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緑はるかに

浅丘ルリ子、14〜15才の時のデビュー作で、水の江滝子プロデューサー第二弾の作品らしい。

フィルムセンターに所蔵されている作品だったので、コニカカラーがいまだに鮮やかに残っており、今でも美しい色彩を楽しむ事が出来る。

ヒーローや怪物のようなものは登場しないが、絵合成やミニチュアなどを随所に使った特撮ファンタジー作品になっているとも言える。

ただし、お話の方は、新聞連載の小説が原作のファンタジー+冒険譚と言う事だが、さすがに今観ると「子供騙し」風に見えてしまう。

一番解せないのは、この世にない方が良いと判断した自らの研究を、わざわざオルゴールの中に入れ、娘に持って逃げさせると言う危険で愚かな行為をする木村博士。

それを必死に追い求めたルリ子ちゃんの目の前で、博士自ら書類を焼いてしまうと言う行為は、娘の気持ちを逆なでするだけだと思うのだが…

通常、この手の争奪戦で敵が破れ、秘密が守り抜かれた場合、ラストでその研究が実現し、みんなで「平和利用」などを誓って喜びあう…と言うのがパターンではないかと思うだけに、正に意表を突かれる展開と言うしかない。

死んだと思われた両親が、あっさり最後に生きていた展開になっているのも、子供向けとは言え、いくら何でも説明不足だろう。

田沢たちスパイ団が、途中からサーカスに参加しているのも、さっぱりいきさつが分からないまま。

子供を呼び寄せるために、あんな大掛かりな事を始めたと言う事なのか?

全体的な印象は、「ノンちゃん雲にのる」+「緑の小筐」+「少年探偵団」とでも言ったイメージ。

「少年探偵団」の怪人20面相の基地風の設定や「ノンちゃん雲にのる」の雲の上の夢の世界などと言う辺りは当時の流行りだったのかもしれないが、「緑の小筐」(1947)との類似性は気になる。

冒険活劇としてはたあいないのだが、吊り天井のように、上から降りて来るエレベーターに押しつぶされかけたり、吊り橋がまっぷたつに切れ、乗っていた人間たちが、両方の崖に叩き付けられると言う辺りの設定は、後年の「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を思い出させたりする。

おそらく昔の「連続冒険活劇」での良くあるパターンだったのだろう。

ルリ子ちゃんは、基本、堅いと言うか寂し気な表情をしており、それはこの話の設定上、監督からそう指示を受けていたのだろうが、カメラが少し引いた場面で、悪人たちと絡むような部分になると、楽しいのか、思わず笑顔になっているように見える辺りが愛らしい。

地上のドラマ部分は子供たち中心で進行するためか、大人は、市村俊幸、内海突破、有島一郎、フランキー堺などのコメディ畑の人が登場しているが、雲の上のシーンでは、セリフはないながら、金髪のおかっぱ髪スタイルのファンファン(岡田眞澄)や、バレエを踊る北原三枝と言った珍しい姿を観る事が出来る。

浅丘ルリ子と言うと、後年の厚化粧のイメージが強いのだが、さすがにこの時期は丸顔の子供なので、メイクはナチュラルな感じで好ましい。(雲の上のシーンでは、男の子たちにも、頬紅など、明らかにメイクが施してあるのが時代を感じさせる)

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1955年、日活、北条誠原作、京中太郎脚本、井上梅次監督作品。

※文中に、今では差別用語と言われる言葉が出てきますが、あくまでも人の名前であり、固有名詞なので、そのまま文中でも使わせて頂きます。ご了承ください。

白い木彫りの地に中央のNマークが赤く塗られたの日活会社ロゴ

カラフルな汽車のイラストを背景にタイトル

夕焼け小焼け〜♬

全てのものが我家へ帰る夕暮れ時

はるかな空を見つめるルリ子ちゃん(浅丘ルリ子)

お家のベランダで哀し気に空を見つめるルリ子ちゃんは、どうしてお父様からお便りがないのかしら?と哀しんでいた。

ルリ子ちゃんは、お父様からもらった緑色のオルゴールを出してみる。

その大好きなオルゴールの音を聞いていると、夢は大空に飛ぶのです。

いらっしゃい、ルリ子ちゃん!

