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踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

人気シリーズの第4弾。

第3作「踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ! 」で登場し、どこかしら影を持つ謎めいたキャラクターだった鳥飼がメインとなって事件は進行して行く。

冒頭のお遊び設定から始まり、やがて、中国人研修生の王刑事がやってしまった発注ミスを隠そうと必死になる青島のユーモラスなドタバタ劇が、警察上層部の「隠蔽体質からの策略」と同時進行して行く皮肉な展開となっている。

犯人は、このシリーズに良くある複数犯設定になっているため、今回も、警察対犯人の一騎打ち的なサスペンスは希薄である。

事件そのものも、告発を主目的としているため、あえて複雑な設定にはしていない。

犯人はすぐに判明するし、逮捕、自白もあっという間だ。

子供の誘拐と言う部分が、唯一サスペンスを盛り上げる要素のはずなのに、何故か全くハラハラしない不思議な展開になっている。

時間経過がはっきり描かれていないからか?それとも、青島が1人で奮闘しているような演出になっているためだろうか?

それとも、子供の両親の心理描写などがあまり描かれていないためだろうか?

そもそも、なぜ、元交渉課の真下に犯人たちが憎悪を持つのかが良く分からなかったりする。

犯人たちが前の事件の関係者ながら、警察の機構の事など知らないずぶの素人だったので、直接的に交渉を打ち切った真下を恨んだ…と言うならともかく、みんな警察内部の人間であり、警察の上下関係は熟知している立場のはずなのに…である。

真下は打ち切りの指示を上から受けて従っただけの末端なのは分かっているはずなのだ。

良くある「若さ故の暴走」だったと言う事か?

特に中心人物以外の2人の心理が良く理解できなかったりする。

通常、この手の共犯関係の場合、1人が子供に同情し、計画の一角が崩れ始める…と言うのがパターンのような気がするのだが、今回はそれもない。

最後の共犯者との対決が、このようにイマイチ説得力不足のため、普通の逮捕劇ではすっきりしないので、ハリウッド映画まがいのスペクタクルを無理矢理挿入し、何となくごまかした…ように見えなくもない。

まあ、このシリーズは全体的に、特にしっかりしたミステリ仕立てで構築されているわけではないので、ご都合主義で終わっても別に構わないのだが、今回はあまりに強引過ぎて、事件解決後の爽快感は薄い。

1本の映画としては、まあまあ及第点と言った感じだが、もはや、ブーム絶頂期の「1」や「2」のような高揚感はない。

個人的な不満点を言わせてもらえば、「1」~「3」までに入っていた「有名な刑事映画のパロディ」が、今回は入っていないように見えた事(ひょっとしたら、私が気づかなかっただけかもしれないが…)

日本の刑事映画はまだまだたくさんあるはずだが、誰もが知っている有名な作品となると、もうネタ切れだったのかもしれない。

過去への惜別と新メンバー紹介を兼ねた「踊る3」

新メンバーの個性に焦点を当てた「LAST TV」

組織の暗部に一応おとしまえをつけた形の「THE FINAL」

和久さん亡き後のこの3作合わせて、「新踊る大捜査線」だったような気がする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2012年、フジテレビ、君塚良一脚本、本広克行監督作品。

東京スカイツリー

商店街の中を、ボクサーがトレーナーのミットを殴りながら走り過ぎて行く。

手羽先一丁!俊ちゃん!と、唐揚げやの女将、恩田すみれ(深津絵里)から声をかけられた主人、青島俊作(織田裕二)は、店の横で近所の喫茶店の主人の老人から、息子が帰って来ないと言う話を聞いてやっていた。

