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B・G物語 易入門

一種の原作物だが、小説のようにストーリーのある原作ではないので、あくまでもベストセラー本と占いブームをヒントにした風刺コメディ。

まずは冒頭部のサービスがなかなか興味深い。

原作者の黄小娥(女性)が映画撮影中のセットを訪れ、「易」や「占い」について、主演(?)の田宮二郎とちょっとした雑談をすると言う設定。

その後、セットに入った田宮が、そのまま本番に入る…と言う流れになっているのだが、共演者との絡みの確認や自分の立ち位置などを確認していると言う事は、まだリハーサル段階のはずなのだが、いきなり「本番!」がかかってタイトルに繋がるのがご愛嬌。

主演(?)の田宮二郎と書いたが、実際の主演は万里昌代らBG仲良し4人組であり、田宮の登場は後半だけ。

仲良し4人組のBG(今で言うOL)が、お遊びで始めた易占いにどんどんハマっていてしまい…と言うたあいない話なのだが、「易入門」は恐ろしいほど当たる…と言う風にも受け取れるので、本の宣伝にもなるし、出版社や原作者は悪い気持ちはしなかったはずだ。

万里昌代も、構成上、4人組の中ではあまり目立つようには描かれておらず、つまりこの映画の主演は、実質、あまりスター性がなかったと思われる残りの3女優だと言う事になる。

田宮二郎と万里昌代は、客を呼ぶための人寄せパンダ的な扱いのようにも取れる。

内容から考えると、どちらかと言うと女性向け、同時上映は、本郷功次郎主演「熱砂の月」と言う作品らしく、こちらも地味そうなので、どちらがメインで、どっちが添え物扱いだったかは微妙な所。

テレビ版の「月光仮面」の祝十郎役で有名だった大瀬康一が出ているが、大学出て3年目の新人と言うにしては、かなり貫禄十分に見えてしまう所などが面白い。

「あぶない刑事」の課長でお馴染みだった中条静夫は、ここでも課長を演じている。

万里昌代は、新東宝時代から男好みの派手な顔立ちの美人なのだが、女性客から観た印象はどうだったのだろう。

好かれるタイプだったのか?それとも…

劇中、オリオンズ(現:千葉ロッテマリーンズ)の山内などと言う個人名が出ているのは、映画の大映がプロ野球チームを持っていた時代の宣伝だろう。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1962年、大映、黄小娥原作、桜井康裕+笠原良三脚色、富本壮吉監督作品。

黄先生がお見えになったので、一緒にスナップお願いしますと、スタッフが田宮二郎に声をかける。

スタジオ内で映画の原作者である黄小娥先生と一緒にスナップ写真を撮った田宮二郎は、そのまま横に座り雑談を始める。

田宮は、自分は易とか信じられないし、この映画を観ている人も多くはそう思っているのではないでしょうか?と言う。

それを聞いた黄先生は、易経は6000年の歴史を持つ人間の知恵の集積ですから、データとしてそれを利用すれば良いだけです。誰でも出来るんです。

野球のバッターが打率を上げるために練習を重ねるように、易もトレーニングを重ねると当たる率が上がるだけなのですと語る。

僕の運勢はどうでしょうか?と聞いた田宮に、仕事運は良いですが、5人の女性に注意して下さいと黄先生は忠告する。

本番ですとのスタッフの声で立ち上がった田宮は、セットの立ち位置を確認すると、共演者の渋沢詩子から、書類をこう渡しますと言う動きの流れを聞いて了解する。

その直後、よ〜い、スタート!の声がかかる。

タイトル(東京駅の映像にウエディングマーチをアレンジしたようなテーマ曲が流れる)

昼休み、会社を出て近くの社員食堂へ向かう専務秘書のマッちゃんこと松原佳代(万里昌代)、タイピストのおトミこと丹野トミ子(宮川和子)、営業課の岩チンこと岩下宏子(加茂良子)ら3人のBG(ビジネスガール)たち。

テーブルに着いて食事を始めるが、彼女らがマッちゃんの隣に1つ席を取っておいた所に遅れて来て座ったのは、同じくBG仲間の西ちゃんこと西谷友江(渋沢詩子)だった。

西ちゃんは一昨日買って今夢中になっていると言う、黄小娥著「易入門」と言う本を取り出すと、6枚の10円玉を並べ、上の3枚と、下の3枚の裏表の組み合わせで運勢を見るのだと説明する。

