TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

映画 ひみつのアッコちゃん

赤塚不二夫原作の人気マンガの映画化

映画オリジナル作品になっており、本来小学生のアッコちゃんが、魔法のコンパクトで大人の姿に変身し、一流会社に入り込んで巻き起こすドタバタ騒動を描いている。

変身したアッコちゃんは、姿だけは大人になれるが、頭や心は小学生のまま…と言うのがミソ。

ヒロイン綾瀬はるかの子供っぽい仕草やセリフが楽しめる仕掛けになっている。

企業の乗っ取り劇と言う大人向けの話が、どこまで子供層に理解できるかは疑問だが、アッコちゃんの目線で、分からない所は分からないとそのまま感じ、同じように観て行けば、取りあえず小学校高学年以上くらいの年齢なら付いて来れそうな内容になっていると思う。

会社と言っても化粧品会社なので、女の子の観客には身近に感じられるかもしれない。

あえて難を言えば、株式総会の場で、最後に登場した守衛さんの持ち株が投票に加わる計算が大人でも分かりにくい事。

単純に守衛さんの持ち株2%分を足せば良いと言うものではないので、その部分のハラハラ感は一般人には伝わりにくいと思う。

また、一挙に宣伝すれば良いと考えたアッコちゃんが、いきなり首相夫人を利用する事など思いつくだろうか?とか、小学生が、弱音を吐いた早瀬をビンタしたりするだろうか?など、細かい部分の気になる箇所がないではないが、全体的に、漠然と想像していたより巧くまとめてある印象で、コミックの実写化作品としてはかなり成功している部類に入るのではないかと思う。

オリジナル作品をきちんと記憶していたわけではないので、大将、少将、モコちゃん、チカコらしき子供やシッポナなどのキャラクターは、観賞後改めて調べてみて、そう言えば、そんなキャラクターが出て来たかな?と思い出す程度。

子供たちの方がメインになっているわけではないが、どう考えても、アッコちゃんが変身したがるのは大人の職業と思われるので、実写化となれば、こういう展開になるのも当然かもしれないと感じた。

アッコちゃんが変身していると言う設定のキャラを演じる大杉漣、吹石一恵、内田春菊などの小学生女子演技も見物。

変身シーンは、何だか最近の「ウルトラマン」っぽいエフェクトに感じたが、爆弾を取り外すシーンで、スーパーヒーロー的な強いキャラに変身しないのは、やっぱり女の子の発想だからと言う事かもしれない。

ラストが、タイムワープもののようなオチになっているのも楽しい。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2012年、日本テレビ、山口雅俊+大森美香+福間正浩脚本、川村泰祐監督作品。

ツバメ小学校

アッコこと加賀美あつ子(吉田里琴)は、学校が終わり、みんなが帰ったあとも1人教室に残り、香我美を観ながら、ママからくすねてきた口紅を塗って喜んでいた。

それに気づいた友達のモコちゃんは、お母さんの口紅勝手に持って来て怒られないの?と心配するが、アッコちゃんは、もう来年6年だし、早く大人になって、フィギュアの選手とかキャビンアテンダントとか色んな職業になりたいと夢を語るついでに、モコちゃんの夢を聞くと、お嫁さんになりたいと言うので、私もお嫁さんになりたいけど、普通のサラリーマンより、たくさんお金をもらえるスポーツ選手の方が良いななどとアッコちゃんは言う。

そこに入って来たのが、大将、少将、カン吉ら悪童どもで、帰りかけたアッコちゃんに向けて大将がサッカーボールをけって来たので、転んだアッコちゃんのランドセルから転がり落ちた、パパからもらった大切なコンパクトが壊れてしまう。

悲しんだアッコちゃんは、自宅の庭先に「鏡のおはか」を作ってやる。

その夜、ベッドに入っていたアッコちゃんは、自分の名前を呼ぶ声が外から聞こえて来たので、何だろう?と思って、怖々箒を握りしめて1人玄関から外に出てみると、天から降りて来た光の中に黒めがねをかけたおじさんが立っていた。

誰?とアッコちゃんが聞くと、その男は鏡の精(香川照之)と答え、長い間、コンパクトの鏡を大切にしてくれたありがとう。壊れてしまったようだから、代わりにこれを差し上げますと言って、真新しいコンパクトを差し出して来る。

訳も分からず受け取ったアッコちゃんに、鏡の精は、それはただの鏡ではない。魔法の呪文を言ってなりたいものの名を言えば、何にでもなれる鏡です。

そう言って「テクマクマヤコン テクマクマヤコン!」と言う呪文を教えてくれる。

元に戻るときは、「ラミパス ラミパス ルルルルル」だとも教えた鏡の精は、この言葉は絶対秘密です。誰かに知られてしまうと鏡の魔法が利かなくなるからね…と言って、アッコちゃんの頭に手を置いた次の瞬間、魔法の精は消え失せていた。

寝室に戻って来たアッコちゃんだったが、半信半疑だったので、まさかね…と呟きながらも、試しに、テクマクマヤコン 大人の私にな〜れ!と願ってみると、ちょっと間があった後、コンパクトの鏡から光が溢れて来てアッコちゃんの姿を包むと、次の瞬間、コンパクトに大人になった自分(綾瀬はるか)が写っていた。

