするのだが、単なる偶然なのだろうか?

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2012年、アメリカ映画、ボブ・ケイン原作、デヴィッド・S・ゴイヤー原案、ジョナサン・ノーラン脚本、クリストファー・ノーラン原案+脚本+監督作品。

ゴッサム・シティでは、正義と信念のために戦い、殉職した地方検事ハービー・デントの業績を称える集会が行われていた。

一方、ロシアの核物理学の権威レオニード・パヴェル博士(アーロン・アバウトボール)は、CIAの情報員が連行して来た.顔に覆面をかぶらされた3人の悪人と一緒に軽飛行機に乗り込もうとしていた。

彼らは、博士を拉致しようとした傭兵だと言う。

飛び立った飛行機の中で扉を開いたCIAの情報員は、3人の傭兵たちを1人ずつ、そこから上半身を空中に突き出して拳銃を突きつけながら、誰に頼まれたと脅し付ける。

しかし、傭兵は何も答えなかったので、頭を撃ち抜くと、遺体を空中に放り出し、次の1人も同じような拷問にかける。

何故、銃を撃つ?落とせばすむことなのに…。

そう発言したのは、機内に残っていた最後の覆面の男だった。

恐る恐るその覆面を情報員が引き上げると、中から現れたのは、顔にマスクをはめた禿頭の大男ベイン(トム・ハーディ)だった。

お前は何者だ?と怯えながら聞く情報員に対し、何者でもなかった、マスクをするまでは…と言うので、マスクを取ると苦しいのか?と聞くと、地獄の苦しみだと答えたベインは、博士はCIAに売った。何も話してない。この機を墜落させると宣言する。

次の瞬間、先ほどから小型飛行機に接近していた輸送機から、3人の男がロープを付けて降下し、小型飛行機の側面にへばりつくと、いきなり外から機関銃を乱射して来る。

さらに、小型飛行機にワイヤーを巻き付け、輸送機が魚を釣るように小型飛行機を上空に持ち上げてしまう。

このため、小型飛行機は下を向いてしまい、その機内で、ベインはパヴェル博士の腕に輸血用の注射針を刺すと、上から降りて来たカバーに包まれていた男に血を輸血する。

ベントは博士と自分の身体にロープを巻き付けながら、もう1人の男に、お前は残れと命じる。

すると、その男は火はついたか?と問いかけた後、ワイヤーを切られた小型飛行機と共に、地上に墜落して行く。

パヴェル博士はベインと共に、輸送機に吊り上げられて行く。

ゴッサム・シティの集会では、今日はハービー・デントの日で祝日ですと、アンソニー・ガルシア市長(ネスター・カーボネル)の演説が続いていた。

8年前、ゴッサムは平和な町になった。

デント法のお陰で悪事がなくなったのです。

マスクとケープの男がそんなデント氏を殺したのです…、そう憎々し気に聴衆に語りかけた司会者は、ジム・ゴードン警察本部長(ゲイリー・オールドマン)に挨拶を依頼する。

ゴードン本部長は、用意して来た原稿を上着の下から取り出すと、真実…と語り始めるが、途中で気が変わったらしく、その原稿を読むのを止め胸ポケットに再びしまって、またの機会に…と言うと、ブラックゲート刑務所はデント法で出来た。デントの働きは無駄ではなかったのですと挨拶する。

ブルース・ウエインの屋敷では、その日もパーティが行われていたが、主人のウエインは、もう何年も姿を現していなかった。

裏で働くメイドたちも、姿を見せなくなった主人の噂で持ち切りだった。

執事のアルフレッド(マイケル・ケイン)は、1人のメイドを呼ぶと、東棟の一室に夕食を運ぶように命じ、部屋の鍵を託す。

招待客の1人ジョン・ダゲット(ベン・メンデルソーン)は、ウエインが提唱した世界を救うシステムへの投資など無駄だと同じく招待客であったミランダ・テイト(マリオン・コティヤール)に忠告するが、ミランダはギリー議員の意見に同調はしていない様子だった。

ヒーローは、平和な街には必要ない…そう言い残してダゲットは帰ってしまう。

夕食のトレイをテーブルに置き、部屋をうろついていたメイドは、突如、すぐ横にあったアーチェリーの的に矢を撃ち込まれ度肝を抜かれる。

矢を射ったのは、この家の主人ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)だった。

ガウンを着たウエインは、左足を負傷しているらしく杖をついていたが、巷で噂されていたような爪が伸びていたり、顔に傷を負っていると云う様子はなかった。

初対面である主人に不審な行動を取っていたことを詫びたメイドは、そんな感想を告白するが、ウエインは、この部屋の金庫が開けられていると指摘する。

メイドは、身体が不自由な相手なんかと戦うつもりはないのと言うと、ウエインの杖を蹴り飛ばし、ウエインを転ばせると、自分は窓際に立ち、細い命綱らしきものを窓と自分の身体を固定すると、バク転してするりと外に降りて行く。

外の通りに出たメイドは、屋敷から帰りかけていたギリー議員の車に勝手に乗り込み、送ってもらうことにする。

ウエインは、部屋にやって来たアルフレッドに、メイドに真珠を盗まれた。指紋採取の用意をと命じるが、アルフレッドはそれは警察の仕事では?とやんわり言い返すが、ウエインは自分でやると聞かなかった。

1人の新人警官がゴードン本部長の所にやって来て、ギリー議員がまだ家に帰って来ないと云う連絡を受けたと知らせる。

ゴードンは見慣れぬ新人警官に名を聞くと、ブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)だと言う。

ブレイクは、8年前、デントを殺した男の正体は分からないのですか?と聞くと、ゴードンはバットマンだとだけ答え、議員夫人に会いに出かける。

翌朝、ウエインの部屋に着たアルフレッドだったが、ウエインの姿が見えたらないので、ピアノの鍵盤の3音を叩き、壁の秘密の扉を開けると、そこから秘密のバットケイブ(洞窟)へ降下して行く。