ルリ子は、緑のオルゴールと共に、雲を渡って、白い螺旋階段があるお空の世界へやって来ました。

そこには、白い兎や鹿などの格好をした子供たちが大勢待ち構えており、やって来たルリ子ちゃんを歓迎します。

ルリ子ちゃんは、寂しいルリ子です〜、一緒に遊んで下さいな〜♬と動物たちと一緒に歌でご挨拶をします。

動物たちは、科学者のお父さんが北海道へ行って1年も経つのに頼りないんだとさと互いに教えあう。

可愛いルリ子ちゃん♬、寂しいルリ子ちゃん〜♬と動物たちはルリ子ちゃんを慰めるように一緒に歌い踊ります。

宮殿には、月の王子様(岡田眞澄)と月の女王様(遠山幸子)が立っておられます。

やがて、大勢の大人のダンサーたちが踊り始め、ルリ子ちゃんは、王子様と女王様に挟まれるように、中央に立ってそれらを眺めます。

ルリ子ちゃんのお父さ〜ん、早く帰って来て〜!と全員で呼びかけます。

ベランダにいたルリ子ちゃんの元にやって来たのは、お母様(藤代鮎子)で、何故かとても慌てたご様子で、お父様がご病気になったそうよ。今知らせの方がいらしたのと言うと、ルリ子ちゃんを下に連れて行きます。

そこにいたのは、田沢(植村謙二郎)と言う男、ルリ子ちゃんがお母様とお出かけの準備をするため引きさはると、花瓶に入れてあった黄色い花を、不気味に笑いながら引きちぎります。

お母様と田沢と言う人と一緒に車に乗ったルリ子ちゃんが、お父様の病状を心配すると、田沢はにこやかに、ちょっとした風邪ですよと笑顔で答える。

ところが、走っている途中で、駅とは別の方向へ向かっている事に気づいたルリ子ちゃんとお母様は驚きますが、急に表情が変わった田沢は拳銃を突き出し、お母様とルリ子ちゃんを脅すと、運転していた大入道(市村俊幸)に急がせます。

気がつけば、車は奥多摩の方へ向かっていました。

深い谷間に細い吊り橋が架かっており、車はそこの手前で停まると、崖の一部が開いて、車はその中に入って行きます。

大入道が崖の一部のスイッチを押すと、崖の扉は閉まってしまいました。

車を降ろされたルリ子ちゃんとお母様は、田沢とその子分の大入道、ビッコ(内海突破)と一緒に細い吊り橋を渡らせられます。

そして洞窟の中に入ると、そこにはエレベーターがあり、そこに乗った5人は、山の中を登って、妖し気な研究室のような所へ到着しました。

丸天井はガラス張りで、天文台のように空が見えます。

田沢は、博士のために作った部屋だが、博士は、研究が完成した途端、書類を燃やし、病気になってしまったと言う。

それを聞いたルリ子ちゃんは、私がお父様に研究の事を聞きますから会わせて下さいと申し出、隣の部屋にお母様と一緒に連れて行かれると、そこにはベッドに寝る父、木村博士(高田稔)がいた。

木村博士は本当に病気のようで力なくルリ子ちゃんたちを観る。

木村博士が言うには、田沢に騙されて北海道からここへつれて来られたらしいのだが、あいつは外国のスパイだと分かったので、研究資料は完成した後全部焼き捨ててしまったと言う。