あっ!噓?これが大人の私?と驚くアッコちゃん。

姿見で全身を映し出してみると、パジャマを着た自分が立っており、襟口から中をのぞいたアッコちゃんは、胸もある!と喜ぶ。

魔法は本当だったと知ったアッコちゃんは、すぐにフィギュアの選手になれ!と願うと、部屋の中でスケート靴を履いたフィギュアの選手に変身するが、バランスを崩してベッドに倒れ込む。

これ私には向いてないかもしれないと呟いたアッコちゃんは、続いてキャビンアテンダントに変身してみる。

その時、アッコ!何してるの?とママの声が聞こえ、下から上がって来る音が聞こえたので、慌てたアッコちゃんは、ラミパス ラミパス ルルルル…と呪文を唱える。

その時、ママが子供部屋のドアを開くが、パジャマ姿の元のアッコちゃんがベッドの下で寝た振りをしているだけだった。

ママが出て行った後、コンパクトを見つめたアッコちゃんは、魔法のコンパクト、噓じゃなかったんだ!と目を輝かせる。

タイトル

この前の事を謝るモコちゃんやカン吉、大将、少将らと遊園地にやって来たアッコちゃんは、ジェットコースターに乗りに行かない?と誘って来たモコちゃんのチケットを大将たちが横取りして行ったので、だから子供は嫌い!と怒ったアッコちゃんは、一人乗り用の飛行機の玩具に乗り込むと変身をする。

同じ遊園地のベンチで一人寂しく座って、良いな子供は…などと呟いていたのは、アカツカ化粧品社員早瀬尚人(岡田将生)だった。

早瀬は、目の前に立っていた若い女性に近づくと、その顔のメイクの種類を言い当ててみせる。

しかし、その女性は気味悪がり、彼氏が来るとすぐに逃げて行ってしまう。

又1人になった早瀬は、何やってるんだ?俺は…と自虐的になるが、そんな彼とぶつかって通り過ぎたのはアッコちゃんが変身した婦人警官だった。

アッコちゃんの婦人警官は、大将たちの前に立ちふさがると、切符を返しなさい!人のものを取る人は逮捕します!と脅し、又、飛行機の乗り物の中に入って元の姿に戻ると、まだまだ大将たちも子供ねと悦に入りながらモコちゃんの元に帰ろうとするが、転んでしまい、持っていた魔法のコンパクトが転がっていってしまう。

そのコンパクトを拾ってくれたのが早瀬で、大丈夫?と声をかけてくれるが、今、何か観た?と慌てたアッコちゃんが聞くと、スカートの後ろがめくれているよと指摘され、きゃあ、エッチ!と慌てて直す。

夕方近くになり、観覧車前にやって来たアッコちゃん、モコちゃん、大将、少将、カン吉らだったが、係員に、一台に4人しか乗れないと言われ、どうしようか迷い始める。

その時、やって来たのが早瀬だったので、アッコちゃんは早瀬と2人で観覧車に乗る事にする。

何となく黙り込んで乗っていた2人だったが、学校行かなくていいの?と早瀬が聞くと、冬休みなんですとアッコちゃんは答え、あなた、大人ですか?と逆に聞き返すと、一応27だけどと早瀬は答える。

どうして、私より20才も上の人が遊園地なんかで遊んでいるの?とアッコちゃんが聞くと、一日の最後に、ここの観覧車に乗るのが好きなんだと教える早瀬は、遠くにそびえ立つアカツカ化粧品のビルを眺めていた。

その時、あっきれいだ!と早瀬がアッコちゃんの方を観て言ったので、え?私の事?と驚いたアッコちゃんだったが、早瀬が観ているのが後ろの窓から観える夕焼けと気づき、本当だ!と一緒になって眺める。

観覧車を降りてモコちゃんと一緒に帰るアコちゃんは、早く大人になって、きれいだねって言われたいと憧れを口にするが、モコちゃんは、明日から塾の特訓よと教える。

大人か…と一人呟いたアッコちゃんは、塾に大人に変身した姿で出向き、アッコちゃんの親戚のような振りをして先生に会うと、ママと、パパの飛行機でビューンと外国に行くので、塾の特訓は休みますと噓を言ってしまう。

その後、大人の姿になったまま、アイスを両手に持ち、町に出たアッコちゃんは、大人って良いな!と夢中になる。

ふと覗いたショーウィンドーにきれいな口紅が並び、「冬のコスメフェア」と書かれてあったので、それに釣られるようにビルの中に入ったアッコちゃんは、化粧品の販売員からメイクをしてもらう。

鏡に映った自分のメイク顔を観たアッコちゃんは、私じゃないみたい!やっぱ、大人って最高!とはしゃぐ。

そんなアッコちゃんは、早瀬が近づいて来たのに気づき、あの時の…と前に立ち塞がるが、早瀬の方は、どこかでお会いしましたでしょうか?私がお客様のようなきれいな方を忘れるはずがないのですが…と戸惑う。

アッコちゃんの方も、前にあったのは子供の姿のときだったと気づいたので、何とかごまかするが、ところで、我が社の化粧品でメイクなさったご感想は?と早瀬から聞かれたので、高い!といきなり値段が高い事を指摘する。

さらに、これはケースが可愛くないっぽい!私たち子供たちにこういうのって…と言いかけ、早瀬が妙な顔をしたので慌てて、若目の女子が使うにはちょっと向いてないって言うか…と言い直す。

