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ゴキブリ刑事

渡哲也主演のコミックの映画化

角刈りにレイバン、コート姿の渡の姿、どう観ても、テレビの人気番組「西部警察」の大門を思い出さずには置かないスタイル。

製作会社は石原プロモーションだし、石原裕次郎や小林正彦と言った馴染みの顔ぶれをスタッフロールで観ると、「劇場版 西部警察」を期待するなと言う方が無理であろう。

ところが、監督が小谷承靖だったり、提携している東宝色が裏目に出たのか、テレビアクション刑事物にも遠く及ばない凡庸な作品になってしまっている。

全体的に緊張感がないと言うか、テンポが悪いのか、舞台となっている架空の町に生気が感じられないからか、色々な理由が積み重なっての結果だろうが、期待するような爽快感はどこにもない。

作られた時代から考えると、ひょっとして「ダーティハリー」(1972)辺りを意識した内容だったのかもしれないが、そう言う想像すること自体が今となっては恥ずかしくなるような出来である。

ヒロイン役の加賀まりこも精彩がない。

肝心のアクションシーンだが、カーアクションと言うのが、動きが鈍く写るトラックやブルドーザーとの戦いなので、スピード感も迫力も薄く、クレーン車に車ごと吊り下げられるシーンなども、ロングショットばかりなので、鳴滝が車から這い出るシーンもどうせスタントマンだろうと感じるくらいで、見事なくらいハラハラ感がない。

車を登っている鳴滝の視線や、クレーン車の操縦者の反応などが全く描かれていないためだろうが、これだけの道具立てをそろえた割には、さほどの見せ場にもなっていない。

2階建てのバラック全体をブルドーザーで押し倒すと言うのがこの映画の最大の見せ場だが、これもせいぜい、へえ…と思うくらいで、パニック感やサスペンスに繋がっていない。

全体的に演出に問題があるのかもしれない。

町のセットも、いかにもセットバレバレと言った感じで、生活感も何もあったものではない。

予算や時間が少なかったためかもしれないが、テレビ以上に安っぽい感じがしてしまい、日本映画がどん底状態だった時代を象徴しているようにも思える。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1973年、石原プロモーション+東宝、新岡勲原作、剣持亘脚本、小谷承靖監督作品。

朝日が昇る直前の海浜地区の造成地、男が一人、数人の男たちに追いかけられていた。

男はやがて追いつかれ、袋だたきにされ、気絶した所で、身体のあちこちを調べられ、その口には何か薬のような白い錠剤を大量に含ませられる。

息絶えたらしき男の身体は、造成地を横切っているベルトコンベアの上に乗せられ、その上に土をかけられる。

一方、1人の中年警官吉田巡査(広瀬正一)が居眠りをしてた交番にスコップを持って侵入してきた男は、いきなり背後から経験の後頭部をスコップで殴りつけると、倒れた警官から拳銃を弾倉を奪って逃げ去る。

朝日が昇り、工場内に始業のサイレンが鳴ると、ベルトコンベアも動きだし、土のかたまりに見えた男の遺体も運ばれて行く。

ベルトコンベアの先からは、海辺に積まれた土の山に次々と土砂が落とされて行く。

鳴神涼(渡哲也)は、安アパート「利根荘」の洗面台で歯を磨いていた。

インスタントコーヒーを飲もうと、やかんをコンロにかけようとするがコンロの火がつかない。

ガスが通っていない事を知った鳴神は、コップにインスタントコースーの粉を入れると、水道の水で溶き、歯ブラシの柄で混ぜて飲み干すと、アパートを出て停めてあった車に乗り込もうとするが、ワイパーに「駐車禁止」の違反表が挟んでおるのに気づくと、苦笑してそれを上着のポケットに仕舞うと、車を発車させる。

キャストロールの背景で、杉本裕子(加賀まりこ)が水郷汽船の宙門営業所に到着すると、その足で地元のホテルに向かう。

神栖警察署にやって来た鳴神は、車を降りると、ポケットから取り出した「駐車禁止」の違反表の裏につばを吐きかけると、それをフロントガラスにぴしゃりを張り玄関を入ったので、立ち番の警官は驚いてその駐車禁止表を観る。