そこに出前から帰って来たのは、和久伸次郎(伊藤淳史)、最近、商店街の中で暴行魔が横行しているんだってとすみれに教える。

最近出来たばかりの唐揚げ屋にしては美味しいと評判で、近所から客が集まっていた。

その時、唐揚げ屋の前を、一人の青年が通りかかり、それが喫茶店の息子だと分かったので、すみれと和久は店を飛び出し、和久は青島にコートを投げる。

そのコートを受け取った青島は、白い料理服の上からコートを羽織ると、その息子、太田健二に声をかける。

しかし、太田は逃げ出し、青島たちは路地を追いかけるが、太田の前には、サンタなどに変装した刑事たちが立ちふさがり、あっけなく御用となる。

青島は、窃盗、傷害容疑で逮捕すると告げ、和久に手錠をかけさせるが、じいちゃんが太田の前に近づいて来たので、じいちゃんも一緒に連れて行ってやれと和久に命じる。

すみれが、この後どうする?と聞いて来たので、もちろん、全部売るまでやるさ。撤収お願いします!と、張込みをしていた捜査員たちに声をかける。

唐揚げ屋は、太田を張り込むための擬装用だったのだ。

売れ残った商品を売り始めた青島は、すみれ!と呼び、すみれも、あいよ、俊ちゃん!と笑顔で答える。

since 1997(の文字)

コートを羽織る青島の後ろ姿

タイトル

警察庁

管理官の鳥飼誠一(小栗旬)が池神静夫警察庁長官(津嘉山正種)に、無罪判決になった6年前の少女誘拐事件の凶器に使われた拳銃を証拠品として持って来たので、池神長官は、保管庫にしまっておくように命じる。

鳥飼が部屋を出て行くと、あいつは何を言ってるんだ?誘拐事件って何なんだ?と怪訝そうに呟く。

鳥飼は、保管庫のロッカーに、ビニール袋に入れた拳銃を入れる。

12月21日 湾岸署

すみれと青島が久々に強行犯係に帰って来ると、署内の人間が少ない事に気づく。

間もなく始まる「国際環境エネルギーサミット」の警備に駆り出されており、人手が足りないのだと分かる。

そんな所に、篠原夏美(内田有紀)が交通課の制服を着て現れ、これは署長の命令なのだと言う。

研修生の王明才(滝藤賢一)も、機動隊の防護服と盾を持ったまま強行班の机に戻って来るなり「暑いよ」と愚痴る。

そこに、魚住二郎刑事課長(佐戸井けん太)中西修盗犯係長(小林すすむ)を引き連れ入って来た真下正義署長(ユースケ・サンタマリア)は、人手が足りないので、署内の命令を一本化するため、自分が統括官を兼務すると宣言すると、青島には交通課に行って、その後会計課を手伝ってくれと命じる。

青島は、計算はどうも…と困惑するが、真下署長は全く無視。

すみれは、私は交通課に!憧れのミニスカポリス!と願い出るが、暴力犯係を真下に命じられてしまう。

すみれは、その後、一人の若者お取り調べ室に連れて来るが、その若者は、取調室から「助けて〜!」と叫びながら、逃げ出そうとする。

交通課の手伝いに駆り出された青島は、カエル急便のトラックの駐車禁止を取り締まっていたが、一緒に働くミニスカポリスについつい目が行ってしまう。

その様子をカメラに撮られ、がん観禁止!罰金5000円とベテラン婦警から注意された青島は、厳しくなったのね〜…と笑ってごまかす。

魚住課長に応接室に呼ばれたすみれは、見せてもらったよ、診断書。今でも後遺症があったのか?知らなかったよ。休暇と言う事にならないのかい?と相談されていた。

すみれが辞表を提出していたからだった。

すみれは、でももう身体が…、限界ですと言うので、青島くんたちには?と魚住課長が聞くと、誰にも言っていないと言う。

どうして誰にも言わないで辞めるの?と魚住課長が不思議がると、嫌いなんです、弱音を言うの…と答えたすみれは、予約した明日の夜行バスで九州の大分に帰ると言う。

その頃、会計課の手伝いに来ていた青島は、暴力犯係の請求額の多さに驚いていたが、自分が提出した請求書の「売上」とは何か?と聞かれたので、それは張り込み用の唐揚げ屋で商品を売った金額だと説明すると、捜査費用より売上の方が多い、つまり儲かったと言うことが分かり、青島さんって商才があると褒められる。