その時、早瀬の携帯が鳴り、すぐ戻りますと話し始めたので、アッコちゃんは、早瀬が化粧品会社で働いている事に気づくのだった。

早瀬は、その後、アッコちゃんに自分の名刺を渡す。

「企画開発室長待遇 早瀬尚人」と書かれた肩書きの読み方が良く分からないアッコちゃんだったが、お飾りみたいな立場で、実験は何もないと教えた早瀬は、アッコちゃんを連れて会議中の大部屋にやって来る。

企画室の案などもはや相手にされなくなっていますので、青山が1人出席すれば良いかなと思いまして…と早瀬が嫌味ったらしく弁解した相手は、会議を仕切っていた熱海専務(谷原章介)だった。

いつまでも自分が特別だなどと考えない方が良いぞと渥美専務は忠告する。

しかし早瀬はさらに、皆さんのような方が役員でいる限り、この会社は潰れてしまうと思いますと、歯に衣を着せぬことを言う。

そんな発言は気にしないように、熱海専務は、今のまま会社が弱くなるよりは、新しい企業から資本を受けた方が良い。今日は、ゴールド興業の鬼頭さんをお迎えしておりますと発言し、別室で待機していたらしい鬼頭(鹿賀丈史)が部屋に入ってきたので、早瀬は黙って会議室を後にする。

企画開発室に戻って来た早瀬は君をダシに使ったみたいで悪いねと謝りながら、アッコちゃんにコーヒーを出してやる。

それを口にしたアッコちゃんは、まず!と言いながらも、目の前に置かれていたお菓子を嬉しそうに食べ始める。

そんなアッコちゃんの事を、企画室の社員たちは、新しいバイトと早瀬から聞かされていた。

早瀬から、新しい製品のテストをして欲しいんだと言われたアッコちゃんは、テスト!?と聞いて逃げ腰になるが、今までのように意見を言ってくれれば良いんだよと言われ、私のテストかと思ったと言いながら安心する。

そこに近づいて来た青山マリ(吹石一恵)は、熱海専務はゴールド興業を入れて会社を建て直すつもりよと早瀬に伝え、目の前にいるアッコちゃんが、私はツバメ小の…と言いかけ、慌てて大学生なのと自己紹介したので驚く。

一方、アッコちゃんの方は、早瀬が青山マリくんと紹介したので、女子に君付けするのって最近流行っているの?と無邪気に聞く。

その夜、子供に戻って帰宅したアッコちゃんは、ママの作ってくれたカレーを食べながら、アカツカのテレビCMを観ていた。

翌朝、アッコちゃんは朝から大人に変身し、アカツカ化粧品に出社するが、月曜日なので、他の社員やOLたちはブルーが入っているのに、アッコちゃんだけはやたら元気だったので、守衛さん(塚地武雅)にも、元気いいねえと驚かれる。

張り切って駆け込んだ企画開発室だったが、又もや転んで、バッグの中に入っていた小学校の三角定規などが転がり落ちてしまう。

机をもらったアッコちゃんは、小学生用の本や可愛いグッズで飾り付け、他のOLたちから不思議なものを観るような目をされる。

さらに、昼時の社員食堂でもはしゃぎ回り、ここの給食って最高!と1人大喜びする。

コピーをさせられていたアッコちゃんは、先輩OLから、スカートがかぶっている!先輩と服がかぶった場合は、後輩は次から二度とその服を着て来ない事と注意される。

仕事が終わると、近くの公園にある土管の中で、子供の姿に戻り自覚に帰るアッコちゃんだった。

翌日も、書類を持って来たよ〜!と早瀬に話しかけたので、マリから、会社でその口調は止めなさい!と注意されるが、はい、青山くん!とアッコちゃんが答えたので、マリは唖然とし、早瀬は苦笑してしまう。

早瀬は、アッコちゃんに、新しいフェイスパウダーを見せ、どう思う?と感想を聞くが、何か普通…とアッコちゃんは答える。

どう言う事?と突っ込まれると、持っていても人に自慢も出来ないし、自分も楽しくないし…とアッコちゃんが言うので、じゃあ、どうすれば良いと思う?と早瀬が聞くと、キラキラっとした…お星様みたいなの…と言い出したので、コンペイ糖みたいなものって事?とマリは聞き返すが、アッコちゃんはコンペイ糖を知らなかった。

社員たちは、今さらデザインをやり直すのも大変だし、形も壊れやすいなどと色々反論を言い出す。

アッコちゃんは、どうしてそんな面倒な事言うの?と不思議がるが、その面倒な事を地道にやるのが仕事なの!ときっぱりマリから言われてしまう。

マリは、新しい事ばかりに目が向いているように見える早瀬に、会社には伝統と言うものがありますと言い聞かせようとするが、この会社のどこに伝統が残っている!と早瀬は反論する。

会議の後、室長待遇!とアッコちゃんが呼びかけて来たので、その呼び方はちょっと…と早瀬が困惑すると、じゃあ、尚人(ナオト)って呼んで良い?と言い出す。

早瀬が無視してそのまま行ってしまったので、たまたまそこにいた警備員のおじさんに、室長ってどう言う人なの?とアッコちゃんは聞いてみると、優秀な人だよ。あの人が大学中に発見したバイオ成分を元に、家の製品が大ヒットしたので、若くして今の位置にいるんだと警備員さんは教えてくれる。

でも、時々、さみしそうな顔をしたりしている…、良く分かんないよとアッコちゃんが言うと、アッコちゃんは、早瀬さんの事が好きなのかな?と聞いて来たので、そんな事ないよと焦ったアッコちゃんは、ただ、何を考えているのか知りたいだけ…と答える。