人でごった返していた「交通課」の受付に来た鳴神は、署長を呼んでくれ。鳴神が来たと言ってくれと係官に声をかけると横のベンチに腰を降ろす。

そこには、掴まったチンピラが1人先に座っており、付き添っていた刑事にタバコをねだっていた。

その横で、タバコに火をつけた鳴神は、鳴神刑事お待たせしましたと呼びに来た係官の言葉に、お前刑事か?と驚いて横を観たチンピラの頬に、立ち上がり様、ゴキブリがタバコ吸うのか?と言いながら、自分の火の点いたタバコを押し付ける。

タイトル

三田署長(神山繁)の部屋で、警視総監賞や受賞歴も多いが、懲罰の数も多い鳴神の破天荒な履歴書を読んでいた松野警部(陶隆司)だったが、そこに当の鳴神が入ってきたので、三田は松野警部を紹介すると、君は今停職中だと聞いたので、君の力を借りようと思う。すでに本庁の許可は取ってあり、働き次第で罰則の軽減を考えると言う事だと伝える。

貧しい漁村だったこの土地が開発地区になって大企業が入ってくると、労務者やにわか成金が増え始め、ヤクザ同士の小競り合いが始まった。今は鮫島組がシマを握っている…と松野警部が説明すると、この田舎警察の体制が整ったのはその後だと三田署長が付け加える。

その時、電話が鳴り、三田署長が出ると、交番の巡査が襲撃され、拳銃を奪われた事件を知らせる内容だった。

さっそく現場に向かった鳴神だったが、香月厳刑事(大門正明)と武井信夫刑事(地井武男)が、なぜ警官の拳銃を奪ったのか論争していた。

ヤクザなら、わざわざ警察拳銃など奪う必要はなかったからだ。

その会話を現場で聞いていた鳴神は、拳銃が使われるまで理由は分からないと言い、香月刑事がこれから捜査会議ですと声をかけるが、自分はまだこの辺では面が割れていないので、義気振りの動きを見させてもらうと交番を出て行こうとしたので、自分が車でお送りしますと香月が勧めると、警察の看板付けるような真似は止めてくれと鳴神は断る。

町をぶらぶら見て回っていた鳴神は、町のチンピラたちが、慌ただしく何かを探しまわって走り回っている様子に気づく。

やがて、人通りの少ない場所に来た鳴滝に、3人のチンピラ和(鈴木和夫)、川岸の辰(青木敏夫)、玉コロガシの吉(木村博人)が近寄ってきて、何か探しているのか?早く見せろと話しかけて来たので、これか?と言いながら、拳銃を取り出して見せると、チンピラ3人は逃げ出してしまう。

そんな中、鮫島徳二(深江章喜)の息子が結婚式を挙げ、記念撮影を屋外で取ろうとしていた。

その様子を近くの木陰から覗いていた一人の青年が、ナイフを取り出して走り出してきた時、情けなくもこけてしまったので、暴漢と気づいたメリケンの鉄(苅谷俊介)とコナカケの政(沢美鶴)が飛び出して行って、その青年を取り押さえる。

青年を殴ったテツの腕を掴んだ鳴神は、傷害の現行犯だと手錠をかけ、鮫島を睨みつけると、何もしていない政にまで手錠をかけ、群衆が見守る中、青年と2人のヤクザを引き連れ神栖署まで連行する。

署で事情を聞いた青年は、バルビタール系の睡眠薬を飲んで水死したとされていた田川よし子の弟田川明(長浜鉄平)だと判明する。

明は、姉は自殺なんかするような人ではないと強く否定するが、よし子はちんぴらにいたずらされていたと松野警部が説明し、当時の状況から自殺と断定するほかなかったと武井も言う。

