TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

おヤエの初恋先生

若水ヤエコのおヤエシリーズの1本で、上映時間56分の中編。

女中役が多かった若水ヤエコが体育教師をやると言う設定が珍しいが、沖縄出身の歌手沢村みつ子が生徒役を演じていると言う事もあり、途中から、音楽教師のような立場になっているのがちょっとちぐはぐな感じ。

前任者の浜田先生も又、体育教師なのに音楽もたしなむと言う設定も、いくら何でもご都合主義過ぎる気がする。

特に体育を使ったギャグがあるわけでもないので、最初から音楽教師と言う設定でも良かったのではないか?

体育教師と言うのは、基本ジャージ姿でいられるので、滑ったり転んだりと言うドタバタシーンに向いていると言うだけの設定理由だったのかもしれない。

撮影所が調布にある日活作品と言う事と、「三和田駅」「北関バス」などと言う名前が劇中に出ている所から推測するに、今の八王子辺りが舞台になっているのだろうか?

今観ると、ものすごくへんぴな田舎に見える。

それにしてもこの作品で驚かされるのは、台風の被害を受けたと言う壊れた橋の描写や荒れ果てた農地のシーン。

添え物としか思えないこの作品規模から考えても、セットで再現しているとは思えず、本当の被害地域の様子をそのままロケ地として使っているとしか思えないのだが、現実にはどう言う災害だったのか気になる所ではある。

浜田先生を演じている藤村有弘は、これまでのシリーズにも良く登場しており、藤村の方がおヤエに惚れると言う設定はあったが、今回はその逆のパターンになっている。

ただ、このヤエ子の恋心の方に関してはあまり明確に描かれていないので、「初恋」と言うタイトルの対象が藤村有弘である事に気づくまで時間がかかるし、失恋も実にあっけない幕切れになっており、今ひとつ胸に迫って来るものがない。

笑いに関してもペーソスに関しても、やや凡庸な仕上がりになっているように感じる。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1959年、日活、高橋二三脚本、春原政久監督作品。

走る列車の中に響き渡る鼾の声。

赤ん坊を席に置いて立ち上がった母親(山本都子)は、向かいの席で眠り惚けていたヤエ子(若水ヤエ子)を揺り起こすと、便所に行くので、ちょっと赤ん坊を観ていてくれと頼む。

目を覚ましたヤエ子は、ぼんやり赤ん坊を観ていたが、イスから落ちそうになったので慌てて起き上がると抱き上げるが、次の瞬間、大量のおしっこを引っ掛けられてしまう。

そこに便所から母親が帰って来て恐縮しながら赤ん坊を受け取るとおしめを替え始める。

スカートが濡れてしまったヤエ子はトイレに来て洗おうとするが、先客がいるので個室に入れない事に気づく。

仕方がないので、通路でスカートを脱ぐと、洗面所で洗って、窓の外にスカートを出し、風で乾かそうとするが、手元が滑り、スカートは、ちょうど後部の車両の窓際に座っていた男の顔に引っかかる。

それを観たヤエ子は助かったと一瞬安堵するが、濡れた布切れを顔から取ったその男は、スカートを投げ捨ててしまう。

取りあえず席に戻ったヤエ子だったが、社内放送で、岩原地区が台風の水害でやられ不通になったので、この列車は4〜5時間ここで停車する。松崎方面に行く方はバスがあるが、青葉橋方面には徒歩で行くしかないと言うではないか、スカートをなくしたヤエ子は、家紋の入った風呂敷を腰に巻き、列車を降りると青葉地区に向かって歩き始めるが、土地勘がないので、前を歩いていた男に青葉高校への道を聞くと、この川を渡って行くのが一番の近道だと教えてくれる。

その男こそ、さっきスカートを投げ捨てた男だったが、互いに気づかないまま、ヤエ子は、その男について行くことにする。

男の話では、この川には橋が架かっていたのだが、台風の被害で壊れてしまったのだと言う。

ヤエ子が、自分は体育教師なんですが、今日赴任して来たと打ち明けると、男は、あの高校は手強いですよと訳知り風に教えてくれる。

その橋の瓦礫のような場所を歩いて行った2人だったが、とうとう川の中に入らなければ先に進めない事になり、ヤエ子も男の後をついて川の浅瀬の部分に足を踏み込んで歩き始めるが、すぐに足を滑らせ、川の中を転がり始める。

その頃、県立青葉高校では、校庭に集まった全校生徒を前に、校長(深水吉衛)が、今回の台風被害で皆大変だろうとねぎらいながらも、先日退任された浜田先生に代わり、今日新しい体育の先生がお見えになるはずだが…と挨拶をしていた。