彼が心のうちを話せるのは…と警備員さんは、早瀬が唯一心を許している人物の名を教えてくれる。

アッコちゃんは、奥の倉庫に入り込むと、前の社長さんにな〜れ!と祈る。

ナオトくん!と呼びかけると、振り返って中村前社長(大杉漣)を観た早瀬は仰天する。

早瀬は、社長だった時、楽しかったし…と言う中村に唖然とし、苦しくなかったですか?その後、子会社に飛ばされたりして…。今のこの会社は、その場しのぎの増資で表面だけ立て直そうとするのではなく、お客様に満足すべき商品作りをスべきではないでしょうか?と熱弁を振るう。

それを聞いた中村前社長は、やる気あるじゃん!僕は全然平気!とお茶目に答えたので、又もや、早瀬は首を傾げながらも、アイデアか!と何かを思いつく。

翌日、大人に変身したアッコちゃんは、ガイドのように、モコちゃんや大将たち、仲良し仲間を引き連れて企画開発部にやって来る。

早瀬は、驚く社員たちに、中村さんから紹介された子たちで、社会見学だとごまかす。

子供たちは、見慣れぬ企画室内の用具類を勝手にいじり始める。

アッコちゃんやマリは、触っちゃダメ!と叱りつけるが、少将やカン吉は、お姉さん、恋人いないでしょう?欲求不満でしょう?などと生意気な事を言うので、マリは怒ってしまう。

小学生たちは、室内を縦横無尽に暴れ回り、女子社員がパソコンで作っていた稟議書までいじってしまう。

それを慌てて修正しようとしたアッコちゃんも、パソコンの扱い方を良く分かってなかったので、ますます画面上の稟議書はめちゃめちゃになる。

しかし、それをごまかそうと、アッコちゃんは、こっちの方が色んな色になって可愛くない?と言うが、それを聞いていた早瀬は、色々な色になる?と何か気づいた様子で、すぐに仕事に取りかかる。

それから数日、徹夜した早瀬は、前々から持っていた、気温や体温で色が変わるリップグロスの発想に、素材が重要であると言う事を気づく。

その話を聞いたアコちゃんは、これ絶対正しいよ!と褒めると、早瀬の企画書に花丸を付けてやると、ナオト、一生懸命考えてくれてありがとう!と感謝し、思わず抱きつく。

早瀬はさすがに慌てて身を引くと、誰かに観られるとまずいよと照れるが、そうなの?家ではパパもママも、嬉しい事があるとぎゅっとしてくれるよとアッコちゃんは不思議そうな顔になる。

そんな無邪気なアッコちゃんを見つめていた早瀬は、たまには2人で飯でも食べに行くか?と誘うが、ちょうどその時部屋に入ってきたマリは、その会話に気づき、そっと身を隠して、2人の様子を見守るのだった。

しかし、その早瀬の企画を観た熱海専務は、こんな子供騙しの企画はダメだ。そんな技術は何の役にも立たないと真っ向から否定して来ると、こんな事を考えるくらいなら、今売れ残っている商品を売る方法でも考えろ!と叱りつける。

製品を作っている工場にやって来た早瀬に、工場長は、いくら作っても売れなきゃダメなんだ。この世界は結果が全てだからと言う。

アッコちゃんには、なぜ、社員のみんなが遅くまで働いているのか分からず、早く帰って、お風呂に入って、たくさん寝た方が元気になるのに?と不思議がるが、守衛さんは、アイデア練る事だけが仕事じゃないから…と教えてくれたので、仕事って退屈なものなんだ…とアッコちゃんは本音を漏らし、いきなりババ〜ンと売った方が良いんじゃないかな?と言い出す。

首相夫人、ファーストレディに変身したアッコちゃん(内田春菊)に呼ばれた上流階級の奥様たちは、一緒に食事をするが、出て来たロブスターの食べ方が分からないので、思わず手づかみで食べようとする。

その時、肌どうやったら、そんなにおきれいなんですか?と褒められたので、アカツカ化粧品をいつも使っているのだと紹介する。

その後、有名雑誌の表紙に、アカツカ化粧品を持ったファーストレディの写真がたくさん出回るようになる。

家で、海老フライを食べていた子供のアッコちゃんは、ママ、ロブスターって食べた事ある?これも結構美味しいけどねなどと言い、ママは、最近、アカツカのCM多くなったわねと不思議そうに言う。

学校のパソコンを使って冬休みの課題作りをしていたアッコちゃんは、使えそうな所を適当にコピペしてあっという間に研究新聞を作り上げてしまうが、一緒に手伝っていたモコちゃんは、そんな事して大丈夫なの?と心配する。

アッコちゃんは、大人も、世の中結果が全てだって言ってたよと平ちゃらだったが、担任の佐藤先生がアッコちゃんを校庭に呼び出すと、私毎日忙しいし…とごまかそうとするアッコちゃんに、物事には良い面と悪い面がある。