案の定、そこにいたウエインは、パソコンを使って、消えたメイドの正体の解析を行っていた。

金庫に残っていた指紋は全く他人のものだった。

彼女は他人の指紋を使って金庫を開けたのであり、名前は、セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)と云う泥棒だと分かったと言う。

どうせネックレスは売るでしょうから、その時捕まるでしょうとアルフレッドは安心させようと言葉をかけるが、ウエインは、否、彼女は真珠を売らない。目的は俺の指紋だと答える。

少しは外に出られたらどうですかと勧めるアルフレッドは、会う人間がいないとウエインが答えたので、相手ならいた。あなたは待っている。この街が荒れるのを…と悲しそうに続ける。

私は毎年、フィレンツェにバカンスに行きます。

その時、いつも目の前に、あなたと夫人とお子様がいたが、互いに遠慮して私たちは声をかけなかった…と回想する。

あなたには、この街には戻って来て欲しくなかった…とアルフレッドは言い終える。

その頃、下水路の脇に男の水死体が上がっていた。

冬にこの手の死体が見つかるのは珍しくなかったが、その死体を確認したブレイクには見覚えがあった。

自分が育った孤児院で知っていたジミーと云う男だった。

早速ブレイクは、馴染みの孤児院へ向かい、そこにいた神父に話を聞くことにする。

神父は、ここには16歳以上になった子供を置くことは出来ないと淡々と答える。

ジミーと仲が良かった少年に、何故ジミーが下水道にいたのか知らないかと聞くと、良い仕事があるらしいので、ここを出た子供たちは皆下水道へ行くのだと言う。

ブレイクは、下水道での良い仕事とは何なのか見当がつかなかった。

その頃、セリーナ・カイルは、場末の喫茶店で1人の男フィリップ・ストライバー(バーン・ゴーマン)に会っていた。

ストライバーから依頼されたウエインの指紋を渡していたのだった。

受け取ったストライバーは、指紋が4本分しかなく、親指が抜けているのに気づくと、仲間らしき男と共に銃を突きつけて渡せと迫る。

セリーナは、外に友達がいるので押してと言いながら、持っていたスマートフォンを差し出し、ストライバーに画面をクリックさせる。

すると、ドアが開いて、若い娘が入って来ると、持っていた封筒をセリーナに手渡す。

それを受け取ったストライバーは、それでも銃を降ろそうとはせず、証拠は残さないと睨んで来る。

警官が間もなく来るわとセリーナが教えると、こんな所に来るはずがないとストライバーは相手にしない。

私の警官をやっている彼の携帯を今使ったのとセリーナが言うと、確かにパトカーのサイレン音が近づいて来るではないか。

その直後、警官たちが店に乱入して来たので、ストライバーと仲間は裏口から逃げ出すが、セリーナは被害者のか弱き女性を演じ、悲鳴を上げる。

同じ店内にいたギリー議員は、警官隊に確保されながら、こっそりセリーナに、電話をくれと色目を使っていた。

AWATは逃げた男たちを追跡するが、途中で見失ってしまう。

ゴードン本部長も駆けつけ、下水道に逃げ込んだに違いないと見抜き、マンホールの蓋を開けて自ら中に入り込んで行く。

しかし、下水路内で、ゴードン警部は、何者かの襲撃を受け捕まってしまう。

マンホールの外に立ち、下から響いて来た爆発音など異変に気づいたブレイクは、ゴードン本部長を救出に向かおうとするが、ピーター・フォーリー副本部長(マシュー・モディー)から危険だから止めておけと制止されてしまう。

ゴードンが傭兵らしき男たちに連れて行かれる途中、地下内は大掛かりな工事の途中だった。

そこに待っていたのはベインだった。

ベインは、こんな所に警察を連れて来たことにいら立っているようで、仲間が3人死んだぞ!と言うなり、連れて来た傭兵の1人を首をひねって殺してしまう。

もう1人の傭兵にゴードンの身体を調べさせると、原稿が上着のポケットに入っていたので、それをベインは受け取る。

その直後、意識を取り戻したゴードン本部長は身体をひねって、自ら下水の中に飛び込む。

追え!と原稿を渡した傭兵に命じたベインだったが、どこへ流れたか分からないと云うので、側にいた別の傭兵からモバイルをその傭兵に渡させると、その場でその傭兵を射殺し、ゴードンと同じように下水の川の中に蹴落とす。

その死体が持っているモバイルの発信位置で、ゴードンの流れた場所を知ろうと云うのだった。

副本部長命令を無視して下水に潜り込んでいたブレイクは、鉄柵に引っかかっていたゴードン本部長を発見する。

その後、ブレイクは、ウエイン家を訪れる。

アルフレッドに取り次いでもらい、ウエインに対面したブレイクは、自分は前に孤児院であなたに会ったことがあると言い出す。

自分の母親は事故死し、その2年後、父は賭け事の借金が元で殺された。里親も最初のうちは優しかったが、その内、前に進めと言うようになる。

そんな時、スポーツカーに乗って、美人を連れたあなたが現れたんです。僕たちにとって、あなたは伝説でした。僕はすぐにあなたの正体に気づきました。僕と同じで仮面だと…。バットマンを信じている。例えあなたでなくても…とブレイクはウエインに告げる。

孤児院はどうした?と聞いて来たウエインに、ウエイン財団の援護は打ち切られています。あなたは外に出て、もっと情報を知るべきだ…、そう言い残してブレイクは帰って行く。

孤児院への援護を財団が止めていた事を知らなかったウエインは、早速アルフレッドにその事の理由を尋ねるが、アルフレッドは冷静に、ウエイン財団の利益の問題かと…と答えるだけだった。

続いて、ゴードン本部長が負傷し入院したと聞いた病院に来ると、面会できそうにもないと医者から聞かされたので、目出し帽をかぶって窓から病室に侵入し、ゴードンに対面する。