自分でも占ってみたけど、やるたびに結果が違うので、マッちゃん、やってくれない?と頼むので、先に食事を終えていたマッちゃんは、言われる通りに10円玉を両手の中でガチャガチャと混ぜ、1枚ずつ立てに並べて行くと、その裏表の組み合わせを「易入門」の中から探し出す。

該当の組み合わせを見つけたマッちゃんは、健康に注意。食べ過ぎの観過ぎに注意などと言うので、西ちゃんは、明日のデートの事を占ってと頼む。

占って観ると出た結果は、あなたは三角関係どころか、五角、六画関係のような複雑な関係になりやすいと出たので、それを聞いた西ちゃんは、自分のカレーを目の前にいたおトミに食べてと言うと、「易入門」の本をその場に置き忘れたまま1人で先に帰ってしまう。

会社に戻って来た西ちゃんは、「営業用直通(私用に使うべからず)」と書かれた電話を使い、ボーイフレンドの吉田(山中雄二)を呼び出すと、明日1時、日比谷公園の噴水前で会わないかと誘うが、大学時代の友人に会う約束があるので、行かれたら行くと言う曖昧な返事だったので、続いて、代理店勤務の東(松本幹二)を呼び出し、同じように明日のデートを誘うが、こちらもゴルフの予定が入っているので…などと曖昧な返事。

そこに戻って来たおトミたちは、西ちゃんが社用電話を私用に使っているので、課長が戻って来て見つかったら怒られるわよと注意する。

しかし、西ちゃんは、その後も何人かのボーイフレンドに電話をしていため、1時になって戻って来た林課長(中条静夫)に見つかってしまう。

その直後、電話が鳴ったので、それを取った林課長は、君にだ…と西ちゃんを呼ぶ。

西ちゃんが電話に出ると、相手は小学校時代の馴染みの中村(三角八郎)で、話があるので会いたいが、明日の1時、日比谷の噴水前でどう?と一方的に伝えて切ってしまう。

その後、西ちゃんは、自分の仕事であるスクラップ作りを始める。

翌日、自宅の商店の手伝いをしていた西ちゃんは、1時間近になったので、眼が回るほど忙しかったにもかかわらず、兄に後を頼むと、売上の中から数枚お札を抜き取って、自分はさっさとタクシーに乗り日比谷公園へと向かう。

ところがものすごい渋滞に巻き込まれ、全くタクシーが動かなくなったので、脇道へ逸れてくれと西ちゃんは頼むが、運転手は個人タクシーなので事故は起こしたくない。急ぐんだったら歩いた方が早いよと言う。

その頃、日比谷公園の噴水前で人待ちをしていた2人の男がいた。

昨日西ちゃんから電話をもらった吉田と東だったが、互いに相手を知るはずもなく、吉田が東にタバコの火を借りたのをきっかけに何となく、互いに遅いですねなどと話していたが、そこへ駆けつけて来たのが西ちゃんだった。

そこで初めて、吉田と東は同じ相手を待っていた事に気づくが、西ちゃんは、2人が曖昧な返事をするからなどと人の精にして悪びれた風はない。

そこへもう1人近づいて来たのは中村だった。

3人もの男性がかち合ってしまったので、さすがにバツが悪くなった西ちゃんは、昨日、マッちゃんに占ってもらった結果が当たった事に気づく。

今日、結婚の話をしようと思って来たんだと言い出した中村は、西ちゃんをとあるレストランまで引っ張って行き、そこのテーブルに座っていた男性を、オリオンズの山内さんですと紹介する。

しかし、その男性はどう観ても毎日大映(大毎)オリオンズの山内和弘とは別人だったので、西ちゃんは困惑するが、「オリオンズ」と言う喫茶店を深川でやっている山内と言う事だった。

紹介し終わった中村はさっさと帰ってしまったので、初対面の山内と2人きりになった西ちゃんだったが、かなり訛がある山内は、前からバス停や梅の湯の前で西ちゃんを見かけ好きだったと告白し、自分は現在32歳で午年だが、係累はありませんなどと自己紹介を始める。

しかし西ちゃんは、これ以上ボーイフレンドが増えると整理が付かなくなりますから…と言うと、じゃあ、私には資格がないんですね…とがっかりした山内は、席を立って帰ってしまう。