ずるしてやった事は身に付かない。じゃあ、さっきの課題を言ってごらんと言われたアッコちゃんは、思い出そうとするが言えない。

それじゃあ、意味ないだろ?一生懸命やった方が身に付くんだ。喜びも大きい…と教えてくれる。

その頃、鬼頭と熱海専務は密かに会って相談事をしていた。

翌朝、遅刻気味で会社に出社したアッコちゃんは、会社の前にテレビ局が来ており、何やらレポートしている所を観かける。

その日、アカツカ化粧品の製品に発がん物質の成分が含まれていると言う報道が一斉に出たため、企画開発部でも、早瀬を始め社員たちは愕然としていた。

根も葉もないでっち上げじゃないか!と憤慨する早瀬に、部下が、でも、会議での役員の発言など、所々本当の事も混じっていると指摘すると、内部からのリークか!と早瀬は激怒する。

部屋の入口に来たアッコちゃんは、そんな早瀬の様子を見て、私が遅刻したから、ナオトが怒っている!と勘違いをしてしまう。

困ったアッコちゃんは、トイレの中で、早瀬に怒られそうもない熱海専務に変身して出て来るが、廊下で秘書に電話が入っていますと呼び止めらる。

ごまかして逃げようとしたアッコちゃんだったが、直通で、お相手は鬼頭さんですと言われ、専務室に引っ張られて行ってしまったので、仕方なく電話に出ると、鬼頭は一方的に、我々の作戦通りマスコミが乗って来た。これで増資は間違いなく承認されるはずで、あなたは社長になり、中と外から乗っ取る事が出来ると話して来る。

その時、廊下から、本物の熱海専務が秘書に叱りながら近づいて来る声が聞こえて来たので、アッコちゃんは慌てる。

部屋の中に入ってきた熱海専務は、どこに私がいるんだ!と秘書に聞くが、その時、机の下から姿を現したのは、掃除婦に変身したアッコちゃんだった。

アッコちゃんが部屋を出て行こうとしたとき、マリが入って来て、何やら熱海専務と熱心に話し始める様子をちら観する。

アカツカ化粧品の企画開発部にまで、有害物質混入の報道に関する問い合わせや抗議の電話が殺到したり、株が暴落する。

早見は部下から、社長の所にも、前田前総理夫人から抗議の電話が入ったらしく、勝手に自分を広告に使わないで欲しいと言われたようだと聞く。

それを聞いていたアッコちゃんは、私のせいだ。私がずるしたせいだ!と感じ、悪い噂が出ている所知っているよ。熱海専務の所に電話がかかって来て、鬼頭って人が全部やっていたと言っていたと伝えると、早瀬は、社長のポストと引き換えに、会社を売る気だな…と、熱海専務の策略に気づく。

その後、早瀬は、子会社にいる中村前社長に会いに行き、このままでは取り返しのつかない事になってしまいます。アカツカの伝統が消えてなくなる事になりますと訴える。

中村前社長は、アカツカが残るか消えるかは、お客様が決める事だ。良い製品を作っている所は必ず残ると言う。

アッコちゃんは、専務室から帰って来たマリに話しかけようと機会をうかがうが、マリは無視してしまうので、そうだ!と気づいたアッコちゃんは、マリに変身して、熱海専務の部屋に忘れ物を取りに帰って来たように装う。

そこには鬼頭が来ており、株式たちへの根回しはすんでおり、後は筆頭株主の大庭鶴子を説得できればこちらのものだと話し合っていた。

アッコちゃんは、その後、塾にいたモコちゃんに電話をかけ、「ひっと株主」って何?と質問する。

モコちゃんは、アッコちゃんの声が変だと指摘するが、アッコちゃんは風邪だとごまかす。

モコちゃんは、株主と言うのは、会社の株券を持っている人の事じゃない?と教えてくれたので、じゃあ、事業家って何?と、またアッコちゃんは、難しい言葉を聞く。

するとモコちゃんは、アッコちゃんが塾に来てない事、ママは知ってるの?と逆に聞いて来る。

後日、早瀬やアッコちゃんが訪れていたアカツカの製造工場には、突如、黒服を来たヤクザ風の男たちが乗り込んで来て、作業を止めろ!と作業員たちを脅す。

熱海専務と鬼頭もその場にやって来て、その子分らしき男が、収益に寄与しない無駄があまりにも多すぎる。今後、8割はリストラすると、工場長や作業員たちに宣告する。

鬼頭も、早瀬さん、あなたとは仲良くしたかったんですが、残念です…と含み笑いをして立ち去って行く。

工場長は、どうしたら良いんでしょう…と呆然とするが、早瀬もさすがに、やっぱり無理か!大きな資本の前には個人の力からなんて無力なんだ…と笑い出す。

アッコちゃんは、そんな早瀬に苛つき、何笑ってるのよ!と言いざま、思わずビンタしてしまうと、資本、資本って、シホンケーキが何で出て来るのよ!

いつも子供扱いして!私、胸もあるのよ!私だって、役に立ちたいのよ!ナオトのバカ、バカ、バカ!と言って泣き出してしまう。

ママはアカツカの化粧品が好きだって言ってたわ。ださいけど質が良いって。ママね、化粧すると、目が大きくなって、唇がつやつやして、頬がほんのり赤くなり、肌がつるっと…、つる?と話していたアッコちゃんは、急に何かを思いついたように、そうだ!大庭鶴子さんだ!ひっと株主に仲間になってもらえば?と提案し、早瀬が動き出さないのを観ると、もう良い!私、行く!と言い出す。

