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戦国野郎

1963年度、東宝、岡本喜八監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

永禄4年、武田信玄の非人間振りに愛想をつかし脱走した抜忍、越知吉丹(加山雄三)は次々と18人の追っ手を殺し、地獄谷で雀の三郎佐(中丸忠雄)も返り討ちにした所で、銅子播磨(中谷一郎)と名乗る男に出会う。

さらに、道中で不思議な男に遭遇、「木下藤吉郎」に仕える気はないかと訪ねられるが、一国一城の主になる野望を持った吉丹は、そんな聞き覚えのない人物に仕える気などない…と答える。

3人は馬借の一行に遭遇、吉丹と播磨は一芝居を打ち、その仲間に入る。
有吉宗助(田崎潤)を頭とし、有吉党を名乗るその馬借一党には、侍崩れなど、うさん臭気な人物が寄り集まっていた。紅一点は、頭の娘、さぎり(星由里子)、じゃじゃ馬で剣の使い手でもある。
さぎりは、仲間に入れた吉丹をただの農民ではないと見抜き、「吉」「バッタ」と呼んで、徐々に心を許すようになっていく。

一方、先刻別れた謎の男は、実は木下藤吉郎(佐藤允)本人であり、ちゃっかり、宗助と面談、「種子島」3百丁を輸送してもらえないかと相談していた。

また一方で、藤吉郎は、海賊、村上水軍にも会いに行き、その頭、滝姫(水野久美)にも、同じ依頼をするのであった。

水軍船に現れた謎の一群、実は生きていた雀の三郎佐率いる武田忍群であった。
滝姫は、蜂須賀小六から受け取った「種子島」がオトリであった事を知り、催眠術を操る手下の百造と共に有吉党を襲おうとする…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

多才な登場人物、波乱万丈なストーリー展開、まさに、これぞ娯楽時代劇!…と唸りたくなるような痛快作になっている。

主役の加山は、強いながらも、どこかとぼけた人物という、時代劇版「若大将」のような役柄で、これまた「若大将」シリーズでお馴染みの、星由里子や江原達怡(さぎりに一方的に惚れている役)らと共に、演じている。

3百丁の「種子島」を輸送する馬借軍団、それを付け狙う、忍者や野伏、山賊の類い…。
時代劇の形を借りた「西部劇」である。

岡本作品では常連の天本英世、本作ではロビンフッドのような弓の使い手として馬借に加わっている。
砂塚秀夫、沢村いき雄、二瓶正典(正也)など、東宝映画お馴染みのメンバーも登場、話に膨らみを与えている。

しかし、何といっても、相変わらずのおとぼけ演技、藤吉郎役の佐藤允と、顔に傷を負いながらも、執拗に吉丹を付け狙う中丸忠雄の悪役振りが魅力。
じゃじゃ馬同士の星由里子と水野久美が相対峙するシーンなど、往年のファンにはたまらない設定であろう。

時代劇なんて退屈なだけ…と、思い込んでいるような人たちにこそ観てもらいたい、これぞ痛快時代劇の秀作!