その直後、ボーイがスープを運んで来たので、西ちゃんは、食事を注文しているんだったら頂くわと、ちゃっかり食べ始めるが、勘定はまだだと知ると愕然としてしまう。

ボーイが差し出して来たコース料理の値段は3500円だったからだ。

翌日、社員食堂でおトミや岩チンたちにその時の失敗談を話していた西ちゃんは、持ち合わせがなかったので、社員証を置いて来てお金を借りたわと打ち明けながらも、それにしてもマッちゃんの占いは当たるわ〜。と改めて感心し、「易入門」はそのままマッちゃんが持っててと頼む。

話を聞いていたおトミが、結婚問題占ってもらおうかな?と言い出し、マッちゃんは又十円玉をガシャガシャと両手の中でかき回し、1枚ずつ縦に並べて行く。

出てきた卦を占うと、何だか今より良い相手が出てきそうな時ですと書いてある。

食堂を出たおトミは、ちょうどやって来た恋人の村井(大瀬康一)と出会い、今度の日曜日、多摩の方へ出かけないか?と誘われる。

一緒に、食堂へ向かった村井を見送った仲間たちは、村井さんって、ちょっとシームレスじゃない?などと言い出したので、西ちゃんが何の事?と聞くと「一本線が通ってない」などと厳しいコメントを教える。

日曜日、デートで多摩の方に到着した村井は、自分は大学出て2年目なので、サラリーは23000円、トミちゃんは16000円なので、結婚して足せば何とか生活できる。

今は公団アパートを狙おうと思っているんだが、独身者は結婚相手の承諾書が必要だと言うので、君、ハンコ押してくれないかと承諾書を差し出して来る。

その時、運命に逆らって決心しても、決して良い結果は得られません…と占ってくれた、先日のマッちゃんの声が聞こえて来る。

その後、近くの住宅を見て回っていたおトミが、あんな家なんかどうかしらと一軒の家を指し示すと、村井は呆れたように、あれは重役、社長クラスだよと教える。

ではあれは?と別の家をおトミが指差すと、あれは部長クラスだよと言うので、家の前で子供がガンマン遊びをしていた家を指して、これは?と聞くと、これでも課長クラスさと村井が答えると、それが聞こえたらしいガンマンスタイルの子供が、うちのパパは社長だよと訂正する。

村井さんって夢がないわねとがっかりしたおトミは、建築中の家を覗きたいと言い出すが、村井は止めなよと嫌がる。

それでも好奇心に逆らえないおトミは、工事をしていたヘルメットをかぶった青年に、このお家っておいくらくらいなんですか?と聞くと、大体15、6万くらいらしいですよと言うので、だったら私たちにも買えそうじゃないと言いながら村井に近づくと、村井は恥ずかしそうに、15、6万と言うのは1坪の値段の事だよと教える。

帰り道、すっかり憂鬱そうになった村井は、僕は君の夢について行けそうにもないよと先を歩くおトミに力なく声をかける。

帰宅したおトミは、玄関先にいた弟から、千足のおばさんが来ているよと教えられ茶の間に行くと、おトミの想像通り、見合い写真を持って来たのだと言う。

母親は見合い写真を見せながら、すっかり気に入った様子。

先方のお父様な北海道の牧場主で、本人は東大卒で小林建設の技師をしている人なのだと叔母は言う。

話を聞いていたおトミは、結婚には気迷いの時です…と言うマッちゃんの占いの言葉を思い出す。

とりあえず、見合いをしてみる事にしたおトミだったが、相手の殿岡(竹村洋介)と言う青年は、あなたとはどこかで会ったことがありますねと言い出し、先日、建築中の住宅の所で値段を聞いて来た方でしょうと言う。

確かに殿岡は、あの時、おトミが値段を聞いたヘルメットをかぶった青年だった。

仲人たちから離れ、2人きりになった殿岡は、あの時、友達と一緒でしたね。僕にも付き合っている彼女がいるんですが、仲人を断りきれなくて…と言い出す。

いっその事、悩める4人が会って、ディスカッションしませんかと殿岡は提案する。

CMガールをやっている早川律子(岸正子)のいるスタジオ内の休憩所で出会った村井、殿岡、おトミたちは、色々意見を言い合うが、律子は、プロデューサーの岡田さんが私には才能があるって行ってくれているので、団地の共稼ぎなんて嫌だわと言う。