そのアッコちゃんの押しに負けた早瀬は、一緒に大庭鶴子を訪ねるが、応対した大庭鶴子()は、私は趣味で株主をやっているわけじゃないんですと言う。

早瀬は、このままではアカツカは志のない会社になります!と訴えるが、鶴子は、そんな事より業績を上げてちょうだいと冷静に告げる。

その会話を一緒に聞いていたアッコちゃんは、室長の方が、化粧品が好きなの!味方になってくれない?と訴えるが、あまりの無礼な態度に驚いた早瀬は、アッコちゃんに席を外してくれない?と頼む。

席を外す?あ!席替えの事?と答えたアッコちゃんは、隣のソファに腰掛けるが、早瀬が外を指差したので、出て行けと言う事だとようやく理解する。

早瀬は深々と頭を下げ、今のアッコちゃんの非礼を詫びるが、鶴子は、個性的な社員がいらっしゃるのねと呟いてだけだった。

そして、私はアカツカと言う会社が好きです。でも気持ちだけでは会社は成り立たないのですと言う。

そんな鶴子の顔を観ていた早瀬は、鶴子が使っているアカツカの化粧品をC-6とズバリ言い当ててみせる。

鶴子は、当たりよ。株式優待で頂いたのと、バッグから取り出して見せる。

すると早瀬は、私、ようやく分かりました。私が守りたいのはその化粧品なのです。

大切なのは会社が残るか消えるかではなく、お客様に求められるかどうかです!我々にもう一度チャンスを与えて下さいませんか!と早瀬は訴えるが、鶴子は、次の予定があるのでお帰りになってと言い渡す。

外の公衆電話から、アッコちゃんはモコちゃんから、資本と言うのがシホンケーキの事ではない事を教わっていたが、大庭邸から出て来た早瀬は、そこにやって来た鬼頭、熱海専務、マリらと遭遇する。

早瀬は、鬼頭の子分から突き飛ばされ蹴られる。

アッコちゃんは、ナオト!と思わず近づこうとするが、それより早く、マリの方が早瀬が駆け寄る。

鬼頭の子分が乱暴を働いた事に、熱海専務は、面倒な事になりますよと眉をひそめるが、鬼頭は早瀬に向かい、無駄な努力じゃないですか?今後、どうなっても知りませんよとやんわり脅し付ける。

マリは早瀬に、ごめんなさい!私専務たちと組んだ方が会社のためになると思ったんですと弁解する。

その後、鬼頭とその部下らしき黒服軍団も多数出席する中、アカツカ化粧品の第102期定期株式総会が開かれる。

議事が進行して行く中、株主席に座っていた早瀬が株主の1人として挙手をし、現取締役5人を解任し、新たな5名を提案する修正動議を申し出る。

マイクの前に立った早瀬は、ゴールド興業と手を組めば、ヤクザまがいの偉業に会社を乗っ取られてしまいますと訴えるが、興奮した従業員株主たちと鬼頭の一派が小競り合いを始めてしまう。

それを横で観ていたアッコちゃんはたまらなくなり、急に演壇に駆け上ると、止めて!喧嘩は止めなさい!人の意見を聞きなさいって小学校の時教わらなかったの?担任の佐藤先生が、物事には何でも良い面と悪い面があるって言ってました。私の良い所は、足が速かったり、元気に挨拶が出来ます。悪い所は、おっちょこちょいで、すぐ調子に乗って楽な事したり、会社にも迷惑かけちゃったみたい…と訴えるが、鬼頭の部下の弁護士が、六法全書を取り出して反論しようとすると、おじさん、人の意見は最後まで聞くものよ。そこ、おじさんの悪いとこねと指摘する。

会社にも良い所と悪い所があると思う。熱海専務も一杯良い所あると思うんです。もっと自分の頭で考えて、自由に考えてみましょう!とアッコちゃんは再度訴える。

それを聞いた早瀬も、話し合いましょうと発言、今までの私たちは下らないしがらみなどに縛られていたのかもしれません。もっと小学生時代に教わったようなシンプルなこと、元気に挨拶をしようとか、失敗してもくじけるなとか…そう言う原点に立ち戻るのが大切なのではないでしょうかと言ってくれたので、アッコちゃんは、ナオト、ありがとうと壇上から感謝する。

その時、議長と客席から手が挙がり、8番大庭鶴子が立ち上がる。

私が代わって、現取締役5人を解任し、新しい取締役を決める修正動機を提案しますと言い出す。

私は、この会社の22%の株を所有する筆頭株主ですが、会社の利益を上げてくれる人になって頂きたい。

今の彼の話は現実性のない夢です。でも、私は、より良い化粧品を作ってくれそうな人を支持しますと鶴子は言う。

すぐに、この修正動議の投票が始まり、投票結果は、賛成49%、反対51%と言う僅差で否決されてしまう。

鬼頭はほくそ笑み、早瀬はがっかりするが、アッコちゃんには、どう言う事なのか全く理解できなかった。

その時、会場に、すみません!仕事がさっきまで入っていたので…と言い訳しながら守衛のおじさんが入って来て、私も株主なので、私の分も投票に入れて頂きたいのですと声をかける。

それを聞いていた鬼頭は、どうせわずかな数だ、状況は変わらんと無視しかけるが、壇上で株主確認をしていた係員たちは、守衛さんは有効株主の2%に当たる株を持っておられると発表したので、鬼頭は仰天する。

守衛さんは、実は私は親から相続した株の配当だけで食べて行けるんです。でも人間、楽しちゃいけない。私はこの会社が好きです。良い化粧品を作ってもらいたい。それを見守って行きたい。私は、早瀬さんとアッコちゃんを支持しますと発言する。