その時、ずぶぬれのジャージ姿になったヤエ子が校門を潜り、そこにいた小使いさんに群れた荷物を任せると、校庭での集会の場に駈け参じる。

校長は、何とか間に合ったヤエ子を、ヘルシンキの大会に置いて大いに気を吐かれた若水先生ですと紹介する。

ヤエ子は、校長の隣に立ち、自己紹介を始めようとするが、すっかり濡れたジャージを着ていたお陰で、くしゃみを連発するはめになる。

その後、便所から出て来た校長は、そこに立っていた小使いさんに声をかけると、それは乾いた服をなくしたのを気の毒がった小使いさんから借りた制服を着ていたヤエ子だった。

校長室に来たヤエ子は、3年B組を担当させて頂き、感激のいったり来たりですと礼を言うが、校長は、3年A組は進学組だが、B組の方は就職組なので適当にやってくれれば良いんだと説明する。

体育の授業が始まり、体育館に出向いたヤエ子は、そこで「蛍の光」を歌っている生徒たちを観て、「新任の先生に向かって、そんな歌を歌うなんて!」と叱りつける。

すると、女学生のみつ子(沢村みつ子)が、今の歌は、自分と明(荒井昭一)、三平(石崎克巳)、杉男(山本和男)、健太(多川譲二)の5人の家の農家が今回の台風で作物をやられたので、もうすぐ学校を辞めるので歌っていたのだと言い、又みんなで歌い始める。

止めなさいと制止しようとしたヤエ子の指示に耳を傾ける生徒はいなかった。

授業を終え、がっかりして戻って来たヤエ子に、5人組にやられたでしょうと音楽室の窓から話しかけて来たのは、音楽教師の松崎(弘松三郎)だった。

何でも、前任者の浜田先生は、あの5人組に手を焼かせられ、ノイローゼになったくらいだと言う。

校長室にやって来たヤエ子先生は、あの5人組にアルバイトを探して頂きたい。後半年で卒業なんですからと願い出るが、校長は、あの5人は3年B組の最低ベスト5だよ。ダイナマイトに手を出すな!と忠告する。

ただし、あなたの生徒思いの気持ちは汲み、勤務評価に付けておきましょうなどと校長が恩着せがましく言うのでヤエ子は呆れる。

そんな2人の会話を、校長室の窓下で盗み聞いていたみつ子ら5人組は、辞めるなと言いながら辞めさせたいんだねと呟くと、持って来た退学届を全員破り捨てると、窓から校長の頭上に振りまくと、デメキンマンボ!とメガネを駈けた校長のあだ名を連呼し始める。

校長とヤエ子は怒りながら外に出て来るが、そんな2人に石灰の白い粉を浴びせ、5人は逃げて行く。

前任者の浜田先生(藤村有弘)を訪ねたヤエ子先生は、それが、この前、列車から川沿いに案内してくれた男性だった事を知る。

先生がノイローゼでお辞めになったと言うのは本当でしょうか?と聞くと、そんな事はないと最初は否定していた浜田だったが、やがて、太田みち子…と5人の生徒の名前をヤエ子が言い始めると、急に心臓を押さえ苦しみ出すと、婆や(早川名実)に薬を持って来させる。

驚いたヤエ子は、マラリアかデング熱ですか?と聞くが、やっぱりノイローゼなんですかね?悪い事言いません。お辞めになった方が良いですと浜田は答える。

しかしヤエ子は、私は彼ら5人を無事卒業させてみせますと断言する。

その後の体育の授業、ランニングを生徒たちにさせていたヤエ子先生だが、5人組が全員脱落しその場に踞ったので、この程度で何事ですか?と叱りに戻るが、みつ子が言うには、自分たちは弁当を持って来て来なかったと打ち明ける。

どうやら朝からちゃんと食事もして来てないらしかった。

そんな5人の生徒に、アルバイトでペンキ塗りをやってもらいたいと校長が依頼する。

校舎内の天井や壁を塗るらしいのだが、手間賃は?とヤエ子先生が確認すると、そんなものはない。今まで彼らが滞納して来た月謝から差し引くだけだと言うではないか。

やる気をなくした5人は、ペンキを使って天井に落書きを描き、他の生徒たちに見せる。

生徒たちは面白がり、廊下で騒いでいると、何事かと校長が出て来て天井に書かれた出目金の絵を発見、すぐに消すように命じるが、言うことを聞かないので、脚立を登ろうとして足を滑らせ、そこに置いてあった白いペンキ缶と一緒に廊下に落ちてしまう。

騒ぎを聞きつけ駆けつけて来たヤエ子先生や音楽の松崎先生も、廊下にこぼれたペンキに足を取られ、全員白いペンキまみれになる。

校長は激怒し、どうしてくれるんです!と迫るし、ヤエ子先生もさすがに堪忍袋の緒が切れて、学校なんて辞めてしまいなさい!と5人を叱りつけるのだった。

その後、5人の退学届を取りまとめて校長室に持って来たヤエ子先生だったが、校長がそれぞれの紙を広げてみると、全部白紙のままだったので、ヤエ子先生は、もう勘弁なりません。1人1人の父兄に会って、退学届をまとめてきましょうと言う。