要するに、組み合わせの問題なんだね…と殿岡はため息をつくが、おトミには、結婚問題はまとまりにくいでしょうと言っていた、マッちゃんの占いの言葉を思い出していた。

翌日の昼休み、会社の屋上で落ち合ったおトミはこの話を打ち明け、当たったので、これからの占いをやってと頼む。

そこに割り込んで来て、どう当たる?と聞いて来たのは林課長であった。

課長も易なんかに興味があるんですか?とBGたちが聞くと、僕は実力主義だから、そう言うのは好かんなと言って去って行く。

ところが、昼休み終了直前、重役室に戻ったマッちゃんを林課長が応接室に連れてくると、重役は出かけか?と聞くので、3時までお出かけですと答えると、今度社内で人事異動があるのだが、僕はどう言う事になるのか一つ占ってもらえないかと言い出す。

マッちゃんは気軽に占ってやり、飛び立つ渡り鳥と言う意味の卦が出ていますと教えたので、林課長は、転勤は間違いないかなどと独り言を言い、この事は社内機密だから誰にも言っては行けないよと口止めして部屋を出るが、その直後、今度は岩チンが入って来て、学校時代の友達の彼女の今後の見通しを裏なて欲しいとマッちゃんに頼む。

彼女は、初恋が破れて以来男性不審になっているのだと言うので、早速占ってみると、彼女は仕事の実力はあるが、男女間の問題は今良くないと言う卦が出る。

実力があると言う所だけは当たっているわね…と岩チンが言うので、友達って、実はあなたの事でしょう?とマッちゃんは突っ込むが、岩チンは否定して帰りながらも、マッちゃん、たまには自分の事も占いなさいよと言い残して行く。

廊下で、岩下に声をかけて来たのは、岩チンのアパートの部屋の前の部屋に越して来たと言う小杉(杉田康)なる男性社員だった。

小杉は、岩下さんは株をやっておられますよね?と聞いて来て、自分は機械工部のセールスを担当しているが、大和精機の株が明日には上がりますよ。数日間だけですけどねと、お近づきの印として情報を漏らしてくれる。

軽はずみな行動は避けた方が良いでしょう…と今さっき、まちゃんが占いの中で言っていた言葉が岩チンの脳裏を横切るが、欲に目がくらんですぐに大和精機の株を少し買ってみる事にする。

ゆると、翌日、本当に株価が上がった事を朝刊で知った岩チンは、喜んで出勤しようと部屋を出るが、そこに前の部屋から出て来た小杉が声をかけて来て、やっぱり株が上がったでしょう?買うのだったら今買うべきですよと勧めてくれる。

小杉の情報に間違いがないと知った岩チンは、その日持ち株全部を大和精機にする事にする。

その日帰宅して来た岩チンが、メザシを焼いて貧しい夕食を食べようとしていると、ノックが聞こえ、出てみると、前の部屋の小杉で、友達から神戸牛を送って来たんですが、バター焼きでもして一緒に食べませんか?と誘って来る。

何株買ったんですか?等と探りを入れて来たので、警戒した岩チンは、もう夕食はすませたのでと断り、またメザシを焼こうとコンロを出すが、またノックがあり、1人では食べきれないので持ってきましたと、神戸牛を岩チンにプレゼントしてくれ、株が上がっているのも後2、3日ですから、売るなら気を付けた方が良いですよとアドバイスしてくれる。

数日後、営業部の岩チンに電話して来た小杉は、株が下がってますけど大丈夫ですか?と聞いて来たので、今朝全部売りましたので大丈夫ですと礼を言い、ちょっとお会いしたいと申し出る。

その後、小杉と喫茶店で会った岩チンは、株で儲けさせてもらった礼として2万円渡そうとするが、小杉は気を悪くしたようで、自分は株屋じゃないですと受け取らなかったので、ではお食事でもごちそうさせて下さいと岩チンが言うと、自分の家でウィスキーでも飲んだ方が良いですよと小杉は答える。

会社の帰り、酒屋に寄った岩チンは、洋酒を色々出してもらうが、高いのから安いのまで色々あり、男は大抵、酒瓶を観れば値段が分かると言うので、奮発して4000円のジョニー・ウォーカーを買う事にする。

それでも、2万渡すよりは安上がりになったと内心喜んでいたが、その時、結婚とか恋愛に、自分の方から積極的に動かないで、次の機会を待つ方が良いでしょうと言うマッちゃんの占いの声が頭をよぎる。

その日、小杉の部屋で一緒に酒を飲んだ岩チンはすっかり酔ってしまっていた。

小杉は、機械、電気関係の株なら自信があるので、又、良い情報があったらお知らせしますよと上機嫌で岩チンに酒を勧め、実は今まで黙っていたが、あなたは、僕を裏切った憎い女にそっくりなんですと意外な話をし出す。