それを聞いたルリ子ちゃんは、このままでは私たち…と心配し、木村博士も、殺されてしまうだろうと頷く。

だが、例えお前たちを犠牲にしても、研究の秘密をあいつらに教えるわけにはいかないと博士は言う。

その時、ルリ子ちゃんは、壁にかかった不気味な仮面像の目の部分が本当に動いているのに気づく。

田沢たちが、親子の会話を仮面の覗き穴から観ていたのだ。

その直後、部屋に入ってきた田沢たちは、博士に考え直した方が良いのではないか?と言いながら、お母様とルリ子ちゃんを部屋の外に連れて行く。

ベッドの上に残された木村博士は、そこにルリ子ちゃんが置き忘れて行った緑のオルゴールを見つける。

それは、自分がルリ子ちゃんに与えたオルゴールだと木村博士は気づくが、その時、窓の外では雷鳴が轟き、雨が降って来る。

ルリ子ちゃんとお母様は石組みの部屋の中に閉じ込められ、恐怖の一夜を過ごす事になる。

翌朝、目が覚めたルリ子ちゃんはお母様の姿がいない事に気づいて、ドアの所に向かうと、外からお母様の悲鳴が聞こえて来る。

お母様は、悪人たちから鞭打たれていたのだった。

ルリ子は、田沢たちに博士の元に連れて来られますが、お母様の悲鳴はまだ外から聞こえて来ます。

そこに大入道がやって来て、これ以上やると死んじまいますぜと言う。

田沢が大入道と一緒に様子を見に外に出ると、ベッドの上の博士は、わしはもうダメだ…。秘密を持って逃げてくれ…と力尽きそうになっていた。

どこにあるの?と聞くルリ子ちゃんだったが、もはやお父様が口がきけなくなった様子を見てとったルリ子ちゃんは、側にあったスケッチブックを広げ、博士に筆談するように勧める。

すると、博士は鉛筆で「オルゴール ハヤクニゲロ」と書いた所で気絶する。

その頃、拷問を受けていたお母様も気絶してしまっていた。

その様子を見た大入道は、あ!くたばった!と驚く。

ルリ子ちゃんは、ルリ子は行きます。さようならと、ベッドに突っ伏した博士に告げて部屋をそっと抜け出す。

その直後、部屋に入ってきた大入道は、親分大変だ!博士がくたばってます!と叫び、田沢は驚いて部屋に来ると、ルリ子ちゃんが逃げ出した事を知るが、ベッドに残されていたスケッチブックの文字に気づくと、ルリ子ちゃんとオルゴールを追いかけさせる。

ルリ子ちゃんは1人でエレベーターに乗り、地上に降りると、吊り橋を渡って洞窟の中に逃げ込みます。

コウモリに驚いたりしますが、奥の方から現れた、赤、青、黄色の不気味な3つの鬼の面を観て悲鳴を上げると気絶してしまいます。

大入道とビッコも、同じ洞窟の中に入ってきますが、やはり、闇の億から出現した3色の鬼の面が動いているのを発見し、驚いて逃げ出してしまう。

気絶したルリ子ちゃんを抱えて奥へ連れて行った3人の鬼たちは、揺り起こすと、又もや悲鳴を上げたルリ子ちゃんに、これはお面だよと言って、それぞれの鬼の面を外して見せる。

ルリ子ちゃんの名を尋ねた3人は、チビ真(浅沼創一)、デブ(石井秀明)、ノッポ(永井文夫)と自分たちも名乗り、東京の孤児院「光の家」から逃げ出して、冒険を求めて来たんだと打ち明け、明るく歌い始める。

それを観ていたルリ子ちゃんは、自分も孤児なの。お父様もお母様も死んでしまったのと泣き出す。

その話を聞いたチビ真は、明日そのスパイに所へ行ってみようと言い出すが、ルリ子ちゃんが泣き止まないので、自分たちが持っていたメンコや駒などを渡して慰めようとする。

それでもルリ子ちゃんが泣き止まないので、身体に似合わず弱虫のノッポももらい泣き初め、デブも泣きながら外に出て行ってしまう。

さらに、チビ真までもが、悲しくなって来たと言い泣きながら外に出て行ったので、1人になったルリ子ちゃんは、外で、お母さん!等と言いながら泣いていた3人に近づくと、変ね、男の子が泣くなんてとからかう。

そして、孤児は私だけじゃなかったのね。私も仲間にしてね。今日から4人兄弟ねと話しかけたルリ子ちゃんに、3人の男の子たちは指切りげんまんして友達になる事を約束するのでした。

ノッポは、夜空を見上げ、お月様がきれいだな〜…と声をあげるのだった。

翌朝、鍾乳洞の中で目を覚ました4人は、顔を洗うために近くの池に向かい、男の子たちは、朝食用の木の実や果実を採りに出かける。

1人残ったルリ子ちゃんは、お花を摘み始めますが、そこに近づいて来た田沢、大入道、ビッコの3人に掴まってしまい連れ去られてしまう。

朝食を持って戻って来たチビ真、デブ、ノッポの3人は、ルリ子ちゃんの姿が見えない事に気づき、周囲に呼びかけるが、返事はない。

やがて、地面に黄色い花が落ちていたので、それがルリ子ちゃんがわざと落として行ったものだと気づき、その後を追って行ってみる事にする。

花は狭い吊り橋の上にも落ちており、そこを渡ると洞窟の中に入って行く。

大きな扉の所に着いたので、デブがそれを押し開けると、中にエレベーターのドアを発見し、乗り込む3人。

エレベーターは上に登り、3人が到着した階で降りてみると、そこには大入道たちに捕まったルリ子ちゃんがいた。

チビ真たち3人組は壁のスイッチを手当り次第にいじり始め、研究室の中の機械類が異常な動きを始めたため、田沢たちは、止めろ!爆発する!と慌て、3人組を捕まえようとする。