その時、青梅の科学館で男性が拉致されたと言う入電が入ったので、青島は飛び出して行く。

入口で合流した和久がコートを手渡す。

聞き込みの結果、拉致されたのは、40過ぎの黄色いコートを着てヒゲがある男性らしかった。

湾岸署の大会議室に、本庁の捜査班がやって来る。

交渉課課長の小池茂(小泉孝太郎)も同行していた。

その時、又入電があり、台場の海浜トンネル内で男性の射殺死体が発見されたと言う。

現場で射殺された男の遺体を観た青島は、同行した和久から、連れ去られた男の特徴に一致すると指摘される。

確かに、黄色いコートにヒゲのある男だった。

その近くにいたホームレスらしき老人(田口主将)が青島が湾岸署員だと気づくと、和久さんどうした?と声をかけて来る。

湾岸署内では、真下が魚住課長、中西係長を引き連れ、初の「戒名書き」に緊張していたが、そこに、指導員の神田総一朗(北村総一朗)秋山春海(斉藤暁)、そして副署長の袴田健吾(小野武彦)らスリーアミーゴズがやって来て、自分たちが戒名書きを教えてやると言って来る。

神田元署長は、自分の案を披露するが、言った後、自分で、長過ぎるねとダメ出しをする。

結局、真下署長が自分で戒名を完成させるが、それを観た婦警たちが、文字が最後の方どん詰まりになっていると批判をし、魚住課長も、そのあまりの字の下手さを真下署長に注意する。

王刑事が、会議室で捜査本部設置の準備をしていた青島に、注文した飲み物の請求書にサインを求める。

拉致事件の被害者が殺されたと分かったためか、捜査会議は1時間延期と言う事になる。

警察庁の円卓会議室に室井慎次官房審議官(柳葉敏郎)がやって来る。

殺された被害者の名前は須立弘治、環境問題の活動家だった。その情報を集めてくれと池神長官から命じられる。

凶器に使われた拳銃は、警察が押収した拳銃だった。保管庫に入れるのは警察官だけだと教えた池神長官は、さあ、臭いものに蓋をしようか…と呟く。

湾岸署の青島は、慌てた様子でやって来た和久から、王さんが注文した水やお茶が、ミスで全部ビールだ知らせる。

王刑事から、確認したろ?とサインした請求書を見せられた青島は困惑する。

値引き販売したものなので、返済は不可能だと販売店から言われたと和久から聞いた青島は、捜査本部の前に置かれたビール缶の梱包を観て、隠そうと焦っていたが、そこにやって来た真下署長が、それ何?と聞いて来る。

青島は、何でしょうね〜ととぼけながら、今日の管理官は誰ですか?と、会議室に向かう真下に聞き、注意を反らせる事に成功する。

湾岸署に、ヘリコプターでやって来たのは、鳥飼だった。

青島は、神棚用の日本酒を買っただけでも問題になったなどと言う夏美の話を聞くと、ビールの梱包を前に、隠す、何としても隠す!と宣言する。

その後、捜査会議に参加した青島たちだったが、拳銃の種類が分からないのはなぜだろう?と疑問を持つが、所轄なのでうかつに質問できない。

すると、緒方薫刑事が急に挙手をして立ち上がると、この人が何か質問があるそうですと、隣に座っていた王刑事を指差す。

所轄は黙ってろといつものように注意されるが、王刑事は研修生なので所轄じゃないと言い訳をし、仕方なく立ち上がった王刑事は、拳銃の種類は何だ?といきなり単刀直入に聞いてしまう。

ずっと、検察庁の円卓会議室と電話で繋いで指示を仰いでいた鳥飼は、報告ありませんとだけ答えると、今回の地鶏捜査は本庁だけで行うと発表したので、和久は、僕等、情報もらえないってことですか?と憤慨する。

その頃、1人、盗犯係の自分の机の整理をしていたすみれは、会議室から戻って来た青島に、あれ何?とビールの梱包を指して聞く。

青島は、その梱包に触ろうとするすみれに、危ないと止めると、これは化学兵器だと耳打ちし、隠し通すと伝えるが、そこに、弁当届いたよと言いながら近づいて来たのが、真下、魚住、中西の新スリーアミーゴズたち。

お茶は?と聞かれた青島は、ちょうど通りかかった婦警が持っていた静岡茶「平和」の茶筒を横取りすると、これで1人ずつ出すつもりですとごまかす。

しかし、真下は、青島の背後にある梱包を指して、これは何の山なの?と聞いて来る。

それでも、何とかその場は無事にすみ、真下たちは大会議室に弁当を運んで来るが、そこで観たのは、スリーアミーゴズたちが、勝手にケータリングサービスをしているではないか!

