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嵐の勇者たち

1969年、日活、舛田利雄監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

実業界に顔を利かせる老ボス、生駒(柳永二郎)と、パリ帰りのデザイナー、亜紀子(浜美枝)との婚約パーティの席、一瞬の停電の隙に、胸に高価な宝石を飾った亜紀子が誘拐される。

誘拐したのは、唐沢(渡哲也)、ヒデ(郷英治)、ヒロシ(和田浩治)、タロウ(藤竜也)のチンピラグループ。
しかし、胸の宝石は消え失せていた。

一方、その宝石を奪っていたのは、元刑事でありながら、やくざとの癒着が原因で退職していた島地(石原裕次郎)、神崎(二谷英明)、浜野(浜田光夫)、川辺(川地民夫)ら別グループだった。
しかし、その宝石も偽物であった事が分かる。

そんな事とは知らない生駒は、元刑事の島地らに、誘拐された亜紀子奪回を依頼する。島地らは、それを5千万で引き受ける事に。

油壷にある亜紀子所有のハウスボートに逃げ込んだ唐沢等は、そこにちゃっかり住み着いていた亜紀子の弟子のデザイナーの卵たち(吉永小百合、梶芽衣子、山本陽子)と遭遇、彼女等も人質にすると、生駒に亜紀子の身代金5千万を要求する。

唐沢は、冬子(吉永小百合)を同伴して、横浜で、生駒からまんまと身代金を奪うかに見えたが、横から現れた島地に冬子共々横取りされてしまう。

しかし、その後、油壷のハウスボートに冬子と金をもってやって来た島地は、唐沢と殴り合いの末、奇妙な連帯感を持つ仲間となる。

身代金の中身が、半額の2千5百万だった事に、プライドを傷付けられた亜紀子。
その亜紀子に惚れながらも、ボスの生駒のために、一人奪回に来る浅見(内田良平)。
貧しいばかりに、亜紀子から蔑まれている事に反発し、何とか金を手に入れようと考えるようになる3人の女たち。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

一匹狼の私立探偵役でとぼけた味を出している宍戸錠、イヤミのようなメイクをしたファンファン(岡田真澄)なども登場し、まさに日活オールスター映画である。

だが、豪華なメンバーの割りには物語自体メリハリに乏しく、大味というか、単調な仕上がりになっている。

ハウスボートの中で、いきなり和田浩治、藤竜也、郷英治、渡哲也が「反逆のメロディ」を唄い出すなど、ミュージカルまがいの演出もあり、なんとも珍妙な印象を受けたりもする。

「修羅雪姫」こと梶芽衣子が、すぐに失神してしまう気の弱い少女の役を演じていたり、二谷英明、宍戸錠、ファンファンらが皆、同じように口ひげをはやしているのに、藤竜也にはなかったり、裕次郎が宍戸錠に向かって「整形で鼻を付け替えろ!」などと、楽屋落ち風のセリフをいっているのが、今観ると笑える。

後半、ヨットで逃げる島地、唐沢らグループと、生駒が差し向けたヘリコプターによる、「西部警察」まがいのアクションシーンもあるにはあるが、最後は若い渡哲也と吉永小百合の甘酸っぱいラブストーリー風にまとめているのが、なんとも、不思議というか、時代を感じさせる。

本作では、内田良平が、一番の儲け役のように感じる。

すでに肥満が始まり、後年のボス顔に近付いている裕次郎以外は、驚く程、みんな若い!
吉永小百合の美しさを見るだけでも、一見の価値はあるかも知れない。