ゴードンは重傷だったが、何とか命は取り留めていた。

その頃、ダウンタウンのアパートの踊り場にいたセリーナ・カイルは、60ドル掏った女友達が被害者から絡まれていたので、被害者の方をけり飛ばしてやっていた。

その夜、長年姿を見せなかったブルース・ウエインが、久々に慈善パーティに顔を出したので、玄関先にいたマスコミ陣は驚いて写真を撮る。

ウエインは、会場で金持ちの男相手に踊っていたマスクの女を相手に踊りながら、その女がセリーナ・カイルと云う女泥棒である事を知っていると証し、改心するように勧める。

しかし、セリーナは動じず、一度悪に染まったらやり直せないし、自分は金持ちしか狙わないので、それなりに社会の役に立っているなどと詭弁を返すと、嵐が来るわよ…、私は生き残るけどと意味ありげに囁きかけて来る。

ウエインは、これは自分のものだからと言い、彼女が首から下げていた真珠のネックレスをその場で奪い返して帰る。

しかし、表に出て駐車チケットがない事に気づいたウエインは、先にセリーナが自分のチケットで車を盗み、それに乗って帰ったらしき事を知ったので、アルフレッドを呼んで別の車で迎えに来てもらうしかなかった。

その後、ウエイン産業の社長ルキウス・フォックス(モーガン・フリーマン)に会いに行ったウエインは、業績不振に陥っている会社事情を聞きながらも、あれを稼働させてはいけないと指示する。

しかし、フォックスは、ミランダ・テイトは計画を指示していると伝える。

ウエインがそのまま帰ろうとしたので、昔なら、最後に無理な注文をされたものだが…とフォックスが言葉をかけると、ウエインは引退した…と答える。

そんなウエインを、昔のよしみで…と言いながら、半ば強引に武器庫に案内したフォックスは、そこに自動操縦と黒への塗装以外は完成していた新飛行メカ「バット」を見せる。

再びバットマンになる決心をしたウエインは、バットケイブで、負傷した左足にギブスをはめ、杖なしで歩く練習をしていた。

それを複雑な表情で見つめていたアルフレッドは、世界の果てに「奈落」と呼ばれる牢獄があると言う話を聞いた事があると教える。

滝壺の中から透明なケースに入って封印されていたバットマンのコスチュームが競り上がって来る。

ベインは、ラーズ・アル・グールの仲間で破門された男だそうですと云うアルフレッドに、その噂通りなら、今、バットマンが必要だとウエインが答えると、(バットマンに)戻りたがっているあなたが怖いんですと悲し気にアルフレッドは呟く。

ゴッサムシティの株式証券所に、フルフェイスのヘルメットをかぶった男が入ろうとしたので、女性ガードマンが入口で呼び止め、ヘルメットを脱いで監視カメラに顔を写すよう命じる。

ヘルメットを脱いだ男はベインだった。

ベインは女ガードマンを殴り倒す。

同時に、証券所の階段口などで清掃作業をしていた男たちの一斉に隠し持っていた機関銃を取り出すと、証券所の中にひしめいていた男たちに銃口を向ける。

果敢にも、ここは証券取引所だ。金など盗めないぞ!と虚勢を張った男に、ベインはお前の仕事は何だ?と言いながら、パソコンの置いてあるデスクに突き飛ばす。

通報を受けた警察が証券所に集結して来るが、人質を多数取られているので、玄関前で様子見するしかなかった。

警察では、賊はオンライン送金を狙っていると読んでいたが、ネットは切断されてしまう。

その現場に来ていたブレイクは、シャドウを塞いでいたトラックの運転手に、後ろに下がるよう依頼する。

トラックが下がると、道路には、賊が逃亡しないように車止めが設置される。

ベインはパソコンに向かっていた仲間にインストールはまだか?と聞き、後8分だと聞くと、引き上げを命じる。

玄関前で銃を構えていた警官隊は、まず人質たちが開いた玄関からまとまって出て来る中、バイクで飛び出して来た賊の姿を目撃する。

しかし、彼らのバイクには、人質が遺書に載せられていたため発砲できない事が分かる。

パトカーをかいくぐったバイク数台は、人質をその場に振り落として行くと、車止めをジャンプ台のように飛びながら逃走し始める。

その後を、慌ててパトカーも追尾し始める。

地下道を通過していたパトカーは、天井の照明が次々に消えて行く様子を見る。

気づくと、薄暗い通路の中央にバットマンが立っており、何やら特殊な銃を逃亡するバイクの方に向けていた。

しかし、その姿を見つけたフォーリー副本部長はバットマンを捕まえると助手席に乗っていたブレイクに告げる。

バットマンが出現したと云うニュースを、盗難中だったキャットウーマンことセリーナ・カイルも聞いて驚いていた。

インストール完了まで後90秒だった。

なぜ、強盗よりバットマンの方を逮捕するのか?と戸惑うブレイクに、デント殺しの犯人と強盗とどっちが大切だ?とフォーリー副本部長は教える。

バット ポッドに股がったバットマンは、逃走する賊を猛スピードで追跡する。

入院中のゴードン本部長も、バットマン出現を生放送し始めたGCNテレビニュースを病室内で観ていた。

後部座席に乗せていた人質を振り落としたベインのバイクは、追い抜いて横付けしていたバット ポッドに正面衝突する。

バットマンは、ベインが残していたモバイルの表示を観て、すでに何らかのソフトのインストールが完了している事に気づく。

そんなバットマンにパトカー軍団が接近して来たので、バットマンはバット ポッドに股がってダウンタウンの路地へと逃げ込む。

それに気づいた副本部長は、これで袋のネズミだと喜んで、路地の入口を封鎖するが、暗い路地の奥にライトが点灯したかと思うと、突如、巨大な飛行物体が飛び出して来る。

それを見送ったブレイクは、ネズミじゃなく本物かな?と、それとなく横に立ってあっけにとられていた副本部長に皮肉を言う。

ダゲットの屋敷に侵入したキャットウーマンは、彼に銃を突きつけながら、渡してと迫る。

犯罪者の前歴を抹消するクリーン・スレートの事か?とダゲットは嘲笑するが、キャットウーマンは、そんなギリーを抱きかかえて、窓から外の清掃用カーゴをクッションに表に降りる。