その頃、鮫島の子分たちに鳴神の噂が広がり、すぐに顔写真を手に入れるよう指示が出される。

無罪釈放された明を連れ、署を出た鳴神は、近くのスナック「エル」に連れて来ると、水割りと明の為にコーヒーを注文する。

刑事が飲酒運転するの?と、店の奥から出てきて鳴神に抱きついてきたのは杉本裕子だった。

まだ諦めないのか?と問いかける鳴神に、裕子は、目の前で男を鳴神に射殺された日の事を思い出す。

諦めはしないわ。おまわりはあんたみたいな奴ばかりじゃなく、優しい人もいるので、親切にここを教えてくれたのと裕子がからかうように言うと、こっちはいつだって殺されてやるぜと鳴神も平然と答えるのだった。

その後、明を自宅前まで車で送ってやった鳴神だったが、心配していたのか、帰って来た明に泣きながら恋人らしき女が抱きつく姿を車の中から観る。

翌日、海岸近くで、男の水死体が見つかる。

上月たちと共に検死に立ち会った鳴神は、死体は安と言う役の運び屋だと教え、一度会ったゴキブリは忘れないと言う。

その報告を警察署で受けた松野警部は、いよいよ鮫島がヤクに手を出したと言う事か…と解釈する。

鳴神は、鑑識が持って来た現場写真に自分の姿が写っている事に気づくといきなり破り捨て、デカの写真を撮るな!俺は一人で動くと言ったはずだぞと三田署長に抗議し、部屋を出て行く。

松野警部は、その後を武井刑事につけさせると、三田署長に、どう言うおつもりで?と問いかけるが、三田はまあまあ…と取りなす。

スナック「エル」にやって来た鳴滝に、今度は長くなりそう?と甘えたように尋ねる裕子。

鳴滝は、店のジュークボックスで何か曲を探しあぐねているようだったが、裕子は「Kの3でしょう?いつも聞いてたやつ」と教えてやる。

アパートは?と鳴滝が聞くと、首を振った裕子はまだ…、あんた次第よと答える。

そこに武井刑事が姿を現したので、付け馬はあんたかと呟いた鳴滝は、一緒に店を出る。

鳴神と一緒に歩き出した武井は、あの人だったんですか?鳴神さんを追っているってのはと裕子の事を聞く。

鳴神は、昨日自分に近づいてきたチンピラの1人、和が通りかかりの女性に絡んでいる所を発見すると、強制わいせつ罪だと言って捕まえてしまう。

パチンコ屋で騒いでいた辰には、2000円人から借りていた事実を突きつけ、一般人ならともかくお前らがやったら恐喝だと言ってその場で逮捕。

和風喫茶で女に仕事を斡旋しようとしていた吉には、武井が足に手錠をかけ、神栖署まで連れて来る。

その時、先に捕まえていた鮫島組の子分が、迎えにきた車で帰って行くのを目撃した鳴神は、三田署長に、鮫島を叩く取っときの奴だったのに…と抗議に行くが、保釈せざるを得ないと突っぱねられる。

それでも、和、辰、吉の3人だけは確保できたので、今回のが別件逮捕だと言う事くらいお前らにも分かるだろう。お前ら何を探しているんだ?全部吐け!と武井と鳴神は取調室で聞く。

3人は全員まとめて手錠に繋がれ、イスに座らされていたが、飲み物でも飲んでな…とせせら笑って来たので、武井はコカコーラの500ml入の瓶を3本持って来ると、それを3人の口にねじ込み、無理矢理飲ませ始める。

やがて、裸にされた3人は、口に大量のタバコをガムテープで固定され、煙地獄の拷問を受ける。

そんな3人を前に、店屋物の昼飯を食べていた鳴神は、武井が半分残しているので、身体の具合でも悪いのか?と聞くと、昔、ゴキブリに腹を撃たれて、胃袋が半分になっているんだと打ち明ける。

そんな武井は、拷問を受けた3人が口を割らないと言う事は知らないと言う事であり、と言う事は、幹部の誰かがブツを動かしていると言う事だな?とカマをかけ、無理矢理、はいと返事をさせる。