それを観た緒方は、余りますよ、弁当…と青島に囁く。

その言葉通り、弁当が余ったので、強行班や他の所轄連中は嬉しそうに弁当を食べ始める。

そんな中、すみれは夏美から借りていたDVDを返していた。

そこにやって来た真下署長は、みんなが勝手に弁当を食っているのを観ると、後でお金取るから…と言い渡すと、自分たちには何にも教えてくれないし、戒名も外された…、所轄ってこんなものなの?と捜査会議から無視された自分を哀れむ。

そして、又、あれは何?と梱包の事を聞いたので、席から立ち上がった青島は、頑張れ署長!と言いながら拍手する。

すると、他の署員たちも、青島の意図に気づき、同じように頑張れ署長!と言いながら拍手を始めたので、気持ちが良くなった真下は、みんな、ありがとう!頑張る!と言いながら去って行く。

そんな中、すみれの辛そうな様子に気づいた和久は、そっと廊下について行くと、大丈夫ですか?と尋ねる。

すみれは、この前、酒の席でうっかり言っちゃったけど、誰にも言わないでよ。青島くんのこと、ちゃんと観ててあげるのよ。頼むねと和久に託す。

警察庁内の円卓会議室では、今回の事件は拳銃の出所など隠す様子がないし、わざと見せつけているとしか思えないと気づいた池神長官が、関係ない者は部屋から退出させる。

その時、部屋の中に残っていた警察行政人事院の横山邦一情報技術執行官(大杉漣)は、隠蔽のプロだった。

池神長官は、湾岸署の捜査会議室にいた鳥飼に電話をし、久瀬智則警部(香取慎吾)がそちらにいるね?拳銃を持ち出したのは彼だと伝える。

そんな池神長官に、身替わり見つけましたか?と横山執行官が聞く。

強行犯係の部屋に鳥飼と共にやって来た公安部の2人は、石川テツなる重要参考人が浮かんだので、すぐに連れて来いと、写真を渡して命令する。

鳥飼は、皆さんがこの町を誰よりも良く知っていますからと慇懃無礼な口調で付け加える。

人でごった返すサミット会場へやって来た青島たち強行犯係だったが、青島はそこで警備員をやっていた旧知の男(浜田晃?)から声をかけられる。

栗山孝治刑事(川野直輝)は、すっかり、会場内で発見したしゃべるペットロボにご満悦の様子。

緒方刑事は、会場でプレゼントされているバナナをもらっていた。

バナナをもらった子供たちは、皆美味しそうに食べていた。

「スター・トレック」のユニフォームを来た係員(三上一朗)は、バナナの皮からエネルギーを作る装置を見物客たちに披露していた。

石川の写真を客に見せながら、知らないかと聞いていた夏美は、近くから、俺は石川テツだ!と凄んでいる男の声を聞く。

石川は、会場で喧嘩を売っていたのだが、その顔と持っていた写真をその場で付き合わせた夏美は、即刻逮捕してしまう。

湾岸署に連れて帰って来ると、待っていた鳥飼自らが取調室に連れて行く。

それを観ていたすみれが、又捕まったの?あの男、昨日恐喝未遂で私が捕まえて取り調べたのに…と言うので、青島は取調室をノックして鳥飼に会うと、その男、アリバイありです。昨日の犯行無理ですと教えるが、鳥飼はその報告を無視して、ドアを閉めてしまう。

その後、鳥飼は、身替わりを捕まえた、所轄の青島と言う刑事が事情聴取した。円卓会議室の池神長官に電話を入れた後、被疑者逮捕しましたと捜査会議で発表したので、青島が、その男にはアリバイが…と口を挟むが、あっさり終了を宣言されてしまう。

青島は不審に思い、室井に電話してみると、取り調べは君がやった事になっているぞと聞かされる。

驚いて、あの男にはアリバイがあると教え、何か知ってるんですか?と青島は聞くが、私に預けろと室井は答えるだけだった。

上が何か隠している…と考え込んでいた青島だったが、側に来た和久から、ビールがバレそうですと聞かされると、隠す?隠せ!と焦る。

梱包の所へ行ってみると、サンタの格好をした窃盗犯が、梱包の後ろでビールを盗み飲みしたらしく酔っぱらって倒れていた。

そこに、会議室から降りて来た真下が気づき、どうしてこんなにビールが?と聞いて来たので、もう隠しきれないと悟った青島は、押収品です。ある部署が隠していたのですが、バレると署長が責任を取らせられますよと脅すと、急に真顔になった真下署長は、隠して!と命じる。