6年前、結婚の約束をしながら、相手は課長の二号みたいな生活をしていたんですと小杉が告白すると、初恋に破れていた岩チンは、分かるわ…と同調する。

それに比べ、あなたは真心がある。それで、段々あなたに引きつけられて来たんです。宏子さんとなら幸せになりそうだ。僕と結婚しようなどとまで言い出し、2人はその場でキスをする。

その時突然、見知らぬ女が部屋に乱入して来て、うちの見せで飲んだ分と、株に使うからと貸した金、しめて100万円返してよ!と小杉に迫り、岩チンが観ている目の前でつかみ合いの喧嘩を始める。

たまらなくなった」岩チンは、這々の体で部屋を逃げ出すのが精一杯だったが、とかく男女間の問題は良いとは言えませんと言っていたマッちゃんの占いの言葉が過り、やっぱり当たっちゃたわ〜とため息をつくのだった。

やがて、社内の人事異動の発表があり、林課長は福岡の倉庫課長に左遷される事になったと、ロッカールームで西ちゃんが仲間に教えていた。

西ちゃんはさらに、今度来る営業課長は栗原産業の息子で独身らしいので、マッちゃんに占ってもらったら、新婚の喜びと言う卦が出たのよ。やっと私にも幸福が巡って来たわと嬉しそうに言う。

営業課に来ると、転勤する林課長と、新任の栗原信一郎課長(田宮二郎)が一緒にやって来て挨拶を始めるが、栗原課長があまりにもハンサムだったので、BGたちは全員うっとりしてしまう。

挨拶後、部屋を去って行く林課長は、岩チンに課長の机の整理を頼んで行く。

岩チンは、内心喜んで、机の整理をし始めるが、そんな彼女に栗原課長は、君はしっかりしているが、ちょっとがめついんだって?林課長から聞いたよなどと話しかけて来るが、顔色が悪いけど、あんまり無理をしないでねなどと優しい言葉もかけてくれたので、岩チンはすっかり参ってしまい、自分の机に戻って来ると、にやけながらメイクを始める。

西ちゃんは、栗原の気を惹こうと、自らお茶を入れて持って行くが、事務の女子社員がお茶汲みなどする必要はないんだ。これからは頼まない限り、持って来なくても良いんだよと栗原から優しく言い聞かされる。

少しがっかりして部屋に戻って来た西ちゃんは、おトミに計画書を持って来るようにと課長が呼んでいるわよと伝える。

おトミが早速、計画書のタイプを持って行くと、君はタイピストの丹野くんだね?会社に勤めて何年になるんだと栗原から聞かれたので3年になりますと答えると、3年も勤めていて1ページに3つもミスがあっちゃダメだよと注意されてしまう。

がっかりして課長室を出て来たおトミだったが、すぐに課長が呼び戻し、今のは言い過ぎだった。今チェックしたら、前の課長が書いた原稿の方がミスだらけで、タイプの方はむしろそれを修正してあった事が分かったと素直に謝って来たので、すっかり気を良くしただけではなく、栗原課長にめろめろになってしまう。

すぐに、マッちゃんに占いをしてもらうおトミだったが、希望目的は積極的に動く時だと教えられる。

そこに岩チンも来て、最近男性と知り合ったので自分も占って欲しいと言うので、マッちゃんが占うと、人を押しのけてでも、彼の愛情を得なければ行けませんとの卦が出る。

その日、夢中で「易入門」を読みふけっていた岩チンは、翌朝早めに出社すると、購入して来た座布団をそっと栗原課長のイスの上に置くと、着替えに化粧室に出かける。

すると、今度はおトミが出社して来て、課長室に入ると、自分が買って来た座布団をイスに置こうとするが、そこにはすでに誰かが置いたらしき真新しい座布団が置いてあったので、それを取って自分のを置いておく。

先に置いてあった座布団は、ロッカーの中に隠し、化粧室へ。

次に出社して来た西ちゃんも、真新しい座布団を買って来て、栗原課長のイスに置こうとするが、すでに新しいのが置いてあったので、それを取って、自分のと置き換えると、前の座布団は机の下に隠してしまう。

化粧室では、岩チンとおトミが、何やら楽しそうに会話を交わしていた。

やがて、栗原課長が出社して来て課長室に入って行ったので、おトミ、岩チン、西ちゃんは、その様子を横目で観ながら全員緊張していた。

しかし、栗原課長に呼ばれた西ちゃんがいそいそ出向くと、イスに置いてあった座布団を取り上げ、誰かが置いてくれたみたいだけど、僕はこういうのは好かんので、応接室に置いて来てくれと言われてしまう。