さすがに怯えたダゲットは、クリーン・スレートなど都市伝説に過ぎない。デマだったんだと弁解するが、その時、2人に接近して来る男たちの集団がいた。

その時、バットマンが出現し、奴らは気にしないとキャットウーマンに告げると、男たちと戦い始める。

男たちの中からベインが現れる。

キャットウーマンを飛行メカ「バット」に乗せたバットマンはその場を飛び立つと、別のビルの屋上に着陸し、キャットウーマンを降ろしてやりながら、ウエインの指紋をどうした?と聞く。

キャットウーマンは、ダゲットに売った。彼は証券取引所に興味を持っていたと教え消える。

バットケイブに戻って来たバットマンことウエインは、警察は当てにならんとアルフレッドに告げる。

アルフレッドは、ベインは「影の同盟」の再来です。お仕えするのはこれが最後です。あなたには、バットマンではない別の道があるはずです。

レイチェルは死んだ…、僕が殺したんだ…と、ウエインは自分を責める。

私が、自分はベントを選んだと書いた彼女の手紙を焼いた…と言ったら?赤ん坊の頃からお育てして来た…。これで、あなたの命を守り切るのなら本望です…と言うアルフレッドに、ブルースはさよならを告げるしかなかった。

寝室で寝ていたウエインは、呼び鈴の音で目覚め、玄関に出てみると、そこに立っていたのは、新聞を手にしたフォックス社長だった。

あんたが指紋認証で確認された上で会社の株をオプション売りをした事になっており、今のあんたは破産状態だと告げる。

ベインの計画がこれで分かった。

キャットウーマンに盗ませたウエインの指紋を使い、ネット上の操作でウエイン産業を破滅させたのだった。

ウエインは、ミランダ・テイトを呼んでもらうと、フォックス社長と共に、地下に建設していた核融合装置を見せ、君が投資していたのはこれだと明かす。

ミランダは、これが悪用されたら…と心配し、半年前に、ロシアの核物理学者が死んだわと教える。

ウエインはそんなミランダに、今後のウエイン産業を託したい。もし、ここの安全が保障されなくなったら、沈めろと頼む。

やがて、ウエイン産業の取締会が始まるが、ウエインは、取締役の1人ジョン・ダゲット(ベン・メンデル ソーン)から、今回の事態を招いた張本人が出席するのはおかしいとの理由で退席させられてしまう。

本社を出たウエインは、そこに待ち受けていたブレイクの車で送ってもらう事になる。

一方、取締会の主導を握り、会社を乗っ取ろうとしていたダゲットは、部屋の外に待っていたベインから、ボスだと思っていたのか?お前の金と建設会社が必要だっただけだと迫られる。

ブレイクに送ってもらっていたウエインは、車の中で、バットマンはマスクをすれば誰にでもなれると教え、旧市街へ向かわせる。

ウエインがやって来たのは、キャットウーマン事セリーナ・カイルのアパートだった。

セリーナは、破産させてごめんとしおらしくウエインに謝る。

ウエインは、今夜、会う場所をセリーナに告げる。

ブレイクは、ダゲットの死体が見つかったと、入院中のゴードン本部長に報告に来る。

ゴードンは、その場にいた副本部長を他所に、ブレイクを刑事に昇格させると伝える。

屋敷に戻ったウエインだったが、玄関に入ろうとしても施錠されており、自分は常日頃から鍵を持っていない事に気づく。

そんなウエインの元に近づいて来たのはミランダだった。

2人は何とか屋敷の中に入り込む。

ミランダは、書斎の写真立ての中の女性の写真を観ながら、誰?とウエインに尋ねる。

返事がないので、アルフレッドは?とミランダから聞かれたウエインは出て行ったと寂し気に答える。

何もかも失ったウエインに同情したのか、ミランダはキスをする。

電気も切られていたので、暖炉で火を燃やしたミランダは、子供時代は貧しく過ちを犯したと打ち明け、上井んと一緒の毛布に包まって抱き合う。

今夜出かけない?と誘ったミランダだったが、ウエインは今夜じゃないと断る。

その夜、バットマンになったウエインは、キャットウーマンとの約束の場所に向かうと、ベインに会わせろと頼む。

キャットウーマンは見張りの傭兵たちがいるわよと警告しながらも、バットマンを地下道に案内する。

2人は次々と見張りの傭兵を倒しながら、ベインがいるらしき通路に招き入れたキャットウーマンだったが、バットマンは背後に金網扉が降ろされた事に気づく。

扉の外に立ったキャットウーマンは、まだ死にたくないの…と申し訳なさそうにバットマンに告げるが、これは重大な過ちだとバットマンは答える。

そんなバットマンの前に出て来たベインは、キャットウーマンが金網扉の外で見守る中、お前は「影の同盟」を裏切った!と叫ぶとバットマンに殴りかかって来る。

バットマンは遠隔操作で、室内の灯りを消すが、ベインには通用しなかった。

お前の武器庫を頂くぞ!と宣言したベインは、バットマンを持ち上げると、背骨を自らの膝に落とす。

倒れたバットマンのマスクをはぎ取ったベインは立ち去って行く。

その様子を扉の外からキャットウーマンは黙って見つめていた。

その間も、刑事に昇進したブレイクは、殺されたダゲットが何を企んでいたのかの調査を続けていた。

その後、セリーナを捕まえたブレイクは、ギリー議員にあんたの写真を見せて確認した。訴えるそうだが、君の出方次第で警察で保護できると交換条件を出すと、ウエインを探しているんだ。まさか殺された!?と問いただす。