しかし、家庭訪問に出かけたヤエ子先生は、農家の水害被害が大変な惨状である事を目の当たりにする。

遠藤や堺の家にやって来たヤエ子先生は、彼らがまだ家の手伝いをしており、退学の事を家の人に知らせてない事を知る。

「草競馬」の歌を歌いながらトラクターが引くリヤカーに乗っていたみつ子も、自分は口減らしのため東京に言って歌手になると言う。

ヤエ子先生が、卒業してからでも…と説得するが、これ以上、父ちゃんに月謝をもらうのは申し訳ないと言う。

同じリヤカーにおばあちゃんが乗っていたので、ヤエ子は挨拶するが、おばあちゃんは全く関係ない事を答え、運転していた父親らしき男は、このばあさん、かなつ○ぼだから…と教える。

5人の生活苦を知ったヤエ子先生は、又、浜田先生の自宅を訪ね相談しようとするが、名前を聞いただけで浜田先生は又苦しみ出すので、毒を持って毒を制するの例え通り、毎日会うんです!とヤエ子は叱咤激励する。

5人とはまだ先生を外に呼び出したヤエ子先生は、あなたたちにはアルバイトが必要!と5人に伝え、あなたは土地の人だからアルバイトを捜す!と浜田先生に指示を出す。

浜田先生は仕方なく、知りあいの北関バスや農業組合などにアルバイトを頼みに行くが、組合の反対に会ったり、台風で予算を食ったのでなどと断られてしまう。

そんな中、ようやく、増永大造(森川信)と言う地元の興行主に雇ってもらえる事になり、一安心したヤエ子先生だったが、その後、アルバイト料がもらえないので、今月分の月謝も払えないと5人から聞かされ驚く。

そこに、やって来た増永は、「東京少女歌劇団」のショーが悪天候で客が入らず、大損をしたので生徒たちの手間賃は払えないが、それでは申し訳がないので、その楽団が置いて行った使い物にならないような中古の楽器を学校に寄付すると言う。

楽器をその場に置いた増永は、それを積んで来たリヤカーに自ら乗ると、子分らに引かせて帰って行く。

困ったヤエ子は校長に又相談に行くが、5人の滞納を見逃せば、全校生徒まで滞納してしまうと言う。

仕方がないので、ヤエ子は、自分の月給から5人の月謝分を差し引いて下さいと申し出る。

その後、ヤエ子は、再び浜田先生を呼び出すと、5人に楽器を教えて欲しいと頼むが、そのような事なら、多少心得があると言うだけの元体育教師の自分よりも松崎先生の方が適任では?と躊躇する。

側で聞いていた5人に、あんたらも黙ってないで、プーとかスーとか言ってごらんと勧めると、生徒が吹いたトランペットから大量の埃が噴き出し、ヤエ子先生は真っ白になってしまう。

その後、英語教師(三浜元)や数学教師(木崎順)は、体育館から聞こえて来るブラスバンドの演奏の音に授業を邪魔されるので、校長の所に抗議に来る。

校長は、体育館でヤエ子先生の指揮のもと、演奏をしていた5人に、二度と来んな雑音は禁止だ!と伝えに来るが、5人はめげずに、そのまま演奏を続ける。

浜田先生の家にやって来たヤエ子は、あの5人にはもう手が負えないわ…と弱音を吐くと、浜田と同じように、心臓を押さえ苦しみ出す。

それを見た浜田先生は、先生も私と同じノイローゼになりましたねと笑い、婆やに薬を飲ませる。

ヤエ子先生は、精も根も尽き果てました。所詮、女性は弱いもの…と弱音を吐く。

その後、青葉高校に視学(高野誠二郎)が教育委員(八代康二)らと車でやって来る。

玄関横で、その到着を音楽で迎えたヤエ子先生と5人のバンドだったが、視学たちは、今まで色んな学校を廻って来たが、ブラスバンドに出迎えられたのは初めてで、気持ち良いもんですなと感心する。

褒められたヤエ子先生は恐縮し、この程度なら、お茶漬けサラサラですと答えるが、その後も、生徒たちの月謝は納入できず、給料から差し引く行為が続く。

そんな中、松崎先生は校長にある計画を耳打ちする。

それを聞いた校長は、喜びますかね?と半信半疑だった。

その頃、ヤエ子先生は浜田先生の自宅を訪れ、今日こそ面目を保てた日はないと喜びを伝えながら、自分は浜田先生の事を真剣に想っているのだと打ち明ける。

その後、ヤエ子先生は増永から、自分の女房がやっているキャバレーに、東京からジャズバンドが来る予定だったが、それが来れなくなったので、5人のバンドに来てもらえないだろうかと相談される。