急いで計算がやり直される事になり、結果は、賛成50.02%となり、修正動議は可決される。

その結果を知った鬼頭たちは一斉に会場を後にする。

その後、企画開発室でも、勝利の乾杯が行われ、社員たちは飲みに出かけるが、アッコちゃんに近づいて来たマリは、尚人さんのことはよろしくね!と頼んで帰ってしまう。

部屋には、アッコちゃんと早瀬の2人だけが残る事になる。

窓からは、夜の照明に照らされた東京タワーが見えていたが、早瀬が急に目をつぶって!良いと良いまで開けちゃダメだよと言うので、アッコちゃんは言う通りにする。

良いよと言われ、そっと目を開けたアッコちゃんが観たのは、色が変わった東京タワーだったので、アッコちゃんはびっくり仰天する。

実は東京タワーは、8時になると照明が変わるんだと早瀬は種明かしをしてくれるが、アッコちゃんは、ナオトも魔法が使えるのかと思ったと呟く。

これで、色の変わるリップグロスも作れるな…と感無量な様子の早瀬を観ていたアッコちゃんは、ナオトは本当に化粧が好きなのねと感心する。

すると早瀬は、昔貧しい女の人がいてね…と話し始めたので、アッコちゃんは、それ昔話?と聞き始める。

その貧しい女の人は訪問販売やレジ打などをしながら2人の子供を育てたんだ…と早瀬は続ける。

その人は年寄り老けて見えたけど、小さな鏡台の前で化粧をするととてもきれいになった。化粧は彼女にとって戦闘服だったんだ。その女の人って僕の母親なんだ。素の母親も好きだったけど、いつかそんな化粧品を作って母にプレゼントしたいと思っていた。でも、母は、僕が入社してすぐに病気で死んでしまった。僕が作った化粧品をプレゼントする夢は叶わなかったけど、世の中には母みたいな人がいっぱいいる。化粧品はそう言う人の為にあるんだって、アッコが思い出させてくれたんだ…と早瀬は打ち明ける。

アッコちゃんも、なんか、かっこ良かったよ、今日のナオト…と褒めると、冬休みが終わっても側にいてくれないか?僕には君が必要だと思う。好きなんだ!と突然言い出した早瀬は、戸惑うアッコちゃんにキスをしようと接近して来る。

目をつぶってキスしたつもりだった早瀬が、違和感を感じて目を開けると、アッコちゃんは自分の顔の前に透明な下敷きを立てていた。

早瀬は思わず笑い出すと、なんか、アッコちゃんらしいなと思って…と言うので、アッコちゃんは、どうせ私は子供ですよと膨れてみせる。

その時、早瀬は、アッコちゃんの持ち物に書かれた5年2組 アッコと言う文字に気づく。

遅くなったので、急いで帰ったアッコちゃんは、公園の土管の中で、後少しで冬休みが終わっちゃう…。もし私が子供に戻らなかったら、ずっとずっとナオトと一緒にいられるのかしら…とコンパクトを見つめながら考え込む。

翌日、コピーを取っていたアッコちゃんを呼び出した早瀬は、僕に何か秘密にしている事ない?君の履歴書が噓だって事は最初から分かってたんだ。早稲田大学算数科なんてないし…。人事部からも色々言われたんだけど、いつか話してくれると思って…と問いかけて来る。

困ったアッコちゃんは、秘密なの!言えないの!私だって言いたいよ、言いたいけど…、もう良い!ナオトのバカ!と言って飛び出すと、会社の屋上にやって来て、どうしたら良いのよ…と悩む。

その時、下のベランダ部分で何か話している熱海専務と鬼頭がいるのに気づく。

鬼頭は、生産ラインを爆破する。リップグロスが完成するとまずいんでねと言う。

ゴールド興業には外国資本が入っているが、早瀬の温度によって色が変わる研究は、軍事利用できる。砂漠の戦車が砂漠色に溶け込んだり、空を飛ぶ戦闘機が空の色に溶け込む事も可能になり、1千億以上の利益を生む可能性がある。

だが、その研究が他の手に入るとまずい事になるので、むしろ最初から何も出来ない事にした方が良いと言うのだった。

それを聞いた熱海専務は、私は人を殺す技術に手を貸していたのか!と及び腰になるが、お前のバカ息子がアメリカに留学できたのは誰のお陰だと思っているんだ!俺とお前はもうずぶずぶの関係なんだよと言いながら、鬼頭は熱海の身体を柵から突き落とそうとする。

後30分で爆破すると聞いたアッコちゃんは驚き、急いで会社の外へ走り出すが、とても間に合わない事を悟ると、バイクレーサーになれ!と走りながらコンパクトに願い、変身した姿とバイクで工場へ向かう。

ところが、工場内には誰もおらず、爆弾の事を知らせる相手がいない。

焦ったアッコちゃんは、爆弾を探そうと1人で奮闘していたが、狭くて奥の方には入れない部分があることが分かる。

アッコちゃんは、ペットの黒猫シッポナに変身し、狭い隙間の間を通って奥に進むと、そこに置いてあった時限爆弾を発見する。

そして、社員がいる部屋の前に来たアッコちゃんは、シッポナの姿のまま、社員たちを工場内に案内するが、社員はシッポナをただの迷い込んだ猫と思って抱き上げるだけ。

そこに早瀬までやって来たので、アッコちゃんはパニックになる。

この事は絶対人に知られては行けない。人に知れたら、鏡の魔法は使えなくなるよと言う鏡の精の言葉が蘇って来る。

でも、バイバイ、私の大切な魔法のコンパクト…と心の中で呟いたアッコちゃんは、最後の変身!一番なりたかった私にな〜れ!と願うと、床に落ちたコンパクトから光が溢れ出し、早瀬や社員たちが驚いて見守る中、パティシエやウエディングドレス姿など複数の姿をしたアッコちゃんが次々と出現し、最後になったのは、いつも会社に行くときの格好をしたアッコちゃんだった。