ウエインは死んではいなかった。

どこか巨大な井戸の底のような閉鎖空間の中に寝かされていた。

どうして殺さないとウエインが尋ねると、その場にいたベインは、お前は死を恐れていない。それでは拷問にならない。だから、お前の魂をいたぶる事にしたと壁についたテレビモニターを見せながら言う。

希望があるから絶望する。

この上に昇ったものだけが助かるが、誰も成功したものはいない。俺はゴッサムを破壊させる。それをお前の眼で見届けたら死ぬのを許してやる…とベインは冷酷に告げる。

デント法で、女も刑務所に入れる事が可能になったので、セリーナは刑務所に投獄される事になる。

一方、ウエイン産業の取締会に現れたベインは、会長になったミランダとフォックス社長ともう1人の役員を連れ出す。

ウエイン産業の会長と社長らが拉致された事を知ったゴードン本部長は、総員出動してダゲットの会社を洗い上げろ!と命じる。

おそらく、アルフレッドが話していた「奈落」と云う場所にいるらしいウエインは、介抱してくれていた男に、この井戸を昇って地上で出られたものがいるのか?と聞く。

1人いたらしい。子供だと言うので、ベインか?と聞き返すウエイン。

そのベインは、ミランダとフォックス、もう1人の役員を連れて地下の核融合炉にやって来ていた。

ベインは、役員の後頭部に拳銃を突きつけながら、フォックスたちに核融合炉を起動させるように迫る。

ミランダは逆らっても無駄よとフォックスに伝えると、すぐに自分の掌紋を機械に認証させる。

仕方なくフォックス社長もそれに従い、核融合炉を作動させる。

後日者らしき役員が、そこから千メガトンの核爆弾を取り外すと、ベインは、西洋文明の次の幕開けだ。俺はこれを爆発させるのが目的だと告げる。

ダゲットの建設会社に来ていたブレイクは、そこで、証券取引所前にトラックを停めていた運転手の姿を見つけ、尋問しようとするが、近くにいた仲間に妨害されたので、やむなく2人とも射殺してしまう。

証言を断たれたブレイクだったが、近くにあったドラム缶には行っている薬品名ポリイソブチレン、モーターオイルなどから推察して、プラスチック爆弾を作っていた事に気づく。

急いでゴードン本部長に電話を入れ、下水道は罠だ!と緊急報告する。

ベインは、今正に試合が始まりかけて満員だったフットボール会場にやって来ていた。

場内では、少年がきれいな歌声で国歌を歌っている所だったので、なんて美しい歌声だ…とベインは呟く。

国歌斉唱が終わった瞬間、ベインは試合の始まりだ!と言いながら持っていたスイッチを押す。

ゴッサムシティのあちこちで爆発が起こり、フットボールの会場でも、ボールを持って走っていた船首の背後のグラウンドが倒壊して行く。

走っていたブレイクの車は横転するし、下水溝に侵入しかけていた警官たちは、倒壊した壁に生き埋めにされる。

さらに、ゴッサムシティを外部と繋いでいた橋はことごとく破壊されていき、ゴッサムシティは孤立してしまう。

スタジアム内に出現した傭兵部隊は観客に銃口を向ける。

そしてゆっくりスタジアム内に登場したベインは、マイクに向かい、ゴッサムよ立ち上がるんだ!街を市民の元に!と観客たちに呼びかけ始める。

副本部長に電話を入れたブレイクは、やられた!警官は全員閉じ込められたと言う返事を聞くが、まだ残っている!と言うと、近くに停まってた軽トラに警察だと告げ、車を借りると、走り始める。

その頃、病室のベッドに寝ていたゴードン本部長も、無理してベッドを抜け出していた。

ライフルを構えながら、ゴードン本部長に病院にやって来たブレイクが、そっと病室の扉を開けると、そこには数人の傭兵が倒れていた。

中に入ると後頭部に銃を突きつけたゴードン本部長が、味方と分かったので、行くぞ、ルーキーとブレイクに呼びかける。

フットボールスタジアムには、レオニード・パヴェル博士がマイクの前に立たされていた。

映像に映し出されたものをベインから説明させられたパヴェル博士は、これは中性子爆弾で、爆弾の威力は10キロに及ぶと解説する。

解除できる人間は?とのベインの問いに、自分だけだと答えたパヴェル博士は、次の瞬間、ベインに首をへし折られ、観客たちの見守る中絶命する。

マイクを代わったベインは、ゴッサム市民の1人にこの中性子爆弾の起爆スイッチを持たせている。

今後、外から干渉されたり、誰か1人でもゴッサムから逃げ出そうとしたら、名もなきヒーローが起爆スイッチを押す。ただいまから全市に戒厳令を敷くと宣言する。

その様子をモニターで観ていた軍隊は、偵察機を二機ゴッサム上空に飛ばせると同時に、大統領に緊急事態として通達する。

戦車部隊も出動して来るが、ベインは戦闘機も戦車も機械は止められないと呟く。

唯一残った鉄橋で対峙した軍隊側が、街側から出て来た傭兵に、1200万人もいるゴッサムシティ市民全員を一体誰が見張るんだと問いただすが、傭兵は、お前らだ。この橋を渡るものが1人でもいたら、街が消えるんだと答える。

軍隊は、テロリストとは一切妥協しないとテレビで演説する。

その放送を、奈落の底にあるモニターで、ウエインも観ていた。

ゴードン本部長もブレイクの運転する車の中で放送を聞いていた。

ベインは、マスコミ陣が見守る中、ブラックゲート刑務所の入口前にやって来る。

そして、ハービー・デントの写真を取り出し、ベントは偶像だ!と叫ぶとその場で写真を破り捨てる。

さらに、ゴードン本部長から奪い取っていた原稿を取り出すと、バットマンは自分の息子を救い、デントの罪をかぶってくれた。自分はこれを隠蔽した責任を取り職を辞したいと読み上げる。