さらに鳴神が、スケをヤクで縛って働かせているな?この前お前らは、俺を運び屋だと間違えて話しかけて来たが、待ったいたのはヤクの売人で、それは関西から運ばれて来るのだろう?と推理を聞かし、又もや3人に、否応なく、はいと答えさせると、良し、ゲロしたから、帰って、兄貴にたっぷり可愛がってもらえと脅す。

その後、雨の中、武井と2人で、鮫島の息がかかった店の裏のゴミを漁った鳴神は、1本のアンプルを見つける。

その後、吉田巡査が入院している病院に向かった鳴神は、面会謝絶の部屋の中を覗き、妻が付き添っているのを観て会釈すると、担当医から今日の午後か夕方くらいに吉田巡査は気がつきそうだと言う事。うわごとで、貴様!とか叫んでいたので、面が割れていた可能性がある事などを聞くと、持って来たアンプルの残液の検査を依頼する。

医者は、そう言う事は鑑識でやれば?…と困惑するが、それが出来ねえから頼んでいるんだと鳴神は凄む。

松野警部、香月と「エル」に来ていた武井は、まだ復讐するのか?と裕子に聞いていた。

そこに顔を出した鳴神は、吉田巡査が意識を取り戻しそうだと報告し、松野警部は香月に病院に向かわせる事にする。

鳴神はその後、横浜にある池田組の港湾事務所を訪れ、池田組組長(仲谷昇)に会うと、安と言う運び屋を知らないか?バラされたので、安を使った売人を知りたいと尋ねる。

樋口と言うはしっこい男で、鬼ごっこが好きな奴でしたがね…と組長は教えてくれたので、帰ろうと車に乗り込むと、中に「御車代」と書かれた封筒が置いてあったので、そのまま懐にしまって車を発進させる。

その頃、吉田巡査の病室に忍び込んで来た白衣の男は、花瓶の水でガーゼを湿らせると、それを昏睡状態の吉田巡査の口と鼻の上に起き、さらにその上から枕で押さえつけ、窒息死させると、また枕を吉田巡査の頭の下に置き、そのまま出て行く。

吉田巡査の葬儀場で、やって来た鳴神は、どうして病院から持ち場を離れた?と香月を責める。

香月は、近くでチンピラのひき逃げがあったので…と悔しがり、武井は、自分が交代に行った時にはもう…とすでに吉田巡査が志望していた事を打ち明ける。

松田警部は、吉田巡査とは同期だったと落ち込んでいたが、鳴神は、タイミングが良すぎないか?あんたに報告した直後にって…と松田警部を怪しむ。

鳴神は、樋口は水門のガードマンになっていると言う報告を受ける。

香月は、その場に運ばれて来た花輪に八つ当たりをし始めたので、鳴神は興奮するな!と諌める。

葬儀場から歩き出した武井と鳴神は、検査を頼んだ例のアンプルが、ただのビタミン剤だったと分かり、あの時踏み込まなくて良かったと互いに自嘲するのだった。

その直後、鳴神は、取りたい裏があると言うと、トルコ風呂にやって来る。

忙しそうなトルコ嬢牧百合(右京千晶)は、1万よと値段を言うが、客を装って上着を脱いでいた鳴神は、売春防止法違反だと言っていきなり手錠をかけると、腕や足の指の間を調べ、ヤクの注射後を発見する。

廊下で会ったボーイが突然逃げ出そうとしたので、なぜ、俺の顔を見て逃げる?と言いながら、ボーイの部屋を調べると、そこには、以前、鑑識現場で写っていた鳴神の写真が貼ってあった。

サツである事がバレたのだが、あの時破り捨てたはずの写真が出回っていると言う事は内部にスパイがいる事が明らかになる。

神栖署の取調室で禁断症状を示していた百合と2人きりになった鳴神は、注射器にヤクのようなものを入れ、警察が使っているのは純度が高い一級品だぜなどと言いながら、口を割らせようとする。