石川テツを逮捕しましたと、警察庁の会議室に戻って来た鳥飼が室井に報告すると、悪い人間を逮捕する。その何が悪いんですか?と疑惑の目で見る室井に言い放つ。

その後、青島たちは、工事現場で発見された別の射殺死体を検分していた。

被害者の名は土門俊二と聞いた真下署長が、その男なら知っています。6年前の少女誘拐事件の犯人として2年前に逮捕された男ですと捜査会議室で発言すると、2週間前無罪判決が降り、保釈されていると知らされる。

その事件は久瀬警部の担当だったと知った横山執行官は、資料を下さいと、検察庁の円卓会議室内で言っていた。

安住武史警視監(大和田伸也)から電話を受けた鳥飼だったが、まだ分かりませんと答えるだけ。

その頃、青島は、さすがにすみれの態度の異変に気づき、和久を取調室に連れて行くと、すみれさん、何かあった?と聞く。

最近元気がないでしょう?前にすみれさん、撃たれた事があったでしょう?あの後遺症が残っているんです。僕じゃなくて青島さんこそ聞くべきです。いつも側にいたんですから…と答えた和久は、おじさんの手帳を取り出すと、大切なものから目をそらせているものには真実を見つけられない…と読み上げるが、気がつくと、青島の姿はもうなかった。

青島はすみれの側に近づくと、一服しない?と勧める。

屋上に登り、すみれは「インスタントワンタンめん」をテーブルに置いていた。

俺も以前刺された事があったよね?と言い出した青島は、俺たち、傷ばかり抱えているだろう?2週間も一緒にいたのにねと話しかけると、すみれも、あれ、面白かったねと同意し、あの時の夫婦ごっこを再現してみる。