その放送をゴードンと共に彼の自宅で観ていたブレイクは、自分は騙されていたのか?と立ち尽くす。

ベインは、市民軍を作り、これまで権利を貪っていた金持ちどもを狩り立てろ!裁きは我々の手で下す!贅沢はみんなの手で分かち合え!と檄を飛ばす。

「奈落」の底で、ウエインを看病してくれていた男は医者だと言い、昔ここで生まれたベインは仲間たちから痛めつけられ、顔に大きな傷を負ったが、満足な手当が出来なかったので、後遺症が残った。

ある傭兵が、この国の将軍の娘と恋に落ち、傭兵は追放ですんだが、その身代わりとして娘の方がここに投獄された事を知らなかった。

娘は傭兵の子供を妊っており、ここで出産した。

彼女の面倒を見ていた自分がある日、部屋の鍵をかけるのを忘れて出て行ったばかりに、母親は他の囚人たちに捕まり殺されてしまった。

今ではここはベインの地下牢だ…と話し終えた医者は、ウエインの背中の骨がかなりずれているので荒療治すると言い出し、彼の身体をロープで宙に吊るす。

苦痛に耐えていたウエインは、目の前に出現したラーズ・アル・グール(リーアム・ニーソン)が、戻って来ると云っただろうと話しかけて来る。

グールは、お前が逃げ出し、今必死に守ろうとしているゴッサムなどに守る価値はないと言うが、ノー!とウエインが叫んだ時、グールの幻影は消えていた。

医者から荒療治され、床に降り立ったウエインは、何とか立って歩けるようになっていた。

ゴッサムには雪が降り始めていた。

そんな中、セリーナはウエインの屋敷で彼が失った家族の写真など眺めていた。

一方、ブレイクは孤児院の神父を訪ね、子供たちをバスに乗せるように依頼するが、警官狩りが始まっているから気をつけろと注意される。

「奈落」の底では、ウエインが命綱を使い井戸の内壁を登り、外へ脱出しようとしていた。

しかし、途中まで登った所で、墜落してしてしまう。

やはり無理なんだと医者は言うが、でも子供は登った…とウエインは答える。

あの子はここで育った。お坊ちゃんとは違うと医者は呟く。

ゴッサムシティのゴードン本部長に会いに来たのは、ジョーンズ大尉と云う軍の特殊部隊の一員だった。

すでに、街が封鎖されてから3ヶ月が経過しており、3000人の警官は下水溝に閉じ込められているはずだった。

ジョーンズは、ゴードンに教えられた通り、下水溝の中に隠れていたウエイン産業のミランダ会長とフォックス社長に会い、中性子爆弾は燃料セルが不安定なので、起爆スイッチを押す押さないに関係なく、後2、3日で爆発する危険性があると教えられるが、この秘密の会合はベインらに気づかれていたらしく、隠れていた傭兵が撃って来る。

ベインも姿を現すと、見せしめのためにこいつらを吊るせと命じ、捕まえたジョーンズたちはヘリから吊り下げられる。

その様子を、「奈落」の底で、ウエインはモニター越しにじっと観るしかなかった。

必要なのは「魂」だ…と奈落の長老は教える。

ウエインは、又、壁をよじ登り始めるが、やはり途中で落ちてしまう。

お前は死を怖がっていない。それがお前の弱さだ…と長老は言う。

ゴッサムが焼かれる事は怖いとウエインが答えると、では登れ、命綱なしで…と長老は告げる。

「奈落」の住民たちが何か叫び始める。

何と言っている?とウエインが聞くと、ライズ(登れ)だと医者が教える。

ウエインは、今度は命綱なしで井戸の内壁を登り始める。

途中、壁の割れ目から突如コウモリが飛び出して来て脅かされたりするが、ウエインは、いつも飛び移れなかった突起部分にジャンプし、今度こそ掴んで成功する。

下から聞こえて来た歓声を背に、とうとう井戸の上まで登り切ったウエインは、荒野の中に歩き始める。

その頃ゴッサムシティでは、フィリップ・ストライバーが市民裁判に引きづり出されていた。

ストライバーはベントを呼んでくれ!俺は仲間だと何度も哀願するが聞き入れられず、裁判長は、追放か死刑かのどちらかを選べと言い渡す。

ストライバーは追放を選択するが、裁判所の前の氷の上を歩いて行けと云われる。

氷の下は川で、薄い所を踏んでしまうと、たちまち川に落ちて凍死してしまう。

ストライバーは、慎重に足下を確認しながら氷の上を歩き始めるが、すぐに氷が割れ、川に落下して行く。

ゴードン本部長は核爆弾が爆発するまで、後18時間しかないと焦っていた。

フォーリーの姿が見えない事に気づいたゴードンは、彼の自宅を訪れると、応対に出た妻の背後から姿を現したフォーリーに、起爆スイッチを市民などに渡すはずがない。持っているのはベインだ。この事件を解決できるのは我々だ!と説得するが、とても勝ち目はないと踏んでいたフォーリーは動こうとはしなかった。

がっかりしてフォーリーの家を後にしたゴードンの前に人手が足りないの?と言いながらミランダが近づいて来る。

一方、盗んだリンゴを大人たちから奪い返されていた子供を救ったセリーナは、盗むなら、今度からのろまな奴を選ぶのよと教える。

優しい泥棒じゃないかと言いながら、そんなセリーナの元に姿を現したのはウエインだった。

助けがいると言うウエインに見返りは?と聞いたセリーヌだったが、ウエインはこれがあるとメモリースティックを出してみせる。

これがあれば、過去の自分が変えられる…。フォックスに頼め。街を救う。爆発は明日だとウエインは言い放つ。

ゴードン本部長は、街を定期的に走り回っている3台のトラックのどれかに中性子爆弾が入っていると睨み、それぞれの動きを知るために、走り過ぎて行くトラックの背後に追尾装置をこっそり設置する。