耐えきれなくなった女は、ヤクを運んで来たのは鮫島の所のチンピラだったと吐くが、それを聞いた途端、砂糖水を射っても利かないだろうと鳴神は笑う。

その頃、鮫島の事務所では、鳴神に口を割った和、吉、辰の3人が、爪の間にメスを差し込まれる拷問を受けていた。

3人を殴りつけていた川上(郷英治)は、かかって来た電話を取ると、樋口って奴か?高飛びする?銭あるんだろ?ドジ踏むなよ…と伝える。

その頃、鳴神は、自供した百合を自分の運転する車に乗せると、お前を殺させはしないと言いながら、横浜の池田からもらった車代をそっくり渡してやる。

照明もない真っ暗な中、「利根荘」に車を乗り付けた鳴神だったが、その途端、銃撃を受ける。

鳴神は百合を連れ、海岸の消波ブロックの場所に逃げて来る。

その間も敵は執拗に撃って来る。

射撃手は、ヤク中の百合が上げるうめき声を標的にしている事が分かったので、鳴神はハンカチを女の口にくわえさせる。

そして、的の前に姿を現した鳴神だったが、その時射とうとした相手の弾丸は切れていた。

自分の銃を取り出すと、その銃を観た敵は、まさか!デカか!と叫ぶが、そのまさかだよと教えた鳴神。

次の瞬間、敵は射殺されてしまう。

裕子のマンションにやって来た鳴神は、すまんが匿ってくれと頼むと、百合の手錠を外してやり、自分は裕子から酒をもらうとソファに横になり、寝かせてもらうぜと言う。

寝入ったかに見えた鳴神の懐から、拳銃をそっと抜き取った裕子は、その銃口を鳴神に向ける。

しかし引き金は引かず、私、外国に行くんだ。誘ってくれるバカがいるからと言うので、鳴神は目をつむったまま、行ったが良いと答えてやる。

裕子は突然泣き出す。

翌朝、土手でガードマンの死体が見つかる。

ヤクの売人、樋口ヨシオだった。

現場検証をしていた香月は、落ちていた懐中電灯の中に詰まっていたヤクを発見する。

神栖署に戻って来た鳴神は、三田署長から、凶器はコルトガバメント45だ。夕べ、お前がやった事をどう説明する!相手の中にはタマがなかったそうだが、これでは刑事の殺しじゃないか!と迫られる。

鳴滝は自分の銃を取り出すと、三田に向け、回転弾倉部分を見せると、最初の弾は抜いてあったんだよと言う。

そして鳴神は香月に向かい、お前の部屋の鍵を貸せ。ガサ入れだと迫ると、夕べのトルコ嬢を駅まで送って行ってくれと頼む。

濡れ衣を着せられちゃ敵わない!と憤慨した風に言っていた香月だが、任せて下さいと笑顔で答える。

公務員宿舎の香月の部屋にやって来た鳴神は、室内にいた母親しづ(福田トヨ)から、巌がいつもお世話になっておりますと会釈されると、そのまま部屋を通り抜け、一旦ベダンダに出ると、そこから隣の部屋のベランダに移動し、隣の部屋の中を物色し始める。

やがて、パスポートと麻薬の注射器を発見する。

駅に百合を送って来た香月は、停まっていた車の中に乗っていた殺し屋2人組から突然乱射され、トルコ嬢をかばうように外に転がり落ちるが、2人とも蜂の巣にされてしまう。

その後、現場に駆けつけて来た鳴神と武井は、すでに死亡していた香月の遺体を救急車には乗せず、自分たちの車に運び走り去る。

鮫島のマンションにやって来た鳴神だったが、そこには鮫島はいなかった。

床屋で洗髪中だった鉄の所に来た鳴神は、いきなり熱湯を浴びせかけ、さらには、片方の眉までそり落とし、鮫島の居場所を聞くと、上平の現場にいると言うので、一方的に鉄の車を借りてその工事現場に向かう。