それでもおトミは、希望を失ってはいけません。西ちゃんは、早くまとめなければチャンスを失います。岩チンは、人を押しのけてでも、彼の愛情を得なければ行けません…と言うマッちゃんの占いの言葉をそれぞれ思い出し、次の作戦に取りかかる。

12時になり、社員たちは昼食を取りに部屋を出て行くが、何故か西ちゃんだけは居残り、栗原課長が部屋を出ようとすると近づいて行き、課長は野球はお好きですか?と尋ねる。大好きだよと栗原が答えると、土曜日の野球のチケットが手に入りましたので、よろしかったらどうぞと、こんなもの頂けないよと困惑する栗原に無理矢理押し付けて行く。

廊下に出た栗原に近づいて来た岩チンは、映画はお好きですか?と聞き、フランス映画なんか好きだよと栗原が答えると、土曜日のロードショーチケットが手に入りましたかどうぞと又もや一方的に押し付けて去る。

次いで、おトミが近づいて来て、シャンソンはお好きですか?と聞き、レコードを集めているくらいだと知ると、リサイタルの切符があるんですと言って、又もや一方的に渡して行く。

栗原は、今日はチケットに縁がある日だな〜…と立ち尽くしてしまう。

その日も帰宅時、同じ満員電車に揺られて帰るBGたちは、それぞれ占いの話などして互いに牽制し合うが、夜、西ちゃん、おトミ、岩チンの3人は、翌日の土曜日を夢見てそれぞれ眠りにつくのだった。

土曜日、朝出勤して来た3人は、化粧室でも何故か全員上機嫌だった。

営業課にやって来た西ちゃんと岩チンは、おトミが新しいドレスを着ているので驚くと同時に、社内でそんな派手なのはまずいんじゃないの?と心配し、西ちゃんが持っていた裁縫道具でスカートの裾をすぼめてやる。

その時、男性社員たちが、栗原課長から急に速達が届き、中に、野球やリサイタル、ロードショーのチケットが入っていたんだけど、あの人も案外気が利くななどと話し合っていたので、それを耳にしたおトミたちはがっかりする。

さらに、肝心の栗原課長は、風邪を引いたので本日は休むと電話があったと言うではないか。

その日の午後、花を持って栗原の自宅を訪れた西ちゃんは、応対に出て来たお手伝いさんに案内され応接室に案内される。

すると、そこにおトミが着物姿で座っているではないか!

抜け駆けされたと感じた西ちゃんは、おトミが持って来たらしい鉢植えを見つけると、病気見舞いに鉢植えのような長持ちする花はいけないのよ。病気も長引くって言うもんと教えてやる。

その時、玄関チャイムの音が聞こえ、お手伝いさんに案内された入って来たのは、果物籠を抱えてきた岩チンだったで、3人はがっかりし合う。

やがて、元気そうな栗原がやって来て、実は転勤以来忙しかったんで、今日は休んじゃったんだよと、仮病だった事を打ち明ける。

3人娘は途方に暮れるが、そこにお茶を持って入って来たのがマッちゃんだったので愕然とする。

栗原課長が言うには、松原君とは前から婚約しており、来月早々結婚式を挙げようと思っているのだと言うではないか!

笑顔で友人たちを迎えたマッちゃんは、遠からずみんな結婚することになるわと微笑み、また、占ってあげようか?と勧めるが、3人はすっかりバツが悪くなり、早々に帰って行く。

家の外に出た3人は、マッちゃんの占いがいけないのよと悔しがり、岩チンは、やっぱり自分の運命は自分で切り開かなければいけないのねと悟る。

西ちゃんが置きっぱなしにしている「易入門」に気づいたマッちゃんは、私たちの結婚占ってみましょうか?と言い、その場で占ってみると、結婚には良くありません。カミナリが2つ並んでいるので再婚には良いでしょうなどと言う不吉な卦が出てしまったので、2人は暗くなるが、次の瞬間、一天にわかにかき曇り、雨が降って来たかと思うと、雷鳴が轟く。

マッちゃんは、今の占いは、このカミナリの事を言ってたんだわ。もう一度占ってみましょうと言いやり直してみると、最高の卦が出たので、2人は感激して熱いキスを交わすのだった。

一方、西ちゃん、おトミ、岩チンの3人は、急に降り出した雨に濡れながら、這々の体で逃げ帰るのだった。