青島は、「ワンタンめん」をすすり出したすみれに、すみれさん、辞めないよね?と言い残して去って行く。

部屋に戻った青島は、6年前の少女誘拐事件の事が気になっていた。

誘拐犯には共犯者がいた。

交渉課が犯人と接触していたが、途中で交渉は打ち切られ、指揮権は捜査一課に移った。

ローラをかけたけれど、結果的に、ひとみちゃんと言う誘拐された少女の射殺死体が発見された。

その時の交渉課にいた小池課長は、まだ捜査本部のイスに座っている…と緒方が指摘していた。

思い切って青島は、会議室にいた小池課長に直に話を聞きに行く。

その青島の動きを、鳥飼から連絡を受けた警察庁の円卓会議室では、所轄捜査官が気づき始めていると知り、横山執行官は、小池はうつで取り調べると言い出す。

その連絡を受けた鳥飼は、同じ会議室内にいた小池に対し、事情聴取すると伝える。

小池は、会議室のマイクに向かい、あなたたちが交渉を打ち切ったからだ!と叫ぶ。

控え室で鳥飼と向かい合った小池はあっさり犯行を自白する。

6年前の誘拐事件は、もう少しであのこを助けられたのに、バカな上司の命令でダメになってしまった。

その犯人が無罪はないでしょう。共犯者にも昨日罰を与えた。

小池が自供したと言う知らせを、鳥飼から受けた警察庁の円卓会議室では、共犯だと思われる久瀬の身柄の確保を公安部に命じる。

誘拐された少女の母親はシングルマザーだったのだが、久瀬が事件後も接触していたので、もう世話をするなと私が切ったのだと池神長官が言う。

しかし、その久瀬はすでに会議室にはおらず、どこか外で、真下署長が小池に宛てた年賀状の裏側に印刷してあった息子の写真を見つめていた。

湾岸署の大会議室に貼られていた資料類を眺めていた鳥飼は、いくつかの資料をむしり取ると、余計な情報は混乱させるだけですと破り捨ててしまう。

その様子を間近で目撃していたのは、お茶を持って来ていた1人の婦警だった。

すみれは、自分の警察手帳と拳銃を、魚住課長に返却していた。

みんな驚くよ、すみれくんいなくなって…と魚住課長が言葉をかけると、すぐに忘れます、又事件が起きれば…とすみれは返すが、そんな事ないよと魚住課長は否定する。

お世話になりましたと頭を下げるすみれに、何も世話してないよ。むしろ世話になったのはこっちだ…と呟く魚住課長。

その後、すみれは、自分の机で寝ている中西係長に気づくと、その横に、「メリークリスマス」と書いたメモを添えたカップラーメンの箱をそっと置いて去って行く。

警察庁の円卓では、池神長官が、後3ヶ月なんだ。何事もなく退官させてくれと頼んでいたが、横山執行官は、私はこの組織を守るためにやっていると答えただけだった。

鳥飼は警察庁の会議室の電話を入れ、誤認逮捕と自白の強要をしたかどで青島警部補に辞表を出させて下さい。さらに、その責任をとってもらうために、室井審議官を捜査本部長としてこの会議室に来てもらい、同じく辞職させてくれと伝える。

その提案を受け入れた池神長官は、室井に湾岸署に行け!君の最後の仕事だ!と命じる。

その後、池神長官は、室井と青島の事をマスコミにリークしてくれと安住警視監に耳打ちするが、その会話を、後ろで横山執行官がさりげなく聞いていた。

すみれが湾岸署を後にしようと玄関を出た時、やって来た室井に気づくが、黙ってその後ろ姿を見送るだけだった。

強行犯係に戻って来た青島は、すみれの姿が見えない事に気づく。

そこにやって来た鳥飼と公安課の2人は、石川テツは謝罪して釈放しましたと言いながら書類を見せ、辞職勧告です。あなたは自白の強要をしたと告げたので、青島はそんな事していない!と否定するが、書類にはそう書いてある。組織にいる人間は書類の中に生きているのです。上からの命令です。従って下さいと鳥飼は言い、公安課が警察手帳を受け取ると、あなたにはこれ以上捜査はさせないと鳥飼は付け加える。

その頃、真下署長の長男ゆうきは、友達と一緒に下校していたが、お父さんの部下ですと警察手帳を見せて近づいた久瀬が連れ去って行く。

室井審議官が湾岸署に来たので、何で俺が刑事辞めなくてはいけないんだ?と、立ちふさがった青島は問いかける。

すると室井も、私もだ…と答え、会議室へ向かう。

会議室には、久瀬の姿はなかった。

控え室でノートパソコンを広げていた鳥飼は、そっとそのパソコンを閉じる。

真下署長は、妻の雪乃(水野美紀)から、息子が久瀬と名乗った男に連れて行かれたとの電話を受ける。

その会話を、すぐ横のソファで聞いていた青島は、会議室に駆け込むと、室井に真下の息子が誘拐された事を知らせ、あんたを信じる。あんたも俺を信じてくれ!と頼む。

鳥飼が、あなたは警察手帳持ってないでしょうと口を挟むと、これは俺たちの事件だ!と青島は言い放つ。

室井審議官は、すぐさま、真下の息子が誘拐された。被疑者は久瀬智則警部だ。本庁は所轄と組んで捜査をするようにと指示を出すと、6年前の誘拐事件の資料を取り寄せる。

すみれは、九州へ向かう夜行バスの乗り場に来ていた。

湾岸署員は総出で、検問を行っていた。

会議室では、所轄が遠慮しながら意見を言うが、室井審議官は自己判断でやって下さい。責任は私が取りますと明言する。

室井は、机の上に置かれた青島の警察手帳を観ながら、青島に電話を入れると、6年前の事件の情報を教える。

青島は、俺も被疑者になってやってみますと返事をすると、仲間の警察自転車を持ち出し、それに乗って、久瀬の逃走経路を追ってみる。

すみれは、博多経由大分行きバスに乗り込む。

チャリで、銀座方面に向かっていた青島は、渋滞がすごいのを観て、銀座方面には行けませんと室井に連絡する。

その室井の側にやって来た真下署長は、6年前の誘拐事件の時、交渉を打ち切ったのは僕ですと告白する。

当時部下だった小池は反発したが、上からの指示なんだと小池くんに言いましたと室井に言う。

海側だ!と、青島の報告から判断した室井は全署員に指示を出す。

その時、廊下にいた鳥飼に近づいて来た1人の婦警が、自分は6年前、誘拐事件が起こった北品川署にいましたと話しかけているのを夏美が目撃する。

すみれは、バスの中のテレビニュースで、青島が誤認逮捕した容疑者に自白を強要した。その指示は官房審議官が出したらしいと報じているのを観て驚き、携帯を開くと、和久からの伝言が入っている事に気づく。