途中、トラックが鳴神が乗った車を挟むように接近して来る。

前方を走っていたトラックは、走行しながら荷台を上げると、積んでいた土砂を道路にまき散らし始める。

鳴神は、後ろのトラックを連れ、細い脇道にそれるとまた本道に戻るが、付いて来たトラックはそのままドラム缶の集積場に突っ込み爆発する。

さらに、4台のトラックが並走しながら迫って来て、土砂集積場に鳴神の車が入り込むと、ブルドーザーも数台集まって来る。

土砂集積場にブルドーザーに何度も押し付けられ、車が動けなくなった所で、巨大なクレーン車に車ごと空中に引き上げられたしまう。

運転席の鳴神は気絶していた。

下に集まっていたトラックやブルドーザーが引き上げた中、クレーンが一瞬緩み、そのショックで車のクラクションが鳴り始めたので、目覚めた鳴神は、急いでドアの窓から外に抜け出し、そのままクレーン車のアームによじ上ると、アーム伝いに降りて来る。

ぼろぼろになって神栖署に戻って来た鳴神は、このおとしまえは俺が付けると三田署長に報告するが、署長は突然、君には降りてもらう。やり過ぎたな。殉職者まで出てしまったと言い出したので、やるだけやらしといて、ハメやがったな!はなから、手前は口を拭う気でいたんだな!と睨みつけると、「エル」にやって来て、コーヒーを4杯もお代わりする。

今度はどこに行くの?と裕子が聞いて来たので、また付いて来るのか?と鳴神が呆れると、悪くないわ、ゴキブリとの生活も…と裕子は答える。

そこにやって来た武井が、鮫島の居所が分かったと言うので、鳴神は一緒に付いて行く事にする。

暗闇の中、武井と並んで歩いていた鳴神は、寮で見つけた注射器を投げ捨てると、どうしてヤクなんかにてを出してしまったんだ?と武井に問いかける。

武井は黙って、銃を鳴神の方に向けていた。

腹を撃たれたその時からか?と聞く鳴神に、早く現場に戻りたかった…と言いながら、武井は泣き出す。

鳴神さん、俺を撃ってくれ!と武井は泣きついて来るが、バカ!2人で鮫島を潰すんだ!と叱り、先を進み始めた鳴神。

そんな鳴神のコートをいきなり背後から奪い取った武井は、先に走って行く。

暗闇の中から、鳴神を狙って待ち受けていた狙撃手は、コートを着た武井を鳴神に誤認し、ライフルで射殺すると、武井!ご苦労!こっちへ来い!と呼びかける。

鳴神は、その狙撃手を撃つと、崖から転げ落ちた武井の死体に近づくと、武井の持っていた銃を取り、近くに放置してあったブルドーザーに乗り込む。

ブルドーザーで、鮫島のバラック事務所に接近すると、中から子分たちが撃って来る。

ブルドーザーのシャベル部分で敵の弾を避けながら、そのままバラックまで突進して来た鳴神は、シャベルをバラックの建物の土台部分に差し込み、そのまま一気に建物全体を傾け始める。

これには、中にいた子分たちはたまらず、半数くらいは逃げ出してしまい、川上は転んだ弾みで自分自身を誤射してしまう。

机やイス類に身体を挟まれて身動きできなくなった連中もいたが、次の瞬間、鳴神が打った弾が、プロパンガスボンベにでも命中したのか、建物全体が大爆発を起こし、炎上し始める。

その頃、鮫島は、神栖地区の敬老会に出席して、老人たち相手に挨拶をしていた。

その後、控え室に戻って来た鮫島は、ソファで気絶しているガードマンの姿を発見する。

そこに姿を現した鳴神は、お前の忘れ物だと言って銃を押し付けると、鮫島はそれで鳴神を撃とうとする。

次の瞬間、鳴神が撃った弾丸が、鮫島の額から後頭部を突き抜ける。

正当防衛とはこういう時に使うものだと鳴神は言い残し立ち去って行く。

その後、警察の検問所のバリケートに接近して来た鳴神の車は、そのままバリケードをはね飛ばして走り去って行くのだった。

END