1974年度、東映作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください！▼▼▼▼▼

福岡の刑務所内で、死刑執行直前であった沖縄出身の空手家、志堅原（石橋雅史）に教誨師の僧侶が面会する。
その僧侶が、空手の使い手である事に気付いた志堅原は、独居房の中で勝負を挑む。

しかし、あえなく僧侶に破れた志堅原は、絞首台の上に登った所で気を失う。
特例として、志堅原は救急車で外へ運び出されるが、途中、先ほどの僧侶とその相棒に襲撃され、そのまま救急車もろとも誘拐される。

謎の僧侶は、剣琢磨（千葉真一）、相棒はラクダ（山田吾一）という。
剣は牟田口（渡辺文雄）と組んで、色々汚い仕事をしていたが、その牟田口が中国マフィアと手を組んだ事を嫌いたもとを分かつ。

志堅原救出を依頼した弟と妹（千葉治郎、志穂美悦子）が金を払えないのに怒った剣は、自室で二人を叩きのめし、弟はマンションから落下、そのまま死亡してしまう。
妹の方は、香港マフィアらの手によって香港に売り渡されてしまう。
香港マフィアの手下になっていた志堅原は、そんな妹に偶然遭遇、剣を激しく憎む。

その頃、石油王の一人娘で日本に留学中だったサライ（中島ゆたか）は、父親死亡の報を受け、急遽、帰国する事になるが、剣は、そのボディガード役を、サライの面倒を見て来た空手道場を営む空手家に、勝負を挑んだ後、願い出る。

空手家は、剣の父親が、かつて中国でスパイ容疑をかけられ処刑された空手家の息子である事を見抜くのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ブルース・リ−の「燃えよドラゴン」（1973）ブームに便乗して作られた和製空手映画だが、似ても似つかぬ独特の日本映画になっているのが興味深い。

何よりも、主役の剣が、ブルース・リ−が演じていた素朴な好青年などではなく、汚い事を平気でやるヒール（悪役）風のキャラクターである事が面白い。

70年代特有の「怨み」「復讐」のテーマが、本作でも底辺に脈々と流れている。
まさしく、劇画的な世界と言えよう。

途中で、剣にやられるリーゼントスタイルのチンピラに川谷拓三、居合いの達人にテレビ番組「仮面の忍者　赤影」での甲賀幻妖斎こと、天津敏といった、珍しい顔ぶれを発見できる作品でもある。

関根勤がものまねでやっている千葉真一は、本作のキャラクター剣である…といえば、分かりやすいかも。

今観ると、ギャグすれすれのように感じる、オーバーな千葉ちゃんの腕業、顔面演技に注目したい。
「カ〜〜〜」（息を吐いている音）