再生してみると、真下さんの息子が誘拐され、青島さんは警察手帳を取り上げられて大変なんです。すみれさん、どこにいるんですか?といら立った声だった。

真下署長は室井に、今回の事件は6年前の誘拐事件と同じですと報告し、それを聞いた室井は、事件を再現していると言うのか!?と驚く。

僕への見せしめとしてやっているんですと真下署長は呟く。

6年前、誘拐犯は子供を大型玩具店に連れて行きましたと言う真下の話を電話越しに聞いた青島だったが、この辺に玩具店なんてありませんと困惑する。

その時、青島は、サミット会場になっていた科学館を思い出し、あそこだ!と叫ぶ。

会場はもう深夜だったのでしまっていたが、たまたま見回りに来た知りあいの警備員が気づいてくれたので、ドアをこじ開けてもらい、中に入る事が出来た。

被疑者と子供はここにいた!と青島は報告するが、それを聞いた室井は、そっからどこに向かう?お前が誘拐犯だと問いつめて来る。

周囲を見回していた青島は、「ましたゆうき」と書かれた道具入れが落ちているのを発見する。

渡島は自分の直感を信じ、「立ち入り禁止」の標識を抜けさらに奥へと向かうと、ホールの裏に倉庫がありますと室井に連絡する。

真下は、前の事件のときも倉庫に隠れていた。東京タワーが見える部屋だったと指摘する。

その会話を無線で聞いていた和久は、検問途中だったにも関わらず、ミニパトに乗り込んで青島のいる倉庫街へと向かう。

室井は青島に、どの倉庫か分かるか?と問いかけるが、青島には答えられなかった。

6年前、少女が射殺されたのは、午前2時だった事が分かる。

それの再現をしているとなると、残り時間はわずかしか残されていなかった。

室井の所に、夏美が、先ほど鳥飼に話しかけていた婦警ののぞみ(小橋めぐみ)を連れて来る。

のぞみは、6年前の事件の時、鳥飼さんが担当でもないのに現場に来ていたと証言する。

まさか、鳥飼が!?と驚いた室井は、6年前の捜査員はいるか?と会議室に呼びかけるが、誰もいない事が判明する。

どう言う事だ?と室井は考え込む。

その鳥飼は、犯行時刻になったら殺しますと言う久瀬からのメールを受け取っていた。

倉庫街を走っていた青島は大きく躓いて転んでしまう。

青島!どこの倉庫だ?と室井からの声が入る、

俺が犯人なら…と、立ち上がりかけた青島は、古傷が痛むのか腰を押さえる。

周囲を見回していた青島の目に、東京スカイツリーが見える。

バナナだ!バナナだ!室井さん!と青島は叫ぶ。

それを聞いた室井も全捜査員に向け、バナナだ!と叫ぶ。

青島の元に、ミニパトに乗った和久が駆けつけて来たので、青島は慌てて赤灯を消させる。

子供はバナナが好きなんだ!と説明した青島は、バナナの大きな絵が描かれた倉庫の中に入って行く。

その時、真下の息子ゆうきが、持っていた警報ブザーを鳴らし、近づいて来た久瀬に投げつけると、倉庫内を逃げ回るが、久瀬は、警報を踏みつぶす。

その直後、倉庫内を捜査していた和久が、踏まれた警報を発見する。

ゆうきは、青島の姿を確認すると、助けて!と叫んで近づく。

室井は、子供の安全優先だ!と現場に指示を出す。

子供を背後に隠した青島は、子供は関係ないだろ?あんたも、6年前の誘拐犯と一緒だ!と久瀬に訴えるが、その直後、久瀬はためらわずに銃を発射し、避けた青島だったが、左頬に傷を負ってしまう。