デブは、玩具の鉄砲をビッコに突きつけ、玩具だろう?と聞かれたので、本物だ!と答え、本物だろう?と逆に聞かれると、玩具だ!と答えてしまう。

3人組は、近くにあった鉄の棒を拾い、それで悪人たちを殴りつけながら、ルリ子ちゃんを連れてエレベーターに乗り込む。

一瞬遅れてエレベーターの前に到着した大入道たちは悔しがるが、田沢は笑いながら、エレベーターのスイッチを押す。

すると、下に降りかけていたエレベーターは途中で止まってしまう。

スイッチがここにもある事に気づかなかったか?と田沢は、エレベータの子供たちに上から呼びかける。

子供たちは、途中で停まったエレベーターの扉をこじ開けると、そこからエレベーターの外に出て、ロープを伝って下まで下りる。

その後、エレベーターを上の階に呼び寄せた田沢がドアを開けてみると、中が空っぽだったので驚く。

子供たちは、エレベーター空間の下の階に降り立ち、扉を開こうとしていたが、その時、上からエレベーターが下りて来た事に気づく。

田沢たちが乗って降りて来たのだった。

このままでは、子供たちは、エレベーターに押しつぶされてしまう。

焦った子供たちだったが、持っていた鉄の棒を3本、エレベータの底を支えるように立てかけて挟んだので、田沢たちのエレベーターは、1階に着く直前で停まってしまう。

子供たちは、その間に扉をこじ開け外に逃げ出す。

子供たちが吊り橋を渡りかけると、ルリ子ちゃんが転んでしまい、追いかけて来た大入道やビッコたちに捕まり、橋の上で緑のオルゴールの争奪戦が始まる。

とうとう、手が滑り、緑のオルゴールは谷底に落ちて行ってしまう。

その直後、あまりに細い吊り橋の上に大人数が固まって動き回っていたので、吊り橋の綱が切れ、吊り橋はまっぷたつに切断され、両側の崖に叩き付けられてしまう。

田沢たち悪人グループは、吊り下がった橋と先方の崖をよじ上り、リリコちゃんたち子供は、手前側の崖をよじ上り何とか上の道に到着する。

谷底の川を観ながら、あの川はどこに通じているの?とルリ子ちゃんが聞くと、東京さ!とチビ真が答える。

緑のオルゴールは、川を下っていた。

ルリ子ちゃんと3人の男の子たちは、明るく歌を歌いながら、川に沿って東京へ向かう。

やがて、彼らは、黄色い靴を履き、青い帽子の人形を抱いた女の子が付いて来る事に気づく。

名前を聞くと、マミ子(渡辺典子)と名乗ったその少女は、山奥でおばあちゃんと2人で暮らしていたが、東京で歌を歌っているお母さんに会いたくなり、1人で向かっている所だと知る。

事情を知った子供たちは、真美ちゃんも仲間に加えてやる事にする。

町には「ユニオンサーカス」がやって来ており、ピエロ(フランキー堺)が歌い踊りながら客引きをしていた。

その園長室にいたのが、田沢で、大入道とビッコたちに、娘とオルゴールを探せ!と命じていた。

その頃、ルリ子ちゃんたち5人は、町外れのビルの廃墟の中で共同生活を始めていた。

ルリ子ちゃんが緑色のオルゴールの事を話しているのを聞いたマミちゃんは、オルゴールなら持っていると言い出したので、驚いて見せてもらうと、それは、黄色やピンク色の違うオルゴールだった。