しかし、その直後、ゴードンは、市民たちが作った自警団に捕まってしまう。

市民裁判にかけられたゴードンは、氷の上を歩きたがるものなどいるか?と皮肉を言い、死刑を選択するが、死刑の方法は追放だ!と裁判長に言い渡されてしまう。

ブレイクは、下水溝に閉じ込められていた警官たちにメモを渡す。

そんな中、ウエインは的に捕まるが、キャットウーマンが敵を倒してくれる。

フォックス社長は、中性子爆弾にEMP ( 電磁パルス ) 発生装置を近づければ、起爆装置の電波を妨害できるかもしれんと思いつく。

結局、氷の上を歩かされる羽目になったゴードン。

ブレイクは、マンホールから警官たちを救出しようとしていたが、又しても敵に感づかれており、いきなり現れた傭兵に捕まると、お前は誰だ?と言われ、下水溝の入口を塞いだ瓦礫の斜面を突き落とされてしまう。

そろそろと氷を渡っていたゴードンは足下にトーチが落ちているのに気づき、それを拾い上げると、前方から火をつけろと云う声が聞こえて来る。

その言葉に従いゴードンが点火すると、闇の奥から姿を現したのはバットマンだった。

点火しろとバットマンが言うので、ゴードンが足下の氷にトーチの火を近づけると、導火線に引火したように火は川の向こう側に走って行き、その火は鉄橋を駆け上ると鉄橋の上に巨大なバットマンのマークが燃え上がる。

それに気づいたベインは信じられないように驚くと、女を連れて来いと部下たちに命じる。

ミランダが市庁舎に連れて行かれたと言う。

下水溝の入口付近で迫って来た傭兵に襲撃されかけていたブレイクの前に現れたバットマンは、1人で戦うならマスクを付けろと言い、5つ数えたら投げろと手榴弾を手渡す。

ブレイクはその手榴弾を、下水溝の入口を塞いでいた瓦礫に投げるが、爆発の威力が弱過ぎたので、もっと強力なの持ってないの?と振り向いてバットマンに聞こうとするが、そこに現れた飛行メカ「バット」が突如発砲し、今の爆発で弱くなった瓦礫を一発で吹き飛ばしてしまう。

3ヶ月間中に閉じ込められていた警官隊が一斉に外に出て来る。

ブレイクもそこに合流し、一緒に市庁舎に向かいかけ、バットマンを振り返ると、ありがとうと礼を言う。

バットマンはまだ礼を言うには早いと答えるが、ブレイクは今しか言う機会がないと言い残して去って行く。

バットマンはキャットウーマンをバットポッドの隠し場所に案内する。

キャットウーマンは、そんなにお姫様を救出したい?と嫉妬まじりの皮肉を言いながらも、ポッドを受け取る。

爆発まで後45分

道に迷ったら逃げるわとキャットウーマンは茶化すが、君はそんな女じゃないとバットマンが否定すると、一緒に逃げて、もう市民を救う義務はないわ!とキャットウーマンは哀願し出す。

バットマンは、全てじゃないと答える。

雪が降りしきる中、3台のタンブラー(装甲車)が市庁舎前に集結する。

そこに近づいていたのは3000名の警官隊だった。

その中には、制服に身を包んだピーター・フォーリー副本部長やブレイクの姿もあった。

ベインはタンブラーに攻撃を命じる。

タンブラー状の機銃が警官隊の列に向いた時、飛行メカ「バット」が突如ビルの谷間に出現し、タンブラーに向け発砲し機銃を破壊する。

それを合図に、警官隊は一斉に走り出し、ベインのいる市庁舎に近づいて来る。

キャットウーマンも、バットポッドで、別の下水溝の入口を塞いだ車の瓦礫を吹き飛ばして通路を確保していた。

傭兵たちと警官隊との殴り合いが始まり、ベインもその闘争に加わる。

そのベインの前にバットマンが近づいて来て、2人は1対1の殴り合いを始める。

ゴッサムと心中するため戻ったのか?とベインが嘲笑すると、違う。お前を止めるためだとバットマンは答える。

ゴードン本部長は、ゴッサム市内を巡回していたトラックの1台の前方部分に、突如脇道から出て来た別のトラックを衝突させ、停止させると、急いで荷台の扉を開いて中を確認するが、もぬけの殻だった。

中性子爆弾は、他の2台のトラックのどちらが積んでいる事になる。

ブレイクは、孤児院の幼い子供と神父をバスに乗せていた。

そして、数名の年長の子供たちには、後数分で核爆発が起きるから逃げ出すんだと市民のみんなに伝えろと命じる。

バットマンは、ベインのマスクを殴って破壊したので、そこからの薬の投薬が途絶えたベインは苦しみ出す。

2人が市庁舎の中に入り込むと、バットマンはそこにいたミランダに鍵を投げ、誰も近づけるな!と頼む。

苦しむベインに詰め寄ったバットマンはスイッチはどこだ!起爆装置はどこだ?言えば、死ぬのを許してやると詰め寄る。

ベインは、叩きのめしたはずなのにどうやって出て来た?と問いかけて来るが、バットマンは、ラーズの子供はお前か?と追求を緩めなかった。

その時、その子供は彼じゃない、私よ。私が持っていると起爆スイッチを出してみせながらバットマンに近づいたミランダは、持っていたナイフでバットマンの脇腹を突き刺す。

奈落から逃げおうせた子供と云うのは私で、それを守ってくれたのがベインだったの。地上に出た私は父を捜し出し、復讐のため、もう一度監獄へ戻って来た。しかし、医者が満足な手当をしなかったため、ベインはひどい状態になっていた。