いくら何でも、そのような場に生徒を送り込む事はためらわれたが、話を聞いた浜田先生は、半年分の月謝を一晩で稼げると言うのなら…と返事をする。

しかしヤエ子先生は、とてもキャバレーでやるようなバンドじゃないですよと悩む。

「ミス セクシーとその楽団」と題されたキャバレーに出演したのは、マスクをしたヤエ子先生と生徒たちだった。

みつ子も、マスクをして得意のジャズを歌っているように見えた。

でもそれは、本当の歌や演奏ではなく、傍らでレコードをかけているだけだった。

やがて、半裸の「ミス セクシー」の踊りが客席で始まり、それを観たヤエ子は、あんなものやるなんてまるでペテンですよと躊躇するが、増永に説得され、仕方なく演奏をしている振りを始める。

ところが、増永がかけたレコードは浪花節だったので、お色気ショーも台無し。

慌てたヤエ子先生が別のレコードに変えるが、プレーヤーの調子が悪いのか、曲は途中で遅くなる。

その度に、ヤエ子先生は、指揮者の席からレコードプレーヤーの場所に戻り、クランクを回すしかなかった。

そこへ、この計画の発案者松崎先生が、校長や視学を引き連れて来店すると、ここは自分の親戚がやっている店なので、お好きにして下さいとけしかける。

何も知らない視学が、スケベ心を持って近づいたヤエ子先生のマスクを取ったので、その場で正体がばれてしまう。

生徒たちが演奏をしていた事もバレ、客たちは怒り出すし、校長らは大問題だと追求する。

職員会議では、この事件の責任問題を追及する臨時総会が行われ、PTA会長(雪丘恵介)は、純潔な生徒をあのようないかがわしい場所にやるとは…とヤエ子先生の退職を迫る。

しかし、当事者の話も聞くべきだの声があり、会議は大混乱の様相を見せ始める。

それを外から聞いていた5人は、この場を助けられるのは浜田先生しかないと気づき、先生の家に迎えに行くが、婆やが言うには、成岡の療養所に行っておりいつ帰って来るか分からないと言う。

仕方がないので、再び学校に取って返すと、ヤエ子先生の退任要求に賛成12、反対13の僅差で、取りあえず責任は問わない事となる。

しかしPTA会長は、まだ話が終わったわけではなく、かの5人の処分です。あのような不良分子は断固排除すべきですと新たな議題を提案する。

それを聞いていたヤエ子先生は立ち上がり、それだけは待って下さい。全て私が悪いのですと言い出したので、聞いていた5人は職員室に入って来る。

そんな5人に向かって、ヤエ子先生は、中途退学はいけませんと言い聞かせる。

生徒たちは、先生が辞めるなら私たちも…と言い出し、話を聞いていた出席者の中から、両方とも助けなさい!と言う意見が飛び出し、PTA同士で取っ組み合いの喧嘩が始まる。

その後、浜田先生の自宅に来たヤエ子先生は、自分が山の向うの第8分校に転勤する事になり、私の後任には、またはまだ先生にやって頂く事になりましたと報告する。

同情する浜田先生に、ヤエ子先生は、あんな山野向うに行くくらいなら、先生のお側で女中でもしていた方がマシです。私、女中は経験豊富ですから…と想いのたけを打ち明けるが、では聞いてみましょうと言い出した浜田先生は、トミ子と名前を呼ぶ。

すると、見知らぬ女性が部屋に入ってきて、浜田先生は女房のトミ子です。ノイローゼは、長い間、別居生活をしていたせいかもしれませんと言うではないか。

浜田先生へのほのかな恋心が夢に終わった事を悟ったヤエ子は、私はやっぱり山の中学へ行きますと決心する。

三和田駅行き松崎のバス停留所前には、みつ子らブラスバンドの5人が「蛍の光」を演奏してヤエ子先生の指揮の下、最後の演奏をしていた。

やがてバスが到着し、それに乗り込んだヤエ子先生は、みんな元気でね、結局、「蛍の光」は私のための音楽だったわね…と生徒たちに伝えてバスは出発する。

いつしか、ブラスバンドの演奏は「仰げば尊し」に変わっていた。

バスの窓からハンカチを降り続けていたヤエ子先生は、また体操の教師に復帰した浜田先生が連れて丘に登って来た青葉高校の3年B組の生徒たちも、自分のバスに手を振って見送ってくれているのに気づく。

浜田先生や生徒たちは「仰げば尊し」を歌い始める。

みつ子らのブラスバンドも丘の上に登って来る。

窓からその姿を観ていたヤエ子が号泣する中、バスは山の向こうに遠ざかって行くのであった。