早瀬はアッコ!君…と驚くが、アッコちゃんがここに爆弾が仕掛けられている事を知らせると、工場長は全員に退避命令を出す。

しかし、アッコちゃんだけは、狭い隙間の中に入り込み、私はちゃんとみんなと…、ずっと働きたい!と叫ぶと、何とか時限爆弾の場所にたどり着き、爆弾を掴むと、残って見守っていた早瀬に手渡す。

ええ!と仰天した早瀬だったが、急いで会社の外へ持って走り、広い場所に向かって爆弾を投げる。

大爆発が起こり、早瀬と一緒に付いて来たアッコちゃんは吹き飛ばされてしまう。

ぼろぼろの姿になったアッコちゃんは、そのまま帰ることにするが、途中、ショーウィンドーに飾ってあったウエディングドレスを観ると、もう、全部終わっちゃった…と呟く。

いつもの土管の中に入って元の姿に戻ろうとしたアッコちゃんだったが、さっきの爆発のため鏡は割れており、元の姿には戻れない事に気づく。

いつの間にか雪が降り出していた。

アッコちゃんの家には、戻って来ないアッコちゃんの事を心配したモコちゃん、大将、少将、カン吉らも来ており、アッコちゃんのママに、最近塾に来ていなかった事を伝えていた。

その時、チャイムが聞こえたので全員で玄関に向かうが、そこに立っていたのは大人のアッコちゃんだったので、ママを始め誰も分からない。

アッコちゃんはママに向かって、心配しないで、アッコは元気だから。無事…ではないけど…と伝えるが、モコちゃんが、失礼ですが、あなたは?と聞いて来たので、もう良い!と怒ったアッコちゃんは、走って公園の土管に戻って泣き出す。

その時、アッコちゃんと呼びかける声がしたので外に出てみると、そこにいたのはあの鏡の精だった。

秘密、守れなかった?ないたいものになれたかな?と鏡の精が聞いて来たので、やっぱりなれなかった…、本当の大人には…とアッコちゃんは答える。

すると鏡の精は、大人って何?と聞いて来る。一生懸命働いている人?心の痛みが分かる人?自分を捨てて人を守る人?そんなものだったら、魔法を使わなくても、もうなってるじゃない…

もう一度、鏡の魔法が使えたとしたら何になりたい?と鏡の精は聞いて来るが、気がつくと、又してもその姿は消えていた。

地面にはあのコンパクトが落ちており、開いてみると、鏡は元のようにきれいになっていた。

アッコちゃんは、テクマクマヤコン テクマクマヤコン 私が本当に、本当になりたい私にな〜れ!と願う。

雪が降る中、子供の姿に戻ったアッコちゃんが、ママ〜!と叫びながら自宅に駈けて来る。

庭に作っていた「鏡のおはか」がきらりと光る。

アカツカ化粧品の企画開発部では、ついに色の変わるリップグロスの製品化にゴーサインが降り、早瀬は嬉しそうにみんなに伝えていた。

それを聞いたマリも、これから忙しくなりますねと喜ぶ。

早瀬は、企画書の書類カバーに描かれたアッコちゃんの花丸マークをじっと見つめていた。

新学期が始まり、アッコちゃんは6年生に進級していた。

早瀬は、いつもの観覧車の中で、アッコちゃんからの手紙を読んでいた。

私はナオトに秘密にしておかなければ行けない事があったの。ナオトの研究はきっと社会に役立たせて下さい。今、空気が澄んで東京タワーがきれいに見えます。ナオトの事忘れません…と書かれてあった。

アッコちゃんとモコちゃんは、いつも通り登校していたが、サラリーマンの男の人とすれ違ったので、モコちゃんが、アッコちゃんは、サラリーマンよりスポーツ選手の方が良かったんだよね?と聞くと、アッコちゃんは、私はどんな人でも、自分んお仕事に誇りを持っている人が好きなのと答えたので、大人になったね!と驚く。

アッコちゃんは、明るい子供の姿に戻っていた。

2022年4月

朝、鏡台の前で化粧をしていたアッコちゃんは、もうすっかり本当の大人になっていた。

引き出しを開けようとすると、何かが引っかかっており、無理して開けると中に入れてあった化粧品などに混じって、あのコンパクトが転がり出て来る。

下からママのせかす声が聞こえて来るが、懐かしくなってコンパクトを開いてみると、その鏡はもう曇っていた。

アカツカ化粧品の新入社員面接の席、1人1人、女子社員がイスから立ち上がって自己紹介していたが、最後に立ち上がったアッコちゃんは、早稲田大学算数科…と言い、ちょっと驚いたような面接官の1人、早瀬尚人がアッコちゃんに気づくと、失礼しました!早稲田大学理工学部加賀美あつ子ですと自己紹介し、それを聞いた早瀬は、嬉しそうに微笑むのだった。