その時、壁の一部が崩れたかと思うと、バスが飛び込んで来る。

それに久瀬がひるんだ瞬間、青島は久瀬に飛びかかり、和久に手錠!と叫ぶ。

被疑者逮捕!子供は無事です。

その報告を捜査本部の会議室で聞いた真下署長は、室井に頭を下げる。

バスは、倉庫の反対側の壁を突き破り、斜め走行をしながら横転してしまう。

運転席から出て来たのはすみれだった。

外に出て、すみれの側に近づいた青島は、倒れかけたすみれを抱きとめると、すみれさん、辞めないよね?と問いかけながらぐっと抱きしめ、辞めないでくれ!と頼む。

倉庫の壊れた壁からその様子を見に来た和久は、すみれさん?確かに場所は教えたけど、まさかバスで来なくても…と呆れる。

そこへ、大量のパトカーが接近して来る。

ノートパソコンから「告発状」と書かれたテキストを、マスコミに向け送信する鳥飼。

6年前の事件の関係者を今回の捜査から外したのは鳥飼だった。

被害者の母親は、鳥飼の姉だったのだ。

そう自ら告白した鳥飼は、この国のシステムは何も機能していない。政治も警察も…。もう待てませんよ、誰かがが行動を起こさないと…。室井さん、まだこんな組織にいるつもりなんですか?と室井に問いかける。

夜が明け、湾岸署に青島が息子を連れて来ると、待っていた真下はゆうきを抱きしめ、青島先輩!ありがとうございました!と礼を言う。

その場から、母の雪乃に電話を入れ、ゆうきに電話口に出させると、ゆうきはボルシチなどと訳の分からない事を言い出したので、作って待ってるわ。作った事ないけど…と雪乃は喜ぶ。

その様子を、連行される小池警部がじっと見つめていた。

逮捕して下さいと、小池の事を横山執行官が命じ、数日で事は鎮まります。これは不祥事ではない!悲劇ですと断定する。

同じく連行されて行く鳥飼を観た青島は、正義なんて、胸に秘めているくらいで良かったのに…と呟く。

警察庁の円卓会議室では、横山執行官が、鳥飼は我々と刺し違えるつもりだったんでしょう…と呟く。

そして、池神長官と安住警視監に一通の封書を差し出しながら、お2人の辞職勧告です。辞表を!と告げ、部屋を後にする。

その直後から、鳥飼からの送信を受け取ったマスコミ各社が、青島と室井の無実と、その影に警察上層部の隠蔽工作があった事をすっぱ抜く。

室井は、会議室に貼られていた無数の資料の中から、6年前の事件現場に佇む鳥飼の姿を捉えた写真を見つけていた。

(回想)当時交渉課の一員として、誘拐事件に参加していた真下正義は、犯罪規定第42条により交渉を打ち切ると宣言していた。

その言葉を聞いた、当時、品川署にいた鳥飼、小池、久瀬の3人は、無念の表情で真下を見つめていた。

(現在)捜査本部が解散し、次々に本庁に帰って行く捜査一課の捜査員たちに、階段下では、婦警や夏美たちが、3本ですよね、2本で十分ですなどと言いながらビールを手渡していた。

左頬の傷に絆創膏を自分で貼った青島は、会議室から降りて来た室井の前に立つと、久しぶりに室井さんの命令にしびれましたとお世辞を言う。

室井は、大事なもんだ。持ってろと言いながら、警察手帳を青島の胸ポケットの中に入れてやりながら、「おずまげな」と言う。

青島は思わず敬礼し、室井も敬礼で答える。

それを周りで観ていた署員たちは一斉に拍手を始める。

あいつの背中を観てろ。組織の中に生きる人間こそ、信念が必要だと…な〜んてなと室井は言い残し帰って行く。

その後、警察組織の改善に向け、第三者も交え懇談会が開かれる。

その話を聞くのは、室井、新城賢太郎警視監(筧利夫)、沖田仁美特命係(真矢みき)の3人だった。

その会場に、青島も来ており隅で聞いていた。

やや興奮気味になって来た参加者に対し、沖田特命係は立ち上がると、警察として真摯に受け止めますと低姿勢に答える。

その時室井が青島に向かい、君はどう思う?と問いかける。

いきなり指名された青島は戸惑いながら、お任せします。規律や規則に関する事はお任せします。正しいって難しいです。でも警察官になるものはみんな、警察官になる時に、正しい事をしたいって思ってます。俺も町の人を守りたい…と言いながら、急に、あ、現場に行かなくちゃ!みんな、待ってるんで…と言い残して立ち去って行く。

それを見送る室井の口元は緩んでいた。

現場に到着した青島は、警察なめるなよ!と声を上げながら、走って行くのだった。


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