マミちゃんはオルゴールが好きなので、去年、お母様に買ってもらったのだと言う。

そんな話を聞いていたルリ子ちゃんは、お父様がサンタになり、お母様と3人で暮らしたクリスマスの日を思い出し、悲し気に歌い出す。

その歌を聞いた他の子供たちも思わず泣いてしまうのだった。

ノッポ、デブ、マミ子ちゃんの3人は靴磨きをしに出かけ、ルリ子ちゃんとチビ真は、河口付近に緑のオルゴールが漂着してないか、探しに出かける。

ところが、その近くに、大入道とビッコもルリ子ちゃんを探しに来ており、4人は互いに気づかずすれ違いかけるが、すぐに気づき、追いかけっこが始まる。

北多摩運輸のトラックの下に逃げ込み、大入道とビッコが互いに喧嘩を始めた隙に、トラックの下から抜け出し、町へ逃げ込む。

大入道とビッコが追いかけて来たので、ルリ子ちゃんとチビ真は思わず、街角にあった古道具屋に入り込み、そこに展示されていたタンスに隠れる。

そこに、大入道とビッコも入って来て「子供、子供」と言いながら店の中をうろつき始めたので、奥から出て来た主人(有島一郎)が、怪訝そうに応対するが、大入道とビッコは店を出て行ってしまう。

一旦、ビッコがタンスの扉を開いたので、中に隠れていた2人はひやりとするが、結局気づかれなかったので、2人の悪人が出て行った後、自分たちもタンスの中から出て、主人に、悪い奴に追われていたんです。ごめんなさいと謝って店を出る。

ところが、店のショーウィンドーに何気なく目をやったルリ子ちゃんは、そこに緑のオルゴールが置いてあるのを発見、もう一度中に入って、主人に見せてもらうと、間違いなく自分のものだと分かる。

それで、チビ真は、これはこのルリ子ちゃんのオルゴールなのだと説明するが、主人は、どう言う事情があるにせよ、人から金を払って仕入れたものだから、ただで渡すわけにはいかない。

いくらですか?と聞くと、1500円だと言った主人が、いくら持っているんだい?と聞いたので、チビ真が50円と答えると、大人を冷やかすんじゃない!としかられて、2人は店を追い出されてしまう。

廃墟に戻って来て、緑のオルゴールが見つかった事を話した2人に、デブは、1500円稼げるよと言い出す。

靴磨きを5人でやったら、1日300円くらい貯金が出来る。だから5日間くらいで1500円くらいたまるさと言うのだ。

それを聞いた子供たちは、明日からみんなで靴磨きをやろう!と決意する。

翌日から、ガード下で靴磨きを始めた5人は、帰りがけに、古道具屋のショーウィンドーに飾ってあるオルゴールを眺めては、ファイトを燃やしていた。

雨が降って、客が寄り付かなかった日もあったが、翌日は、雨で靴が汚れたお客さんが大勢やって来たので、あっという間に1500円貯まってしまう。

喜び勇んでショーウィンドーを観に行くと、何と、オルゴールがなくなっているではないか。

驚いて主人に問い合わせると、今朝方、27、8のきれいな奥さんに売ったと言う。

1500円作って来たのに…とがっかりする子供たちの様子を見た主人は、そんなに欲しかったのかい。言ってくれたら、ただであげたのに…と言い出す。

子供たちが意気消沈して店を出ると、その直後に、大入道とビッコが店に入って来て、オルゴールがここにあると聞いて来たんだが売ってくれと言う。

主人は、お嬢さんのためにと奥さんが買って行ったのだが、さっき子供たちも金をためて買いに来たが、何かあのオルゴールに言われでもあるのか?と不思議がる。

それを聞いた大入道とビッコは、

サーカスに帰った大入道たちからその報告を受けた田沢は、オルゴールかルリ子のどっちかが引っかかる罠を考えたと言い出す。

やがて、町中に、ピエロの格好をした大入道やビッコが、明日15日、サーカスに緑のオルゴールを持って来た人には、ご褒美として、賞金5万円を差し上げますと宣伝しながら歩き回る。