父は、そんな弟子のベインを観ているのが辛かったのか、「奈落」の地獄を追い出してしまった。

私は、そんな父を許せなかった…と、ナイフをバットマンに突き刺したまま、ミランダは話しを続けていた。

ゴードン本部長は、別のトラックの運転台に飛び乗って止めようとしていた。

そのために罪のない人々を殺そうと言うのか?とバットマンが問い返すと、罪がない人々なんかこの街にいる?とミランダが答える。

ゴードンは、ようやく見つけた中性子爆弾にEMP ( 電磁パルス ) 発生装置を付着させる事に成功する。

次の瞬間、ミランダは起爆スイッチを押すが、爆発は起きなかった。

君はゆっくり(復讐を)やり過ぎた…とバットマンがミランダに告げる。

ゴードンねとミランダも気づく。

その頃、ブレイクは唯一残っていた鉄橋に孤児院たちを乗せたバスを近づけていた。

ミランダは無線で、タンブラーを用意させてと仲間の傭兵に指示を出すと、ベインには(バットマンを)殺さないで!救えなかった1200万の命が燃えるのを見届けさせるのよと言い残して、玄関から外に出ると、タンブラーの1台に乗り出発する。

玄関前には多くの死者が倒れており、その中には、満足そうな表情で死んだピーター・フォーリー副本部長の遺体もあった。

ミランダが出て行った直後、ベインは、今すぐ殺す!と叫んでバットマンに襲いかかろうとするが、そんなベインは、ドアを突き破って突入して来たキャットウーマンのバットポッドの発砲で吹き飛ばされる。

キャットウーマンは、銃なし主義にはなれそうにもないみたい…と呟く。

ゴードンが乗っていた中性子爆弾を積んだトラックに接近して来たタンブラーから、ミランダが運転席に飛び移って来る。

「バット」でトラックに近づいていたバットマンは、東に誘導しろとフォックスに指示を出していた。

鉄橋に来たブレイクは、監視していた向こう岸の軍隊の1人に、自分は刑事だと名乗りなが手を挙げて近づいて行くが、軍人は、近づくと発砲すると制止し、さすがに警官は撃てないらしく足下を狙って撃ち始めるが、ブレイクが止まりそうもないと気づくと、橋の中央部を爆破してこちらに来させないようにしてしまう。

ブレイクは軍の愚かな命令が最後の希望を撃ち砕いたと嘆きながら、バスの子供たちの元へ戻る。

「バット」はタンブラーが発射した追尾ミサイルを引き連れ、ビルの谷間を飛び回っていた。

キャットウーマンは、タンブラーの1台を撃破、バットマンは、「バット」をミランダが乗って来たタンブラーの上すれすれに飛び過ぎ、追尾して来た敵のミサイルで最後のタンブラーを爆破する。

フォックスは、トラックを運転していたゴードンに、東に誘導するんだとバットマンから伝えられた指示を出す。

運転席に乗り込んだミランダはトラックを奪い返そうとするが、運転を誤り、ハイウェイ中央部に口を開いていた空間から地下道へと墜落してしてしまう。

荷台から降り立ったゴードンと、バットから降りて来たバットマン、バットポッドで駆けつけたキャットウーマンらが墜落したトラックの運転席に近づくと、死にかけていたミランダが、プログラムは上書きしたわ。ついでに緊急用のプログラムもねと呟く。

フォックスがいた地下の武器庫に大量の水が流れ込んで来たので、フォックスは必死に非常梯子にしがみつき、水流に押し流されないようにするのが精一杯だった。

この爆弾は誰にも止められない。父の仕事を私がやり遂げる…と最後の言葉を吐き出すと、ミランダは運転台で息絶える。

海に落とすとバットマンが言い出したので、逃げられたのに戻って来て…。2人ともバカねと言ったキャットウーマンはバットマンに抱きついてキスをする。

正体は気にしなかったと話しかけて来たゴードン本部長に、ヒーローの代わりはどこにでもいると言い残し、「バット」に乗り込む。

ブルース・ウエイン?そんなバットマンを見送りながら、ゴードンが呟く。

中性子爆弾をチェーンでトラックの荷台から引きずり出した「バット」はそのまま、鉄橋の上で立ち往生していたブレイクたちのバスの上を通過して行き、やがて遠くの海上で核爆発が起きる。

子供らと共に、ブレイクはわき上がるキノコ雲を観つめていた。

私には見える、平和が…誰かの声が聞こえたように思えた。

バスの外に立っていたブレイクは警官バッジを橋から川に投げ捨てる。

声は、ブルース・ウエインの墓の前で読まれていたゴードン本部長の弔文だった。

一緒に墓の前で佇んでいたアルフレッドは、お許しください。私は裏切った…。私のせいでお守りできなかった…と泣いていた。

弔文を読み終えたゴードンは、立ち去ろうとするブレイクに、考え直さないか?辞職を…と言葉をかけるが、ブレイクは街を救った男の名を誰も知らないなんて…と悔しそうに答える。

知ってるさ。バットマンだ!とゴードンは言う。

亡くなったウエインの屋敷は孤児院になる事に決まる。

警察署の私物預かり所にやって来たブレイクは、名前を告げて、預けていた自分の荷物を受け取って立ち去ろうとするが、係員の女性は、本名の方が良いですよ。ロビン…とその後ろ姿に声をかける。

アルフレッドはその後、いつものように、フィレンツェにバカンスに出かける。

ブレイクことロビンは1人、大きな滝の場所にやって来ると、その滝の中に入り込むと、飛び立つコウモリを発見する。

ゴードン本部長は、自分の車の後ろ窓に、バットマークのシールが貼られている事に気づく。

テーブルについてくつろいだアルフレッドが顔を上げると、目の前の別のテーブルで女性と談笑しているブルース・ウエインの姿が見えたが、いつも通り、互いに声はかけなかった。

滝壺の中の広い空間に出たロビンは、突如水中から競り上がって来た装置と共にバットケイブの中に登って行く。