ノッポが、その事を知らせに廃墟に戻って来ると、そこにいた子供たちもとっくに知っていた。

サーカスに様子を見に行ったら大入道がいたと言うチビ真の話を聞いたルリ子ちゃんたちは、出て行ったら捕まるわ。罠よと話し合う。

その時、チビ真が、仲間に助けてもらおう。光の家の仲間たちに相談するんだ!と言い出し、その夜、1人で、孤児院の「光の家」にやって来る。

仲間たちは、チビ真が帰って来たのを知ると、冒険話を聞かせろとせがんで来るが、その前に相談があるんだと言うチビ真は、中に上がり込む。

翌日、ユニオンサーカスの前には、オルゴールを持った子供たちの長蛇の列が出来、その中には、お面をかぶった「光の家」の子供たちも混ざっていた。

大入道たちは、子供たちの顔をチェックしながら、オルゴールを受け取っていたが、そんな列の子供を見て回る、緑色の服を着た奥さんがいた。

サーカスの楽屋の中で、集まったオルゴールをチェックし始めた田沢は、全部偽物だ!と怒り出す。

そこに集まったオルゴールの大半は、ミカン箱やベニアで作った急ごしらえの偽物だったからだ。

その頃、警察署の保安課に、「光の家」から集団脱走があったとの電話が入る。

一方、楽屋で最後のオルゴールをチェックしていた田沢は、あった!と喜ぶ。

それを廊下で聞いていたチビ真たちは、部屋の中に入り込むと、田沢の手からオルゴールを奪い取り、仲間たちの手に渡す。

その時、緑色の服を着た夫人がマミ子ちゃんを見つけ抱きしめる。

彼女こそ、マミ子ちゃんが東京に探しに来たお母さんだったのだ。

楽屋の中は、オルゴールを奪い合う子供たちとスパイ団との大騒動が起きていたが、そこに警官隊がなだれ込んで来る。

チビ真は、警官隊の隊長(山田禪二)に向かって、こいつらはスパイですと指摘するが、田沢は、こいつらこそスリですと子供たちを告発する。

隊長は大人の田沢の言う事の方を信じ、子供たちを保護しようとするが、その時、奥から、木村博士とお母様が出て来たので、ルリ子ちゃんは驚いてしまう。

木村博士は隊長に、こいつらはスパイですと指摘したので、慌てて逃げ出した田沢らはあっという間に逮捕されてしまう。

ルリ子は、お母様と博士に抱きつくと、生きてらしたのねと喜ぶ。

そのルリ子から紹介されたチビ真たち子供たちは、木村博士から、ルリ子が大変お世話になったようだねと感謝する。

チビ真は、田沢から奪い取ったオルゴールをルリ子ちゃんに返し、ルリ子ちゃんはそのふたを開けてメロディーを聞くが、あ!これじゃない!これは偽物よ!と言い出す。

その時、近くから、別のメロディーが聞こえて来たので、その音を他余地に園長室に向かったルリ子ちゃんは、お母さんにもらった緑のオルゴールを聞いているマミ子ちゃんを見つける。

マミ子のお母さんは、マミ子が家出をして東京に向かったと連絡を受けたので、毎日、子供が集まりそうな所で探していたのだと言う。

マミ子は、お母さんからもらったオルゴールがルリ子ちゃんのものだと知ると、すぐに返してくれる。

木村博士は、そのオルゴールの中から1枚の紙を取り出すと、良かったな。悪い人の手に入らずに…と喜び、警察隊の隊長からライターを借りると、その場で燃やし始めたので、ルリ子ちゃんは驚いてしまう。

木村博士は、これはない方が全世界の人々のために良いんだと言う。

夕焼け小焼けで日が暮れて〜♬

ルリ子ちゃんは、その日もベランダでお空を眺めていました。

今日は1人ではなく、木村博士の計らいで、ルリ子ちゃんの家から学校に行ける事になったチビ真、デブ、ノッポの3人と、お母様と暮らし始め、遊びに訪れていたマミ子ちゃんが一緒だった。

ルリ子ちゃんが緑のオルゴールの蓋を開けると、優しい音色が聞こえて来て、夢は又大空に駆け上がるのだった。

雲の上の世界では、美しい白鳥姿のバレリーナ(北原三枝)が男性相手に踊っていた。

白ウサギ姿の子供たちは、ルリ子ちゃんが来たよ。今日は大勢、友達を連れて来たよ。女王様〜!ルリ子ちゃんが来ましたよ〜!と呼びかける。

すると、動物姿の子供たちに両腕を抱えられ、ルリ子ちゃん、チビ真、デブ、ノッポ、マミ子らが次々にお城の前にやって来る。

赤、青、黄色、三色の旗を持った旗手が前に出て来て、ルリ子ちゃんたちを歓迎する踊りを踊り始める。

両脇にマミ子ちゃんやチビ真らが並んだ中央に立ったルリ子ちゃんは、「緑はるかに」と書かれたメニューの表紙のようなものを画面に向け、そのメニューを広げると、中には「おわり」と書かれていた。